説明

画像形成装置及びトナー容器

【課題】ユーザーの作業負担を増大させることなく、トナー容器の取り外し時にトナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、トナーを収容するトナー容器18と、トナー容器18を支持するガイドレール35が設けられた収納部25と、を備え、ガイドレール35の手前側には補助レール36が設けられ、補助レール36の下方には手前側に向かって下方に傾斜する誘導部46が設けられ、トナー容器18の装着時に、トナー容器18が誘導部46に沿って誘導されると、トナー容器18が補助レール36をガイドレール35より上方位置に押し上げ、トナー容器18が装着されると、トナー容器18による補助レール36の押し上げが解除されて補助レール36がガイドレール35の延長線上に下降することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置及びこの画像形成装置に対して着脱可能に設けられるトナー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラム等の表面に形成された静電潜像に現像器からトナーを供給することで、現像処理を行っている。このような現像処理に用いられるトナーは、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に設けられるトナー容器から現像器に供給されるのが通常である。
【0003】
上記のような現像処理が繰り返し行われると、これに伴ってトナー容器内のトナーが減少していき、トナー容器内のトナーが無くなると、トナー容器の交換が必要となる。このトナー容器の交換作業はユーザーによって行われる場合が多いが、使用後のトナー容器の排出口付近にはトナーが付着しているため、そのトナーがユーザーの衣類を汚してしまう可能性が有る。特に、トナー容器の交換作業中にトナー容器が装置本体に接触した場合には、この接触による衝撃でトナー容器の排出口付近に付着したトナーが振り落とされるため、この振り落とされたトナーによってユーザーの衣類が汚される危険性が高くなる。
【0004】
このような問題を解決するため、トナー容器の装置本体からの取り外しを2段階の動作で行う構成や、トナー容器が装置本体から抜け落ちる前に、トナー容器を手で支える旨の指示を表示する構成が知られている(前者について特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−142915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トナー容器の装置本体からの取り外しを2段階の動作で行う構成やトナー容器が装置本体から抜け落ちる前にトナー容器を手で支える構成は、トナー容器の交換に当たるユーザーに特別な作業を強いることになり、ユーザーの作業負担を増大させることになる。
【0007】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、ユーザーの作業負担を増大させることなく、トナー容器の取り外し時にトナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナーを収容するトナー容器と、該トナー容器を支持するガイドレールが設けられた収納部と、を備え、前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせることで該トナー容器が前記収納部に対して着脱されるように構成された画像形成装置であって、前記トナー容器の前記収納部に対する装着方向において前記ガイドレールの手前側には補助レールが昇降可能に設けられ、該補助レールの下方には前記装着方向の手前側に向かって下方に傾斜する誘導部が設けられ、前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記トナー容器が前記誘導部に沿って前記ガイドレールへと誘導されると、前記トナー容器が前記補助レールを前記ガイドレールより上方位置に押し上げ、前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、前記トナー容器による前記補助レールの押し上げが解除されて前記補助レールが前記ガイドレールの延長線上に下降することを特徴とする。
【0009】
このように、装着方向の手前側に向かって下方に傾斜する誘導部に沿ってトナー容器をガイドレールへと誘導することで、トナー容器を収納部に容易に装着することが可能となる。また、トナー容器が収納部へ装着されると、補助レールがガイドレールの延長線上に下降するため、トナー容器の収納部からの取り外し時には、ガイドレールの延長線上に配置された補助レールに沿ってトナー容器を外部へと誘導することになる。これに伴って、トナー容器が収納部に接触するのを防止することが可能となり、トナー容器と収納部の接触の衝撃によるトナーの落下を抑制して、ユーザーの衣服がトナーによって汚されるのを防止することが可能となる。また、補助レールに沿ってトナー容器を外部に誘導するだけで、特別な作業を行うことなくトナー容器を収納部から取り外すことが可能となるため、ユーザーの作業負担を軽減することが可能となる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、前記補助レールを吊り下げるバネ部材を備え、前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記トナー容器が前記補助レールの自重に抗して前記補助レールを押し上げて前記バネ部材が圧縮し、前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、自重により前記補助レールが下降して前記バネ部材が復元しても良い。
【0011】
このような構成を採用することで、補助レールをバネ部材に吊り下げるだけの簡易な構成で補助レールの昇降動作を実現することが可能となり、装置の構成の簡易化及び製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記補助レールを下方に付勢する付勢部材と、前記補助レールを圧接可能な係止部材と、を備え、前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記トナー容器が前記補助レールを押し上げて該補助レールが前記係止部材から離間し、前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、前記付勢部材の付勢力により前記補助レールが下降して該補助レールが前記係止部材に圧接しても良い。
【0013】
このような構成を採用することで、トナー容器を収納部へ装着した際に、付勢部材の付勢力で補助レールを確実にガイドレールの延長線上まで下降させることが可能となり、トナー容器の収納部からの取り外し時には、補助レールに沿ってトナー容器を確実に外部へと誘導することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器の上端外周にはフランジ部が設けられ、前記誘導部は、前記収納部の両側を覆う周壁に設けられた傾斜面であり、前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記フランジ部が前記傾斜面に沿って前記ガイドレールへと誘導されると、前記フランジ部が前記補助レールを押し上げても良い。
【0015】
このように、収納部の両側を覆う周壁に傾斜面を設けて誘導部とすることで、誘導部を形成する部材を別個に設ける場合よりも部品点数を少なくすることが可能となり、製造コストの更なる低廉化を図ることが可能となる。
【0016】
本発明のトナー容器は、トナーを収容し、画像形成装置の収納部に設けられたガイドレールに支持されるトナー容器であって、前記画像形成装置には、前記トナー容器の前記収納部に対する装着方向において前記ガイドレールの手前側に補助レールが昇降可能に設けられ、該補助レールの下方には前記装着方向の手前側に向かって下方に傾斜する誘導部が設けられ、前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記トナー容器が前記誘導部に沿って前記ガイドレールへと誘導されると、前記トナー容器が前記補助レールを前記ガイドレールより上方位置に押し上げ、前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、前記トナー容器による前記補助レールの押し上げが解除されて前記補助レールが前記ガイドレールの延長線上に下降することを特徴とするトナー容器。ことを特徴とする。
【0017】
このように、装着方向の手前側に向かって下方に傾斜する誘導部に沿ってトナー容器をガイドレールへと誘導することで、トナー容器を収納部に容易に装着することが可能となる。また、トナー容器が収納部へ装着されると、補助レールがガイドレールの延長線上に下降するため、トナー容器の収納部からの取り外し時には、ガイドレールの延長線上に配置された補助レールに沿ってトナー容器を外部へと誘導することになる。これに伴って、トナー容器が収納部に接触するのを防止することが可能となり、トナー容器と収納部の接触の衝撃によるトナーの落下を抑制して、ユーザーの衣服がトナーによって汚されるのを防止することが可能となる。また、補助レールに沿ってトナー容器を外部に誘導するだけで、特別な作業を行うことなくトナー容器を収納部から取り外すことが可能となるため、ユーザーの作業負担を軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ユーザーの作業負担を増大させることなく、トナー容器の取り外し時にトナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部及びトナーコンテナを示す正面側からの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部を示す側断面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの収納部への装着過程において、フランジ部が傾斜面に沿ってガイドレールへと誘導されている状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部への装着過程において、フランジ部が補助レールを押し上げた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナを収納部へ装着した状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、フランジ部が補助レールに沿って外部へと誘導されている状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの収納部への装着過程において、フランジ部が補助レールを押し上げた状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、フランジ部が補助レールに沿って外部へと誘導されている状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、補助レールが押し上げられていない状態を示す断面図であり、(b)は、補助レールが押し上げられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
まず、図1を用いて画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0021】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には転写紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0022】
プリンター本体2の上部には、像担持体としての中間転写ベルト5が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器10が配置され、中間転写ベルト5の下部に沿って4個の画像形成部6がトナーの色ごとに設けられている。
【0023】
各画像形成部6には、感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0024】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、各画像形成部6と対応する4個のトナー容器としてのトナーコンテナ18が、トナーの色ごとに設けられている。トナーコンテナ18の詳細については後述する。
【0025】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、転写紙の搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト5の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部には定着部23が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口24が設けられている。
【0026】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメータ−が初期化され、定着部23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0027】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器10からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部6が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0028】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された転写紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が転写紙に二次転写される。トナー像を二次転写された転写紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着部23に進入し、この定着部23において転写紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙口24から排紙トレイ4の上に排出される。
【0029】
次に、図2〜図5を用いて、トナーコンテナ18及びその周辺部について説明する。以下、便宜上、図2における手前側を各部材の正面側として説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部及びトナーコンテナを示す正面側からの斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナを示す斜視図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部を示す側断面図である。図5は、図4のA−A断面図である。なお、図3では左側が正面側であるのに対して、図4では右側が正面側になっている。
【0030】
図2に示されるように、プリンター本体2の上部には、4個のトナーコンテナ18(図2では、左右方向中央の2個のみを表示)を着脱可能に収納する4個の収納部25(図2では、左右方向中央の2個のみを表示)が設けられている。
【0031】
各トナーコンテナ18には、それぞれ異なる色のトナーが収容されている。このトナーは、例えば磁性トナー及びキャリアにより構成される2成分現像剤である。図3に示されるように、各トナーコンテナ18は、上面が開口された容器本体26と、容器本体26の開口を閉止する蓋部材27と、を備えている。
【0032】
容器本体26は、前後方向に沿って細長の形状を成しており、容器本体26の前端には取手28が設けられている。容器本体26の後下部には排出口30が設けられ、排出口30は、トナーコンテナ18を収納部25に装着していない状態において、スライド式のシャッター(図示せず)により閉止されている。そして、トナーコンテナ18が収納部25に装着されるのに連動してシャッターがスライドして排出口30が開放され、トナーコンテナ18の内部空間と現像器11の内部空間が連通するように構成されている。なお、本実施形態ではこのようにスライド式のシャッターを用いているが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18が収納部25に装着されることでレバーのロックが解除された後、ユーザーのレバー操作に連動してシャッターが回転して排出口30が開放される回転式のシャッターを用いても良い。
【0033】
容器本体26には、排出口30の上方に搬送スクリュー(図示せず)が回転可能に設けられ、搬送スクリューの左方には、攪拌パドル(図示せず)が回転可能に設けられている。そして、トナーコンテナ18が収納部25に装着されるのに連動して、収納部25の後方に設けられた駆動ユニット(図示せず)に搬送スクリュー及び攪拌パドルが接続され、搬送スクリュー及び攪拌パドルが回転可能となる。容器本体26の上端外周にはフランジ部31が設けられている。フランジ部31は、前後方向に長い方形枠状を成している。
【0034】
蓋部材27の外周にはフランジ部32が設けられている。そして、このフランジ部32が容器本体26のフランジ部31に超音波溶着されることで、容器本体26の上面の開口が閉止されている。以下、容器本体26のフランジ部31と蓋部材27のフランジ部32を合わせて、トナーコンテナ18のフランジ部31、32と称する。
【0035】
図2に示されるように、各収納部25は、プリンター本体2の上部に左右方向に並ぶようにして設けられている。各収納部25は、各画像形成部6に対応してトナーの色ごとに設けられている。各収納部25の上方は、排紙トレイ4によって被覆されている。各収納部25の底壁は、板金部材である本体フレーム39によって構成されている。本体フレーム39には、各トナーコンテナ18の排出口30と対応する位置に連通口(図示せず)が設けられており、この連通口を介して、トナーコンテナ18の排出口30から排出されたトナーが現像器11に供給されるようになっている。
【0036】
各収納部25の前端には、トナーコンテナ18を収納部25に対して着脱するための取出口33が形成されている。各収納部25は、各収納部25を仕切るように前後方向に設けられた周壁34によって両側を覆われている。図4に示されるように、各周壁34の対向面の上部には、横向きコ字状のガイドレール35が前後方向に沿って設けられており、このガイドレール35の底面29にトナーコンテナ18のフランジ部31、32の両側部が支持されている。
【0037】
各収納部25には、トナーコンテナ18の収納部25に対する装着方向(本実施形態では前側から後側に向かう方向。図4の二点鎖線矢印X参照)においてガイドレール35の手前側(本実施形態では前側)に、補助レール36が設けられている。補助レール36は、ガイドレール35の延長線上にガイドレール35と平行に設けられている。図5に示されるように、補助レール36は、周壁34の上方且つ排紙トレイ4の下方に設けられた仕切板41の貫通穴42に挿入されている。なお、仕切板41は、図4、図6、図7では記載が省略されている。
【0038】
補助レール36は、仕切板41と平行に設けられた接続板37と、この接続板37の下面の左右方向中央から下方に向かって延びる連結板38と、この連結板38の下端から内側に屈曲される屈曲板40と、を備えており、この屈曲板40にトナーコンテナ18のフランジ部31、32の両側部が支持されるように構成されている。
【0039】
補助レール36は、バネ部材としてのコイルスプリング44に吊り下げられて昇降可能となっている。コイルスプリング44の上端は排紙トレイ4の下面に接続されており、コイルスプリング44の下端は補助レール36の接続板37の上面に接続されている。コイルスプリング44は、排紙トレイ4の下面から下方に突設された円柱状のバネ受け45に周設されている。
【0040】
補助レール36の下方には、誘導部としての傾斜面46が設けられている。傾斜面46は、各周壁34の前端部に設けられており、装着方向の手前側に向かって下方に傾斜するとともに、前方に向かって左右の幅が狭くなるように形成されている。本実施形態では、各周壁34の傾斜面46を、隣り合う収納部25同士で共用するように構成されている。傾斜面46と補助レール36の間には、装着方向の手前側に向かって上下の幅が拡大する誘導経路47が形成されている。
【0041】
上記の如く構成されたものにおいて、トナーコンテナ18を収納部25に対して着脱する方法について、主に図6〜図8を用いて説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの収納部への装着過程において、フランジ部が傾斜面に沿ってガイドレールへと誘導されている状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部への装着過程において、フランジ部が補助レールを押し上げた状態を示す断面図である。図7は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナを収納部へ装着した状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、フランジ部が補助レールに沿って外部へと誘導されている状態を示す断面図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの収納部への装着過程において、フランジ部が補助レールを押し上げた状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの収納部からの取り外し過程において、フランジ部が補助レールに沿って外部へと誘導されている状態を示す断面図である。なお、図6〜図8では、トナーコンテナ18が二点鎖線で表示されている。
【0042】
トナーコンテナ18の装着前の状態においては、図4に示されるように、補助レール36はガイドレール35の延長線上に位置している。この状態から、トナーコンテナ18のフランジ部31、32を後端側から誘導経路47内に挿入していき、図6(a)に示されるように、フランジ部31、32の両側部の後端を傾斜面46に接触させる。この状態で、トナーコンテナ18を後方に押し込むと、傾斜面46に沿ってトナーコンテナ18がガイドレール35へと誘導される。これに伴って、図6(b)に示されるように、補助レール36の自重に抗してトナーコンテナ18が補助レール36をガイドレール35より上方位置に押し上げて、コイルスプリング44が圧縮する。
【0043】
トナーコンテナ18を更に後方へと押し込んでいくと、トナーコンテナ18がガイドレール35に沿って後方にスライドしていき、図7(a)に示されるように、トナーコンテナ18が収納部25へ装着される。これに伴って、トナーコンテナ18による補助レール36の押し上げが解除され、自重により補助レール36がガイドレール35の延長線上に下降し、コイルスプリング44が復元する。これにより、補助レール36に沿ったトナーコンテナ18の外部への誘導が可能となる。また、上記した補助レール36の下降に伴って補助レール36が傾斜面46に近接し、誘導経路47が閉鎖される。これにより、傾斜面46に沿ったトナーコンテナ18の外部への誘導が抑制される。
【0044】
本実施形態ではこのように、トナーコンテナ18の収納部25への装着時に、傾斜面46に沿ってトナーコンテナ18をガイドレール35へと誘導可能となっており、傾斜面46のどこにトナーコンテナ18のフランジ部31、32が接触した場合でも、装着方向に押す力によって、自然とトナーコンテナ18がガイドレール35へと誘導されるようになっている。そのため、トナーコンテナ18を収納部25に容易に装着することが可能となる。
【0045】
一方で、上記の如く収納部25に装着されたトナーコンテナ18を収納部25から取り外す際、トナーコンテナ18が傾斜面46に沿って外部に誘導されると、挿入時とは反対に位置の規制が徐々に緩くなっていくことから、トナーコンテナ18が前傾して、トナーコンテナ18の一部が収納部25の取出口33付近に接触する可能性が有る。そして、この接触による衝撃で、トナーコンテナ18の排出口30の周囲に付着したトナーが落下し、トナーコンテナ18の交換作業に当たるユーザーの衣類がトナーによって汚される虞が有る。
【0046】
しかしながら、本実施形態では、トナーコンテナ18の収納部25への装着に伴って、傾斜面46に沿ったトナーコンテナ18の外部への誘導が抑制されている。従って、トナーコンテナ18の収納部25からの取り外し時には、トナーコンテナ18が補助レール36に沿って誘導され、ガイドレール35から前方に真直ぐ引き抜かれることになる(図7(b)参照)。そのため、トナーコンテナ18の前傾を抑制し、トナーコンテナ18が収納部25に接触するのを防止することが可能となる。これに伴って、トナーコンテナ18と収納部25の接触の衝撃によるトナーの落下を抑制して、ユーザーの衣服がトナーによって汚されるのを防止することが可能となる。
【0047】
以上のように、本実施形態のカラープリンター1は、トナーコンテナ18の収納部25への装着時にガイドレール35にトナーコンテナ18を容易に誘導できる経路(誘導経路47)と、トナーコンテナ18の取り外し時にトナーの落下を抑制可能な経路(補助レール36側の経路)を併せ持っている。そして、トナーコンテナ18の収納部25への着脱時に、トナーコンテナ18が異なる経路を通過することで、トナーコンテナ18の装着の容易化とトナーコンテナ18の取り外し時のトナーの落下防止を同時に実現可能としている。
【0048】
また、トナーコンテナ18を補助レール36に沿って手前側に引き抜くだけで、特別な作業を行うことなくトナーコンテナ18を収納部25から取り外すことができるため、ユーザーの作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0049】
また、補助レール36をコイルスプリング44に吊り下げるだけの簡易な構成で補助レール36の昇降動作を実現することが可能となっており、装置の構成の簡易化及び製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0050】
また、収納部25の両側を覆う周壁34に傾斜面46を設けて誘導部とすることで、誘導部を形成する部材を別個に設ける場合よりも部品点数を少なくすることが可能となり、製造コストの更なる低廉化を図ることが可能となる。
【0051】
本実施形態では、トナーコンテナ18の収納部25への装着時に、傾斜面46に沿ってトナーコンテナ18をガイドレール35へと誘導する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18の収納部25への装着時に、補助レール36に沿ってトナーコンテナ18をガイドレール35へと誘導しても良い。この場合にも、トナーコンテナ18を収納部25の正確な位置に取り付けることが可能となる。
【0052】
本実施形態では、トナーコンテナ18を直接現像器11に接続する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18を中間ホッパー等の他のトナー容器を介して現像器11に接続しても良い。この場合には、中間ホッパー等の他のトナー容器に本発明の構成を適用しても良い。
【0053】
本実施形態では、タンデム式のカラープリンター1に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ロータリー式のカラープリンター、モノクロプリンター、複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【0054】
<第2の実施形態>
次に、図9を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、補助レールが押し上げられていない状態を示す断面図であり、(b)は、補助レールが押し上げられた状態を示す断面図である。
【0055】
上記第1の実施形態では、バネ部材としてのコイルスプリング44の下端に補助レール36を接続したが、本実施形態では、付勢部材としてのコイルスプリング48の下端に補助レール36を接続している。つまり、第1の実施形態では、コイルスプリング44の下端に補助レール36を吊り下げていたが、本実施形態では、コイルスプリング48によって補助レール36を下方に付勢し、補助レール36の接続板37の下面を、係止部材としての仕切板41の上面に圧接させている(図9(a)参照)。
【0056】
そして、トナーコンテナ18の収納部25への装着時に、トナーコンテナ18が傾斜面46に沿ってガイドレール35へと誘導されると、図9(b)に示されるように、コイルスプリング48の付勢力に抗してトナーコンテナ18が補助レール36を押し上げて、補助レール36が仕切板41から離間する。また、トナーコンテナ18を収納部25へ装着すると、図9(a)に示されるように、コイルスプリング48の付勢力により補助レール36が下降して、補助レール36の接続板37の下面が仕切板41の上面に圧接する。
【0057】
本実施形態ではこのように、トナーコンテナ18を収納部25へ装着した際に、コイルスプリング48の付勢力で補助レール36を下降させているため、補助レール36を確実にガイドレール35の延長線上まで下降させることが可能となる。これに伴って、トナーコンテナ18の収納部25からの取り外し時には、補助レール36に沿ってトナーコンテナ18を確実に外部へと誘導することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 カラープリンター(画像形成装置)
18 トナーコンテナ(トナー容器)
25 収納部
31、32 フランジ部
34 周壁
35 ガイドレール
36 補助レール
41 仕切板(係止部材)
44 コイルスプリング(バネ部材)
46 傾斜面(誘導部)
48 コイルスプリング(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナー容器と、該トナー容器を支持するガイドレールが設けられた収納部と、を備え、前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせることで該トナー容器が前記収納部に対して着脱されるように構成された画像形成装置であって、
前記トナー容器の前記収納部に対する装着方向において前記ガイドレールの手前側には補助レールが昇降可能に設けられ、該補助レールの下方には前記装着方向の手前側に向かって下方に傾斜する誘導部が設けられ、
前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記トナー容器が前記誘導部に沿って前記ガイドレールへと誘導されると、前記トナー容器が前記補助レールを前記ガイドレールより上方位置に押し上げ、
前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、前記トナー容器による前記補助レールの押し上げが解除されて前記補助レールが前記ガイドレールの延長線上に下降することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補助レールを吊り下げるバネ部材を備え、
前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記トナー容器が前記補助レールの自重に抗して前記補助レールを押し上げて前記バネ部材が圧縮し、
前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、自重により前記補助レールが下降して前記バネ部材が復元することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補助レールを下方に付勢する付勢部材と、
前記補助レールを圧接可能な係止部材と、を備え、
前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記トナー容器が前記補助レールを押し上げて該補助レールが前記係止部材から離間し、
前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、前記付勢部材の付勢力により前記補助レールが下降して該補助レールが前記係止部材に圧接することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー容器の上端外周にはフランジ部が設けられ、
前記誘導部は、前記収納部の両側を覆う周壁に設けられた傾斜面であり、
前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記フランジ部が前記傾斜面に沿って前記ガイドレールへと誘導されると、前記フランジ部が前記補助レールを押し上げることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナーを収容し、画像形成装置の収納部に設けられたガイドレールに支持されるトナー容器であって、
前記画像形成装置には、前記トナー容器の前記収納部に対する装着方向において前記ガイドレールの手前側に補助レールが昇降可能に設けられ、該補助レールの下方には前記装着方向の手前側に向かって下方に傾斜する誘導部が設けられ、
前記トナー容器の前記収納部への装着時に、前記トナー容器が前記誘導部に沿って前記ガイドレールへと誘導されると、前記トナー容器が前記補助レールを前記ガイドレールより上方位置に押し上げ、
前記トナー容器が前記収納部へ装着されると、前記トナー容器による前記補助レールの押し上げが解除されて前記補助レールが前記ガイドレールの延長線上に下降することを特徴とするトナー容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−255976(P2012−255976A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130037(P2011−130037)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】