説明

画像形成装置

【課題】 保持部材を固定部材の組み付け後それに接触させるように固定し、かつ保持部材の固定を水平に対し5度から45度以下の長穴部で行うことで上下の荷重および振動が掛かっても保持部を上下に動かす力を減少させることで落ち込みを防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 装置本体上部に配置するスキャナ装置24とその下方に配置され、開放部の上に伸びてスキャナ装置24を支持するスキャナ支持部25と、スキャナ装置とスキャナ支持部25を連結し、スキャナ支持部25に固定されているスキャナ固定部材27と、調整後スキャナ固定部材27の下方に接触するように前記スキャナ支持部25に固定された保持部材28を有し、長穴部28Aにより保持部材28を水平に動かすことで上下方向にも移動可能となり必ず前記スキャナ固定部材27に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排紙部に相当する4側面中の2面が排出された用紙の取り出し性確保のため開放されている胴内排紙構造を採用している画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の胴内排紙機構を有する複写機では、排紙された用紙の視認性、取り出し性を向上するために排紙部の4面中2面が開放されている(例えば、特許文献1参照)。
上述のごとく、胴内排紙機構を有する複写機では、排紙された用紙の視認性、取り出し性向上のために排紙部の4つの側面中の2面が開放されている。胴内排紙機構の上部に配置されているスキャナの4点の支持部中3点は装置筐体に下方を支持されているが開放2面の交点にあたる1点は隣にある他点から支持部材を伸ばして支えている構造となっている。ただ、前述の1点は下方を直接支持していないため荷重による変形等が発生しやすいため、補強も兼ねてスキャナ→固定部材→支持部材で固定される。
また、スキャナはその平面性(コンタクトガラスの平面性)が確保されていない場合に読み取り原稿が斜行するため、支持部材とスキャナとの連結状態を調整可能としてスキャナの平面度を調整する必要があったが、支持部材が装置本体に他点で固定されているために上記調整は難しく、固定部材と支持部材との固定部で調節することで対応していた。通常、固定部材に設けられた上下方向の長穴部で支持部とネジ止めすることで長穴の長さ分だけ調整可能な構成となっている。
【特許文献1】特開平11−84797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、荷重方向は、通常、上下方向であり、調整用の長穴と同じ方向であるため、ネジの保持力を超える大きな荷重や振動により長穴によってネジを支持し切れずに、ネジが長穴内をスライド移動し、スキャナの落ち込みが発生する場合がある。
そこで、本発明の目的は、スキャナ装置を、スキャナ固定部材を介してスキャナ支持部材に組み付けるに際して、スキャナ固定部材のスキャナ支持部材に対する高さ位置が落ち込みを起こすことを防止するものであり、スキャナ支持部材に設けた保持部材を用いてスキャナ固定部材の高さ位置を微調整すると共に、微調整に際して保持部材の固定を水平に対し5度から45度以下の傾斜を有した長穴部にて行うことで上下の荷重および振動が掛かっても保持部を上下に動かす力としてはその1/10〜7/10に減少させることで落ち込みを防止する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、装置本体上部に配置するスキャナ装置とその下方に配置され、4面中2面が開放された排紙用の開放部を備えた胴内排紙型の画像形成装置において、前記装置本体に固定され前記開放部の上方に伸びて前記スキャナ装置を支持するスキャナ支持部材と、前記スキャナ装置を支持すると共に前記スキャナ支持部材に対する前記スキャナ装置の姿勢を上下方向に調整可能なように前記スキャナ支持部材にネジ止めされるスキャナ固定部材と、前記スキャナ支持部材、又は前記スキャナ固定部材に配置された保持部材と、を有し、前記スキャナ支持部材、又は前記スキャナ固定部材の何れか一方に設けた前記保持部材は、水平方向に対して5度から45度以下の範囲で斜め上下方向へ傾斜した長穴部を有し、該長穴部を他方の部材に設けたネジ穴と
連通した状態でネジ固定することにより該保持部材の位置を調整することにより前記スキャナ本体を水平姿勢に調整可能に構成したことを特徴とする。
なお、装置本体上部に配置するスキャナ装置とその下方に配置され、4面中2面が排出された用紙の取り出し性確保のため開放されている胴内排紙型である画像形成装置において、前記装置本体に固定され、開放部の上に伸びてスキャナ装置を支持するスキャナ支持部と、前記スキャナ装置と前記スキャナ支持部を連結し、このスキャナ支持部を補強するとともにスキュ−補正のために上下方向に調整可能なように前記スキャナ支持部に固定されているスキャナ固定部材と、調整後前記スキャナ固定部材の下方に接触するように前記スキャナ支持部に固定された保持部材を有し、この保持部材はそのほぼ中央部に設けられた水平に対し5度から45度以下の長穴部をネジで前記スキャナ支持部に固定し、前記長穴部により前記保持部材を水平に動かすことで上下方向にも移動可能となり必ず前記スキ
ャナ固定部材に接触するように構成してもよい。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、前記保持部材は、前記スキャナ支持部材が前記装置本体に固定されている部分から最も離れた位置に固定されている請求項1記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、また、請求項3に記載の発明は、前記保持部材と前記スキャナ固定部材が略水平直線状に接触し、前記保持部材の固定がネジ1点である請求項1または2記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記保持部材により、前記スキャナ支持部材に対する前記スキャナ本体の角度を調整した後、前記スキャナ固定部材の外形形状に沿わせてマ−キングを追加した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
なお、前記スキャナ固定部材を調整し、前記保持部材を取り付けた後、前記スキャナ固定部材の下方外形形状に沿わせてマ−キングを追加するように構成しても良い。
また、請求項5に記載の発明は、装置本体上部に配置するスキャナ装置と、その下方に配置され4面中2面が開放された排紙用の開放部と、を備えた胴内排紙型の画像形成装置において、前記装置本体に固定され前記開放部の上方に伸びて前記スキャナ装置を支持するスキャナ支持部材と、前記スキャナ装置を支持するとともに前記スキャナ支持部材に対する前記スキャナ装置の姿勢を上下方向に調整可能なように前記スキャナ支持部材にネジ止めされるスキャナ固定部材と、前記スキャナ支持部材、または前記スキャナ固定部材に可動な状態で配置される保持部材と、を有し、前記スキャナ支持部材、または前記スキャナ固定部材の何れか一方に設けた前記保持部材は、中央部に回転中心を有しかつ2本のアームを備えるテコ形状のレバーであり、一方のアームを前記スキャナ固定部材の下方に接触させ、他方のアームを前記スキャナ支持部材に固定することによって前記スキャナ固定部材および前記スキャナ装置の動きを規制するストッパ機構として役立つ画像形成装置を特徴とする。
【0006】
また、請求項6に記載の発明は、前記保持部材の前記他方のアーム側に設けられた長穴と、その長穴1に5度から45度で交差するように前記スキャナ支持部材に設けられた長穴と、前記長穴を貫通する軸を有しかつ前記スキャナ支持部材および前記保持部材を挟み込んで固定するための締結部材を設け、この締結部材をスキャナ支持部材に設けられた前記長穴に沿ってスライドさせることによって前記保持部材を回動させ、前記一方のアームを介して前記スキャナ固定部材および前記スキャナ装置を移動可能とした請求項5記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記両方の長穴が同一の幅を有する請求項5または6記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記締結部材が、板材に固定されかつネジを有する軸と、前記スキャナ支持部材および前記保持部材を挟み込むつまみネジを備える請求項6または7記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記締結部材の板材に取っ手を設けた請求項5乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記締結部材の板材に凹所を設けた請求項5乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スキャナ固定部材の組み付け後にこのスキャナ固定部材に接触させるように保持部材を固定し、かつ保持部材の固定を水平に対し5度から45度以下の長穴部で行うことで上下の荷重および振動が掛かっても保持部材を上下に動かすのに要する力を、その1/10〜7/10に減少させることで落ち込みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1はカラー画像形成装置の構成、及び画像形成動作について説明する概略図である。図1において、可撓性のベルト状像担持体としての感光体ベルト1は、感光体駆動ロ−ラ2、および従動ロ−ラ3a、3bに張設され、矢印方向(時計廻り)に回転移動する。
感光体ベルト1は、帯電チャージャ4により一様に帯電された後、レーザ書き込みユニット5により、画像情報に基づいて発光が制御されるレーザの走査露光を受け、表面には静電潜像が形成される。
感光体ベルト1を回転させながら走査露光し、静電潜像を形成する1工程に用いる画像情報は、所望のフルカラー画像をマゼンタ、シアン、イエロー、および黒の色情報に分解した単色の画像情報である。この情報により、半導体レーザの発光を制御する。発生するレーザビームは光学装置(レーザ書き込みユニット)5により走査、および光路調整し、出力する。
単色の画像情報に基づいて形成された静電潜像は、カラー現像装置6a、6b、6c、6dにより対応するマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、および黒(Bk)トナーで各々単色現像され、感光体ベルト1上に各々の色画像が順次形成される。
図1中の矢印方向(時計廻り)に回転する感光体ベルト1上に形成されたM、C、Y、Bkの各単色画像は、同図中の矢印方向(反時計廻り)に回転する中間転写ベルト10上に、バイアスローラ13に印加された所定の転写バイアスの作用により、順次重ね転写される。
中間転写ベルト10上に重ね合わされたM、C、Y、Bkの画像は、給紙台(給紙カセット)17から給紙ローラ18、グリップローラ対19a、19b、レジストローラ対20a、20bを経て、転写部へ搬送された転写紙17a上に転写ローラ14により一括転写される。図1において、符号11は中間転写ベルト10の駆動ローラ、12は従動ローラである。
転写終了後、転写紙17aは定着装置21により定着されて、フルカラー画像が完成し、排紙ローラ対22a、22bを経て、排紙スタック部23に排出される。排紙スタック部23の前面および左側の面が胴内排紙の開放面となる。なお、排紙スタック部23の上方にはスキャナ装置24を示してある。
【0009】
図2は図1の画像形成装置のスキャナ支持部の第1の実施の形態をこの画像形成装置の左から見た側面図である。図3は図2に使用する保持部材の周辺を示す拡大図である。図2および図3において、スキャナ支持部のスキャナ支持部材25は本体後側板26にネジ固定されている。
スキャナ固定部材27は、図のような板形状でスキャナ装置24とは両者の対応箇所に形成された穴A同志をネジ止めすることにより固定され、またスキャナ固定部材27とスキャナ支持部材25とは何れか一方に形成された長穴Bと他方に形成された丸穴(ネジ穴)bとを夫々ネジ止めすることにより固定される。
長穴Bに対する丸穴bの位置を微調整することにより、スキャナ固定部材27に固定されたスキャナ装置24を水平姿勢となるように調整できる(つまり、支持部材25に対する固定部材27の上下方向位置、角度を調整することにより、スキャナ本体24を水平姿勢に調整できる)。
しかし、長穴Bは上下方向へ延びる長穴形状となっているため、上からの力に対してはネジの保持力に依存するしかなく、大きな力や振動により上下方向へずれることがある。
そこで本発明では斜め方向(水平方向でもなく、垂直方向でもない方向)へ延びる長穴部28Aを貫通形成した保持部材28をスキャナ支持部材に追加する。この保持部材28は図のようにスキャナ支持部材25の右側寄り位置に移動可能な状態で取り付けられる。
すなわち、保持部材28には長穴部28Aを設けるとともに、スキャナ固定部材27にはこの長穴部28Aと連通可能な丸穴cを設け、両穴を図示しないネジによりネジ止めすることにより、スキャナ支持部材25に対する保持部材28の位置関係(角度、高さ)を調整できる。つまり、保持部材28は長穴部28Aがネジに係合することにより、長穴部に沿って移動可能となる。
【0010】
保持部材28に設けられた長穴部28Aは、水平方向に対し5度〜45度の範囲で右上がりに傾斜した形状であり、実際に保持部材28の位置を下げるためには、ネジにより保持部材28を上下方向へ回動自在に支持したスキャナ支持部材25に対して、保持部材28を長穴部28Aに沿って左下方向に動かす力が必要となり、その方向に働く力は上からの力F(鉛直方向下向きの力)の1/10〜7/10となる。
また、スキャナ固定部材27は、丸穴cと長穴部28Aに挿通したネジ1点でスキャナ支持部材25に固定されているが、図のように上から力Fが掛かった場合、保持部材28のネジ止め部を中心に左右に力が掛かるためネジ止め1点でも十分機能を果たす。
なお、上記実施の形態では、スキャナ支持部材25の適所に長穴部28Aを備えた保持部材28を可動な状態で設け、スキャナ固定部材27側に丸穴cを設けたが、これとは逆にスキャナ固定部材27側に長穴部28Aを備えた保持部材28を可動な状態で設け、スキャナ支持部材25側に丸穴cを設けても良い。
本発明によれば、スキャナ固定部材27、またはスキャナ支持部材25の何れか一方に設けた保持部材28は水平方向に対して5度から45度以下の範囲で斜め上下方向へ傾斜した長穴部28Aを有している。この長穴部28Aを他方の部材に設けたネジ穴cと連通した状態でネジ固定することにより保持部材28の位置を調整する。
これによりスキャナ本体を水平姿勢に調整可能に構成しており、さらにスキャナ本体から離れた位置に保持部材28を設けることで水平度調整作業における効率化を図ることができる。
【0011】
また、保持部材28のネジ固定を1点にすることで保持部材28はネジを中心に回転できるが、図3に示した実施の形態では、保持部材28の直線状の(平坦な)上面28aと、スキャナ固定部材27の平坦な下面27aとが略水平状に直線で接触しているため、ネジを中心としてその両側に力が釣り合うように掛かる効果が得られ、かつ保持部材28の小型化を図ることができる。
保持部材28をスキャナ固定部材27側に支持する場合には、保持部材28の下面側に設けた図示しない平坦面を、スキャナ支持部材25適所に設けた平坦面と当接させることになる。
本発明によれば、さらに、スキャナ支持部材25に対するスキャナ本体24の角度を調整した後、スキャナ固定部材27の外形形状に沿わせてマ−キング(正規の位置関係確認用の目印)を追加する。
すなわち、最初に取り付けた段階でスキャナ本体24、スキャナ固定部材27、或いは保持部材28等が水平な姿勢にあることを示すマ−キングを追加して水平姿勢にあることを目視確認可能な構成とすることで、出荷された以降、即ち市場やユーザサイドでのスキャナの落ち込み確認を容易にすることができ、かつずれていた場合、それに合わせて再調整し易くすることができる。
【0012】
図4は図1の画像形成装置のスキャナ支持部の第2の実施の形態をこの画像形成装置の左から見た側面図である。図5は図4に使用する保持部材の周辺を示す拡大図である。図4および図5において、スキャナ支持部のスキャナ支持部材25は本体後側板26にネジ固定されている。
スキャナ固定部材27は図のような板形状で、スキャナ装置24とは穴Aで、またスキャナ支持部材25とは穴Bを回転中心とし穴Cでネジ固定されている。穴Cは上下の長穴形状部分となっているため上からの力に対してはネジの保持力しかなく、大きな力や振動によりずれることがある。そこで、保持部材28を追加する。この保持部材28は図のように軸Dを回転支点として上下方向へ回動自在に支持部材25に取り付けられている。
図4において、保持部材28はDを回転中心とする2本のアームを有する逆へ字型のテコ形状のレバーになっている。一端である一方のアームEはスキャナ固定部材27の下端を保持するために図のように接触させ、他端である他方のアームFをスキャナ支持部材25に対して所定の位置関係にて固定することにより、アームEの位置を確定する。
このように保持部材28をスキャナ固定部材27に接触させるように固定することで上下の荷重および振動が掛かってもスキャナ固定部材27の落ち込みを防ぐことができる。
他端Fには長穴F1が貫通形成され、それと交差するようにスキャナ支持部材25には長穴25aが設けられている。2つの長穴F1、25aの交差部には締結部材30が配置され、後述するその軸31が2つの長穴F1、25aを貫通している。締結部材30は、スキャナ支持部材25と保持部材28を接触させた状態で両側から挟み込んだ状態で固定されている。
【0013】
スキャナ24やスキャナ固定部材27に大きな力や上下方向の振動Fが加わった場合、それらは矢印Oのように保持部材28を通して締結部材30に伝わる。しかしながら、締結部材30の移動可能方向が矢印N方向なのでそれを動かす力としては1/10〜7/10に低減され、それらは締結部材30の挟み込みによる力で保持することが可能となる。
また、逆に締結部材30を矢印N方向に移動させることで、保持部材28の一端Eを上下動させることが可能で、Eを介してスキャナ装置24やスキャナ固定部材27を上下動させることが可能となる。
このように2つの長穴F1、25aおよび軸31のリンク機構を用いることにより保持部材28での保持力を増大させる(締結部材30の移動方向に掛かる力を小さくする)とともに、締結部材30の移動によるスキャナ固定部材27およびスキャナ装置24を保持可能とする。2つの長穴F1、25aの幅を統一することで締結部材30の軸31をストレ−ト形状(同一径)にでき、コスト上昇を防止することができる。
図6は締結部材を図5の位置から左方向に移動させた場合を示す拡大図である。締結部材30を矢印Pで示す左側に移動させた場合、保持部材28の他端Fは長穴F1の作用により下降する。それにより一端Eは上昇し、スキャナ24やスキャナ固定部材27を持ち上げる。
図7は締結部材を図5の位置から右方向に移動させた場合を示す拡大図である。図7には締結部材30を矢印Qで示す右方向に移動させた場合を示している。動作は図6と逆となる。すなわち、保持部材28の他端Fは長穴F1の作用により上に上がる。それにより一端Eは下降し、スキャナ24やスキャナ固定部材27を下降する。
【0014】
図8は締結部材の板材30a側から見た拡大図である。図9は図8の線9−9に沿う締結部材および保持部材を示す断面図である。図8および図9において、締結部材30は板材30a、軸31、およびつまみネジ32から構成されている。
軸31は板材30aに固定されており、スキャナ支持部材25の図の右側から長穴F1、長穴25aの交差したところに挿入される。その軸31の外周にはネジが切られているため、つまみネジ32に設けた雌ねじに軸31を締め込んでゆき、スキャナ支持部材25と保持部材28とを、板材30aとつまみネジ32とで挟み込むようにして固定する。
つまみネジ32を使用することによって、ドライバ等の工具は不要である。つまみネジ32を少し弛めることで図6および図7のように締結部材30を移動させることができる。
なお、板材30aには取っ手30bが設けられており、つまみネジ32を弛めた後、この取っ手30bを持って移動させてもよいし、より強い力が必要ならつまみネジ32と取っ手30bを両手で持って移動させてもよい。
締結部材30による締結を緩めたり強めたりする操作を、つまみネジ32を使用する構成にすることにより、サ−ビスマンが市場で調整する際、特別な工具を要することなく調整できる。また、つまみネジ32と反対側に取っ手30bを設けることでつまみネジ32、取っ手30bを両手の指で持つことができ、調整の際の作業性を向上することができる。
さらに、締結部材30(板材30a)の端縁の一部に凹凸(凹所)30dを設けることにより調整作業前の位置をその凹凸30dに合わせてマ−キングすることで記録することができ、調整自体の作業性を向上することができる。
図8に示すように、矩形の板材30aの一つの端縁には、ほぼ長穴25aと同じ幅の突起である回り止め30c設け、回り止め30cの一部が長穴25a内に嵌合して長穴25a内に沿って移動できるようにしている。これはつまみネジ32を締め込んだ際、板材30a自体が回らないようにするためである。また、ほぼ中央部に凹所30dを設けている。締結部材30の調整のために移動する前にマジック等の筆記具でチェックを入れることで調整の目安にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カラー画像形成装置の画像形成動作について説明する概略図。
【図2】図1の画像形成装置のスキャナ支持部の第1の実施の形態をこの画像形成装置の左から見た側面図。
【図3】図2に使用する保持部材の周辺を示す拡大図。
【図4】図1の画像形成装置のスキャナ支持部の第2の実施の形態をこの画像形成装置の左から見た側面図。
【図5】図4に使用する保持部材の周辺を示す拡大図。
【図6】締結部材を図5の位置から左方向に移動させた場合を示す拡大図。
【図7】締結部材を図5の位置から右方向に移動させた場合を示す拡大図。
【図8】締結部材の板材側から見た拡大図。
【図9】図8の線9−9に沿う締結部材および保持部材を示す断面図。
【符号の説明】
【0016】
24 スキャナ装置、25 スキャナ支持部材、25a 長穴(スキャナ支持部材の)、27 スキャナ固定部材、28 保持部材、28A 長穴部、29 装置本体(画像形成装置本体)、30 締結部材、30a 締結部材の板材、30b 板材の取っ手、30c 板材の回り止め、30d 板材の凹所、31 締結部材の軸、32 締結部材のつまみネジ、F1 長穴(保持部材の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体上部に配置するスキャナ装置と、その下方に配置され4面中2面が開放された排紙用の開放部と、を備えた胴内排紙型の画像形成装置において、前記装置本体に固定され前記開放部の上方に伸びて前記スキャナ装置を支持するスキャナ支持部材と、前記スキャナ装置を支持するとともに前記スキャナ支持部材に対する前記スキャナ装置の姿勢を上下方向に調整可能なように前記スキャナ支持部材にネジ止めされるスキャナ固定部材と、前記スキャナ支持部材、または前記スキャナ固定部材に可動な状態で配置される保持部材と、を有し、前記保持部材は、水平方向に対して5度から45度以下の範囲で斜め上下方向へ傾斜した長穴部を有し、この長穴部を他方の部材に設けたネジ穴と連通した状態でネジ固定することにより前記保持部材の位置を調整することにより前記スキャナ装置を水平姿勢に調整可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記スキャナ支持部材が前記装置本体に固定されている部分から最も離れた位置に固定されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持部材と、前記スキャナ固定部材、または前記スキャナ支持部材が略水平直線状に接触し、前記保持部材の固定がネジ1点であることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記保持部材により前記スキャナ支持部材に対する前記スキャナ装置の角度を調整した状態における前記スキャナ固定部材の位置を示すマーキングを備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体上部に配置するスキャナ装置と、その下方に配置され4面中2面が開放された排紙用の開放部と、を備えた胴内排紙型の画像形成装置において、前記装置本体に固定され前記開放部の上方に伸びて前記スキャナ装置を支持するスキャナ支持部材と、前記スキャナ装置を支持するとともに前記スキャナ支持部材に対する前記スキャナ装置の姿勢を上下方向に調整可能なように前記スキャナ支持部材にネジ止めされるスキャナ固定部材と、前記スキャナ支持部材、または前記スキャナ固定部材に可動な状態で配置される保持部材と、を有し、前記保持部材は、中間部に回転中心を有しかつ2本のアームを備えるテコ形状のレバーであり、一方のアームを前記スキャナ固定部材の下方に接触させ、他方のアームを前記スキャナ支持部材に固定することによって前記スキャナ固定部材および前記スキャナ装置の動きを規制するストッパ機構として役立つことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記保持部材の前記他方のアーム側に設けられた長穴と、その長穴1に5度から45度で交差するように前記スキャナ支持部材に設けられた長穴と、前記長穴を貫通する軸を有しかつ前記スキャナ支持部材および前記保持部材を挟み込んで固定するための締結部材を設け、この締結部材をスキャナ支持部材に設けられた前記長穴に沿ってスライドさせることによって前記保持部材を回動させ、前記一方のアームを介して前記スキャナ固定部材および前記スキャナ装置を移動可能としたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記各長穴は同一の幅を有することを特徴とする請求項5または6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記締結部材は、板材に固定されかつネジ部を有する軸と、前記スキャナ支持部材および前記保持部材を挟み込むつまみネジを備えることを特徴とする請求項6または7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記締結部材の板材に取っ手を設けたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記締結部材の板材に凹所を設けたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−178387(P2006−178387A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114955(P2005−114955)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】