説明

画像形成装置

【課題】 特にカラープリンタのごとき画像形成装置にあって、良質の印刷画像を得るためのトナー濃度補正に関して、トナー濃度調整作業中でも印刷を中断する必要がなく、印刷作業能率を高めることができる画像形成装置を提供する
【解決手段】 印刷枚数が設定枚数を超え、また残印刷枚数が設定枚数を超えたことを検出すると、検出用画像生成部は搬送ベルト3a上を設定枚数後の先行記録紙2bと後続記録紙2bとの間の領域にたとえばC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(黄色)、B(黒色)の各色トナー像によるたとえば検出用画像30,31,32の三種を、たとえば濃度%で30%のもの、50%のもの、70%のものといったようにCMYB一組にして形成する。それら検出用画像30〜32を反射型光センサで検出し、理想濃度値との濃度差を比較して、補正する必要があれば濃度補正する。そうした濃度補正は連続印刷中に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、フルカラーの画像を形成するタンデム型と呼ばれる電子写真方式の画像形成装置として、たとえばフルカラーLEDプリンタが周知である。このフルカラーLEDプリンタは、シアン(C)、マゼンダ(M)、黄色(Y)、および黒色(B)の各色の画像を形成する画像形成部(イメージドラムユニット)が備わり、各色の画像データによって変調されたLED光を画像形成部の感光体に照射して潜像を形成し、潜像が形成された感光体に各色のトナーを供給することでトナー画像を現像する。さらに、画像形成部では、搬送ベルト上を搬送されてきた記録紙に感光体上のトナー画像を転写することにより、記録紙に各色のトナー画像を重ね合わせてカラー画像を形成する。
【0003】
ところで、各色に対応する複数の画像形成部を備えた画像形成装置の場合、画像形成部のそれぞれにおいて同じ記録紙の同一面上に順次異なるトナー画像を重ね合わせてカラー画像を形成する。大量の印刷が繰り返されてトナーが消費されるとやがて、トナー濃度に理想値との違いを生じたような場合は、印刷画像の色味に現れて画像品質が悪化する。ユーザはそうした画像品質の悪化を記録紙上に印字された画像を見て始めて認識するのであり、予見できないのが実状である。画像品質維持のためにトナー濃度を補正調整して理想濃度に近づける必要があるが、トナー濃度補正に関して開示された従来技術として、たとえば下記特許文献1の公報がある。この場合、主電源を投入後の初期化処理で印刷媒体を搬送する搬送ベルトに検出用画像を形成し、その検出画像のトナー濃度を濃度検出部である反射型光センサで検出して、検出したアナログ電圧信号をデジタル信号に変換することで実濃度値を算出する。この実濃度値からトナー濃度が理想値に近付くようにトナー電圧を制御することが開示されている。かかるトナー濃度補正は、経時変化による濃度影響を考慮して印刷枚数が設定数を超えた段階でトナー濃度の補正を行うのが一般的であり、装置を停止させて調整を行ったり、印刷動作を一旦停止させて補正したりしていた。
【特許文献1】特開2001−290327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような従来の画像形成装置ならびに上記公報に開示されたカラー画像形成装置にあっては、印刷枚数が設定数を超えた段階で印刷動作を停止させ、トナー濃度補正を行った後、中断させた印刷動作を再開するようにしている。そのため、トナー濃度補正を行う前と後に印刷される記録紙の間隔が大きく開いてしまい、平均印刷速度(スループット)が低下してしまうという問題があった。
【0005】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、特にカラープリンタのごとき画像形成装置にあって、印刷枚数が設定数を超えた段階でトナー濃度の自動補正を行うようにするとともに、印刷を中断することなく印刷ジョブを続行させることでスループットが高められる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による画像形成装置は次の構成を採用する。
<構成>
入力された画像情報に基づいて現像剤像を形成する画像形成部と、形成された現像剤像を搬送する搬送部と、該搬送部の一部に形成された検出用画像の濃度を検出する濃度検出部と、前記現像剤像を印刷媒体に転写する転写部とを有し、前記濃度検出部によって検出された濃度に基づいて形成する現像剤像の濃度を補正する画像形成装置において、前記画像形成部によって形成された画像の量を積算する画像量積算部と、該画像量積算部によって積算された画像の量が所定量を超えたか否かを判定する判定部と、複数の画像を一組とする前記検出用画像を生成する検出用画像生成部と、を備え、前記検出用画像生成部は、前記判定部によって積算された画像の量が所定量を超えたと判定された場合に前記検出用画像を生成し、前記画像形成部は二枚の前記印刷媒体に転写される前記現像剤像の間に相当する領域を一つの領域としたとき、前記検出用画像生成部によって生成された検出用画像を複数の領域に分けて形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
たとえば印刷される画像の量が所定量を超えると、先行する印刷媒体と後続する印刷媒体との間の媒体間領域に検出用画像を形成することで、その検出用画像の現像剤濃度の検出値に基づいて理想濃度値との比較により、補正すべきと判断した場合は、たとえば現在の印刷ジョブ中でも印刷中断することなく現像剤濃度を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明による画像形成装置の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
<実施例1の構成>
図1は、本発明による画像形成装置の実施例1の構成を示す図である。本装置1は、機体ハウジング内に装備された給紙部2、搬送ベルト機構部(搬送部)3、画像形成部4〜7、定着器8、画像濃度検出部9、そしてこれら各部各装置を駆動させるモータなどからなる駆動機構部(図示せず)とその駆動を制御する制御部10を主要部にして構成されている。以下順を追って説明する。
【0010】
給紙部2は、給紙カセット2aに収納されている記録紙2bを給紙ローラと分離部材によって一枚ずつ分離して繰り出してレジストローラ間に送り出し、搬送ベルト機構部3に一定のタイミングで送り込むようになっている。搬送ベルト機構部3は、エンドレスの搬送ベルト3aが一対の駆動ローラ3bおよび従動ローラ3c間に張設され、制御部10によって制御される駆動モータなど駆動機構から回転動力を原動ローラ3bに伝達して、搬送ベルト3aを回動させるようになっている。搬送ベルト3aの回動方向に沿って、上流側から下流側へこの場合たとえばシアン(C)、マゼンダ(M)、黄色(Y)、黒色(B)の各色(以下、CMYBと総称する)の画像形成部4,5,6,7が配置されている。すなわち、給紙部2から繰り出された記録紙2bを搬送ベルト3aはそれらCMYB各色の画像形成部4〜7へ順次搬送し、記録紙2b上にシアンのトナー画像、マゼンダのトナー画像、黄色のトナー画像、そして黒色のトナー画像を順次形成するようになっている。
【0011】
それらCMYB対応の各色画像形成部4〜7では、それぞれの感光体4a〜7aが搬送ベルト3aの進行方向に沿って等間隔に配置され、各感光体4a〜7aを中心にそれぞれ帯電部4b〜7b、露光部4c〜7c、現像部4d〜7d、転写ローラ(転写部)4e〜7e、クリーニング部4f〜7f、そして除電部(図示せず)などが配置されている。すなわち、感光体4a〜4aを帯電部4b〜7bによって均一に帯電させ、露光部4c〜7cによって画像データに基づいて発光あるいは非発光が決められたLED光が感光体4a〜7aに照射されて静電潜像が形成されるようになっている。静電潜像が形成された感光体に現像部4d〜7dにてそれぞれCMYBの各色トナーを付着させることにより、各色トナー像を形成する。また、画像形成部4〜7は、搬送ベルト3aと感光体4a〜7aとの間に記録紙2bが搬送されてくると、搬送ベルト3aの背面に配設した転写ローラ4e〜7eが転写電圧を印加し、感光体4a〜7a上のCMYBの各トナー画像を順次記録紙2b上に重ねて転写させる。トナー画像の転写の完了した感光体4a〜7aはクリーニング部4f〜7fで残留トナーが除去され、除電部にて除電された後に再度、帯電部4b〜7bで帯電されるようになっている。
【0012】
一方、画像濃度検出部9では、搬送ベルト3aを挟んで画像形成部4〜7の反対側に、対向一対の発光部と受光部からなる反射型光センサ9aが配置されている。発光部にはたとえば発光ダイオードなどが使用され、受光部にはたとえばフォトダイオードが使用されている。この画像濃度検出部9による検出対象は、後述する図5に示すごとき検出用画像である。すなわち、図2に示す検出用画像生成部18において、CMYBの各色トナーを採取してそれら現在の実濃度値が、たとえばトナー濃度値が30%の場合の理想値との間にどれだけの差があるか、それを検出するための検出用画像30を搬送ベルト3aの表面に形成するようになっている。この場合さらに、50%の検出用画像31と70%の検出用画像32が形成されている。%をさらに細分化して多くの検出用画像を形成するほど、それだけ高精度の検出およびトナー濃度補正が可能になる。反射型光センサ9aの発光部から搬送ベルト3aの方向へ光りを出射させて、上記検出用画像30,31,32で反射された光を受光部で受光し、その受光量をアナログ信号として検出して制御部10のA/D変換器14(図2参照)に送るようになっている。
【0013】
したがって、図2で示される制御部10としては、上記搬送ベルト3a上に形成された各パーセンテージによる検出用画像30〜32の実濃度値を検出値に基づいて算出し、記憶部に格納されている図6の特性テーブルによって理想濃度値との差を演算して濃度補正値を演算して求めるようになっている。
【0014】
なお、各%の検出用画像30,31,32を搬送ベルト3aの表面に形成する手段である検出用画像生成部18としては様々な態様が考えられるので、本発明の主旨を達成できれば、そうした検出用画像生成部18は構造について特定されない。また、上記画像濃度検出部9に関連する構造として、本例ではモータまたは電磁弁による開閉構造のシャッター機構9bが備わっており、濃度検出補正が行われるときにのみ開き、通常は閉じた状態で反射型光センサ9aを飛散するトナーなどから防護する役割をもっている。
【0015】
図2は、制御部10の構成を示す機能ブロック図である。この制御部10は本装置1の具体例であるプリンタの全体作動を制御し、CPU11、ROM12、RAM13、A/D変換器14、本発明でいう画像量積算部である印刷枚数カウンタ15と残印刷枚数カウンタ16、そして検出用画像生成部18を備えている。ホストコンピュータ(図示せず)からのデータ受信および画像処理の制御部も含まれる。ROM12は、プリンタのシステム全体のプログラム20を実行するのに必要な各種データ、特にシステムプログラムに組み込まれている濃度補正処理プログラムを実行するのに必要なデータ、たとえば連続印刷中の「所定枚数」など記憶して格納している。RAM13は、CPU11内のワークメモリなどとして利用され、各種データを記憶する。CPU11はROM12内のシステムプログラム20に基づいてRAM13をワークメモリとして利用しつつ、プリンタ各部を制御し、画像形成装置1としてのシーケンスを実行するとともに、連続印刷中の設定枚数に基づく濃度補正処理を行う。A/D変換器14は、上記画像濃度検出部9を構成する反射型光センサ9aからのアナログ検出信号をデジタル変換し、それをCPU11が読み取るようになっている。
【0016】
図6は、トナー濃度の理論値と実値との相関を示す特性グラフであり、トナー濃度の補正処理を行う際に補正量算出に用いるための基本データとなり、予めRAM13に記憶させて格納されている。図5に示すように、搬送ベルト3aの表面所定個所にてたとえば理論濃度値30%、50%、70%を目標とするそれぞれ検出用画像30,31,32がCMYBの4色の各トナーで形成されている。それら検出用画像30〜31を画像濃度検出部9で検出して読み取ることにより、読取値が図5中の実濃度曲線で示す特性を示せば、実線40で示す理想濃度値または図中斜線で示す近似領域値41に読取値を近づけて補正できるよう、補正曲線値でもってトナー層圧などを制御するようになっている。
【0017】
本例においては、上記検出用画像30〜32を搬送ベルト3aの表面に形成するタイミングを予め設定された印刷枚数が設定数に達した段階で、印刷ジョブによる残りの印刷枚数をカウントすることでそれを基本にして、図7〜図9に示すような形成パターンで先行と後続の記録紙12の紙間に検出用画像30〜32を形成するようになっている。以下、その図7〜図9の形成パターン図を参照して動作および作用を説明する。
【0018】
<実施例1の動作>
次に、かかる実施例1の動作および作用について、図3および図4の動作フローチャートを参照して説明する。
【0019】
給紙部2から繰り出された記録紙2bは搬送ベルト3aによってCMYB各色の画像形成部4〜7へ順次搬送され、記録紙2b上にCMYB各色のトナー画像が順次形成される。画像形成部4〜7においては、感光体4a〜4aを帯電部4b〜7bによって均一に帯電させ、露光部4c〜7cによって画像データで変調されたLED光が感光体4a〜7aに照射されて静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体に現像部4d〜7dによりそれぞれCMYBの各色トナーを順次付着させて、各色トナー像を形成する。
【0020】
すなわち、記録紙2bが搬送ベルト3aと感光体4a〜7aとの間に搬送されてくると、搬送ベルト3a背面の転写ローラ4e〜7eが転写電圧を印加し、感光体4a〜7a上のYMCBの各色トナー画像を順次記録紙2b上に重ねて転写させる。トナー画像の転写の完了した感光体4a〜7aはクリーニング部4f〜7fで残留トナーが除去され、除電部にて除電された後に再度、帯電部4b〜7bで帯電される。そのようにしてYMCBのトナー画像を転写して各色画像が形成された記録紙2bは、搬送ベルト3a表面に静電吸着された状態でさらに搬送され、やがて搬送ベルト3aから引き剥がされて定着器8に送り込まれる。
【0021】
定着器8では、搬送ベルト3aで搬送されてきた記録紙2bを定着ローラ8aと加圧ローラ8bとの間に挟圧して加熱し、加圧することで各色のトナーを記録紙2bに定着させた後、排紙ローラで排紙トレイ内に排出する。
【0022】
次に、図3に示す印刷中の処理動作フローチャート(その1)において、制御部10のCPU11では印刷枚数カウンタ15で計数した印刷枚数がRAM13に記憶されている設定枚数に達したか否かを判断する(ステップ:S1)。印刷が設定枚数を超えた場合(Yes)、次のステップS2で残印刷枚数カウント16が計数した印刷残枚数が設定枚数になったか否かを判断する。印刷枚数カウンタ15と残印刷枚数カウンタ16は本発明でいう画像量積算部として機能し、実際には記録紙に印刷された量、たとえば5000ページ分といったことを意味する。このとき、印刷残枚数がたとえば4枚以下かどうかを判定して、4枚以下である場合(Yes)はステップS3に進行し、図7に示すように、検出用画像生成部18ではトナーの理論濃度値30%の検出用画像30と、50%の検出用画像31と、70%の検出用画像32とが一体に連続した非分割の一体型パターンの検出用画像Aを搬送ベルト3a上に形成する。すなわち、検出用画像生成部18としては複数の画像を一組とする検出用画像を生成する。ステップS2において、印刷残枚数が4枚以上の場合(No)、ステップS4に進行して残印刷枚数カウンタ16が計数した印刷残枚数が4枚以上であるどうかを判断し、4枚以上であれば(Yes)、ステップS5に進行して、図8に示すように、上記検出用画像30,31,32をそれぞれ先行紙と後続紙の記録紙間に形成した3分割パターンの検出用画像Bを形成する。ステップS4で4枚以下であれば(No)、次のステップS6に進行して残印刷枚数カウンタ16でチェックしたカウント数の印刷残枚数が13枚以上であるか否かを判断する。印刷残枚数が13枚以上であれば(Yes)、図9に示すように、次のステップS7で12分割パターンの検出用画像Cを選択する。この検出用画像Cでは、CMYBの4色ごとに、30%,50%,70%の濃度値のものを単独で紙間に形成するから12分割パターンとなる。一方、印刷残枚数が13枚以下であれば(No)、ステップS8の処理に移行する。このステップS8では、シャッター機構9b(図1参照)を開くとともに、印刷枚数カウント値を初期化する。また、連続する紙間が狭く、検出用画像を形成することが困難な場合は、紙間と検出用画像の形成寸法から給紙タイミングを制御することで対応する。
【0023】
次に、図4の動作フローチャート(その2)のステップS9においては、上記分割パターンに応じた検出用画像A,B,Cを形成する処理である。すなわち、ステップS10において、たとえば図7の一体型パターンで形成された検出用画像Aを反射型光センサ9aで検出すると、制御部10のA/D変換器14でアナログ信号をデジタル信号に変換し、CPU11がその値を読み込む。ステップS11において、CPU11は、図6の特性に基づいて、読み込んだ現在の各色トナーの実濃度値と理論濃度値との差を算出し、その差から補正すべき濃度補正値を演算して求め、図6中実線40で表す理想濃度値または近似領域41に近付くようにする。ステップS12では、読み込んだ実濃度値がそうした理想濃度値40または近似領域41といった範囲内かどうかを判断して、補正の必要があればステップS13で濃度補正を実行する(ステップ:S13)。以上、一連のトナー濃度補正は連続印刷中に行われ、印刷を中断する必要はない。その際、現行印刷ジョブでは補正を行わず、次の印刷ジョブから濃度補正を適用するようにしてもよい。実濃度値が理想濃度値40または近似領域41の範囲内であれば、ステップS14に進行する。ステップS14では、濃度補正が完了したかどうかを判断し、未完であればステップS9に戻って処理が繰り返される。
【0024】
ここで、検出用画像は大きく次の2つの方法で生成することができる。1つは、予め不揮発性メモリ(電源オフでも内容が消えず、ROMやハードディスク装置などの記憶手段)に検出用画像データを記憶させて格納し、これを読み出すことで生成される。なお、このときのバリエーションとして、検出用画像データをそのまま記憶させるもと、符号化(圧縮)して記憶させたものを生成時に伸張させる。また1つは、画像パターンそのものではなく、濃度値(%)などのパラメータを入力すると、これに対応する検出用画像パターンを演算することで生成される。演算は数値を算出する場合やテーブルを用いた算出方式が可能である。
【0025】
<実施例1の効果>
以上から明らかなように、この実施例1では、印刷が設定枚数に達した段階で、残りの印刷枚数に対応して連続印刷中の先行媒体と後続媒体との間を複数の形成領域に分割し、その分割域にそれぞれパーセンテージの異なるトナー理論濃度値を目標とするたとえば検出用画像30〜32を形成することで、それら検出用画像30〜32の各色トナー濃度を実濃度値として検出することにより、その実濃度値を補正すべきかどうかを判断し、補正する場合は印刷中に実行するよう印刷中断することなく制御される。
【0026】
<実施例2の構成>
図10は、本発明による画像形成装置の実施例2としてその制御部10の構成を示す図である。本例の制御部10では、環境下の温度や湿度を検出する環境センサ17を設けたことが上記実施例1の制御部10と異なる点である。その他の各部各装置については実施例1と共通するので、対応する符号を付して重複する説明を省く。
【0027】
<実施例2の動作>
印刷中の処理を示す図11および図12の各動作フローチャート(その1、その2)において、制御部10のCPU11では印刷枚数カウンタ15で計数した印刷枚数がRAM13に記憶されている設定枚数に達したか否かを判断する(ステップ:S21)。印刷が設定枚数を超えた場合(Yes)、次のステップS22で環境センサ17が環境下の温度や湿度を検出し、RAM13に予め格納されている前回測定値または初期状態値と比較し(ステップ:S23)、今回検出した温度や湿度の変動が所定値範囲内であれば(Yes)、処理を実行せず終了となる。所定値範囲を超えておれば(No)、次のステップS24に進行し、実施例1の図3および図4で示されたステップS2〜ステップS14までの各ステップと同様なステップS24〜ステップS36の処理を実行する。
【0028】
<実施例2の効果>
この実施例2では、プリンタなど画像形成装置が作動するオフィスなどの環境下で温度や湿度にトナー成分などが影響されることを考慮し、温度や湿度の変動が大きいときに実施例1と同様の濃度補正を行うようにしたので、温度や湿度の変化が少ない環境における不要なトナー濃度補正を削除できる。
【0029】
<実施例3の構成>
図13は、本発明による画像形成装置の実施例3としてその制御部10の構成を示す図である。本例の制御部10では、上記実施例1,2の残印刷枚数カウンタ16および環境センサ17を設けず、印刷枚数カウンタ15のみを設けた点が異なる。その他の各部各装置については実施例1,2と共通するので、対応する符号を付して重複する説明を省く。
【0030】
<実施例3の動作>
印刷中の処理を示す図14の動作フローチャートにおいて、まずステップS40でトナー濃度補正の無効を示す制御フラグがセットされているか否かを制御部10のCPU11でチェックする。無効フラグがセットされておれば(Yes)、以降の処理は実行せず終了する。無効フラグがセットされていなければ(No)、次のステップS41に進行して印刷枚数カウンタ15で計数した印刷枚数がRAM13に記憶されている設定枚数に達したか否かを判断する。印刷が設定枚数を超えたおれば(Yes)、次のステップS42で検出用画像パターンを選択してこの場合70%濃度のCMYB4色の検出用画像Dを形成する。それに続いて、実施例1のステップS8〜ステップ14(図3,4参照)までの各ステップに共通するステップS43〜ステップS49の処理を実行する。ステップS50では、ステップS48で濃度補正を行ったかどうかを判断し、濃度補正を行っておれば(Yes)、処理を終了する。濃度補正が行わずとも良いようであれば(No)、ステップS51にて無効フラグをセットし、この無効フラグセットによって以降の濃度処理は実行されない。なお、本例では検出用画像Dという70%濃度のものに関して述べられているが、全濃度における検出用画像を形成したり検出するようにもできる。
【0031】
<実施例3の効果>
この実施例3では、連続印刷中の紙間で限定した濃度のみの検出を行い、検出された濃度が所定範囲内であるか否かによって濃度補正の必要性を判断するようにしたので、不要なトナー濃度補正を削除できる。
【0032】
なお、以上の実施例1,2,3においては、感光ドラム表面で現像されたトナー画像を直接記録紙に転写する直接転写方式、および画像形成部を複数備え並行して画像形成を行う所謂タンデム方式のカラープリンタを一例として説明したが、感光ドラム表面で現像されたトナー画像を一旦ベルトやドラムなどの中間転写体に転写し、転写器によって再度記録紙に転写する中間転写方式を用いたプリンタ、あるいは1つまたは複数の画像形成部を備え、その全てが単一色のトナーを用いる単色プリンタにも適用可能である。また、プリンタに限らず、カット紙に画像を記録するファクシミリ装置や複写機への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による各実施例が適用される画像形成装置を示す構成図。
【図2】実施例1の制御部を示す機能ブロック図。
【図3】実施例1の動作フローチャート(その1)。
【図4】実施例1の動作フローチャート(その2)。
【図5】実施例1の搬送ベルト上に形成される検出用画像の態様を模式的に示す図。
【図6】実施例1のトナーの実濃度値と理論濃度値との相関を示す特性グラフ。
【図7】実施例1の非分割型パターンによる検出用画像Aを示す平面図。
【図8】実施例1の分割型パターンによる検出用画像Bを示す平面図。
【図9】実施例1の分割型パターンによる検出用画像Cを示す平面図。
【図10】実施例2の制御部を示す機能ブロック図。
【図11】実施例2の動作フローチャート(その1)。
【図12】実施例2の動作フローチャート(その2)。
【図13】実施例3の制御部を示す機能ブロック図。
【図14】実施例3の動作フローチャート。
【図15】実施例3の検出用画像Dを示す平面図。
【符号の説明】
【0034】
1 画像形成装置
2 給紙部
2a 記録紙(印刷媒体)
3 搬送ベルト機構部
3a 搬送ベルト
4〜7 CMYB各色の画像形成部
8 定着器
9 画像濃度検出部
9a 反射型光センサ
9b シャッター機構部
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 A/D変換器
15 印刷枚数カウンタ(画像量積算部)
16 残印刷枚数カウンタ(画像量積算部)
17 環境センサ
18 検出用画像生成部
20 プログラム部
30〜32 検出用画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像情報に基づいて現像剤像を形成する画像形成部と、形成された現像剤像を搬送する搬送部と、該搬送部の一部に形成された検出用画像の濃度を検出する濃度検出部と、前記現像剤像を印刷媒体に転写する転写部とを有し、前記濃度検出部によって検出された濃度に基づいて形成する現像剤像の濃度を補正する画像形成装置において、
前記画像形成部によって形成された画像の量を積算する画像量積算部と、
該画像量積算部によって積算された画像の量が所定量を超えたか否かを判定する判定部と、
複数の画像を一組とする前記検出用画像を生成する検出用画像生成部と、
を備え、
前記検出用画像生成部は、前記判定部によって積算された画像の量が所定量を超えたと判定された場合に前記検出用画像を生成し、前記画像形成部は二枚の前記印刷媒体に転写される前記現像剤像の間に相当する領域を一つの領域としたとき、前記検出用画像生成部によって生成された検出用画像を複数の領域に分けて形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出用画像は、濃度の異なる複数種の画像からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像量積算部は、前記印刷媒体の印刷枚数に基づいて画像量を積算することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送部は、形成された前記現像剤像が直接転写される印刷媒体を搬送するものであることを特徴とする請求項1,2または3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送部は、その表面に前記現像剤像が転写された後、前記転写部によって前記印刷媒体に再度転写される中間転写体であることを特徴とする請求項1,2または3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−79001(P2006−79001A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265817(P2004−265817)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】