説明

画像形成装置

【課題】活線挿抜による部品の損傷・破壊などを回避しつつ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】メンテナンスモードに移行する場合、電源供給ユニット203からエンジン制御基板202への電源供給を遮断することにより、メンテナンス作業が行われる場合に、周辺機器を制御するエンジン制御基板への電源供給を遮断し、かつ表示部にマニュアルを表示することができるので、活線挿抜による部品の損傷・破壊などを回避しつつ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファックス、プリンタ、およびそれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置は、多数の部品を備えている。そして、それらの部品は、各々に寿命を持っている。特に、画像形成動作に関わる作像部および定着部が有する部品の寿命は、画像形成装置本体の寿命よりも短い場合が多い。したがって、画像形成装置本体の寿命がくる前に、部品の寿命がきた場合には、メンテナンス作業(例えば、部品の交換など)が必要である。また、部品の寿命がきていない場合であっても、画像形成装置本体に何らかの異常が発生した場合には、その異常の原因となっている部品のメンテナンス作業が発生する。
【0003】
従来、部品のメンテナンス作業を行う場合、サービスマンは、紙媒体に記録されたマニュアルを見ながらメンテナンス作業を行っていた。そのため、経験の浅いサービスマンでは作業に手間取り作業ミスが生じる可能性が非常に高かった。また、経験豊富なサービスマンでも近年の高機能化、複雑化する画像形成装置に対応するのは大変な労力が必要であった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、外部の情報処理装置から画像形成装置に関する情報を取得して表示させることにより、サービス管理を容易に行える画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1にかかる画像形成装置では、通信回線を介して外部のサーバまたはホストコンピュータと接続し、接続されたサーバまたはホストコンピュータから画像形成装置に関する情報(マニュアルの内容、トラブルシューティング)を取得し、取得した情報を操作部ユニットの液晶パネルまたはCRTディスプレイに表示することにより、サービス管理を容易に行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−84388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置が有するスキャナ、プロッタ等のエンジン部のユニットまたは部品のメンテナンス作業においては、活線挿抜が好ましくないものも存在する。よって、メンテナンス作業を行う場合には、当該画像形成装置の電源をオフしておく必要がある。しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、画像形成装置の電源がオフされると、マニュアルを画像形成装置のディスプレイに表示することができないので、ディスプレイに表示されたマニュアルを見ながらメンテナンス作業をすることができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、活線挿抜による部品の損傷・破壊などを回避しつつ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、メンテナンスが必要なユニットまたは部品を有する周辺機器を制御するエンジン制御基板と、表示部を制御して前記周辺機器が有するユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを前記表示部に表示する表示制御手段を備えたシステム制御基板と、各基板への電源供給の導通/遮断を実行する電源供給部と、前記周辺機器のメンテナンスを行うメンテナンスモードへ移行する場合、前記電源供給部を制御して、前記エンジン制御基板への電源供給を遮断する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記制御手段は、さらに、待機状態において省電力化を図る省エネルギーモードに移行する場合、前記電源供給部を制御して、前記エンジン制御基板への電源供給を遮断することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明において、前記画像形成装置を操作する操作部をさらに備え、前記制御手段は、さらに、前記操作部に対して特定の操作が行われた場合に、前記メンテナンスモードに移行することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれか一にかかる発明において、前記システム制御基板は、さらに、前記周辺機器の状態を示す周辺機器情報を記憶する第1不揮発性メモリを備え、前記表示制御手段は、前記第1不揮発性メモリに記憶された前記周辺機器情報を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを前記表示部に表示することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる発明において、前記制御手段は、さらに、前記周辺機器が有するユニットまたは部品がメンテナンスされた場合、前記第1不揮発性メモリに記憶された当該周辺機器の前記周辺機器情報を更新することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる発明において、前記エンジン制御基板は、さらに、前記周辺機器情報のうち前記周辺機器が有するユニットまたは部品の部品使用履歴を記憶する第2不揮発性メモリを備え、前記表示制御手段は、前記第2不揮発性メモリに記憶された前記部品使用履歴を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを前記表示部に表示することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、前記第2不揮発性メモリに記憶された前記部品使用履歴を更新する更新手段をさらに備え、前記第1不揮発性メモリは、さらに、メンテナンスされたユニットまたは部品のメンテナンス情報を記憶し、前記更新手段は、前記メンテナンスモードの終了後、前記エンジン制御基板への電源供給が導通された際に、前記第1不揮発性メモリに記憶された前記メンテナンス情報を参照して、前記第2不揮発性メモリに記憶された前記部品使用履歴を更新することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8にかかる発明は、請求項1から7のいずれか一にかかる発明において、前記メンテナンスマニュアルのマニュアルデータを記憶する外部記憶媒体をさらに備え、前記制御手段は、前記外部記憶媒体に記憶された前記マニュアルデータが示す前記メンテナンスマニュアルを前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メンテナンスモードに移行する場合、メンテナンスが必要なユニットまたは部品を有する周辺機器を制御するエンジン制御基板への電源供給を遮断することにより、メンテナンス作業が行われる際に、表示部にメンテナンスマニュアルを表示することができるので、活線挿抜による部品の損傷・破壊などを回避しつつ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態では、本発明の画像形成装置をデジタルカラー複写機に適用した例を示す。但し、デジタルカラー複写機に限られず、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ機能やコピー、ファックス、プリンタなどの画像処理を行うものであれば、本発明を適用することができる。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機の概略構成を示す図である。本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1は、給紙部2、原稿搬送部3、原稿読み取り部23、および画像形成部20を備えて構成される。
【0019】
原稿搬送部3は、原稿台32に画像面を上にして置かれた原稿は、図示しない操作部上のスタートキーが押下されると、コンタクトガラス31上の所定の位置に給送される。コンタクトガラス105上の原稿は、原稿読み取り部23によって画像情報が読み取られた後に、排紙台33上に排出される。
【0020】
画像形成部20には、中間転写ベルト25が設けられており、その周りには4個の感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kが並べて配置されている。各感光体ドラムの周りには、各感光体ドラム表面を帯電処理する各帯電装置62と、各感光体ドラム表面に形成された静電潜像を各色のトナーで可視像化する各現像装置63と、その各感光体ドラム上のトナー像(可視像)を中間転写ベルト25上に転写した後に感光体ドラム上に残ったトナーを回収する各クリーニング装置64をそれぞれ設けている。この画像形成部20の上部には、感光体ドラム表面上に静電潜像を形成する露光部を備えた露光装置7が設けられている。
【0021】
各給紙トレイ22は、それぞれ選択されたときに、給紙装置4により積載された転写紙Pを給紙する。給紙部2から搬送された転写紙Pは、レジストローラ部52にていったん停止し、感光体ドラム上の画像と同期をとって再給紙され、転写ローラ部51にて中間転写ベルト25上のトナー像が転写紙Pに転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着装置28にて定着処理され、最後に排紙収納部24に排出される。
【0022】
ここで、本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1において、給紙部2、原稿搬送部3、または画像形成部20において異常が発生した場合の処理について簡単に説明する。
【0023】
まず、給紙部2において異常が発生した場合の処理について説明する。給紙部2は、給紙部2から搬送される転写紙Pの「転写紙ジャム」を検知する。そして、デジタルカラー複写機1は、給紙部2から搬送された転写紙Pが途中で紙詰まりを起こした場合または給紙部2から搬送できなかった場合、「転写紙ジャム」として検知し、プリント動作を中断する。そして、デジタルカラー複写機1は、「転写紙ジャム」を引き起こした原因を分類し、「転写紙ジャム」の原因毎に「転写紙ジャム」発生履歴を残すものとする。
【0024】
次に、原稿搬送部3において異常が発生した場合の処理について説明する。原稿搬送部3では、給紙部2と同様に、原稿台32から排紙台33上に排出されるまでの間に発生する「原稿ジャム」を検知する。そして、デジタルカラー複写機1は、原稿搬送部3内でジャムが検知された場合、「原稿ジャム」として検知し、スキャン動作を中断する。そして、デジタルカラー複写機1は、「原稿ジャム」を引き起こした原因を分類し、「原稿ジャム」の原因毎に「原稿ジャム」発生履歴を残すものとする。
【0025】
なお、特定の原因の「転写紙ジャム」または「原稿ジャム」が多発する場合、サービスマンは、その原因に関わるユニットまたは部品(給紙コロ、ローラー、ソレノイド、センサ)の「転写紙ジャム」発生履歴または「原稿ジャム」発生履歴をチェックし、必要に応じてユニットまたは部品のメンテナンス作業(交換、整備等)を行わなければならない。
【0026】
次に、画像形成部20において異常が発生した場合の処理について説明する。画像形成部20は、モータのロック、高圧出力の異常、各種センサから取得した値の異常を検知する。そして、デジタルカラー複写機1は、異常が発生した際、サービスマンコール警告を図示しない操作パネルの画面上に表示し、プリント動作を中断する。そして、デジタルカラー複写機1は、異常を引き起こした原因を分類し、原因毎に異常発生履歴を残すものとする。
【0027】
また、定着装置28は、サーミスタの断線検知や温度制御異常を検知する。そして、デジタルカラー複写機1は、異常が発生した際、サービスマンコール警告を図示しない操作パネルの画面上に表示し、プリント動作を中断する。そして、デジタルカラー複写機1は、異常を引き起こした原因を分類し、原因毎に異常発生履歴を残すものとする。なお、定着装置28において異常が発生した場合には、サービスマンしかプリント動作の中断を解除することができないものとする。よって、ユーザが、デジタルカラー複写機1の電源のオン/オフを繰り返しても、正常状態に復帰することができないものとする。
【0028】
サービスマンは、画像形成部20または定着装置28が有するユニットまたは部品において発生した異常発生履歴を参照してメンテナンス作業を行う。
【0029】
また、ユニットまたは部品がその部品寿命を超えることによって発生する異常は、各ユニットまたは部品の部品使用履歴を記録しておくことによって回避する。具体的には、給紙部2、原稿搬送部3、画像形成部20等の各周辺機器が有するユニットや部品の部品寿命(例えば、プリント枚数、作像回数、動作時間、駆動距離など)を予め設定する。そして、各ユニットまたは部品の使用履歴(例えば、プリント枚数のカウンタなど)が、部品寿命を超えた場合には、デジタルカラー複写機1を動作不可にする。若しくは、各ユニットまたは部品のメンテナンス作業を促す警告メッセージを図示しない操作パネル上に表示する。サービスマンは、デジタルカラー複写機1が動作不可または図示しない操作パネルに警告メッセージが表示されると、各ユニットまたは部品の部品使用履歴を参照してメンテナンス作業を行う。
【0030】
なお、警告メッセージは、デジタルカラー複写機1がプリンタ機能を有している場合、ホストPCの画面上に表示することも可能である。ユーザは、警告メッセージが表示された場合、サービスステーションに連絡してサービスマンによるユニットまたは部品のメンテナンスを依頼する。サービスマンは、該当するユニットまたは部品をデジタルカラー複写機1から取り外す。そして、サービスマンは、新たなユニットまたは部品が用意されている場合、当該新しいユニットまたは部品をデジタルカラー複写機1に取り付ける。なお、同じユニットの中に部品寿命が異なる部品が存在している場合には、部品寿命が短い部品に合わせてユニットの部品寿命を決定するものとする。
【0031】
本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1は、上述した給紙部2、原稿搬送部3、画像形成部20等、メンテナンスが必要なユニットまたは部品を有する周辺機器をメンテナンスするメンテナンスモードを有する。そして、デジタルカラー複写機1は、メンテナンスモードに移行した場合、周辺機器を制御するエンジン制御基板への電源供給を遮断する。これにより、周辺機器が有するユニットまたは部品のメンテナンス作業の作業性の向上および当該ユニットまたは部品を脱着する際の安全性の向上を図るものである。
【0032】
以下、メンテナンスモード、または待機状態において省電力化を図る省エネルギーモードに移行する場合におけるデジタルカラー複写機1の特長的な処理を実現する構成および処理手順について詳細に説明する。
【0033】
図2、本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機のエレキシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1のエレキシステム構成は、大別すると、システム制御基板201、エンジン制御基板202、および電源供給ユニット(本発明にかかる電源供給部)203を備えて構成される。なお、システム制御基板201とエンジン制御基板202とは、PCIバス222を介して接続されている。
【0034】
電源供給ユニット203は、システム制御基板201とエンジン制御基板202とが独立しているため、各基板への電源供給の導通/遮断を実行する。
【0035】
エンジン制御基板202は、周辺機器を制御する。本実施の形態では、原稿搬送部3や原稿読み取り部23等からなるスキャナ機構、画像形成部20等からなるプリント機構、および画像処理機構を制御する。
【0036】
ここで、エンジン制御基板202の具体的な構成について説明する。エンジン制御基板202は、エンジンメイン制御部204、CCD制御部205、画像処理部206、およびLD制御部207を備えて構成される。
【0037】
CCD制御部205は、エンジンメイン制御部204の命令を受け、原稿読み取り部23が有するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサにより原稿のイメージを画像データに変換する処理を制御する。本実施の形態にかかるCCD制御部205は、原稿読み取り用のハードウェア要素を有する画像読み取り用途向けのIC(Integrated Circuit)であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)208を備え、ASIC208によりCCDイメージセンサを制御する。
【0038】
画像処理部206は、CCD制御部205によって変換された画像データに対して、エンジンメイン制御部204の命令を受け、γ補正やMTF補正処理等を施した後、スライス処理やディザ処理のような階調処理を施して2値(または多値)化処理を施す。また、画像処理部206は、ユーザが設定した機能に対応した各種の画像処理(拡大/縮小、濃度/色の調整など)、画像領域編集処理(領域削除、領域移動、領域反転など)やレイアウト加工処理(両面印刷/片面印刷、集約印刷、余白サイズの調整など)などを行う。なお、画像処理部206は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICであるASIC209を備え、ASIC209により上述の処理を実行する。
【0039】
LD制御部207は、エンジンメイン制御部204の命令を受け、露光装置7が備える露光部(LD:Laser Diode)による感光体ドラム表面上への静電潜像の形成を制御する。なお、LD制御部207は、CCD制御部205および画像処理部206と同様、LD制御用のハードウェア要素を有するLD制御用途向けのICであるASIC210を備え、ASIC210により露光部を制御する。
【0040】
エンジンメイン制御部204は、エンジン制御基板202が備える各部、およびセンサ、ファン、ペルチェ、アクチュエータなどの周辺機器の制御を行うものである。本実施の形態にかかるエンジンメイン制御部204は、CPU(Central Processing Unit)212と、ROM(Read Only Memory)213と、RAM(Random Access Memory)214と、ASIC211と、NV−RAM(Non Volatile RAM)224と、を有している。
【0041】
ASIC211は、エンジン制御用のハードウェア要素を有するエンジン制御用途向けのICであり、原稿読み取り部(スキャナ)23、画像形成部(プロッタ)20、給紙部2、原稿搬送部3等の周辺機器の動作を制御する。
【0042】
CPU212は、エンジンメイン制御部204の主要部であって各部を集中的に制御する。このCPU212には、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM213と、各種データを書換え可能に記憶するRAM214と、電源を切っても記憶内容を保持することができるNV−RAM223と、が図示しないバスで接続されている。
【0043】
RAM214は、各種データを書換え可能に記憶する性質を有していることから、CPU212の作業エリアとして機能してバッファ等の役割を果たす。
【0044】
ROM213は、この発明の記憶媒体を実施するものであり、OS(Operating System)や各種のプログラムが記憶されている。
【0045】
NV−RAM223は、各種のプログラムやデータを格納する記憶媒体を実施する半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である。
【0046】
なお、記憶媒体としては、ROM213のみならず、CD−ROM、DVDなどの各種光ディスク、各種光磁気ディスク、フレキシブルディスクなどの各種磁気ディスク等、半導体メモリ等の各種方式のメディアを用いることができる。また、図示しないネットワークI/Fを介してインターネットなどのネットワークからプログラムをダウンロードし、NV−RAM223にインストールするようにしてもよい。この場合に、送信側のサーバでプログラムを記憶している記憶装置も、この発明の記憶媒体である。なお、プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよいし、その場合に後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれるものであってもよい。
【0047】
このエンジンメイン制御部204全体を制御するCPU212は、この基板の主記憶装置として使用されるROM213に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0048】
次に、エンジンメイン制御部204のROM213に記憶されている各種のプログラムがCPU212に実行させる機能のうち、デジタルカラー複写機1がメンテナンスモードまたは省エネルギーモードに移行する場合におけるエンジンメイン制御部204が備える特長的な機能について説明する。
【0049】
図3は、エンジンメイン制御部2の機能構成を示すブロック図である。図4は、省エネルギーモードに移行する場合にエンジンメイン制御部において実行される処理の手順を示すフローチャートである。図5は、メンテナンスモードに移行する場合にエンジンメイン制御部において実行される処理の手順を示すフローチャートである。図3に示すように、エンジンメイン制御部204は、ROM213に記憶されたプログラムに従うことにより、受信部301、オン/オフ制御部302、および通知部303を実現する。
【0050】
受信部301は、デジタルカラー複写機1がメンテナンスモードまたは省エネルギーモードに移行する場合、システム制御基板201から省エネルギーモードへの移行要求(以下、省エネルギーモード移行要求とする)を受信する(ステップS401、ステップS501)。本実施の形態では、PCIバス222を介してシステム制御基板201から送信された省エネルギーモード移行要求を受信する。
【0051】
オン/オフ制御部302は、受信部301によりシステム制御基板201から送信された省エネルギーモード移行要求を受信すると、周辺機器の電源をオフする(ステップS401〜ステップS404、ステップS502〜ステップS504)。本実施の形態では、エンジンメイン制御部204に接続されている図示しない各種アクチュエータ、定着装置28が有する図示しない定着ヒータやパワーリレーなどの電源をオフして、エンジンメイン制御部204の電源供給が遮断されても良い状態にする。
【0052】
通知部303は、オン/オフ制御部302によって周辺機器の電源がオフされると、システム制御基板202に対して省エネルギーモードへの移行が完了したことを通知(以下、省エネルギーモード移行完了通知とする)する(ステップS405、ステップS505)。本実施の形態では、PCバス222を介してシステム制御基板201に対して省エネルギーモード移行完了通知を送信する。
【0053】
以上の構成および処理により、エンジンメイン制御部204は、メンテナンスモードまたは省エネルギーモードへの移行を実行する。本実施の形態によれば、メンテナンスモードに移行する場合に実行される処理と、省エネルギーモードに移行する場合に実行される処理と、が全く同じであるため、上述の構成および処理を実現するプログラムを1つROM213が記憶していればよい。つまり、エンジンメイン制御部204は、省エネルギーモードにかかるプログラムをROM213が記憶していれば、新たなプログラムにより制御を追加することなく、メンテナンスモードにかかる制御を実現することができる。
【0054】
システム制御基板201は、図示しない操作パネル(本発明にかかる表示部)を制御して周辺機器が有するユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを操作パネルに表示する操作パネル制御部216(本発明にかかる表示制御手段)を備える。また、本実施の形態にかかるシステム制御基板201は、デジタルカラー複写機1全体の動作を制御するコントローラ201を備えている。
【0055】
コントローラ215は、ASIC217、CPU218、ROM219、RAM220、およびNV−RAM221を備えて構成される。
【0056】
ASIC217は、システム制御用のハードウェア要素を有するシステム制御用途向けのICであり、デジタルカラー複写機1全体の動作を制御する。
【0057】
CPU218は、コントローラ215の主要部であって各部を集中的に制御する。このCPU218には、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM219と、各種データを書換え可能に記憶するRAM220と、電源を切っても記憶内容を保持することができるNV−RAM221と、が図示しないバスで接続されている。
【0058】
RAM220は、各種データを書換え可能に記憶する性質を有していることから、CPU218の作業エリアとして機能してバッファ等の役割を果たす。
【0059】
ROM219は、この発明の記憶媒体を実施するものであり、OSや各種のプログラムが記憶されている。
【0060】
NV−RAM221は、各種のプログラムやデータを格納する記憶媒体を実施する半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である。
【0061】
なお、記憶媒体としては、ROM219のみならず、CD−ROM、DVDなどの各種光ディスク、各種光磁気ディスク、フレキシブルディスクなどの各種磁気ディスク等、半導体メモリ等の各種方式のメディアを用いることができる。また、デジタルカラー複写機1がカードスロットを有している場合には、カードメディア等を記憶媒体として用いることができる。また、図示しないネットワークI/Fを介してインターネットなどのネットワークからプログラムをダウンロードし、NV−RAM221にインストールするようにしてもよい。この場合に、送信側のサーバでプログラムを記憶している記憶装置も、この発明の記憶媒体である。なお、プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよいし、その場合に後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれるものであってもよい。
【0062】
このコントローラ215を制御するCPU218は、この基板の主記憶装置として使用されるROM219に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0063】
次に、コントローラ215のROM219に記憶されている各種のプログラムがCPU218に実行させる機能のうち、デジタルカラー複写機1がメンテナンスモードまたは省エネルギーモードに移行する場合における本実施の形態にかかるコントローラ218が備える特長的な機能について説明する。
【0064】
図6は、省エネルギーモードに移行する場合にコントローラにおいて実行される処理の手順を示すフローチャートである。図7は、メンテナンスモードに移行する場合にコントローラにおいて実行される処理の手順を示すフローチャートである。コントローラ215は、ROM219に記憶されたプログラムに従うことにより、制御部を実現する。
【0065】
制御部は、デジタルカラー複写機1がメンテナンスモードに移行する場合、電源供給ユニット203を制御して、エンジン制御基板202への電源供給を遮断する。なお、デジタルカラー複写機1がメンテナンスモードに移行する場合、制御部は、電源供給ユニット203からシステム制御基板201への電源供給は維持するものとする。また、制御部は、デジタルカラー複写機1が省エネルギーモードに移行する場合、メンテナンスモードに移行する場合と同様にして、電源供給ユニット203を制御して、エンジン制御基板202への電源供給を遮断する。
【0066】
以下、メンテナンスモードまたは省エネルギーモードに移行する場合における制御部600が有する各部の具体的な処理について説明する。
【0067】
制御部は、デジタルカラー複写機1が省エネルギーモード(またはメンテナンスモード)に移行するか否かを判定する(ステップS601、ステップS701)。本実施の形態では、図示しない操作パネルが有する専用キーがユーザにより押下されたか否かを監視することにより、省エネルギーモードに移行するか否かを判定する。また、本実施の形態では、デジタルカラー複写機1を操作する図示しない操作パネル(本発明にかかる操作部)に対して特定の操作が行われた場合に、メンテナンスモードに移行する。例えば、図示しない操作パネルが有するある2つのキーを同時に3秒以上押し続けた場合にメンテナンスモードに移行することも可能である。つまり、メンテナンスモードは、サービスマンしか移行させることができないようにする必要がある。そのため、省エネルギーモードに移行する場合のように専用キーを設けずに、メンテナンスモードに移行する必要がある。
【0068】
次に、制御部は、省エネルギーモードに移行する場合、エンジン制御基板202、図示しない各種アプリケーション、および操作パネル制御部216に省エネルギーモード移行要求を送信する(ステップS602)。本実施の形態では、PCIバス222を介してエンジン制御基板202に省エネルギーモード移行要求を送信する。また、本実施の形態では、操作パネル制御部216に対して省エネルギーモード移行要求を送信することにより、図示しない操作パネルの電源をオフする。
【0069】
一方、制御部は、メンテナンスモードに移行する場合、エンジン制御基板202だけに省エネルギーモード移行要求を送信する(ステップS702)。本実施の形態では、PCIバス222を介してエンジン制御基板202だけに省エネルギーモード移行要求を送信する。そして、制御部は、送信した省エネルギーモード移行要求に対する各部からの省エネルギーモード移行完了通知の受信を待つ(ステップS603、ステップS703)。
【0070】
次に、制御部は、省エネルギーモード移行要求の全ての送信先から省エネルギーモード移行完了通知を受信するまで待機する(ステップS603:No、ステップS703:No)。本実施の形態では、省エネルギーモードに移行する場合、省エネルギーモード移行要求を送信した全ての相手(エンジン制御基板202、図示しない各種アプリケーション、操作パネル制御部216)から省エネルギーモード移行完了通知を受信する(ステップS603:Yes)。一方、制御部は、メンテナンスモードに移行する場合、省エネルギーモード移行要求を送信したエンジン制御基板202から省エネルギーモード移行完了通知を受信する(ステップS703:Yes)。
【0071】
制御部は、省エネルギーモード移行完了通知を受信すると、電源供給ユニット203からエンジン制御基板202への電源供給を遮断する。省エネルギーモードに移行する場合、制御部は、全ての相手から省エネルギーモード移行完了通知を受信した後、電源供給ユニット203にエンジン制御基板202への電源供給の遮断を指示する(ステップS604)。一方、メンテナンスモードに移行する場合、制御部は、エンジン制御基板202から省エネルギーモード移行完了通知を受信した後、電源供給ユニット203にエンジン制御基板202への電源供給の遮断を指示する(ステップS704)。
【0072】
以上の処理により、コントローラ215は、メンテナンスモードに移行した場合、電源供給ユニット203からエンジン制御基板202への電源供給を遮断する。
【0073】
操作パネル制御部216は、コントローラ215から送信された省エネルギーモード移行要求に応じて、図示しない操作パネルをオフする。また、操作パネル制御部216は、操作パネルへのメンテナンスマニュアルの表示処理を制御する。本実施の形態では、NV−RAM221に予め記憶されたマニュアルのデータを参照して、操作パネルへのメンテナンスマニュアルの表示処理を行うものとする。
【0074】
なお、メンテナンスマニュアルには、「どこにどのような部品があるか」などの図面が掲載されていることが多い。よって、コントローラ215内部のNV−RAM221だけではマニュアルデータの記憶容量が足りない場合がある。その場合には、デジタルカラー複写機1が有する図示しないカードスロットに接続されたデータカードからマニュアルデータを取得し、取得したマニュアルデータを参照して操作パネルへのメンテナンスマニュアルの表示処理を行ってもよい。これにより、NV−RAM221にマニュアルデータを記憶しておく必要がなくなるので、マニュアルデータとして操作パネル表示部216が利用できる容量の制限が緩和され、かつマニュアルデータの更新が容易になる。
【0075】
また、マニュアルデータを記憶する記憶媒体は、データカードに限定するものではない。例えば、コントローラ215が光学ディスクドライブを接続可能な外部I/F(例えば、USB、IEEE1394など)を有している場合には、光ディスクドライブによりマニュアルデータが格納された光ディスク(例えば、CD、DVD)を読み取ることによりマニュアルデータを取得してもよい。なお、光ディスクの容量は、マニュアルデータの容量に応じて選択するものとする。これにより、NV−RAM221にマニュアルデータを記憶しておく必要がなくなるので、マニュアルデータとして操作パネル表示部216が利用できる容量の制限が緩和される。
【0076】
また、コントローラ215が外部ハードディスクを接続可能な外部I/Fを有している場合には、外部ハードディスクからマニュアルデータを取得することも可能である。これにより、NV−RAM221にマニュアルデータを記憶しておく必要がなくなるので、マニュアルデータとして操作パネル表示部216が利用できる容量の制限が緩和される。
【0077】
さらに、コントローラ215がインターネット等のネットワークに接続可能なネットワークI/Fを有している場合には、ネットワーク上の外部データベースサーバにアクセスして、当該外部データベースサーバからマニュアルデータを取得してもよい。これにより、NV−RAM221にマニュアルデータを記憶しておく必要がなくなるので、マニュアルデータとして操作パネル表示部216が利用できるデータの容量の制限が緩和され、かつ常に最新のマニュアルデータを取得することができる。
【0078】
このように、本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1によれば、メンテナンスモードに移行する場合、電源供給ユニット203からエンジン制御基板202への電源供給を遮断することにより、メンテナンス作業が行われる場合に、周辺機器を制御するエンジン制御基板への電源供給を遮断し、かつ表示部にメンテナンスマニュアルを表示することができるので、活線挿抜による部品の損傷・破壊などを回避しつつ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0079】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機の機能、構成は、第1の実施の形態とほぼ同一であるため、第1の実施の形態と異なる部分のみを説明する。本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機は、メンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを表示する。これにより、サービスマンが図示しない操作パネルに表示されたメンテナンスマニュアルの目次からメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを検索することなく、メンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルが順次表示されるので、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0080】
操作パネル制御部216は、交換する必要があるユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを図示しない操作パネルに表示する。システム制御基板201は、周辺機器情報をNV−RAM221に記憶する(本発明にかかる第1不揮発性メモリ)。本実施の形態では、NV−RAM221に記憶された周辺機器情報を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを操作パネルに表示する。
【0081】
ここで、周辺機器情報とは、例えば、上述した「転写紙ジャム」発生履歴、「原稿ジャム」発生履歴、異常発生履歴、および部品使用履歴である。本実施の形態では、制御部がNV−RAM221に格納される履歴ごとの変数(カウンタ)を、「転写ジャム」発生、「原稿ジャム」発生、異常発生、ユニットまたは部品使用に同期してカウントアップすることにより、「転写ジャム」発生履歴、「原稿ジャム」発生履歴、異常発生履歴、および部品使用履歴等の周辺機器情報をNV−RAM221において管理する。なお、部品使用履歴は、エンジン制御基板202においてユニットまたは部品が使用される毎にエンジン制御基板202から送信される更新要求に応じて、制御部によりカウントアップされるものとする。これらの履歴はシステム制御基板201において管理されるため、メンテナンスモードに移行した場合であっても、操作パネル制御部216は、周辺機器情報を参照することができる。
【0082】
本実施の形態にかかる操作パネル制御部216は、これらの履歴を参照して、NV−RAM221に格納されたマニュアルデータの中からメンテナンスが必要なユニットまたは部品のマニュアルデータを取得し、取得したマニュアルデータが示すメンテナンスマニュアルを図示しない操作パネルに表示する。なお、NV−RAM221に格納されたマニュアルデータは、周辺機器が有するユニットまたは部品ごとに記憶されているものとする。
【0083】
図8は、メンテナンスマニュアルを表示するまでの処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる操作パネル制御部216は、まず、「転写ジャム」発生履歴および「原稿ジャム」発生履歴があるか否かを判断する(ステップS801)。具体的には、不揮発性メモリ221に格納された「転写ジャム」発生履歴を示す変数および「原稿ジャム」発生履歴を示す変数が1または所定値以上であるか否かにより、当該「転写ジャム」発生履歴および「原稿ジャム」発生履歴がある否かを判断する。
【0084】
次に、操作パネル制御部216は、「転写ジャム」発生履歴または「原稿ジャム」発生履歴があると判断された場合(ステップS801:Yes)、「転写ジャム」または「原稿ジャム」の原因となっているユニットまたは部品を判定する(ステップS802)。本実施の形態では、「転写ジャム」発生履歴および「原稿ジャム」発生履歴を、「原稿ジャム」および「転写ジャム」の原因ごとに管理している。そのため、操作パネル制御部216は、予めNV−RAM221等に格納された「転写ジャム」および「原稿ジャム」の原因と、ユニットまたは部品と、を対応付けるテーブルを用いて、「転写ジャム」および「原稿ジャム」の原因となっているユニットまたは部品を判定する。なお、「転写ジャム」発生履歴および「原稿ジャム」発生履歴がないと判断された場合には(ステップS801:No)、「転写ジャム」および「原稿ジャム」の原因となっているユニットまたは部品の判定は行わない。
【0085】
次に、操作パネル制御部216は、異常発生履歴があるか否かを判断する(ステップS803)。具体的には、不揮発性メモリ221に格納された異常発生履歴を示す変数が1または所定値以上であるか否かにより、当該異常発生履歴があるか否かを判断する。そして、操作パネル制御部216は、異常発生履歴があると判断された場合(ステップS803:Yes)、異常発生の原因となっているユニットまたは部品を判定する(ステップS804)。本実施の形態では、異常発生履歴を原因ごとに管理している。そのため、操作パネル制御部216は、予めNV−RAM221等に格納された異常発生の原因と、ユニットまたは部品と、を対応付けるテーブルを用いて、異常発生の原因となっているユニットまたは部品を判定する。なお、異常発生履歴がないと判断された場合には(ステップS803:No)、異常発生の原因となっているユニットまたは部品の判定は行わない。
【0086】
次に、操作パネル制御部216は、部品使用履歴が部品寿命を超えているか否かにより、部品寿命を超えているものがあるか否かを判断する(ステップS805)。具体的には、不揮発性メモリ221に格納された部品使用履歴を示す変数が部品寿命を超えているか否かを判断する。そして、操作パネル制御部216は、部品寿命を超えているものがあると判断された場合(ステップS805:Yes)、部品寿命を超えている部品を判定する(ステップS806)。本実施の形態では、部品使用履歴を部品ごとに管理しているため、部品使用履歴を示す変数が部品寿命を超えている部品を、部品寿命を超えている部品として判定する。なお、部品寿命を超えているものがないと判定された場合(ステップS805:No)、部品寿命を超えているユニットまたは部品の判定は行わない。
【0087】
次いで、操作パネル制御部216は、以上の処理により「転写ジャム」の原因、「原稿ジャム」の原因、異常発生の原因、または部品寿命に達していると判定された部品があるか否かを判断する(ステップS807)。そして、操作パネル制御部216は、「転写ジャム」の原因、「原稿ジャム」の原因、異常発生の原因、または部品寿命に達していると判定された部品があると判断された場合(ステップS807:Yes)、当該部品のマニュアルデータをNV−RAM221から取得し、取得したマニュアルデータが示すメンテナンスマニュアルを図示しない操作パネルに表示する(ステップS808)。一方、「転写ジャム」の原因、「原稿ジャム」の原因、異常発生の原因、または部品寿命に達していると判定された部品がないと判断された場合には、メンテナンスマニュアルの表示は行わずに終了する。
【0088】
なお、操作パネル制御部216は、複数のユニットまたは部品のマニュアルデータをNV−RAM221から取得した場合、サービスマンによる図示しない操作パネルの操作に応じて操作パネルに順次マニュアルデータが示すメンテナンスマニュアルを表示していくものとする。サービスマンは、操作パネルを操作して、各ユニットまたは部品のメンテナンス作業が終了するごとに操作パネルに表示されたメンテナンスマニュアルを切り替えるものとする。ただし、次のメンテナンスマニュアルに進むか否か、または一部のメンテナンスマニュアルをスキップするか否かの判断は、サービスマンが選択することができる。
【0089】
なお、制御部は、周辺機器が有するユニットまたは部品がメンテナンスされた場合、NV−RAM221に記憶された当該周辺機器の周辺機器情報を更新する。本実施の形態では、NV−RAM221に格納されたメンテナンスされたユニットまたは部品に対応する「転写ジャム」発生履歴、「原稿ジャム」発生履歴、異常発生履歴、および部品使用履歴の変数を0に戻す。
【0090】
なお、ユニットまたは部品のメンテナンスが行われたか否かは、サービスマンによって図示しない操作パネルからメンテナンスしたユニットまたは部品ごとに入力されるものとする。コントローラ215は、サービスマンによって入力されたユニットまたは部品が関わる全ての履歴の変数を0に戻すものとする。
【0091】
例えば、給紙部2から転写紙Pができないことによる「転写紙ジャム」が多発したことにより、該当給紙部2が有する給紙トレイ22の給紙コロ・ローラなどの交換を行った場合、制御部は、給紙トレイ22の「転写紙ジャム」発生履歴を自動的に0にする。
【0092】
もう1つの例として、ブラックの感光体26Kの部品使用履歴が部品寿命を超えていたことにより、該当部品の交換を行った場合、制御部は、感光体26Kの部品使用履歴を0にする。また、部品単品ではなくPCU(感光体ユニット)を交換した場合、制御部は、そのユニットの部品使用履歴、およびそのユニットに含まれる全ての部品の部品使用履歴を0にする。これにより、サービスマンが履歴を更新する必要がないため、履歴の更新し忘れを防止することができる。
【0093】
このように、本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1によれば、メンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを表示することにより、サービスマンが図示しない操作パネルに表示されたメンテナンスマニュアルの目次からメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを検索することなく、メンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルが順次表示されるので、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0094】
また、メンテナンスマニュアルを表示する際に参照する周辺機器情報をシステム制御基板201のNV−RAM221に記憶しておくことにより、エンジン制御基板202への電源供給が遮断されても、操作パネル制御部216は、システム制御基板201のNV−RAM221から周辺機器情報を取得することができるので、メンテナンスモードに移行しても、周辺機器情報にアクセスすることができる。
【0095】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機の機能、構成は、第2の実施の形態とほぼ同一であるため、第2の実施の形態と異なる部分のみを説明する。本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1は、周辺機器情報のうち周辺機器が有するユニットまたは部品の部品使用履歴をエンジン制御基板202の不揮発性メモリ223に記憶し、操作パネル制御部216は不揮発性メモリ223に記憶された部品使用履歴を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを図示しない操作パネルに表示する。
【0096】
図9は、エンジンメイン制御部の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかるエンジンメイン制御部901は、ROM213に記憶されたプログラムに従うことにより、図3に示す構成に加えて、更新部902を実現する。
【0097】
なお、本実施の形態にかかるNV−RAM223(本発明にかかる第2不揮発性メモリ)は、部品使用履歴を記憶する。
【0098】
更新部902は、NV−RAM223に格納される部品使用履歴の変数(カウンタ)を、ユニットまたは部品使用に同期してカウントアップすることにより、部品使用履歴を管理するものとする。なお、NV−RAM223に記憶される部品使用履歴は、メンテナンスモードに移行する場合に、通知部303によってシステム制御基板201に通知される。
【0099】
操作パネル制御部216は、NV−RAM223に記憶された部品使用履歴を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを図示しない操作パネルに表示する。本実施の形態では、メンテナンスモードに移行する際に、エンジン制御基板202から送信された部品使用履歴を一旦NV−RAM221に格納し、格納された当該部品使用履歴を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを操作パネルに表示する。
【0100】
つまり、「転写ジャム」発生履歴、「原稿ジャム」発生履歴、および異常発生履歴は、それらが発生した場合にのみ更新すれば良いが、部品使用履歴は、該当するユニットまたは部品が使用された際に更新する必要がある。第2の実施の形態のように、部品使用履歴をコントローラ制御基板201上のNV−RAMメモリ221に記憶した場合、上述したように、ユニットまたは部品が使用される度にエンジン制御基板202からシステム制御基板201に更新要求が送信されることになる。特に、コピースピードが速い機械ほどメンテナンスが必要なユニットまたは部品が多くなる傾向にある。よって、それらのユニットまたは部品の部品使用履歴を更新するために更新要求が頻繁に送信されると、システム制御基板201において実行される処理の負荷が増大し、そのパフォーマンスに影響を与えることも考えられる。
【0101】
そのため、本実施の形態では、部品使用履歴をエンジン制御基板202上のNV−RAM223に格納し、エンジン制御基板202とシステム制御基板201間の通信負荷を低減させる。これにより、メンテナンスモードに移行する場合、操作パネル制御部216によって部品使用履歴が参照される際、エンジン制御基板202とシステム制御基板201間の通信負荷が増大してしまうが、そのような状況では機械が動作を行っているとは考えられず、またパフォーマンスも要求されないため問題は無い。
【0102】
なお、部品使用履歴がエンジン制御基板202のNV−RAM223に記憶されている場合、エンジン制御基板202への電源供給が遮断されているメンテナンスモードにおいては、メンテナンスされたユニットまたは部品の部品使用履歴を更新することができない。
【0103】
そこで、本実施の形態では、制御部がメンテナンスされたユニットまたは部品のメンテナンス情報をNV−RAM221(本発明にかかる第1不揮発性メモリ)に記憶する。ここで、メンテナンス情報とは、メンテナンスされたユニットまたは部品にナンバリングされた番号などの識別情報である。本実施の形態では、メンテナンスモード終了後、エンジン制御基板202への電源供給が導通された際に、制御部がNV−RAM221に記憶されたメンテナンス情報を、PCIバス222を介してエンジン制御基板202に送信する。
【0104】
そして、更新部902が、NV−RAM221に記憶されたメンテナンス情報を参照して、NV−RAM223に記憶された部品使用履歴を更新する。本実施の形態では、PCIバス222を介してシステム制御基板201から受信したメンテナンス情報により特定されるユニットまたは部品の部品使用履歴を0に更新する。
【0105】
このように、本実施の形態にかかるデジタルカラー複写機1によれば、当該デジタルカラー複写機1の動作中に更新が必要な部品使用履歴をエンジン制御基板202側で管理することにより、動作中のエンジン制御基板202とシステム制御基板201間の通信負荷を軽減することができる。また、メンテナンスモード終了後、エンジン制御基板202への電源供給が導通された際に、NV−RAM221に記憶されたメンテナンス情報を参照して、更新部902がNV−RAM223に記憶される部品使用履歴を更新することができるので、部品使用履歴を更新し忘れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1の実施の形態にかかるデジタルカラー複写機の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかるデジタルカラー複写機のエレキシステム構成を示すブロック図である。
【図3】エンジンメイン制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】省エネルギーモードに移行する場合にエンジン制御基板において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】メンテナンスモードに移行する場合にエンジン制御基板において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】省エネルギーモードに移行する場合にコントローラにおいて実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】メンテナンスモードに移行する場合にコントローラにおいて実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】メンテナンスマニュアルを表示するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】エンジンメイン制御部の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0107】
1 デジタルカラー複写機
2 給紙部
3 原稿搬送部
4 給紙装置
7 露光装置
20 画像形成部
22 給紙トレイ
23 原稿読み取り部
24 排紙収納部
25 中間転写ベルト
26Y,26M,26C,26K 感光体ドラム
28 定着装置
31 コンタクトガラス
32 原稿台
33 排紙台
51 転写ローラ部
52 レジストローラ部
62 帯電装置
63 現像装置
64 クリーニング装置
201 システム制御基板
202 エンジン制御基板
203 電源供給ユニット
204 エンジンメイン制御部
205 CCD制御部
206 画像処理部
207 LD制御部
208〜211,217 ASIC
212,218 CPU
213,219 ROM
214,220 RAM
215 コントローラ
216 操作パネル制御部
221,223 NV−RAM
222 PCIバス
301 受信部
302 オン/オフ制御部
303 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンスが必要なユニットまたは部品を有する周辺機器を制御するエンジン制御基板と、
表示部を制御して前記周辺機器が有するユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを前記表示部に表示する表示制御手段を備えたシステム制御基板と、
各基板への電源供給の導通/遮断を実行する電源供給部と、
前記周辺機器のメンテナンスを行うメンテナンスモードへ移行する場合、前記電源供給部を制御して、前記エンジン制御基板への電源供給を遮断する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、さらに、待機状態において省電力化を図る省エネルギーモードに移行する場合、前記電源供給部を制御して、前記エンジン制御基板への電源供給を遮断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置を操作する操作部をさらに備え、
前記制御手段は、さらに、前記操作部に対して特定の操作が行われた場合に、前記メンテナンスモードに移行することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記システム制御基板は、さらに、前記周辺機器の状態を示す周辺機器情報を記憶する第1不揮発性メモリを備え、
前記表示制御手段は、前記第1不揮発性メモリに記憶された前記周辺機器情報を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、さらに、前記周辺機器が有するユニットまたは部品がメンテナンスされた場合、前記第1不揮発性メモリに記憶された当該周辺機器の前記周辺機器情報を更新することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記エンジン制御基板は、さらに、前記周辺機器情報のうち前記周辺機器が有するユニットまたは部品の部品使用履歴を記憶する第2不揮発性メモリを備え、
前記表示制御手段は、前記第2不揮発性メモリに記憶された前記部品使用履歴を参照してメンテナンスが必要なユニットまたは部品のメンテナンスマニュアルを前記表示部に表示することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2不揮発性メモリに記憶された前記部品使用履歴を更新する更新手段をさらに備え、
前記第1不揮発性メモリは、さらに、メンテナンスされたユニットまたは部品のメンテナンス情報を記憶し、
前記更新手段は、前記メンテナンスモードの終了後、前記エンジン制御基板への電源供給が導通された際に、前記第1不揮発性メモリに記憶された前記メンテナンス情報を参照して、前記第2不揮発性メモリに記憶された前記部品使用履歴を更新することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記メンテナンスマニュアルのマニュアルデータを記憶する外部記憶媒体をさらに備え、
前記制御手段は、前記外部記憶媒体に記憶された前記マニュアルデータが示す前記メンテナンスマニュアルを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から7のいずれか一に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−223067(P2009−223067A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68584(P2008−68584)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】