説明

画像形成装置

【課題】省エネルギー化を図りつつ、シートの水分量を均一に近づけることができ、転写部におけるシートの転写不良が発生するのを抑制する。
【解決手段】画像形成装置100は、シート給送部203と転写部12との間のシート搬送経路においてシート搬送方向に直交する幅方向に配置され、搬送中のシートを加熱する加熱部23と、加熱部23の発熱動作を制御する制御部900と、を備えている。加熱部23は、幅方向に並設される複数の発熱体を有し、制御部900は、シートが加熱部23を通過する際に、複数の発熱体の内、発熱させる発熱体を、加熱部23がシートに対向するシートの位置に応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに加熱処理を施して画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、複数枚のシートを収納するシート収納部と、シート収納部に収納されたシートを1枚ずつ送り出すシート給送部とを有するシート給送装置を備えている。また、画像形成装置は、シート給送部により送り出されたシートにトナー像を転写する転写部としての転写ローラと、転写ローラによりトナー像が転写されたシートを加熱してトナー像をシート上に定着させる定着部とを備えている。転写ローラの抵抗値は雰囲気の温湿度に応じて変動しやすく、転写ローラの抵抗値変動に起因する転写不良等の発生を抑制するために、転写ローラの抵抗値を測定し、その測定結果に応じて転写ローラに印加する転写電圧を調整している。
【0003】
画像形成装置に用いられるシートは、水分を吸収しやすい材質で形成されているのが一般的である。そして、シートは、シート収納部に複数枚積載されて収納されているので、シートの周縁部が吸湿し易い。従って、シートが湿度の高い雰囲気に長期間に亘って放置された場合、シートの周縁部が多量の水分を吸収してしまう。このように1枚のシートにおいてシートの水分量が不均一となると、転写ローラの転写電圧を調整しても転写不良が生じるおそれがあった。
【0004】
そこで、シート収納部内の底面に面状のヒータを設け、そのヒータ上にシートを積載し、夜間等の湿度が高いときに面状ヒータを駆動させることで、シート収納部内の湿度を一定に保つ方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−156779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記面状ヒータを用いる方式では、シートに画像形成するか否かにかかわらず、シート収納部内に収納された複数枚の全てのシートを同時に加熱するので、消費電力が大きいという問題があった。そして、ヒータの加熱によってシートの吸湿状態が解消されたとしても、画像形成に使用されずにシート収納部に残ったシートは再度吸湿してしまうこととなる。従って、この吸湿したシートを再加熱するか、或いは常時加熱して吸湿しないようにする必要があり、消費電力量が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、1枚のシートにおいてシートの水分量が不均一であり、また、積載された上層のシートと下層のシートとの水分量を比較しても、上層のシートの方が下層のシートよりも水分量が多く、シートの水分量は不均一である。従って、上記面状ヒータで加熱しても各シートの水分量を均一にすることは難しかった。そして、シートの水分量が不均一である場合、シート上で画像転写条件が異なるため、転写不良が発生してしまう問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、省エネルギー化を図りつつ、シートの水分量を均一近づけることができ、転写部におけるシートの転写不良が発生するのを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、複数枚のシートを収納するシート収納部と、前記シート収納部に収納されたシートを1枚ずつ送り出すシート給送部と、前記シート給送部により送り出されたシートにトナー像を転写する転写部と、トナー像をシート上に定着させる定着部と、を備えた画像形成装置において、前記シート給送部と前記転写部との間のシート搬送経路においてシート搬送方向と交差する交差方向に配置され、搬送中のシートを加熱する加熱部と、前記加熱部の発熱動作を制御する制御部と、を備え、前記加熱部は、前記交差方向に並設される複数の発熱体を有し、前記制御部は、シートが前記加熱部を通過する際に、前記複数の発熱体の内、発熱させる発熱体を、前記加熱部がシートに対向するシートの位置に応じて変更する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省エネルギー化を図りつつ、加熱部によりシートの水分量を均一に近づけることができ、転写部においてシートの転写不良が発生するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、本第1実施形態では、画像形成装置が電子写真方式によって画像形成を行なうプリンタ100である場合について説明するが、これに限るものではなく、画像形成装置が電子写真方式によって画像形成を行なう複写機、ファクシミリ等でもよい。
【0013】
プリンタ100は、画像形成装置本体としての装置本体101が筐体102に収納されて構成されている。このプリンタ100は、シートに画像を形成する画像形成部103と、画像形成部103の下方に配置されるシート給送装置201と、画像形成部103の上方に配置される定着部としての定着装置16と、プリンタ全体を制御する制御部900とを備えている。また、プリンタ100は、シート給送装置201より送り出されたシートSを案内する給紙ガイド18と、画像形成部103の画像形成タイミングに合わせてシートSを画像形成部103へ送り出すためのレジストローラ対19とを備えている。
【0014】
画像形成部103は、イエロー色の画像を形成するカートリッジ1Yと、マゼンタ色の画像を形成するカートリッジ1Mと、シアン色の画像を形成するカートリッジ1Cと、ブラック色の画像を形成するカートリッジ1Bkとを備えている。これら4つのカートリッジ1Y,1M,1C,1Bkは一定の間隔において一列に配置される。
【0015】
各カートリッジ1Y,1M,1C,1Bkは、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という)2a〜2dを有している。各感光体ドラム2a〜2dの周囲には、一次帯電器3a〜3d、現像装置4a〜4d、一次転写ローラ5a〜5d、ドラムクリーナ装置6a〜6dがそれぞれ配置されている。一次帯電器3a〜3dと現像装置4a〜4dとの間の下方には、露光装置7が配置されている。そして、中間転写ベルト8が、各感光体ドラム2a〜2dの表面に当接するように配置され、二次転写対向ローラ10とテンションローラ11間に張架されている。この中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成されている。
【0016】
また、画像形成部103は、中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ10に対向配置され、シートにトナー像を転写する転写部としての二次転写ローラ12を有している。
【0017】
定着装置16は、アルミナヒータ等の定着ヒータを保持したステーの外周に配置される定着フィルム16aと、この定着フィルム16aに圧接する加圧ローラ16bとを有し、トナー像が転写されたシートSを加熱してトナー像をシートS上に定着させる。
【0018】
また、定着装置16のシート搬送方向上流側には定着装置16のニップ部31へシートSを導くための搬送ガイド34が配設される。また、定着装置16のシート搬送方向下流側には定着装置16から排出されたシートSを装置の外部に排出する排紙ローラ対21が配設される。
【0019】
図2は、画像形成装置のシート給送装置とその近傍に配置される装置を含む概略構成を示す説明図である。また、図3は、図2の矢印A方向から見た主要部の構成を示す説明図である。
【0020】
シート給送装置201は、複数枚のシートSを収納するシート収納部としての給紙カセット17、手差しトレイ20(図1)、及び給紙カセット17からシートSを1枚ずつ送り出すシート給送部としてのシート給送ローラ203を備えている。また、シート給送装置201は、シート給送ローラ203から送り出されたシートSを搬送する搬送ローラ202を備えている。
【0021】
給紙カセット17にはシートSを積載するトレイ205が昇降可能に設けられており、モータ206の駆動によりトレイ205が昇降する。なお、この給紙カセット17は装置本体101に対して着脱自在に設けられており、引き出した状態でシートSの補充や交換を行ない、装着することによりシートSの給送が可能となる。
【0022】
プリンタ100は、給紙カセット17が装置本体101に装着されているか否か(装置本体101に対する給紙カセット17の着脱)を検知する収納部検知部としての収納部検知センサ204を備えている。
【0023】
また、プリンタ100は、給紙カセット17に積載されているシートSの積載枚数の変化を検知する積載枚数検知部として、シートSの有無及び満載を検知する満載検知センサ207を備えている。この満載検知センサ207は、互いに対向して配置される不図示の発光部及び受光部を備えると共に、発光部と受光部との間に揺動可能に配置され、シートが当接して揺動することにより発光部の光を遮断する不図示のレバー部材を備えている。
【0024】
つまり、満載検知センサ207は、発光部がレバー部材に遮光されたか否かを検知することで、シートSの有無及び満載を検知する。
【0025】
制御部900は、給紙カセット17が装置本体101に装着されたことを収納部検知センサ204によって検知されると、まず、満載検知センサ207によりシートSが検知されたか否かを判断する。シートSが検知された場合、給紙カセット17は、シートが満載状態である。シートSが検出されなかった場合、制御部900は、モータ206を駆動し、トレイ205をリフトアップさせる。そして、制御部900は、満載検知センサ207によりシートSが検出されると、トレイ205のリフトアップ動作を停止させる。満載検知センサ207によりシートSが検知されたとき、シートSは、シート給送ローラ203に当接して搬送可能な状態となる。また、リフトアップ動作を所定時間に亘って行なっても満載検知センサ207によりシートSが検出されなかった場合には、給紙カセット17にシートSが積載されていないと判断し、リフトアップ動作を終了する。つまり、制御部900は、満載検知センサ207によりシートS有りが検知されたときのトレイ205のリフトアップ量により、給紙カセット17に積載されているシートSの積載枚数の変化を検知することができる。
【0026】
また、プリンタ100は、雰囲気の温湿度を検知する温湿度検知部としての温湿度センサ208を備えており、温湿度センサ208は、給紙カセット17に収納されるシートSの雰囲気の温湿度を検知するよう、給紙カセット17近傍に配置されている。
【0027】
次に、プリンタ100の動作について説明する。各感光体ドラム2a〜2dは、負帯電のOPC感光体でアルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有しており、駆動装置(不図示)によって矢印方向(時計回り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0028】
一次帯電器3a〜3dは、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光体ドラム2a〜2dの表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。
【0029】
露光装置7は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行なうレーザ発光手段、ポリゴンプリズム、反射ミラー等で構成される。そして、露光装置7は、各感光体ドラム2a〜2dに露光をすることによって、各一次帯電器3a〜3dで帯電された各感光体ドラム2a〜2dの表面に画像情報に応じた各色の静電潜像を形成する。
【0030】
各現像装置4a〜4dは、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されていて、各感光体ドラム2a〜2d上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
【0031】
一次転写ローラ5a〜5dは、中間転写ベルト8を各感光体ドラム2a〜2dに当接させるよう配置されており、各感光体ドラム2a〜2d上のトナー像を順次中間転写ベルト8上に転写し重ね合わせていく。
【0032】
ドラムクリーナ装置6a〜6dは、クリーニングブレード等で構成され、感光体ドラム2a〜2d上の一次転写時の残留した転写残トナーを、感光体ドラム2a〜2dから掻き落としドラムの表面を清掃する。
【0033】
一方、このようなトナー像形成動作に並行してシート給送装置201においては、給紙スタート信号に基づいてシート給送ローラ203が駆動されて給紙カセット17内のシートSが1枚ずつ送り出される。そして、シートSは搬送ローラ202により搬送ガイド18を経てレジストローラ対19に送り出される。
【0034】
シート給送装置201からレジストローラ対19まで搬送されたシートSは、レジストローラ対19において斜行が補正される。この後、レジストローラ対19によりシートSの先端が、中間転写ベルト8の表面に形成されたトナー像の先端と一致するようにタイミングが取られて搬送される。
【0035】
そして、二次転写ローラ12に搬送されたシートSは、中間転写ベルト8と二次転写ローラ12とに挟持搬送され、この間、二次転写ローラ12には不図示の転写バイアス印加電源から転写電圧(転写バイアス)が印加される。このように二次転写ローラ12にトナーと逆極性の転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト8のトナー像がシートP上に静電的に転写される。ここで、二次転写ローラ12の抵抗値は雰囲気(環境)の温湿度に応じて変動しやすい。従って、二次転写ローラ12の抵抗値変動に起因する転写不良や紙跡などの発生を抑制するために、二次転写ローラ12の抵抗値を測定し、その抵抗値測定結果に応じて二次転写ローラ12に印加する転写電圧を調整している。
【0036】
なお、中間転写ベルト8の外側で、二次転写対向ローラ10の近傍には、中間転写ベルト8の表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置13が設置されている。
【0037】
次に、このようにトナー像が転写されたシートSは、二次転写ローラ12と定着装置16の間に設けられた搬送ガイド34に案内されて定着フィルム16aと加圧ローラ16bとにより搬送され、そこで熱および圧力を受けて定着される。これにより、各色のトナーが溶融混色してシートSに固定されたフルカラーのプリント画像とされた後、排紙ローラ対21によって装置の外部に排出される。
【0038】
ところで、プリンタ100が湿気のある環境に設置されている場合、或いは湿気のある環境に置かれていたシートSがプリンタ100の給紙カセット17にセットされた場合、給紙カセット17に収納されているシートSは、その周縁部が水分量の多い状態である。つまり、給紙カセット17に収納されているシートSの水分量は不均一である。特に、給紙カセット17に収納されている複数枚のシートSの内、上層のシートSは、下層のシートSに比べ、周縁部における吸湿量が多くなる。これは、外気が給紙カセット17の上部から侵入するためである。また、給紙カセット17に結露が生じた場合にも、シートSの周縁部が吸湿し易い。
【0039】
そこで、本第1実施形態では、プリンタ100は、搬送中のシートSを加熱する加熱部としてのヒータ23を備えている。ここで、シート給送ローラ203と二次転写ローラ12との間のシート搬送経路にヒータ23を配置し、シートSにトナー像が転写される前にシートSを加熱する必要がある。本第1実施形態では、シート給送ローラ203と搬送ローラ202との間のシート搬送経路にヒータ23を配置している。そして、このヒータ23は、シート搬送方向と交差する交差方向、具体的には、シート搬送方向と直交(直角に交差)する幅方向に配置されており、シートSがヒータ23を通過する場合、シートSの幅方向全域がヒータ23に対向するよう配置されている。
【0040】
ヒータ23は、基材403に固設されて装置本体101に設けられ、トレイ205のリフトアップが終了してシートSが搬送可能状態であるときにシートSの先端部に当接する位置に配置されている。そして、ヒータ23は、シート搬送時において摩擦抵抗力を与えないようにシートSに近接、或いは摩擦抵抗力が極めて小さくなるようにシートSに接触するよう配置されている。
【0041】
図4は、加熱部としてのヒータの概略構成を示す説明図である。また、図5は、加熱部としてのヒータにより加熱されるシートの平面図である。
【0042】
ヒータ23は、通電によって発熱し、その熱によってヒータ23を通過するシートSの周縁部Xを加熱可能に構成されている。ヒータ23は、基材403上に発熱パターンが印刷された、極めて応答性の高いヒータであり、通電を開始すれば即座に発熱する。そしてヒータ23の発熱した発熱パターンに近接或いは接触した部分のシートSの水分が、その熱により蒸発することとなる。
【0043】
ヒータ23の発熱パターンは、複数、本第1実施形態では3つの発熱体として中央部ヒータ部404及び端部ヒータ部405,405を有して構成される。これらヒータ部404,405,405は、矩形状に形成され、互いに密接するように基材403上におけるシート搬送方向(矢印N1方向)と直交する幅方向(矢印N2方向)に並設されている。
【0044】
つまり、端部ヒータ部405,405は、シートSが通過する際にシートSの幅方向(矢印N2方向)のシート側端部X1,X1に対向する発熱体である。また、中央部ヒータ部404は、シートSが通過する際にシートSのシート搬送方向(矢印N1方向)のシート先端部X2及びシート後端部X3に対向する発熱体である。
【0045】
各ヒータ部404,405,405には導体402を通じて電極401が取り付けられており、電極401へ電圧を印加することによって、各ヒータ部404,405,405に通電が行なわれ、各ヒータ部404,405,405が発熱する。
【0046】
また、基材403の表面には、中央部ヒータ部404及び端部ヒータ部405の温度を検知する温度検知部としての温度サーミスタ406が、中央部ヒータ部404及び端部ヒータ部405の近傍に設けられている。
【0047】
なお、各ヒータ部404,405,405は、矩形状に限定するものではなく、いかなる形状であってもよい。また、ヒータ部同士が密接して並設されているが、隙間をあけて並設してもよい。
【0048】
図6は、発熱体としてのヒータ部を動作させる回路構成を示す回路図である。
【0049】
プリンタ100は、図6に示すように、中央部ヒータ部404への通電をオン・オフする駆動回路912と、端部ヒータ部405,405への通電をオン・オフする駆動回路913とを備えている。
【0050】
各駆動回路912,913の入力端子には、プリンタ100全体に電力を供給する商用電源等のAC電源901が接続されており、各駆動回路912,913の制御端子には、制御部900が接続されている。また、駆動回路912の出力端子には、中央部ヒータ部404が接続されており、駆動回路913の出力端子には、端部ヒータ部405,405が接続されている。これにより、各駆動回路912,913における各ヒータ部404,405への通電のオン・オフは、制御部900によって制御される。即ち、ヒータ23は、その発熱動作が制御部900により制御されることとなる。
【0051】
駆動回路912の回路構成について具体的に説明すると、駆動回路912は、ACフィルタ902を有しており、AC電源901がACフィルタ902を介して中央部ヒータ部404に接続されるよう構成されている。ACフィルタ902と中央部ヒータ部404との間には、トライアック904が配設されている。このトライアック904の両端には、抵抗器905,906が接続されており、この抵抗器905,906間にフォトトライアックカプラ907が直列接続されている。
【0052】
また、駆動回路912は、フォトトライアックカプラ907に一端が接続された抵抗器908、フォトトライアックカプラ907にコレクタ端子を接続したトランジスタ909、このトランジスタ909のベース端子に接続された抵抗器910を備えている。そして、抵抗器910の一端が制御部900に接続されている。
【0053】
以上の構成により、AC電源901は、駆動回路912を介して中央部ヒータ部404へ電力を供給することにより、中央部ヒータ部404を発熱させている。中央部ヒータ部404は、トライアック904をオン・オフすることで通電・遮断が行われる。抵抗器905,906は、トライアック904のためのバイアス抵抗である。また、フォトトライアックカプラ907は、1次、2次間の沿面距離を確保するためのデバイスである。フォトトライアックカプラ7の発光ダイオードに通電することによりトライアック904がオンされる。抵抗器908は、フォトトライアックカプラ907の電流を制限するための抵抗であり、トランジスタ909によりオン・オフされる。トランジスタ909は、抵抗器910を介して制御部900からのオン信号にしたがって動作する。
【0054】
即ち、制御部900によりオン信号が駆動回路912に出力されると、駆動回路912のトランジスタ909、フォトトライアックカプラ907及びトライアック904がオンされ、AC電源901により中央部ヒータ部404への電力供給が行なわれる。この通電により、中央部ヒータ部404が発熱する。また、制御部900がオフ信号を駆動回路912に出力すると、駆動回路912のトランジスタ909、フォトトライアックカプラ907及びトライアック904がオフされ、AC電源901による中央部ヒータ部404への電力供給が停止される。
【0055】
駆動回路913は、駆動回路912と同様の構成である。そして、制御部900によりオン信号或いはオフ信号が駆動回路913に出力されることにより、中央部ヒータ部404と同様に端部ヒータ部405,405への電力の供給・停止が行なわれる。
【0056】
このように、中央部ヒータ部404と側部ヒータ部405,405に対して別々の駆動回路により通電するよう構成したので、中央部ヒータ部404と側部ヒータ部405,405とは独立して発熱させることが可能である。
【0057】
ここで、本第1実施形態では、制御部900は、温湿度センサ208によって検知された雰囲気の温湿度に応じて、シートSに加熱処理を施すか否かを判断している。具体的に説明すると、制御部900は、温湿度センサ208によって検知された温湿度結果が、予め設定した設定値以上の場合、シートSに加熱処理を施すと判断し、設定値未満の場合、シートSに加熱処理を施さないと判断する。つまり、温湿度が設定値未満の場合、シートSの水分量は少なく、加熱の必要がないためである。
【0058】
そして、制御部900は、シートSに加熱処理を施す場合、ヒータ23をシートSが通過するタイミングで発熱させるものである。即ち、制御部900は、シートSがヒータ23を通過する際に、中央部ヒータ部404と端部ヒータ部405,405の内、発熱させるヒータ部を、ヒータ23がシートSに対向するシートSの位置に応じて変更している。
【0059】
以下、制御部900による各ヒータ部404,405の発熱動作の制御について具体的に説明する。図7は、加熱部としてのヒータ23の発熱動作を示すタイミングチャートである。図7中、実線601は、端部ヒータ部405における加熱温度を示しており、実線602は、中央部ヒータ部404における加熱温度を示している。
【0060】
以下、図7を参照し、複数枚(例えば3枚)のシートSに連続で画像形成する場合について説明する。この場合、給紙カセット17に収納されている最上部のシートSが順次シート給送ローラ203により給送される。ここで、制御部900は、シート給送ローラ203により給送するシートSの給送枚数を計数している。
【0061】
まず、1枚目のシートSに画像形成する際に加熱処理を施す場合について説明する。シートSに加熱処理を施す場合、制御部900は、シート先端部X2がヒータ23を通過する期間t1に中央部ヒータ部404を発熱させる。同時に、制御部900は、シート側端部X1がヒータ23を通過するので、端部ヒータ部405,405も発熱させる。これにより、給紙カセット17に収納されている最上部にあるシートSのシート先端部X2が加熱される。ここで、ヒータ23は、給紙カセット17に収納されているシートSの先端部X2に対向するように配置されているので、搬送開始と同時或いは搬送開始に先立って、中央部ヒータ部404及び端部ヒータ部405,405の加熱が開始される。
【0062】
制御部900は、シートSの搬送によりシート先端部X2がヒータ23から外れると、シート後端部X3がヒータ23に到達するまでの期間t2中、中央部ヒータ部404への通電を停止させ、中央部ヒータ部404の発熱を停止させる。また、制御部900は、端部ヒータ部405,405を継続して発熱させている。ここで、中央部ヒータ部404は、端部ヒータ部405,405よりもその面積が大きく、消費電力も大きい。従って、中央部ヒータ部404の発熱を停止させることにより、消費電力を抑えることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0063】
制御部900は、シート後端部X3がヒータ23に到達した後、シート後端部X3がヒータ23を通過する期間t3に中央部ヒータ部404を発熱させる。ここで、制御部900は、シートサイズ情報及びシート搬送速度に基づいてシート後端部X3がヒータ23に到達するタイミングを求めている。
【0064】
なお、制御部900は、期間t1〜期間t3(つまり、シート側端部X1がヒータ23を通過する期間)に亘って、端部ヒータ部405,405を発熱させている。
【0065】
以上の動作により、制御部900は、中央部ヒータ部404と端部ヒータ部405,405との内、発熱させるヒータ部を、ヒータ23がシートSに対向するシートの位置に応じて変更することで、シートSにおける加熱の必要な箇所を加熱することができる。そして、本第1実施形態では、シートSの周縁部Xが加熱の必要な箇所であり、ヒータ23によりシートSの周縁部Xを加熱することができる。そしてシートSの周縁部Xの水分が加熱によって蒸発するので、シートSの水分量を均一に近づけることができる。従って、二次転写ローラ12におけるシートSの転写不良の発生を抑制することができ、画像品質の低下を抑制することができる。
【0066】
また、給紙カセット17に収納されている全てのシートを同時に加熱するものではなく、画像形成する際のシート搬送中に1枚ずつシートSを加熱するようにしたので、効果的にシートSを除湿できる。そして、全てのシートSを同時加熱する場合のように加熱動作が無駄になることはないので、消費電力を抑えることができ、省エネルギー化を実現することができる。しかも、シートSがヒータ23を通過するタイミングでヒータ23を発熱させるようにしたので、常にヒータ23を加熱する場合に比べ、消費電力量を抑えることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0067】
次に、2枚目以降のシートSに画像形成する場合も、1枚目のシートSに画像形成する場合と同様に、ヒータ23によりシートSの周縁部Xを加熱するが、制御部900は、シート給送枚数の計数値が増加するに従って、ヒータ23の加熱温度を低下させる。例えば、1枚目のシートSに対しては150℃でヒータ23を加熱し、2枚目では130℃、3枚目では110℃と加熱温度を低下させていく。ここで、制御部900は、温度サーミスタ406によるヒータ23の温度を検知結果に基づいて、ヒータ23が目標温度となるように、供給電力を調整している。このようにヒータ23の加熱温度を低下させるのは、給紙カセット17に収納されている下層のシートSの吸湿量が上層のシートSの吸湿量に比べて少ないので、下層のシートSを上層のシートSのように高い加熱温度で加熱する必要がないためである。
【0068】
このように、各シートSが適した加熱温度で加熱されるので、各シートSの水分量を均一に近づけることができ、また、一定の加熱温度とした場合よりも消費電力を抑えることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0069】
なお、下層のシートSは上層のシートSに比べ吸湿量が少ないので、加熱の必要なシート端部の幅も上層のシートSよりも下層のシートSの方が狭くなる。そこで、制御部900は、シート給送枚数の計数値が増加するに従って、シート先端部X2及びシート後端部X3を加熱する期間を短くしている。具体的に説明すると、制御部900は、図7に示すように、1枚目のシートSにおいてシート先端部X2を加熱期間t1で加熱し、2枚目のシートSのシート先端部X2では、それよりも短い加熱期間t1’で加熱している。更に3枚目のシートSのシート先端部X2では、加熱期間t1’よりも短い加熱期間t1’’で加熱している。同様に、1枚目のシートSのシート後端部X3は加熱期間t3で加熱し、2枚目のシートSのシート後端部X3では、それよりも短い加熱期間t3’で加熱している。更に3枚目のシートSのシート後端部X3では、加熱期間t3’よりも短い加熱期間t3’’で加熱している。そして、中央部ヒータ部404の加熱停止期間t2が、2枚目のシートでは加熱停止期間t2よりも長い加熱停止期間t2’となり、3枚目のシートでは、加熱停止期間t2’よりも長い加熱停止期間t2’’となる。このように制御することで、更に消費電力を抑えることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0070】
ここで、給紙カセット17に収納されている複数枚のシートSの内、下層のシートSは、上層のシートSに比べて吸湿量が少ない。従って、シートSの水分量が不均一であっても、二次転写ローラ16において転写不良が発生する頻度は低くなる。従って、複数枚のシートSに連続で画像形成する場合、制御部900は、シート給送枚数が予め設定しておいた設定枚数(例えば、3枚)を超えたか否かに応じて、シートの加熱処理を行なうか否かを判断する。即ち、制御部900は、計数値が設定枚数を超えない場合には、シートSに加熱処理を施し、計数値が設定枚数を超えた場合には、シートSの加熱処理を停止させる。これによって、更に消費電力を抑えることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0071】
次に、本第1実施形態では、シートSをヒータ23で加熱後に定着装置16においてトナー像を定着させ、排紙ローラ対21で排出するようにしているが、先行のシートSが排出されるのを待たずに、後続のシートSをシート給送ローラ203により給送している。つまり、制御部900は、ヒータ23で加熱後に定着装置16においてトナー像を定着させる先行のシートSに続いて、ヒータ23において加熱させる後続のシートSを送り出すようにしている。これにより、連続印刷に要する時間を短縮している。
【0072】
ここで、定着装置16が待機しているときの電力の消費を削減するために、待機中は定着装置16の不図示の定着ヒータへの電力供給を停止或いは僅かに電力を供給している状態としている。そして、シートSにトナー像を定着させるとき(シートが定着装置16に搬送されてきたとき)には、定着ヒータを急激に昇温させる必要があるので、そのときの消費電力がピークとなる。そして、定着ヒータの定着温度が安定(言い換えれば、定着装置16の消費電力ピーク期間が経過)したところで定着装置16の定着ヒータの定着温度を定常状態に保ちながら消費電力を低下させている。
【0073】
また、ヒータ23において消費電力がピークとなるのは、シート先端部X2及びシート後端部X3を加熱する際に中央部ヒータ部404を発熱させる場合である。
【0074】
図8は、画像形成装置における定着部としての定着装置と加熱部としてのヒータとの消費電力を示すタイミングチャートである。なお、装置本体101(プリンタ100全体)で消費される電力の大部分は、定着装置16とヒータ23である。
【0075】
実線701は、定着装置16の電力変化を示しており、実線702はヒータ23の電力変化を示している。また、実線703は装置本体101の電力変化を示している。
【0076】
制御部900は、後続のシートSが通過するときに中央部ヒータ部404が発熱する消費電力ピーク期間T1,T3と、先行のシートSのトナー像を定着させるときの定着装置16の消費電力ピーク期間T2とが重なるのを避けるよう制御している。具体的に説明すると、制御部900は、期間T1,T3と、期間T2とが重なるのを避けるべく、後続のシートSをシート給送ローラ203によって送り出すタイミングを調整している。
【0077】
このように後続のシートSを送り出すタイミングをずらすことにより、ヒータ23の加熱のタイミングをずらすことができ、定着装置16における消費電力ピーク期間T2とヒータ23における消費電力ピーク期間T1,T3とが重なるのを回避することができる。そして、装置本体101の総消費電力の大部分は、定着装置16及びヒータ23の消費電力であるので、このようにタイミングをずらすことにより、装置本体101の消費電力ピーク期間の電力増加を抑制することができる。
【0078】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、プリンタ100の制御部900が、転写装置900の消費電力ピーク期間T2とヒータ23の消費電力ピーク期間T1,T3とが重ならないようにした場合について説明した。本第2実施形態では、転写装置900の消費電力ピーク期間とヒータ23の消費電力ピーク期間とが重なる場合について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
図9は、第2実施形態に係る画像形成装置における定着部としての定着装置と加熱部としてのヒータとの消費電力を示すタイミングチャートである。
【0080】
図9中、実線801は定着装置16の電力変化、実線802はヒータ23の電力変化、実線803は装置本体101の電力変化を示している。
【0081】
この図9において、シート先端部X2を加熱する際のヒータ23の消費電力ピーク期間T11(即ち、中央部ヒータ部404の加熱期間)と定着装置16の消費電力ピーク期間T12とが重なっている。
【0082】
そこで、制御部900は、装置本体101で消費される総消費電力が一定値W1以下となるように定着装置16の消費電力を調整すると共に、定着装置16においてシートに与える熱量を一定値Qに保つべく、定着装置16の定着速度を調整している。
【0083】
具体的に説明すると、制御部900は、ヒータ23の消費電力が増加した分だけ定着装置16の消費電力ピーク期間T12における消費電力を電力W2に低下させ、装置本体101の消費電力ピーク期間の総消費電力を一定値W1以下にしている。そして、制御部900は、定着装置16の消費電力を低下させた分、定着装置16における定着速度(シート搬送速度)を低下させている。
【0084】
ここで、定着装置16において、期間T12経過後の定着動作中に定着速度を変更すると画像乱れが発生する可能性があるので、定着装置16の定着速度及び定着温度を維持しつつ、消費電力を低下させている。これにより、シートSが定着装置16のニップ部31に圧接されている期間が、ヒータ23の加熱動作を停止させた場合に比べて長い期間T13となり、シートSに与えられる熱量が一定値Qとなる。
【0085】
なお、中央部ヒータ部404がシート後端部X3を加熱する際のヒータ23の消費電力ピーク期間T14と定着装置16の消費電力ピーク期間T12とが重なるような場合についても同様に制御してもよい。
【0086】
次いで、このシートSにトナー像定着後、次に定着装置16に搬送されるシートSにトナー像を定着させる場合について説明する。この場合、定着装置16に搬送されるシートSに対する後続のシートSをヒータ23で加熱する際、ヒータ23の消費電力は、先行のシートSを加熱したときよりも低下される。従って、装置本体101の総消費電力を一定値W1以下にするには、定着装置16の消費電力を電力W2よりも高い電力W3にすればよい。そして、定着装置16に搬送されてきたシートSのトナー像を定着する際の定着速度は、前回同様、シートSに与えられる熱量が一定値Qとなるように調整される。
【0087】
これにより、ヒータ23を発熱させる際に装置本体101の総消費電力を一定値W1以下に保持することができるので、プリンタ100の動作を安定した状態に維持することができる。
【0088】
以上、上記第1、第2実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0089】
上記第1、第2実施形態では、ヒータ23が複数の加熱体として3つの加熱体を備える場合について説明したが、これに限定するものではなく、2つ以上の加熱体を備えるようにすればよく、加熱体の個数は特に限定されない。また、複数のシートサイズに対応できるように、各サイズのシートに対応する数の加熱体を並設するようにしてもよい。また、加熱部としてのヒータ23に加熱体をシート搬送方向と直交(直角に交差)する方向に配置したが、多少斜めにシート搬送方向と交差する方向に配置してもよい。つまり、交差方向としては、直角に交差する方向に限定するものではなく、多少斜めにシート搬送方向と交差する方向も含むものである。
【0090】
また、上記第2実施形態では、定着装置16の消費電力ピーク期間とヒータ23の消費電力ピーク期間とが重なる際に、制御部900が、装置本体101の総消費電力を一定値以下に保持するよう制御する場合について説明したがこれに限定するものではない。即ち、上記第1実施形態のように定着装置16の消費電力ピーク期間とヒータ23の電力消費期間とが重ならないように制御する場合においても、制御部900が、装置本体101の総消費電力を一定値以下に保持するよう制御するようにしてもよい。
【0091】
また、上記第1及び第2実施形態では、シートSの周縁部Xを加熱する場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、シート側端部X1のみが吸湿しやすい場合には、シート側端部X1のみを加熱してもよく、ヒータ23における発熱体の発熱箇所は、状況に応じて決めておけばよい。
【0092】
また、上記第1実施形態では、制御部900が、シートSに加熱処理を施すか否かを、温湿度センサ208によって検知された雰囲気の温湿度に応じて判断していたがこれに限るものではない。即ち、この判断に代えて、或いは、この判断と併せて、制御部900が、シートSに最後に画像形成を行った時刻から経過時間を計時し、経過時間に応じて、シートに加熱処理を施すか否かを判断してもよい。具体的に説明すると、計時した経過時間が、予め定めた設定時間未満であれば、給紙カセット17内のシートSが、転写不良が生じるほど湿気を帯びている可能性は低い。言い換えれば、設定時間は、計時した経過時間が設定時間以上であれば転写不良が発生する可能性が高くなる時間に設定されている。従って、制御部900は、計時した経過時間が、設定時間未満の場合、シートSに加熱処理しないと判断し、設定時間以上の場合、シートSに加熱処理を施すと判断する。なお、上記第1実施形態の判断とこの判断を併せる場合、いずれか一方の判断で加熱処理を施さないと判断しても、他方の判断で加熱処理を施すと判断した場合には、加熱処理の制御を実施するのがよい。
【0093】
また、上記判断に代えて、或いは、上記判断と併せて、制御部900が、収納部検知センサ204の検知結果に応じて、シートに加熱処理を施すか否かを判断してもよい。具体的に説明すると、ユーザによる給紙カセット17の着脱操作は、新たにシートSを給紙カセット17に補給する場合が多い。このように新たに補給されたシートSは、吸湿している可能性が高い。従って、制御部900は、給紙カセット17の着脱操作が行なわれたことを収納部検知センサ204により検知した場合、シートに加熱処理を施すと判断する。つまり、給紙カセット17の着脱操作後、予め設定しておいた設定枚数を印刷するときにシートに加熱処理を施すと判断し、その後の印刷の際には、シートに加熱処理をしないと判断する。なお、この場合も同様に、上記第1実施形態の判断と併せる場合、或いは、上記判断と併せる場合、少なくとも一つの判断で加熱処理を施すと判断した場合には、加熱処理の制御を実施するのがよい。
【0094】
同様に、上記判断に代えて、或いは上記判断と併せて、制御部900が、トレイ205の動作による満載検知センサ207の検知結果に応じて、シートSに加熱処理を施すか否かを判断してもよい。具体的に説明すると、上記制御と同様に、給紙カセット17内のシートSが変化(増加)するのは、給紙カセット17にシートSが補給された場合であり、このように新たに補給されたシートSは、吸湿している可能性が高い。従って、制御部900は、予め設定しておいた設定枚数を印刷するときにシートに加熱処理を施すと判断し、その後の印刷の際には、シートに加熱処理をしないと判断する。なお、この場合も同様に、上記第1実施形態の判断と併せる場合、或いは、上記判断と併せる場合、少なくとも一つの判断で加熱処理を施すと判断した場合には、加熱処理の制御を実施するのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】画像形成装置のシート給送装置とその近傍に配置される装置を含む概略構成を示す説明図である。
【図3】図2の矢印A方向から見た主要部の構成を示す説明図である。
【図4】加熱部の概略構成を示す説明図である。
【図5】加熱部により加熱されるシートの平面図である。
【図6】発熱体を動作させる回路構成を示す回路図である。
【図7】加熱部の発熱動作を示すタイミングチャートである。
【図8】画像形成装置における定着部と加熱部との消費電力を示すタイミングチャートである。
【図9】第2実施形態に係る画像形成装置における定着部と加熱部との消費電力を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0096】
12 二次転写ローラ(転写部)
16 定着装置(定着部)
17 給紙カセット(シート収納部)
23 ヒータ(加熱部)
100 プリンタ(画像形成装置)
101 装置本体(画像形成装置本体)
102 筐体
203 シート給送ローラ(シート給送部)
204 収納部検知センサ(収納部検知部)
205 トレイ(積載枚数検知部)
207 満載検知センサ(積載枚数検知部)
208 温湿度センサ(温湿度検知部)
404 中央部ヒータ(発熱体)
405 端部ヒータ(発熱体)
900 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを収納するシート収納部と、前記シート収納部に収納されたシートを1枚ずつ送り出すシート給送部と、前記シート給送部により送り出されたシートにトナー像を転写する転写部と、トナー像をシート上に定着させる定着部と、を備えた画像形成装置において、
前記シート給送部と前記転写部との間のシート搬送経路においてシート搬送方向と交差する交差方向に配置され、搬送中のシートを加熱する加熱部と、
前記加熱部の発熱動作を制御する制御部と、を備え、
前記加熱部は、前記交差方向に並設される複数の発熱体を有し、
前記制御部は、シートが前記加熱部を通過する際に、前記複数の発熱体の内、発熱させる発熱体を、前記加熱部がシートに対向するシートの位置に応じて変更する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の発熱体の内、シートが通過する際にシートのシート搬送方向のシート先端部及びシート後端部に対向する発熱体を、シート先端部が通過する期間及びシート後端部が通過する期間に発熱させると共に、シートが通過する際にシートの幅方向のシート側端部に対向する発熱体を、シート側端部が通過する期間に発熱させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加熱部で加熱後に前記定着部においてトナー像を定着させる先行のシートに続いて、前記加熱部において加熱させる後続のシートを送り出す際に、後続のシートを加熱させるときの前記加熱部の消費電力ピーク期間と、先行のシートのトナー像を定着させるときの前記定着部の消費電力ピーク期間とが重なるのを避けるべく、前記シート給送部により後続のシートを送り出すタイミングを調整する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、画像形成装置本体で消費される総消費電力が一定値以下となるように前記定着部の消費電力を調整すると共に、前記定着部においてシートに与える熱量を一定値に保つべく、前記定着部の定着速度を調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、シートの給送枚数を計数し、計数値が増加するに従って、前記加熱部の加熱温度を低下させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
雰囲気の温湿度を検知する温湿度検知部を備え、
前記制御部は、前記温湿度検知部によって検知された雰囲気の温湿度に応じて、シートに加熱処理を施すか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、シートに最後に画像形成を行った時刻から経過時間を計時し、前記経過時間に応じて、シートに加熱処理を施すか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記シート収納部は、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられており、
前記シート収納部の着脱を検知する収納部検知部を有し、
前記制御部は、前記収納部検知部の検知結果に応じて、シートに加熱処理を施すか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記シート収納部に積載されているシートの積載枚数の変化を検知する積載枚数検知部を有し、
前記制御部は、前記積載枚数検知部の検知結果に応じて、シートに加熱処理を施すか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−192940(P2009−192940A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35061(P2008−35061)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】