画像形成装置及びその画像濃度補正方法
【課題】感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】使用者によって画像濃度ムラが良くないと判断され、調整スタートキー104aが押下された場合、CPU1011は、第1のテストパターンを印字する(S2)。第1のテストパターンは、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された感光体電位ムラデータの電位の最大と最小の値を含むように設定されたパターンである。使用者が、印字された第1のテストパターンの画像濃度を見て、操作部104から補正値を入力すると、CPU1011は、この入力された補正値の情報に基づき、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データを計算して更新する(S4)。そして、CPU1011は、全面ハーフトーン画像の確認画像を印字する(S5)。
【解決手段】使用者によって画像濃度ムラが良くないと判断され、調整スタートキー104aが押下された場合、CPU1011は、第1のテストパターンを印字する(S2)。第1のテストパターンは、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された感光体電位ムラデータの電位の最大と最小の値を含むように設定されたパターンである。使用者が、印字された第1のテストパターンの画像濃度を見て、操作部104から補正値を入力すると、CPU1011は、この入力された補正値の情報に基づき、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データを計算して更新する(S4)。そして、CPU1011は、全面ハーフトーン画像の確認画像を印字する(S5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置及びその画像濃度補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、帯電装置で像担持体として回転する感光体を一様に帯電し、露光装置で入力された画像データに応じて感光体を露光することで、感光体上に静電潜像を形成する。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体に感光膜の厚さのバラツキがあると、感度ムラが生じる。この感度ムラは、帯電や露光特性に影響し、感光膜の厚さのバラツキによる感度ムラが画像の濃度ムラとして発生してしまう。このため、感光体に均一な中間調画像等を形成する場合、画像形成時の感光体における電位特性の面内ムラ(感光体の電位特性起因)により、画像の濃度ムラが発生する場合がある。
【0004】
従来、感光体における電位特性の面内ムラに起因する画像の濃度ムラを補正する手段として、つぎのような画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置は、あらかじめ画像形成時に使用する電位における、感光体の電位ムラを電位のデータもしくは濃度のデータとして画像形成装置内に取り込む。そして、画像形成装置は、露光装置で露光するときに、取り込んだデータを用いて露光強度を調整し、感光体の電位特性起因による画像の濃度ムラを補正する。
【0005】
例えば、このような、感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位データとして、主走査方向および副走査方向の位置に応じた、感光体の電位が用いられる(図6参照)。単位はボルト(V)である。また、この感光体の電位の分布も示されている(図3参照)。
【0006】
図26は従来の画像形成装置における、露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。画像形成に最適な帯電および露光後の感光体の電位は50Vである。従って、一様に帯電および露光を行った場合の電位特性から、感光体の電位が50Vより高いところでは露光強度を上げ、50Vより低いところでは露光強度を下げることにより、電位ムラの均一化が図られる。露光装置の各走査において、このような露光量の補正を行うことにより、感光体における電位特性の面内ムラ全体を補正することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−66827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、つぎのような問題があった。感光体の電位特性の面内ムラは感光体の耐久劣化によって変化することが知られている。
【0009】
さらに、画像形成時の感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラとしては、感光体の物性値単体のムラ以外に起因するものも知られている。例えば、このようなムラの発生としては、除電のための画像形成前における露光装置の露光量ムラや感光体の回転ムラ等に起因する場合もある。
【0010】
これに対し、前述した特許文献1に記載の画像形成装置では、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化や、感光体の物性値単体のムラ以外に起因する感光体の電位特性の面内ムラの変化による画像の濃度ムラを補正することができなかった。
【0011】
即ち、この画像形成装置では、補正対象となる感光体の電位データを全て読み取ることが行われるが、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化等が生じた場合、感光体全面のデータを再度取り直すことは、そのデータ量が膨大になるので、行われなかった。つまり、再度、感光体全面のデータを取り直すことは、作業時間の短縮や効率の面で難しかった。
【0012】
そこで、本発明は、感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる画像形成装置及びその画像濃度補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置において、前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ保持しておく電位データ保持手段と、前記電位データ保持手段によって保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正手段とを備え、前記画像濃度補正手段は、前記電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷手段と、前記パターン印刷手段によって印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを補正する電位データ補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の濃度補正方法は、電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置の濃度補正方法において、前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ電位データ保持手段に保持しておく電位データ保持ステップと、前記電位データ保持手段に保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正ステップとを有し、前記画像濃度補正ステップでは、前記電位データ保持手段に保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷ステップと、前記パターン印刷ステップで印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段に保持された電位データを補正する電位データ補正ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷し、この印刷された画像パターンの濃度データをもとに、電位データを補正する。これにより、感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる。従って、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化や、感光体の物性値単体のムラ以外に起因するものによる感光体の電位特性の面内ムラの変化を効率良く補正することが可能となる。
【0016】
請求項2に係る画像形成装置によれば、使用者が電位データの補正を簡単に行うことができる。
【0017】
請求項3に係る画像形成装置によれば、使用者が画像の濃度ムラを目視で確認し、繰り返し電位データの補正を行うことができる。従って、確実に画像の濃度ムラを直すことができる。
【0018】
請求項4に係る画像形成装置によれば、画像パターンの印刷には、電位データの有効な値が使用されるので、感光体の電位特性の面内ムラを効率良く補正することができる。
【0019】
請求項5、7、9に係る画像形成装置によれば、感光体の電位ムラ特性に応じて、種々の簡単なパターンを使用することができる。
【0020】
請求項6、8、10、12に係る画像形成装置によれば、感光体全面の電位データを効率的に補正することができる。
【0021】
請求項11に係る画像形成装置によれば、画像形成装置に測定手段を設けることで、あらかじめ感光体の電位データを保持しなくても済む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】反転現像方式における帯電、露光時における感光体の表面電位の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】感光体の電位の分布を示すグラフである。
【図4】露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。
【図5】感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された帯電および露光後の電位ムラのデータを示すテーブルである。
【図6】図5の具体的なデータとして、感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位を示すテーブルである。
【図7】露光装置3による露光強度と感光体1の電位センサ4の位置における電位との関係を示すグラフである。
【図8】感光体1の表面の構成を示す断面図である。
【図9】主走査位置における感光体削れ量の推移を示すグラフである。
【図10】画像形成前露光装置10の概略的構成を示す図である。
【図11】LED光源の波長および光量に対する帯電・露光後の電位VLの変化を示すグラフである。
【図12】感光体1の回転により生じる一次帯電装置2と感光体1表面の距離の変化を示すグラフである。
【図13】主走査のみのパターンを示す図である。
【図14】主走査+副走査のパターンを示す図である。
【図15】感光体全面のパターンを示す図である。
【図16】電位の最大と最小の値を含むように印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。
【図17】電位の最大と最小の位置が主走査上に並んでいる場合に印字される主走査のみのパターンを示す図である。
【図18】電位の最大と最小の位置が副走査上に並んでいる場合に印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。
【図19】電位ムラデータの補正処理手順を示すフローチャートである。
【図20】ステップS3、S9における電位データの変更手順を示すフローチャートである。
【図21】操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。
【図22】操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。
【図23】第2の実施形態における第1のテストパターンの一例を示す図である。
【図24】操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。
【図25】操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。
【図26】従来の画像形成装置における、露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の画像形成装置及びその画像濃度補正方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の画像形成装置の概略的な構成を示す図である。この画像形成装置100では、感光体1を囲むように、時計回りに、帯電装置2、露光装置3、電位センサ4、現像装置5、転写装置7、分離帯電器8、感光体ホームポジションセンサ11、クリーニング装置9および画像形成前露光装置10が配置されている。
【0025】
また、画像形成装置100には、本体制御装置101、画像読取装置102、画像処理装置103、操作部104、感光体電位特性ムラデータメモリ105、一次電流発生装置106およびレーザ駆動回路107が設けられている。また、画像形成装置100には、電位制御装置108、現像バイアス発生装置109、転写電流発生装置110、像坦持位相管理装置111およびパターンジェネレータ112が設けられている。パターンジェネレータ112には、後述するテストパターンが格納されたテストパターン記憶領域112aが設けられている。また、操作部104には、後述する調整スタートキー104aが設けられている。また、本体制御装置101には、CPU1011が設けられている。なお、図においては、便宜的にCPU1011は本体制御装置101の外に描かれている。
【0026】
画像形成装置100において、静電潜像は、感光体1の表面を帯電装置2で帯電した後、露光装置3で画像読取装置102で読み取られた画像情報に対応した光を照射することにより、形成される。
【0027】
露光装置3は、レーザ光を用いて露光を行う際、感光体1の回転軸(図示せず)と平行にレーザ光を走査し、感光体1の回転に同期して感光体1上に静電潜像を形成する。ここで、露光装置3を基準にして、感光体1の回転軸と平行な方向を主走査方向と呼び、この主走査方向に対して垂直な方向を副走査方向と呼ぶ。また、後述する方法により、像坦持体(感光体)1の電位特性の面内ムラを取り除くように、露光装置3の露光強度を制御することが行われる。
【0028】
現像装置5には、プラスに帯電するトナーを含む現像材が充填されている。このトナーは、後述する方法により、現像装置5によって静電潜像をトナー像に可視化する。
【0029】
一方、転写材Sは紙搬送用レジ6により感光体1に搬送され、コロナ帯電器を用いた転写装置7により感光体1上のトナー像が転写材Sに転写される。コロナ帯電器を用いた転写装置7は、トナーの電荷と逆極性の電流すなわちマイナスの電流を放電する。転写材Sは、分離帯電器8によってトナー像をのせたまま感光体1から分離され、搬送部12により定着装置13に搬送される。
【0030】
トナー像は、定着装置13により転写材Sに加熱・定着され、排紙部(図示せず)により画像形成装置100の外に排出される。
【0031】
画像形成装置100では、画像の面内での濃度ムラを改善するために、感光体1の電位特性の面内ムラを露光強度に置き換えて補正することが可能である。
【0032】
つぎに、この感光体1の電位特性の面内ムラの補正について説明する。画像形成装置100では、前述したように、公知の反転現像方式が用いられる。図2は反転現像方式における帯電、露光時における感光体の表面電位の変化を示すタイミングチャートである。図中、帯電電位VD、帯電した後に露光した部分の電位(帯電・露光後の電位)VL、および現像装置5の現像剤担持体14に印加される電位のDC成分(現像バイアス)Vdcが示されている。
【0033】
本実施形態では、帯電電位VDは500V程度である。また、帯電・露光後の電位VLは50V程度である。また、現像バイアスVdcは250V程度である。トナー像が形成される感光体1の表面部分は帯電・露光後の電位VLの部分であるので、現像バイアスVdcと帯電・露光後の電位VLとの電位差がトナーで感光体1上の静電潜像を現像する際の電気的な力になる。
【0034】
また、帯電電位VDの感光体1の表面部分では、帯電電位VDと現像バイアスVdcとの差分がトナー像を現像装置5で現像する場合のカブリ取り電位となる。感光体1の帯電電位VDの面内ムラに対して十分なカブリ取り電位が保証されている場合、感光体1の帯電電位VDの面内ムラの影響は生じない。
【0035】
従って、本実施形態の画像形成装置では、画像形成時における感光体1の電位特性のムラが、現像装置5で現像されたトナー像のトナー量ムラ、つまり画像の濃度ムラとなる帯電・露光後の電位VLにおいて、像坦持体1の電位特性の面内ムラを補正する。
【0036】
つぎに、画像形成装置において、像坦持体1の電位特性のムラを補正するために必要となる、像坦持体1の平面的な電位特性のムラのデータについて示す。
【0037】
図3は感光体の電位の分布を示すグラフである。感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位の分布では、主走査方向(感光体の軸方向)および副走査方向(感光体の回転方向、つまり主走査方向と略直交する方向)の位置に応じた、感光体の電位が示されている。単位はボルト(V)である。また、電位が29〜39Vである範囲(図中、黒色に近い領域)、電位が40〜59Vである範囲(図中、灰色の領域)、および電位が60〜80Vである範囲(図中、白色の領域)が示されている。なお、全体平均値は47.9Vである。図3には、平面的なデータの全てが網羅されている。
【0038】
図4は露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。画像形成に最適な帯電および露光後の感光体1の電位は50Vである。従って、一様に帯電および露光を行った場合の電位特性から、感光体1の電位が50Vより高いところでは露光強度を上げ、50Vより低いところでは露光強度を下げることにより、電位ムラの均一化が図られる。露光装置の各走査において、このような露光量の補正を行うことにより、感光体における電位特性の面内ムラ全体を補正することが可能となる。
【0039】
画像形成装置100は、像坦持体1の帯電・露光後の電位VLの平面的な電位ムラのデータを、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105(電位データ保持手段)に取り込む。このとき、感光体1の電位データの物理的な取り込み間隔は、感光体1の電位特性ムラが持つ周期性、電位特性ムラ補正の要求精度、および画像形成装置の感光体電位特性ムラデータメモリ105の容量の大きさの関係で、決定される。
【0040】
本実施形態の画像形成装置では、露光装置3の主走査方向においては15点刻みに、かつ副走査方向においては感光体1の回転角度に相当する36点刻みに、像坦持体1の電位特性ムラのデータが取り込まれる。なお、このデータは、画像形成装置本体内で取り込むことも可能である。そのためには、感光体の電位を測定するセンサ(測定手段)を画像形成装置本体内の特定の主走査位置に複数個配置する必要がある。そして、このセンサを用いて電位を測定することにより、感光体1の副走査方向の電位データが得られる。ただし、このようなセンサを設けることは、コストの面で負担がかかる。
【0041】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、あらかじめ感光体1の製造時に感光体1の電位特性の面内ムラ、具体的に、帯電および露光後の電位ムラを測定しておく。そして、感光体1とともに測定された帯電および露光後の電位ムラのデータを持ち運び可能なROM等の記憶媒体を用いて、感光体電位特性ムラデータメモリ105にこのデータを転送し、記憶させる。
【0042】
図5は感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された帯電および露光後の電位ムラのデータを示すテーブルである。感光体1の主走査方向および副走査方向にメモリアドレスが割り振られており、各メモリアドレスには、均一に帯電して露光した後の電位のデータ(E-150,0,E-60,10,……,Eij,……,E150,0)が格納されている。
【0043】
なお、単位はVである。ここで、電位のデータである各電位特性成分はEijで示される。iは露光装置3の主走査方向成分を示し、jは副走査方向成分を示す。また、露光装置3の主走査方向の位置は、その中央部からの距離で規定される。また、副走査方向の位置は、感光体1の回転方向におけるホームポジションからの角度で規定される。
【0044】
図6は図5の具体的なデータとして、感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位を示すテーブルである。このテーブルには、主走査方向(感光体の軸方向)および副走査方向(感光体の回転方向、つまり主走査方向と略直交する方向)の位置に応じた、感光体の電位が示されている。単位はボルト(V)である。また、このテーブルには、電位が29〜39Vである範囲(横線パターンの領域)、電位が40〜59Vである範囲(パターン無しの領域)、および電位が60〜80Vである範囲(斜線パターンの領域)が示されている。また、このテーブルには、主走査方向に沿って副走査方向の感光体の電位の平均値、およびその全体平均値との差が示されている。なお、全体平均値は47.9Vである。
【0045】
つぎに、感光体1の電位特性ムラのデータを露光装置3の露光強度に変換する方法について説明する。図7は露光装置3による露光強度と感光体1の電位センサ4の位置における電位との関係を示すグラフである。
【0046】
感光体1は、帯電装置2によって電位センサ4の位置で520Vになるように帯電されている。また、露光装置3は、レーザ駆動回路107により、デジタル的に256段階で露光強度を制御する。ここで、図7の関係を示すデータを、あらかじめ画像形成装置本体内に、例えば本体制御装置101内の記憶媒体に取得しておくことは可能である。すなわち、電位センサ4の位置において、帯電装置2で520Vになるように帯電した感光体1に対し、レーザ駆動回路107で露光装置3の露光強度を変化させて露光することにより、図7の関係を示す像坦持体電位のデータの取得が行われる。
【0047】
画像形成装置100では、感光体1の電位特性に面内ムラがあるので、便宜的に感光体1の主走査方向の中央部に電位センサ4を配置し、周方向1分の平均の電位を測定することで、このようなデータが取得される。
【0048】
図7のグラフにおいて、画像形成時、トナー像が形成される電位VLの50V付近、具体的に100〜30V付近では、露光装置3の露光強度と感光体1の電位の関係における線形性が比較的良い。
【0049】
このときの近似直線は、感光体1の電位をY(V)とし、露光装置3の出力であるデジタル信号をXとすると、数式(1)で表される。
【0050】
Y(V) = −2.363X + 511.61 …… (1)
相関係数は99%以上となる。
【0051】
ここで、像坦持体1の電位特性のムラを補正するために必要となる露光強度(デジタル信号値)Tijは、つぎのように算出される。すなわち、露光強度Tijは、感光体1における電位特性ムラのデータによる各測定点の理想電位50Vからのズレ量を正負の記号を含めてDij(V)とし、基準露光強度(デジタル信号値)をKとすると、数式(2)で算出される。なお、iは主走査方向を示し、jは副走査方向の位置を示す。
【0052】
Tij = K−Dij/2.363 …… (2)
画像形成装置100では、前述したように、感光体ホームポジションセンサ11で感光体1の回転位相を検知することが可能である。さらに、露光装置3の走査位置と感光体1の回転位相を合わせて計算することにより、感光体1に対する露光装置3の露光位置が特定される。この特定された露光位置に応じて露光量を変化させることにより、感光体1の電位特性の面内ムラを改善し、画像濃度の面内での均一性を向上させることが可能となる。
【0053】
一般に、感光体1の電位特性の面内ムラは感光体1の経時変化により変化することが知られている。図8は感光体1の表面の構成を示す断面図である。図には、点線枠で囲まれた感光体1の表面が拡大して示されている。感光体1の表面には、その最表面から表面保護層(表面層)1a、電荷移動層1bおよび電荷生成層1cが形成されている。
【0054】
感光体1が帯電装置2によって帯電された後、露光装置3の光は感光体1の電荷生成層1cに到達する。電荷生成層1cは、露光されることで電子を発生する光半導体で形成されている。さらに、電荷生成層1cで発生した電子が電荷移動層1bを通って感光体1の表面層1aに移動する。そして、露光パターンに応じて感光体1の表面層1aの帯電電位を除電することで、静電潜像が形成される。
【0055】
このとき、露光装置3で露光された光が電荷生成層1cに到達する割合は、表面層1aと電荷移動層1bの厚さによって変化する。感光体1が画像形成により均一に磨耗した場合、電位特性の面内ムラは変化しないが、均一に磨耗しない場合、電位特性の面内ムラは変化する。
【0056】
図9は主走査位置における感光体削れ量の推移を示すグラフである。ここでは、10000枚使用した場合のドラムの磨耗状況が示されている。この主走査方向の磨耗量(感光体削れ量)のムラには、クリーニング装置9の感光体1への摩擦力のムラに起因するもの等がある。
【0057】
また、帯電および露光後の感光体1の表面電位は、画像形成前露光装置10の露光量や波長によっても変化する。図10は画像形成前露光装置10の概略的構成を示す図である。画像形成前露光装置10は、主走査方向にLED光源10aを一定間隔で配置して構成されたものである。
【0058】
図11はLED光源の波長および光量に対する帯電・露光後の電位VLの変化を示すグラフである。同図(A)は、画像形成前露光装置10のLED光源10aの波長と、帯電および露光後の電位VLとの関係を示す。感光体1では、波長が長くなるほど電位VLが低くなる傾向がある。これは、画像形成前露光装置10で除電のために生成される電子の量が長波長側ほど多くなるという特性が感光体1の電荷生成層1cにあるためである。
【0059】
同図(B)は、画像形成前露光装置10のLED光源の光量と、帯電および露光後の電位VLの関係を示す。感光体1では、光量が大きくなるほど電位VLが低くなる傾向がある。これは、画像形成前露光装置10で除電のために生成される電子の量が、光量が大きくなるほど多くなるという特性が感光体1の電荷生成層1cにあるためである。
【0060】
図12は感光体1の回転により生じる一次帯電装置2と感光体1表面の距離の変化を示すグラフである。一次帯電装置(帯電装置)2と感光体1表面との間の距離の振れは、電位VDの振れおよび電位VLの振れとなり、最終的に画像濃度の面内ムラになる。
【0061】
このように、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105に取り込んだデータのみで画像濃度の面内ムラを補正した場合でも、前述した感光体1の物性値単体に起因する要因以外の要因があるので、画像濃度の面内ムラをほぼ完全に補正することは困難である。
【0062】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、つぎのような手順で感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶されたデータの調整が行われる。すなわち、使用者は、画像形成装置100で実際に中間調画像を印字し、その画像濃度を目視で見て、その濃度データに対する補正値を操作部104から打ち込む。これにより、感光体電位特性ムラデータメモリ105に取り込んだデータの差分調整が可能となる。
【0063】
本来、この方法では、感光体1の面内全て、つまり全面に対応する中間調画像を印字し、全ての感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを網羅する補正を行うことが画像濃度ムラの観点から理想的である。この場合、補正点数として、主走査15点×副走査36点の計540点の濃度データが操作部104から入力されることになる。ただし、実際には、その作業量や時間的な制約から、より少ない点数で効果的な補正を行う必要がある。
【0064】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、あらかじめ取り込んである感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを使用し、より少ない入力点数で感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを効果的に補正することができるようにした。
【0065】
画像形成装置100は、感光体電位特性ムラデータメモリ105の補正用のテスト画像パターンとして、(a)主走査のみのパターン、(b)主走査+副走査のパターン、(c)感光体全面のパターンの3種類のパターンを持つ。具体的に、これら3種類のパターンは、パターンジェネレータ112内のテストパターン記憶領域112aに格納されている。
【0066】
図13は主走査のみのパターンを示す図である。図14は主走査+副走査のパターンを示す図である。図15は感光体全面のパターンを示す図である。各図において、横方向に主走査の位置が示され、縦方向に副走査の位置が示される。
【0067】
また、図中、1つの升目は、感光体電位特性ムラデータメモリ105に感光体のデータが取り込まれている位置を示す。これらの升目のうち、グレー(網点)で塗られている部分がテストパターンを形成する位置である。
【0068】
各画像パターンは、感光体ホームポジションセンサ11で作像時の感光体の位相を検知し、作像の開始位置を感光体電位特性ムラデータメモリ105の位相0°の位置に合わせることにより、形成される。このとき、中間調画像の濃度は反射濃度で0.3〜0.6程度であることが最適である。
【0069】
またこのとき、最初の補正パターンとして、主走査のみ(主走査方向1列)のパターン、もしくは主走査+副走査(主走査方向および副走査方向各1列)のパターンを、第1のテストパターンとして印字して補正が行われる。
【0070】
第1のテストパターンで補正を行っても、補正が完了しない場合、感光体全面のパターン(以下、第2のテストパターンという)を印字して補正が行われる。このよう手順で行う理由は、前述した画像の面内濃度の均一性を損なう、感光体1の物性値単体によって起因する要因以外の、画像濃度の面内ムラの要因が、主走査および副走査における独立の現象に基づく場合にあることが多いためである。
【0071】
ここで、第1のテストパターンは、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された感光体電位ムラデータの電位の最大と最小の値を含むように設定される。具体的に、電位の最大と最小の位置関係が主走査の直線上にない場合、画像形成装置は、(b)主走査+副走査のパターンを印字(印刷)する。
【0072】
図16は電位の最大と最小の値を含むように印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。図16では、横方向に主走査の位置が示され、縦方向に副走査の位置が示される。前述したように、図中、1つの升目は、感光体電位特性ムラデータメモリ105に感光体のデータが取り込まれている位置を示す。これらの升目のうち、グレー(網点)で塗られている部分がテストパターンを形成する位置である。
【0073】
さらに、横線でハッチングした部分(升目)が感光体電位特性ムラデータメモリ105に示される最大電位の位置、縦線でハッチングされた部分(升目)が感光体電位特性ムラデータメモリ105に示される最小電位の位置である。そして、テストパターンは、主走査+副走査のパターンが最大と最小の電位の位置を通るように、印字される。
【0074】
図17は電位の最大と最小の位置が主走査上に並んでいる場合に印字される主走査のみのパターンを示す図である。図17における位置や記号の説明は、図16と同様であるので、その説明を省略する。テストパターンは、主走査1ラインで電位の最大と最小の位置を通るように印字(印刷)される。
【0075】
図18は電位の最大と最小の位置が副走査上に並んでいる場合に印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。図18における位置や記号の説明は、図16と同様であるので、その説明を省略する。テストパターンは、副走査1ラインで電位の最大と最小の位置を通るように印字され、かつ主走査方向の印字位置として最大電位もしくは最小電位を通るように印字される。また、図18の場合、テストパターンとしては、最大電位および最小電位をそれぞれ通る、主走査2ラインを使用するものを用いるようにしてもよい。
【0076】
なお、本実施形態では、テストパターン(画像パターン)は、所定の電位差を有する2つの値を使用するパターンとして、感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶(保持)された電位データのうち、最大値と最小値を使用するものであった。テストパターンとしては、最大値と最小値を使用するものに限られず、電位データの補正に有効な、最大値に対して80%以上の値と、最小値に対して80%以下の値との2つの値を少なくとも使用するものであればよい。
【0077】
図19は電位ムラデータの補正処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、本体制御装置101内の記憶媒体(ROMなど)に格納されており、CPU1011によって周期的に実行される。
【0078】
まず、CPU1011は、使用者によって画像濃度ムラが良くないと判断され、操作部104の調整スタートキー104aが押下されたか否かを判別する(ステップS1)。調整スタートキー104aが押下されていない場合、CPU1011はそのまま本処理を終了する。
【0079】
一方、使用者によって画像濃度ムラが良くないと判断され、調整スタートキー104aが押下された場合、CPU1011は、操作部104からのこの入力(押下)に基づいて、第1のテストパターン(第1の画像パターン)を印字する(ステップS2)。すなわち、CPU1011は、パターンジェネレータ112を起動し、テストパターン記憶領域112aに格納されている第1のテストパターンに相当するデータに基づいて、パターンジェネレータ112でパターンを生成する。そして、CPU1011は、プリンタユニットからテストプリント画像(図16参照)を印刷するように指示する。この第1のテストパターンは、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データに基づき、感光体1の電位特性の面内ムラを露光量で補正した状態で印字される。なお、このステップS2の処理はパターン印刷手段の一例である。
【0080】
そして、使用者が、印字された第1のテストパターンの画像濃度を見て、操作部104から後述する方法で補正値を入力すると、CPU1011は、この補正値を受け付ける(ステップS3)。なお、このステップS3の処理は補正値受付手段の一例である。
【0081】
本体制御装置101内のCPU1011は、この入力された補正値の情報に基づき、後述する方法で感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データを計算し、この電位データの更新(補完処理)を行う(ステップS4)。このように、印刷されたテストプリント画像をもとに、使用者(オペレータ)により操作部104から入力された電位ムラのデータに基づき、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データは、2次元的に補完される。なお、このステップS4の処理は電位データ補正手段の一例である。
【0082】
この後、CPU1011は、全面ハーフトーン画像の確認画像を印字する(ステップS5)。なお、このステップS5の処理は確認画像印刷手段の一例である。使用者は、この確認画像を見て、画像濃度ムラが直ったか否かを判定し、その判定結果を操作部104から入力する。そして、CPU1011は、使用者によって操作部104から入力された画像濃度ムラの判定情報を取得し、画像濃度ムラを判定する(ステップS6)。なお、ステップS6の処理は判定受付手段の一例である。
【0083】
使用者が操作部104から入力した画像濃度ムラの判定情報により、画像濃度ムラが直ったと判定された場合、CPU1011は、電位データ(感光体電位特性ムラデータ)の補正を完了し、あらたな感光体全面の電位データの作成を終える(ステップS7)。この後、CPU1011は、本処理を終了する。
【0084】
一方、ステップS6で画像濃度ムラが直っていないと判定された場合、CPU1011は、第2の画像パターン(第2のテストパターン)を印字する(ステップS8)。第2のテストパターンは、第1のテストパターンを用いてステップS4で更新された電位データに基づき、感光体1の電位特性の面内ムラを露光量で補正した状態で印字される。
【0085】
そして、第1の画像パターンの印刷の場合と同様、使用者は、再度、画像濃度を見て、操作部104から後述する方法で補正値を入力する。CPU1011は、この補正値を入力し、感光体電位特性ムラデータの補正を行う(ステップS9)。この後、CPU1011は、ステップS7で、感光体電位特性ムラデータの補正を完了し、あらたな感光体全面の電位データの作成を終え、本処理を終了する。
【0086】
つぎに、使用者が、ステップS3、S9において、印字されたテストパターンの画像濃度を見て、操作部104から補正値を入力する方法について説明する。
【0087】
図20はステップS3、S9における電位データの変更手順を示すフローチャートである。CPU1011は、オペレータ(使用者)に対し、出力されたテストプリントを画像読取装置102の原稿台102aに置かせる表示(図示せず)を、操作部104の表示部に表示する(ステップS21)。この際、テストプリントを原稿台102aに置き終わった場合、オペレータに押させるボタン(図示せず)も併せて表示する。そして、CPU1011は、オペレータによりそのボタンが押されるまで待つ(ステップS22)。
【0088】
原稿台102aに原稿がセットされ、ボタンが押されると、CPU1011は、画像読取装置102に内蔵のCCDセンサ(図示せず)を用いて、テストプリントを読み込む(ステップS23)。テストプリントが読み込まれると、CPU1011は、操作部104に読み込み結果を表示する(ステップS24)。
【0089】
操作部104には、図21に示すように、実際に印字された画像領域とそのときの電位データが表示される。図21は操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。ここでは、前述した図16のテストパターンの場合が示されている。使用者は、印字されたテストパターンを見て、操作部104に表示された電位データを補正するために、操作部104からその変更値となる電位データを入力する。具体的に、テストパターンで画像濃度が濃い位置では、電位データの数字を小さくする。一方、画像濃度が薄い位置では、電位データの数字を大きくする。
【0090】
なお、このとき、画像読取装置を用いて電位データを補正する方法も用いてもよい。すなわち、画像読取装置102で読み取られた濃度データをもとに、画像形成装置100が自動的に電位データを補正するようにしてもよい。しかし、従来、画像読取装置の読取り濃度ムラも、このような補正には良くない影響を及ぼすことが知られている。従って、本実施形態では、使用者が目視で判断して入力するものとする。
【0091】
CPU1011は、使用者によって入力された電位データを受け付けると、その電位データを用いて操作部104の表示を変更する(ステップS25)。CPU1011は、操作部104を介して使用者からの変更終了を受け付けるまで、ステップS25の処理を繰り返す(ステップS26)。そして、CPU1011は、変更終了を受け付けると、本処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0092】
つぎに、操作部104で入力されたデータに基づいて、感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された全てのデータを変更する際の計算方法を、図22を用いて説明する。図22は操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。同図(A)は入力前のデータを示し、同図(B)は入力後のデータを示す。
【0093】
ここで、A3〜O3は、入力前データ(主走査テストパターン印字位置のデータ)を表す。K1〜K36は、入力前データ(副走査テストパターン印字位置のデータ)を表す。F7は、テストパターンで印字されない場所のデータを表す。
【0094】
また、A’3〜O’3は、入力後データ(主走査補正位置のデータ)を表す。K1’〜K36’は、入力後データ(副走査補正位置のデータ)を表す。F”7は、補完処理に生成されたデータを表す。
【0095】
実際に、テストパターンを印字した場所においては、操作部104で入力された元データとの差分値がそのまま使用される。すなわち、図22の位置A’3〜位置O’3および位置K’1〜位置K’36のデータは、そのまま感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される。
【0096】
一方、テストパターンで印字されなかった位置のデータは、主走査方向と副走査方向の元のデータとの差分値の平均を加えることで、計算される。具体的に、補正後の感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される位置F”7のデータは、対応する主走査位置と副走査位置におけるデータの入力前後の差分値を用いて、数式(3)に従って、計算される値になる。
【0097】
F”7 = F7+{(F’3−F3)+(K’7−K7)}/2
…… (3)
このとき、第1のテストパターンが主走査のみのパターンである場合、テストパターンで印字されなかった位置のデータは、テストパターンの印字位置における主走査方向のデータの差分値の平均を加えることで、計算される。
【0098】
そして、感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを、第1のテストパターンを用いて補正した後のデータ確認用の画像が印字される。このときの画像は全面のハーフトーン(HT)画像である。その濃度は、反射濃度で0.3〜0.6付近が最適である。この画像を使用者が見て、画像の面内均一性が許容できる場合、電位ムラデータの補正完了となる。
【0099】
一方、許容できない場合、(c)感光体全面のパターン(第2のテストパターン)を印字し、感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶されたデータの補正を行う。この場合、使用者は、感光体全面のデータを操作部104から直接入力することとなる。
【0100】
本実施形態では、第1のテストパターンは、感光体の特性や画像形成装置内の画像濃度ムラの原因となる部分(例えば、画像形成前露光装置10)の特性に合わせて決定されている。このため、感光体電位特性ムラデータメモリ105の補正としては、第1のテストパターンのみでほぼ完了できるようになっている。従って、まず始めに、第1のテストパターンを用いて、感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを補正することにより、感光体全面のデータを補正する場合と比較して、少ない時間および作業で補正が可能となる。また、使用者の画像に対する許容度において、より正確な補正が必要な場合、第2のテストパターンの使用で対応することが可能となる。
【0101】
このように、本実施形態の画像形成装置によれば、感光体電位特性ムラデータメモリに保持された電位データのうち、最大値および最小値を使用して画像パターンを印刷し、この印刷された画像パターンの濃度データをもとに、電位データを補正する。これにより、感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる。従って、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化や、感光体の物性値単体のムラ以外に起因するものによる感光体の電位特性の面内ムラの変化を効率良く補正することが可能となる。
【0102】
また、使用者が電位データの補正を簡単に行うことができる。また、使用者が画像の濃度ムラを目視で確認し、繰り返し電位データの補正を行うことができる。従って、確実に画像の濃度ムラを直すことができる。また、画像パターンの印刷には、電位データの有効な値(最大値の80%以上の値、最小値の80%以下の値)が使用されるので、感光体の電位特性の面内ムラを効率良く補正することができる。
【0103】
また、感光体の電位ムラ特性に応じて、種々の簡単なパターンを使用することができる。また、感光体全面の電位データを効率的に補正することができる。また、画像形成装置本体内に電位データを測定するセンサを設ける場合には、あらかじめ感光体の電位データを感光体電位特性ムラデータメモリに保持しなくても済む。
【0104】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の画像形成装置では、前記第1の実施形態と比較して、感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータの補正方法が異なる。第2の実施形態の画像形成装置の構成は、前記第1の実施形態と同じであるので、前記第1の実施形態と重複する内容については省略する。
【0105】
第2の実施形態の画像形成装置においても、前記第1の実施形態と同様、実際の中間調画像を印字し、使用者がその画像濃度を目視で見て、その濃度データを操作部104から打ち込む。これにより、感光体電位特性ムラデータメモリ105に取り込んだデータの差分調整が可能である。
【0106】
第2の実施形態では、テスト画像パターンとして、(d)電位データの最大値と最小値を結ぶパターン(以下、第1のテストパターン)と、(e)感光体全面のパターン(第2のテストパターン)の2種類を持つ。
【0107】
図23は第2の実施形態における第1のテストパターンの一例を示す図である。図20では、横方向に主走査の位置が示され、縦方向に副走査の位置が示される。1つの升目は、感光体電位特性ムラデータメモリ105に感光体のデータが取り込まれている位置を示す。そのうち、太い枠線kで囲まれる部分がテストパターンを形成する位置である。
【0108】
さらに、横線でハッチングされた部分が、感光体電位特性ムラデータメモリ105に保持されるデータの最大電位(最大値)であり、縦線でハッチングされた部分が感光体電位特性ムラデータメモリ105に保持されるデータの最小電位(最小値)である。
【0109】
第2の実施形態では、第1のテストパターンは、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データの最大値と最小値を直線的に結ぶパターンである。具体的に、電位データの最大値と最小値を結ぶ帯mに対し、その帯mにかかる位置のデータ全てを用いて、印字が行われる。このとき、テストパターンの画像濃度として、反射濃度0.3〜0.6が最適である。
【0110】
図24は操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。ここでは、前述した図23のテストパターンの場合が示されている。使用者は、印字されたテストパターンを見て、操作部104に表示された電位データを補正する。具体的に、テストパターンで画像濃度が濃い位置では、データの数字を小さくし、一方、テストパターンで画像濃度が薄い位置では、データの数字を大きくすることが行われる。
【0111】
つぎに、操作部104で入力されたデータに基づき、感光体電位特性ムラデータメモリ105の全てのデータの計算方法について説明する。図25は操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。同図(A)は入力前のデータを示し、同図(B)は入力後のデータを示す。
【0112】
ここで、D1〜D3、E1〜E6、F2〜F9、G6〜G9、M33〜M36、N33〜N36、O34〜O36は、入力前データ(テストパターン印字位置のデータ)を表す。B3、O5は、テストパターンで印字されない場所のデータを表す。
【0113】
また、D’1〜D’3、E’1〜E’6、F’2〜F’9、G’6〜G’9、M’33〜M’36、N’33〜N’36、O’34〜O’36は、入力後データ(テストパターン印字位置のデータ)を表す。B”3、O”5は、テストパターンで印字されない場所のデータを表す。
【0114】
実際に、テストパターンを印字した場所においては、操作部104で入力された元データとの差分値がそのまま使用される。すなわち、同図(B)の位置D’1〜位置D’3、位置E’1〜位置E’6、位置F’2〜位置F’9、および位置G’6〜位置G’9のデータは、そのまま感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される。同様に、位置M’33〜位置M’36、位置N’33〜位置N’36、および位置O’34〜位置O’36のデータは、そのまま感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される。
【0115】
また、テストパターンで印字されなかった位置のデータは、直交する主走査方向と副走査方向における元のデータとの差分値の平均値を加えることで、計算される。具体的に、補正後に感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される位置O”5のデータは、対応する全ての主走査と副走査の補正箇所の補正前後の差分値を用いて、数式(4)に従って算出される。
【0116】
O”5=O7+{(E’5−E5)+(F’5−F5)+(O’34−O34)+(O’35−O35)+(O’36−O36)}/5 …… (4)
さらに、副走査方向のみにしかテストパターンの印字位置と直交する場所のない位置B”3のデータは、数式(5)に従って算出される。
【0117】
B”3=B3+{(D’3−D3)+(E’3−E3)+(F’3−F3)}/3 …… (5)
この後、第2のテストパターンに関係する内容については、前記第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。このように、第2の実施形態においても、前記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0118】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0119】
例えば、上記実施形態では、使用者による電位データの入力は2回だけ行われたが、任意の回数の入力が可能であってもよい。例えば、2回目のテストパターンにおいても、感光体全面のパターンでなく、簡易な主走査のみのパターン(主走査パターン)、あるいは主走査+副走査のパターンであってもよい。また、3回以上の入力の場合、その都度、確認画像が印刷されるようにしてもよい。
【0120】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、画像形成装置としては、本来の印刷装置の他、印刷機能を有するファクシミリ装置、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等を有する複合機(MFP)であってもよいことは勿論である。
【0121】
上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置として、モノクロ画像形成装置について説明したが、カラー画像形成装置に適用されてもよい。
【0122】
また、カラー画像形成装置の場合、YMCK各色に対応する感光ドラムを使用し、この感光ドラム上に坦持された各色のトナー像を順次記録媒体に重ねて転写する画像形成装置が挙げられる。また、この転写方式に限定されるものではなく、中間転写体を使用し、この中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、この中間転写体に担持されたトナー像を記録媒体に一括して転写する画像形成装置であってもよい。
【0123】
また、シートとしては、紙媒体、OHPシート、厚紙用紙、タブ紙など、特に限定されない。
【符号の説明】
【0124】
1 感光体(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
100 画像形成装置
101 本体制御装置
102 画像読取装置
105 感光体電位特性ムラデータメモリ
112 パターンジェネレータ
1011 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置及びその画像濃度補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、帯電装置で像担持体として回転する感光体を一様に帯電し、露光装置で入力された画像データに応じて感光体を露光することで、感光体上に静電潜像を形成する。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体に感光膜の厚さのバラツキがあると、感度ムラが生じる。この感度ムラは、帯電や露光特性に影響し、感光膜の厚さのバラツキによる感度ムラが画像の濃度ムラとして発生してしまう。このため、感光体に均一な中間調画像等を形成する場合、画像形成時の感光体における電位特性の面内ムラ(感光体の電位特性起因)により、画像の濃度ムラが発生する場合がある。
【0004】
従来、感光体における電位特性の面内ムラに起因する画像の濃度ムラを補正する手段として、つぎのような画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置は、あらかじめ画像形成時に使用する電位における、感光体の電位ムラを電位のデータもしくは濃度のデータとして画像形成装置内に取り込む。そして、画像形成装置は、露光装置で露光するときに、取り込んだデータを用いて露光強度を調整し、感光体の電位特性起因による画像の濃度ムラを補正する。
【0005】
例えば、このような、感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位データとして、主走査方向および副走査方向の位置に応じた、感光体の電位が用いられる(図6参照)。単位はボルト(V)である。また、この感光体の電位の分布も示されている(図3参照)。
【0006】
図26は従来の画像形成装置における、露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。画像形成に最適な帯電および露光後の感光体の電位は50Vである。従って、一様に帯電および露光を行った場合の電位特性から、感光体の電位が50Vより高いところでは露光強度を上げ、50Vより低いところでは露光強度を下げることにより、電位ムラの均一化が図られる。露光装置の各走査において、このような露光量の補正を行うことにより、感光体における電位特性の面内ムラ全体を補正することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−66827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、つぎのような問題があった。感光体の電位特性の面内ムラは感光体の耐久劣化によって変化することが知られている。
【0009】
さらに、画像形成時の感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラとしては、感光体の物性値単体のムラ以外に起因するものも知られている。例えば、このようなムラの発生としては、除電のための画像形成前における露光装置の露光量ムラや感光体の回転ムラ等に起因する場合もある。
【0010】
これに対し、前述した特許文献1に記載の画像形成装置では、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化や、感光体の物性値単体のムラ以外に起因する感光体の電位特性の面内ムラの変化による画像の濃度ムラを補正することができなかった。
【0011】
即ち、この画像形成装置では、補正対象となる感光体の電位データを全て読み取ることが行われるが、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化等が生じた場合、感光体全面のデータを再度取り直すことは、そのデータ量が膨大になるので、行われなかった。つまり、再度、感光体全面のデータを取り直すことは、作業時間の短縮や効率の面で難しかった。
【0012】
そこで、本発明は、感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる画像形成装置及びその画像濃度補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置において、前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ保持しておく電位データ保持手段と、前記電位データ保持手段によって保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正手段とを備え、前記画像濃度補正手段は、前記電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷手段と、前記パターン印刷手段によって印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを補正する電位データ補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の濃度補正方法は、電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置の濃度補正方法において、前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ電位データ保持手段に保持しておく電位データ保持ステップと、前記電位データ保持手段に保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正ステップとを有し、前記画像濃度補正ステップでは、前記電位データ保持手段に保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷ステップと、前記パターン印刷ステップで印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段に保持された電位データを補正する電位データ補正ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷し、この印刷された画像パターンの濃度データをもとに、電位データを補正する。これにより、感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる。従って、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化や、感光体の物性値単体のムラ以外に起因するものによる感光体の電位特性の面内ムラの変化を効率良く補正することが可能となる。
【0016】
請求項2に係る画像形成装置によれば、使用者が電位データの補正を簡単に行うことができる。
【0017】
請求項3に係る画像形成装置によれば、使用者が画像の濃度ムラを目視で確認し、繰り返し電位データの補正を行うことができる。従って、確実に画像の濃度ムラを直すことができる。
【0018】
請求項4に係る画像形成装置によれば、画像パターンの印刷には、電位データの有効な値が使用されるので、感光体の電位特性の面内ムラを効率良く補正することができる。
【0019】
請求項5、7、9に係る画像形成装置によれば、感光体の電位ムラ特性に応じて、種々の簡単なパターンを使用することができる。
【0020】
請求項6、8、10、12に係る画像形成装置によれば、感光体全面の電位データを効率的に補正することができる。
【0021】
請求項11に係る画像形成装置によれば、画像形成装置に測定手段を設けることで、あらかじめ感光体の電位データを保持しなくても済む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】反転現像方式における帯電、露光時における感光体の表面電位の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】感光体の電位の分布を示すグラフである。
【図4】露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。
【図5】感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された帯電および露光後の電位ムラのデータを示すテーブルである。
【図6】図5の具体的なデータとして、感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位を示すテーブルである。
【図7】露光装置3による露光強度と感光体1の電位センサ4の位置における電位との関係を示すグラフである。
【図8】感光体1の表面の構成を示す断面図である。
【図9】主走査位置における感光体削れ量の推移を示すグラフである。
【図10】画像形成前露光装置10の概略的構成を示す図である。
【図11】LED光源の波長および光量に対する帯電・露光後の電位VLの変化を示すグラフである。
【図12】感光体1の回転により生じる一次帯電装置2と感光体1表面の距離の変化を示すグラフである。
【図13】主走査のみのパターンを示す図である。
【図14】主走査+副走査のパターンを示す図である。
【図15】感光体全面のパターンを示す図である。
【図16】電位の最大と最小の値を含むように印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。
【図17】電位の最大と最小の位置が主走査上に並んでいる場合に印字される主走査のみのパターンを示す図である。
【図18】電位の最大と最小の位置が副走査上に並んでいる場合に印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。
【図19】電位ムラデータの補正処理手順を示すフローチャートである。
【図20】ステップS3、S9における電位データの変更手順を示すフローチャートである。
【図21】操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。
【図22】操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。
【図23】第2の実施形態における第1のテストパターンの一例を示す図である。
【図24】操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。
【図25】操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。
【図26】従来の画像形成装置における、露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の画像形成装置及びその画像濃度補正方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の画像形成装置の概略的な構成を示す図である。この画像形成装置100では、感光体1を囲むように、時計回りに、帯電装置2、露光装置3、電位センサ4、現像装置5、転写装置7、分離帯電器8、感光体ホームポジションセンサ11、クリーニング装置9および画像形成前露光装置10が配置されている。
【0025】
また、画像形成装置100には、本体制御装置101、画像読取装置102、画像処理装置103、操作部104、感光体電位特性ムラデータメモリ105、一次電流発生装置106およびレーザ駆動回路107が設けられている。また、画像形成装置100には、電位制御装置108、現像バイアス発生装置109、転写電流発生装置110、像坦持位相管理装置111およびパターンジェネレータ112が設けられている。パターンジェネレータ112には、後述するテストパターンが格納されたテストパターン記憶領域112aが設けられている。また、操作部104には、後述する調整スタートキー104aが設けられている。また、本体制御装置101には、CPU1011が設けられている。なお、図においては、便宜的にCPU1011は本体制御装置101の外に描かれている。
【0026】
画像形成装置100において、静電潜像は、感光体1の表面を帯電装置2で帯電した後、露光装置3で画像読取装置102で読み取られた画像情報に対応した光を照射することにより、形成される。
【0027】
露光装置3は、レーザ光を用いて露光を行う際、感光体1の回転軸(図示せず)と平行にレーザ光を走査し、感光体1の回転に同期して感光体1上に静電潜像を形成する。ここで、露光装置3を基準にして、感光体1の回転軸と平行な方向を主走査方向と呼び、この主走査方向に対して垂直な方向を副走査方向と呼ぶ。また、後述する方法により、像坦持体(感光体)1の電位特性の面内ムラを取り除くように、露光装置3の露光強度を制御することが行われる。
【0028】
現像装置5には、プラスに帯電するトナーを含む現像材が充填されている。このトナーは、後述する方法により、現像装置5によって静電潜像をトナー像に可視化する。
【0029】
一方、転写材Sは紙搬送用レジ6により感光体1に搬送され、コロナ帯電器を用いた転写装置7により感光体1上のトナー像が転写材Sに転写される。コロナ帯電器を用いた転写装置7は、トナーの電荷と逆極性の電流すなわちマイナスの電流を放電する。転写材Sは、分離帯電器8によってトナー像をのせたまま感光体1から分離され、搬送部12により定着装置13に搬送される。
【0030】
トナー像は、定着装置13により転写材Sに加熱・定着され、排紙部(図示せず)により画像形成装置100の外に排出される。
【0031】
画像形成装置100では、画像の面内での濃度ムラを改善するために、感光体1の電位特性の面内ムラを露光強度に置き換えて補正することが可能である。
【0032】
つぎに、この感光体1の電位特性の面内ムラの補正について説明する。画像形成装置100では、前述したように、公知の反転現像方式が用いられる。図2は反転現像方式における帯電、露光時における感光体の表面電位の変化を示すタイミングチャートである。図中、帯電電位VD、帯電した後に露光した部分の電位(帯電・露光後の電位)VL、および現像装置5の現像剤担持体14に印加される電位のDC成分(現像バイアス)Vdcが示されている。
【0033】
本実施形態では、帯電電位VDは500V程度である。また、帯電・露光後の電位VLは50V程度である。また、現像バイアスVdcは250V程度である。トナー像が形成される感光体1の表面部分は帯電・露光後の電位VLの部分であるので、現像バイアスVdcと帯電・露光後の電位VLとの電位差がトナーで感光体1上の静電潜像を現像する際の電気的な力になる。
【0034】
また、帯電電位VDの感光体1の表面部分では、帯電電位VDと現像バイアスVdcとの差分がトナー像を現像装置5で現像する場合のカブリ取り電位となる。感光体1の帯電電位VDの面内ムラに対して十分なカブリ取り電位が保証されている場合、感光体1の帯電電位VDの面内ムラの影響は生じない。
【0035】
従って、本実施形態の画像形成装置では、画像形成時における感光体1の電位特性のムラが、現像装置5で現像されたトナー像のトナー量ムラ、つまり画像の濃度ムラとなる帯電・露光後の電位VLにおいて、像坦持体1の電位特性の面内ムラを補正する。
【0036】
つぎに、画像形成装置において、像坦持体1の電位特性のムラを補正するために必要となる、像坦持体1の平面的な電位特性のムラのデータについて示す。
【0037】
図3は感光体の電位の分布を示すグラフである。感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位の分布では、主走査方向(感光体の軸方向)および副走査方向(感光体の回転方向、つまり主走査方向と略直交する方向)の位置に応じた、感光体の電位が示されている。単位はボルト(V)である。また、電位が29〜39Vである範囲(図中、黒色に近い領域)、電位が40〜59Vである範囲(図中、灰色の領域)、および電位が60〜80Vである範囲(図中、白色の領域)が示されている。なお、全体平均値は47.9Vである。図3には、平面的なデータの全てが網羅されている。
【0038】
図4は露光装置が感光体をその軸方向に走査して感光体の回転と同期して静電潜像を形成する場合の副走査方向の1点における像担持体の電位の分布を示すグラフである。画像形成に最適な帯電および露光後の感光体1の電位は50Vである。従って、一様に帯電および露光を行った場合の電位特性から、感光体1の電位が50Vより高いところでは露光強度を上げ、50Vより低いところでは露光強度を下げることにより、電位ムラの均一化が図られる。露光装置の各走査において、このような露光量の補正を行うことにより、感光体における電位特性の面内ムラ全体を補正することが可能となる。
【0039】
画像形成装置100は、像坦持体1の帯電・露光後の電位VLの平面的な電位ムラのデータを、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105(電位データ保持手段)に取り込む。このとき、感光体1の電位データの物理的な取り込み間隔は、感光体1の電位特性ムラが持つ周期性、電位特性ムラ補正の要求精度、および画像形成装置の感光体電位特性ムラデータメモリ105の容量の大きさの関係で、決定される。
【0040】
本実施形態の画像形成装置では、露光装置3の主走査方向においては15点刻みに、かつ副走査方向においては感光体1の回転角度に相当する36点刻みに、像坦持体1の電位特性ムラのデータが取り込まれる。なお、このデータは、画像形成装置本体内で取り込むことも可能である。そのためには、感光体の電位を測定するセンサ(測定手段)を画像形成装置本体内の特定の主走査位置に複数個配置する必要がある。そして、このセンサを用いて電位を測定することにより、感光体1の副走査方向の電位データが得られる。ただし、このようなセンサを設けることは、コストの面で負担がかかる。
【0041】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、あらかじめ感光体1の製造時に感光体1の電位特性の面内ムラ、具体的に、帯電および露光後の電位ムラを測定しておく。そして、感光体1とともに測定された帯電および露光後の電位ムラのデータを持ち運び可能なROM等の記憶媒体を用いて、感光体電位特性ムラデータメモリ105にこのデータを転送し、記憶させる。
【0042】
図5は感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された帯電および露光後の電位ムラのデータを示すテーブルである。感光体1の主走査方向および副走査方向にメモリアドレスが割り振られており、各メモリアドレスには、均一に帯電して露光した後の電位のデータ(E-150,0,E-60,10,……,Eij,……,E150,0)が格納されている。
【0043】
なお、単位はVである。ここで、電位のデータである各電位特性成分はEijで示される。iは露光装置3の主走査方向成分を示し、jは副走査方向成分を示す。また、露光装置3の主走査方向の位置は、その中央部からの距離で規定される。また、副走査方向の位置は、感光体1の回転方向におけるホームポジションからの角度で規定される。
【0044】
図6は図5の具体的なデータとして、感光体を均一に帯電して露光した場合の感光体の電位を示すテーブルである。このテーブルには、主走査方向(感光体の軸方向)および副走査方向(感光体の回転方向、つまり主走査方向と略直交する方向)の位置に応じた、感光体の電位が示されている。単位はボルト(V)である。また、このテーブルには、電位が29〜39Vである範囲(横線パターンの領域)、電位が40〜59Vである範囲(パターン無しの領域)、および電位が60〜80Vである範囲(斜線パターンの領域)が示されている。また、このテーブルには、主走査方向に沿って副走査方向の感光体の電位の平均値、およびその全体平均値との差が示されている。なお、全体平均値は47.9Vである。
【0045】
つぎに、感光体1の電位特性ムラのデータを露光装置3の露光強度に変換する方法について説明する。図7は露光装置3による露光強度と感光体1の電位センサ4の位置における電位との関係を示すグラフである。
【0046】
感光体1は、帯電装置2によって電位センサ4の位置で520Vになるように帯電されている。また、露光装置3は、レーザ駆動回路107により、デジタル的に256段階で露光強度を制御する。ここで、図7の関係を示すデータを、あらかじめ画像形成装置本体内に、例えば本体制御装置101内の記憶媒体に取得しておくことは可能である。すなわち、電位センサ4の位置において、帯電装置2で520Vになるように帯電した感光体1に対し、レーザ駆動回路107で露光装置3の露光強度を変化させて露光することにより、図7の関係を示す像坦持体電位のデータの取得が行われる。
【0047】
画像形成装置100では、感光体1の電位特性に面内ムラがあるので、便宜的に感光体1の主走査方向の中央部に電位センサ4を配置し、周方向1分の平均の電位を測定することで、このようなデータが取得される。
【0048】
図7のグラフにおいて、画像形成時、トナー像が形成される電位VLの50V付近、具体的に100〜30V付近では、露光装置3の露光強度と感光体1の電位の関係における線形性が比較的良い。
【0049】
このときの近似直線は、感光体1の電位をY(V)とし、露光装置3の出力であるデジタル信号をXとすると、数式(1)で表される。
【0050】
Y(V) = −2.363X + 511.61 …… (1)
相関係数は99%以上となる。
【0051】
ここで、像坦持体1の電位特性のムラを補正するために必要となる露光強度(デジタル信号値)Tijは、つぎのように算出される。すなわち、露光強度Tijは、感光体1における電位特性ムラのデータによる各測定点の理想電位50Vからのズレ量を正負の記号を含めてDij(V)とし、基準露光強度(デジタル信号値)をKとすると、数式(2)で算出される。なお、iは主走査方向を示し、jは副走査方向の位置を示す。
【0052】
Tij = K−Dij/2.363 …… (2)
画像形成装置100では、前述したように、感光体ホームポジションセンサ11で感光体1の回転位相を検知することが可能である。さらに、露光装置3の走査位置と感光体1の回転位相を合わせて計算することにより、感光体1に対する露光装置3の露光位置が特定される。この特定された露光位置に応じて露光量を変化させることにより、感光体1の電位特性の面内ムラを改善し、画像濃度の面内での均一性を向上させることが可能となる。
【0053】
一般に、感光体1の電位特性の面内ムラは感光体1の経時変化により変化することが知られている。図8は感光体1の表面の構成を示す断面図である。図には、点線枠で囲まれた感光体1の表面が拡大して示されている。感光体1の表面には、その最表面から表面保護層(表面層)1a、電荷移動層1bおよび電荷生成層1cが形成されている。
【0054】
感光体1が帯電装置2によって帯電された後、露光装置3の光は感光体1の電荷生成層1cに到達する。電荷生成層1cは、露光されることで電子を発生する光半導体で形成されている。さらに、電荷生成層1cで発生した電子が電荷移動層1bを通って感光体1の表面層1aに移動する。そして、露光パターンに応じて感光体1の表面層1aの帯電電位を除電することで、静電潜像が形成される。
【0055】
このとき、露光装置3で露光された光が電荷生成層1cに到達する割合は、表面層1aと電荷移動層1bの厚さによって変化する。感光体1が画像形成により均一に磨耗した場合、電位特性の面内ムラは変化しないが、均一に磨耗しない場合、電位特性の面内ムラは変化する。
【0056】
図9は主走査位置における感光体削れ量の推移を示すグラフである。ここでは、10000枚使用した場合のドラムの磨耗状況が示されている。この主走査方向の磨耗量(感光体削れ量)のムラには、クリーニング装置9の感光体1への摩擦力のムラに起因するもの等がある。
【0057】
また、帯電および露光後の感光体1の表面電位は、画像形成前露光装置10の露光量や波長によっても変化する。図10は画像形成前露光装置10の概略的構成を示す図である。画像形成前露光装置10は、主走査方向にLED光源10aを一定間隔で配置して構成されたものである。
【0058】
図11はLED光源の波長および光量に対する帯電・露光後の電位VLの変化を示すグラフである。同図(A)は、画像形成前露光装置10のLED光源10aの波長と、帯電および露光後の電位VLとの関係を示す。感光体1では、波長が長くなるほど電位VLが低くなる傾向がある。これは、画像形成前露光装置10で除電のために生成される電子の量が長波長側ほど多くなるという特性が感光体1の電荷生成層1cにあるためである。
【0059】
同図(B)は、画像形成前露光装置10のLED光源の光量と、帯電および露光後の電位VLの関係を示す。感光体1では、光量が大きくなるほど電位VLが低くなる傾向がある。これは、画像形成前露光装置10で除電のために生成される電子の量が、光量が大きくなるほど多くなるという特性が感光体1の電荷生成層1cにあるためである。
【0060】
図12は感光体1の回転により生じる一次帯電装置2と感光体1表面の距離の変化を示すグラフである。一次帯電装置(帯電装置)2と感光体1表面との間の距離の振れは、電位VDの振れおよび電位VLの振れとなり、最終的に画像濃度の面内ムラになる。
【0061】
このように、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105に取り込んだデータのみで画像濃度の面内ムラを補正した場合でも、前述した感光体1の物性値単体に起因する要因以外の要因があるので、画像濃度の面内ムラをほぼ完全に補正することは困難である。
【0062】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、つぎのような手順で感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶されたデータの調整が行われる。すなわち、使用者は、画像形成装置100で実際に中間調画像を印字し、その画像濃度を目視で見て、その濃度データに対する補正値を操作部104から打ち込む。これにより、感光体電位特性ムラデータメモリ105に取り込んだデータの差分調整が可能となる。
【0063】
本来、この方法では、感光体1の面内全て、つまり全面に対応する中間調画像を印字し、全ての感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを網羅する補正を行うことが画像濃度ムラの観点から理想的である。この場合、補正点数として、主走査15点×副走査36点の計540点の濃度データが操作部104から入力されることになる。ただし、実際には、その作業量や時間的な制約から、より少ない点数で効果的な補正を行う必要がある。
【0064】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、あらかじめ取り込んである感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを使用し、より少ない入力点数で感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを効果的に補正することができるようにした。
【0065】
画像形成装置100は、感光体電位特性ムラデータメモリ105の補正用のテスト画像パターンとして、(a)主走査のみのパターン、(b)主走査+副走査のパターン、(c)感光体全面のパターンの3種類のパターンを持つ。具体的に、これら3種類のパターンは、パターンジェネレータ112内のテストパターン記憶領域112aに格納されている。
【0066】
図13は主走査のみのパターンを示す図である。図14は主走査+副走査のパターンを示す図である。図15は感光体全面のパターンを示す図である。各図において、横方向に主走査の位置が示され、縦方向に副走査の位置が示される。
【0067】
また、図中、1つの升目は、感光体電位特性ムラデータメモリ105に感光体のデータが取り込まれている位置を示す。これらの升目のうち、グレー(網点)で塗られている部分がテストパターンを形成する位置である。
【0068】
各画像パターンは、感光体ホームポジションセンサ11で作像時の感光体の位相を検知し、作像の開始位置を感光体電位特性ムラデータメモリ105の位相0°の位置に合わせることにより、形成される。このとき、中間調画像の濃度は反射濃度で0.3〜0.6程度であることが最適である。
【0069】
またこのとき、最初の補正パターンとして、主走査のみ(主走査方向1列)のパターン、もしくは主走査+副走査(主走査方向および副走査方向各1列)のパターンを、第1のテストパターンとして印字して補正が行われる。
【0070】
第1のテストパターンで補正を行っても、補正が完了しない場合、感光体全面のパターン(以下、第2のテストパターンという)を印字して補正が行われる。このよう手順で行う理由は、前述した画像の面内濃度の均一性を損なう、感光体1の物性値単体によって起因する要因以外の、画像濃度の面内ムラの要因が、主走査および副走査における独立の現象に基づく場合にあることが多いためである。
【0071】
ここで、第1のテストパターンは、あらかじめ感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された感光体電位ムラデータの電位の最大と最小の値を含むように設定される。具体的に、電位の最大と最小の位置関係が主走査の直線上にない場合、画像形成装置は、(b)主走査+副走査のパターンを印字(印刷)する。
【0072】
図16は電位の最大と最小の値を含むように印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。図16では、横方向に主走査の位置が示され、縦方向に副走査の位置が示される。前述したように、図中、1つの升目は、感光体電位特性ムラデータメモリ105に感光体のデータが取り込まれている位置を示す。これらの升目のうち、グレー(網点)で塗られている部分がテストパターンを形成する位置である。
【0073】
さらに、横線でハッチングした部分(升目)が感光体電位特性ムラデータメモリ105に示される最大電位の位置、縦線でハッチングされた部分(升目)が感光体電位特性ムラデータメモリ105に示される最小電位の位置である。そして、テストパターンは、主走査+副走査のパターンが最大と最小の電位の位置を通るように、印字される。
【0074】
図17は電位の最大と最小の位置が主走査上に並んでいる場合に印字される主走査のみのパターンを示す図である。図17における位置や記号の説明は、図16と同様であるので、その説明を省略する。テストパターンは、主走査1ラインで電位の最大と最小の位置を通るように印字(印刷)される。
【0075】
図18は電位の最大と最小の位置が副走査上に並んでいる場合に印字される主走査+副走査のパターンを示す図である。図18における位置や記号の説明は、図16と同様であるので、その説明を省略する。テストパターンは、副走査1ラインで電位の最大と最小の位置を通るように印字され、かつ主走査方向の印字位置として最大電位もしくは最小電位を通るように印字される。また、図18の場合、テストパターンとしては、最大電位および最小電位をそれぞれ通る、主走査2ラインを使用するものを用いるようにしてもよい。
【0076】
なお、本実施形態では、テストパターン(画像パターン)は、所定の電位差を有する2つの値を使用するパターンとして、感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶(保持)された電位データのうち、最大値と最小値を使用するものであった。テストパターンとしては、最大値と最小値を使用するものに限られず、電位データの補正に有効な、最大値に対して80%以上の値と、最小値に対して80%以下の値との2つの値を少なくとも使用するものであればよい。
【0077】
図19は電位ムラデータの補正処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、本体制御装置101内の記憶媒体(ROMなど)に格納されており、CPU1011によって周期的に実行される。
【0078】
まず、CPU1011は、使用者によって画像濃度ムラが良くないと判断され、操作部104の調整スタートキー104aが押下されたか否かを判別する(ステップS1)。調整スタートキー104aが押下されていない場合、CPU1011はそのまま本処理を終了する。
【0079】
一方、使用者によって画像濃度ムラが良くないと判断され、調整スタートキー104aが押下された場合、CPU1011は、操作部104からのこの入力(押下)に基づいて、第1のテストパターン(第1の画像パターン)を印字する(ステップS2)。すなわち、CPU1011は、パターンジェネレータ112を起動し、テストパターン記憶領域112aに格納されている第1のテストパターンに相当するデータに基づいて、パターンジェネレータ112でパターンを生成する。そして、CPU1011は、プリンタユニットからテストプリント画像(図16参照)を印刷するように指示する。この第1のテストパターンは、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データに基づき、感光体1の電位特性の面内ムラを露光量で補正した状態で印字される。なお、このステップS2の処理はパターン印刷手段の一例である。
【0080】
そして、使用者が、印字された第1のテストパターンの画像濃度を見て、操作部104から後述する方法で補正値を入力すると、CPU1011は、この補正値を受け付ける(ステップS3)。なお、このステップS3の処理は補正値受付手段の一例である。
【0081】
本体制御装置101内のCPU1011は、この入力された補正値の情報に基づき、後述する方法で感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データを計算し、この電位データの更新(補完処理)を行う(ステップS4)。このように、印刷されたテストプリント画像をもとに、使用者(オペレータ)により操作部104から入力された電位ムラのデータに基づき、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データは、2次元的に補完される。なお、このステップS4の処理は電位データ補正手段の一例である。
【0082】
この後、CPU1011は、全面ハーフトーン画像の確認画像を印字する(ステップS5)。なお、このステップS5の処理は確認画像印刷手段の一例である。使用者は、この確認画像を見て、画像濃度ムラが直ったか否かを判定し、その判定結果を操作部104から入力する。そして、CPU1011は、使用者によって操作部104から入力された画像濃度ムラの判定情報を取得し、画像濃度ムラを判定する(ステップS6)。なお、ステップS6の処理は判定受付手段の一例である。
【0083】
使用者が操作部104から入力した画像濃度ムラの判定情報により、画像濃度ムラが直ったと判定された場合、CPU1011は、電位データ(感光体電位特性ムラデータ)の補正を完了し、あらたな感光体全面の電位データの作成を終える(ステップS7)。この後、CPU1011は、本処理を終了する。
【0084】
一方、ステップS6で画像濃度ムラが直っていないと判定された場合、CPU1011は、第2の画像パターン(第2のテストパターン)を印字する(ステップS8)。第2のテストパターンは、第1のテストパターンを用いてステップS4で更新された電位データに基づき、感光体1の電位特性の面内ムラを露光量で補正した状態で印字される。
【0085】
そして、第1の画像パターンの印刷の場合と同様、使用者は、再度、画像濃度を見て、操作部104から後述する方法で補正値を入力する。CPU1011は、この補正値を入力し、感光体電位特性ムラデータの補正を行う(ステップS9)。この後、CPU1011は、ステップS7で、感光体電位特性ムラデータの補正を完了し、あらたな感光体全面の電位データの作成を終え、本処理を終了する。
【0086】
つぎに、使用者が、ステップS3、S9において、印字されたテストパターンの画像濃度を見て、操作部104から補正値を入力する方法について説明する。
【0087】
図20はステップS3、S9における電位データの変更手順を示すフローチャートである。CPU1011は、オペレータ(使用者)に対し、出力されたテストプリントを画像読取装置102の原稿台102aに置かせる表示(図示せず)を、操作部104の表示部に表示する(ステップS21)。この際、テストプリントを原稿台102aに置き終わった場合、オペレータに押させるボタン(図示せず)も併せて表示する。そして、CPU1011は、オペレータによりそのボタンが押されるまで待つ(ステップS22)。
【0088】
原稿台102aに原稿がセットされ、ボタンが押されると、CPU1011は、画像読取装置102に内蔵のCCDセンサ(図示せず)を用いて、テストプリントを読み込む(ステップS23)。テストプリントが読み込まれると、CPU1011は、操作部104に読み込み結果を表示する(ステップS24)。
【0089】
操作部104には、図21に示すように、実際に印字された画像領域とそのときの電位データが表示される。図21は操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。ここでは、前述した図16のテストパターンの場合が示されている。使用者は、印字されたテストパターンを見て、操作部104に表示された電位データを補正するために、操作部104からその変更値となる電位データを入力する。具体的に、テストパターンで画像濃度が濃い位置では、電位データの数字を小さくする。一方、画像濃度が薄い位置では、電位データの数字を大きくする。
【0090】
なお、このとき、画像読取装置を用いて電位データを補正する方法も用いてもよい。すなわち、画像読取装置102で読み取られた濃度データをもとに、画像形成装置100が自動的に電位データを補正するようにしてもよい。しかし、従来、画像読取装置の読取り濃度ムラも、このような補正には良くない影響を及ぼすことが知られている。従って、本実施形態では、使用者が目視で判断して入力するものとする。
【0091】
CPU1011は、使用者によって入力された電位データを受け付けると、その電位データを用いて操作部104の表示を変更する(ステップS25)。CPU1011は、操作部104を介して使用者からの変更終了を受け付けるまで、ステップS25の処理を繰り返す(ステップS26)。そして、CPU1011は、変更終了を受け付けると、本処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0092】
つぎに、操作部104で入力されたデータに基づいて、感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶された全てのデータを変更する際の計算方法を、図22を用いて説明する。図22は操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。同図(A)は入力前のデータを示し、同図(B)は入力後のデータを示す。
【0093】
ここで、A3〜O3は、入力前データ(主走査テストパターン印字位置のデータ)を表す。K1〜K36は、入力前データ(副走査テストパターン印字位置のデータ)を表す。F7は、テストパターンで印字されない場所のデータを表す。
【0094】
また、A’3〜O’3は、入力後データ(主走査補正位置のデータ)を表す。K1’〜K36’は、入力後データ(副走査補正位置のデータ)を表す。F”7は、補完処理に生成されたデータを表す。
【0095】
実際に、テストパターンを印字した場所においては、操作部104で入力された元データとの差分値がそのまま使用される。すなわち、図22の位置A’3〜位置O’3および位置K’1〜位置K’36のデータは、そのまま感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される。
【0096】
一方、テストパターンで印字されなかった位置のデータは、主走査方向と副走査方向の元のデータとの差分値の平均を加えることで、計算される。具体的に、補正後の感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される位置F”7のデータは、対応する主走査位置と副走査位置におけるデータの入力前後の差分値を用いて、数式(3)に従って、計算される値になる。
【0097】
F”7 = F7+{(F’3−F3)+(K’7−K7)}/2
…… (3)
このとき、第1のテストパターンが主走査のみのパターンである場合、テストパターンで印字されなかった位置のデータは、テストパターンの印字位置における主走査方向のデータの差分値の平均を加えることで、計算される。
【0098】
そして、感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを、第1のテストパターンを用いて補正した後のデータ確認用の画像が印字される。このときの画像は全面のハーフトーン(HT)画像である。その濃度は、反射濃度で0.3〜0.6付近が最適である。この画像を使用者が見て、画像の面内均一性が許容できる場合、電位ムラデータの補正完了となる。
【0099】
一方、許容できない場合、(c)感光体全面のパターン(第2のテストパターン)を印字し、感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶されたデータの補正を行う。この場合、使用者は、感光体全面のデータを操作部104から直接入力することとなる。
【0100】
本実施形態では、第1のテストパターンは、感光体の特性や画像形成装置内の画像濃度ムラの原因となる部分(例えば、画像形成前露光装置10)の特性に合わせて決定されている。このため、感光体電位特性ムラデータメモリ105の補正としては、第1のテストパターンのみでほぼ完了できるようになっている。従って、まず始めに、第1のテストパターンを用いて、感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータを補正することにより、感光体全面のデータを補正する場合と比較して、少ない時間および作業で補正が可能となる。また、使用者の画像に対する許容度において、より正確な補正が必要な場合、第2のテストパターンの使用で対応することが可能となる。
【0101】
このように、本実施形態の画像形成装置によれば、感光体電位特性ムラデータメモリに保持された電位データのうち、最大値および最小値を使用して画像パターンを印刷し、この印刷された画像パターンの濃度データをもとに、電位データを補正する。これにより、感光体の電位特性の面内ムラ、すなわち画像の濃度ムラを効率的に短時間で補正することができる。従って、耐久劣化による感光体の電位特性の面内ムラの変化や、感光体の物性値単体のムラ以外に起因するものによる感光体の電位特性の面内ムラの変化を効率良く補正することが可能となる。
【0102】
また、使用者が電位データの補正を簡単に行うことができる。また、使用者が画像の濃度ムラを目視で確認し、繰り返し電位データの補正を行うことができる。従って、確実に画像の濃度ムラを直すことができる。また、画像パターンの印刷には、電位データの有効な値(最大値の80%以上の値、最小値の80%以下の値)が使用されるので、感光体の電位特性の面内ムラを効率良く補正することができる。
【0103】
また、感光体の電位ムラ特性に応じて、種々の簡単なパターンを使用することができる。また、感光体全面の電位データを効率的に補正することができる。また、画像形成装置本体内に電位データを測定するセンサを設ける場合には、あらかじめ感光体の電位データを感光体電位特性ムラデータメモリに保持しなくても済む。
【0104】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の画像形成装置では、前記第1の実施形態と比較して、感光体電位特性ムラデータメモリ105のデータの補正方法が異なる。第2の実施形態の画像形成装置の構成は、前記第1の実施形態と同じであるので、前記第1の実施形態と重複する内容については省略する。
【0105】
第2の実施形態の画像形成装置においても、前記第1の実施形態と同様、実際の中間調画像を印字し、使用者がその画像濃度を目視で見て、その濃度データを操作部104から打ち込む。これにより、感光体電位特性ムラデータメモリ105に取り込んだデータの差分調整が可能である。
【0106】
第2の実施形態では、テスト画像パターンとして、(d)電位データの最大値と最小値を結ぶパターン(以下、第1のテストパターン)と、(e)感光体全面のパターン(第2のテストパターン)の2種類を持つ。
【0107】
図23は第2の実施形態における第1のテストパターンの一例を示す図である。図20では、横方向に主走査の位置が示され、縦方向に副走査の位置が示される。1つの升目は、感光体電位特性ムラデータメモリ105に感光体のデータが取り込まれている位置を示す。そのうち、太い枠線kで囲まれる部分がテストパターンを形成する位置である。
【0108】
さらに、横線でハッチングされた部分が、感光体電位特性ムラデータメモリ105に保持されるデータの最大電位(最大値)であり、縦線でハッチングされた部分が感光体電位特性ムラデータメモリ105に保持されるデータの最小電位(最小値)である。
【0109】
第2の実施形態では、第1のテストパターンは、感光体電位特性ムラデータメモリ105の電位データの最大値と最小値を直線的に結ぶパターンである。具体的に、電位データの最大値と最小値を結ぶ帯mに対し、その帯mにかかる位置のデータ全てを用いて、印字が行われる。このとき、テストパターンの画像濃度として、反射濃度0.3〜0.6が最適である。
【0110】
図24は操作部104に表示された、実際に印字された画像領域とそのときの電位データを示す図である。ここでは、前述した図23のテストパターンの場合が示されている。使用者は、印字されたテストパターンを見て、操作部104に表示された電位データを補正する。具体的に、テストパターンで画像濃度が濃い位置では、データの数字を小さくし、一方、テストパターンで画像濃度が薄い位置では、データの数字を大きくすることが行われる。
【0111】
つぎに、操作部104で入力されたデータに基づき、感光体電位特性ムラデータメモリ105の全てのデータの計算方法について説明する。図25は操作部104に表示された、変更値が入力される前と後の電位データを示す図である。同図(A)は入力前のデータを示し、同図(B)は入力後のデータを示す。
【0112】
ここで、D1〜D3、E1〜E6、F2〜F9、G6〜G9、M33〜M36、N33〜N36、O34〜O36は、入力前データ(テストパターン印字位置のデータ)を表す。B3、O5は、テストパターンで印字されない場所のデータを表す。
【0113】
また、D’1〜D’3、E’1〜E’6、F’2〜F’9、G’6〜G’9、M’33〜M’36、N’33〜N’36、O’34〜O’36は、入力後データ(テストパターン印字位置のデータ)を表す。B”3、O”5は、テストパターンで印字されない場所のデータを表す。
【0114】
実際に、テストパターンを印字した場所においては、操作部104で入力された元データとの差分値がそのまま使用される。すなわち、同図(B)の位置D’1〜位置D’3、位置E’1〜位置E’6、位置F’2〜位置F’9、および位置G’6〜位置G’9のデータは、そのまま感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される。同様に、位置M’33〜位置M’36、位置N’33〜位置N’36、および位置O’34〜位置O’36のデータは、そのまま感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される。
【0115】
また、テストパターンで印字されなかった位置のデータは、直交する主走査方向と副走査方向における元のデータとの差分値の平均値を加えることで、計算される。具体的に、補正後に感光体電位特性ムラデータメモリ105に記憶される位置O”5のデータは、対応する全ての主走査と副走査の補正箇所の補正前後の差分値を用いて、数式(4)に従って算出される。
【0116】
O”5=O7+{(E’5−E5)+(F’5−F5)+(O’34−O34)+(O’35−O35)+(O’36−O36)}/5 …… (4)
さらに、副走査方向のみにしかテストパターンの印字位置と直交する場所のない位置B”3のデータは、数式(5)に従って算出される。
【0117】
B”3=B3+{(D’3−D3)+(E’3−E3)+(F’3−F3)}/3 …… (5)
この後、第2のテストパターンに関係する内容については、前記第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。このように、第2の実施形態においても、前記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0118】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0119】
例えば、上記実施形態では、使用者による電位データの入力は2回だけ行われたが、任意の回数の入力が可能であってもよい。例えば、2回目のテストパターンにおいても、感光体全面のパターンでなく、簡易な主走査のみのパターン(主走査パターン)、あるいは主走査+副走査のパターンであってもよい。また、3回以上の入力の場合、その都度、確認画像が印刷されるようにしてもよい。
【0120】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、画像形成装置としては、本来の印刷装置の他、印刷機能を有するファクシミリ装置、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等を有する複合機(MFP)であってもよいことは勿論である。
【0121】
上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置として、モノクロ画像形成装置について説明したが、カラー画像形成装置に適用されてもよい。
【0122】
また、カラー画像形成装置の場合、YMCK各色に対応する感光ドラムを使用し、この感光ドラム上に坦持された各色のトナー像を順次記録媒体に重ねて転写する画像形成装置が挙げられる。また、この転写方式に限定されるものではなく、中間転写体を使用し、この中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、この中間転写体に担持されたトナー像を記録媒体に一括して転写する画像形成装置であってもよい。
【0123】
また、シートとしては、紙媒体、OHPシート、厚紙用紙、タブ紙など、特に限定されない。
【符号の説明】
【0124】
1 感光体(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
100 画像形成装置
101 本体制御装置
102 画像読取装置
105 感光体電位特性ムラデータメモリ
112 パターンジェネレータ
1011 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置において、
前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ保持しておく電位データ保持手段と、
前記電位データ保持手段によって保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正手段とを備え、
前記画像濃度補正手段は、
前記電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷手段と、
前記パターン印刷手段によって印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを補正する電位データ補正手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電位データ補正手段は、前記パターン印刷手段によって印刷された画像パターンの濃度データをもとに入力される補正値を受け付ける補正値受付手段を備え、前記補正値受付手段によって受け付けられた補正値を用いて、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像濃度補正手段は、
前記電位データ補正手段によって補正された電位データに基づいて算出された露光量を用いて確認画像を印刷する確認画像印刷手段と、
前記確認画像をもとに濃度ムラが直ったか否かの判定を受け付ける判定受付手段とを備え、
前記判定受付手段によって濃度ムラが直っていないとの判定が受け付けられた場合、前記パターン印刷手段は他の画像パターンを印刷することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用する画像パターンは、前記電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、最大値に対して80%以上の値と、最小値に対して80%以下の値とを使用するパターンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像パターンは、前記電位データの最大値と最小値を含む主走査方向1列のパターン、あるいは前記最大値と最小値を含む主走査方向および副走査方向各1列のパターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パターン印刷手段は、前記主走査方向1列のパターン、あるいは前記主走査方向および副走査方向各1列のパターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像パターンは、前記感光体の電位データの最大値と最小値を直線的に結ぶように設定されたパターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記パターン印刷手段は、前記感光体の電位データの最大値と最小値を直線的に結ぶように設定されたパターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像パターンは、前記感光体の電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記パターン印刷手段は、前記感光体の電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体の特定の主走査位置の電位データを副走査方向に測定する測定手段を備え、
前記画像パターンは、前記測定手段によって測定された電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記パターン印刷手段は、前記測定手段によって測定された電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置の濃度補正方法において、
前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ電位データ保持手段に保持しておく電位データ保持ステップと、
前記電位データ保持手段に保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正ステップとを有し、
前記画像濃度補正ステップでは、
前記電位データ保持手段に保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷ステップと、
前記パターン印刷ステップで印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段に保持された電位データを補正する電位データ補正ステップとを有することを特徴とする画像形成装置の濃度補正方法。
【請求項1】
電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置において、
前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ保持しておく電位データ保持手段と、
前記電位データ保持手段によって保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正手段とを備え、
前記画像濃度補正手段は、
前記電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷手段と、
前記パターン印刷手段によって印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを補正する電位データ補正手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電位データ補正手段は、前記パターン印刷手段によって印刷された画像パターンの濃度データをもとに入力される補正値を受け付ける補正値受付手段を備え、前記補正値受付手段によって受け付けられた補正値を用いて、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像濃度補正手段は、
前記電位データ補正手段によって補正された電位データに基づいて算出された露光量を用いて確認画像を印刷する確認画像印刷手段と、
前記確認画像をもとに濃度ムラが直ったか否かの判定を受け付ける判定受付手段とを備え、
前記判定受付手段によって濃度ムラが直っていないとの判定が受け付けられた場合、前記パターン印刷手段は他の画像パターンを印刷することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用する画像パターンは、前記電位データ保持手段によって保持された電位データのうち、最大値に対して80%以上の値と、最小値に対して80%以下の値とを使用するパターンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像パターンは、前記電位データの最大値と最小値を含む主走査方向1列のパターン、あるいは前記最大値と最小値を含む主走査方向および副走査方向各1列のパターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パターン印刷手段は、前記主走査方向1列のパターン、あるいは前記主走査方向および副走査方向各1列のパターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像パターンは、前記感光体の電位データの最大値と最小値を直線的に結ぶように設定されたパターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記パターン印刷手段は、前記感光体の電位データの最大値と最小値を直線的に結ぶように設定されたパターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像パターンは、前記感光体の電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記パターン印刷手段は、前記感光体の電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体の特定の主走査位置の電位データを副走査方向に測定する測定手段を備え、
前記画像パターンは、前記測定手段によって測定された電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記パターン印刷手段は、前記測定手段によって測定された電位データの最大値と最小値を含むように設定された少なくとも1列の主走査パターンを印刷し、
前記電位データ補正手段は、前記印刷された画像パターンの濃度データと、前記電位データ保持手段によって保持された電位データを用いて、補完処理を行うことで、前記感光体全面の電位データをあらたに作成することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
電子写真方式により、帯電した感光体を露光して画像を形成する画像形成装置の濃度補正方法において、
前記感光体の画像形成時の電位データをあらかじめ電位データ保持手段に保持しておく電位データ保持ステップと、
前記電位データ保持手段に保持された電位データに基づき、前記感光体への露光量を算出し、前記算出された露光量を用いて前記感光体を露光し、前記画像形成時の濃度ムラを補正する画像濃度補正ステップとを有し、
前記画像濃度補正ステップでは、
前記電位データ保持手段に保持された電位データのうち、所定の電位差を有する2つの値を少なくとも使用して画像パターンを印刷するパターン印刷ステップと、
前記パターン印刷ステップで印刷された画像パターンの濃度データをもとに、前記電位データ保持手段に保持された電位データを補正する電位データ補正ステップとを有することを特徴とする画像形成装置の濃度補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
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【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−230840(P2010−230840A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76590(P2009−76590)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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