説明

画像形成装置

【課題】印刷プレビューを予め設定された分割数で分割した複数の分割プレビューを個別に拡大表示させる際に,本来その分割の境界線上に存在することになる文字の視認性を高めることのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】印刷対象データについての印刷結果を予め確認するための印刷プレビューが表示される印刷プレビュー表示手段に対して,該印刷対象データの1ページ毎の前記印刷プレビューを予め設定された分割数で分割した複数の分割プレビューを個別に拡大表示させる。このとき,前記印刷プレビューを前記分割数で分割したときの前記分割プレビュー各々の境界よりも予め設定された所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビュー各々として個別に拡大表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷対象データについての印刷結果を予め確認するための印刷プレビューを液晶ディスプレイなどの表示部に表示する画像形成装置に関し,特に,その印刷プレビューの表示態様に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,複写機やプリンタなどの画像形成装置は,印刷対象データについての印刷結果を予め確認するための印刷プレビューを,該画像形成装置に設けられた液晶ディスプレイなどの表示部に表示する印刷プレビュー表示機能を有することがある。前記印刷プレビュー表示機能により,ユーザは,用紙サイズや拡大・縮小,2in1などの印刷対象データについての各種印刷設定が所望の印刷結果を満たすものになっているか否かを,印刷前に印刷プレビューで確認することができる。一般に,この印刷プレビューは,印刷対象データの1ページ毎に表示される。
また,例えば特許文献1では,印刷対象データについて異なる複数の印刷設定をした場合の複数の印刷プレビューをスライドショーとして表示させ,その複数の印刷プレビューの中から所望の印刷設定を選択させることが提案されている。これにより,ユーザは,複数の印刷プレビューの中からの選択により印刷設定を簡単に行うことができる。
【特許文献1】特開2006−146662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,一般に画像形成装置に設けられる液晶ディスプレイなどの表示部は,その表示サイズが十分に大きいものであるとは言えない。そのため,従来のように印刷対象データの1ページ毎に印刷プレビューを表示する場合には,そのページ各々の印刷レイアウトなどの全体的な雰囲気を確認することは可能であるが,該印刷対象データの内容まで確認することはできないという問題がある。そこで,前記印刷プレビューを予め設定された分割数で分割した複数の分割プレビューを個別に拡大表示させることが考えられる。
しかしながら,前記印刷プレビューを分割する際に,その分割の境界線上に文字が存在する場合には,その境界に接する二つの分割プレビューのいずれにもその一つの文字全体が表示されず視認性が劣るという問題がある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,印刷プレビューを予め設定された分割数で分割した複数の分割プレビューを個別に拡大表示させる際に,本来その分割の境界線上に存在することになる文字の視認性を高めることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,印刷対象データについての印刷結果を予め確認するための印刷プレビューが表示される印刷プレビュー表示手段と,前記印刷対象データの1ページ毎の前記印刷プレビューを予め設定された分割数で分割した複数の分割プレビューを前記印刷プレビュー表示手段に個別に拡大表示させる分割プレビュー表示手段とを備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記分割プレビュー表示手段が,前記印刷プレビューを前記分割数で分割したときの前記分割プレビュー各々の境界よりも予め設定された所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビュー各々として前記印刷プレビュー表示手段に個別に拡大表示させるものであることを特徴とする画像形成装置として構成される。
これにより,当該画像形成装置のユーザは,前記印刷プレビュー表示手段に個別に拡大表示された前記分割プレビュー各々を見るとき,前記分割数で分割したときに本来その分割の境界線上に存在して視認しづらいはずの文字をも容易に確認することができる。
【0005】
このとき,前記分割プレビュー表示手段が,前記印刷プレービューを分割するときの境界線上に文字が存在することを条件に,該境界よりも前記所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビューとするものであることが考えられる。これにより,前記分割プレビュー各々の範囲を拡大させることが望ましい場合にのみ,その範囲を所定幅拡大させることができ,不要に前記分割プレビュー各々の範囲を拡大させることを防止することができる。
また,前記境界線上に存在する文字のサイズを検出し,その検出結果に基づいて前記境界線上に存在する文字の外縁に至る幅を前記所定幅として設定することが望ましい。これにより,前記分割プレビュー各々の拡大幅を自動的に,前記境界線上の文字を認識し得る最小限の幅とすることができる。
【0006】
ところで,前記分割プレビュー表示手段が,予め設定された所定時間間隔で複数の前記分割プレビューを順次表示させるものであれば,ユーザが前記分割プレビュー各々を参照するための操作の手間を省略することができる。
また,前記分割プレビュー表示手段は,前記分割プレビュー各々における空白が予め設定された上限量以上である場合に該分割プレビューを表示対象から除外するものであることが望ましい。なお,前記分割プレビュー各々における前記空白と前記上限量との比較判断は印字率などに基づいて行われる。
これにより,空白が多いために特に確認する必要のない前記分割プレビューを表示させないようにすることができる。特に,複数の前記分割プレビューが順次表示される構成では,確認の必要のない空白が多い前記分割プレビューの表示を飛ばすことができるため,全ての前記分割プレビューを表示させるためのトータル時間を短縮させることができる。
【0007】
また,前記分割数は予め設定された値であってもかまわないが,所定の操作手段の操作に応じて前記分割数を設定する分割数設定手段を更に備えてなることが望ましい。これにより,ユーザは当該画像形成装置を使用する際に前記分割数を設定して所望の拡大サイズで前記分割プレビューを表示させることができる。
さらに,前記分割プレビュー表示手段により表示されている前記分割プレビューの前記印刷対象データにおける位置を表示するプレビュー位置表示手段を更に備えてなることが望ましい。これにより,ユーザは,前記分割プレビュー各々の前記印刷対象データにおける位置を容易に把握することができる。
なお,前記分割プレビュー表示手段は,前記印刷対象データの1ページ毎の前記印刷プレビューを前記分割数で均等に分割するものであることが考えられる。具体的には,前記分割数は,例えば2,4,6,8,9,12,16のいずれかであることが考えられる。このように前記印刷プレビューが均等分割される場合には,前記分割プレビュー各々の境界位置などについての設定を行うことなく,その分割数を設定するだけで前記印刷プレビューの各部分を拡大表示させることも可能である。なお,前記印刷プレビューを均等分割しない場合には,ユーザ操作に応じて前記分割プレビュー各々の境界を設定すればよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば,当該画像形成装置のユーザは,前記印刷プレビュー表示手段に個別に拡大表示された前記分割プレビュー各々を見るとき,前記分割数で分割したときに本来その分割の境界線上に存在して視認しづらいはずの文字をも容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成を示すブロック図,図2は本発明の実施の形態に係る複合機Xに設けられた操作表示部5の表示画面全体を示す図,図3は本発明の実施の形態に係る複合機Xにおいて実行される印刷プレビュー表示処理の手順の一例を説明するためのフローチャート,図4は本発明の実施の形態に係る複合機Xにおいて実行される分割プレビュー生成処理の手順の一例を説明するためのフローチャート,図5〜図8は印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の実行結果の一例を説明するための図である。
なお,本発明の実施の形態に係る複合機Xは,本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎず,例えばプリンタ装置,複写機,ファクシミリ装置などの画像形成装置についても本発明を適用し得る。
【0010】
まず,図1を用いて,前記複合機Xの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記複合機Xは,画像読取部1,画像処理部2,画像形成部3,定着装置4,操作表示部5及び制御部6などを備える電子写真方式の画像形成装置である。なお,前記複合機Xは,プリンタ機能,複写機能,スキャナ機能,ファクシミリ機能などの各種機能を具現するべく一般的な電子写真方式の複合機が有する各種の構成要素を有しているが,それらについては従来と異なるところがないため,ここでは説明を省略する。
前記画像読取部1は,原稿台やADF(自動搬送装置)にセットされた原稿から画像データを読み取るCCDなどを有する画像読取手段の一例である。前記画像処理部2は,前記画像読取部1で読み取られた画像データや,予め記憶装置に記憶された画像データ,外部の情報処理装置から受信した画像データなどの印刷対象データについて各種の画像処理を施すものである。
前記画像形成部3は,感光体ドラムや帯電器,現像装置,LSUなどを有してなり,前記画像処理部2で画像処理が施されることによりCMYKデータで表現された画像データに基づいて,用紙にトナー像(現像剤)を形成する。前記定着装置4は,前記画像形成部3によってトナー像が形成された用紙にそのトナー像を溶融定着させる。
【0011】
前記操作表示部5は,前記制御部6からの指示に応じて各種の情報の表示を行う液晶ディスプレイや,前記制御部6に対する処理要求などのユーザ操作を行うためのタッチパネル,キースイッチ(スタートキー等)などを有している。
前記制御部6は,CPU及びROM,RAM等の周辺装置を有してなり,該CPUによってROMに格納された所定の制御プログラムに従った処理を実行することにより当該複合機Xを統括的に制御するものである。具体的に,前記制御部6は,後述の印刷プレビュー表示処理(図3のフローチャート参照)を実行することにより,前記操作表示部5による印刷プレビューの表示を制御する。
【0012】
次に,図2を参照しつつ,前記操作表示部5について説明する。
図2に示すように,前記操作表示部5は,例えば用紙サイズ設定,拡大・縮小設定,ステープル・パンチ設定,2in1設定などの各種の印刷設定を行うためのタッチキーが設けられた印刷設定部51や,印刷対象データについての印刷結果を予め確認するための印刷プレビューを表示する印刷プレビュー表示部52などを有している。
前記印刷プレビュー表示部52には,前記印刷プレビューが表示されるプレビュー表示領域521と,前記プレビュー表示領域521に印刷プレビューを表示させるための要求操作が行われるプレビュー表示キー522と,前記プレビュー表示領域521の表示内容を操作するためのプレビュー操作キー523a〜523eと,後述する印刷プレビュー表示処理(図3参照)によって前記印刷プレビューが表示されるときの該印刷プレビューの分割数を設定するための分割数設定キー524a〜524dとが設けられている。
前記プレビュー表示領域521は,前記操作表示部5の液晶ディスプレイ上の一部の表示領域である。ここに,前記プレビュー表示領域521を有する前記操作表示部5が印刷プレビュー表示手段の一例である。
前記プレビュー表示キー522,前記プレビュー操作キー523a〜523e,前記分割数設定キー524a〜524dなどの各種のキーは,前記操作表示部5に設けられたタッチパネルによって具現されたタッチキーである。また,これに限らず別途設けられた機械的スイッチであってもよい。なお,前記プレビュー表示キー522,前記プレビュー操作キー523a〜523e,前記分割数設定キー524a〜524dの各機能については,前記制御部6によって実行される前記印刷プレビュー表示処理(図3のフローチャート参照)と共に後段において説明する。
【0013】
以下,図3及び図4のフローチャートに従って,図5〜図8を参照しつつ,前記制御部6によって実行される印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の手順の一例について説明する。なお,図中のS1,S2,…及びS31,S32…は前記制御部6によって実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。また,図5〜8は,印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の実行結果を説明するための図であって,前記操作表示部5における前記プレビュー表示領域521のみを抜き出した図である。
以下では,前記複合機Xにおいて,図5(a)に示す原稿を印刷対象データとして印刷処理を実行する場合の印刷プレビューを例に挙げて説明する。
【0014】
(ステップS1〜S3)
まず,ステップS1では,前記制御部6は,前記操作表示部5のプレビュー表示キー522が操作されたか否かを判断する。なお,当該判断処理は,例えば前記複合機Xで実行される印刷処理における印刷対象データを選択するための処理の前後に行われる。
ここで,前記制御部6は,前記プレビュー表示キー522が操作されたと判断されると(S1のYes側),印刷対象データについての印刷プレビューを表示する必要があると判断し,処理をステップS2に移行させる。なお,前記プレビューキー522が操作されない場合は(S1のNo),処理は当該ステップS1で待機される。
ステップS2では,前記制御部6は,印刷対象データの全体についての印刷プレビューを生成するための処理を実行する。具体的に,前記制御部6は,前記画像処理部2を制御することにより,印刷対象データ全体についての印刷プレビューを生成する。ここでは,図5(a)に示す画像が印刷プレビューとして生成されることになる。
次に,前記制御部6は,前記ステップS2で生成された印刷対象データ全体についての印刷プレビューを,予め設定された分割数で分割することにより複数の分割プレビューを生成するための分割プレビュー生成処理を実行する(S3)。ここで,図4のフローチャートに従って,前記ステップS3における分割プレビュー生成処理の具体例について説明する。
【0015】
(ステップS31)
図4に示すように,ステップS31では,前記制御部6は,印刷対象データの印刷プレビューの分割数を設定するための処理を実行する。
例えば,前記分割数として予め初期設定された数値が存在する場合,前記制御部6は,その初期設定された分割数を採用する。なお,前記初期設定された数値は前記制御部6の内部メモリなどに記憶されている。
また,このとき前記分割数設定キー524a〜524dの操作がなされた場合には,前記制御部6は,その分割数設定キー524a〜524dの操作に応じて前記分割数を設定する。ここに,係る設定処理を実行するときの前記制御部6が分割数設定手段に相当する。具体的に,前記分割数設定キー524a〜524dは,分割数“4”,“6”,“9”,“16”に対応するものである。なお,前記印刷対象データの1ページ毎の印刷プレビューを均等に分割するための分割数は,これらに限らず,“2”,“4”,“6”,“8”,“9”,“12”,“16”などであることが考えられる。
また,前記分割数の設定は,当該ステップS31のタイミングに限らず,前記印刷プレビュー表示処理(図3)におけるスライドショーの表示中に前記分割数設定キー524a〜524dが操作されることによっても行われる(後述のS8のYes側)。
ここでは,初期設定により或いは前記分割数設定キー524cの操作に応じて前記分割数が“9”に設定されたものとする。
【0016】
(ステップS32)
次にステップS32では,前記制御部6は,前記画像処理部2を制御することにより,前記印刷対象データの1ページ毎の印刷プレビューを,前記ステップS31で設定された分割数で均等に分割した分割プレビューを生成するための処理を実行する。
ここでは,前記ステップS31において前記分割数が“9”に設定されているため,図5(b)に示すように,破線で示す分割線によって前記印刷対象データの印刷プレビューが9分割されることにより,図6の(a)〜(i)に示すように9個の分割プレビューR1〜R9が生成される。なお,前記生成された分割プレビューR1〜R9は前記制御部6内の所定メモリなどに記憶される。
【0017】
(ステップS33〜S34)
ステップS33では,前記制御部6は,空白プレビュー省略機能の設定がONであるか否かを判断する。ここで,前記空白プレビュー省略機能がONに設定されている場合には(S33のYes側),続くステップS34において該空白プレビュー省略機能による空白プレビュー省略処理が実行される。一方,前記空白プレビュー省略機能がOFFである場合には(S33のNo側),処理はステップS35に移行する。
前記空白プレビュー省略機能は,前記ステップS32で生成された前記分割プレビュー各々における空白が予め設定された上限量以上である場合に該分割プレビューを表示対象から除外するための機能であって,前記制御部6によって具現される。前記空白プレビュー省略機能のON/OFFは,初期設定により設定され,或いは前記操作表示部5のユーザ操作によって任意に設定される。また,前記上限量は,前記分割プレビュー各々における印字率などで設定される。例えば,印字率が10%以下である場合に,その分割プレビューにおける空白が予め設定された上限量以上であると判断することが考えられる。
そして,ステップS34において,前記制御部6は,前記空白プレビュー省略機能により,前記分割プレビュー各々における空白が予め設定された上限量以上であることを条件に,該分割プレビューを表示対象から除外する。これにより,空白が多いために当該印刷対象データの原稿の確認作業に不要と思われる分割プレビューを表示対象から除外することができる。特に,後述するように複数の前記分割プレビューをスライドショーで順次表示する場合には,全ての前記分割プレビューを表示させるためのトータル時間を短縮させることができる。
ここでは,図6(i)に示すように,前記印刷対象データの右下端部に対応する分割プレビューの空白が多すぎるため,該分割プレビューが表示対象から除外されることが考えられる。
【0018】
(ステップS35〜S36)
次に,ステップS35では,前記制御部6は,分割幅拡大機能の設定がONであるか否かを判断する。ここで,前記分割幅拡大機能がONに設定されている場合には(S35のYes側),続くステップS36において該分割幅拡大機能による分割幅拡大処理が実行される。一方,前記分割幅拡大機能がOFFである場合には(S35のNo側),当該分割プレビュー生成処理は終了する。
前記分割幅拡大機能は,前記ステップS32において前記印刷対象データの印刷プレビューを前記分割数で分割したときの前記分割プレビュー各々の境界よりも予め設定された所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビュー各々として設定するための機能であって,前記制御部6によって具現される。前記分割幅拡大機能のON/OFFは,初期設定により設定され,或いは前記操作表示部5のユーザ操作によって任意に設定される。また,前記所定幅は,例えば前記分割プレビューの幅の10%に相当する幅であること等が考えられる。
従って,前記分割幅拡大機能がONに設定されている場合,前記制御部6は,ステップS36において,前記分割幅拡大機能により,前記分割プレビュー各々の境界よりも所定幅だけ広い範囲を該分割プレビューとして再設定する。ここに,図7は,図7(a)に示す前記分割プレビューR1及び図7(b)に示す前記分割プレビューR2を,図7(c)及び図7(d)に示すように,これらの境界L1よりも所定幅だけ広い範囲の分割プレビューR1’及び分割プレビューR2’として再設定したときの例を示している。
このように,前記分割プレビューを所定幅だけ広い範囲として再設定することにより,該分割プレビュー各々の境界線上に文字が存在する場合に,その文字全体がいずれの分割プレビューの表示画面にも表示されないという問題を解消することができる。
以上のように,前記ステップS31〜S36によって,前記印刷対象データについて前記分割プレビュー各々が生成されると,当該分割プレビュー生成処理は終了し,処理は図3に示す前記印刷プレビュー表示処理のステップS4に移行する。なお,前記印刷対象データが複数ページに亘る物である場合には,該ページ各々について複数の前記分割プレビューが生成される。
【0019】
(ステップS4)
そして,ステップS4において,前記制御部6は,前記ステップS3で生成された複数の前記分割プレビューを予め設定された所定時間間隔で順次個別に表示させるスライドショーを開始する。このとき,前記制御部6は,前記分割プレビュー各々を前記プレビュー表示領域521のサイズまで拡大させて個別に表示させる。即ち,従来,前記印刷対象データの全体の印刷プレビューが表示されていたサイズで前記分割プレビュー各々が表示されることになる。従って,ユーザは,前記プレビュー表示領域521の表示を参照することにより,前記印刷対象データにおける前記分割プレビュー各々の内容を容易に確認することが可能となる。
このとき,前記印刷対象データが複数ページのデータを含むものである場合には,該複数ページに亘って1ページ毎の複数の前記分割プレビューを順次表示させることになる。なお,本実施形態では,ユーザの操作の手間を省略するべく複数の前記分割プレビューを順次表示させる場合を例に挙げて説明しているが,これに限らず,ユーザ操作によって任意の前記分割プレビューを表示させることも他の実施例として考えられる。
なお,予め設定された前記所定時間は前記制御部6の内部メモリに記憶されている。また,前記制御部6は,前記操作表示部5の操作に応じて前記所定時間を変更することが可能である。これにより,ユーザは,前記操作表示部5を操作することによって,前記所定時間を変更することにより,前記スライドショー表示の早送りやコマ送りなどを実現することができる。その他,前記制御部6は,前記操作表示部5の操作に応じて前記スライドショーの表示順序を逆転させることにより巻き戻しを行うことも考えられる。
【0020】
ここでは,前記分割プレビューR1〜R9各々が,図6(a)〜(i)に矢印で示す順序で,前記操作表示部5のプレビュー表示領域521に個別に拡大して表示されることになる。
このとき,前述したように,前記空白プレビュー省略機能によって表示された分割プレビューが存在する場合には,該分割プレビューを除く他の分割プレビューが順次表示される。また,前記分割幅拡大機能によって分割プレビュー各々の幅が広い範囲で確保された場合には,その範囲を前記分割プレビュー各々として個別に拡大表示されることになる。
なお,図6(a)〜(i)各々の分割プレビューの表示前又は表示後に図5(a)に示す前記印刷対象データの全体の印刷プレビューが表示されることも考えられる。もちろん,前記複合機Xでは,前記印刷対象データの全体の印刷プレビューのみを表示させることも可能である。
【0021】
そして,前記制御部6は,前記ステップS4でスライドショーの表示が開始されて前記分割プレビューが順次表示されているとき,以下のステップS5〜S8に係る判断処理を実行し,その判断結果によって前記印刷プレビュー表示領域521の表示内容を制御する。なお,前記ステップS5〜S8は,前記制御部6が,ステップS9において複数の前記分割プレビューの全てを表示したと判断するまで実行される(S9のNo側)。そして,前記制御部6が前記ステップS9において複数の前記分割プレビューの全てを表示したと判断すると(S9のYes側),当該印刷プレビュー表示処理は終了される。
【0022】
(ステップS5)
まず,前記制御部6は,ステップS5において,前記プレビュー操作キー523c(図2参照)の操作がなされたか否かを判断する。ここで,前記プレビュー操作キー523cが操作されたと判断すると(S5のYes側),処理はステップS51に移行する。なお,前記プレビュー操作キー523cが操作されない場合には(S5のNo側),処理はステップS6に移行する。
ステップS51では,前記制御部6は,前記ステップS4で開始されたスライドショー表示を一時停止させる。即ち,前記プレビュー操作キー523cは,いわゆる一時停止キーの役割を果たす。
従って,ユーザは,前記プレビュー操作キー523cを操作することによって,任意の分割プレビューを長時間表示させて確認することができる。なお,前記ステップS51において,前記制御部6は,前記プレビュー操作キー523cの再度の操作や,所定時間の経過に応じて前記一時停止を解除して,前記ステップS4で開始されたスライドショー表示の続きを実行する。
【0023】
(ステップS6)
次に,前記制御部6は,ステップS6において,前記プレビュー操作キー523b又は523d(図2参照)のいずれかの操作がなされたか否かを判断する。ここで,前記プレビュー操作キー523b又は523dが操作されたと判断すると(S6のYes側),処理はステップS61に移行する。なお,前記プレビュー操作キー523b又は523dのいずれかが操作されない場合には(S6のNo側),処理はステップS7に移行する。
ステップS61では,前記制御部6は,現在表示中の前記分割プレビューを前記ステップS6における操作に応じて強制的に切り換える。具体的に,前記ステップS6において前記プレビュー操作キー523bが操作された場合には,表示順序が前の前記分割プレビューに切り換え,前記ステップS6において前記プレビュー操作キー523dが操作された場合には,表示順序が次の前記分割プレビューに切り換える。
これにより,ユーザは,任意の分割プレビューを表示させることができる。なお,前記ステップS61において,前記制御部6は,切り換え後の前記分割プレビューを所定時間表示した後,該分割プレビューから次の分割プレビュー各々を順に表示させるためのスライドショー表示を再開させる。
【0024】
(ステップS7)
また,前記制御部6は,ステップS7において,前記プレビュー操作キー523a又は523e(図2参照)のいずれかの操作がなされたか否かを判断する。ここで,前記プレビュー操作キー523a又は523eが操作されたと判断すると(S7のYes側),処理はステップS71に移行する。なお,前記プレビュー操作キー523a又は523eのいずれかが操作されない場合には(S7のNo側),処理はステップS8に移行する。
ステップS71では,前記制御部6は,現在表示中の前記分割プレビューが含まれたページを前記ステップS7における操作に応じて強制的に切り換える。具体的に,前記制御部6は,前記ステップS7において前記プレビュー操作キー523aが操作された場合には,表示順序が前のページを表示させ,前記ステップS7において前記プレビュー操作キー523eが操作された場合には,表示順序が次のページを表示させる。
これにより,ユーザは,任意のページの印刷プレビューを表示させることができる。なお,ページが切り換えられた後には,該切り換え後のページの印刷プレビューについての分割プレビュー各々が順に表示される。
【0025】
そして,前記制御部6は,ステップS8において,分割プレビューの設定変更操作がなされたか否かを判断する。なお,前記分割プレビューの設定変更操作がなされない場合には(S8のNo側),処理はステップS9に移行する。
ここに,前記設定変更操作とは,例えば,前記ステップS3で説明したように,前記分割数設定キー522a〜522dの操作による分割数の設定操作や,前記空白プレビュー省略機能のON/OFFの切り換え操作,前記分割幅拡大機能のON/OFFの切り換え操作など,前記分割プレビューの表示設定を変更するためにユーザによって行われる前記操作表示部5の操作である。
ここで,前記分割プレビューの設定変更操作がなされたと判断すると(S8のYes側),処理は前記ステップS3に移行し,該ステップS3では,前記ステップS31〜S36が実行されることにより,前記ステップS8でなされた設定変更操作に応じて前記分割プレビューの再設定が行われる。そして,前記ステップS4において,その再設定後の内容で生成された前記分割プレビューのスライドショー表示が開始される。なお,前記分割数以外の設定が変更された場合には,前記ステップS8で前記分割プレビューの表示設定を変更するための操作がなされたと判断されたときに表示されていた分割プレビューからスライドショー表示を再開してもよい。
【0026】
以上,説明したように,前記複合機Xでは,前記制御部6によって前記印刷プレビュー表示処理及び前記分割プレビュー生成処理(図3及び図4のフローチャート参照)が実行されることにより,印刷対象データの1ページ毎の印刷プレビューが予め設定された分割数で複数の分割プレビューに分割され,該分割プレビュー各々が前記操作表示部5のプレビュー表示領域521に個別に拡大表示される。ここに,前記印刷プレビュー表示処理及び前記分割プレビュー生成処理(図3及び図4のフローチャート参照)を実行するときの前記制御部6が分割プレビュー表示手段に相当する。
従って,ユーザは,前記プレビュー表示領域521に表示された前記分割プレビュー各々を参照することにより,容易に前記印刷対象データの内容までをも確認することができる。
【実施例1】
【0027】
本実施例1では,前記ステップS3における前記ステップS36(図4参照)で説明した前記分割幅拡大機能の詳細例について説明する。
前記分割幅拡大機能は,前記分割プレビューR1〜R9のうち,他の分割プレビューとの間の境界線上に文字が存在することを条件に,該境界よりも前記所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビュー各々とするものであることが考えられる。これにより,前記分割プレビューR1〜R9各々の範囲を拡大させることが望ましい場合にのみ,その範囲を所定幅拡大させることができ,不要に前記分割プレビューR1〜R9各々の範囲を拡大させることを防止することができる。
また,前記分割幅拡大機能によって範囲が拡大される前記所定幅の値は,少なくとも前記分割プレビュー各々の境界線上に存在する文字を認識し得るように予め設定しておけばよい。但し,前記境界線上に存在する文字の大きさは,前記印刷対象データによって異なる。
そこで,前記制御部6は,前記分割プレビュー各々の境界線上に文字が存在する場合,その文字のサイズを検出し,該検出結果に基づいて前記境界線上に存在する文字の外縁に至る幅を前記所定幅として設定することが考えられる。これにより,前記分割プレビュー各々の拡大幅を自動的に,前記境界線上の文字を認識し得る最小限の幅とすることができる。ここに,係る処理を実行するときの前記制御部6が文字サイズ検出手段及び範囲設定手段に相当する。
さらに,前記印刷プレビューを分割して複数の前記分割プレビューを生成した後で該分割プレビュー各々の幅が広い範囲となるように修正するのではなく,前記印刷プレビューを分割した後の分割プレビューが所定幅だけ広い範囲となるように分割の際の境界線の位置を設定することも他の実施例として考えられる。
また,前記分割プレビュー各々の四方全ての幅を拡大させることなく,前記境界線上に文字が存在する箇所のみの幅を拡大させることも考えられる。例えば,図7に示す例では,前記分割プレビューR1の右側の幅のみを拡大させ,前記分割プレビューR2の左側及び右側の幅のみを拡大させることが考えられる。
【実施例2】
【0028】
ところで,前記ステップS4で開始されたスライドショー表示においては,前記分割プレビュー各々が個別に拡大表示されるため,現在前記プレビュー表示領域521に表示されている分割プレビューが,前記印刷対象データの全体におけるどの位置に対応するものであるかを特定することができることが望ましい。
そこで,前記制御部6は,前記ステップS4で開始するスライドショー表示において,前記分割プレビューと共に,現在表示中の分割プレビューの前記印刷対象データにおける位置を示す位置表示画像とを表示することが考えられる。ここに,係る処理を実行するときの前記制御部6がプレビュー位置表示手段に相当する。
例えば,図8は,前記プレビュー表示領域521の他の表示例を説明するための図であって,(a),(b)は前記分割プレビューR2(図6(b)に相当)の前記プレビュー表示領域521への表示例,(c),(d)は前記分割プレビューR6(図6(f)に相当)の前記プレビュー表示領域521への表示例を示している。
図8(b)に示す前記分割プレビューR2の表示時には,図8(a)に示すように,前記分割プレビューR2の前記印刷対象データの全体における位置のみを塗りつぶした位置表示画像が共に表示される。同じく,図8(d)に示す前記分割プレビューR6の表示時には,図8(c)に示すように,前記分割プレビューR6の前記印刷対象データの全体における位置のみを塗りつぶした位置表示画像が共に表示される。
このように,前記分割プレビューと共にその位置関係を表示させることにより,ユーザは,前記プレビュー表示領域521の表示を参照することにより,前記分割プレビューR1〜R9各々の内容と,現在表示されている分割プレビューR1〜R9各々の前記印刷対象データの全体における位置を容易に確認することができる。なお,前記分割プレビューの前記印刷対象データの全体における位置を特定することのできる表示態様はここで説明したものに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る複合機Xに設けられた操作表示部5の表示画面全体を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る複合機Xにおいて実行される印刷プレビュー表示処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係る複合機Xにおいて実行される分割プレビュー生成処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【図5】印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の実行結果の一例を説明するための図。
【図6】印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の実行結果の一例を説明するための図。
【図7】印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の実行結果の一例を説明するための図。
【図8】印刷プレビュー表示処理及び分割プレビュー生成処理の実行結果の一例を説明するための図。
【符号の説明】
【0030】
1:画像読取部
2:画像処理部
3:画像形成部
4:定着装置
5:操作表示部
6:制御部
51:印刷設定部
52:印刷プレビュー表示部
521:プレビュー表示領域
522:プレビュー表示キー
523a〜523e:プレビュー操作キー
524a〜524d:分割数設定キー
S1,S2…:処理手順(ステップ)番号
S31,S32…:処理手順(ステップ)番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象データについての印刷結果を予め確認するための印刷プレビューが表示される印刷プレビュー表示手段と,前記印刷対象データの1ページ毎の前記印刷プレビューを予め設定された分割数で分割した複数の分割プレビューを前記印刷プレビュー表示手段に個別に拡大表示させる分割プレビュー表示手段とを備えてなる画像形成装置であって,
前記分割プレビュー表示手段が,前記印刷プレビューを前記分割数で分割したときの前記分割プレビュー各々の境界よりも予め設定された所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビュー各々として前記印刷プレビュー表示手段に個別に拡大表示させるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記分割プレビュー表示手段が,前記印刷プレービューを分割するときの境界線上に文字が存在することを条件に,該境界よりも前記所定幅だけ広い範囲を前記分割プレビューとするものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記境界線上に存在する文字のサイズを検出する文字サイズ検出手段と,
前記文字サイズ検出手段による検出結果に基づいて前記境界線上に存在する文字の外縁に至る幅を前記所定幅として設定する範囲設定手段とを更に備えてなる請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記分割プレビュー表示手段が,予め設定された所定時間間隔で複数の前記分割プレビューを順次表示させるものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記分割プレビュー表示手段が,前記分割プレビュー各々における空白が予め設定された上限量以上である場合に該分割プレビューを表示対象から除外するものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
所定の操作手段への操作入力に応じて前記分割数を設定する分割数設定手段を更に備えてなる請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記分割プレービュー表示手段により表示されている前記分割プレービューの前記印刷対象データにおける位置を表示するプレビュー位置表示手段を更に備えてなる請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記分割プレビュー表示手段が,前記印刷対象データの1ページ毎の前記印刷プレビューを前記分割数で均等に分割するものである請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−154036(P2010−154036A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327868(P2008−327868)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】