説明

画像形成装置及び画像形成装置の制御方法

【課題】本実施形態に係る画像形成装置においては、紙削減率の算出結果をより実情に即したものとすること。
【解決手段】出力対象の画像に含まれる文字サイズと目視による判別が可能であることを示す文字サイズとに基づいて縮小可能率を算出し、画像の集約印刷及び画像の縮小印刷の実行可否と縮小可能率とが関連付けられたテーブルに基づいて印刷ジョブに係る画像形成出力の集約印刷または縮小印刷を決定し、印刷ジョブに係る画像のページ数と、両面に画像が形成される用紙の枚数と、集約印刷が行われる場合に集約の対象となるページ数とに基づいて紙削減率を算出し、その際、縮小印刷が決定されてサイズの異なる用紙に画像形成出力が実行される場合、ページ数を修正すると共に、縮小可能率があらかじめ定められた所定の閾値を越えている場合、集約の対象となるページ数を修正することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の制御方法に関し、特に、出力される紙の枚数を削減する省資源印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された情報の出力に用いられるプリンタにおいては、両面印刷や集約印刷等を利用して画像形成出力において出力される用紙の枚数を削減するエコ印刷が行われる場合がある。また、このようなエコ印刷の効果の指標として、所定の計算式に基づいて算出された紙削減率をエコカウントとしてユーザに提示するエコ画面表示が行われる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記紙削減率は、例えば、以下の式(1)によって算出される。

ここで、“トータル出力面数”は、集計を開始してから現在までに実行された印刷ジョブの面数の合計値である。また、“両面枚数”は、集計を開始してから現在までに両面に画像が形成されて出力された用紙の枚数の合計値である。また、“集約面数”は、集計を開始してから現在までに集約対象となった面数の合計値であり、2in1や4in1等の集約の態様に関わらず、集約の対象となった元の面数の合計値である。
【0005】
例えば、元の印刷ジョブにおいて8ページであった文書を両面印刷によって出力した場合、“両面枚数”は“4”となり、上記式(1)の計算の結果、紙削減率は“50%”となる。また、元の印刷ジョブにおいて8ページであった文書を両面印刷及び2in1集約によって出力した場合、“両面枚数”が“2”、“集約面数”が“8”となり、上記式(1)の計算の結果、紙削減率は“62.5%”となる。
【0006】
他方、集約印刷や縮小印刷等によって文字が読めない状態にまで小さくなることを防ぎ、自動的に集約印刷や縮小印刷等の設定を行う方法が既に知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記式(1)の計算式では、紙削減率に影響するのは両面印刷及び集約印刷のみである。縮小印刷によりA4サイズをB5サイズにすることや、A3サイズをA4サイズにすることによっても、図10に示すように、消費される用紙のサイズを小さくすることによって消費される紙を削減することが可能であるが、上記式(1)においては縮小印刷は紙削減率には反映されず、正確な紙削減率を算出することができない。
【0008】
また、図11に示すように、2ページ分の画像を1枚に集約して出力する場合、上記式(1)においては紙削減率に反映される。しかしながら、右側の集約された状態の画像に基づいて印刷ジョブを生成して画像形成出力を実行した場合、最終的に出力される用紙は同じであるにも関わらず、紙削減率には算入されない。
【0009】
即ち、集約印刷による紙削減率は、集約の機能が利用されたか否かによって数値に反映される。従って、予め文字サイズが小さく、縮小して集約することが困難な程度に情報が詰め込まれた画像を出力する場合は、出力される枚数に対して多くの情報が形成されており、用紙を効率的に利用しているにも関わらず、紙削減率には反映されない。このような実情の結果、エコ意識の高いユーザでも評価が低くなってしまうこととなる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、紙削減率の算出結果をより実情に即したものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、画像形成出力に応じて紙の削減率を計算する画像形成装置であって、画像形成出力の実行命令に基づき、出力対象の画像に含まれる文字サイズと、あらかじめ定められた文字サイズであって目視による判別が可能であることを示す文字サイズとに基づき、現在のサイズに対して縮小可能なサイズの割合を示す縮小可能率を算出する縮小可能率算出部と、画像の集約印刷及び画像の縮小印刷の実行可否と前記縮小可能率とが関連付けられたテーブルに基づき、算出された前記縮小可能率に応じて前記実行命令に係る画像形成出力の集約印刷または縮小印刷を決定する画像加工決定部と、前記実行命令に係る画像のトータルの出力ページ数と、前記実行命令に係る画像形成出力において用紙の両面に画像が形成される用紙の枚数と、前記集約印刷が行われる場合に集約の対象となる出力対象の画像のページ数とに基づいて紙削減率を算出する紙削減率算出部と、前記算出された紙削減率を表示するための情報を出力する情報出力部とを含み、前記紙削減率算出部は、縮小印刷が決定されてサイズの異なる用紙に画像形成出力が実行される場合、前記トータルの出力ページ数を修正すると共に、前記縮小可能率があらかじめ定められた所定の閾値を越えている場合、前記集約の対象となる出力対象の画像のページ数を修正して、前記紙削減率を算出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様は、画像形成出力に応じて紙の削減率を計算する画像形成装置の制御方法であって、画像形成出力の実行命令に基づき、出力対象の画像に含まれる文字サイズと、あらかじめ定められた文字サイズであって目視による判別が可能であることを示す文字サイズとに基づき、現在のサイズに対して縮小可能なサイズの割合を示す縮小可能率を算出し、画像の集約印刷及び画像の縮小印刷の実行可否と前記縮小可能率とが関連付けられたテーブルに基づき、算出された前記縮小可能率に応じて前記実行命令に係る画像形成出力の集約印刷または縮小印刷を決定し、前記実行命令に係る画像のトータルの出力ページ数と、前記実行命令に係る画像形成出力において用紙の両面に画像が形成される用紙の枚数と、前記集約印刷が行われる場合に集約の対象となる出力対象の画像のページ数とに基づいて紙削減率を算出し、前記算出された紙削減率を表示するための情報を出力し、前記紙削減率の算出に際して、縮小印刷が決定されてサイズの異なる用紙に画像形成出力が実行される場合、前記トータルの出力ページ数を修正すると共に、前記縮小可能率があらかじめ定められた所定の閾値を越えている場合、前記集約の対象となる出力対象の画像のページ数を修正して、前記紙削減率を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙削減率の算出結果をより実情に即したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の運用形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るクライアント端末及び画像形成装置の動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の実施形態に係る印刷設定と縮小可能率とが関連付けられたテーブルを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像加工設定の決定動作を示すフローチャートである。
【図7】従来技術に係る課題を示す図である。
【図8】従来技術に係る課題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態においては、画像形成装置の例として、出力される枚数を効率的に削減するための印刷設定を自動的に決定すると共に、紙削減率の計算方法が最適化された画像形成装置について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の運用形態を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、ネットワークを介してクライアント端末2に接続されて運用される。本実施形態に係る画像形成装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。本実施形態において、画像形成装置1は、クライアント端末2から受信した印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行する。クライアント端末2は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現される。
【0017】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1及びクライアント端末2のハードウェア構成について図2を参照して説明する。尚、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ等を実現するためのエンジンを備える。以下の説明においては、画像形成装置1のハードウェア構成を例として説明するが、クライアント端末2についても同様である。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
【0019】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0020】
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0021】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1及びクライアント端末2の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0022】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、ディスプレイパネル104、給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107及びネットワークI/F108を有する。
【0023】
また、コントローラ100は、主制御部110、エンジン制御部120、画像処理部130、操作表示制御部140及び入出力制御部150を含む。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン106を有する複合機として構成されている。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0024】
ディスプレイパネル104は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し、若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル104は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル104は、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。本実施形態において、ユーザは、ディスプレイパネル104を操作してジョブ管理サーバ3に格納された印刷ジョブの選択及び取得を指示する。
【0025】
ネットワークI/F108は、画像形成装置1がネットワークを介してクライアント端末2等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。ネットワークI/F108は、図2に示すI/F50によって実現される。
【0026】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って動作することにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0027】
主制御部110は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部120は、プリントエンジン106やスキャナユニット102等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。画像処理部130は、主制御部110の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン106が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
【0028】
また、画像処理部130は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1の記憶領域に格納され若しくはネットワークI/F108を介して他の情報処理端末や記憶装置に送信される情報である。
【0029】
操作表示制御部140は、ディスプレイパネル104に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル104を介して入力された情報を主制御部110に通知する。入出力制御部150は、ネットワークI/F108を介して入力される情報を主制御部110に入力する。また、主制御部110は、入出力制御部150を制御し、ネットワークI/F108及びネットワークを介してクライアント端末2等の他の機器にアクセスする。
【0030】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部150がネットワークI/F108を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部150は、受信した印刷ジョブを主制御部110に転送する。主制御部110は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部130を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0031】
画像処理部130によって描画情報が生成されると、エンジン制御部120は、プリントエンジン106を制御し、上記生成された描画情報に基づき、給紙テーブル105から搬送される用紙に対して画像形成を実行させる。即ち、画像処理部130、エンジン制御部120及びプリントエンジン106が画像形成出力部として機能する。プリントエンジン106の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン106によって画像形成が施された文書は排紙トレイ107に排紙される。
【0032】
このような画像形成装置1において、本実施形態に係る要旨は、クライアント端末2から受信する印刷ジョブがエコ印刷要求であった場合に、出力される画像が読み取り困難な大きさまで縮小されてしまうことなく出力枚数を削減するために効率の良い印刷設定を自動で決定し、実情に即した紙削減率を算出することにある。以下、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。尚、上記エコ印刷要求とは、紙削減率を高めるように集約、縮小等の設定を行うことを指示するフラグ情報等が付加された印刷ジョブである。
【0033】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1の動作をクライアント端末2との関係において示すシーケンス図である。図4に示すようにクライアント端末2が画像形成装置1に対してエコ印刷要求を送信すると(S401)、画像形成装置1は、上述したように印刷ジョブを受信する。
【0034】
画像形成装置1においては、まず、主制御部110が、入出力制御部150が受信した印刷ジョブを取得し、印刷ジョブに含まれるユーザ情報及び認証情報に基づいてユーザ認証を行う(S402)。これにより、ユーザ毎に紙削減率を算出することが可能となる。その後、主制御部110は、印刷ジョブに含まれるフラグ情報に基づいて印刷ジョブに含まれるエコ印刷要求であることを確認すると、印刷ジョブに係る画像データに基づいて“縮小可能率”を算出する(S403)。即ち、主制御部110が、縮小可能率算出部として機能する。ここで、縮小可能率とは、下記式(2)によって算出される値である。

【0035】
ここで、“最小文字サイズ”とは、印刷ジョブに含まれる印刷対象の画像データに含まれる文字のうち最もサイズの小さい文字のサイズである。また、“最小許容文字サイズ”とは、予め主制御部110に設定された閾値であり、紙面上に出力された際に読み取りが困難にならない文字サイズを示す値である。従って、“縮小可能率”は、印刷対象の画像データに含まれる最小の文字サイズに基づき、印刷対象の画像データをどの程度縮小可能であるか、即ち、元のサイズに対する縮小可能なサイズの割合を示す値である。
【0036】
主制御部110は、受信した印刷ジョブに含まれる印刷対象の画像データから“最小文字サイズ”を取得し、予め設定された“最小許容文字サイズ”を用いて式(1)の計算を行うことにより、“縮小可能率”を算出する。“縮小可能率”を計算すると、主制御部110は、算出した“縮小可能設定”に基づき、図5に示すような“縮小可能率”と“印刷設定”との対応関係を示すテーブルに基づいて画像加工設定を行う(S404)。即ち、主制御部110が、画像加工決定部として機能する。このS404の処理において、「両面印刷」、「縮小印刷」、「集約印刷」等の画像加工の設定が決定される。
【0037】
画像加工設定を決定すると、主制御部110は、決定した画像加工設定に基づいて紙削減率を算出する(S405)。即ち、主制御部110が、紙削減率算出部として機能する。このS405における紙削減率の算出方法が本実施形態に係る要旨の1つである。上述したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、ユーザ認証を行うことによりユーザ毎に紙削減率を算出する。詳細については後述する。その後、主制御部110は、決定した画像加工設定に従って画像処理部130を制御し、「縮小印刷」、「集約印刷」等の画像加工を実行させ(S406)、エンジン制御部120を制御して画像形成出力を実行させる(S407)。これにより、プリントエンジン106によって画像形成出力が実行される。
【0038】
更に、主制御部110は、操作表示制御部140を制御し、S405において算出した紙削減率をディスプレイパネル104に表示させる(S408)。即ち、主制御部110が、情報出力部として機能する。この他、主制御部110は、S408において、紙削減率を表示するための情報を、入出力制御部150を制御し、ネットワークI/F108を介してクライアント端末2に送信し、クライアント端末2において紙削減率が表示されるようにしても良い。尚、S406及びS407と、S408とは独立した処理であり、S406及びS407と、S408とを並列して実行しても良いし、S406の前にS408を実行しても良い。
【0039】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1におけるS404の画像加工設定及びS405の紙削減率の算出処理の詳細について説明する。図6は、本実施形態に係る画像加工設定動作を示すフローチャートである。図6に示すように、主制御部110は、画像加工設定を開始すると、まず、印刷ジョブに含まれる出力対象の画像データに基づき、印刷ページ数を確認する(S601)。S601において確認されるのは、両面印刷や、集約印刷等を考慮する前の、元の画像データのページ数である。
【0040】
S601の確認の結果、印刷ページ数が1ページであれば(S602/NO)、主制御部110は、両面印刷や集約印刷を実行する意味がないと判断し、縮小印刷の判断(S608)に進む。他方、印刷ページ数が2ページ以上であった場合(S602/YES)、主制御部110は、少なくとも両面印刷の意味があると判断し、両面印刷設定を行う(S603)。S603の処理は、例えば両面印刷を実行することを指示するフラグ情報を設定する処理である。
【0041】
次に、主制御部110は、S601において確認した印刷ページ数が5ページ以上であるか否か確認する(S604)。S604の確認の結果、印刷ページ数が5ページ以上であれば(S605/YES)、主制御部110は、4in1集約、即ち、4ページを1ページに集約して出力する意味があると判断し、4in1集約が可能であるか否かの判断を行う(S605)。他方、印刷ページ数が4ページ以下であれば(S605/NO)、4in1集約の意味がないと判断し、S606に進む。
【0042】
S605において、主制御部110は、図5に示すテーブルに基づき、図4のS403において算出した縮小可能率が50%以下であるか否かを判断することにより、4in1集約が可能であるか否かを判断する。S605の確認の結果、4in1集約印刷が可能であれば(S605/NO)、主制御部110は、S603と同様に4in1集約設定を指示するためのフラグ情報を設定し(S609)、処理を終了する。
【0043】
他方、S605の確認の結果、4in1集約印刷が不可能であった場合(S605/YES)、主制御部110は、次に、S601において確認した印刷ページ数が3ページ以上であるか否か確認する(S606)。S604の確認の結果、印刷ページ数が3ページ以上であれば(S606/YES)、主制御部110は、4in1集約、即ち、2ページを1ページに集約して出力する意味があると判断し、2in1集約が可能であるか否かの判断を行う(S607)。他方、印刷ページ数が2ページ以下であれば(S606/NO)、2in1集約の意味がないと判断し、S608に進む。
【0044】
S607において、主制御部110は、図5に示すテーブルに基づき、図4のS403において算出した縮小可能率が71%以下であるか否かを判断することにより、2in1集約が可能であるか否かを判断する。S607の確認の結果、2in1集約印刷が可能であれば(S607/NO)、主制御部110は、S603と同様に2in1集約設定を指示するためのフラグ情報を設定し(S610)、処理を終了する。
【0045】
他方、S607の確認の結果、2in1集約印刷が不可能であった場合(S607/YES)、主制御部110は、次に、縮小印刷が不可能であるか否か確認する(S608)。S608において、主制御部110は、図5に示すテーブルに基づき、図4のS403において算出した縮小可能率が87%以下であるか否かを判断することにより、2in1集約が可能であるか否かを判断する。
【0046】
S608の確認の結果、縮小印刷が可能であれば(S608/YES)、主制御部110は、A4サイズをB5サイズにする等の縮小率の設定を行い(S611)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る画像加工設定の動作が完了する。
【0047】
次に、図4のS405における紙削減率の算出処理について説明する。まず、本実施形態に係る主制御部110は、下記の式(3)により紙削減率を計算する。

【0048】
ここで、“トータル出力面数”は、集計を開始してから現在までに実行された印刷ジョブの面数の合計値である。また、“両面枚数”は、集計を開始してから現在までに両面に画像が形成されて出力された用紙の枚数の合計値である。また、“集約面数”は、集計を開始してから現在までに集約対象となった面数の合計値であり、2in1や4in1等の集約の態様に関わらず、集約の対象となった元の面数の合計値である。
【0049】
“トータル出力面数”、“集約面数”、“両面枚数”は、それぞれのユーザ毎の累計値がHDD40等の記憶媒体に格納されており、主制御部110は、S402において認証されたユーザの“トータル出力面数”、“集約面数”、“両面枚数”を読み出すと共に、今回の画像形成出力における各数値を加算してそれぞれの値を求める。
【0050】
更に、“エコ集約面数”は、集約印刷を行わなかった場合であっても1枚の用紙に情報の詰まった出力を行った場合にカウントされる数値であり、それぞれのページにおける“縮小可能率”が高い数値であれば“+1”される。“エコ集約面数”がカウントされるような“高い値”を判断するための“縮小可能率”の閾値としては、図5に示すように集約や縮小印刷が不可能となる87%としても良いし、最大限まで縮小されていることを条件とする100%としても良い。
【0051】
この“エコ集約面数”は、縮小化能率が高い場合は、元からサイズが縮小された画像が印刷ジョブとして入力されており、集約や縮小等の機能を用いていなくとも紙削減に貢献した効率的な出力が実行されていると判断して、“集約面数”を修正するために考慮される数値である。
【0052】
また、“エコトータル出力面数”は、縮小印刷により小さいサイズの用紙に出力が行われた場合にカウントされる数値であり、縮小印刷が行われた場合、ページ毎に“−0.5”がカウントされる。逆に、拡大印刷が行われた場合、ページ毎に“+0.5”がカウントされる。この“エコトータル出力面数”は、縮小によってサイズが小さい用紙に出力が実行されれば紙削減に貢献し、逆に拡大によってサイズが大きい用紙に出力が実行されれば紙削減に反するものであるとして、“トータル出力面数”を修正するために考慮される数値である。
【0053】
主制御部110は、このような計算式により紙削減率を計算することにより、両面印刷及び集約印刷のみではなく、縮小印刷により小さいサイズの紙で出力を行った場合にも紙削減率の数値に反映することができる。また、機能として両面印刷、集約印刷及び縮小印刷を用いていない場合であっても、“エコトータル出力面数”というパラメータにより文字サイズに基づいて情報の密集度を判断し、効率的な紙出力が行われた場合には紙削減率に反映することができる。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成装置においては、紙削減率の算出結果をより実情に即したものとすることができる。尚、上記実施形態においては、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより構成される主制御部110が、S403、S404、S405及びS408それぞれの処理を実行する場合を例として説明した。
【0055】
この他、上記S403、S404、S405及びS408それぞれの処理を実行する専用のハードウェアを集積回路などによって構成し、コントローラ100の一部として組み込むことによっても、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
2 クライアント端末
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 バス
100 コントローラ
101 ADF
102 スキャナユニット
103 排紙トレイ
104 ディスプレイパネル
105 給紙テーブル
106 プリントエンジン
107 排紙トレイ
108 ネットワークI/F
110 主制御部
120 エンジン制御部
130 画像処理部
140 操作表示制御部
150 入出力制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2010−93486号公報
【特許文献2】特開2002−152497号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成出力に応じて紙の削減率を計算する画像形成装置であって、
画像形成出力の実行命令に基づき、出力対象の画像に含まれる文字サイズと、あらかじめ定められた文字サイズであって目視による判別が可能であることを示す文字サイズとに基づき、前記画像に含まれる文字サイズに対して縮小可能なサイズの割合を示す縮小可能率を算出する縮小可能率算出部と、
画像の集約印刷及び画像の縮小印刷の実行可否と前記縮小可能率とが関連付けられたテーブルに基づき、算出された前記縮小可能率に応じて前記実行命令に係る画像形成出力の集約印刷または縮小印刷を決定する画像加工決定部と、
前記実行命令に係る画像のトータルの出力ページ数と、前記実行命令に係る画像形成出力において用紙の両面に画像が形成される用紙の枚数と、前記集約印刷が行われる場合に集約の対象となる出力対象の画像のページ数とに基づいて紙削減率を算出する紙削減率算出部と、
前記算出された紙削減率を表示するための情報を出力する情報出力部とを含み、
前記紙削減率算出部は、縮小印刷が決定されてサイズの異なる用紙に画像形成出力が実行される場合、前記トータルの出力ページ数を修正すると共に、前記縮小可能率があらかじめ定められた所定の閾値を越えている場合、前記集約の対象となる出力対象の画像のページ数を修正して、前記紙削減率を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記テーブルにおいて、縮小可能率の所定範囲と前記縮小印刷が可能であることが関連付けられており、
前記予め定められた所定の閾値は、前記テーブルにおいて前記縮小印刷が可能な縮小可能率の上限値として関連付けられた値であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テーブルにおいて、前記縮小印刷が可能な縮小可能率の上限値よりも更に小さい値と集約印刷が実行可能であることとが関連付けられている事を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成出力に応じて紙の削減率を計算する画像形成装置の制御方法であって、
画像形成出力の実行命令に基づき、出力対象の画像に含まれる文字サイズと、あらかじめ定められた文字サイズであって目視による判別が可能であることを示す文字サイズとに基づき、現在のサイズに対して縮小可能なサイズの割合を示す縮小可能率を算出し、
画像の集約印刷及び画像の縮小印刷の実行可否と前記縮小可能率とが関連付けられたテーブルに基づき、算出された前記縮小可能率に応じて前記実行命令に係る画像形成出力の集約印刷または縮小印刷を決定し、
前記実行命令に係る画像のトータルの出力ページ数と、前記実行命令に係る画像形成出力において用紙の両面に画像が形成される用紙の枚数と、前記集約印刷が行われる場合に集約の対象となる出力対象の画像のページ数とに基づいて紙削減率を算出し、
前記算出された紙削減率を表示するための情報を出力し、
前記紙削減率の算出に際して、縮小印刷が決定されてサイズの異なる用紙に画像形成出力が実行される場合、前記トータルの出力ページ数を修正すると共に、前記縮小可能率があらかじめ定められた所定の閾値を越えている場合、前記集約の対象となる出力対象の画像のページ数を修正して、前記紙削減率を算出することを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−18234(P2013−18234A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154878(P2011−154878)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】