説明

画像形成装置

【課題】 複数備わる給紙供給部のどれが選択されても、感光ドラムと転写ローラとによる転写材の搬送スピードが変化せず、中抜け現象の発生を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 転写手段の像担持体への当接圧を変更する当接圧変更手段を備え、選択された給紙供給部から転写材を給紙搬送して画像を形成する画像形成装置において、当接圧変更手段は、選択された前記給紙供給部によって当接圧を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より知られている複写機やプリンタ等の画像形成装置では、帯電手段で一様に帯電した感光ドラム等の像担持体表面に原稿画像あるいはコンピュータから入力した画像信号に対応した画像の露光を行って静電潜像を形成し、その静電潜像を現像手段でトナー画像として現像し、トナー画像を転写部において転写手段である転写ローラ等で転写材に転写し、定着手段で転写材上のトナー画像を定着するようになっている。
転写材の搬送方法としては、転写部より搬送方向上流側にある給紙カセット等の給紙供給部から搬送ローラにて転写材を搬送している。転写部での転写材の搬送速度は、転写材を感光ドラムと転写ローラとにより挟持して搬送しているため感光ドラムと転写ローラの回転速度にて決定される。
ここで、回転する感光ドラムと転写ローラの表面速度が同じ時には、転写材の搬送速度が感光ドラムの表面速度と同じになり、転写材に転写されたトナー像の一部が欠けてしまうという中抜け現象が発生することがある。そこで、感光ドラムより転写ローラの表面速度を僅かに早く(1〜6%早く)することで、転写材を感光ドラムの表面速度より僅かに早く搬送して中抜け現象を防止する技術が知られている。
【0003】
このため、感光ドラムと転写ローラとにより転写材を挟持することにより生ずる転写材の搬送スピードは一定である必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、転写材の給紙供給部は通常複数備えられており、給紙カセットか手差し給紙かで給紙ローラ等の給紙手段の構成や搬送ガイドの形状が異なるため、転写ローラの搬送方向上流にある搬送ローラの転写材搬送スピードが変化してしまい、転写材の搬送スピードが給紙供給部によって異なることがある。
このため、感光ドラムと転写ローラとにより転写材を挟持することにより生ずる転写材の搬送スピードが変化して、転写されたトナー像の一部が欠けてしまうという中抜け現象が発生するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、複数備わる給紙供給部のどれが選択されても、感光ドラムと転写ローラとによる転写材の搬送スピードが変化せず、中抜け現象の発生を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による画像形成装置は、 トナー画像を形成自在な像担持体と、該像担持体に当接し、トナー画像を搬送される転写材に転写する転写手段と、該転写手段の前記像担持体への当接圧を変更する当接圧変更手段と、転写材を給紙搬送する複数の給紙供給部とを備え、選択された前記給紙供給部から転写材を給紙搬送して画像を形成する画像形成装置において、
前記当接圧変更手段は、選択された前記給紙供給部によって当接圧を変更することを特徴とする。
【0007】
このように選択された前記給紙供給部によって当接圧を変更するので、感光ドラムと転写ローラとによる転写材の搬送スピードを一定にすることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、カセット又は手差し等の給紙供給部別で、感光ドラムに当接する転写ローラの当接圧を最適値に変更し、転写材搬送の安定化を図り、転写材の中抜け防止を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施例を示す概略構成図である。像担持体である感光ドラム1は、その周囲に回転方向に沿って一次帯電器としての帯電ローラ2、現像器3、転写手段としての転写ローラ4、転写後のトナー像を熱定着する定着器として定着ローラ6、加圧ローラ7、と、感光ドラム1に付着している転写残留トナー(残トナー)を回収するクリーナ5、が順に配設されている。
また、転写材としての転写紙が収納されている給紙供給部としての給紙カセット11、給紙カセット11から転写紙Pを取り出すためのピックアップローラ10、ピックアップローラ10から取り出されて送られて来た転写紙Pまたは給紙供給部としての手差しにより手差し給紙部12にセットされた転写紙Pの先端を感光ドラム1上のトナー画像の先端に同期させるようにして転写紙Pを搬送する搬送ローラ9、が設けられ、さらにこの搬送ローラ9の搬送下流側には、転写紙Pを転写ニップ部に案内する転写ガイド8、が備えられている。
次に、動作について説明とする。感光ドラム1は帯電ローラ2により均一に帯電され、画像露光を受けてその表面に静電潜像が形成される。感光ドラム1の表面の静電潜像は現像器3において帯電されたトナーにより現像され、トナー画像が形成される。
一方、転写紙Pはピックアップローラ10により搬送又は手差しにより手差し給紙部12にセットされ、搬送ローラ9は、感光ドラム1上の画像先端と転写紙Pの先端位置とが転写ニップ部において一致するように同期させて停止・回転を繰り返し、転写紙Pを搬送する。
このようにして転写紙Pは搬送ローラ9から転写ガイド8に向けて搬送後、転写ローラ4にて感光ドラム上のトナー像が転写され、転写後のトナー像を定着ローラ6と加圧ローラ7で熱定着されるとともに、感光ドラム1上に残った残トナーはクリーナ5によって回収される。
転写紙Pの搬送としては、感光ドラム1と転写ローラ4の表面速度が同じ時には、転写紙Pの搬送速度が感光ドラム1の表面速度と同じになり、転写されたトナー像の一部が欠けてしまうという中抜け現象が発生するため、感光ドラム1より転写ローラ4の表面速度を1〜6%早くすることで、転写紙Pを感光ドラム1の表面速度より早く搬送する構成と成っている。
しかし、感光ドラム1と転写ローラ4とにより転写紙Pを挟持する転写ニップ部に転写紙Pを搬送する搬送ローラ9は、給紙カセット11からの転写紙P搬送と手差し給紙部12からの転写紙P搬送では、図2に示すように搬送経路の差で転写紙Pの搬送ローラ9への接触面積が異なるため、搬送ローラ9の搬送能力が異なる。つまり、手差しにより手差し給紙部12にセットされた転写紙Pは搬送ローラ9の搬送能力が低下しているため搬送速度が遅く転写ローラ4が滑って感光ドラムの表面速度より遅くなり、転写されたトナー像の一部が欠けてしまうという中抜け現象が発生するおそれがある。
この中抜け現象を防止するため、本実施例では、手差しにより手差し給紙部12にセットされた転写紙Pを搬送する場合は、当接圧変更手段13によって転写ローラ4の感光ドラム1への当接圧をアップし転写ニップ部の搬送能力をアップし、搬送ローラ9の搬送能力の低下を補い転写ローラ4の滑りを防止している。このため感光ドラム1より転写紙Pの表面速度を設定どおり1〜6%早くでき、中抜け現象を防止できる。転写ローラ4の感光ドラム1への当接圧を変更する当接圧変更手段13としては特開2000−356910にて開示されている付勢手段を使えばよい。
はがきなどの厚紙やOHPなどは、転写ローラ4の感光ドラム1への当接圧をさらにアップし転写ニップ部の搬送能力をアップすることで大きな効果が得られる。
本実施例では、転写ローラ4の感光ドラム1への当接圧を通常600gに設定しているが、手差し給紙時の厚紙指定時は当接圧を800gにアップして対応することで、トナー像の中抜け現象を防止している。
この場合、転写材の種類の判別は、転写材幅規制部材に対する規制位置検知や転写材の紙厚を検知する紙厚検知する機構を設けたり、またはユーザーにより操作入力された転写材種類信号で判別すればよい。

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による実施形態に係る画像形成装置全体の概略構成図。
【図2】本発明による実施形態に係る転写材搬送の状態を説明した図。
【符号の説明】
【0012】
1.感光ドラム
2.帯電ローラ
3.現像器
4.転写ローラ
5.クリーナ
6.定着ローラ
7.加圧ローラ
8.転写ガイド
9.搬送ローラ
10.ピックアップローラ
11.給紙カセット
12.手差し給紙部
13当接圧変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を形成自在な像担持体と、該像担持体に当接し、トナー画像を搬送される転写材に転写する転写手段と、該転写手段の前記像担持体への当接圧を変更する当接圧変更手段と、転写材を給紙搬送する複数の給紙供給部とを備え、選択された前記給紙供給部から転写材を給紙搬送して画像を形成する画像形成装置において、
前記当接圧変更手段は、選択された前記給紙供給部によって当接圧を変更することを特徴とする画像形成装置。

【請求項2】
転写材の種類を検知する転写材種類検知手段を備え、該転写材種類検知手段に検知された転写材の種類によって、前記当接圧変更手段による転写手段の当接圧を変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【請求項3】
前記転写材種類検知手段は、転写材幅規制部材に対する規制位置検知手段、又は転写材の紙厚を検知する紙厚検知手段、又はユーザーにより操作入力された転写材種類信号を検知する入力信号検知手段であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−3664(P2007−3664A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181696(P2005−181696)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】