説明

画像形成装置

【課題】表示部の表示エリアが狭く、2バイト系文字に対応するフォントデータファイルを備えていない画像形成装置であっても、出力ファイルを選択するためのファイルの識別情報を容易に印刷できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】着脱自在な外部メモリ35に格納されたファイルから印刷対象ファイルを指定入力するファイル指定手段301cと、前記ファイル指定手段301cに指定入力するためのファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段301dとを備え、前記ファイル指定手段301cに指定入力されたファイルを印刷出力する画像形成装置3であって、前記識別情報出力手段301dは、前記外部メモリ35に格納された補助ファイルに基づいて前記識別情報を出力するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱自在な外部メモリに格納されたファイルから印刷対象ファイルを指定入力するファイル指定手段と、前記ファイル指定手段に指定入力するためのファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段とを備え、前記ファイル指定手段に指定入力されたファイルを印刷出力する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、メモリカードを直接プリンタに装着し、当該メモリカードに格納されているファイルを印刷することのできるプリンタ等が開発され、市販されている。特に、デジタルカメラの普及により、撮影した画像ファイルをメモリカード等に格納し、当該メモリカード等に格納されている前記画像ファイルを、パソコン等を介さずに直接印刷できる、所謂フォトダイレクトプリンタも多く見受けられる。
【0003】
これらのプリンタでは、前記メモリカード等に格納された複数のファイルから、何らかの手段を用いて、印刷対象ファイルを指定することになるが、例えば、特許文献1では、メモリカードがセットされると、セットされたメモリカードにストアされているファイルの一覧がハードディスク170のメモリカードボックス領域にストアされ、領域表示要求に応答して、画像データファイルがストアされている領域が個人用記憶領域と、セットされたメモリカードから抽出され、操作部150に表示される。ついで、領域としてメモリカードが選択されると、ハードディスク170の外部記憶用記憶領域にストアされているファイルの一覧が表示され、さらに、ファイル一覧からファイルが選択され、プリント要求が行われると、選択されたファイルの内容がメモリカードからプリンタ部に供給されるように構成された画像処理装置が提案されている。
【0004】
特許文献2では、操作パネルによってユーザに選択された印刷操作に対応する色のバンドと、スロットに差し込まれたメモリカードに記憶された各画像ファイルの内容を表示するサムネイル表示部と、各画像ファイルの中から印刷操作を実行したい画像ファイルをユーザが選択可能なマーク部とを含む印刷用インデックスシートを印刷し、その後、ユーザが前記マーク部を塗り潰すことにより印刷を希望する画像ファイルを選択したあとの前記印刷用インデックスシートをスキャンして、前記バンドの色から処理操作が印刷であることを認識し、選択された画像ファイルの印刷を実行する多機能プリンタが提案されている。
【0005】
特許文献3では、メモリに取込んだ複数の画像データをビデオモニタに所定の大きさでm×nに整列させて表示する選択画像表示手段と、カーソルを停止させた位置にある画像を選択画像候補とする画像選択手段と、画像選択確認手段と、ビデオモニタの画面内で自在に移動可能に構成されたカーソルと、を有し、前記画像データを前記ビデオモニタの画面に表示している場合に、カーソルを未だ画像の表示されていない位置に移動し停止させたときは、前記カーソルの現在位置に表示すべき画像を表示してから、前後に向って遡及して画像を表示し、カーソルの停止位置に表示されている画像を印刷出力画像候補とすることを特徴とするダイレクトプリンタアダプタが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−157011号公報
【特許文献2】特開2004−255729号公報
【特許文献3】特開平10−126724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記メモリカード等の外部メモリに格納された複数のファイルのうち、選択したいファイルが画像ファイルで無い場合、特許文献2で提案されていた多機能プリンタと特許文献3で提案されていたダイレクトプリンタアダプタでは、当該ファイルを選択することができず、また、選択したいファイルが画像ファイルであっても複雑な画像である場合などには、サムネイル画像からでは十分に選択したいファイルの判別を行うことができなかった。
【0008】
また、ある種の業務用プリンタの様に表示エリアが小さいとき、または表示エリアを備えないとき、特許文献1で提案されていた画像処理装置や特許文献3で提案されていたダイレクトプリンタアダプタでは、ファイルの一覧やサムネイル画像を表示するための表示領域を十分に確保することができず、ファイル選択に支障を及ぼす虞があった。
【0009】
更に、標準では1バイト系文字のフォントデータファイルのみを備えるが、ネットワーク接続されたパソコン等が、2バイト系文字を含む印刷対象ファイルを、ビットマップ画像の記述言語に変換した印刷データとして送信し、前記印刷データを解析することで2バイト系文字を含む印刷対象ファイルの印刷を実行するような画像形成装置が存在するが、特許文献1で提案された画像処理装置が、標準で1バイト系文字のフォントデータファイルのみを備え、セットされたメモリカードにストアされたファイルが2バイト系文字からなるとき、ファイルの一覧を表示することはできない。
【0010】
本発明は、上述の従来欠点に鑑み、印刷対象ファイルを表示部が小さく、印刷対象ファイルの選択を行う上で必要なフォントデータファイルを備えない画像形成装置であっても、ファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段を備えることで、装着した外部メモリに格納された複数のファイルから、前記印刷対象ファイルを確認することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による画像形成装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、着脱自在な外部メモリに格納されたファイルから印刷対象ファイルを指定入力するファイル指定手段と、前記ファイル指定手段に指定入力するためのファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段とを備え、前記ファイル指定手段に指定入力されたファイルを印刷出力する画像形成装置であって、前記識別情報出力手段は、前記外部メモリに格納された補助ファイルに基づいて前記識別情報を出力するように構成されている点にある。
【0012】
上述の構成によれば、画像形成装置が、外部メモリに格納されたファイルの識別情報を出力するために必要な補助ファイルを備えていないときにも、前記外部メモリに自身に格納された補助ファイルに基づいて前記識別情報を印刷することができるため、前記外部メモリに格納されたファイルから印刷対象ファイルを確実に指定することができる。
【0013】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記識別情報出力手段は、前記外部メモリに前記識別情報を印刷する補助ファイルが検出されないときに、ネットワーク接続された外部機器から当該補助ファイルを取得する補助ファイル取得手段と、取得した補助ファイルを前記外部メモリに格納する補助ファイル格納手段を備えている点にある。
【0014】
上述の構成によれば、画像形成装置と前記画像形成装置に装着された前記外部メモリが、前記外部メモリに格納されたファイルの識別情報を出力するために必要な補助ファイルを備えていないときは、ネットワーク接続され、前記補助ファイルを備えた外部機器から前記補助ファイルを取得して前記外部メモリに格納するため、前記外部メモリに格納した前記補助ファイルに基づいて前記識別情報を確実に印刷することができる。更に、前記外部メモリは、前記識別情報の印刷出力に必要な前記補助ファイルが格納された状態となるため、再度、前記外部メモリに格納されたファイルの前記識別情報を印刷出力する際に、改めて前記外部機器より前記補助ファイルを取得する必要が無く、作業効率を向上させることができる。
【0015】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または二の特徴構成に加えて、前記補助ファイルがフォントデータファイルである点にある。
【0016】
上述の構成によれば、例えば、前記外部メモリに格納されたファイルの前記識別情報の印刷出力に2バイト系フォントが必要であるときに、画像形成装置が1バイト系フォントしか備えていなくても、前記外部メモリに格納された補助ファイルが2バイト系フォントであれば、当該2バイト系フォントに基づいて印刷することができる等、画像形成装置は、文字情報からなる前記識別情報を、前記補助ファイルに基づいて印刷することができる。
【0017】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、前記補助ファイル格納手段は、少なくとも前記識別情報の印刷に必要な容量のフォントデータファイルを前記外部メモリに格納する点にある。
【0018】
例えば、JIS(Japan Industrial Standard:日本工業規格)コードでは、第一水準として漢字2965文字、ひらがな83文字、カタカナ86文字、数字10文字、英字52文字、特殊記号147文字、ギリシャ文字48文字、ロシア文字66文字、罫線文字32文字の合計3489字が、第二水準として部首字形を含めた3388文字、このほか補助漢字として5801文字が定められており、全ての文字についてのフォントデータファイルを用意するとその容量は大きなものとなる。
【0019】
しかし、前記識別情報を印刷するために必要なフォントデータとして、上述の全ての文字のフォントデータが必要である可能性は極めて低い。
【0020】
上述の構成によれば、少なくとも前記識別情報の印刷に必要な容量のフォントデータファイルを前記外部メモリに格納するため、確実に前記識別情報を印刷出力することができると共に、前記外部メモリにフォントデータファイルを格納するための十分な残容量がないときは、前記識別情報の印刷に必要なフォントデータを絞り込み、前記フォントデータファイルの容量を調整することで、前記フォントデータファイルの格納が不可能となる確率を大幅に下げることができる。
【0021】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第二から四の何れかの特徴構成に加えて、前記外部メモリに前記補助ファイルを格納する残容量が無いときに、警告メッセージを出力するメッセージ出力手段を備えている点にある。
【0022】
上述の構成によれば、使用者は前記メッセージの出力を受け、前記フォントデータファイルの格納や前記識別情報の印刷が難しいことを認識することができ、例えば、前記外部メモリに格納されたファイルを、別途用意した容量の大きな外部メモリにコピーして作業を再開する等、前記フォントデータファイルの格納を可能とし、前記識別情報の印刷が可能となる対策を講じることができる。
【0023】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記補助ファイルが前記識別情報を表す画像ファイルである点にある。
【0024】
上述の構成によれば、前記補助ファイル自体が前記識別情報であるため、確実に識別情報を印刷することができる。また、前記識別情報が、色情報または画像情報等の文字情報以外の情報を含むものであるときにも、前記識別情報を印刷することができる。
【0025】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第六の特徴構成に加えて、前記識別情報出力手段は、前記外部メモリに前記識別情報を印刷する補助ファイルが検出されないときに、ネットワーク接続された外部機器から当該補助ファイルを生成するための基準ファイルを取得する基準ファイル取得手段と、取得した基準ファイルに基づいて前記補助ファイルを生成する補助ファイル生成手段と、生成された補助ファイルを前記外部メモリに格納する補助ファイル格納手段を備えている点にある。
【0026】
上述の構成によれば、取得した基準ファイルは、補助ファイルを生成するために用いられるだけであるため、生成した前記補助ファイルのみを前記外部メモリに格納すればよく、前記基準ファイルを外部メモリに格納する必要は無いため、前記外部メモリの残容量を効率的に使用することができる。更に、前記外部メモリは、前記識別情報の印刷出力に必要な前記補助ファイルが格納された状態となるため、再度、前記外部メモリに格納されたファイルの前記識別情報を印刷出力する際に、改めて前記外部機器より前記基準ファイルを取得する必要が無く、作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した通り、本発明によれば、印刷対象ファイルを表示部が小さく、印刷対象ファイルの選択を行う上で必要なフォントデータファイルを備えない画像形成装置であっても、ファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段を備えることで、装着した外部メモリに格納された複数のファイルから、前記印刷対象ファイルを確認することができる画像形成装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明による画像形成装置を説明する。
【0029】
本発明による画像形成装置の一例であるプリンタ3は、図2に示すように、パーソナルコンピュータ等の外部機器2が接続されたネットワーク1と接続され、前記ネットワーク1を介して前記外部機器2から出力されたデータを受信し、前記データに基づき、印刷を実行するように構成されている。前記プリンタ3は、前記外部機器2から出力されたデータや前記外部メモリに格納されたデータを印刷前にプレ表示する表示部33aと印刷枚数の指定や印刷実行の中止等の操作で使用するハードキー群33bと前記プリンタ3に着脱自在なUSBメモリ35からなる外部メモリを装着する外部メモリ装着部33cからなる操作部33と、記録媒体としての用紙を収納する用紙トレイ31と、印刷された用紙が排出される排出トレイ32とを備えている。
【0030】
更に、前記プリンタ3は、図1に示すように、印刷するデータに基づき画像形成を行う画像形成手段と用紙を供給し、排出する用紙搬送手段等からなり、プリント制御部300に制御されるプリント部30と、操作制御部301に制御される前記操作部33と、ネットワーク制御部302に制御され、前記ネットワーク1と接続するインターフェース部34と、該プリンタ3を統括制御するマイクロコンピュータや、ROMやRAM等のメモリ36を備えたシステム制御部303により構成される。
【0031】
本実施例では、前記外部メモリとして、USBメモリを用いるものとするが、これに限定するものではなく、コンパクトフラッシュカード(「コンパクトフラッシュ」は、米国SanDisk社の登録商標)等のメモリカード等からなる不揮発性メモリや、MOディスクや、CD−ROM等、ファイルを格納でき、画像形成装置に対して着脱自在なメディアであればよい。
【0032】
前記システム制御部303の備えるメモリ36には、フォントデータファイルが格納され、本実施例において、前記プリンタは海外仕様製品として製造、販売されるものであり、前記メモリ36には、1バイト系フォントデータファイルが格納されている。但し、前記プリンタ3は、2バイト系フォントデータファイルを備えると、2バイト系文字による、操作画面や印刷対象ファイルのファイル名を、2バイト系文字により前記表示部33aに表示することができ、2バイト系フォントによる印刷も可能に構成されている。ここで、前記フォントデータファイルは、本発明における補助ファイルである。
【0033】
前記操作制御部301は、CPUと前記CPUの動作プログラムが格納されたROMと作業領域となるRAM等を備え、これらが協動して、様々な機能を果たすように構成されている。
【0034】
前記操作制御部301は、本発明に関する機能を実行する手段として、前記外部メモリ装着部33cへの前記USBメモリ35の着脱を検知する着脱検知手段301aと、前記着脱検知手段301aにより前記外部メモリ装着部33cへ前記USBメモリ35の装着が検知されたときに、前記USBメモリ35の残容量を確認する残容量確認手段301bと、前記USBメモリ35に格納されたファイルから印刷対象ファイルを指定入力するファイル指定手段301cと、前記メモリ36に格納されたフォントデータファイルに基づいて、前記ファイル指定手段301cに指定入力するためのファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段301dと、前記USBメモリ35の残容量では、後述する補助ファイル格納手段301d3が前記外部機器2より取得した前記フォントデータファイルを格納することができないときに警告メッセージを出力するメッセージ出力手段301eと、前記識別情報出力手段301dが前記識別情報を印刷する際に用いるフォントデータファイルを、前記メモリ36に格納されたフォントデータファイルから、前記USBメモリ35に格納されたフォントデータファイルに切替える補助ファイル切替手段301fとを備えている。
【0035】
ここで、前記識別情報出力手段301dが印刷する前記識別情報は、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名と、前記ファイル名と対応して付与する連続番号の一覧である。
【0036】
前記ファイル指定手段301cは、前記識別情報出力手段301dが印刷した前記識別情報を参照した使用者が、前記連続番号を前記ハードキー群33bに配された数字キーを押圧すると、前記連続番号に対応する前記印刷対象ファイルを指定入力し、前記プリント制御部300に指示し、前記印刷対象ファイルを印刷するように構成されている。
【0037】
前記識別情報出力手段301dは、前記メモリ36に格納された前記フォントデータファイルから前記識別情報を印刷することができないときに、前記識別情報を印刷するために用いるフォントデータファイルが前記USBメモリ35に格納されているか否かを確認する補助ファイル確認手段301d1と、前記USBメモリ35に前記フォントデータファイルが確認できないときに、前記ネットワーク1に接続された前記外部機器2から必要なフォントデータファイルを取得する補助ファイル取得手段301d2と、前記残容量確認手段301bが確認した残容量に合わせて、前記外部機器2より取得したフォントデータファイルの容量を調整する補助ファイル容量調整手段301d3と、前記外部機器2より取得したフォントデータファイルを前記USBメモリ35に格納する補助ファイル格納手段301d4とを備えている。
【0038】
ここで、前記外部機器2に格納されたフォントデータファイルは、前記プリンタ3の前記ネットワーク1への接続時等に、予め前記外部機器2に格納した前記プリンタ3用の2バイト系フォントデータファイルである。
【0039】
詳述すると、前記2バイト系フォントデータファイルは、前記識別情報の印刷出力にのみ用いられるものであり、文字の拡大縮小を要するものでもないため、容量の大きなアウトライン形式のフォントデータファイルではなく、特定のドット数で構成されるビットマップ形式のフォントで構成され、その容量が小さく抑えられている。前記2バイト系フォントデータファイルの容量を小さく抑えることは、前記外部機器2から取得する際の転送時間を小さくすることができ、作業効率の低下を抑えることができる。
【0040】
前記2バイト系フォントデータファイルの容量は、例えば、JISコード文字を基準に算出すると、前記JISコード文字で定義される文字数は約6000文字であり、1文字を32ドット×32ドットで構成して、1文字あたりの容量は1024ビットとなる。つまり、JISコード文字全体では、768Kバイトの容量となる。一般に、アウトライン形式のフォントデータファイルの容量は、数Mバイトから10数Mバイトとなるため、較べて容量を小さく抑えることができる。
【0041】
前記識別情報は、使用者が前記操作部33の前記ハードキー群33bの1つである、図示しない「File List Output」と表示された「格納ファイル一覧出力」キーを押圧すると、前記識別情報生成手段301dが起動し、前記プリント制御部300に指示することで印刷出力される。
【0042】
詳述すると、使用者が前記「格納ファイル一覧出力」キーを押圧すると、前記識別情報生成手段301dが起動し、図3に示すように、前記着脱検知手段301aに指示して前記USBメモリ35の装着を検知し、前記メモリ36に格納されたフォントデータファイルに基づき、前記USBメモリ35に格納されたファイルの識別情報を生成し、前記プリント制御部300に指示して前記識別情報を印刷する。
【0043】
ここで、前記メモリ36に格納されたフォントデータファイルを用いて、前記識別情報を印刷できないときには、前記識別情報出力手段301dは、自身が備える前記補助ファイル確認手段301d1により、前記USBメモリ35に前記識別情報の印刷に用いるフォントデータファイルが格納されているか否かを確認し、前記USBメモリ35に前記フォントデータファイルが格納されていないときには、前記補助ファイル取得手段301d2が、前記ネットワーク制御部302に指示して、前記外部機器2に格納された、前記識別情報の印刷出力に用いるフォトデータファイルを取得する。
【0044】
前記外部機器2より取得した前記フォントデータファイルは、前記補助ファイル格納手段301d4により前記USBメモリ35に格納されるが、前記補助ファイル格納手段301d4は、前記フォントデータファイルの格納に先立ち、前記残容量確認手段301bより前記USBメモリ35の残容量を取得し、前記残容量と前記フォントデータファイルの容量を比較する。
【0045】
前記補助ファイル格納手段301d4は、前記残容量が大きいときには、前記フォントデータファイルをそのまま格納するが、前記残容量が小さいときには、前記メッセージ出力手段301eに指示し、前記表示部33aに警告メッセージを表示する警告画面を表示する。
【0046】
前記警告画面は、図4に示すように、前記USBメモリ35の残容量が足りず、前記フォントデータファイルを格納することができない旨の警告メッセージを表示するものであり、前記フォントデータファイルの容量調整を行うか否かの判断を使用者に仰ぐものである。
【0047】
使用者は、前記操作部33の前記ハードキー群33bに配置された、図示しない「Enter」ボタンを押圧することで前記容量調整を実行し、前記ハードキー群33bに配置された、図示しない「Cancel」ボタンを押圧することで前記容量調整を中止することができる。
【0048】
前記「Enter」ボタンが押圧されると、前記補助ファイル容量調整手段301d3は、前記フォントデータファイルの容量を、前記識別情報が印刷でき、且つ、前記残容量の範囲に収まるものに調整する。また、前記「Cancel」ボタンが押圧されると、前記識別情報生成手段301dは、前記識別情報の印刷を中止する。
【0049】
前記補助ファイル容量調整手段301d3は、前記識別情報の印刷に必要な、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名に使用されている文字のフォントデータと、それに対応して付与する前記連続番号に使用する数字フォントデータを必要なフォントデータとして残し、他の文字に関するフォントデータを前記残容量に合わせて取捨選択することで、前記容量調整を行うように構成されている。
【0050】
前記補助ファイル容量調整手段301d3により、容量調整された前記フォントデータファイルは、前記補助ファイル格納手段301d4により、前記USBメモリ35に格納される。
【0051】
前記フォントデータファイルが前記USBメモリ35に格納されると、前記補助ファイル切替え手段301fは、前記識別情報出力手段301dが前記識別情報を印刷出力する際に用いるフォントデータファイルを、前記メモリ36に格納された前記フォントデータファイルから前記USBメモリ35に格納された前記フォントデータファイルに切替えるように前記識別情報出力手段301dに指示し、前記識別情報出力手段301dは、前記USBメモリ35に格納された前記フォントデータファイルに基づき、前記識別情報を生成し、前記プリント制御部300に指示し、前記識別情報を印刷出力する。
【0052】
上述のように、前記プリンタ3は、例えば、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名に平仮名や漢字などの2バイト系文字が使用されているとき、前記メモリ36に格納された1バイト系フォントデータファイルでは、前記識別情報を印刷することはできないが、前記外部機器2から前記2バイト系フォントデータファイルを取得し、前記識別情報を印刷出力することができる。
【0053】
以下に、別実施例について説明する。
【0054】
上述の実施例では、前記USBメモリ35に格納されたフォントデータファイルが、前記補助ファイル容量調整手段により容量調整されたものであるとき、前記USBメモリ35に格納されたファイルに追加、またはファイル名が変更されると前記識別情報を印刷出力することができない虞があるが、この対策として、前記識別情報出力手段301dに補助ファイル整合手段301d7を備え、前記識別情報の印刷出力を実行する前に、前記補助ファイルを用いての前記識別情報の印刷出力が可能か否かの整合を取り、出力不能と判断したときには、前記補助ファイル取得手段301d2に指示して、前記外部機器2より改めて補助ファイルを取得する構成とすればよい。
【0055】
上述の実施例では、前記識別情報は、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名と、前記ファイル名と対応して付与した連続番号からなる一覧であったが、これに限定するものではなく、前記ファイル名と対応して、前記ファイルの作成日や、テキストファイルや画像ファイルなどのファイル種別や、ファイル容量などを加えて構成される一覧としても良く、前記ファイル指定手段により印刷対象ファイルを指定入力できるものであればよい。この場合、一覧を構成する前述の要素が多くなると、使用者が印刷対象ファイルを選択する際に、より正確な情報に基づき選択することができる。
【0056】
上述の実施例では、前記メッセージ出力手段301eは、前記USBメモリ35に前記外部機器より取得したフォントデータファイルを格納する残容量が無いときに、前記フォントデータファイルの容量調整を行うか否かの確認を促す警告メッセージを出力する構成としたが、前記フォントデータファイルの容量調整を実行する旨の警告メッセージを出力する構成としても良く、この場合、使用者の意思に関わらず、自動的に前記容量調整が実行されるため、使用者の意思確認を行う間のタイムラグは生じず、作業効率を向上させることができる。
【0057】
上述の実施例では、前記プリンタ3は、前記USBメモリ35に前記外部機器より取得したフォントデータファイルを格納する残容量が無いときに、警告メッセージを出力するメッセージ出力手段301eを備える構成としたが、前記メッセージ出力手段301eを備えず、前記USBメモリ35の残容量に前記フォントデータファイルを格納することができないときには、警告メッセージを出力することなく、前記補助ファイル容量調整手段301d3が前記フォントデータファイルの容量調整を行う構成としても良く、この場合、使用者の意思に関わらず、自動的に前記容量調整が実行されるため、使用者の意思確認を行う間のタイムラグは生じず、作業効率を向上させることができる。
【0058】
上述の実施例では、前記補助ファイルは、フォントデータファイルにより構成されるものであったが、前記識別情報を表す画像ファイルにより構成されるものであってもよい。つまり、前記画像ファイルは、例えば、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名と、前記ファイル名と対応して付された連続番号からなる一覧の画像ファイルであれば、前記USBメモリ35にフォントデータファイルを格納する必要は無く、前記ファイル指定手段301cを有さず、且つ、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名を印刷するために用いるフォントデータファイルを備えない画像形成装置を使用者が使用する場合においても、少なくとも前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名を確実に知ることができる。
【0059】
ここで、上述の別実施例においては、前記識別情報出力手段301dの備える手段として、図5に示すように、前記補助ファイル取得手段301d2にかえて、基準ファイル取得手段301d5と、補助ファイル生成手段301d6を備える構成とすればよい。ここで、前記補助ファイル生成手段301d6は、画像ファイルからなる補助ファイルを生成するものであり、前記基準ファイル取得手段301d5は、前記補助ファイル生成手段301d6が前記補助ファイルを生成する際に用いるフォントデータファイル等からなる基準ファイルを、前記外部機器2から取得するものである。但し、これに限定するものではなく、前記メモリ36に格納されたフォントデータファイル等を前記基準ファイルとして用いることができる場合は、前記補助ファイル切替手段301fにかえて、前記基準ファイル切替手段301gが、前記基準ファイル取得手段301d5に指示し、前記メモリ36に格納されたフォントデータファイル等を取得する構成としても良い。
【0060】
また、補助ファイル容量調整手段301d4は、画像ファイルである前記補助ファイルの画質を調整し、画質を落とすことで前記補助ファイルの容量を小さくすることができる。但し、前記識別情報として印刷出力された際に、使用者が判別できる程度の画質を確保して容量調整を行うように、前記補助ファイル容量調整手段301d4は構成されるべきである。
【0061】
加えて、上述の別実施例においては、前記USBメモリ35に格納されたファイルが画像ファイルを含む場合は、前記識別情報は、前記USBメモリ35に格納されたファイルのファイル名と、前記ファイル名と対応して付された連続番号からなる一覧に、前記印刷対象ファイルのサムネイル画像を加えたものとしてもよく、この場合、前記サムネイル画像を出力することのできない画像形成装置においても、印刷対象ファイルを指定する際に、希望のファイルを正しく選択することができる。
【0062】
更に、上述の別実施例においては、前記USBメモリ35に識別情報の画像ファイルからなる前記補助ファイルが格納されているときに、前記USBメモリ35に格納されたファイルに追加、またはファイル名が変更されると、現状の識別情報を印刷出力することができないが、この対策として、前記識別情報出力手段301dに補助ファイル整合手段301d7を備え、前記識別情報の印刷出力を実行する前に、前記補助ファイルの前記識別情報と現状の識別情報の整合を取り、矛盾があると判断したときには、前記補助ファイル生成手段301d6に指示して、改めて補助ファイルを生成する構成とすればよい。
【0063】
上述の実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例におけるプリンタの機能ブロック図
【図2】本実施例におけるプリンタと外部機器のネットワークの説明に用いる図
【図3】本実施例における識別情報の印刷出力の説明に用いる図
【図4】本実施例における警告メッセージを表示する警告画面の説明図
【図5】別実施例におけるプリンタの機能ブロック図
【符号の説明】
【0065】
33c:外部メモリ装着部
35:外部メモリ(USBメモリ)
36:メモリ
301:操作制御部
301a: 着脱検知手段
301b: 残容量確認手段
301c: ファイル指定手段
301d: 識別情報出力手段
301d1:補助ファイル確認手段
301d2:補助ファイル取得手段
301d3:補助ファイル容量調整手段
301d4:補助ファイル格納手段
301e:メッセージ出力手段
301f:補助ファイル切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な外部メモリに格納されたファイルから印刷対象ファイルを指定入力するファイル指定手段と、前記ファイル指定手段に指定入力するためのファイルの識別情報を印刷する識別情報出力手段とを備え、前記ファイル指定手段に指定入力されたファイルを印刷出力する画像形成装置であって、
前記識別情報出力手段は、前記外部メモリに格納された補助ファイルに基づいて前記識別情報を出力するように構成されている画像形成装置。
【請求項2】
前記識別情報出力手段は、前記外部メモリに前記識別情報を印刷する補助ファイルが検出されないときに、ネットワーク接続された外部機器から当該補助ファイルを取得する補助ファイル取得手段と、取得した補助ファイルを前記外部メモリに格納する補助ファイル格納手段を備えている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補助ファイルがフォントデータファイルである請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補助ファイル格納手段は、少なくとも前記識別情報の印刷に必要な容量のフォントデータファイルを前記外部メモリに格納する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外部メモリに前記補助ファイルを格納する残容量が無いときに、警告メッセージを出力するメッセージ出力手段を備えている請求項2から4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補助ファイルが前記識別情報を表す画像ファイルである請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記識別情報出力手段は、前記外部メモリに前記識別情報を印刷する補助ファイルが検出されないときに、ネットワーク接続された外部機器から当該補助ファイルを生成するための基準ファイルを取得する基準ファイル取得手段と、取得した基準ファイルに基づいて前記補助ファイルを生成する補助ファイル生成手段と、生成された補助ファイルを前記外部メモリに格納する補助ファイル格納手段を備えている請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−313866(P2007−313866A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148804(P2006−148804)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】