説明

画像形成装置

【課題】 潜像担持体ユニットの交換や、用紙ジャムの除去等の保守性・作業性に優れ、露光装置の位置ずれや破損等の危険性の少ない、コストパフォーマンスに優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 表面に静電電位の差による潜像が形成される静電潜像担持体101と、この静電潜像担持体101の表面を一様に帯電させる帯電手段102と、該静電潜像担持体101に像光を照射して表面に潜像を形成する露光手段201と、静電潜像担持体101上の潜像を可視像化する現像手段202とを有する画像形成装置1において、前記画像形成装置1から着脱可能に構成された前記静電潜像担持体101を含む潜像担持体ユニット10と、前記画像形成装置1から着脱可能に構成された前記現像手段202を含む現像ユニット20とを備え、前記露光手段201は、前記現像ユニット20と一体化されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる現像装置に係り、特に、小型化やランニングコストの低減に好適なユニット構成の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2003−280493号公報
【特許文献2】特開平04−85552号公報
【特許文献3】特開2003−255805号公報
【0003】
近年の複写機、プリンタ等の画像形成装置の普及に伴い、装置自体の小型化やユーザー保守の際の保守性・作業性の向上が求められてきている。こうした要請に基づき、画像形成装置の各構成部材をユニット化し、小型化や操作性の向上を図った画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
こうした画像形成装置の例として、例えば、特許文献1では、光学系と感光ドラムの精度保証や組立て性、サービス性の向上の観点から、像担持体と露光部、現像部、クリーナー部を一体化して画像形成装置から着脱可能に構成された画像形成装置を提案している。
【0005】
また、特許文献2では、装置小型化の観点から静電潜像担持体と潜像形成手段と現像部を一体的に組み込んだ画像形成装置を提案している。
【0006】
さらに、特許文献3では、トナーカートリッジの大容量化、アッパーカバー操作性の向上の観点から静電潜像担持体を含む画像形成ユニットに対して露光手段を着脱自在としたことを特徴とする画像形成装置を提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記先行技術はいずれも、露光装置を画像形成ユニットに一体化するものであり、該ユニット内に露光装置及び静電潜像担持体を含む一体型ユニットとして構成したものである。
【0008】
通常、静電潜像担持体としては感光ドラムを用いるが、感光材料として一般的に使用されている有機感光体の寿命は凡そ10〜50kPVである。これに対して、例えばLED(発光ダイオード)などの露光装置の寿命は100kPV以上であり、ほとんど画像形成装置本体の寿命と等しい。つまり、静電潜像担持体と露光装置とを一体化したユニットの寿命は静電潜像担持体の寿命で決定してしまい、静電潜像担持体の寿命に応じて、まだ使用可能な露光装置まで併せて交換することになり、結果的にランニングコストが高くなってしまう。また、例えば、特開2003−255805号公報(特許文献3)に開示されている現像装置においては、露光装置が画像形成ユニットに対して着脱自在となっているが、この場合も静電潜像担持体を含む画像形成ユニットを交換する度に露光装置の取り外しを行わなければならず作業性に優れない。さらに、ユニット化せずに画像形成装置本体に露光装置(LED)を固定した場合においては、静電潜像担持体に近接する帯電手段と現像手段との間の狭い空間に、露光装置を高精度に配置しなくてはならず、潜像担持体ユニットあるいは現像ユニット等の画像形成ユニットを着脱する際に、互いに干渉して破損や位置ずれが生じる懸念がある。さらに、これを回避するために露光装置をアッパーカバーに取り付けた場合には、可動部への取り付けに伴う振動の影響やアッパーカバー全体の重量増大に伴うカバー開閉動作の操作性の悪化等の問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、潜像担持体ユニットの交換や、用紙ジャムの除去等の保守性・作業性に優れ、露光装置の位置ずれや破損等の危険性の少ない、コストパフォーマンスに優れた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の現像装置は、表面に静電電位の差による潜像が形成される静電潜像担持体と、この静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段と、該静電潜像担持体に像光を照射して表面に潜像を形成する露光手段と、静電潜像担持体上の潜像を可視像化する現像手段とを有する画像形成装置において、前記画像形成装置から着脱可能に構成された前記静電潜像担持体を含む潜像担持体ユニットと、前記画像形成装置から着脱可能に構成された前記現像手段を含む現像ユニットとを備え、前記露光手段は、前記現像ユニットと一体化されていることを特徴とする。
【0011】
一般に、静電潜像担持体の寿命は、この静電潜像担持体の近傍に配置されている露光手段や現像手段の寿命よりも短く、静電潜像担持体の交換頻度が他の部材に比し高くなる。
【0012】
そこで、上述のように構成した本発明に係る画像形成装置においては、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段とを有する画像形成装置において、画像形成装置から着脱可能に構成された前記静電潜像担持体を含む潜像担持体ユニットと、画像形成装置から着脱可能に構成された現像手段を含む現像ユニットとを備え、露光手段を現像手段と一体化し、ユニット化しているので、潜像担持体ユニットの交換作業や、用紙ジャム等の除去作業の際の保守性・作業性を向上させると共に、潜像担持体ユニットの交換作業の際の露光手段の位置ずれや破損等の危険性を低減し、かつ、画像形成装置本体とほぼ同等の寿命を有する露光手段と現像手段とを一体化し、交換寿命の短い静電潜像担持体のみを交換可能とすることにより、コストパフォーマンスの優れた画像形成装置を提供することが可能となる。
【0013】
ここで、前記露光手段は発光素子アレイを並べた発光ダイオードであってもよい。
【0014】
この場合は、露光手段として、発光素子アレイを並べた発光ダイオードを用いているので、露光手段を非常にコンパクトに構成することができ、静電潜像担持体の回転方向に沿って、帯電手段と現像手段との間の限られた空間に容易に配置することができる。
【0015】
また、前記現像手段は、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いて、静電潜像担持体上の潜像を可視像化してもよい。
【0016】
一般に、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いて潜像を可視像化する、いわゆる二成分方式の画像形成装置においては、静電潜像担持体の近傍に配置されている露光手段や現像手段の寿命に比べて、静電潜像担持体の寿命が明らかに短く、静電潜像担持体の交換頻度が他の部材に比し顕著に高くなる。
【0017】
そこで、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いて、静電潜像担持体上の潜像を可視像化する現像手段を用いる二成分現像方式の画像形成装置に本発明を適用することにより、潜像担持体ユニットの交換作業や、用紙ジャム等の除去作業の際の保守性・作業性を向上させると共に、潜像担持体ユニットの交換作業の際の露光手段の位置ずれや破損等の危険性を低減し、かつ、交換寿命の短い静電潜像担持体のみを交換可能とすることにより、コストパフォーマンスの向上を図るといった上述の効果をより顕著に実現することができる。
【0018】
さらに、前記現像手段は、センサ等を用いずに自律的にトナーを取り込みトナー濃度を一定に保つ現像手段であってもよい。
【0019】
この場合は、通常の二成分方式の画像形成装置に比し、センサを用いずにトナー濃度を自律的に制御する自律制御方式の現像手段を有する画像形成装置に本発明を適用することにより、さらに現像装置のランニングコストの低減を実現し、画像形成装置全体のライフサイクルコストを低減することができる。
【0020】
以上において、前記潜像担持体ユニットは、帯電手段と静電潜像担持体に残されたトナーを回収するクリーナー手段を有してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、潜像担持体ユニットの交換や、用紙ジャムの除去等の際の、保守性・作業性に優れていると共に、露光装置の位置ずれや破損等の危険性が少なく、併せてコストパフォーマンスに優れた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
まず、本発明に係る現像装置を含む画像形成装置の概略構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0024】
図1に示されるように、本発明に係る画像形成装置1は、一様帯電後に像光を照射することにより表面に静電電位の差による潜像が形成される静電潜像担持体101を備えており、この周囲に、静電潜像担持体101の表面を一様に帯電させる帯電手段102と、静電潜像担持体101に像光を照射して表面に潜像を形成する露光手段201と、静電潜像担持体101上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像手段202と、静電潜像担持体101と対向し、不図示の被記録媒体を挟んで静電潜像担持体101との間に転写バイアス電界を生成する転写手段50と、トナー像の転写後に静電潜像担持体101に残留するトナーを除去するクリーニング手段103とが設けられている。そして、静電潜像担持体101と転写手段50との対向部(ニップ部)の上流側から被記録媒体を供給するようになっており、下流側には被記録媒体上に転写された未定着トナー像を加熱溶融し被記録媒体に圧着する定着装置60が設けられている。
【0025】
そして、本発明に係る画像形成装置1は、上述の各構成手段がユニット化されており、各ユニットは、静電潜像担持体101を含む潜像担持体ユニット10、露光手段201及び現像手段202とが一体化された現像ユニット20、現像ユニット20へ補給する補給現像剤を収容する現像剤補給ユニット30、被記録媒体を収容し供給する給紙ユニット40、静電潜像担持体101に形成されたトナー像を被記録媒体に転写する転写ユニット50、被記録媒体上に転写されたトナー像を加熱加圧して定着する定着ユニット60とから構成されている。
【0026】
次に、本発明に係る主要ユニットの構成について、図面を参照してさらに説明する。
【0027】
まず、潜像担持体ユニット10は、図2に示されるように、静電潜像担持体101と帯電手段102、クリーニング手段103を有しており、画像形成装置本体1と着脱可能となっている。本実施の形態において、静電潜像担持体101は導電性基体の上に感光層を形成した感光ドラムであるが、無端ベルト形状でもよい。また、帯電手段102は弾性を有する導電性ロールを用いた接触式帯電装置であるが、スコロトロンなどの非接触式帯電装置でもよい。また、クリーニング手段103はブレード方式を用い、転写後に静電潜像担持体101上に残留しているトナーを回収し、回収トナーを収容する廃トナーボックス103bを有している。このクリーニング手段についても、ブレード方式に限るものではなくブラシ方式等を用いてもよい。
【0028】
ここで、潜像担持体ユニット10の構成要素である静電潜像担持体101については、一般に、磨耗や帯電装置102からの放電生成物によるフィルミングなどによって劣化するため、10〜30kPVで交換が必要となる。また、潜像担持体ユニット10の交換理由としては、帯電装置102の汚れや廃トナーボックス103b内の容量オーバーなどが挙げられる。
【0029】
次に、本実施の形態における現像ユニット20は、図3に示されるように、露光手段201と現像手段202を一体化して構成されており、画像形成装置本体1と着脱可能となっている。本実施の形態において、露光手段201としては発光素子アレイを並べた発光ダイオード(LED)を用いており、このLEDユニット201は、現像手段202である現像装置の上部ケーシング210に静電潜像担持体101と対向するように載置取り付けされている。さらに、本実施の形態において、露光手段201は、現像手段202からのトナークラウドによりLED発光面の汚れを防止するために、シート状の汚れ防止部材204を備えている。
【0030】
このように、LEDアレイを露光手段201として用いているため非常にコンパクトに構成でき、静電潜像担持体101の回転方向(本実施の形態では時計回り)について現像手段202よりも上流側において直接現像手段202に装着することができる。すなわち、露光手段201と現像手段202との間の限定された空間に、容易に配置することができる。また、露光手段201であるLEDユニットを剛体である現像手段202のケーシングに載置して取り付けることにより、LED単体を支持部材により装置内に固定する場合に比し、露光手段201の位置ずれ等が生じ難い。
【0031】
なお、本発明に係る現像ユニット20を構成する現像手段202としては、各種の方式の現像装置が適用可能である。以下に、本発明が適用可能な周知の現像装置の概要について、図4及び図5を参照して説明する。
【0032】
まず、図4に示される現像装置400は、いわゆる一成分方式の現像装置であり、静電潜像担持体101に対向してハウジング403内に配置されたトナー担持体405と、このトナー担持体405に隣接してハウジング403内に設けられ、複数の撹拌部材407a,407bとを有するトナー収容部409と、静電潜像担持体101とトナー担持体405とが対向する現像領域よりも、トナー担持体405の回転方向上流側にて、トナー担持体405上のトナー層の厚さを規制するブレード部材411とを備え、トナー担持体405に対してブレード部材411を当接させて、トナーの摩擦帯電と薄層形成を同時に行なって、静電潜像担持体101に潜像を可視像化するためのトナーを供給するものである。
【0033】
このような一成分方式の現像装置は、装置自体は小型簡素化できる利点はあるが、その分構成部材に対するストレスが大きく、ブレード部材411の熱変形やトナー固着、トナー担持体405の表面層の剥がれ等によりトナー薄層に白筋や斑が発生しやすい。それ故、一般的には寿命が短く5〜30kPV程度でハードごと交換する必要がある。
【0034】
これに対して、図5に示されるような、いわゆる二成分方式の現像装置500の場合は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用い、現像装置500内に透磁率センサ520等を設けて現像装置500内の二成分現像剤中のトナー濃度をモニターし、その検知信号をもとにディスペンスモーターを駆動させて現像剤補給ユニット530の現像剤を補給するものであり、先の現像装置400と同様な機能を有する部材には同様な符号を付し、その説明は省略する。
【0035】
このような二成分現像剤を用いる現像方式は、トナーのみを使用した先の一成分現像方式に比べて構成部材に対するストレスが小さく、現像装置自体の寿命は、ほぼ画像形成装置本体の寿命と等しい。また、現像剤のストレスについても劣化磁性キャリアを排出する劣化現像剤吐き出し口540を設け、トナーの供給と同時に新規の磁性キャリアを供給するトリクル方式を採用することにより100kPV以上の寿命を実現する。また、トリクル方式を採用しない場合においても磁性キャリアのサンプ量が100g程度あれば50kPV以上の寿命は実現する。すなわち、二成分現像方式の場合は、一成分現像方式に比し、明らかに静電潜像担持体101を含んだ潜像担持体ユニット10の交換サイクルよりも現像装置を含んだ現像ユニット20内の現像剤交換サイクルのほうが長い。
【0036】
従って、本発明に係る現像ユニット20を構成する現像手段202としては、二成分方式の現像装置がより好適である。
【0037】
次に、上述のように二成分現像剤を用いる現像方式であって、自律的にトナー濃度を制御し、本発明に係る現像手段202としてさらに好適な現像装置の詳細について、図6を参照して説明する。
【0038】
本発明の適用に、より好適である自律的にトナー濃度を制御する現像装置600は、図6に示されるように、内部に磁界発生手段を具備し且つトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を搬送担持する現像剤担持体601と、現像剤担持体601に隣接して二成分現像剤を収容する現像剤収容部603と、現像剤収容部603にトナー補給路604を介して連通し且つトナー補給路604を通じてトナー及び二成分現像剤を供給可能に収容するトナー収容部605と、現像剤担持体601に隣接して現像剤収容部603に対し現像剤担持体601の現像剤搬送方向下流側に設けられると共に現像剤収容部603と連通する現像剤退避部606と、現像剤収容部603及び現像剤退避部606に対して現像剤担持体601の現像剤搬送方向下流側に設けられ、現像剤担持体601により担持搬送される二成分現像剤の一部を余剰現像剤としてせき止め、トナー濃度に応じて現像剤収容部603又は現像剤退避部606に余剰現像剤を分離する現像剤分離手段607と、現像剤分離手段607により分離された余剰現像剤を現像剤収容部603又は現像剤退避部606に導入すると共に互いを仕切る現像剤仕切部材609と、現像剤収容部603内に設けられ、現像剤を撹拌搬送する回転自在に形成された現像剤撹拌部材610とを有し、現像剤収容部603内のトナー濃度に応じて、現像剤仕切部材609により現像剤退避部606に導入された二成分現像剤がトナー収容部605から補給されたトナーを取り込みながら現像剤収容部603に流入するように構成したものである。なお、トナー濃度に応じて余剰現像剤を分離する現像剤分離手段607は、現像剤担持体601の現像剤搬送方向に沿って、現像剤仕切部材609の下流側に設けられた現像剤層規制部材611と、現像剤担持体601内の磁界発生手段(N1)とにより構成されている。
【0039】
このように構成した現像装置600において、現像剤担持体601により担持搬送きれる二成分現像剤のトナー濃度が低い場合には、二成分現像剤が受ける磁気吸引力は大きくなるため、二成分現像剤は現像剤層規制部材611近傍まで確実に搬送される。そして、この現像剤層規制部材611のせき止め力と搬送磁極(N1)の磁気拘束力によって、現像剤層規制部材611近傍に滞留している余剰現像剤が押し出され、この押し出された余剰現像剤は、落下現像剤となって現像剤仕切部材609上に落下し、現像剤退避部606を経て、その後、現像剤収容部603又はトナー収容部605へ流れ込む。
【0040】
このとき、上記のようにトナー濃度の低い二成分現像剤が現像剤退避部606に導かれた場合、現像剤収容部603内にはその分だけスペースが作られ、トナー収容部605から現像剤収容部603に至るまでのトナー補給路604にあった二成分現像剤は、現像剤撹件部材610の搬送力と二成分現像剤の自重により、上記スペースに速やかに引き込まれ、トナー補給路604付近の二成分現像剤が流動する。これにより、トナー補給路604は、トナー収容部605からのトナー及び非常に高いトナー濃度の二成分現像剤を受け入れ、このトナー及び非常に高いトナー濃度の二成分現像剤は、トナー補給路604を経て現像剤収容部603へと速やかに供給される。
【0041】
一方、現像剤担持体601により担持搬送される二成分現像剤のトナー濃度が高い場合には、この二成分現像剤が受ける磁気吸引力は小さいため、トナー濃度の高い二成分現像剤の多くは、現像剤担持体601の回転方向に対して現像剤仕切部材609の先端よりも上流側の位置で落下してしまう。この結果、この二成分現像剤は、現像剤層規制部材611近傍に滞留している滞留現像剤まで到達することなく、現像剤担持体601の回転方向に対して現像剤仕切部材609の先端部より上流側の位置で落下し、直接現像剤収容部603へ戻る。このとき、トナー濃度が低い場合と異なり、現像剤収容部603内にスペースが作られず、トナー補給路604付近の二成分現像剤は流動しないので、二成分現像剤によりふさがれている状態となり、トナー収容部605からトナー及び非常に高いトナー濃度の二成分現像剤は供給されない。
【0042】
このように、本現像装置600におけるトナー補給メカニズムは、トナー濃度に応じた二成分現像剤の流動性変化、嵩変化に加えて磁気吸引力の変化を利用したものであり、トナー濃度が低い二成分現像剤に対してはトナー補給が行われ、トナー濃度が高い二成分現像剤に対してはトナー補給が行われないことにより、現像剤収容部603内の二成分現像剤中のトナー濃度を自律的に制御し、所定のトナー濃度を保つようになっている。
【0043】
また、このようにセンサを用いずにトナー濃度を自律的に制御する方式においては、通常の二成分方式におけるトナーディスペンス用の独立した駆動系が必要ないためハード自体のコストも一成分方式の現像装置と同等のレベルを実現することができる。
【0044】
さらに、本発明に係る画像形成装置のユニット構成によれば、現像剤交換の際においても現像手段202自体は使用可能であるため現像ユニット20を廃棄する必要がなく露光手段(LED)201も交換する必要がないので、露光手段201が静電潜像担持体101と一体化したユニットに比べてランニングコストが抑えられる。また、潜像担持体ユニットから露光手段(LED)を着脱可能にした従来のユニット構成と比較しても、本発明のユニット構成によれば、潜像担持体ユニット10の交換時に発光ダイオード(LED)の着脱作業は必要ないので保守性・作業性に優れる。さらに、LEDが現像ユニット20と一体化していることで、画像形成装置本体から露光装置201が着脱される機会が少なく、露光装置201がアッパーカバーに取り付けられた画像形成装置や、潜像担持体ユニットに取り付けられた画像形成装置に比較して、破損や位置ズレが生じにくい。さらにまた、本画像形成装置のユニット構成によれば、比較的頻度の高い転写手段50部における用紙ジャムを除去する際にも潜像担持体ユニット10のみを取り外せばよいので、露光手段(LED)201を所定位置から移動させる必要がなく、このような用紙ジャムの除去の場合も、ユニットの取り付け・取り外しに伴う構成部材の干渉による破損等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概観を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る潜像担持体ユニットの概観を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る現像ユニットの概観を示す概略構成図である。
【図4】本発明が適用可能な周知の一成分現像装置の一例を示す構成図である。
【図5】本発明が適用可能な周知の二成分現像装置の一例を示す構成図である。
【図6】本発明が適用可能な自律的にトナー濃度を制御する現像装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1:画像形成装置、10:潜像担持体ユニット、20:現像ユニット、30:現像剤補給ユニット、40:給紙ユニット、50:転写ユニット、60:定着ユニット、101:静電潜像担持体、102:帯電手段、103:クリーニング手段、103b:廃トナーボックス、201:露光手段、202:現像手段、204:汚れ防止部材、400:現像装置、403:ハウジング、405:トナー担持体、407a,407b:撹拌部材、409:トナー収容部、411:ブレード部材、500:現像装置、520:透磁率センサ、530:現像剤補給ユニット、540:劣化現像剤吐き出し口、600:現像装置、601:現像剤担持体、603:現像剤収容部、604:トナー補給路、605:トナー収容部、606:現像剤退避部、607:現像剤分離手段、609:現像剤仕切部材、610:現像剤撹件部材、611:現像剤層規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電電位の差による潜像が形成される静電潜像担持体と、この静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段と、該静電潜像担持体に像光を照射して表面に潜像を形成する露光手段と、静電潜像担持体上の潜像を可視像化する現像手段とを有する画像形成装置において、
前記画像形成装置から着脱可能に構成された前記静電潜像担持体を含む潜像担持体ユニットと、
前記画像形成装置から着脱可能に構成された前記現像手段を含む現像ユニットとを備え、
前記露光手段は、前記現像ユニットと一体化されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光手段は発光素子アレイを並べた発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いて、静電潜像担持体上の潜像を可視像化することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像手段は、センサ等を用いずに自律的にトナーを取り込みトナー濃度を一定に保つ現像手段であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記潜像担持体ユニットは、帯電手段と静電潜像担持体に残されたトナーを回収するクリーナー手段を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−47563(P2006−47563A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226841(P2004−226841)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】