説明

画像形成装置

【課題】この発明は、ロータリー式現像装置を備えた画像形成装置において、印刷時間の短縮化が図れる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回転枠と回転枠に支持された4つの現像器とを有するロータリー式現像装置を備えた画像形成装置において、1番目に現像が行なわれる現像器を第1現像器、第1現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ2番目に現像が行なわれる現像器を第2現像器、第2現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ3番目に現像が行なわれる現像器を第3現像器、第3現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ4番目に現像が行なわれる現像器を第4現像器とすると、第1現像器の現像ローラが現像器本体内における回転枠の回転方向後端側に配置され、第4現像器の現像ローラが現像器本体内における回転枠の回転方向前端側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロータリー式現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリー式現像装置は、回転枠と、回転枠に支持された4つの現像器を備えている。4つの現像器としては、例えば、黒、シアン、マゼンタおよびイエローの4色に対応した4つの現像カートリッジがある。
【0003】
各色の現像器の切り替えは、回転枠駆動モータによって回転枠を回転させることによって行なわれる。このため、各色の現像器の切り替えに時間を要し、印刷時間が長くなるという問題がある。
【0004】
そこで、回転枠を回転させる速度を制御することにより、各色の現像器の切り替えに要する時間を短縮化する方法が開発されている(特開2004−93608号公報参照)。つまり、1つの現像器による現像位置から、次の現像器による現像位置まで、回転枠を回転させる際の回転速度を、次のように制御する。回転速度を最大速度まで直線的に増加させた後、回転速度を直線的に減少させ、次の現像器による現像位置に達すると停止させる。しかしながら、このような回転枠駆動モータによる速度制御では、限界がある。
【特許文献1】特開2004−93608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、ロータリー式現像装置を備えた画像形成装置において、印刷時間の短縮化が図れる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、回転枠と回転枠に支持された4つの現像器とを有するロータリー式現像装置を備えた画像形成装置において、1番目に現像が行なわれる現像器を第1現像器、第1現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ2番目に現像が行なわれる現像器を第2現像器、第2現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ3番目に現像が行なわれる現像器を第3現像器、第3現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ4番目に現像が行なわれる現像器を第4現像器とすると、第1現像器の現像ローラが現像器本体内における回転枠の回転方向後端側に配置され、第4現像器の現像ローラが現像器本体内における回転枠の回転方向前端側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ロータリー式現像装置を備えた画像形成装置において、印刷時間の短縮化が図れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、この発明をカラープリンタに適用した場合の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
〔1〕カラープリンタの全体的な構成および動作の説明
【0010】
図1は、カラープリンタの概略構成を示している。
カラープリンタ1は、感光体ドラム2、ロータリー式現像装置3、露光装置としてのレーザユニット4、トナー収容部5、トナー供給装置6、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8、定着装置9を備えている。
【0011】
感光体ドラム2の上部には、感光体ドラム2の表面を一様に帯電するための帯電ローラ11が設けられている。また、感光体ドラム2の側方には、感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を清掃するためのドラムクリーニング装置12が設けられている。
【0012】
ロータリー式現像装置3は、感光体ドラム2に形成された静電潜像を各色のトナーによって現像するものである。ロータリー式現像装置3は、回転枠100と回転枠100に支持された4つの現像器101〜104を備えている。回転枠100は、回転軸の中心から放射状に延びる仕切り枠によって円周方向に4等分された4つの区画を有しており、各区画に黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの4つのトナー色に対応した4つの現像器101〜104が配置されている。ロータリー式現像装置3の詳細については後述する。
【0013】
レーザユニット4は、外部のコンピュータ等から送られてきた画像情報に基づいて、感光体ドラム2を走査露光するものである。レーザユニット4の前方には反射ミラー13が設けられており、レーザユニット4から出射されたレーザ光は、反射ミラー13を介して感光体ドラム2の表面に照射される。
【0014】
トナー収容部5には、ロータリー式現像装置3の各現像器101〜104に対して供給すべきトナーが収容されている。トナー収容部5には、図1の紙面に直交する方向に並んで、黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの各色のトナーをそれぞれ収容する4つの収容部を備えている。トナー供給装置6は、トナー収容部5に収容された各色のトナーを、対応する現像器101〜104に供給するものである。
【0015】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が順次転写される。中間転写ベルト7は、駆動ローラ14と従動ローラ15とに掛け渡されている。また、中間転写ベルト7の一部は、感光体ドラム2と対向する位置において、1対の一次転写ローラ16、17によって感光体ドラム2に当接せしめられている。なお、18は、転写ベルト7を清掃するためのベルトクリーニング装置である。
【0016】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に転写された画像を、搬送されてきた用紙に転写するためのものである。定着装置9は、用紙上に転写されたトナーを定着させるためのものであり、ヒータを内蔵する加熱ローラ9aと加熱ローラ9aに圧接する加圧ローラ9bとを備えている。なお、用紙は給紙カセット21によって供給される。
【0017】
次に、カラープリンタの全体的な動作について説明する。
【0018】
まず、帯電ローラ11によって感光体ドラム2が帯電せしめられる。この後、レーザユニット4により画像データに対応した走査露光が行なわれ、感光体ドラム2に静電潜像が形成される。次に、ロータリー式現像装置3が回転せしめられ、対応する色の現像器の現像ローラが感光体ドラム2に対向せしめられる。この状態で、感光体ドラム2の静電潜像が対応する色のトナーによって現像される。現像された画像は、中間転写ベルト7に転写される。以上の動作を繰り返すことによって、中間転写ベルト7上にはフルカラー画像が形成される。
【0019】
一方、給紙カセット21から1枚の用紙が前送りコロ22およびさばきローラ対23、24により取り出され、搬送路を介してレジストローラ対25、26に搬送される。レジストローラ対25、26まで搬送されてきた用紙は、所定のタイミングでレジストローラ対25、26から2次転写ローラ8に送られ、中間転写ベルト7上に形成されたフルカラー画像が用紙に転写される。この用紙は、定着装置9、搬送ローラ群27、28、29を介して排出部30に排出される。
【0020】
〔2〕ロータリー式現像装置3についての説明
【0021】
図2は、ロータリー式現像装置3の構成を示している。
ロータリー式現像装置3は、黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの4つのトナー色に対応した4つの現像器101〜104を備えている。各現像器101〜104は、現像ローラ111および現像ローラ111にトナーを供給するための供給ローラ112、113を備えている。ロータリー式現像装置3は、各現像器101〜104が順次現像位置で停止するように、図示しない駆動モータによって、反時計方向(矢印Aで示す方向)に間欠的に回転せしめられる。これにより、最初に現像器101による黒Bの現像処理が行なわれ、その次に現像器102によるシアンCの現像処理が行なわれ、その次に現像器103によるマゼンタMの現像処理が行なわれ、最後に現像器104によるイエローYの現像処理が行なわれる。なお、現像位置とは、現像ローラ111が感光体ドラム2に対向する位置をいう。
【0022】
現像器101と現像器103の現像ローラ111は、その現像器本体内におけるロータリー式現像装置3の回転方向(回転枠100の回転方向)の後端側に配置されている。一方、現像器102と現像器104の現像ローラ111は、その現像器本体内におけるロータリー式現像装置3の回転方向の始端側に配置されている。
【0023】
図3は、各現像器101〜104が現像位置に位置したときに、その現像器の現像ローラ111および供給ローラ112、113を回転させるための機構を示している。
【0024】
各現像器101〜104の現像ローラ111の回転軸は現像器本体の外側まで延びており、現像器本体の外側において、現像ローラ111の回転軸に現像ローラ駆動ギヤ211が固定されている。また、各現像器101〜104の供給ローラ112、113の回転軸は、現像器本体の外側まで延びており、現像器本体の外側において、供給ローラ112、の回転軸に供給ローラ駆動ギヤ212が固定され、供給ローラ113の回転軸に供給ローラ駆動ギヤ213が固定されている。
【0025】
各現像器101〜104において、現像ローラ駆動ギヤ211に供給ローラ駆動ギヤ212が噛み合っており、供給ローラ駆動ギヤ212に供給ローラ駆動ギヤ213が噛み合っている。
【0026】
カラープリンタ本体には、各現像器101〜104の現像ローラ111が現像位置に位置したときに、その現像ローラ駆動ギヤ211に噛む合う駆動出力ギヤ300が回転自在に支持されている。この駆動出力ギヤ300は、図示しない駆動モータによって駆動される。図3に示すように、現像器101が現像位置に停止しているときに、駆動出力ギヤ300が反時計方向に回転せしめられると、現像器101の現像ローラ駆動ギヤ211が時計方向に、供給ローラ駆動ギヤ212が反時計方向に回転し、供給ローラ駆動ギヤ213が時計方向に回転する。これにより、現像器101の供給ローラ113が時計方向に、供給ローラ112が反時計方向に回転し、トナーが現像ローラ111側に供給される。また、現像ローラ111が時計方向に回転し、反時計方向に回転している感光体ドラム2にトナーが供給される。
【0027】
この実施例では、現像器101による黒Bの現像処理が終了すると、ロータリー式現像装置3が反時計方向Aにθ1(図2参照)だけ回転せしめられた後、停止される。これにより、シアンCの現像器102が現像位置に位置する。そして、現像器102によるシアンCの現像処理が行なわれる。
【0028】
現像器102によるシアンCの現像処理が終了すると、ロータリー式現像装置3が反時計方向Aにθ2(図2参照)だけ回転せしめられた後、停止される。これにより、マゼンタMの現像器103が現像位置に位置する。そして、現像器103によるマゼンタMの現像処理が行なわれる。
【0029】
現像器103によるマゼンタMの現像処理が終了すると、ロータリー式現像装置3が反時計方向Aにθ3(図2参照)だけ回転せしめられた後、停止される。これにより、イエローYの現像器104が現像位置に位置する。そして、現像器104によるイエローYの現像が行なわれる。
【0030】
したがって、黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの4色分の色の切り換えを行なうために、ロータリー式現像装置3は、θ=θ1+θ2+θ3<270度に相当する回転角度だけ回転せしめられる。
【0031】
図4は、従来のロータリー式現像装置3Aを示している。
【0032】
従来のロータリー式現像装置3Aは、黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの4つのトナー色に対応した4つの現像器101A〜104Aを備えている。各現像器101A〜104Aは、現像ローラ111Aを備えている。ロータリー式現像装置3Aは、各現像器101A〜104Aが順次現像位置で停止するように、図示しない駆動モータによって、反時計方向(矢印Aで示す方向)に間欠的に回転せしめられる。これにより、黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの色の切り換えを行なっている。なお、符号2は感光体ドラムを示している。
【0033】
従来のロータリー式現像装置3Aでは、各101A〜104Aの現像ローラ111Aは、その現像器におけるロータリー式現像装置3の回転方向の始端側と後端側との丁度中間位置に配置されている。したがって、黒B、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの4色分の色の切り換えを行なうために、ロータリー式現像装置3Aは、θ’=270度、回転させる必要がある。
【0034】
本実施例のロータリー式現像装置3では、4色分の色の切り換えを行なうために必要なロータリー式現像装置3の回転量θが、従来のロータリー式現像装置3Aの回転量θ’より少なくなるので、印刷時間(ファーストプリント時間)の短縮化が図れるようになる。 なお、本願発明においては、現像器101の現像ローラ111がその現像器本体内におけるロータリー式現像装置3の回転方向の後端側に配置され、現像器104の現像ローラ111がその現像器本体内におけるロータリー式現像装置3の回転方向の始端側に配置されておればよく、現像器102と現像器103の現像ローラの位置は任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】カラープリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図2】ロータリー式現像装置3の構成を示す断面図である。
【図3】ロータリー式現像装置3の構成を示す側面図である。
【図4】従来のロータリー式現像装置3Aの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
2 感光体ドラム
3 ロータリー式現像装置
100 回転枠
101〜104 現像器
111 現像ローラ
112、113 供給ローラ
211 現像ローラ駆動ギヤ
212、213 供給ローラ駆動ギヤ
300 駆動出力ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転枠と回転枠に支持された4つの現像器とを有するロータリー式現像装置を備えた画像形成装置において、
1番目に現像が行なわれる現像器を第1現像器、第1現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ2番目に現像が行なわれる現像器を第2現像器、第2現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ3番目に現像が行なわれる現像器を第3現像器、第3現像器に対して回転枠の回転方向後方側に隣接しかつ4番目に現像が行なわれる現像器を第4現像器とすると、
第1現像器の現像ローラが現像器本体内における回転枠の回転方向後端側に配置され、第4現像器の現像ローラが現像器本体内における回転枠の回転方向前端側に配置されていることを特徴とするロータリー式現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−156050(P2007−156050A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350181(P2005−350181)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】