説明

画像形成装置

【課題】装置の小型化を図るととともに、画像品質を確保する。
【解決手段】本体フレーム55が有する一対の側壁56は、樹脂フレーム57と板金フレーム58とから構成されている。レーザプリンタ1を構成する複数のモジュールのうちプロセス部25とスキャナ部27については、高い位置精度を得ることが可能な側壁板金フレーム58により位置決め状態で支持することで、画像品質を確保することができる。また、ベルトユニット15、給紙カセット7、排出装置48、転写ローラ19など、高い位置精度が要求されないモジュールについては、設計上の自由度が高い側壁樹脂フレーム57により位置決め状態で支持することで、各モジュールを効率的に配置してレーザプリンタ1の小型化を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、例えば、給紙カセットや、用紙を搬送するベルト、感光ドラムや現像装置を有するプロセス部、露光を行うスキャナ部、転写手段、定着器、用紙を排出する排出装置などの複数のモジュール(構成要素)を備えて構成されている。このような画像形成装置は、一般的には、左右両側面に板金によって形成された一対の板金フレームを備えており、両板金フレーム間に各モジュールを位置決め状態で支持する構成となっている(例えば特許文献1参照)。このような板金を用いたフレームは、剛性が高いため、各モジュールの位置精度を確保することができる。
【特許文献1】特開平8−101546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、板金フレームは、複雑な形状に加工することが難しく、設計上の自由度が低いために、各モジュールを装置内に効率的に配置することができずに装置が大型化したり、あるいは、各モジュールをフレームに支持させるための取付部品を別に用意する必要があって部品点数が増し、コスト高を招くなどの問題がある。
【0004】
この問題の対策として、各モジュールを支持するフレームを合成樹脂製にする構成が考えられる。このような樹脂フレームは、複雑な形状の加工も容易で、設計上の自由度が高いために、これを用いることで、例えば、各モジュールを効率的に配置して装置の小型化を図ることが可能である。しかしその反面、樹脂フレームは、剛性が低く、また熱膨張などにより変形し易いために、各モジュールの位置精度が悪化してしまうという問題が生じる。特に、スキャナ部やプロセス部の位置精度が悪いと、形成される画像の品質を低下させてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、装置の小型化を図るととともに、画像品質を確保することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明に係る画像形成装置は、像担持体を有するプロセス部と、前記像担持体に対し露光を行うスキャナ部とを含んだ複数のモジュールと、左右一対設けられ、前記複数のモジュールのうち少なくとも前記プロセス部と前記スキャナ部とを位置決め状態で支持する板金フレームと、左右一対設けられ、前記複数のモジュールのうち前記板金フレームに支持されるモジュールを除いたモジュールを位置決め状態で支持する樹脂フレームと、を備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、前記像担持体上に形成された可視化像の担持または被記録媒体の搬送を行うベルトを備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、複数の被記録媒体を積載し、引き出し可能な積載カセットを備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、画像形成後の被記録媒体を排出するための排出装置を備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、被記録媒体上への可視化像の転写を行う転写手段を備えたところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、被記録媒体上に転写された可視化像の定着を行う定着器を備えたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記板金フレームにおいては、前記プロセス部を位置決めするプロセス位置決め部と、前記スキャナ部を位置決めするスキャナ位置決め部とが、同一平面上に形成されているところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のものにおいて、前記板金フレームと前記樹脂フレームとは、互いに板厚方向に重ね合わされているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
複数のモジュールのうちプロセス部とスキャナ部については、高い位置精度を得ることが可能な板金フレームにより位置決め状態で支持することで、画像品質を確保することができる。また、高い位置精度を必要としないその他のモジュールについては、設計上の自由度の高い樹脂フレームにより位置決め状態で支持することで、各モジュールを効率的に配置して装置の小型化を図ることができる。
【0015】
<請求項2から請求項6の発明>
ベルトユニット、積載カセット、排出装置、転写手段、定着器など、高い位置精度が要求されないモジュールについては、設計上の自由度が高い樹脂フレームにより位置決め状態で支持することで、各モジュールを装置内に効率的に配置して装置の小型化を図ることが可能となる。
【0016】
<請求項7の発明>
スキャナ部とプロセス部とが板金フレームの同一平面上で位置決めされるため、板金の曲げ加工等により生じる成形誤差の影響を受けない。従って、スキャナ部及びプロセス部の位置精度をより高めて、高い画像品質を確保することができる。
【0017】
<請求項8の発明>
板金フレームと樹脂フレームとが互いに板厚方向に重ね合わされているため、フレーム全体の強度が増すとともに、板金フレームによって樹脂フレームの変形が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の一実施形態を図1から図7を参照して説明する。
(レーザプリンタの全体構成)
図1は、本実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタ1の概略構成を示す側断面図であり、図2は、プロセス部25を引き出す途中の状態におけるレーザプリンタ1の側断面図である。なお、以下の説明においては、図1における右側を前方とする。
【0019】
このレーザプリンタ1は、直接転写タンデム方式のカラーレーザプリンタであって、図1に示すように、略箱型の本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の前面には、開閉可能な前面カバー3が設けられており、この前面カバー3を開放することにより、図2に示すように、プロセス部25を本体ケーシング2内から前方へ引き出すことが可能となる。また、本体ケーシング2の上面には、画像形成後の被記録媒体としての用紙4が積載される排紙トレイ5が形成されている。
【0020】
本体ケーシング2の下部には、画像を形成するための用紙4が積載される給紙カセット7(本発明の「積載カセット」に相当)が前方へ引き出し可能に装着されている。給紙カセット7内には、バネ8の付勢により用紙4の前端側を持ち上げるように傾動可能な用紙押圧板9が設けられている。また、給紙カセット7の前端上方位置には、ピックアップローラ10と、図示しないバネの付勢によりこのピックアップローラ10に圧接する分離パッド11とが設けられている。さらにピックアップローラ10の斜め前上方には一対の給紙ローラ12が設けられ、その上方に一対のレジストローラ13が設けられている。
【0021】
給紙カセット7の最上位の用紙4は、用紙押圧板9によってピックアップローラ10に向かって押圧され、ピックアップローラ10の回転によって、ピックアップローラ10と分離パッド11との間に挟まれたときに1枚ごとに分離される。そして、ピックアップローラ10及び分離バッド11の間から送り出された用紙4は、給紙ローラ12によって、レジストローラ13へ送られる。レジストローラ13では、その用紙4を所定のタイミングで、後方のベルトユニット15上へ送り出す。
【0022】
ベルトユニット15は、本体ケーシング2に対して着脱可能とされており、長方形の板状をなした合成樹脂製のベルトフレーム20を備えている。ベルトフレーム20は、本体ケーシング2内に水平に配置されるとともに、その前後両端部にベルト支持ローラ16,17が回転可能に設けられている。両ベルト支持ローラ16,17間には、ポリカーボネート等の樹脂材からなる無端状の搬送ベルト18が張架されており、この搬送ベルト18は、後側のベルト支持ローラ17が回転駆動されることにより図1の反時計回り方向に循環移動し、その上面に載せた用紙4を後方へ搬送する。なお、前側のベルト支持ローラ16は、いわゆるテンションローラであって、前後に変位可能とされるとともに、前方に付勢されることで搬送ベルト18に張力が付与されている。また、ベルトフレーム20には、両ベルト支持ローラ16,17の間に4つの転写ローラ19が前後方向に一定間隔で並んで回転可能に支持されている。これらの転写ローラ19は、後述する各画像形成ユニット26が有する感光ドラム31と対向配置され、感光ドラム31との間に搬送ベルト18を挟んだ状態となっている。転写時には、この転写ローラ19と感光ドラム31との間に転写バイアスが印加される。
【0023】
ベルトユニット15の下側には、搬送ベルト18に付着したトナーや紙粉等を除去するためのクリーニングローラ21が設けられている。クリーニングローラ21は、金属製の軸部材の周囲にシリコンからなる発泡材が設けられた構成であって、ベルトユニット15に設けられた金属製のバックアップローラ22と搬送ベルト18を挟んで対向している。クリーニングローラ21とバックアップローラ22との間には、所定のバイアスが印加され、それにより搬送ベルト18上のトナー等がクリーニングローラ21側へ電気的に吸引されるようになっている。また、クリーニングローラ21には、その表面に付着したトナー等を除去する金属製の回収ローラ23が当接しており、さらにその回収ローラ23にはその表面に付着したトナー等を掻き落とすためのブレード24が当接している。
【0024】
本体ケーシング2内における上部には、スキャナ部27が設けられ、その下側にプロセス部25が設けられ、さらにそのプロセス部25の下側に前述のベルトユニット15が配置されている。
【0025】
スキャナ部27は、詳細には示さないが、偏平な箱形の筐体50内に、4つのレーザ発光部、1つのポリゴンミラー、スキャナモータ、複数のレンズおよび反射鏡を備え、さらに筐体50の下面に4つの照射レンズ51を備えている。そして、4つのレーザ発光部から出射された所定の画像データに基づく各色毎のレーザ光Lが、各レンズや反射鏡を介して、スキャナモータにより回転駆動される1つのポリゴンミラーに対し互いに異なる入射角で入射し、さらにそこで反射されたレーザ光Lが各照射レンズ51から外部に出射され、感光ドラム31の表面上に高速走査にて照射される。
【0026】
プロセス部25は、マゼンタ,イエロー,シアン,ブラックの各色に対応した4つの画像形成ユニット26を備えており、これらの画像形成ユニット26が前後に並んで配置されている。各画像形成ユニット26は、像担持体としての感光ドラム31、スコロトロン型帯電器32及び現像装置としての現像カートリッジ34等を備えて構成されている。また、プロセス部25は、前後に並んだ4つのカートリッジ装着部30を有する枠状のフレーム29を備えている。各カートリッジ装着部30は、上下に開口しており、その内側に各現像カートリッジ34を着脱可能となっている。また、フレーム29には、各カートリッジ装着部30の下端位置に、各画像形成ユニット26の感光ドラム31が保持され、さらにその感光ドラム31に隣接してスコロトロン型帯電器32が保持されている。
【0027】
感光ドラム31は、接地される金属製のドラム軸31Aと、最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成されドラム軸31Aに周囲に装着された円筒形状のドラム本体31Bとを備えている。ドラム本体31Bは、ドラム軸31Aに対して回転可能に設けられている。
【0028】
スコロトロン型帯電器32は、感光ドラム31の後側斜め上方において、感光ドラム31と接触しないように所定間隔を隔てて、感光ドラム31と対向配置されている。このスコロトロン型帯電器32は、タングステン等の帯電用ワイヤ(図示せず)からコロナ放電を発生させることにより、感光ドラム31の表面を一様に正極性に帯電させる。
【0029】
現像カートリッジ34は、略箱形をなし、その内部には、上部にトナー収容室38が設けられ、その下側に供給ローラ39、現像ローラ40および層厚規制ブレード41が設けられている。各トナー収容室38には、現像剤として、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の正帯電性の非磁性1成分のトナーがそれぞれ収容されている。また、各トナー収容室38には、トナーを撹拌するためのアジテータ42が設けられている。
【0030】
供給ローラ39は、金属製のローラ軸を導電性の発泡材料で被覆することにより構成されており、現像ローラ40は、金属製のローラ軸を導電性のゴム材料で被覆することにより構成されている。トナー収容室38から放出されたトナーは、供給ローラ39の回転により現像ローラ40に供給され、供給ローラ39と現像ローラ40との間で正に摩擦帯電される。さらに、現像ローラ40上に供給されたトナーは、現像ローラ40の回転に伴って、層厚規制ブレード41と現像ローラ40との間に進入し、ここでさらに十分に摩擦帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ40上に担持される。
【0031】
感光ドラム31の表面は、その回転時、まずスコロトロン型帯電器32により一様に正帯電される。その後、スキャナ部27からのレーザ光の高速走査により露光されて、用紙4に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0032】
次いで、現像ローラ40の回転により、現像ローラ40上に担持され正帯電されているトナーが、感光ドラム31に対向して接触するときに、感光ドラム31の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム31の静電潜像は、可視像化され、感光ドラム31の表面には、露光部分にのみトナーが付着したトナー像が担持される。
【0033】
その後、各感光ドラム31の表面上に担持されたトナー像は、搬送ベルト18によって搬送される用紙4が、感光ドラム31と転写ローラ19との間の各転写位置を通る間に、転写ローラ19に印加される負極性の転写バイアスによって、用紙4に順次転写される。こうしてトナー像が転写された用紙4は、次いで定着器43に搬送される。
【0034】
定着器43は、本体ケーシング2内における搬送ベルト18の後方に配置されている。この定着器43は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ44と、加熱ローラ44の下方において、加熱ローラ44を押圧するように対向配置され従動回転される加圧ローラ45とを備えている。この定着器43では、4色のトナー像を坦持した用紙4を、加熱ローラ44及び加圧ローラ45によって狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像を用紙4に定着させる。
【0035】
定着器43の斜め後上方には、回転駆動される搬送ローラ46、それに対向する一対の従動ローラ47、用紙4を案内するためのガイド(図示せず)を備えた排出装置48が設けられている。定着器43において熱定着された用紙4は、排出装置48によりさらに本体ケーシング2の上部に設けられた排紙ローラ49へ搬送され、この排紙ローラ49により前述の排紙トレイ5上に排出される。
【0036】
(本体フレームによる各部の支持構造)
次に本体フレーム55による各部の支持構造について詳細に説明する。
図3は、本体フレーム55の斜視図、図4は、本体フレーム55からフロントビーム55の一部と上面プレート71とを外した状態の斜視図、図5は、本体フレーム55の正断面図、図6は、本体フレーム55の側断面図、図7は、本体フレーム55の背面図である。なお、図6では、左側が前方となっている。
【0037】
既述の本体ケーシング2は、本体フレーム55と、その本体フレーム55の外面の一部に覆い付けられた樹脂製の外装カバー(図示せず)とから構成されている。この本体フレーム55により、既述したプロセス部25や、スキャナ部27、給紙カセット7、ベルトユニット15、排出装置48、定着器43など、本レーザプリンタ1を構成する各種モジュールが支持される。本体フレーム55は、図3及び図5等に示すように、全体として前後に開放した直方体状をなし、左右一対の側壁56を備えている。各側壁56は、合成樹脂製の側壁樹脂フレーム57(本発明の「樹脂フレーム」に相当)と、板金製の側壁板金フレーム58(本発明の「板金フレーム」に相当)とから構成されている。両側壁樹脂フレーム57は、側方からみて略長方形状をなすとともに、その周縁部57Aが外側方に向けて延出されることで収容凹部60が形成されている。詳細には示さないが、この収容凹部60内には、例えばメインモータからの動力を各部に伝達するためのギア機構等が配設される。側壁板金フレーム58は、側壁樹脂フレーム57の上部に内面側から板厚方向に重ね合わされ、互いに固定されている。
【0038】
本体フレーム55の底部には、両側壁56間における前端寄り位置に金属製の底部ビーム61が架設され、その後方には、金属板を略L字状に曲げてなる底部プレート62が架設されている。
【0039】
本体フレーム55の上部には、図4に示すように、両側壁56間における前端寄り位置に金属製のフロントビーム63が架設され、両側壁56間における後端部に断面略L字状をなす金属製のリアビーム64が架設されている。そして、両側壁56間において、フロントビーム63とリアビーム64との間には、金属製のスキャナ支持プレート67が水平に架設されている。このスキャナ支持プレート67は、長方形状をなすとともにその四辺部が上向きに折り曲げられており、図5に示すように、そのうち左右両端部が留め具68を用いて両側壁56の内側面に対して固定されている。スキャナ支持プレート67の上面には、スキャナ部27の筐体50が載置され、ねじ止めにより固定されている。即ち、スキャナ部27は、スキャナ支持プレート67を介して両側壁板金フレーム58により位置決め状態で支持されており、両側壁板金フレーム58において留め具68が取り付けられた箇所が本発明のスキャナ位置決め部69となっている。。また、スキャナ支持プレート67には、スキャナ部27の各照射レンズ51に対応する位置に、レーザ光Lを通過させるためのスリット70が左右方向に沿って形成されている。さらに、本体フレーム55の上面には、スキャナ部27の上方を覆うように、両側壁56間に金属製の上面プレート71が架設されている。
【0040】
本体フレーム55内の下部には、図5及び図6に示すように、底部プレート62の上方に金属製の台板73が設けられている。この台板73は、左右両側部が留め具74により両側の側壁樹脂フレーム57に固定されることで水平に架設されており、本体フレーム55の前部を除いた領域に設けられている。この台板73と、底部プレート62と、左右の側壁樹脂フレーム57とに囲われた領域は、カセット収容部75となっており、ここに既述の給紙カセット7の前部を除いた部分が収容される。左右の側壁樹脂フレーム57には、カセット収容部75に面した位置にそれぞれ前後方向に沿ったガイド溝76が形成されており、各ガイド溝76に給紙カセット7の側面に突設されたリブ7Aが差し込まれることで、給紙カセット7の前後方向へのスライドが案内されるとともに、給紙カセット7が上下方向に位置決めされた状態で支持される。
【0041】
左右の側壁板金フレーム58の下縁部58A(本発明の「プロセス位置決め部」に相当)は、一定の高さ位置で内向きに直角曲げされており、本体ケーシング2内にプロセス部25を装着した際には、各感光ドラム31が有するドラム軸31Aの端部が側壁板金フレーム58の下縁部58A上に載り、これにより各感光ドラム31(プロセス部25)が上下方向に位置決めされる。このように、側壁板金フレーム58において、感光ドラム31(プロセス部25)を位置決めする下縁部58Aが形成された位置と、スキャナ部27を位置決めする留め具68が固定されたスキャナ位置決め部69が設けられた位置とは、同一平面上に形成されている。下縁部58Aとスキャナ位置決め部69との間で、板金が例えば段差状に折り曲げられていた場合に比べると、本構成では、板金の曲げ加工等により生じる成形誤差の影響を受けない分、感光ドラム31(プロセス部25)及びスキャナ部27に対する位置決め精度が高い。
【0042】
左右の側壁樹脂フレーム57には、図6に示すように、側壁板金フレーム58の下縁部より下方に、3つのベルトユニット支持部78,79,80が前後に並んで形成されている。後側のベルトユニット支持部78は、斜め前上方に向けて開放した溝状をなし、後側のベルト支持ローラ17が有する回転軸の端部に装着された軸受部材17Aが挿入される。中央のベルトユニット支持部79は、上方に開放した溝状をなし、ベルトフレーム20の両側面に突設された位置決め突起79が嵌合される。前側のベルトユニット支持部80は、水平な板状をなし、前側のベルト支持ローラ16が有する回転軸の端部に装着された軸受部材16Aが載せられる。これらのベルトユニット支持部78,79,80により、ベルトユニット15(転写ローラ19を含む)が上下方向及び前後方向に位置決めされた状態で支持される。
【0043】
左右の側壁樹脂フレーム57における後端部には、図7に示すように、排出装置取付部81が内向きに突出して一体に形成されている。これらの排出装置取付部81には、排出装置48がねじ止めされ、これにより、排出装置48が位置決め状態で支持される。
また、左右の側壁板金フレーム58には、後端部に定着器取付部82が内向きに突出して形成されている。各定着器取付部82には、定着器43がねじ止めされ、これにより、定着器43が位置決めされた状態で支持される。
【0044】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、複数のモジュールのうちプロセス部25とスキャナ部27については、高い位置精度を得ることが可能な側壁板金フレーム58により位置決め状態で支持することで、画像品質を確保することができる。また、ベルトユニット15、給紙カセット7、排出装置48、転写ローラ19など、高い位置精度が要求されないモジュールについては、設計上の自由度が高い側壁樹脂フレーム57により位置決め状態で支持することで、各モジュールを効率的に配置してレーザプリンタ1の小型化を図ることが可能となる。
【0045】
また、プロセス部25とスキャナ部27とが側壁板金フレーム58の同一平面上で位置決めされるため、板金の曲げ加工等により生じる成形誤差の影響を受けない。従って、プロセス部25及びスキャナ部27の位置精度をより高めて、高い画像品質を確保することができる。
【0046】
側壁56においては、側壁板金フレーム58と側壁樹脂フレーム57とが互いに板厚方向に重ね合わされているため、側壁56全体の強度が増すとともに、側壁板金フレーム58によって側壁樹脂フレーム57の熱膨張などによる変形が抑えられる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、定着器を板金フレームにより支持したものを示したが、本発明によれば、定着器を樹脂フレームにより支持するように構成してもよい。また、積載カセット、ベルトユニット、排出装置などの各モジュールの一部を板金フレームにより支持するように構成しても良い。さらに、転写手段を板金フレームにより支持させる構成としても良く、これにより、転写手段の位置精度を高め、転写位置のずれに起因する色ずれの発生を防止することができる。
【0048】
(2)上記実施形態では、本発明をいわゆる直接転写タンデム方式のカラーレーザプリンタに適用した例を示したが、これに限らず、本発明は、例えば中間転写タンデム方式の画像形成装置や、4サイクル式(シングルドラム式)の画像形成装置にも適用することができる。さらに、本発明は、モノクロタイプの画像形成装置にも適用することができる。
(3)上記実施形態では、像担持体として複数の感光ドラムを備えたものを示したが、本発明は、像担持体として、例えば複数のローラ間に張架される感光体ベルトを備えたものにも適用することができる。
(4)上記実施形態では、ベルトとして被記録媒体の搬送を行う搬送ベルトを備えたものを示したが、本発明は、ベルトとして、中間転写ベルトを備えたものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態におけるレーザプリンタの概略構成を示す側断面図
【図2】プロセス部を引き出す途中の状態を示すレーザプリンタの側断面図
【図3】本体フレームの斜視図
【図4】本体フレームからフロントビームの一部と上面プレートとを外した状態の斜視図
【図5】本体フレームの正断面図
【図6】本体フレームの側断面図
【図7】本体フレームの背面図
【符号の説明】
【0050】
1…レーザプリンタ(画像形成装置)
4…用紙(被記録媒体)
7…給紙カセット(積載カセット、モジュール)
15…ベルトユニット(モジュール)
19…転写ローラ(転写手段、モジュール)
25…プロセス部(モジュール)
27…スキャナ部(モジュール)
31…感光ドラム(像担持体、モジュール)
43…定着器(モジュール)
48…排出装置(モジュール)
57…側壁樹脂フレーム(樹脂フレーム)
58…側壁板金フレーム(板金フレーム)
58A…下縁部(プロセス位置決め部)
69…スキャナ位置決め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を有するプロセス部と、前記像担持体に対し露光を行うスキャナ部とを含んだ複数のモジュールと、
左右一対設けられ、前記複数のモジュールのうち少なくとも前記プロセス部と前記スキャナ部とを位置決め状態で支持する板金フレームと、
左右一対設けられ、前記複数のモジュールのうち前記板金フレームに支持されるモジュールを除いたモジュールを位置決め状態で支持する樹脂フレームと、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、前記像担持体上に形成された可視化像の担持または被記録媒体の搬送を行うベルトを備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、複数の被記録媒体を積載し、引き出し可能な積載カセットを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、画像形成後の被記録媒体を排出するための排出装置を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、被記録媒体上への可視化像の転写を行う転写手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記樹脂フレームに支持されるモジュールとして、被記録媒体上に転写された可視化像の定着を行う定着器を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記板金フレームにおいては、前記プロセス部を位置決めするプロセス位置決め部と、前記スキャナ部を位置決めするスキャナ位置決め部とが、同一平面上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記板金フレームと前記樹脂フレームとは、互いに板厚方向に重ね合わされていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−148142(P2007−148142A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344330(P2005−344330)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】