説明

画像形成装置

【課題】交換可能な消耗品の寿命に影響を与える要因を常に監視し、交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを、画像形成装置の使用状況に応じて変化させることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置の印刷状況に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図5に示すように、画像形成を行う度に(S30)、印刷状況を取得して(S31)、その印刷状況に応じて判断基準の値を決定する(S32;Y、S33)。印刷状況とは、全印刷枚数における連続印刷枚数の割合であり、「1枚印刷−放置」を10回繰り返した後に10枚連続印刷を行うと、50%となる。例えば、この割合が「70%以上のときにニアエンドタイミングを500枚分遅くする」という場合、この割合が80%のとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分遅くニアエンドとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置における消耗品交換条件の最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、各種の消耗品の使用が終了した際これらを交換することが不可避である。装置を安定的に継続して使用するためには、適切な時期にこれらの消耗品を交換することが望ましい。
これらの消耗品の寿命は使用状況によって異なり、交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを、使用状況に応じて変化させることは有用である。
このような消耗品の交換に関する技術として以下の文献をあげることができる。
【特許文献1】特開2004−86064公報
【特許文献2】特開平10−198236号公報
【特許文献3】特開平11−179971号公報
【特許文献4】特開平5−341933号公報
【特許文献5】特開2001−134062公報
【特許文献6】特開平11−038703号公報
【特許文献7】特開2004−354666公報
【0003】
特許文献1記載の発明では、消耗品ユニットに関して、ある消耗品が寿命が近づいたことをユーザに通知してから、その消耗品が寿命に達した時間を計測し、その消耗品ユニットを交換後、その計測結果を元に、交換後の消耗品ユニットが寿命が近づいたことをユーザーに通知するタイミングを変更し、適切な時期に消耗品ユニットの交換通知を行えるようにしている。そして、ユーザの使用状況に応じた適切な時期にユニットの交換通知を行うことで、機械稼動のロスタイムを防いでいる。
特許文献2記載の発明では、交換可能な消耗品の色情報、メーカー名、IDナンバー、再利用回数、寿命検知カウンタ、寿命しきい値の各情報を格納し、且つ、その内容を必要時に変更することで、適切に消耗品を交換可能としている。
特許文献3記載の発明では、出力画像の色再現性の劣化にも着目して消耗品の交換時期を判定している。
特許文献4記載の発明では、プリンタの累積動作時間を計測、記憶し、その値をもとに消耗品の交換や点検時期を通知している。
特許文献5記載の発明では、容易にトナー消費量を予測でき、環境、装置、トナーカートリッジの特性のばらつき、トナー残量等の影響を受けずに、容易にトナー補給量を算定している。
特許文献6記載の発明では、画質を安定化するためにトナー濃度を調整できるようにしている。
特許文献7記載の発明では、トナー消費量の演算を精度よく行えるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1では、消耗品ユニットの交換時期が近づいたことを通知してから実際に交換するまでの時間をパラメータとしており、前回の通知タイミングを学習して、次回の交換通知タイミングを変更するものである。消耗品ユニットの交換前後で、全くの同環境下で使用される場合には有効であるが、使用環境や使用頻度が変化した場合には、適切なタイミングで通知できないという課題がある。即ち、過去の消耗品の交換タイミングを学習することで、ニアエンドタイミングを変化させているが、新品の消耗品の寿命が近づくまでには日数を要し、即時にニアエンドタイミングを変化させることは困難である。
また、特許文献2では、必要時に変更可能であるが、装置本体上に配置された操作手段にて行う必要があり、操作を実施しない限りは変更することができない。さらに、特許文献4では、累積動作時間に基づいて、即時に変更可能であるが、その都度変化する使用状況に対して変更することはできない。
そこで、本発明では、交換可能な消耗品の寿命に影響を与える要因を常に監視し、交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを、画像形成装置の使用状況に応じて即時に変化させることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、当該画像形成装置の動作開始時に、使用環境を取得する取得手段と、この取得手段で取得した使用環境に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことにより、前記目的を達成する。
請求項2記載の発明では、入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、当該画像形成装置の画像形成後に、印刷状況を取得する印刷状況取得手段と、この印刷状況取得手段で取得した印刷状況に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記取得手段が取得する使用環境に、ユーザーが一定期間に印刷する枚数の履歴も含み、前記ニアエンドタイミング変更手段は、一定期間に印刷する枚数の履歴に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、当該画像形成装置の画像形成後に、当該装置の温度を取得する温度取得手段と、この温度取得手段で取得した温度に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項5記載の発明では、入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、当該画像形成装置の画像形成後に、当該装置の湿度を取得する湿度取得手段と、この湿度取得手段で取得した湿度に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記取得手段が取得する使用環境に、当該画像形成装置の設置場所とサービス拠点の距離等から決定されるカスタマーエンジニアが到達するまでの時間も含み、前記ニアエンドタイミング変更手段は、カスタマーエンジニアが到達するまでの時間に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする。
【0008】
請求項7記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記取得手段が取得する使用環境に、当該画像形成装置の放置時間も含み、前記ニアエンドタイミング変更手段は、当該画像形成装置の放置時間に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項2記載の発明において、印刷状況取得手段が取得する印刷状況に転写紙の種類を含み、この印刷状況取得手段で取得した転写紙の種類に基づき、前記ニアエンドタイミング変更手段が、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする。
【0009】
請求項9記載の発明では、請求項3から請求項8記載のうち何れか1項に記載の発明において、前記通知手段が、画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知した後、前記ニアエンドタイミング変更手段が、ニアエンドタイミングを変更して、ニアエンドでなくなったとき、前記通知手段がニアエンドでない旨をユーザーに通知することを特徴とする。
【0010】
請求項10記載の発明では、請求項3から請求項9記載の画像形成装置において、前記ニアエンドタイミング変更手段が、ニアエンドタイミングを変化させる際の判断基準となる要因を1つ又は複数から選択可能としたことを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、画像形成装置の動作開始時にニアエンドタイミングを変化できるので、画像形成装置を動作させる度に交換可能な消耗品の適切なニアエンドタイミングへと変更できる。また、適切なタイミングでニアエンドを通知することで、早期交換による消耗品の無駄を削減でき、省資源化へつなげることができる。
請求項2に記載の発明では、画像形成時にニアエンドタイミングを変化できるので、画像形成する度に交換可能な消耗品の適切なニアエンドタイミングへと変更することができる。
【0012】
請求項3記載の発明では、画像形成装置の動作開始の度に毎日の印刷枚数を取得しているので、使用頻度に応じて交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
請求項4記載の発明では、画像形成の度に画像形成装置の設置場所又は交換可能な消耗品の温度を取得しているので、温度に応じて交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
請求項5記載の発明では、画像形成の度に画像形成装置の設置場所又は交換可能な消耗品の湿度を取得しているので、湿度に応じて交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
【0013】
請求項6記載の発明では、画像形成装置の動作開始の度に画像形成装置の設置場所を取得しており、サービス拠点からの距離を算出できるので、消耗品交換の依頼を出してからカスタマーエンジニアが到着するまでの時間に応じて交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
請求項7記載の発明では、画像形成装置の動作開始の度に画像形成装置の放置時間を取得しているので、放置時間に応じて交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
【0014】
請求項8記載の発明では、画像形成の度に転写紙の摩擦係数を取得しているので、摩擦係数に応じて交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
請求項9記載の発明では、画像形成の度に交換可能な消耗品がニアエンドか否かを判断できるので、ニアエンドを通知した後に、ニアエンドでない状態へと変化したようなときにおいても、ニアエンドでなくなったことを通知することができる。
【0015】
請求項10記載の発明では、画像形成装置の動作開始の度にニアエンドタイミングを変化させる要因を取捨選択できるので、使用者が必要とする要因の組み合わせに基づいて、交換可能な消耗品のニアエンドタイミングを変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1ないし図17を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。図1に示すように、コントローラ10と、このコントローラ10と接続した表示部12と、操作部14と及びエンジン20と並びにこのエンジン20と接続した温度センサ32と及び湿度センサ34とから構成されている。このエンジン20には、CPU(中央演算処理装置)22と、NVRAM(不揮発性RAM)24と、FROM26とを含んでいる。また、コントローラ10は、外部コンピュータ40と接続している。
【0017】
図2は、交換可能な消耗品のニアエンドを通知する処理手順を示したフローチャートである。画像形成装置において、画像形成を行った後に(ステップ10)、交換可能な消耗品がニアエンドかどうかを判断し(ステップ11)、ニアエンドの場合にはニアエンドであることを使用者に通知する(ステップ12)。この場合表示部12に、図3に示すように表示される。ステップ11の判断基準となる値には、予め設定された固定値が用いられるのが一般的である。ステップ12において、例えば中間転写ユニットがニアエンドである場合には、表示部12に図3のような表示をすることで、ニアエンドの通知が行われるようになっている。
【0018】
次に、本実施例に係る処理手順をフローチャートを参照して説明する。
第1の実施例として、画像形成装置の使用環境に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図4に示したように、画像形成装置の動作開始時(画像形成を行う前)に使用環境情報を取得して(ステップ20)、その使用環境に応じて図2のステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ21;Y、ステップ22)。ここで、使用環境情報とは、画像形成装置が設置された場所情報のことであり、「日本」や「中国」などである。設置された場所はNVRAM24に保存されており、この値を参照することで、使用環境情報が取得できる。
例えば、「日本に設置されるときにニアエンドタイミングを標準より500枚分遅くする」という場合、画像形成装置の動作開始時に取得した使用環境情報が「日本」なら、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分遅くニアエンドになるようにする。なお、ステップ23からステップ25は、図2のステップ10からステップ12と同一である。
【0019】
第2の実施例として、画像形成装置の印刷状況に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図5に示したように、画像形成を行う度に(ステップ30)、印刷状況を取得して(ステップ31)、その印刷状況に応じて図2ステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ32;Y、ステップ33)。ここで、印刷状況とは、全印刷枚数における連続印刷枚数の割合であり、「1枚印刷−放置」を10回繰り返した後に10枚連続印刷を行うと、50%となる。例えば、この割合が「70%以上のときにニアエンドタイミングを500枚分遅くする」という場合、この割合が80%のとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分遅くニアエンドになるようにする。
【0020】
第3の実施例として、一定期間内(毎日、毎週など)の印刷枚数に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図6のフローチャートに示したように、画像形成装置の動作開始時に一定期間内の印刷枚数の履歴を取得して(ステップ40)、その履歴に応じて図2のステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ41;Y、ステップ42)。
印刷枚数の履歴は、図7のフローチャートに示したように、画像形成装置が保持する時間情報をもとにして(ステップ50)、一定期間が経過したと判断したときに(ステップ50;Y、図中は毎日)、その一定期間の開始時から現在までの印刷枚数が、NVRAM24に保存される(ステップ52、ステップ53)。
例えば、「一日の印刷枚数が50枚より少ないときにニアエンドタイミングを標準より500枚分早くする」という場合、NVRAM14に保存されている一日の印刷枚数が40枚のとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分早くニアエンドになるようにする。
【0021】
第4の実施例として、温度に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図8に示したように、画像形成を行う度に(ステップ60)、温度センサ32により、設置場所又は交換可能な消耗品の温度を取得して(ステップ61)、その温度に応じて図2ステップ11における判断基準の値を決定する。そして、寿命が近づいたことを通知するタイミングを変更し(ステップ62;Y、ステップ63)、この変更したタイミングに基づき判断を行い(ステップ64)、寿命が近い場合は(ステップ64;Y)、その旨を通知する(ステップ65)。
設置場所又は交換可能な消耗品の温度は、画像形成装置に取り付けられた温度センサ32により取得された値である。例えば、「温度が25度以上のときにニアエンドタイミングを標準より500枚分早くする」という場合、温度センサ32から取得した温度が27度のとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分早くニアエンドになるようにする。
【0022】
第5の実施例として、湿度に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図9に示したように、画像形成を行う度に(ステップ70)、湿度センサ34により、設置場所又は交換可能な消耗品の湿度を取得して(ステップ71)、その湿度に応じて図2ステップ11における判断基準の値を決定する。その後の処理は図8のステップ62〜ステップ65と同一である(ステップ72〜ステップ75)。
設置場所又は交換可能な消耗品の湿度は、画像形成装置に取り付けられた湿度センサ34により取得された値である。例えば、「湿度が70%以上のときにニアエンドタイミングを標準より500枚分早くする」という場合、湿度センサから取得した湿度が80%のとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分早くニアエンドになるようにする。
【0023】
第6の実施例として、消耗品の交換を依頼してからカスタマーエンジニアが到着するまでの距離(時間)に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図10に示したように、画像形成装置の動作開始時に設置場所(予め設定しておく。Fax機能がある場合にはFax番号などを参照する)を取得して(ステップ80)、サービス拠点からの距離を算出し、その距離に応じて図2ステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ81;Y、ステップ82)。そして、画像形成を行い(ステップ83)、変更したタイミングに照らして寿命が近いと判断したときは(ステップ84;Y)、その旨を通知する(ステップ85)。
電話番号を参照する場合、その電話番号から、画像形成装置が設置された地域を特定できる。図11に示した表のように、予め設定された対応表に基づいて、その電話番号の地域とサービス拠点との距離(例えば、50〜100km圏)を求めて、その距離に応じて、ニアエンドタイミングを変更する。例えば、図12に示した表のように、「50〜100km圏のときにニアエンドタイミングを標準より500枚分早くする」という場合、サービス拠点との距離が50〜100kmのとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分早くニアエンドになるようにする。
【0024】
第7の実施例として、放置時間に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図13に示したように、画像形成装置の動作開始時に最終使用日時からの放置時間を取得して(ステップ90)、その時間に応じて図2ステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ91;Y、ステップ92)。これ以降の処理は図10のステップ83〜ステップ85と同様である(ステップ93〜ステップ95)。
最終使用日時からの放置時間は、NVRAM24に保存された最終使用日時であり、この値を参照して行われる。例えば、「放置時間が24時間を越えたときにニアエンドタイミングを標準より500枚分早くする」という場合、NVRAM24に保存された最終使用日時から25時間経過しているとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分早くニアエンドになるようにする。
【0025】
第8の実施例として、転写紙の種類に応じてニアエンドタイミングを変更するときは、図14に示したように、画像形成を行う度に転写紙の種類を取得して(ステップ102)、その種類に応じて図2ステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ102;Y、103)。その後の処理は図9のステップ74、ステップ75と同様である(ステップ104、ステップ105)。
転写紙の種類は、ユーザによる印刷要求時に与えられる情報であり、コントローラを介して得ることができる。転写紙の種類には、普通紙、厚紙、薄紙、レターヘッド紙、ラベル紙、特殊紙、OHP、カードストック、コート紙、光沢紙、封筒などがある。例えば、「厚紙を使用するときにニアエンドタイミングを標準より500枚分早くする」という場合、コントローラから通知された紙種が厚紙のとき、判断基準の値を早めに設定しなおして、標準より500枚分早くニアエンドになるようにする。
【0026】
第9の実施例として、ニアエンドか否かを使用者に適切に通知するときは、図15に示したように、上記の実施例に示した処理を行ない(ステップ110〜ステップ113)、ニアエンドでないと判断した後に(ステップ114;N)、前回画像形成時がニアエンドであったかどうかを確認し(ステップ116)、ニアエンドであった場合(ステップ1116;Y)、その通知を取り消す処理を行う(ステップ117)。
【0027】
第10の実施例として、ニアエンドタイミングを変化させる要因の取捨選択は、図16に示したように、画像形成装置の動作開始時にニアエンドタイミングを変化させる要因を取得して(ステップ120、ステップ121)、その1つ又は複数の要因に基づいて図2ステップ11における判断基準の値を決定する(ステップ122、ステップ123;Y、ステップ124)。
ニアエンドタイミングを変化させる要因とは、第1の実施例から第8の実施例で示したものであり、使用環境、印刷状況、一定期間内の印刷枚数、温度、湿度、カスタマーエンジニアが到着するまでの距離(時間)、放置時間、転写紙の種類である。この中でどの要因を使用するかについては、画像形成装置のユーザ操作部から入力可能であり、入力された値はNVRAM14に保存されて、この値を参照することで決定される。
【0028】
これらの要因のどれを選択するかについては、ユーザ及びカスタマーエンジニアによって任意に決定される。例えば、カスタマーエンジニアが「一定期間内の印刷枚数」と「温度」を要因とすると判断した場合には、ニアエンドタイミングを変化させる要因として、「一定期間内の印刷枚数」と「温度」であることを操作部から入力する。
「一定期間内の印刷枚数」を選択する際は、図17に示した表示部になるように同図操作部を操作して、その後OKボタンを押下することで行われる。複数の項目を選択する場合は、同様の操作を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施例の構成を示したブロック図である。
【図2】交換可能な消耗品のニアエンドを通知する基本の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】本実施例の表示部によるニアエンドの通知を示した図である。
【図4】画像形成装置の動作開始時に使用環境情報を取得して、その使用環境に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図5】画像形成を行う度に印刷状況を取得して、その印刷状況に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図6】画像形成装置の動作開始時に一定期間内の印刷枚数の履歴を取得して、その履歴に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図7】画像形成装置が保持する時間情報をもとにして、一定期間が経過したと判断したときに(図中は毎日)、その一定期間の開始時から現在までの印刷枚数が、NVRAMに保存される処理手順を示したフローチャートである。
【図8】画像形成を行う度に設置場所又は交換可能な消耗品の温度を取得して、その温度に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図9】画像形成を行う度に設置場所又は交換可能な消耗品の湿度を取得して、その湿度に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図10】画像形成装置の動作開始時に設置場所を取得して、サービス拠点からの距離を算出し、その距離に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図11】サービス拠点からの距離の対応を示した表を示した図である。
【図12】サービス拠点からの距離によるニアエンドタイミングの変更を示した表を示した図である。
【図13】画像形成装置の動作開始時に最終使用日時からの放置時間を取得して、その時間に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図14】画像形成を行う度に転写紙の種類を取得して、その種類に応じて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図15】ニアエンドでないと判断した後に、前回画像形成時がニアエンドであったかどうかを確認し、ニアエンドであった場合にはその通知を取り消す処理手順を示したフローチャートである。
【図16】画像形成装置の動作開始時にニアエンドタイミングを変化させる要因を取得して、その1つ又は複数の要因に基づいて判断基準の値を決定する処理手順を示したフローチャートである。
【図17】ニアエンドタイミングを変化させる要因の選択を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
10 コントローラ
12 表示部
14 操作部
20 エンジン
21 CPU
24 NVRAM
26 FROM
32 温度センサ
34 湿度センサ
40 外部コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、
画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、
当該画像形成装置の動作開始時に、使用環境を取得する取得手段と、
この取得手段で取得した使用環境に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、
画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、
当該画像形成装置の画像形成後に、印刷状況を取得する印刷状況取得手段と、
この印刷状況取得手段で取得した印刷状況に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記取得手段が取得する使用環境に、ユーザーが一定期間に印刷する枚数の履歴も含み、
前記ニアエンドタイミング変更手段は、一定期間に印刷する枚数の履歴に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、
画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、
当該画像形成装置の画像形成後に、当該装置の温度を取得する温度取得手段と、
この温度取得手段で取得した温度に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミング変化をさせるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
入力された画像を所定の転写紙上に転写する画像形成装置において、
画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知する通知手段と、
当該画像形成装置の画像形成後に、当該装置の湿度を取得する湿度取得手段と、
この湿度取得手段で取得した湿度に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させるニアエンドタイミング変更手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記取得手段が取得する使用環境に、当該画像形成装置の設置場所とサービス拠点の距離等から決定されるカスタマーエンジニアが到達するまでの時間も含み、
前記ニアエンドタイミング変更手段は、カスタマーエンジニアが到達するまでの時間に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記取得手段が取得する使用環境に、当該画像形成装置の放置時間も含み、
前記ニアエンドタイミング変更手段は、当該画像形成装置の放置時間に基づき、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷状況取得手段が取得する印刷状況に転写紙の種類を含み、
この印刷状況取得手段で取得した転写紙の種類に基づき、前記ニアエンドタイミング変更手段が、前記通知手段がユーザーに通知するニアエンドタイミングを変化させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記通知手段が、画像形成に用いる交換可能な消耗品の寿命がニアエンドである旨をユーザーに通知した後、
前記ニアエンドタイミング変更手段が、ニアエンドタイミングを変更して、ニアエンドでなくなったとき、
前記通知手段がニアエンドでない旨をユーザーに通知することを特徴とする請求項3から請求項8記載のうち何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項3から請求項9記載の画像形成装置において、前記ニアエンドタイミング変更手段が、ニアエンドタイミングを変化させる際の判断基準となる要因を1つ又は複数から選択可能としたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−248907(P2007−248907A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73370(P2006−73370)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】