説明

画像形成装置

【課題】割り込み不許可モードが設定された場合でも、送信されたジョブの内容に対応して、そのジョブの割り込みを許可することが可能な複合機を提供する。
【解決手段】所定の送信先から送信されたジョブの割り込みを許可するか、しないかの設定を行う割り込み許可不許可手段502を備えた複合機において、割り込み許可不許可手段502がジョブの割り込みを不許可とした場合、所定の送信先から送信されたジョブの内容を表示した割り込みジョブ内容画面を表示する割り込みジョブ内容表示手段506と、表示されたジョブを割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付ける割り込み許可選択受付手段507とを備えることを特徴とする複合機100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、割り込み不許可モードが設定された場合でも、送信されたジョブの内容に対応して、そのジョブの割り込みを許可することが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の多機能が促進する中で、ネットワーク技術の進展に伴い、ネットワークに接続された装置(例えば、パーソナルコンピューター(PC)等)から所定の画像データが送られて、それを画像形成装置が実行することが多くなって来ている。
【0003】
そのようなネットワーク環境での画像形成装置では、画像形成装置に備えられた操作部から受け付けるジョブはもちろん、接続されたPC等から送信されたジョブが重なって受け付けられることがある。その場合、どのジョブを優先して実行していくかを予め設定しておかなければならない。
【0004】
そのため、最近では、他のユーザがジョブを連続実行中に(例えば、連続複写中)、緊急を要するジョブの割り込みを可能とする割り込み許可モードを予め設定可能な画像形成装置が登場してきている。逆に、ジョブにそれぞれ優先順位を与え、優先順位の高いジョブは優先順位の低いジョブには割り込まれないようにしたり、一切、割り込みジョブを受け付けない割り込み不許可モードというモードも登場してきている。
【0005】
ところが、割り込み許可モードでは、通常のジョブを実行している際に、割り込みジョブが実行されると、自分のジョブがどのジョブか分からなくなるという問題があった。また、割り込み不許可モードでは、ジョブを実行する前に予め設定する必要があり、後から割り込み不許可モードに切り換えるには、一旦ジョブを中断する必要があり、手間が掛かるという問題があった。さらに、割り込み不許可モードにおいて、他のユーザが極めて緊急なジョブを送信してきた場合などでも割り込むことが出来ないため、場合によっては一旦ジョブを停止させなければならないという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、特開平2−235076号公報(特許文献1)には、画像の読取及び記録の少なくとも一方を実行する画像処理機構;上記画像処理機構の動作条件を入力する条件入力手段;割込/予約モード指定手段;上記画像処理機構の動作条件を記憶する、第1組、第2組及び第3組の記憶手段;及び上記画像処理機構の動作を制御するとともに、第1組の記憶手段に記憶された動作条件に従って画像処理機構が動作している時に、上記割込/予約モード指定手段の少なくとも2種類の動作を識別し、割込/予約モード指定手段の第1の動作を検出した時には、上記条件入力手段によって入力される情報を第2組の記憶手段に記憶し、画像処理機構が次に動作を開始する時の動作条件を、第2組の記憶手段の内容に設定し、割込/予約モード指定手段の第2の動作を検出した時には、その時の画像処理機構の動作を中断して第1組の記憶手段の内容を第3組の記憶手段に退避する、制御手段;を備える画像処理装置が開示されている。
【0007】
上記構成により、装置が動作中であっても次の動作のための動作条件を設定することができるとともに、単一の割込/予約モード指定手段によって、予約モードと割込みモードの両方の指定を行うことができるので、予約モードから割込みモードに移る場合に特別なキーを捜す必要がなく操作性が良くなるとしている。
【0008】
また、特開2006−129289号公報(特許文献2)には、通常のジョブを行う通常モードにおいてジョブを割り込むための割り込みモード設定手段と、上記通常モードにおいてジョブの割り込みを許可しない割り込み不許可モード設定手段と、上記割り込み不許可モードにおいて通常モードに戻すための割り込み不許可解除手段とを有し、上記割り込み不許可モードあるいは通常モードの設定はジョブの実行中でも受け付けることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0009】
上記構成により、通常モードでジョブを実行中でもモードを変更することができるので、ジョブを実行してから中断されたくないと思ったとき割り込み不許可モードに変更できるとしている。さらに、割り込み不許可モードで実行されているジョブに対しても、どうしても緊急を要するジョブを割り込ませたい場合は通常モードに変更してからなら割り込みモードが実行できるので、通常の割り込みは可能となり、割り込まれたジョブが中止されたのではないので、割り込まれたジョブを再開させるのは簡単であるとしている。
【特許文献1】特開平2−235076号公報
【特許文献2】特開2006−129289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献2に記載の技術では、ジョブ実行中に画像形成装置に送信されたジョブの内容が分からないため、ほとんどの場合、送信されたジョブを不許可とすることが多いという実態があり、送信先から送られたジョブはほとんど割り込むことが出来ないという問題がある。さらに、緊急を要するジョブであるか、普通のジョブであるかが分からないため、上記実態により、緊急を要するジョブを送信したユーザに対して、当該技術が功を奏さないという問題がある。
【0011】
また、例えば、ユーザが割り込み不許可モードと設定する場合は、通常、自己のジョブについて優先度が高い場合が多く、送信されたジョブをそのまま不許可とすることが多いという問題がある。
【0012】
また、割り込みジョブは、通常、誰が送信したのか等、相手が分からないということも、不許可とする原因の一つでもある。
【0013】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、割り込み不許可モードが設定された場合でも、送信されたジョブの内容に対応して、そのジョブの割り込みを許可することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、所定の送信先から送信されたジョブの割り込みを許可するか、許可しないかの制御を行う割り込み許可不許可手段を備えた画像形成装置において、割り込み許可不許可手段がジョブの割り込みを不許可とした場合、所定の送信先から送信されたジョブの内容を表示した割り込みジョブ内容画面を表示する割り込みジョブ内容表示手段と、表示されたジョブを割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付ける割り込み許可選択受付手段とを備える。
【0015】
ジョブとは、例えば、操作部から入力されたコピー設定条件、ファクシミリ設定条件、スキャナ設定条件等に対応する作業、画像形成装置に接続された他の装置から送信されたコピー設定条件、画像データ等に対応する作業をいう。
【0016】
所定の送信先とは、ネットワークを介して画像形成装置に接続された他の装置(例えば、パーソナルコンピューター等)をいう。なお、所定の送信先は、その送信先に予め与えられた識別情報(例えば、IPアドレス)等によって特定することが可能である。
【0017】
ジョブの割り込みとは、受け付けた従前のジョブを実行している間に、画像形成装置が従前のジョブとは異なる条件を有するジョブを新たに受け付けることをいう。ジョブの割り込みが許可された場合、画像形成装置が、実行中のジョブを直ちに停止して、停止したジョブの設定条件やどこで中断したかなどの情報を所定の記憶手段に一時退避させ、割り込まれたジョブを優先的に実行することとなる。
【0018】
ジョブの割り込みを不許可とする方法は、例えば、割り込み不許可モードを設定した場合において、画像形成装置が割り込みジョブを受け付けると、現時点で実行中のジョブが終了するまで、受け付けた割り込みジョブの設定条件等を所定の記憶手段に一時退避させる。実行中のジョブが終了すると、一時退避させたジョブを実行する。実行中のジョブが終了する時点は、例えば、コピーサービスであれば、画像形成されたシートが排出された時点、ファクシミリサービスであれば、読み取った画像データが所定の送信先に送信された時点等をいう。
【0019】
ジョブの内容とは、ジョブの設定条件、機能の種類、枚数、ジョブを送信した送信先、送信者名、送信者の役職、割り込みジョブを行った理由等のジョブに関連する情報をいう。また、割り込みジョブを行った理由とは、例えば、緊急に会議がある事、緊急に出張がある事、緊急に打合せがある事等をいう。もちろん、緊急でなくても構わない。また、ジョブの内容は、割り込みジョブを行うユーザが送信先にて入力しても構わないし、予め所定のチェック項目を用意して、ユーザがいずれかのチェック項目をチェックすることにより受け付けても構わない。
【0020】
割り込みジョブ内容画面は、操作部のタッチパネル上に予め表示されている初期画面等とは異なる画面であり、割り込みジョブを受け付けた際に、表示された画面のうち、最前面に表示される。
【0021】
ジョブを割り込ませるか否かの選択を受け付ける方法は、例えば、操作部に備えられた所定の操作キーのうち、割り込み許可キーまたは割り込み不許可キーを備えて、そのキーの押下によって受け付ける方法、操作部に備えられたタッチパネルに当該選択に関連する項目やソフトキーや画面を表示させて、その項目等の押下によって受け付ける方法、タッチパネル近傍に入力可能なタッチペンを用意し、そのタッチペンの接触によって当該項目等の押下を受け付ける方法等が挙げられる。上記選択を受け付ける際に、例えば、所定の選択項目をポップアップで表示させても構わない。
【0022】
さらに、割り込み許可選択受付手段が、割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付けると、受け付けたその選択を送信先に通知する割り込み選択通知手段を備えるよう構成しても構わない。
【0023】
受け付けた選択を送信先に通知する場合、その内容は、例えば、ジョブを割り込ませる旨の回答、ジョブを割り込ませない旨の回答等である。さらに、画像形成装置に所定のキーボードキー乃至手書き情報受付画面等を表示させて、所定のメッセージをユーザから受け付けて、上記選択された内容とともにそのメッセージを送信先に通知するよう構成しても構わない。上記メッセージは、例えば、実行中のジョブは緊急の会議のための資料である事、緊急の出張のための資料である事、緊急の打合せのための資料である事等である。もちろん、緊急でなくても構わない。また、実行中のジョブを監視している、言い換えると画像形成装置の前で操作を行なっているユーザの氏名や役職等も通知するよう構成しても構わない。
【0024】
さらに、割り込み許可選択受付手段がジョブを割り込ませない旨の選択をユーザから受け付けた場合、そのジョブをジョブ記憶手段に一時記憶し、現時点行っているジョブの終了後に、一時記憶したジョブを実行するジョブ蓄積実行手段を備えるよう構成しても構わない。
【0025】
現時点行っているジョブの終了時点は、例えば、従前に受け付けた全てのジョブを終了した時点でも、複数のジョブを受け付けているが、現時点行っているジョブを終了した時点でも構わない。後者の場合では、例えば、残りのジョブは、ジョブ記憶手段に一時記憶されるよう構成することができる。
【0026】
ジョブ記憶手段は、予め備えられた記憶媒体を利用しても、外部から接続される記憶媒体を利用しても構わない。記録媒体の形態は、例えば、光学的に記憶を行う媒体(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW)、磁気的に記憶を行なう媒体(フレキシブルディスク)、フラッシュメモリやRAMのような半導体メモリ、またはこれに関連する記憶媒体等を採用することが出来る。なお、上記ジョブ記録手段は、通常のジョブを実行している際に使用している記録媒体を併用することによって実現しても構わないし、送信される画像データの容量等に合わせて、専用の記録媒体を使用することによって実現しても構わない。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像形成装置によれば、割り込み許可不許可手段がジョブの割り込みを不許可とした場合、所定の送信先から送信されたジョブの内容を表示した割り込みジョブ内容画面を表示する割り込みジョブ内容表示手段と、表示されたジョブを割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付ける割り込み許可選択受付手段とを備えるよう構成している。
【0028】
これにより、割り込み不許可の設定を行ったユーザでも、割り込みジョブの内容の如何によって、そのジョブを割り込ませるか否かの選択を行うことが可能となる。そのため、割り込み不許可の設定であるからといって、一概にジョブの割り込みが不許可となることなく、ユーザはその内容に応じて臨機応変に割り込みジョブを実行させることが可能となる。また、割り込みジョブを送信したユーザにとっても、ジョブを割り込ませる機会が与えられることとなり、両者の利便性を向上させることが可能となる。
【0029】
さらに、割り込み許可選択受付手段が、割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付けると、受け付けたその選択を送信先に通知する割り込み選択通知手段を備えるよう構成することができる。
【0030】
これにより、割り込みジョブを送信したユーザが、そのジョブは割り込み可能であったか否かの結果を知ることができることとなり、その結論に基づいて、次の取るべき行動を迅速に決定することが可能となる。例えば、割り込みジョブが許可されたことを知れば、ユーザはそのジョブを実行する画像形成装置へ出力されるシートを取りに行くこととなるし、割り込みジョブが不許可とされたことを知れば、ユーザは現時点で行われているジョブの終了後にその割り込みジョブを実行させるか、他の画像形成装置へ割り込みジョブを再度送信するよう行動することとなる。すなわち、上記結果の返信によって、上記ユーザは次の行動指針を立てやすくなる。
【0031】
さらに、割り込み許可選択受付手段がジョブを割り込ませない旨の選択をユーザから受け付けた場合、そのジョブをジョブ記憶手段に一時記憶し、現時点行っているジョブの終了後に、一時記憶したジョブを実行するジョブ蓄積実行手段を備えるよう構成することができる。
【0032】
これにより、割り込みジョブが許可されなかった場合でも、現時点行っているジョブが終了すると、その割り込みジョブが実行されるため、割り込みジョブを送信したユーザが、再度割り込みジョブを送信する必要がなく、余計な手間が解消されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0034】
<画像形成装置>
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機、デジタル複写機、プリンタ等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。
【0035】
図1は、複合機の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
【0036】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台103近傍に供えられた操作部200に対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0037】
即ち、図1に示すように、本実施の形態の複合機100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
【0038】
自動原稿給紙装置104は、プラテンカバー102の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー102の内部に備えられたピックアップローラ106や搬送ローラ107A、107B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台105から、本体101に設けられた読取部110にて読み取りが行なわれる読取位置Pを経由して、排紙台109に通じる原稿の搬送路である。
【0039】
自動原稿給紙装置104は、載置台105に載置された原稿1枚ずつをピックアップローラ106で原稿搬送路内108に引き出し、搬送ローラ107A、107B等によって引き出した原稿を、読取位置Pを通過させて排紙台109に排紙する。読取位置Pを通過する時に原稿は読取部110にて読み取られる。
【0040】
上記読取部110は、原稿台103の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正・圧縮などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
【0041】
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0042】
また、読取部110は、自動原稿給紙装置104で搬送される原稿だけでなく、原稿台103に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ112は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
【0043】
撮像素子115は、自動原稿給紙装置104に搬送された原稿のときと同様に、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成する。
【0044】
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、その他複合機100に接続された通信ケーブル201を介して、ネットワーク202から画像形成の指示とともに送信される場合もある。上記ネットワーク202は、公衆電話回線やインターネット、イントラネット等が該当する。
【0045】
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
【0046】
なお、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
【0047】
可視像が印刷される用紙は、手差しシート搬送ローラ136を備えた手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0048】
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。
【0049】
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
【0050】
以上が、画像形成装置100における基本的なコピーサービスの処理である。また、複合機100が他のサービスを提供する場合も、自動原稿給送装置104と読取部110と印刷部120とが駆動して提供する。
【0051】
図3は、複合機100に備えられた操作部200の外観の一例を示す図である。ユーザは、上記操作部200を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力したり、スタートキー等を押下したり、割り込み内容表示画面を確認したり、割り込みジョブを割り込ませるか否かの選択を入力したりする。設定条件、所定の選択の入力、各サービスの実行開始等が行なわれる際に、上記操作部200に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0052】
上記タッチパネル301には、上述した条件を入力する機能と、入力された設定条件や割り込み内容表示画面を表示する機能とが兼ね備えられている。すなわち、タッチパネル301上に表示された画面内の選択項目等を押下することによって、選択項目等に関連付けられた設定条件の入力が行なわれる。また、入力された項目の背景色は、その入力に連動して白色から灰色へ変更されるため、背景色に基づいて、入力された項目等が確認される。また、例えば、キーボードキーが表示されると、そのキーに表示された文字・図形・記号等を押下することによって、割り込みジョブを割り込ませるか否かの選択の内容とともに、所定のメッセージ・コメント等を割り込みジョブの送信先に送信することが可能となる。
【0053】
タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル301下方に設けられたセンサが接触先を検知する。そのため、タッチペン302の接触により、表示された項目、キーボードキーの選択が可能である。また、例えば、手書き情報を受け付ける手書き情報受付画面を表示して、ユーザの手書き情報を受け付ける手書き情報受付手段を設けるよう構成することも可能である。
【0054】
さらに、タッチパネル301近傍には、所定数の操作キー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。なお、上記テンキー304は、部数や倍率を設定する際に具体的な数字の入力に用いられる。
【0055】
次に、図4を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、複合機100における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0056】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、通信インターフェイス405、各駆動部に対応するドライバ406を内部バス407によって接続している。上記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、上記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ406と図示しない操作部200からのデータ、指示を授受し、上記図1乃至図3に示した各駆動部等の動作を制御する。また、上記駆動部以外についても、上記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM402、HDD404等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0057】
さらに、通信インターフェイス405は、通信ケーブル201を介して、ネットワーク202と接続されている。ネットワーク202には、例えば、上記複合機100とは別の画像形成装置である複写機408と、ユーザ端末A409、ユーザ端末B410、ユーザ端末C411とが接続されており、上記CPU401は、通信インターフェイス405を介してネットワーク202に接続されたユーザ端末A409等とデータの授受を行う。
【0058】
<本発明の実施形態>
次に図5乃至図9を参照しながら、割り込み不許可モードが設定された場合でも、本発明の複合機100が、送信されたジョブの内容に対応して、そのジョブの割り込みを許可する手順について説明する。図5は、本発明に係る複合機100の機能ブロック図である。図6は、本発明に係る複合機100の動作を示すためのフローチャートである。
【0059】
まず、ユーザが、原稿Pを原稿台103に載置して、複合機100の電源を投入すると、条件受付手段501が、タッチパネル301上に初期画面(ここでは、図7Aに示すコピー設定画面)を表示する。初期画面には、コピーサービスの設定を行なうための通常の選択項目(用紙選択、濃度選択、倍率選択、モノクロ又はカラー印刷選択等)の他に、割り込み許可不許可手段502が、ジョブの割り込みを許可するか(割り込み許可モードともいう)、許可しないか(割り込み不許可モードともいう)の制御(設定)を行うための画面である割り込み許可不許可設定画面701を表示する。
【0060】
割り込み許可不許可設定画面701は、例えば、図7Aに示すように、初期画面の右側最前面にポップアップ表示され、その割り込み許可不許可設定画面内701には、割り込み不許可設定を行うか否かを示すメッセージ「割り込み不許可設定?」702と、割り込み不許可設定を行う「OK」ボタン703と、割り込み不許可設定を行わない、言い換えると割り込み不許可設定を解除し、割り込み許可設定を行う「解除」ボタン704とが表示される。これにより、ユーザは、コピーサービスの設定条件を入力する前に、割り込み許可モードとするか割り込み不許可モードとするかの選択することが可能となる。なお、例えば、割り込み許可モードとするか割り込み不許可モードとするかの選択をユーザに先に設定させてから、コピーサービスの設定条件を入力させるために、中央最前面に割り込み許可不許可設定画面を表示させて、その割り込み許可不許可設定画面内701の項目等の入力のみを受け付けて、初期画面に表示された項目等の入力を受け付けない(無効化等)よう構成しても構わない。また、デフォルトで、最初から割り込み不許可モードに設定するよう構成していても構わない。
【0061】
ユーザは、割り込み許可不許可設定画面701の「OK」ボタン703を押下すると、割り込み許可不許可手段502が、割り込みを不許可とする旨を受け付けて、複合機100の通信手段503に受信される割り込みジョブを機能提供手段504に送信しないよう制御する。言い換えると、割り込み許可不許可手段502が割り込み不許可モードを設定する(図6:S101)。
【0062】
次に、ユーザが、初期画面を見ながら、コピーサービスに関する設定、例えば、部数「100部」を入力し、スタートキー305を押下すると、条件受付手段501が機能提供手段504に入力された条件を送信し、機能提供手段504が、その条件に従って機能提供を開始する(図6:S102)。
【0063】
入力された設定条件である部数「100部」は、例えば、読み取る原稿枚数「100枚」、両面印刷「50枚」、製本処理、ステープル処理の実行のように、一の設定条件に従って機能の提供を終了する際に非常に時間が掛かる条件である。そのような場合、ユーザは、複合機100の前に立ってその機能の提供が終了するまで、待つことになる。
【0064】
複合機100が機能の提供を行っている間に、その複合機100とネットワーク202を介して接続されているユーザ端末A409において、上述したユーザとは別のユーザである他のユーザが、所定の画像データ(例えば、ユーザ端末A409にて作成された文書、パンフレット、図面等)を複合機100に送信するために、所定のボタン(例えば、プリントアウト実行キー)を押下すると、ユーザ端末A409の割り込み条件表示受付手段505が、ユーザ端末A409のディスプレイ画面に、複合機にコピーサービスに関する設定条件の入力を受け付けるための画面であるジョブ送信画面を表示する。
【0065】
ジョブ送信画面は、図8に示すように、他のユーザが作業を行っている作業用画面801(例えば、所定の文書)の画像データを複合機100に送信することを示すために、ユーザ端末A409のディスプレイ画面802に、その作業用画面801の最前面に表示され、その画面内803には、ジョブを送信する旨を示すメッセージ「ジョブを複合機に送信します。」804と、複合機100に送信するジョブの条件を示す一連の選択項目805(機能の種類「コピー」と、コピーの部数と、用紙の種類「自動用紙」と、濃度の度合「自動濃度」と、印刷の倍率「自動倍率」と、モノクロ又はカラー印刷選択「白黒」等)と、ジョブの送信を実行する「送信」ボタン806と、ジョブの送信を停止する「CANCEL」ボタン807とが表示される。
【0066】
なお、図8に示す一連の選択項目805は、予め選択されている選択項目がボックス内に表示され、そのボックスの右側のボタンをクリックすると、他の選択項目が上下に並べて表示されるリストボックスの方式にて表示されるが、複合機100の初期画面のように、全ての選択項目を予め選択可能に表示させても、複数の選択項目を所定のグループに分割し、そのグループ毎に選択項目を表示させるよう構成しても構わない。
【0067】
そこで、他のユーザは、ジョブ送信画面803を見ながら、ポインティングデバイスであるカーソル808やユーザ端末A409に付属のキーボード等を用いて、コピー部数「3」と、コピーサービスに関する所定の条件を入力し、「送信」ボタン806を押下すると、割り込み条件受付手段505が、入力されたジョブの条件を、複合機100の通信手段506を介して、割り込み許可不許可手段502に送信する。
【0068】
現時点では、複合機100が先ほど入力された条件にて機能の提供を行っており、割り込み不許可モードが設定されているため、割り込み許可不許可手段502が、受信したジョブの条件を不許可とし、その旨を割り込み条件表示受付手段505に返信する(図6:S103)。
【0069】
割り込み不許可モードが設定されている旨を受信した割り込み条件表示受付手段505は、ユーザ端末A409のディスプレイ画面802に、送信したジョブを割り込みジョブとして複合機100に申請するための画面である割り込みジョブ申請画面を表示する。
【0070】
割り込みジョブ申請画面は、図7Bに示すように、先ほど表示されたジョブ送信画面803と入れ替わって表示され、その画面内には、ジョブを送信した複合機が他のジョブを実行中であり、割り込みジョブを希望するか否かを促すメッセージ「現在、複合機はジョブの実行中です。割り込みジョブを希望しますか?」705と、先ほどジョブ送信画面803にて入力されたジョブの条件706と、割り込みジョブの理由を示す一連の選択項目707(例えば、「緊急の会議」、「緊急の出張」、「会議」、「出張」等)と、所定のコメントを入力可能なコメント欄708と、送信者名を送信するか否かを示すメッセージ「送信者名も送信する」709と、入力された割り込みジョブの理由等を複合機に送信する「送信」ボタン710と、割り込みジョブを停止する「CANCEL」ボタン711とが表示される。
【0071】
一連の選択項目707と、送信者名を送信するか否かを示すメッセージ709とに対応して、小さな四角形(例えば「□」)で、カーソル808等によってチェック記号(例えば「□」の中に「レ」等の記号)を入れたり外したりすることが可能なチェックボックス712が設けられており、このチェックボックス内712のチェック記号の有無(「YES」または「NO」)によって、チェックボックスに対応する項目のメッセージ等を受け付ける。カーソル808をチェックボックスに合わせてマウスのボタンをクリックするとチェック記号が入り、もう一度クリックするとチェック記号が外れるよう構成されている。
【0072】
そこで、他のユーザは、割り込みジョブ申請画面を見ながら、カーソル808やキーボードを用いて、割り込みジョブの理由のうち、「緊急の会議」に対応するチェックボックスをクリックしてチェック記号を入力し、コメント欄に、例えば緊急の会議に対応する詳細な理由「午前10時から会議を開始するため」を入力し、送信者名を送信するか否かを示すメッセージ709に対応するチェックボックスにチェック記号を入力し、「送信」ボタンを押下すると、割り込み条件表示受付手段505が、入力された割り込みジョブの理由等をネットワークを介して、複合機の通信手段506に送信する(図6:S104)。
【0073】
複合機の割り込みジョブ内容表示手段506が、通信手段503が受信した割り込みジョブに関連する情報を取得し、割り込みジョブに対応する内容を表示した割り込みジョブ内容画面を、複合機のタッチパネル上に表示する(図6:S105)。
【0074】
割り込みジョブ内容画面には、図9Dに示すように、割り込みジョブを受信した旨を示すメッセージ「割り込みジョブを受信しました。」901と、送信先の氏名を示す送信者欄「送信者 AA」902と、割り込みジョブの内容であるジョブの条件903(例えば、コピー、3部、白黒等)と、割り込みジョブの理由を示す「割り込みジョブの理由:緊急の会議」904と、他のユーザがコメント欄に入力したコメントである「午前10時から会議を開始するため」905とが表示される。なお、送信者欄に、送信者の役職、部署等を氏名とともに合わせて表示するよう構成しても構わない。
【0075】
さらに、割り込み許可選択受付手段507が、割り込みジョブ内容画面に、割り込みジョブの実行を許可する「許可する」ボタン906と、割り込みジョブの実行を許可しない「許可しない」ボタン907とを表示し、表示された割り込みジョブ内容画面のジョブを割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付ける。
【0076】
そこで、複合機近傍で自己の入力したジョブが完了することを待っているユーザが、割り込みジョブ内容画面を見ながら、割り込みジョブを許可してもよいと判断して、「許可する」ボタン906を押下すると、割り込み許可選択受付手段507が、割り込みジョブの許可を受け付け、現時点で受信した割り込みジョブを割り込ませるために、割り込み許可不許可手段502に、割り込み不許可の設定を解除する旨の信号を送信する(図6:S106YES)。
【0077】
割り込み許可不許可手段502が、割り込み不許可の設定を解除し、割り込みジョブを機能提供手段504に送信すると、機能提供手段504が、現時点まで実行していた機能提供(ジョブ)を中断し、残りのジョブの内容(実行途中のジョブの内容)をジョブ蓄積実行手段509に送信する。ジョブ蓄積実行手段509は、受け付けた残りのジョブの内容をジョブ記憶手段510に一時記憶することになる。
【0078】
次に、機能提供手段504は、割り込みジョブを実行する(図6:S107)。割り込みジョブを実行する場合、例えば、排紙トレイ130にシートを排紙する排紙口に備えられたシフト部材が、従前のジョブのシートと割り込みジョブのシートとが区別可能となるように、従前のジョブのシートを排紙していた位置とは異なる排紙位置に、割り込みジョブのシートを排紙する位置を変更する。この場合、従前のジョブのシートと割り込みジョブのシートとが区別可能であればよく、例えば、複数の排紙トレイが備えられていれば、従前のジョブのシートを受けた排紙トレイと異なる排紙トレイに、割り込みジョブのシートを排紙するよう構成しても構わないし、例えば白紙等の仕切り材を従前のジョブのシートと割り込みジョブのシートとの間に入れるよう構成しても構わない。
【0079】
さらに、割り込み許可選択受付手段507が、受信したジョブを割り込ませる旨の選択を受け付けると、割り込み選択通知手段508が、割り込みジョブが許可された旨を割り込み条件表示受付手段505に送信し、その選択の内容を表示した割り込みジョブ許可画面をユーザ端末のディスプレイ画面に表示させる(図6:S108)。
【0080】
割り込みジョブ許可画面には、図9Eに示すように、複合機100に送信した割り込みジョブが許可された旨を示すメッセージ「送信された割り込みジョブが許可されました。」908と、割り込みジョブにより出力されるシート等の受け取りを促す旨を示すメッセージ「ジョブを送信した複合機に、シートを取りに行ってください。」909と、確認した旨を示す「OK」ボタン910とが表示される。上記「OK」ボタン910が押下されると、割り込み条件表示受付手段505が、割り込みジョブ許可画面を閉じるよう構成されている。他のユーザは、割り込みジョブ許可画面の「OK」ボタン910を押下し、複合機100へ向かうこととなる。
【0081】
一方、複合機の機能提供手段504が、割り込みジョブの実行を完了すると、ジョブ蓄積実行手段509が、ジョブ記憶手段510から先ほど一時記憶したジョブを読み取り、その中断された時点のジョブの内容(残りのジョブの内容)で再度機能提供する旨の信号を機能提供手段504に送信する。機能提供手段504は、シフト部材を利用して、先ほど実行した割り込みジョブのシートの排紙位置と異なる排紙位置で、中断された残りのジョブのシートを排紙するよう設定し、残りのジョブを実行することとなる(図6:S109)。
【0082】
これにより、割り込みジョブが適切に割り込まれて実行されたことになる。
【0083】
次に、ユーザが割り込みジョブの割り込みを許可しない場合を、以下で説明する。
【0084】
図9Dに示すように、割り込みジョブの内容を表示した割り込みジョブ内容画面を見ながら、ユーザが自己も緊急の会議を9時から開始するため、その割り込みジョブを許可できないと判断して、「許可しない」ボタン907を押下すると、割り込み許可選択受付手段507が、割り込みジョブの不許可を受け付けて、さらに、許可しない旨の理由を受け付ける割り込みジョブ不許可理由受付画面をタッチパネル上に表示する(図6:S106NO)。
【0085】
割り込みジョブ不許可理由受付画面には、図10Fに示すように、割り込みジョブを不許可とする理由の送信を促すメッセージ「割り込みジョブを不許可とする理由を送信してください。」1001と、割り込みジョブを不許可とする理由を示す一連の選択項目1002(「緊急の会議」、「緊急の出張」、「会議」、「出張」等)と、所定のコメントを入力可能なコメント欄1003と、送信者名を送信するか否かを示すメッセージ「送信者名も送信する」1004と、送信者名を入力可能な送信者入力欄1005と、入力したメッセージ等の決定を行う「決定」ボタン1006と、入力された理由を割り込みジョブの送信先へ送信する「送信」ボタン1007と、所定のコメント等を入力可能とする所定のキーボードキー1008とが表示される。なお、送信者入力欄に、送信者の役職、部署等を氏名とともに合わせて入力可能となるよう構成しても構わない。
【0086】
一連の選択項目1002と、送信者名を送信するか否かを示すメッセージ1004とに対応して、上述したチェックボックス1009が設けられており、その選択を容易にしている。また、例えば、タッチペン302を利用して、ユーザの手書き情報を受け付ける手書き情報受付画面1010を設けても構わない。さらに、例えば、ユーザ認証可能なIDカード読取機を設けて、IDカードから読み取った送信者名を、送信者入力欄1005に自動的に入力する自動入力手段を設けても構わない。
【0087】
そこで、ユーザは、割り込みジョブ不許可理由受付画面を見ながら、タッチペン302、キーボードキー1008、「決定」ボタン1006を適宜利用して、不許可とする理由のうち、「緊急の会議」に対応するチェックボックス1009にチェック記号を入力し、コメント欄1003に、例えば緊急の会議に対応する詳細な理由「午前9時から会議を開始するため」を入力し、送信者名を送信するか否かを示すメッセージ1004に対応するチェックボックスにチェック記号を入力し、送信者入力欄1005に、例えば「AB」と入力し、「送信」ボタン1007を押下すると、割り込み選択通知手段508が、現時点実行されているジョブの条件と、入力された理由等を割り込み条件表示受付手段505に送信し、割り込みジョブ不許可画面をユーザ端末のディスプレイ画面に表示させる(図6:S110)。
【0088】
割り込みジョブ不許可画面には、図10Gに示すように、複合機100に送信した割り込みジョブが不許可にされた旨を示すメッセージ「送信した割り込みジョブは許可されませんでした。」1011と、割り込みジョブを不許可とした送信先の氏名を示す送信者「送信者 AB」1012と、割り込みジョブを不許可とする内容のうち、現時点実行されているジョブの条件1013(例えば、コピー、100部、白黒等)と、割り込みジョブの不許可理由を示す「割り込みジョブの不許可理由:緊急の会議」1014と、ユーザがコメント欄に入力したコメントである「午前9時から会議を開始するため」1015と、次の行動指針を示すメッセージ「上記ジョブが終了した後に、割り込みジョブを実行させますか?」1016と、そのメッセージ通りに動作させる「OK」ボタン1017と、割り込みジョブの送信を止める「CANCEL」ボタン1018とが表示される。
【0089】
そこで、他のユーザが、割り込みジョブ不許可画面を見ながら、「OK」ボタン1017を押下すると、割り込み条件表示受付手段505が、通信手段503を介して、ジョブ蓄積実行手段509に、他のユーザが入力した割り込みジョブを一時蓄積する旨の信号を送信する。ジョブ蓄積実行手段509は、それを受けてジョブ記憶手段510に割り込みジョブを一時記憶する(図6:S111)。
【0090】
機能提供手段504が、割り込みジョブを受け付けた時点で実行していたジョブを終了すると、ジョブ蓄積実行手段509がジョブの終了を検知して、先ほど一時記憶した割り込みジョブを機能提供手段504に送信する(図6:S112)。機能提供手段504は、シフト部材を利用して、終了したジョブのシートの排紙位置と異なる排紙位置で、割り込みジョブのシートを排紙するよう設定し、割り込みジョブを実行することとなる(図6:S113)。
【0091】
なお、他のユーザが割り込みジョブ不許可画面を見ながら、「CANCEL」ボタン1018を押下すると、割り込み条件表示受付手段505が、割り込みジョブ不許可画面を閉じることとなる。
【0092】
このように、割り込み許可不許可手段がジョブの割り込みを不許可とした場合、所定の送信先から送信されたジョブの内容を表示した割り込みジョブ内容画面を表示する割り込みジョブ内容表示手段と、表示されたジョブを割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付ける割り込み許可選択受付手段とを備えるよう構成している。
【0093】
これにより、割り込み不許可の設定を行ったユーザでも、割り込みジョブの内容の如何によって、そのジョブを割り込ませるか否かの選択を行うことが可能となる。そのため、割り込み不許可の設定であるからといって、一概にジョブの割り込みが不許可となることなく、ユーザはその内容に応じて臨機応変に割り込みジョブを実行させることが可能となる。また、割り込みジョブを送信したユーザにとっても、ジョブを割り込ませる機会が与えられることとなり、両者の利便性を向上させることが可能となる。
【0094】
さらに、割り込み許可選択受付手段が、割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付けると、受け付けたその選択を送信先に通知する割り込み選択通知手段を備えるよう構成することができる。
【0095】
これにより、割り込みジョブを送信したユーザが、そのジョブは割り込み可能であったか否かの結果を知ることができることとなり、その結論に基づいて、次の取るべき行動を迅速に決定することが可能となる。例えば、割り込みジョブが許可されたことを知れば、ユーザはそのジョブを実行する画像形成装置へ出力されるシートを取りに行くこととなるし、割り込みジョブが不許可とされたことを知れば、ユーザは現時点で行われているジョブの終了後にその割り込みジョブを実行させるか、他の画像形成装置へ割り込みジョブを再度送信するよう行動することとなる。すなわち、上記結果の返信によって、上記ユーザは次の行動指針を立てやすくなる。
【0096】
さらに、割り込み許可選択受付手段がジョブを割り込ませない旨の選択をユーザから受け付けた場合、そのジョブをジョブ記憶手段に一時記憶し、現時点行っているジョブの終了後に、一時記憶したジョブを実行するジョブ蓄積実行手段を備えるよう構成することができる。
【0097】
これにより、割り込みジョブが許可されなかった場合でも、現時点行っているジョブが終了すると、その割り込みジョブが実行されるため、割り込みジョブを送信したユーザが、再度割り込みジョブを送信する必要がなく、余計な手間が解消されることとなる。
【0098】
特に、割り込みジョブにおける画像データの容量が著しい場合は、その画像データの送信時間は長時間を要するので、予め画像データを一時記憶するよう構成すれば、現時点行っているジョブの終了後に、その一時記憶された画像データを利用して、即時に割り込みジョブを実行させることが可能となり、余計な待ち時間が発生することはない。
【0099】
なお、本発明の実施形態では、割り込み許可選択受付手段がジョブを割り込ませない旨の選択をユーザから受け付けた場合、そのジョブをジョブ記憶手段に一時記憶するよう構成したが、他の方法として、例えば、割り込みジョブを受信した画像形成装置近傍に接続されている画像形成装置が存在する場合、ジョブを割り込ませない旨の選択を受け付けると、画像形成装置近傍に接続されている画像形成装置を検知する検知手段と、検知された画像形成装置に割り込みジョブを転送して、その割り込みジョブを実行させるジョブ転送実行手段を備えるよう構成しても構わない。上記構成により、緊急を要する割り込みジョブを他の画像形成装置にて迅速に実行させることが可能となる。また、上記検知手段は、割り込みジョブを円滑に実行させるために、検知時点でジョブを実行していない画像形成装置を検知するよう構成することができる。
【0100】
また、本発明の実施形態では、割り込み許可選択受付手段が、割り込みジョブの不許可を受け付けると、割り込みジョブ不許可理由受付画面を表示させて、許可しない旨の理由を受け付けるよう構成したが、上記手順を省略して、単に割り込みジョブの許可か不許可かを送信先に返信するよう構成しても構わない。また、所定の切り換えボタンを設けて、上記割り込みジョブ不許可理由受付画面を表示するか否かを切り替え可能とする切り換え手段を備えても構わない。
【0101】
また、本発明の実施形態では、割り込み条件表示受付手段が、割り込みジョブ申請画面を表示して、割り込みジョブの理由以外の項目も受け付けるよう構成したが、画像形成装置の品種等に応じて、修正・削除・省略等しても構わないし、受付画面で一般に使用される他の項目を適宜増加させても構わない。
【0102】
また、本発明の実施形態では、割り込み許可選択受付手段が、割り込みジョブ不許可理由受付画面を表示して、許可しない旨の理由以外の項目も受け付けるよう構成したが、上記と同様、画像形成装置の品種等に応じて、修正・削除・省略等しても構わないし、受付画面で一般に使用される他の項目を適宜増加させても構わない。
【0103】
また、本発明の実施形態では、複合機とユーザ端末とが各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムを複合機またはユーザ端末に読み出させ、その複合機またはユーザ端末が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
【0104】
また、本発明の実施形態では、複合機とユーザ端末とが各手段を備えるよう構成したが、これに限られず、例えば、同一のネットワークを構成する装置であれば、いずれかの装置に当該各手段を備えるよう構成しても、本発明の作用効果を奏する。
【0105】
また、本発明の実施形態では、コピーサービスに関して採用したが、例えば、ファクシミリサービス、スキャナサービス、プリンタサービス、ネットワークスキャンサービス、後処理サービス等にも採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、複合機等に有用であり、割り込み不許可モードが設定された場合でも、送信されたジョブの内容に対応して、そのジョブの割り込みを許可することが可能な画像形成装置として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る自動原稿給送装置を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る発明の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す第一の図である。
【図8】本発明の実施形態のユーザ端末のディスプレイの画面の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す第二の図である。
【図10】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す第三の図である。
【符号の説明】
【0108】
100 複合機
201 通信ケーブル
202 ネットワーク
409 ユーザ端末
501 条件受付手段
502 割り込み許可不許可手段
503 通信手段
504 機能提供手段
505 割り込み条件表示受付手段
506 割り込みジョブ内容表示手段
507 割り込み許可選択受付手段
508 割り込み選択通知手段
509 ジョブ蓄積実行手段
510 ジョブ記憶手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の送信先から送信されたジョブの割り込みを許可するか、許可しないかの制御を行う割り込み許可不許可手段を備えた画像形成装置において、
割り込み許可不許可手段がジョブの割り込みを不許可とした場合、所定の送信先から送信されたジョブの内容を表示した割り込みジョブ内容画面を表示する割り込みジョブ内容表示手段と、
表示されたジョブを割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付ける割り込み許可選択受付手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
さらに、割り込み許可選択受付手段が、割り込ませるか否かの選択をユーザから受け付けると、受け付けたその選択を送信先に通知する割り込み選択通知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、割り込み許可選択受付手段がジョブを割り込ませない旨の選択をユーザから受け付けた場合、そのジョブをジョブ記憶手段に一時記憶し、現時点行っているジョブの終了後に、一時記憶したジョブを実行するジョブ蓄積実行手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−278312(P2009−278312A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126791(P2008−126791)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】