説明

画像形成装置及び冷却装置

【課題】機器の開口部82から漏れ出す騒音自体を低減させることで通常モードよりも騒音が低減された静音モードを有する画像形成装置等を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、装置内の空気を装置外に排出、又は装置内に外気を吸気するための開口部82と、装置内の被冷却物に対し、送風又は排気を行って冷却するためのファン8と、端部が開口部82若しくはファン8と接続され、又は、ファン8が内部に設けられることで、空気を導くダクト81と、装置の動作を制御するとともに、ファン8からの騒音を通常モードから減少させる制御が可能である制御部9と、制御部9による制御により、騒音を通常モードよりも減少させた状態を維持する静音モードとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の機器内部で生ずる熱を冷却、排熱するための冷却装置、及び、これを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、複合機、プリンタ、FAX装置などの画像形成装置、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等、各種の電気・電子機器は、内部にCPU、抵抗、トランジスタ、コンデンサ等の多数の電子部品を実装する配線基板や、各種ヒータ等、発熱する部材を備えることがある。そして、発熱する部材の影響により、機器内の温度が上昇し、機器の動作に支障をきたすことや、寿命を短くしてしまうことや、特性が変化してしまうことがある。このような温度上昇による弊害を防止、軽減するため、一般に、ファンやこれに接続されるダクトを用いて、機内の冷却・排熱が行われる。
【0003】
しかし、ファンを用いた場合、その風切音やファンを回転させるモータの駆動音が漏れ出し、騒音の原因となる場合がある。特に、冷却能力を高めるため、ファンの回転数が高い場合や、複数のファンを設けた場合などに、騒音が大きくなる。そして、このファンによる騒音を軽減する発明が特許文献1に記載されている。
【0004】
具体的に特許文献1には、オフィスオートメーション機器の外装カバーと、外装カバーの一部に配設されたファンと、消音装置とからなるオフィスオートメーション機器の消音装置において、消音装置の閉端部に曲面部を有するガイド板を設けた消音装置が開示されている。これにより、空気の渦流れをなくし、空気抵抗、流体騒音を低減しようとしている(特許文献1:特許請求の範囲、段落0039等参照)。
【特許文献1】特開平07−281497号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明をみると、消音装置とガイド板を機器の外装カバーに設け、確かに騒音の軽減を達成できると考えられるが、音漏れ、空気抵抗等を考慮すると、消音装置及びガイド板はある程度の大きさが必要となるから、機器が大型化してしまい、コスト的にも望ましいものではないという問題がある。
【0006】
更に、機器の機能が十分に果たされるためには、機器内の温度が一定以下であればよい(仕様温度)とすると、常に冷却の効率を高い状態で維持し、ファンから生ずる騒音を大きい状態としておく必要はない。又、通常、機器内の発熱量は、現在、機器が行っている動作、処理の量によって変わるものであり、機器内で常に発熱の高い状態が維持されるわけではない。そうすると、冷却の効率を低下させて、むしろ騒音を低減するほうが、騒音防止という観点から見て有利な場合があるという問題がある。しかし、特許文献1記載の発明は、機器の開口部から漏れ出した騒音の消音を扱うのみであり、騒音の発生量や開口部から漏れ出す騒音自体を低減させる点に着目したものではない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、機器の開口部から漏れ出す騒音自体を低減させることで通常モードよりも騒音が低減された静音モードを有する画像形成装置、冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1に係る発明は、画像形成装置において、装置内の空気を装置外に排出、又は装置内に外気を吸気するための開口部と、装置内の被冷却物に対し、送風又は排気を行って冷却するためのファンと、端部が前記開口部若しくは前記ファンと接続され、又は、前記ファンが内部に設けられることで、空気を導くダクトと、装置の動作を制御するとともに、前記ファンからの騒音を通常モードから減少させる制御が可能である制御部と、前記制御部による制御により、騒音を前記通常モードよりも減少させた状態を維持する静音モードと、を有することとした。
【0009】
この構成によれば、ファンの風切り音や、ファンを駆動させるためのモータの駆動音により生ずる騒音を減少させる静音モードを有するから、低騒音の画像形成装置を提供することができる。
【0010】
又、請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記静音モードでは、前記通常モードよりも、前記ファンの回転数を減らすことで騒音を減少させることとした。
【0011】
この構成によれば、ファンの回転数を減らすことで、冷却の能力を若干あえて低下させて、ファンの風切り音、モータの駆動音等を小さくし、騒音の発生量自体を減らすことで静音モードを実現することができる。又、モータの回転数を落とすので、省電力も達成することができる。
【0012】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記ダクトの形状を変化させるための可変機構を有し、前記ダクトは、形状変更可能であり、前記通常モードでは、空気を導く方向が、前記ファンの送風方向と一致するように、前記ファンから前記開口部までのダクトは直線的形状とされ、前記制御部は、前記静音モードでは、前記可変機構により前記ファンから前記開口部までのダクトの形状を変化させて騒音を減少させることとした。
【0013】
この構成によれば、通常モードでは、ダクトの形状を冷却の効率が一番高い一直線状とし、静音モードでは、冷却の効率は若干低下するが、ダクトの形状を変化させ、ファンから生じた騒音をダクト内で反射させることで、静音モードを実現することができる。
【0014】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3に記載の画像形成装置において、前記通常モードと前記静音モードの切り替え入力を受け付ける操作入力部を有し、前記制御部は、前記操作入力部への入力に従って、前記通常モードと前記静音モードを切り替えることとした。
【0015】
この構成によれば、機内温度等を勘案して、静音モードと通常モードの選択を制御部が自動的に行うことも可能であるが、操作入力部への使用者によるモード選択入力を可能とすることで、使用者がモードの切り替え可能であり、使用者の利便性、操作性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0016】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記静音モードの状態で、所定枚数以上の画像形成を連続して行う場合は、静音モードを自動的に解除し、通常モードに移行させることとした。
【0017】
この構成によれば、静音モードでは、冷却の能力が若干低下するので、連続して画像形成を行うと機内温度が上昇し、温度上昇による部品、部材等の特性変化により画像品質の低下や、電子部品の破損等を招き得るが、連続して画像形成を行える枚数を制限し、機内温度の極端な上昇を防ぐことができ、画像品質の低下を防ぐことができる。
【0018】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5に記載の画像形成装置において、装置には、複数の被冷却物を冷却するために、複数の前記ファンが設けられ、前記制御部は、複数の前記ファンの一部又は全部について、前記ファンからの騒音を、通常の状態から減少させる制御を行うことが可能であることとした。
【0019】
この構成によれば、画像形成装置に複数のファンが設けられている場合、それぞれのファンは騒音の発生源となるが、制御部は、それぞれのファンについて制御を行うから、機内温度の上昇と騒音を勘案するなど、騒音について細かな制御を行うことができる、
【0020】
又、請求項7に係る発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記制御部が設けられる制御基板と、トナー像を加熱・加圧してシートにトナーを定着させる定着装置と、画像データに基づき、走査・露光を行って感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像にトナーを供給する現像装置を備え、前記被冷却物は、少なくとも、前記制御基板、前記定着装置、前記露光装置、前記現像装置の全て又は一部であって、これらの複数の被冷却物を、複数のファンがそれぞれ冷却することとした。
【0021】
この構成は、画像形成装置内における冷却の必要性のある部分を具体的に示したものであり、これらにファンを設け冷却を行うことで、画像形成の品質を高い状態で維持することができる。
【0022】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至7に記載の画像形成装置において、装置内部の温度を測定するための温度センサを有し、前記制御部は、前記静音モードの状態で、所定温度よりも装置内部の温度が上昇した場合、前記静音モード解除し、前記通常モードに移行することとした。
【0023】
この構成によれば、静音モードでは、連続して行う画像形成の枚数に制限を加えても、機内温度が上昇し、画像品質が低下してしまうことがあるが、このような場合、静音モードを解除して、通常モードに復帰し冷却能力を高め、機内温度を低下させるから、形成される画像の品質を高い状態で維持することができる。
【0024】
又、請求項9に係る発明は、冷却装置において、空気を排出、又は吸気するための開口部と、被冷却物に対し、送風又は排気を行って冷却するためのファンと、端部が前記開口部若しくは前記ファンと接続され、又は、前記ファンが内部に設けられることで、空気を導くダクトと、前記ファンからの騒音を、前記ファンからの騒音を通常モードから減少させる制御が可能である制御部と、前記制御部による制御により、騒音を前記通常モードよりも減少させた状態を維持する静音モードと、を有することとした。
【0025】
この構成によれば、ファンの風切り音や、ファンを駆動させるためのモータの駆動音により生ずる騒音を減少させる静音モードを有するから、低騒音の冷却装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
上述したように、本発明によれば、静音モードを選択することにより、画像形成装置、冷却装置を通常の状態よりも低騒音の状態とすることができる。又、静音モードを選択しても、画像品質が低下し、熱により破損が生ずるような弊害もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜6を参照しつつ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。尚、本発明は、各種画像形成装置に適用可能であるが、複合機1に適用した場合を一例として説明する。
【0028】
まず、図1及び2に基づき、複合機1について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の概略構造を示す模型的正面断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る操作パネル10の一例をしめす正面図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態にかかる複合機1は、上部に原稿カバー1aが設けられ、その下部の複合機1本体は、その外面を外装カバー1bに覆われ、その内部に原稿読取部2、シート供給部3、シート搬送路4、画像形成部5、定着装置6、温度センサ7等を備える。又、複合機1の正面上部に操作パネル10(操作入力部に相当)が備えられる(図2参照。図3(a)において破線で図示、)。
【0030】
前記原稿カバー1aは、コンタクトガラス26に載置された原稿を上方から押さえる。そして、この原稿カバー1aは、図1の紙面奥に支点が設けられ、持ち上げ可能である。
【0031】
前記原稿読取部2は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。原稿読取部2内に、露光ランプ21、反射板22、ミラー23、レンズ24、イメージセンサとしてのCCDセンサ25等が設けられ、駆動機構(不図示)により露光ランプ21、反射板22、ミラー23が図1の左右方向で水平に移動し光学的に原稿を走査し、画像データを生成する(光路を2点鎖線で図示)。又、原稿読取部24の上面にはコンタクトガラス26が設けられ、原稿読取部24は、コンタクトガラス26上に載置される原稿を読み取る。
【0032】
前記シート供給部3は、画像形成部5に向けてシートを供給する。シート供給部3は、各サイズの用紙等のシートが収納されるカセット31、カセット31からシートを1枚ずつシート搬送路4に送り出すピックアップローラ32等を備える。例えば、使用者が、スタートキー12(図2参照)を使用者が押すと、ピックアップローラ32が回転駆動し、画像形成に必要となるシートが1枚ずつシート搬送路4に送り出される。
【0033】
前記シート搬送路4は、シート供給部3から供給されたシートを、画像形成部5、定着装置6を経て排出トレイ41まで搬送する。シート搬送路4には、シートを案内し、シート搬送路4に沿って設けられるガイド、搬送ローラ対42及び搬送されてくるシートを画像形成部5の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせてシートを送り出すレジストローラ43等が設けられる。
【0034】
前記画像形成部5は、シート搬送路4よって搬送されてきたシートに対して所定の画像形成を行う。画像形成部5は、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム51、感光体ドラム51の周囲に配設された帯電部52、レーザ走査ユニット53(露光装置に相当)、現像装置54、転写ローラ55、クリーニング部56を備える。
【0035】
前記感光体ドラム51は、画像形成部5の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動される。帯電部52は、図1において感光体ドラム51の右斜め上方に設けられ、感光体ドラム51の表面を所定電位に均一に帯電させる。レーザ走査ユニット53は、帯電部52の上方に設けられ、原稿読取部2で取得された画像データやネットワーク等により接続される外部コンピュータ100、相手方FAX装置200から送信された画像データ等に基づき、レーザ光Lをレーザ出力部(不図示)から出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像情報に応じた静電潜像を形成する。現像装置54は、感光体ドラム51の右斜め下方に設けられ、感光体ドラム51上の静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム51の左方に設けられる転写ローラ55と感光体ドラム51との間ではニップが形成され、このニップを通過する際、搬送されてきたシートに感光体ドラム51上のトナー像が転写される。クリーニング部56は、転写終了後、感光体ドラム51の表面に残留するトナーを清掃する。
【0036】
前記定着装置6は、シートに転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着装置6は、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ61と加圧ローラ62で構成される。加熱ローラ61と加圧ローラ62は圧接してニップを形成する。そして、トナー像の転写されたシートが、加熱ローラ61と加圧ローラ62とのニップを通過することで、トナーが溶融・加熱され、トナー像がシートに定着する。
【0037】
前記温度センサ7(例えば、サーミスタ)は、複合機1内に適宜設けることが可能である。その数は、1つだけでも良いが、1つとは限らず、例えば、制御基板91、定着装置6、レーザ走査ユニット53、現像装置54のそれぞれについて設けても良い。
【0038】
図2に示す前記操作パネル10は、複合機1の正面上方に設けられ、テンキー11、スタートキー12等の入力、設定用の各種キーを備える。そして、図2に示すように、操作パネル10は、装置の動作状態や各種メッセージを表示し、又、タッチパネルにより各種設定、モード選択等を行うことができる液晶表示部13を備える。例えば、複合機1の有するコピー、スキャナ、プリンタ、FAX機能の選択、画像の処理に関する拡大縮小機能、濃度調整機能等、複合機1の有する多様な機能を駆使するために、使用者は、操作パネル10から複合機1の動作の操作・設定可能である。
【0039】
又、本実施形態における複合機1は、詳細は後述するが、従来と同様の通常の状態(通常モード)に比べ、発する騒音の低減を実現する静音モードを有する。そして、その通常モードと静音モードの切替を、操作パネル10に設けられた静音モードキー14を押すことで行うことができる。又、静音モードキー14を設けず、液晶表示部13のタッチパネルへの入力により静音モードと通常モードの切替を行うようにしても良い。
【0040】
次に、図1及び3、4に基づき、本発明の実施形態に係る複合機1に備えられるファン8及びダクト81について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1に備えられるファン8及びダクト81の配置の一例を示すための模式図であり、(a)は複合機1を正面からみた模式図、(b)は複合機1を背面から見た模式図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るファン8、ダクト81、開口部82の接続形態を説明するための模型的断面図であり、(a)はダクト81の途中でファン8を設ける場合、(b)は、ダクト81が開口部82とファン8とを接続する場合、(c)は、ファン8を開口部82と接するように支持する場合のものである。
【0041】
図1及び3に示すように、本実施形態の複合機1には、装置内部の温度を所定温度以下にするための構成として、ファン8、ダクト81、開口部82が設けられる。
【0042】
前記開口部82は、装置内の空気を装置外に排出、又は装置内に吸気するため外装カバー1bに設けられる。前記ファン8は、装置内の被冷却物に対し、送風又は排気を行って冷却する。前記ダクト81は、一端部が開口部82若しくはファン8と接続され、又は、前記ファン8が内部に設けられることで、空気を導く。尚、開口部82には、一般にルーバー等が配設されるが、図示及び詳細な説明は省略する。
【0043】
尚、本実施形態の複合機1では、ファン8が、少なくとも3つ設けられ、具体的には、制御基板91(詳細は後述)を冷却するファン8Aと、現像装置54及び露光装置を冷却するファン8Bと、定着装置6を冷却するためのファン8Cを備える。即ち、被冷却物は、制御基板91、定着装置6、レーザ走査ユニット53、現像装置54である。
【0044】
前記ファン8Aは、図1及び図3に示すように、複合機1の後壁部分の内部に設けられる制御基板91に近接して設けられる(尚、ファン8Aの開口部82は、背面側に設けられる。又、ファン8Aのダクト81は図1、図3では不可視)。このファン8Aは、抵抗、コイル、CPU92、記憶素子、トランジスタ、コンデンサ等の多様な電子部品を実装し、通電により発熱する制御基板91に対し、送風を行い、又は吸気を行って冷却する。これにより、複合機1の誤動作を防止し、又、電子部品の破損や制御基板91の寿命の短命化を防ぐ。
【0045】
前記ファン8Bは、複合機1を正面からみて中央右側面部分(図1、図3(a)参照)に設けられ、主として、レーザ走査ユニット53、現像装置54に向けて送風し、又はレーザ走査ユニット53、現像装置54近傍の空気を排出し、実際に画像形成を行う画像形成部5における温度を所定温度以下にする。又、ファン8Bのダクト81は、装置内部を横切るように設けられ、開口部82は、複合機の右側面に設けられる。
【0046】
本実施形態におけるレーザ走査ユニット53は、レーザ光で、走査・露光を行うが、このレーザ光を照射する半導体レーザ装置は、温度によって特性が変化し、温度が上昇しすぎると、走査・露光に影響が出て、画像品質を損ない、更に、レーザ走査ユニット53内の部材が破損する畏れがある。又、現像装置54は、例えば、感光体ドラム51に対向させて配される現像ローラ54aが回転し、現像装置54内のトナーを撹拌するための撹拌機構54bも回転動作するので(図1参照)、摩擦熱等によって高熱になる場合がある。そこで、ファン8Bはレーザ走査ユニット53、現像装置54近傍に外気を送風又は吸気することによって、これらの弊害を防止する。
【0047】
前記ファン8Cは、複合機1を正面から見て中央左部分に設けられ(図1、図3(a)では不図示、図3(b)では、ファン8Cのダクト81は不可視)、定着装置6に対し送風又は吸気を行う。又、そのダクト81及び開口部82は、背面側に設けられる。定着装置6の温度が上昇しすぎると、トナーの溶融が理想的でなくなるので、定着装置6を冷却する。反対に、冬期の複合機1の電源投入時、複合機1が冷えきっていると、機内で結露が生じ画像形成が適切に行えないことがあり、ファン8Cが内部方向に送風を行って、定着装置6が生ずる熱を機内に送り込むこともできる。
【0048】
ここで、図4に基づき、本発明の実施形態に係るファン8、ダクト81、開口部82の接続形態について説明する。尚、ファン8A、8B、8Cの構成は基本的に同様であるので、以下、特に説明する場合を除き、A、B、Cの符号は省略する。
【0049】
ファン8、ダクト81、開口部82の接続形態は、様々考えられるが、図4(a)に示すように、ダクト81の途中でファン8を設けると、ダクト81の一端が排気口若しくは吸気口となり、他端は開口部82に接続される。又、図4(b)に示すように、ダクト81が開口部82とファン8とを接続することもできる。言い換えると、ダクト81の一端がファン8に接続され、他端が開口部82に接続される。又、図4(c)に示すように、ファン8を開口部82と接するように支持すれば、ダクト81の一端はファン8に接続され、他端は、被冷却物近傍に配され、排気口若しくは吸気口となる。
【0050】
本実施形態におけるファン8A、8B、8C及びこれらとダクト81、開口部82との接続は図4(a)〜(c)に示すいずれの類型でも良いが、いずれの類型であっても、開口部82の存在により、ファン8の風切り音や、ファン8を回転させるモータの駆動音等、ファン8の回転により生ずる騒音が開口部82から外部に漏れてしまう。即ち、開口部82は、複合機1内部で生ずる音を外部に漏らす部分となる。尚、複合機1内部で生ずる音には、例えば、シート搬送路4でシートとガイドがこすれる音や、各ローラやドラムを回転音が含まれ、これらの音も騒音として、開口部82から漏れることがある。
【0051】
これらの複数の開口部82から漏れだす騒音を減らすために、本実施形態に係る複合機1は、静音モードを有する。静音モードでは、ファン8を含め複合機1の各部を制御する制御部9が、ファン8を十分に回転させ(例えば、定格運転)冷却能力を十分に発揮させる通常モードよりも騒音を減少させた状態を維持するように制御する。
【0052】
ここで、通常モードとは、静音モードを設定していない状態であり、連続して画像形成を長時間行っても、機内温度が上昇しすぎないように、ファン8の回転数が静音モードよりも高い状態である。即ち、本実施形態の複合機1は、ファン8の回転状態を2以上有し、静音モードでは、通常モードよりも回転数を減少させる点に特徴がある。
【0053】
そこで、次に、図5に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の制御部9及びそのハードウェア構成について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1のブロック図である。
【0054】
制御部9は、制御基板91上に設けられるものであって、複合機1全体の動作を制御し、例えば、CPU92、記憶部93、画像処理部94等から構成される。
【0055】
前記CPU92は、中央演算処理装置であって、記憶部93に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機11の各部を制御する。記憶部93は、ROM、RAM、HDD等から構成され、ROMは、複合機1の制御用プログラムや制御用データを格納し、CPU92が制御用プログラム等を読み出す。RAMは、制御用プログラムを一時的に展開する場合や、画像データを一時的に保存しておく場合などに用いられる。HDDは、大容量の記憶装置であって、制御用プログラムや制御用データ、原稿読取部2で読み取った画像データや、FAX通信(送受信)での画像データを保存する。尚、本実施形態に係る静音モードにおける制御プログラムも記憶部93に記憶される。前記画像処理部94は、原稿読取部2で読み取られた画像データや、外部コンピュータ100や相手方のFAX装置200と通信の対象となる画像データに対し、各種画像処理を施す部分である。
【0056】
そして、制御部9は、原稿読取部2、画像形成部5等の各部を制御するため信号線により接続され、確実に複合機1が動作するように制御する。更に、制御部9は、インターフェイス(不図示)を介し、ネットワークや公衆回線により、複数の外部コンピュータ100や相手方のFAX装置200と接続される。これにより、原稿読取部2で読み取られた画像データに基づき画像形成を行えばコピー機能が実現され、記憶部93や外部コンピュータ100に画像データを送信すればスキャナ機能が実現される。又、外部コンピュータ100から送信された画像データについて画像形成を行えば、プリンタ機能が実現される。又、相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)と画像データの送受信を行うことでFAX機能が実現される。
【0057】
そして、制御部9は、ファン8A、8B、8Cのそれぞれの回転数を制御するための回転制御部83A、83B、83Cと接続され、CPU92は、各回転制御部83に対し各ファン8の回転のON/OFFを指示する信号を送信する。又、各回転制御部83は、複合機1内に適宜設けられる電源装置1cと接続され、複合機1の機内温度を下げる場合など、各ファン8を回転させることが必要な場合、各ファン8を回転させるためのファンモータ84A、84B、84C(各ファン8に接続される)に、電源装置1cからの電力を供給する。即ち、各回転制御部83は、各ファンモータ84のスイッチとして機能する。
【0058】
又、制御部9は、各ファンモータ84の回転数を指示する信号を各回転制御部83に送信する。そして、各回転制御部83は、この信号を受けて、各ファン8を回転させるために供給する電圧、電流、周波数等を変化させて、回転数を制御する。尚、各回転制御部83が行う制御は、直流、交流の違いや、定格等、各ファンモータ84に採用するモータによって異なるが、使用する各ファンモータ84にあわせて適宜設定すればよい。例えば、各回転制御部83は、通常モードにおける回転数(例えば、ファンモータ84の定格回転数)を100%とし、それに対し50%の回転数に落とすように、回転数の2段階制御を行うものであってもよいし、更に多段階にわたり回転数を変化させることができるものでもよい。
【0059】
更に、制御部9は、これらの複数のファン8の一部又は全部について、ファン8からの騒音を、通常の状態から減少させる制御(例えばファン8の回転数減少)を行うようにすることができる。例えば、定着装置6に対するファン8Cからの騒音が最も大きいのであれば、静音モードでは、ファン8Cの回転数を最も低い状態(例えば50%)で維持し、ファン8A、ファン8Bは、温度センサ7により測定された機内温度を参照しつつ、機内温度が高くなれば、静音モードでも、通常モードと同じ回転数にまで上昇させるという制御を制御部9は行うことができる。どのファン8をどれだけ回転数を低下させるかは、適宜設定可能であり、これにより、機内温度上昇による画像の品質の低下と騒音のバランスをとりつつ、細かな制御を行うことができる。
【0060】
このように、本実施形態の複合機1の制御部9は、ファン8を回転させるための各ファンモータ84の回転数を変化させることができ、静音モードでは、通常モードよりも、ファン8の回転数を減らすようにして騒音を減少させる。そして、本実施形態の複合機1は、通常モードと静音モードの切り替え入力を操作パネル10(静音モードキー14)で受け付け、制御部9は、操作パネル10への入力に従って、通常モードと静音モードを切り替える。尚、例えば、複合機1の利用状況を監視し、利用頻度が少なければ、機内温度は上昇し難いとして、静音モードが自動的に設定されるようにしてもよい。
【0061】
例えば、複合機1の画像形成速度等にもよるが、騒音に関するドイツの規格(BAM:Blue Angel Mark)において、本実施形態における複合機1の騒音が50dBであるとすると(騒音測定対象物から一定距離離れた位置で測定)、本実施形態による静音モードによれば、35〜40dB程度には騒音を低減することができる。
【0062】
更に言えば、複合機1の各オフィスでの設置位置の近くの座席に座る使用者にとって、50dB以上の騒音に感ずることがある。しかし、本実施形態の静音モードによれば、規格、カタログ値以上に静かであるとの印象を与えることができ、非常に有用性が高い。
【0063】
尚、本実施形態では、各ファン8の回転数を低くし、複合機1の冷却能力を低下させ、騒音を減少させ静音モードを実現している。そうすると、複合機1の機内温度は、上昇しやすくなる点は否定できない。そして、複合機1の機内温度は、連続して画像形成を行ったときに上昇しやすい。即ち、画像形成時は、定着装置6、画像形成部5等が稼働し、制御部9も処理を行っているので、複合機1の消費電力が大きくなり、そのエネルギーの一部が熱となる。
【0064】
そうすると、冷却能力を低下させた状態の静音モードでは、複合機1の機内温度が所定温度を超えてしまうおそれがある。そこで、本実施形態の複合機1は、制御部9は、静音モードの状態で、所定枚数以上の画像形成を連続して行う場合は、静音モードを自動的に解除し、通常モードに移行させる。尚、この観点から見れば、通常モードとは、連続して画像形成を行っても、機内温度が所定温度以下に保たれるように各ファン8を動作させるモードと言うことができる。
【0065】
ここで、所定枚数とは、適宜設定可能であるが、静音モードで連続して画像形成を行える枚数のことである。又、所定温度とは、複合機1を使用するにおいて、画像形成の品質が低下することや、故障が生ずることがないとされる、機内温度における設計上の仕様温度であり、機内温度は、この所定温度以下に保たれる必要がある。尚、所定温度は、各機器によって当然異なる。
【0066】
所定枚数は、例えば、A4サイズのシートを基準として100枚とすることができる。100枚程度であれば、画像形成の速度が高速な機種、低速な機種のいずれであっても、極端な温度上昇は生じないと考えられるためである。又、一般に、画像形成を行う場合、100枚以上行うことは希であって、そのような画像形成を行う使用者は限られ、使用者の実用の観点から見ても不都合はない。
【0067】
尚、この連続して画像形成を行わない所定枚数は、複合機1の冷却能力を勘案して適宜定めればよい。又、両面印刷の可能な画像形成装置であれば、一度、定着装置6を通過し暖められたシートが、再度、装置内で搬送されるので、連続して画像形成を行わない枚数は100枚以下に設定すればよい(例えば、50枚〜10枚など)。
【0068】
この静音モードでの連続して行う画像形成の枚数制限は、操作パネル10や外部コンピュータ100からの複合機1への画像形成枚数の入力時に行われる。例えば、操作パネル10の液晶表示部13やテンキー11への入力で、200枚と設定したり、又、複合機1をプリンタとして利用する場合も、複合機1に接続される外部コンピュータ100(ユーザ端末)でのユーティリティソフト(プリンタドライバソフト)における印刷部数の指定でも、100枚以上の連続画像形成の指示入力がされた場合、制御部9は、複合機1を静音モードから通常モードに自動的に移行させる。尚、原稿カバー1aに代えて、原稿自動送り装置(不図示)により、複写を行う場合、原稿の読み取りも100枚を超えた時点で自動的に通常モードに移行するようにしてもよい。
【0069】
しかし、このような連続して画像形成を行う枚数の制限を行っても、環境温度や100枚以下の画像形成が断続的に行われた場合など、静音モードで複合機1の機内温度が所定温度以上となる場合が想定される。そのような場合のため、本実施形態の複合機1は、機内温度を測定するための温度センサ7を有し、制御部9は、静音モードの状態で、所定温度よりも装置内部の温度が上昇した場合、静音モードを解除し、通常モードに移行する。これにより、静音モードよりも冷却能力を高め、ファン8の回転数を通常モードに戻し、機内温度が所定温度以下となるように排熱・冷却を行う。
【0070】
次に、図6に基づき、本発明の第1の実施形態に係る静音モードの制御について詳細に説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係る静音モードについて説明するためのフローチャートである。
【0071】
まず、スタートは、複合機1の電源が投入され、起動している状態である。尚、操作パネル10の静音モードキー14の押下により、通常モードが選択された場合は、その時点で、静音モードに係る制御は終了するので、静音モード中に静音モードキー14の押下がない場合について説明する。
【0072】
制御部9は、操作パネル10から静音モードキー14の押下による選択入力を検出すると(ステップ♯1)、静音モードに移行する(ステップ♯2)。尚、複合機1の起動時に自動的に静音モードとなるようにしてもよい。そして、静音モードでは、制御部9は、ファン8の回転数を低下させる(ステップ♯3)。
【0073】
そして、静音モードに移行すると、画像形成指示が操作パネル10や外部コンピュータ100から入力されるまで、この状態を維持する(ステップ♯4のNo)。画像形成の指示があった場合(ステップ♯4のYes)、所定枚数以上の画像形成を連続して行う旨の入力がなされ、静音モードが自動的に解除するか否かを制御部9は確認する(ステップ♯5)。そして、所定枚数以上の画像形成を行う旨の入力がなされれば(ステップ♯5のNo)、静音モードが解除され、通常モードに移行する(ステップ♯8)
【0074】
そして、静音モードのまま、画像形成が行われると(ステップ♯5のYes、ステップ♯6)、制御部9は、温度センサ7の検知温度を監視して、機内温度が所定温度を超えていないかどうかを確認する(ステップ♯7)。もし、所定温度を超えていなければ(ステップ♯7のNo)、静音モードを維持する(ステップ♯3へ)。一方、所定温度を超えてしまった場合(ステップ♯7のYes)、自動的に通常モードに復帰し(ステップ♯8)、静音モードにおける処理を終了する(エンド)。
【0075】
次に、図7に基づき、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は本発明の第2の実施形態に係るダクト81の形状を説明するための模型的断面図であり、(a)は通常モード、(b)は、静音モード、(c)は、静音モードを実現する構成の一例を示す。ここで、第2の実施形態は、通常モードと静音モードで、ダクト81の形状を変化させる点で、第1の実施形態と差異を設けたものである。
【0076】
尚、第2の実施形態の基本的な構成は、図1〜6を用いて説明した上記の第1の実施形態と同じであるから、上記の第1の実施形態と共通する構成については、図面の記載及び説明を省略する。
【0077】
本実施形態に係る複合機1は、各ファン8から生ずる騒音を低減するために、各ファン8から開口部82に通じるダクト81の形状を変化させる点に特徴を有する。即ち、本実施形態に係る複合機1は、ダクト81の形状を変化させるための可変機構85を有し、ダクト81は、形状変更可能であり、通常モードでは、空気を導く方向が、各ファン8の送風方向と一致するように、各ファン8から開口部82までのダクト81は一直線的形状とされ、制御部9は、静音モードでは、可変機構85によりファン8から開口部82までのダクト81の形状を変化させて騒音を減少させる。
【0078】
具体的に説明すると、図7(a)に示すように、通常モードでは、冷却の効率を高めるため、開口部82とファン8を接続するダクト81は、ファン8の送風、吸気方向と一致するように一直線状とされる。即ち、ファン8の送風が最もスムーズに行われる形状とされる。しかし、このダクト81の形状では、冷却の効率は高められるものの、ファン8の発生する音(図7において2点鎖線で図示)は、開口部82から機外へ騒音として漏れ出してしまう。
【0079】
そこで、図7(b)に示すように、静音モードでは、ダクト81の形状を曲折し、ファン8の発生する音の全てが開口部82から漏れ出さないようにする。即ち、ダクト81を曲げることで、ファン8の発生する音の一部は、ダクト81で反射するので、複合機1の騒音レベルを低下させることができる。尚、この場合、ファン8から開口部82までの距離が長くなるので(=ダクト81部分の体積が増加)、冷却能力は低下するものの、上述したように、制御部9が機内温度を維持するから、画像品質の低下等の問題はない。
【0080】
本実施形態におけるダクト81の形状を変化させるための可変機構85の一例を図7(c)に示す。この可変機構85は、カム86により、ダクト81の形状を変化させる場合を示している。まず、ダクト81は、例えば、蛇腹状であり、力を加えることで変形する。このダクト81に対し、カム86が接し、モータ、ギア等で構成される駆動機構(不図示)に接続されるカム86の回転軸87が、回転することで、カム86が、図7(c)に示すように、90度回転する。これにより、ダクト81に力を加えることができる。
【0081】
そして、ダクト81を確実に変形させるために、例えば断面コ字状の支持部材88を設け、この支持部材88とカム86を当接させ、ダクト81の幅方向全体を移動させるようにしても良い。尚、可変機構85は、この一例に限られず、例えば、ソレノイドを用いても良いし、ダクト81は、必ず蛇腹状である必要はなく、形状変形可能であればよい。
【0082】
尚、静音モードから通常モードに移行した場合に、ダクトの形状が一直線状となるように、付勢部材89(例えば、ばね)が設けられる。即ち、カムが、図7(c)の実線の位置に戻った際に、付勢部材89は、ダクトの形状を一直線上に戻す。
【0083】
ここで、ダクト81の形状変更により、静音モードを達成できるが、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせることで、静音モードを実現しても良い。冷却の能力は、いずれか一方のみを実施する場合よりも低下するが、機内温度が所定温度を超えないように制御部9により制御すれば問題はなく、騒音低下の観点から見れば十分実用価値がある。
【0084】
このようにして、第1及び第2の実施形態によれば、ファン8の風切り音や、ファン8を駆動させるためのモータの駆動音により生ずる騒音を減少させる静音モードを有するから、低騒音の複合機1(画像形成装置)を提供することができる。
【0085】
又、ファン8の回転数を減らすことで、冷却の能力を若干あえて低下させて、ファン8の風切り音、モータの駆動音等を小さくし、騒音の発生量自体を減らして静音モードを実現することができる。又、モータの回転数を落とすので、省電力も達成することができる。或いは、通常モードでは、ダクト81の形状を冷却の効率が一番高い一直線状とし、静音モードでは、冷却の効率は若干低下するが、ダクト81の形状を変化させ、ファン8から生じた騒音をダクト81内で反射させることで、静音モードを実現することができる。
【0086】
又、機内温度等を勘案して、静音モードと通常モードの選択を制御部9が自動的に行うことも可能であるが、操作パネル10(操作入力部)への使用者によるモード選択入力を可能とすることで、使用者がモードの切り替え可能であり、使用者の利便性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0087】
又、静音モードでは、冷却の能力が若干低下するので、連続して画像形成を行うと機内温度が上昇し、温度上昇による部品、部材等の特性変化により画像品質の低下や、電子部品の破損等を招き得るが、静音モードでの連続して画像形成を行える枚数を制限し、機内温度の極端な上昇を防ぐことができ、画像品質の低下を防ぐことができる。
【0088】
又、複合機1に複数のファン8が設けられている場合、それぞれのファン8は騒音の発生源となるが、制御部9は、それぞれのファン8について制御を行うから、機内温度の上昇と騒音を勘案するなど、騒音について細かな制御を行うことができる、そして、これらのファン8により冷却の必要性のある部分に対し冷却を行うことで、所定温度内以下に機内温度を保つことができる。
【0089】
又、静音モードでは、連続して行う画像形成の枚数に制限を加えても、機内温度が上昇し、画像品質が低下してしまうことがあるが、このような場合、静音モードを解除して、通常モードに復帰し冷却能力を高め、機内温度を低下させるから、電子部品の破壊もなく形成される画像の品質を高い状態で維持することができる。
【0090】
又、ファン8、ダクト81、開口部82を有する冷却装置は、ファン8の風切り音や、ファン8を駆動させるためのモータの駆動音により生ずる騒音を減少させる静音モードを有するから、低騒音の冷却装置を提供することができる。
【0091】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、複合機1について示したが、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置、パーソナルコンピュータ等、に配されるファン8、開口部82、ダクト81を備える冷却装置に本発明は適用できる。
【0092】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、複写機、複合機1、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置等及び冷却装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る複合機の概略を示す模型的正面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る操作パネルの一例をしめす正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る複合機に備えられるファン及びダクトの一例を示すための模式図であり、(a)は複合機を正面からみた模式図、(b)は複合機を背面から見た模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るファン、ダクト、開口部の接続形態を説明するための模型的断面図であり、(a)はダクトの途中でファンを設ける場合、(b)は、ダクトが開口部とファンとを接続する場合、(c)は、ファンを開口部と接するように支持する場合のものである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る複合機のブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る静音モードについて説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るダクトの形状を説明するための模型的断面図であり、(a)は通常モード、(b)は、静音モード、(c)は、静音モードを実現する構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0095】
1 複合機(画像形成装置) 8 ファン(8A、8B、8C)
10 操作パネル(操作入力部) 81 ダクト
5 画像形成部 82 開口部
53 レーザ走査ユニット(露光装置) 84 ファンモータ(84A、84B、84C)
54 現像装置 85 可変機構
6 定着装置 9 制御部
7 温度センサ 91 制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内の空気を装置外に排出、又は装置内に外気を吸気するための開口部と、
装置内の被冷却物に対し、送風又は排気を行って冷却するためのファンと、
端部が前記開口部若しくは前記ファンと接続され、又は、前記ファンが内部に設けられることで、空気を導くダクトと、
装置の動作を制御するとともに、前記ファンからの騒音を通常モードから減少させる制御が可能である制御部と、
前記制御部による制御により、騒音を前記通常モードよりも減少させた状態を維持する静音モードと、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記静音モードでは、前記通常モードよりも、前記ファンの回転数を減らすことで騒音を減少させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置
【請求項3】
前記ダクトの形状を変化させるための可変機構を有し、
前記ダクトは、形状変更可能であり、前記通常モードでは、空気を導く方向が、前記ファンの送風方向と一致するように、前記ファンから前記開口部までのダクトは直線的形状とされ、
前記制御部は、前記静音モードでは、前記可変機構により前記ファンから前記開口部までのダクトの形状を変化させて騒音を減少させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通常モードと前記静音モードの切り替え入力を受け付ける操作入力部を有し、
前記制御部は、前記操作入力部への入力に従って、前記通常モードと前記静音モードを切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記静音モードの状態で、所定枚数以上の画像形成を連続して行う場合は、静音モードを自動的に解除し、通常モードに移行させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
装置には、複数の被冷却物を冷却するために、複数の前記ファンが設けられ、
前記制御部は、複数の前記ファンの一部又は全部について、前記ファンからの騒音を、通常の状態から減少させる制御を行うことが可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部が設けられる制御基板と、トナー像を加熱・加圧してシートにトナーを定着させる定着装置と、画像データに基づき、走査・露光を行って感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像にトナーを供給する現像装置を備え、
前記被冷却物は、少なくとも、前記制御基板、前記定着装置、前記露光装置、前記現像装置の全て又は一部であって、これらの複数の被冷却物を、複数のファンが冷却することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
装置内部の温度を測定するための温度センサを有し、
前記制御部は、前記静音モードの状態で、所定温度よりも装置内部の温度が上昇した場合、前記静音モード解除し、前記通常モードに移行することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
空気を排出、又は吸気するための開口部と、
被冷却物に対し、送風又は排気を行って冷却するためのファンと、
端部が前記開口部若しくは前記ファンと接続され、又は、前記ファンが内部に設けられることで、空気を導くダクトと、
前記ファンからの騒音を、前記ファンからの騒音を通常モードから減少させる制御が可能である制御部と、
前記制御部による制御により、騒音を前記通常モードよりも減少させた状態を維持する静音モードと、を有することを特徴とする冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−58587(P2009−58587A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223735(P2007−223735)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】