説明

画像形成装置及び方法

【課題】 抵抗値が部分的に変動する連続紙であっても良好な画質で画像を形成することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 像担持体22Y,22M,22C,22Kに形成されたトナー像を連続紙に転写する転写ロール24Y,24M,24C,24Kと、転写ロール24Y,24M,24C,24Kに電流を供給し、転写ロール24Y,24M,24C,24Kが連続紙に接しているときの転写ロール24Y,24M,24C,24Kの電圧を連続的に測定する電圧測定部102と、トナー像の連続紙への転写時に転写ロール24Y,24M,24C,24Kに供給する電流値と、電流値の変更タイミングとを測定された電圧に応じて設定する制御部100とを有する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続紙に高速で画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続紙に画像を高速で形成する画像形成装置の転写装置として、コロナ転写方式の転写装置が一般的に用いられてきた。しかしながら、粗悪用紙、薄紙の使用時や、重連印刷時の用紙じわによって転写不良が発生することから転写ロール方式の採用が望まれている。
転写ロール方式は、カット紙プリンタでは一般的に採用されている技術であり、転写ロールへの電荷印加方式として転写ロールに流れる電流値が一定となるように制御する定電流制御方式が一般的に採用されている。
【0003】
特許文献1は、連続用紙上に転写されたトナーを加熱定着する定着部の熱の影響を受けた連続用紙の領域にトナーを転写する際には、転写部の転写電流を通常よりも高く設定している。
【0004】
特許文献2では、被印字ラベルとして導電性ラベルを印字する際に、被印字ラベルの帯電開始から所定の区間における転写電流を、他の区間における転写電流よりも大きくしている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−24577号公報
【特許文献2】特開平7−302001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら連続紙にカード媒体などが埋め込まれていると、普通紙の部分とカード媒体の部分で抵抗値が大きく異なってしまう。このような連続紙に対して上述した定電流制御を行うと、良好な転写性が得られないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、抵抗値が部分的に変動する転写材であっても良好な画質で画像を形成することができる画像形成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために本発明の画像形成装置は、像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写ロールと、前記転写ロールに電流を供給し、前記転写ロールが前記転写材に接しているときの前記転写ロールの電圧を連続的に測定する測定手段と、トナー像の前記転写材への転写時に前記転写ロールに供給する電流値と、該電流値の変更タイミングとを測定された電圧に基づいて設定する設定手段とを有する構成としている。
このように本発明は、転写ロールに電流を流して、転写ロールの電圧の変化を測定する測定手段を設けたことで、抵抗値が部分的に変動する転写材であっても良好な画質で画像を形成することができる。
【0009】
上記画像形成装置において、前記測定手段は、画像の形成前に前記転写材を搬送路に搬送して、前記転写ロールの電圧測定を行うとよい。
【0010】
本発明の画像形成方法は、転写ロールに電流を供給し、前記転写ロールが転写材に接しているときの前記転写ロールの電圧を連続的に測定するステップと、トナー像の前記転写材への転写時に前記転写ロールに供給する電流値と、該電流値の変更タイミングとを測定された電圧に基づいて設定するステップとを有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、抵抗値が部分的に変動する用紙であっても良好な画質で画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
まず、図1を参照しながら本実施例の構成を説明する。本実施例の画像形成装置1は、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像をそれぞれ連続紙Pに順次転写するプリント部12Y、プリント部12M、プリント部12C及びプリント部12Kを備えている。プリント部12Y、プリント部12M、プリント部12C及びプリント部12Kは、連続紙Pの搬送方向上流側から下流側へ向かって順に配列されている。プリント部12Yの搬送方向上流側には、巻き出しロール70から繰り出した連続紙Pをプリント部12Y、プリント部12M、プリント部12C及びプリント部12Kの各々へ搬送する用紙搬送部14が設けられている。プリント部12Kの搬送方向下流側には、プリント部12Y、プリント部12M、プリント部12C及びプリント部12Kの各々で転写された各色トナー像を連続紙Pに定着させる定着部16及び定着部16を通過した連続紙Pを排紙する排紙部17が設けられている。
【0014】
用紙搬送部14は、連続紙Pを巻掛ける搬送ローラ18を備えている。搬送ローラ18には、アイドルロール19Dが圧接されている。連続紙Pは、アイドルロール19Dと搬送ローラ18とのニップ部によって挟持搬送され、アイドルロール19Cを介してプリント部12Yへと搬送される。
【0015】
プリント部12Y、プリント部12M、プリント部12C及びプリント部12Kは、像担持体22Y、像担持体22M、像担持体22C及び像担持体22Kを各々備えている。像担持体22Y、像担持体22M、像担持体22C及び像担持体22Kは、保持部材23Y、保持部材23M、保持部材23C及び保持部材23Kの各々によって着脱可能に保持されるとともに、連続紙Pの搬送経路に沿って配列されている。
【0016】
プリント部12Yは、転写ローラ24Y、ガイドロール40Y、クリーニング装置28Y、帯電チャージャ30Y、LEDヘッド32Y及び現像装置34Yを更に備えている。帯電チャージャ30Yは、像担持体22Yを一様に帯電する。例えば、帯電チャージャ30Yは、交流電圧にマイナスの直流バイアス電圧を重畳させたマイナスの電圧を印加する。LEDヘッド32Yは、Y色に応じた画像データに基づいて、帯電チャージャ30Yによって一様に帯電された像担持体22Yを露光することによって、像担持体22Y上に静電潜像を形成する。現像装置34Yは、LEDヘッド32Yの像担持体回転方向Bの下流側に設けられ、像担持体22Yに形成された静電潜像に応じたY色のトナー像を形成する。現像装置34Yには、交流電圧にマイナスの直流バイアス電圧を重畳させたマイナスの現像バイアス電圧が印加されている。現像装置34Yによって像担持体22Yの静電潜像の形成領域にのみY色のトナーが吸着されることによって、静電潜像に応じたY色のマイナスに帯電したトナー粒子からなるトナー像が像担持体22Y上に形成される。
【0017】
現像装置34Yによって像担持体22Y上に形成されたY色のトナー像には、転写ローラ24Yによって詳細を後述する転写バイアスが印加されることによって、マイナスに帯電したトナー粒子からなるトナー像が像担持体22Yから連続紙P側に引き寄せられ、連続紙P上にトナー像が転写される。クリーニング装置28Yは、連続紙Pに転写されずに像担持体22Y表面に残留した未転写残留トナーを掻き落して除去する。
【0018】
プリント部12Mは、プリント部12Yと同様に、像担持体22M、転写ローラ24M、ガイドロール40M、クリーニング装置28M、帯電チャージャ30M、LEDヘッド32M及び現像装置34Mを更に備えている。また、プリント部12Cもプリント部12Yと同様に、像担持体22C、転写ローラ24C、ガイドロール40C、クリーニング装置28C、帯電チャージャ30C、LEDヘッド32C及び現像装置34Cを更に備えている。さらにプリント部12Kは、プリント部12Yと同様に、像担持体22K、転写ローラ24K、ガイドロール40K、クリーニング装置28K、帯電チャージャ30K、LEDヘッド32K及び現像装置34Kを更に備えている。プリント部12M、プリント部12C及びプリント部12Kの各々の各構成は、上述のプリント部12Yと同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
【0019】
定着部16は、フラッシュ定着装置52、アイドルロール54A、アイドルロール54B、アイドルロール54C及び排紙ロール56を備えている。アイドルロール54A、アイドルロール54B及びアイドルロール54Cは、これらのアイドルロールに巻き掛けられた連続紙Pを表裏反転して搬送する。フラッシュ定着装置52は、連続紙Pのトナー像形成面に赤外線を照射させる。赤外線の照射によって連続紙P上の未定着トナーが加熱溶融した後に、凝固することによって連続紙Pに各色トナー像が定着する。フラッシュ定着装置52を通過した連続紙Pは、排紙部17へ搬送され、アイドルロール59A及びアイドルロール59Cを介して定着部16へ再び搬送された後に排紙ロール56によって装置外部へ排紙され、巻き取りロール80に巻き取られる。
【0020】
図2に、転写ロール24と、転写ロール24に印加する電流を制御する装置の構成を示す。この装置は、電流出力部101と、電圧測定部102と、制御部100とを有している。なお、以下では転写ロール24Y、24M、24C、24Kや帯電チャージャ30Y、30M、30C、30Kなど、各色ごとの区別をする必要がない場合には、代表して転写ロール24、帯電チャージャ30と表記する。
電流出力部101は、制御部100の制御に従って、転写ロール24に電流を供給する。
電圧測定部102は、転写ロール24に電流を供給することで転写ロール24に生じる電圧を測定する。測定した電圧値は、制御部100に通知される。
制御部100は、電圧測定部102の測定電圧に基づいて、電流出力部101が転写ロール24に供給する電流値を制御する。
【0021】
本実施例は、図3に示すように連続紙の一部にカード媒体110が一定間隔で印刷されているなど、抵抗値が一部で異なる連続紙に画像を形成する。
このような抵抗値が変動する連続紙に良好な画質の画像を形成するために、制御部100が電流出力部101及び電圧測定部102を用いて連続紙の抵抗値の変動周期を検出している。転写ロール24に一定の電流を印加したときの転写ロール24の電圧変動を測定することで、連続紙の抵抗値の変動を検出することができる。図4には、画像形成装置1の用紙搬送経路に一定の速度で連続紙を流し、転写ロール24に一定の電流を印加したときに電圧測定部102で測定される電圧の変化を示す。抵抗値の低い普通紙部分120が転写ロール24に接すると、図4に示すように電圧測定部102で測定される電圧も低くなるが、抵抗値の高いカード媒体110が転写ロールに接すると、図4に示すように電圧測定部102で測定される電圧も高くなる。
【0022】
制御部100は、電圧測定部102で測定した電圧変動と、用紙の搬送速度とから連続紙の普通紙部分120が転写ロール24に接しているときに転写ロール24に供給する電流と、カード媒体部分110が転写ロール24に接するときに転写ロール24に供給する電流と、電流値を切り替える変更タイミングとを設定する。
なお、転写ロール24に電流を供給して、転写ロール24の電圧を測定する工程は、位置合わせ補正、用紙排出などの非印刷通紙時や、オートロード時に行う。
位置合わせ補正とは、連続紙上の画像の形成開始位置を設定するものである。連続紙に画像を形成する場合、連続紙を巻き出しロール70から巻き出して画像形成位置まで搬送する速度に変動が生じるため、一度巻き出しロール70から巻き出した用紙を搬送経路に流し、画像の形成位置を設定する位置合わせ処理を行う。
また、オートロードとは、連続紙の印刷が終了し、次の連続紙の印刷を行うときに連続紙の先端を搬送路に自動的に繰り出し、印刷が終了した連続紙につなげる機能である。
【0023】
図5には、転写ロール24に印加する電流(転写電流)を変更していったときの転写効率(%)の変化を示す。転写効率90%以上の良好な画質を得るためには、普通紙部分120で200μA〜400μA、カード媒体部分110で300μA〜550μAの電流が必要となる。しかし、実際、普通紙部分では像担持体22に流れ込む電流を低く抑える必要があるため転写電流に200μA〜250μAを選択する。同様の理由でカード媒体110が転写ロール24に接するときには転写電流に300〜350μAを選択する。
このように連続紙の普通紙部分とカード媒体部分とで転写時に供給する最適な転写電流の値が異なる。
そこで、制御部100は、転写ロール24に普通紙が接する時と、カード媒体が接する時とで転写ロール24に供給する電流値を変更する制御を行う。
【0024】
図6に示すフローチャートを参照しながら本実施例の処理手順を説明する。
連続紙の搬送を開始すると(ステップS1)、制御部100は、転写ロール24を像担持体22に接触させる(ステップS2)。そして、電流出力部101を制御して一定の電流を転写ロール24に供給する(ステップS3)。このとき、制御部100は電圧測定部102により転写ロール24の電圧を連続的に測定していく。
電圧の測定が終了すると、制御部100は測定した電圧の変動と、用紙搬送速度とから転写ロール24に供給する電流の周期を設定する(ステップS4)。
【0025】
このように本実施例は、普通紙に印刷されたカード媒体など、部分的に抵抗値が異なる領域を有する連続紙であっても良好な画像を形成することができる。
なお、上述した実施例では、連続紙を搬送路に流して転写ロールに電流を供給し、電圧を測定して抵抗値の変動を検出しているが、操作部からのユーザの操作入力に従って、転写ロールに供給する電流を変更してもよい。
【0026】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】転写ロールと、転写ロールに印加する電流を制御する装置の構成を示す図である。
【図3】印刷に使用される連続紙について説明するための図である。
【図4】普通紙部分とカード媒体部分で転写ロールに印加する電圧を示す図である。
【図5】普通紙部分とカード媒体部分での転写電流(μA)と転写効率(%)との関係を示す図である。
【図6】制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置
22Y、22M、22C、22K 像担持体
23Y、23M、23C、23K 保持部材
24Y、24M、24C、24K 転写ロール
32Y、32M、32C、32K LEDヘッド
34Y、34M、34C、34K 現像装置
100 制御部
101 電流出力部
102 電圧測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写ロールと、
前記転写ロールに電流を供給し、前記転写ロールが前記転写材に接しているときの前記転写ロールの電圧を連続的に測定する測定手段と、
トナー像の前記転写材への転写時に前記転写ロールに供給する電流値と、該電流値の変更タイミングとを測定された電圧に基づいて設定する設定手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記測定手段は、画像の形成前に前記転写材を搬送路に搬送して、前記転写ロールの電圧測定を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
転写ロールに電流を供給し、前記転写ロールが転写材に接しているときの前記転写ロールの電圧を連続的に測定するステップと、
トナー像の前記転写材への転写時に前記転写ロールに供給する電流値と、該電流値の変更タイミングとを測定された電圧に基づいて設定するステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−47833(P2009−47833A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212742(P2007−212742)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】