説明

画像形成装置

【課題】画像形成部の転写位置へと用紙を案内するガイド部材を所定の電位に維持することにより、感光体ドラム上のトナー像の乱れや、ガイド部材のトナー汚染によるトナー落ちやトナー散り等に起因する画像不良を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面ガイド部材24は、現像装置18の非導電性のハウジング18b下面に一体に設けられており、表面ガイド部材24とバイアス印加部26との間には、コンデンサー29と抵抗体30とが並列に接続されたCR回路が設けられており、このCR回路を通じて表面ガイド部材24へ、現像ローラ18aに印加されている現像バイアスと同バイアスが印加されるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、詳しくは、像担持体である感光体ドラム表面の転写位置へと用紙を案内するためのガイド部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した従来の複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置においては、像担持体である感光体ドラムの表面を均一に帯電する帯電工程、感光体ドラム表面を露光して静電潜像を形成する露光工程、トナー(現像剤)によって静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー像を用紙へと転写する転写工程、用紙に転写されたトナー像を定着する定着工程を経ることで画像形成が行われる。
【0003】
このような電子写真方式において、用紙にトナー像を転写する転写工程は、用紙上に形成される画像の良否を決定する重要な工程であり、最適な画像形成を行うためには感光体ドラム表面の転写位置に対して適正に用紙を搬送する必要がある。そのため、電子写真方式を用いた画像形成装置では、レジストローラ対から転写位置へと搬送される用紙をより良好な位置に導くために、転写位置の上流に用紙の両面をガイドする一対の転写前ガイドを配置することにより、高い転写性能を確保している。
【0004】
ここで、用紙位置を規制する効果を高めるために、ガイド部材の先端を転写位置近傍まで近づけることがあるが、転写位置とガイド部材の先端との隙間が2mm以下に近づくと、転写バイアスによってガイド部材が帯電してしまい、感光体ドラム上のトナー像が感光体ドラムの回転方向とは逆方向へ散ってしまったり、感光体ドラム上のトナーがガイド部材へ転移しガイド部材上に堆積したりすることがあり、かかる場合、形成される画像の後端部分が散る現象や、転写前ガイド上に堆積したトナーが用紙搬送等の衝撃により搬送される用紙上へ落下して、黒点状の異常画像を生じることがあった。
【0005】
そこで、特許文献1では、現像装置のハウジングに付設されたガイド部材である導電性部材に、現像装置に備えられた現像ローラと同バイアスを印加することにより、導電性部材へのトナー転移を防止し、更に、用紙を導電性部材に接触させないように転写位置へと搬送することもできるように構成することにより、電荷を持ちやすい表面処理を施した用紙やOHPシート等を使用した場合に、トナー付着防止のため導電性部材に印加されているバイアスによって、用紙が異常帯電することにより生じる転写不良を防止する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−275986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、転写位置へと搬送される用紙が、導電性部材に接触する経路と接触しない経路とに可変にする方法では、余分な機構を追加しなければならないという欠点がある。また、高湿環境下で吸湿した用紙が現像バイアスの印加された導電性部材に接触すると、転写電流が用紙を伝って漏れるため転写不良を生じることがあり、逆に、転写バイアスを定電圧にして電界を弱められないようにした場合には、転写バイアスが用紙を伝って導電性部材へと流れ、現像バイアスが電圧降下を起こし、現像効率が低下する場合があった。更に、高湿環境でなくても転写電界に曝された用紙の影響で導電性部材がトナーと逆極性に帯電してトナー汚染する場合もあった。
【0007】
本発明においては上述の事情に鑑み、画像形成部の転写位置へと用紙を案内するガイド部材を所定の電位に維持することにより、感光体ドラム上のトナー像の乱れや、ガイド部材のトナー汚染によるトナー落ちやトナー散り等に起因する画像不良を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体である感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像装置と、該現像装置に直流成分に交流成分を重畳させた現像バイアスを印加するバイアス印加部と、前記感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙へと転写するための転写ローラと、前記感光体ドラムと前記転写ローラが形成する転写位置へと用紙を案内する、用紙の表面をガイドする表面ガイド部材及び用紙搬送路を挟んで前記表面ガイド部材に対向する位置に設けられ用紙の裏面をガイドする裏面ガイド部材から構成される一対の転写前ガイドと、を備えた画像形成装置において、前記表面ガイド部材は導電性材料から形成されており、前記バイアス印加部からCR回路を通じて、前記現像装置に印加される現像バイアスと同バイアスが表面ガイド部材に印加されていることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、像担持体である感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像装置と、該現像装置に直流成分に交流成分を重畳させた現像バイアスを印加するバイアス印加部と、前記感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙へと転写するための転写ローラと、前記感光体ドラムと前記転写ローラが形成する転写位置へと用紙を案内する、用紙の表面をガイドする表面ガイド部材及び用紙搬送路を挟んで前記表面ガイド部材に対向する位置に設けられ用紙の裏面をガイドする裏面ガイド部材から構成される一対の転写前ガイドと、を備えた画像形成装置において、前記表面ガイド部材は導電性材料から形成されており、前記バイアス印加部から半波整流回路を通じて、前記現像装置に印加される現像バイアスと同バイアスが表面ガイド部材に印加されていることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記表面ガイド部材の用紙搬送路側には、少なくとも用紙の体積抵抗値以上の体積抵抗値を有する隔離部材が一体に設けられており、表面ガイド部材と搬送される用紙とが隔離されていることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記隔離部材の少なくとも用紙と接触する部分には導電性部材が設けられており、該導電性部材が接地されていることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記表面ガイド部材は、現像装置のハウジングに一体に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、バイアス印加部からCR回路を通じて、現像装置に印加される現像バイアスと同バイアスを、表面ガイド部材に印加することにより、バイアス印加部から直接バイアスを印加する場合に比べて、現像バイアスの電圧降下が起きにくく現像効率の低下を生じることがない。また、表面ガイド部材にはコンデンサー成分によって、現像バイアスの交流成分が伝達されるとともに、直流成分は用紙が転写位置に進入した時点から、現像バイアスと転写バイアスとの電位差及び抵抗成分と用紙抵抗との分圧で決まる電圧に維持され、交流電圧が現像バイアスに近い値に維持されるので、表面ガイド部材へのトナー付着を防止することができる。
【0014】
また、本発明の第2の構成によれば、バイアス印加部から半波整流回路を通じて、現像装置に印加される現像バイアスと同バイアスを、表面ガイド部材に印加することにより、バイアス印加部から直接バイアスを印加する場合に比べて、現像バイアスの電圧降下が起きにくく現像効率の低下を生じることがない。また、表面ガイド部材をツェナーダイオードを介して接地することによって、感光体ドラムとは逆極性の電圧はリークさせ、感光体ドラムと同極性の電圧のみ表面ガイド部材に印加させることができ、表面ガイド部材を常に感光体ドラムと同極性に維持できるため、感光体ドラム上のトナーが表面ガイド部材へ転移するのを防止することができる。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成装置において、表面ガイド部材と搬送される用紙とを、少なくとも用紙の体積抵抗値以上の体積抵抗値を有する隔離部材によって隔離することにより、表面ガイド部材に印加されたバイアスが用紙を介して転写バイアスと干渉することがないため、転写不良の発生を防止することができる。
【0016】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、隔離部材の少なくとも用紙と接触する部分に導電性部材を設け、この導電性部材を接地することにより、隔離部材が搬送される用紙と擦れ合っても帯電することがなく、隔離部材に用紙が吸着し紙詰まりを生じたり、用紙にトナー像を転写する際にトナー像が乱れ画像形成不良を生じたりすることが防止されている。
【0017】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の画像形成装置において、表面ガイド部材を現像装置のハウジングに一体に設けることにより、画像形成装置に組み込まれる部品点数及び配置スペースを削減し、画像形成装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、用紙詰り時には現像装置と表面ガイド部材を一体に取り外すことができるため、メンテナンスが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。なお、本実施形態においては画像形成装置の一例としてレーザービームプリンタを例示しているが、画像形成装置としてプリンタ以外の、例えば複写機やファクシミリ装置等であっても適用できることはいうまでもない。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体下部に積載された用紙Pを収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体右側面部から本体左側側面部へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、転写前ガイド9、画像形成部10、画像定着部11及び排出ローラ対12が配置されている。
【0020】
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部を給紙カセット2の底面に回動自在に支持された用紙積載板13と、この用紙積載板13の前端部を上方へと付勢する付勢手段14が備えられており、これらによって、積載された用紙Pがピックアップローラ5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前部には、前記フィードローラ6に圧接するようにリタードローラ15が配設されており、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラ6とリタードローラ15とによって用紙Pが捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
【0021】
そして、フィードローラ6とリタードローラ15とによって捌かれた用紙Pは、中間搬送ローラ7によってレジストローラ対8へと搬送され、このレジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部10へと供給されることとなる。またこの時、用紙Pは両面を転写前ガイド9にガイドされることによって、後述する転写位置のより良好な位置へと導かれることとなる。
【0022】
画像形成部10は、電子写真プロセスによって、用紙Pに所定のトナー像を形成するものであり、所定の方向(図1において矢印Aで示す方向)に回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム16と、この感光体ドラム16の周囲に配置される帯電装置17、現像装置18、クリーニング装置20、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム16に対向するように配置される転写ローラ19及び感光体ドラム16の上方に配置されるレーザ走査ユニット(LSU)21から構成されている。なお、これらの各装置及びユニットはメンテナンス作業を容易にするため、装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0023】
感光体ドラム16は、例えば、円筒形状のアルミニウム芯金の表面にアモルファスシリコン層を形成したものを好適に用いることができ、図示しない駆動装置により回転駆動される。そして、帯電装置17には、帯電ローラ17aが感光体ドラム16に当接するよう配置されおり、感光体ドラム16が回転すると帯電ローラ17aが感光体ドラム16の表面に接触して従動回転し、この時、帯電ローラ17aに図示しない電源から所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム16の表面が一様に帯電させられることとなる。また、帯電装置17には、ブラシローラ17bが帯電ローラ17aに接触配置されており、帯電ローラ17aの表面に付着するトナー外添剤や紙粉等を除去している。なお、帯電ローラ17aには、例えば、エピクロルヒドリンを主成分としたイオン系帯電ローラを用いることができる。
【0024】
次いで、入力された画像データに基づくレーザ走査ユニット(LSU)21からのレーザビームにより感光体ドラム16上に静電潜像が形成される。そして、現像装置18にはジャンピング現像法が用いられており、現像装置18に備えられた現像ローラ18aにバイアス印加部26(図2参照)から、直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスを印加することによって上記静電潜像にトナーが付着し、感光体ドラム16の表面にトナー像が形成され、転写ローラ19により、感光体ドラム16の表面のトナー像が、感光体ドラム16と転写ローラ19とのニップ部に形成された転写位置へと供給された用紙Pに転写される。
【0025】
トナー像が転写された用紙Pは、画像形成部10から画像定着部11に向けて搬送される。この画像定着部11は、画像形成部10の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部10においてトナー像が転写された用紙Pは、画像定着部11に備えられた加熱ローラ22、及びこの加熱ローラ22に押し付けられる加圧ローラ23によって挟まれるとともに加熱され、用紙Pに転写されたトナー像が定着される。
【0026】
そして、画像形成部10及び画像定着部11において画像形成がなされた用紙Pは、排出ローラ対12によって排紙部3に排出される。一方、上記転写後、感光体ドラム16の表面に残留しているトナーは、クリーニング装置20により除去される。そして、感光体ドラム16は帯電装置17によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0027】
次に、図2を参照して、上記画像形成装置1に備えられた転写前ガイド9についてさらに説明する。図2は本発明の第1実施形態の画像形成装置の要部を示す模式図である。なお、搬送される用紙Pは、転写位置においてトナーが転写される面を表面、転写ローラ19と当接する面を裏面と表現する。
【0028】
転写前ガイド9は、レジストローラ対8により転写位置へと搬送される用紙Pを転写位置のより良好な位置へ導くための搬送ガイドであって、用紙Pの表面をガイドする表面ガイド部材24と、用紙搬送路4を挟んで表面ガイド部材24に対向する位置に設けられる、用紙Pの裏面をガイドする裏面ガイド部材25とから構成されている。これら表面ガイド部材24及び裏面ガイド部材25は、感光体ドラム16の幅と略同一の幅を有する長方形の板状部材であって、長辺方向が用紙搬送方向に直交するように配置されている。
【0029】
また、表面ガイド部材24は、短辺方向に大きく湾曲させて形成されており、用紙搬送方向の前端縁のみが裏面ガイド部材25と近接するように配置されており、用紙Pは転写前ガイド9の後端側から進入していき、表面ガイド部材24及び裏面ガイド部材25によって転写位置へと導かれることとなる。更に、表面ガイド部材24は、用紙搬送路4上方に配置されている現像装置18の非導電性のハウジング18b下面に一体に設けられており、これによって、画像形成装置1本体の小型化が図られており、また、用紙詰り時のメンテナンスを容易に行えるようになっている。なお、用紙Pをより良好な位置へと導くためには、表面ガイド部材24と感光体ドラム16との距離は、1〜3mmに設定されることが好ましい。
【0030】
そして、表面ガイド部材24は、SUS等の導電性材料から形成されており、表面ガイド部材24へのトナー付着を防止するために、上記バイアス印加部26から現像ローラ18aに印加されている現像バイアスと同バイアスが印加されている。また、表面ガイド部材24の用紙搬送路4側には絶縁性材料から形成される隔離部材27が貼付されており、これによって、表面ガイド部材24に印加されたバイアスが用紙Pを介して転写バイアスと干渉しないようになっている。なお、隔離部材27には、例えば絶縁性ポリエチレンシートを好適に用いることができる。
【0031】
また更に、隔離部材27の用紙Pと接触する部分には導電性部材28が、表面ガイド部材24に接触しないように貼付されており、この導電性部材28を接地することによって、隔離部材27が搬送される用紙Pと擦れ合っても帯電することがなく、隔離部材27に用紙Pが吸着し紙詰まりを生じたり、用紙Pにトナー像を転写する際にトナー像が乱れ画像不良を生じたりすることが防止されている。なお、導電性部材28には、例えば導電性ポリエチレンシートを好適に用いることができる。また、導電性部材28は抵抗体又はツェナーダイオードを介して接地しても構わない。
【0032】
そして、第1実施形態では、表面ガイド部材24とバイアス印加部26との間には、コンデンサー29と抵抗体30とが並列に接続されたCR回路が設けられており、このCR回路を通じて表面ガイド部材24へバイアスが印加されるよう構成されている。このようにCR回路を通じて表面ガイド部材24にバイアスを印加することによって、バイアス印加部26から直接バイアスを印加する場合に比べて、現像バイアスの電圧降下が起きにくく現像効率の低下を生じることがない。
【0033】
また、表面ガイド部材24にはコンデンサー成分によって、現像バイアスの交流成分が伝達されるとともに、直流成分は用紙Pが転写位置に進入した時点から、現像バイアスと転写バイアスとの電位差及び抵抗成分と用紙P抵抗との分圧で決まる電圧に維持され、更に、隔離部材27によって、表面ガイド部材24と用紙Pとが絶縁されており、直流電圧はほぼ現像バイアスの直流成分と等しくなるため、電位差的にはトナーが表面ガイド部材24から感光体ドラム16方向へ転移する電界となり、交流電圧が現像バイアスに近い値に維持されるので、表面ガイド部材24へのトナー付着を防止する効果が高い。
【実施例1】
【0034】
本発明の第1実施形態の効果を確認するために、表面ガイド部材24としてSUS板金を用い、コンデンサー29の容量を47pF、抵抗体30の抵抗値を50MΩとし、感光体ドラム16の表面電位を270V、バイアス印加部26から印加する現像バイアスを、+170Vの直流電圧に、周波数2.5kHz、ピーク間電圧1.5kVpp、Duty55%の交流電圧を重畳した電圧とした画像形成装置1を用いて、低湿環境(温度23℃、湿度50%)及び高温高湿環境(温度32℃、湿度80%)にて通紙試験を行い、表面ガイド部材24のトナー汚染及び形成された画像の良否を目視にて観察した。
【0035】
また、比較例1として、表面ガイド部材24に隔離部材27及び導電性部材28を貼付せず、更に、表面ガイド部材24にバイアス印加部26から現像バイアスを印加せず、単に100MΩの抵抗を介して接地させた構成、及び、比較例2として、比較例1と同様に表面ガイド部材24に隔離部材27及び導電性部材28を貼付せず、表面ガイド部材24を接地させずに、バイアス印加部26から直接現像バイアスを印加させた構成についても同様の条件にて通紙試験を行った。
【0036】
試験の結果、比較例1では、高濃度パターンを数枚印字しただけで表面ガイド部材24へトナーが堆積してしまい、用紙搬送時の衝撃によってトナーが用紙上に落下して異常画像が生じた。また、感光体ドラム16上のトナー像が感光体ドラム16の回転方向とは逆方向へ散ってしまい、感光体ドラム16上のトナー像の乱れによる画像不良が生じた。比較例2では、低湿環境では、トナー汚染やこれに伴う異常画像は発生しなかったが、高温高湿環境では、現像バイアスと転写バイアスが用紙Pを介して干渉してしまい、現像効率及び転写効率低下による画像濃度の低下を生じ、また、表面ガイド部材24の電圧が降下し、トナー汚染に起因する画像不良が発生した。
【0037】
しかし、本発明の第1実施形態では、低湿環境では表面ガイド部材24の電位は、直流電圧162V、交流電圧1.24kVppに維持され、表面ガイド部材24のトナー汚染やこれに伴う異常画像は発生せず、形成された画像の画質は良好であった。また、高温高湿環境においても、表面ガイド部材24の電位は、直流電圧166V、交流電圧1.25kVppに維持され、トナー汚染やこれに起因する画像不良は発生せず良好な画質が得られた。
【0038】
次に図3を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態の画像形成装置の要部を示す模式図である。なお、第1実施形態の図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
第2実施形態においては、表面ガイド部材24とバイアス印加部26とはコンデンサー29を介して接続し、更に表面ガイド部材24をツェナーダイオード31を介して接地させ、表面ガイド部材24とバイアス印加部26とに接続された半波整流回路を設け、この半波整流回路を通じて表面ガイド部材24へバイアスが印加されるよう構成されている。
【0040】
このように半波整流回路を通じて表面ガイド部材24にバイアスを印加することによって、バイアス印加部26から直接バイアスを印加する場合に比べて、現像バイアスの電圧降下が起きにくく現像効率の低下を生じることがない。また、表面ガイド部材24をツェナーダイオード31を介して接地することによって、感光体ドラム16とは逆極性の電圧はリークさせ、感光体ドラム16と同極性の電圧のみ表面ガイド部材24に印加させることができ、表面ガイド部材24を常に感光体ドラム16と同極性に維持できるため、感光体ドラム16上のトナーが表面ガイド部材24へ転移するのを防止することができる。
【実施例2】
【0041】
本発明の第2実施形態の効果を確認するために、コンデンサー29の容量を47pF、ツェナーダイオード31のツェナー電圧を330Vとし、感光体ドラム16の表面電位を270V、バイアス印加部26から印加する現像バイアスを、+170Vの直流電圧に、周波数2.5kHz、ピーク間電圧1.5kVpp、Duty55%の交流電圧を重畳した電圧とした画像形成装置1を用いて、実施例1と同様に通紙試験を行い、表面ガイド部材24のトナー汚染及び形成された画像の良否を目視にて観察した。
【0042】
試験の結果、本発明の第2実施形態では、低湿環境では表面ガイド部材24の電位は直流電圧177V、交流電圧310Vppに維持され、表面ガイド部材24のトナー汚染やこれに起因する画像不良は発生せず、形成された画像の画質は良好であった。また、高温高湿環境においても、表面ガイド部材24の電位は直流電圧166V、交流電圧310Vppに維持され、トナー汚染やこれに起因する画像不良は発生せず良好な画質が得られた。
【0043】
以上のように、本発明の第1実施形態又は第2実施形態の構成によれば、転写位置へと用紙を案内する表面ガイド部材24を転写位置に近づけて配置させた場合でも、転写バイアスによって表面ガイド部材24が帯電することがなく、感光体ドラム16上のトナーが表面ガイド部材24へ転移し堆積したりすることがないため、表面ガイド部材24のトナー汚染に伴う異常画像を防止することができる。また、表面ガイド部材24と用紙Pとを隔離部材27で隔離することによって、用紙Pが吸湿し低抵抗となった場合でも、転写バイアスと現像バイアスの干渉に伴う現像効率及び転写効率の低下を回避することができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては表面ガイド部材24を現像装置18のハウジング18b下面に一体に設けたが、表面ガイド部材24を画像形成装置1本体のフレームに直接設置しても構わない。また、表面ガイド部材24に隔離部材27を貼付し、表面ガイド部材24と用紙Pとを隔離させたが、通常、用紙Pは非常に高抵抗であるため隔離部材27は必ずしも必要ではない。しかし、高湿環境では用紙Pが吸湿し低抵抗化することがあるため、隔離部材27によって表面ガイド部材24と用紙Pとを隔離しておくことが好ましい。
【0045】
更に、隔離部材27は、表面ガイド部材24に印加された現像バイアスが用紙Pを介して転写バイアスと干渉することが防止できるものであれば導電性材料から形成することも可能である。即ち、隔離部材27が、少なくとも画像形成装置1が使用される環境における用紙Pの体積抵抗値以上の体積抵抗値を有していればよい。更に、隔離部材27の用紙Pと接触する部分には導電性部材28を貼付し接地しておくことが好ましいが、用紙Pとの摩擦による隔離部材27の帯電量は非常に小さいため、導電性部材28を設けない構成も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に利用することができ、詳しくは、像担持体である感光体ドラム表面の転写位置へと用紙を案内するための転写前ガイドに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】は、本発明に係る画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態の画像形成装置の要部を示す模式図である。
【図3】は、本発明の第2実施形態の画像形成装置の要部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
9 転写前ガイド
16 感光体ドラム
18 現像装置
18a 現像ローラ
18b ハウジング
19 転写ローラ
24 表面ガイド部材
25 裏面ガイド部材
26 バイアス印加部
27 隔離部材
28 導電性部材
29 コンデンサー
30 抵抗体
31 ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体である感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像装置と、該現像装置に直流成分に交流成分を重畳させた現像バイアスを印加するバイアス印加部と、前記感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙へと転写するための転写ローラと、前記感光体ドラムと前記転写ローラが形成する転写位置へと用紙を案内する、用紙の表面をガイドする表面ガイド部材及び用紙搬送路を挟んで前記表面ガイド部材に対向する位置に設けられ用紙の裏面をガイドする裏面ガイド部材から構成される一対の転写前ガイドと、を備えた画像形成装置において、
前記表面ガイド部材は導電性材料から形成されており、前記バイアス印加部からCR回路を通じて、前記現像装置に印加される現像バイアスと同バイアスが表面ガイド部材に印加されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体である感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像装置と、該現像装置に直流成分に交流成分を重畳させた現像バイアスを印加するバイアス印加部と、前記感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙へと転写するための転写ローラと、前記感光体ドラムと前記転写ローラが形成する転写位置へと用紙を案内する、用紙の表面をガイドする表面ガイド部材及び用紙搬送路を挟んで前記表面ガイド部材に対向する位置に設けられ用紙の裏面をガイドする裏面ガイド部材から構成される一対の転写前ガイドと、を備えた画像形成装置において、
前記表面ガイド部材は導電性材料から形成されており、前記バイアス印加部から半波整流回路を通じて、前記現像装置に印加される現像バイアスと同バイアスが表面ガイド部材に印加されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記表面ガイド部材の用紙搬送路側には、少なくとも用紙の体積抵抗値以上の体積抵抗値を有する隔離部材が一体に設けられており、表面ガイド部材と搬送される用紙とが隔離されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記隔離部材の少なくとも用紙と接触する部分には導電性部材が設けられており、該導電性部材が接地されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表面ガイド部材は、現像装置のハウジングに一体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−264342(P2007−264342A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89890(P2006−89890)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】