画像形成装置
【課題】集音手段によって画像形成部の音を集音し、集音した音に基づいて異常の有無を判断することにより、画像形成部における各部分の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、画像形成部の駆動を確実に停止させることができ、安全性を向上させるようにする。
【解決手段】媒体上に画像を形成する画像形成装置10であって、前記画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の音を集音する集音手段と、該集音手段が集音した音に基づき前記画像形成部の状態を判断する状態判断手段と、該状態判断手段の判断結果に基づき前記画像形成部の駆動を制御する制御手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段とを有する。
【解決手段】媒体上に画像を形成する画像形成装置10であって、前記画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の音を集音する集音手段と、該集音手段が集音した音に基づき前記画像形成部の状態を判断する状態判断手段と、該状態判断手段の判断結果に基づき前記画像形成部の駆動を制御する制御手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置においては、アクチュエータを駆動するための駆動電圧波形を観測して、該駆動電圧波形が正常時と比べて長くなったことを検出すると、異常が発生したものと判断し、画像形成装置の動作を停止させるとともに、電源部から画像形成装置の各部への駆動電力の供給を停止させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−54523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の画像形成装置においては、アクチュエータの異常を検出することはできても、機構部分の故障の予兆を捕らえることができなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の画像形成装置の問題点を解決して、集音手段によって画像形成部の音を集音し、集音した音に基づいて異常の有無を判断することにより、画像形成部における各部分の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、画像形成部の駆動を確実に停止させることができる安全性の高い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の画像形成装置においては、媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、前記画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の音を集音する集音手段と、該集音手段が集音した音に基づき前記画像形成部の状態を判断する状態判断手段と、該状態判断手段の判断結果に基づき前記画像形成部の駆動を制御する制御手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置は、集音手段によって画像形成部の音を集音し、集音した音に基づいて異常の有無を判断する。これにより、画像形成部における各部分の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、画像形成部の駆動を確実に停止させることができ、安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【0009】
図において、10は画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよい。本実施の形態においては、前記画像形成装置10が、電子写真方式によって画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。なお、前記画像形成装置10は、カラー画像を形成する装置であってもよいが、ここでは、モノクロ画像を形成する装置であるものとする。
【0010】
この場合、前記画像形成装置10の内部には、画像形成部としての電子写真プロセス部16及び定着ユニット15が、媒体としての用紙の搬送路である用紙ルートAに沿って配設されている。そして、用紙カセット21iに積層されてセットされた用紙は、ホッピングローラ21aによって1枚ずつ分離された状態で給紙され、用紙ルートAの矢印で示される方向に搬送されて、レジストローラ21c及びプレッシャローラ21dに送り込まれる。
【0011】
続いて、用紙は、レジストローラ21c及びプレッシャローラ21dによって所定のタイミングで送り出され、用紙ルートAに沿って搬送される途中で、電子写真プロセス部16により形成された現像剤像としてのトナー像が転写される。なお、前記用紙ルートAには、用紙の位置や幅を検出する用紙センサ21e、紙幅検出センサ21f及び排出センサレバー21hが配設されている。
【0012】
そして、用紙が定着ユニット15に送り込まれると、該定着ユニット15によって定着プロセスが行われ、トナー像を加温及び加圧することにより、該トナー像が用紙に定着される。なお、前記定着ユニット15は、ハロゲンランプ15bを内蔵するヒートローラ15a及びバックアップローラ21gを備える。続いて、トナー像が定着された用紙は、用紙ルートAに沿って搬送され、排出ローラ21jによって、画像形成装置10の外部に排出される。
【0013】
ここで、電子写真プロセス部16は、現像剤としてのトナーを収容するトナーカートリッジ16aと、筐(きょう)体の中に、像担持体としての感光体ドラム、該感光体ドラムを帯電させる帯電部材としての帯電ローラ、感光体ドラム上の静電潜像を現像する現像部材としての現像ローラ、クリーニングブレード等を収容したイメージドラムユニット16bと、用紙ルートAを挟んで感光体ドラムに対向するように配設された転写装置としての転写ローラ16cとを備える。
【0014】
また、前記イメージドラムユニット16bに近接して、静電潜像書込装置としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド17が配設されている。該LEDヘッド17は、発光素子としてのLEDを備え、イメージデータに基づいて感光体ドラムの表面を露光して静電潜像を形成する。なお、イメージドラムユニット16bの感光体ドラム等は、メインモータ22によって回転駆動される。また、レジストローラ21cは、レジストモータ21bによって回転駆動される。
【0015】
さらに、前記画像形成装置10は、定着ユニット15等に低電圧の電力を供給する低圧電源回路部11と、電子写真プロセス部16等に高電圧の電力を供給する高圧電源回路部14と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御回路部12とを有する。なお、前記低圧電源回路部11はACスイッチ11bを内蔵する。また、前記画像形成装置10は、ユーザが操作する操作パネル23と、図示されない音センサとしてのマイク及び増幅回路が実装されている集音手段としての集音回路部13とを有する。
【0016】
次に、前記画像形成装置10の制御システムについて説明する。
【0017】
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図に示されるように、制御回路部12は、演算手段としてのプロセッサであるCPU12aと、アナログデジタル変換手段としてのADコンバータ12bと、CPU12aが内蔵する計時手段としてのタイマ12cと、磁気ディスク、半導体メモリ等から成る第1の記憶手段12d及び第2の記憶手段12eとを備える。そして、セントロニクスインターフェイス、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、LAN(Local Area Network)インターフェイス等を介して、図示されないパーソナルコンピュータ等の上位装置と接続されている。
【0019】
また、21は、用紙ルートAに沿って用紙を搬送するための用紙送り機構部であり、レジストモータ21bを含んでいる。
【0020】
さらに、低圧電源回路部11は、ACスイッチ11bとともに、定着ユニット15に駆動電力を供給するためのゲート素子であるサイリスタ11aを内蔵する。そして、前記低圧電源回路部11は、制御回路部12及び高圧電源回路部14に+5〔V〕の電圧で電力を供給する。なお、高圧電源回路部14は、電子写真プロセス部16へ高圧の電力を供給する。
【0021】
また、集音回路部13には低圧電源回路部11から+5〔V〕の電圧で電力が供給される。なお、前記集音回路部13の出力は、制御回路部12のADコンバータ12bに入力される。また、定着ユニット15のハロゲンランプ15bには、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部11から駆動用の電力が供給される。さらに、電子写真プロセス部16のイメージドラムユニット16bには、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、高圧電源回路部14から高圧の電力が供給される。さらに、LEDヘッド17には、低圧電源回路部11から+5〔V〕の電圧で電力が供給される。なお、LEDヘッド17の動作は、制御回路部12によって制御される。
【0022】
そして、用紙送り機構部21のレジストモータ21bには、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部11から駆動用の電力が供給される。また、メインモータ22には、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部11から駆動用の電力が供給される。
【0023】
さらに、操作パネル23は、画像形成装置10の初期設定値を変更するためのスイッチ、及び、画像形成装置10の状態表示を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)表示パネルを備え、制御回路部12と接続されている。
【0024】
本実施の形態において、該制御回路部12は、集音手段が集音した音に基づき画像形成部の状態を判断する状態判断手段、及び、該状態判断手段の判断結果に基づき画像形成部の駆動を制御する制御手段として機能し、前記操作パネル23は、状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段として機能する。
【0025】
次に、騒音を集音するための集音回路部13の回路構成について説明する。
【0026】
図3は本発明の第1の実施の形態における集音回路部の回路構成を示す図である。
【0027】
図において、MICは集音用のマイクであり、本実施の形態においては、コンデンサマイクである。そして、R6は、コンデンサマイクMICが集音した騒音の大きさに比例した電圧を検出するためにバイアス電圧を印加する抵抗である。C1は、カップリングコンデンサであり、直流成分を除去し、交流成分を通過させるために接続されている。
【0028】
また、抵抗R1、R2、及び、オペレーショナルアンプCOMP1から成る回路部分は反転増幅回路であり、増幅率は−R2/R1である。C2は、C1と同様の動作を行うカップリングコンデンサである。さらに、抵抗R3、R4、及び、オペレーショナルアンプCOMP2から成る回路部分も反転増幅回路であり、増幅率は−R4/R3である。
【0029】
したがって、集音回路部13としての増幅率はR2/R1*R4/R3である。
【0030】
また、前記オペレーショナルアンプCOMP1及びCOMP2の非判定入力に接続されている抵抗R5とR6との分圧によって、増幅出力の中心値が設定されている。なお、カップリングコンデンサC3及びC4は、ノイズ除去用に追加されている。
【0031】
次に、前記構成の画像形成装置10の動作について説明する。まず、印刷を開始するまでの動作について説明する。
【0032】
まず、ユーザが、低圧電源回路部11のACスイッチ11bを入れると、低圧電源回路部11に交流電圧が印加されて制御回路部12が動作を開始する。該制御回路部12が動作を開始すると、第1の記憶手段12d及び第2の記憶手段12eの初期化処理(制御回路部12のイニシャル動作)が行われる。そして、制御回路部12のイニシャル動作が完了すると、画像形成装置10の電子写真プロセス部16、定着ユニット15及びメインモータ22に駆動用の電力が供給されて、機構部の初期化処理が行われる。そして、前記画像形成装置10全体の初期化処理が完了すると、印刷動作が可能になり、画像形成装置10は、印刷待機状態となる。
【0033】
該印刷待機状態において、制御回路部12に接続されているセントロニクスインターフェイス、USBケーブル、LANインターフェイス等を介して、上位装置から印刷起動の命令を受信すると、画像形成装置10は印刷動作を開始する。
【0034】
次に、前記画像形成装置10が発生する騒音について説明する。
【0035】
図4は本発明の第1の実施の形態における騒音値指標のデータ構造を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるイニシャル動作中の騒音周波数特性を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における印刷動作中の騒音周波数特性を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における待機中の騒音周波数特性を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における暗ノイズの騒音周波数特性を示す図である。なお、図4において、(a)はイニシャル動作中、(b)は印刷動作中、(c)は待機中における騒音値指標のデータ構造を示す図である。
【0036】
図1に示されるように、本実施の形態における集音回路部13は、定着ユニット15の近くにおいて該定着ユニット15に対向して配設されている。これにより、集音回路部13は、画像形成装置10のイニシャル動作中、印刷動作中及び待機中に定着ユニット15が発生する騒音を捕らえることができる。
【0037】
そして、図5〜7には、正常時、すなわち、異常が発生していない場合において、画像形成装置10のイニシャル動作中、印刷動作中及び待機中に定着ユニット15が発生する騒音の周波数特性のデータが、それぞれ、示されている。なお、図5〜7に示されるデータは、図4(a)〜(c)に示されるように、各周波数に対応した電圧値に変換された状態で、あらかじめ制御回路部12の騒音データ記憶手段としての第1の記憶手段12dに格納されている。
【0038】
また、図8には、暗ノイズ、すなわち、バックグラウンドノイズの周波数特性として、画像形成装置10における定着ユニット15以外の部分が発生する騒音の周波数特性のデータが示されている。
【0039】
次に、前記定着ユニット15の異常をどのように検出するかについて説明する。
【0040】
例えば、定着ユニット15のヒートローラ15aの内部に異常がある場合には、具体的には、ヒートローラ15aに内蔵されたハロゲンランプ15bが通電状態のままである場合には、ハロゲンランプ15bのパルス駆動が行われておらず、周波数1000〔Hz〕付近の騒音がなくなる特徴がある。この特徴を検出することで、ハロゲンランプ15bの駆動異常を検出することが可能である。
【0041】
次に、前記画像形成装置10の基本動作について説明する。
【0042】
図9は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本動作を示すフローチャートである。
【0043】
まず、制御回路部12は画像形成装置10の状態監視を行う。続いて、制御回路部12は起動開始状態であるか否かを判断する。そして、起動開始状態である場合、制御回路部12は起動時の騒音監視処理を行う。
【0044】
また、起動開始状態でない場合、制御回路部12は待機開始状態であるか否かを判断する。そして、待機開始状態である場合、制御回路部12は待機時の騒音監視処理を行う。
【0045】
また、待機開始状態でない場合、制御回路部12は印刷開始状態であるか否かを判断する。そして、印刷開始状態である場合、制御回路部12は印刷時の騒音監視処理を行う。
【0046】
また、起動開始状態、待機開始状態又は印刷開始状態のいずれでもない場合、制御回路部12は、現状の画像形成装置10の各種制御処理を継続して行う。
【0047】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 画像形成装置10の状態監視を行う。
ステップS2 起動開始状態であるか否かを判断する。起動開始状態でない場合はステップS3に進み、起動開始状態である場合はステップS5に進む。
ステップS3 待機開始状態であるか否かを判断する。待機開始状態でない場合はステップS4に進み、待機開始状態である場合はステップS6に進む。
ステップS4 印刷開始状態であるか否かを判断する。印刷開始状態でない場合はステップS8に進み、印刷開始状態である場合はステップS7に進む。
ステップS5 起動時の騒音監視処理を行う。
ステップS6 待機時の騒音監視処理を行う。
ステップS7 印刷時の騒音監視処理を行う。
ステップS8 現状の画像形成装置10の各種制御処理を継続して行う。
【0048】
次に、騒音監視処理の動作について説明する。
【0049】
図10は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の騒音監視処理の動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、制御回路部12はサンプリングカウンタ値Nに0を入れる。次に、制御回路部12は、サンプリング周期TSを制御回路部12のCPU12aが内蔵するタイマ12cにセットする。該タイマ12cがタイムアウトすると、制御回路部12は、集音回路から信号電圧VINを読み取り、内部記憶手段2に格納する。具体的には、ADコンバータ12bが集音回路部13からの出力電圧VOUTを読み取り、第2の記憶手段12eに信号データA(N)として格納する。
【0051】
続いて、制御回路部12は、サンプリングカウンタ値Nをインクリメントし、N+1とする。続いて、制御回路部12は、サンプリングカウンタ値Nがあらかじめ設定されているサンプリング数が最大値Nmaxであるか否かを判断し、サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxとなるまでサンプリングを継続する。
【0052】
そして、サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxになったら、すなわち、サンプリングをNmax回行ったら、制御回路部12は、第2の記憶手段12eに取り込んだ信号データA(N)のフーリエ変換処理を行い、演算結果を波形データH(N)として第2の記憶手段12eに格納する。
【0053】
次に、制御回路部12は、あらかじめ第1の記憶手段12dに格納されている正常時の波形データR(N)と取り込んだ波形データH(N)との比較を、次の式(1)によって行い、その演算結果をMACHとする。
MACH=√(H(f1)−R(f1))2 +(H(f2)−R(f2))2
+(H(f3)−R(f3))2 +(H(f4)−R(f4))2
+(H(f5)−R(f5))2 ・・・式(1)
続いて、制御回路部12は、演算結果MACHがあらかじめ設定されている基準値REFを超えたか否か、すなわち、MACH>REFであるか否かを判断する。そして、MACH>REFである場合は、制御回路部12は、定着ユニット15の異常を検出したものとして、異常検出アラームを出力する。該異常検出アラームは、例えば、操作パネル23のLCD表示パネルに表示されることによって出力される。また、異常を検出したら、制御回路部12は、低圧電源回路部11のゲート素子であるサイリスタ11aのゲートを閉じ、定着ユニット15の駆動を停止させる。
【0054】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 サンプリングカウンタ値Nに0を入れる。
ステップS12 サンプリング周期TSを制御回路部12のCPU12aが内蔵するタイマ12cにセットする。
ステップS13 タイマ12cがタイムアウトか否かを判断する。タイムアウトの場合はステップS14に進み、タイムアウトでない場合はそのまま待機する。
ステップS14 集音回路から信号電圧VINを読み取り、内部記憶手段2に格納する。
ステップS15 サンプリングカウンタ値Nをインクリメントし、N+1とする。
ステップS16 サンプリングカウンタ値Nがあらかじめ設定されているサンプリング数が最大値Nmaxであるか否かを判断する。サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxである場合はステップS17に進み、サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxでない場合はステップS12に戻る。
ステップS17 第2の記憶手段12eに取り込んだ信号データA(N)のフーリエ変換処理を行い、演算結果を波形データH(N)として第2の記憶手段12eに格納する。
ステップS18 正常時の波形データR(N)と取り込んだ波形データH(N)との比較を、前記式(1)によって行い、その演算結果をMACHとする。
ステップS19 MACH>REFであるか否かを判断する。MACH>REFである場合はステップS20に進み、MACH>REFでない場合は、定着ユニット15の駆動を停止させる。
ステップS20 定着ユニット15の異常を検出したものとして、異常検出アラームを出力する。
【0055】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10の定着ユニット15に対向する位置に集音回路部13を配設し、集音回路部13の出力をAD変換した信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納する。そして、サンプル数Nmax個の信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納すると、格納された信号データA(N)をフーリエ変換して波形データH(N)とする。さらに、該波形データH(N)と、あらかじめ第1の記憶手段12dに格納されている正常時の騒音を示す波形データR(N)とを比較する演算を行い、演算結果があらかじめ設定されている値REFを超えたら、定着ユニット15に異常が発生したものとして、該定着ユニット15の駆動を停止させる。
【0056】
これにより、定着ユニット15の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、定着ユニット15の駆動を確実に停止させることができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0058】
図11は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【0059】
前記第1の実施の形態においては、集音回路部13が定着ユニット15の近くにおいて該定着ユニット15に対向して配設されているのに対し、本実施の形態においては、図に示されるように、集音回路部13は、低圧電源回路部11のACスイッチ11bに隣接した位置に配設されている。これにより、集音回路部13は、画像形成装置10のイニシャル動作中、印刷動作中及び待機中にACスイッチ11bが発生する騒音を捕らえることができる。本実施の形態において、低圧電源回路部11は、集音手段による集音の対象としての画像形成部の一部として把握される。
【0060】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。ここでは、前記低圧電源回路部11の異常をどのように検出するかについて説明する。
【0062】
例えば、低圧電源回路部11のACスイッチ11bのはんだ付け箇所にはんだクラック等の接触不良がある場合、スパーク等の現象によって、騒音に周波数5000〔Hz〕付近のスペクトルが発生する特徴がある。この特徴を検出することで、低圧電源回路部11の駆動異常を検出することが可能である。
【0063】
なお、その他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10の低圧電源回路部11のACスイッチ11bに隣接する位置に集音回路部13を配設し、該集音回路部13の出力をAD変換した信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納する。そして、サンプル数Nmax個の信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納すると、格納された信号データA(N)をフーリエ変換して波形データH(N)とする。さらに、該波形データH(N)と、あらかじめ第1の記憶手段12dに格納されている正常時の騒音を示す波形データR(N)とを比較する演算を行い、演算結果があらかじめ設定されている値REFを超えたら、低圧電源回路部11に異常が発生したものとして、該低圧電源回路部11の駆動を停止させる。
【0065】
これにより、低圧電源回路部11の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、低圧電源回路部11の駆動を確実に停止させることができる。
【0066】
なお、前記第1及び第2の実施の形態では、画像形成装置10がプリンタである例について説明したが、本発明は、集音回路部13を装着することができるのであれば、画像形成装置10が複写機、ファクシミリ等のような装置である場合にも、適用することが可能である。
【0067】
また、前記第2の実施の形態では、集音回路部13を低圧電源回路部11のACスイッチ11bに隣接して配設し、該低圧電源回路部11のACスイッチ11bにはんだクラックが発生した場合に生じるスパークによる騒音を監視することについて説明したが、複数の集音回路部13を画像形成装置10の他のアクチュエータ近傍に配設すれば、複合した騒音の監視が可能である。
【0068】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における集音回路部の回路構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における騒音値指標のデータ構造を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるイニシャル動作中の騒音周波数特性を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における印刷動作中の騒音周波数特性を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における待機中の騒音周波数特性を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における暗ノイズの騒音周波数特性を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の騒音監視処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置
12 制御回路部
12d 第1の記憶手段
13 集音回路部
16 電子写真プロセス部
23 操作パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置においては、アクチュエータを駆動するための駆動電圧波形を観測して、該駆動電圧波形が正常時と比べて長くなったことを検出すると、異常が発生したものと判断し、画像形成装置の動作を停止させるとともに、電源部から画像形成装置の各部への駆動電力の供給を停止させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−54523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の画像形成装置においては、アクチュエータの異常を検出することはできても、機構部分の故障の予兆を捕らえることができなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の画像形成装置の問題点を解決して、集音手段によって画像形成部の音を集音し、集音した音に基づいて異常の有無を判断することにより、画像形成部における各部分の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、画像形成部の駆動を確実に停止させることができる安全性の高い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の画像形成装置においては、媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、前記画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の音を集音する集音手段と、該集音手段が集音した音に基づき前記画像形成部の状態を判断する状態判断手段と、該状態判断手段の判断結果に基づき前記画像形成部の駆動を制御する制御手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置は、集音手段によって画像形成部の音を集音し、集音した音に基づいて異常の有無を判断する。これにより、画像形成部における各部分の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、画像形成部の駆動を確実に停止させることができ、安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【0009】
図において、10は画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよい。本実施の形態においては、前記画像形成装置10が、電子写真方式によって画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。なお、前記画像形成装置10は、カラー画像を形成する装置であってもよいが、ここでは、モノクロ画像を形成する装置であるものとする。
【0010】
この場合、前記画像形成装置10の内部には、画像形成部としての電子写真プロセス部16及び定着ユニット15が、媒体としての用紙の搬送路である用紙ルートAに沿って配設されている。そして、用紙カセット21iに積層されてセットされた用紙は、ホッピングローラ21aによって1枚ずつ分離された状態で給紙され、用紙ルートAの矢印で示される方向に搬送されて、レジストローラ21c及びプレッシャローラ21dに送り込まれる。
【0011】
続いて、用紙は、レジストローラ21c及びプレッシャローラ21dによって所定のタイミングで送り出され、用紙ルートAに沿って搬送される途中で、電子写真プロセス部16により形成された現像剤像としてのトナー像が転写される。なお、前記用紙ルートAには、用紙の位置や幅を検出する用紙センサ21e、紙幅検出センサ21f及び排出センサレバー21hが配設されている。
【0012】
そして、用紙が定着ユニット15に送り込まれると、該定着ユニット15によって定着プロセスが行われ、トナー像を加温及び加圧することにより、該トナー像が用紙に定着される。なお、前記定着ユニット15は、ハロゲンランプ15bを内蔵するヒートローラ15a及びバックアップローラ21gを備える。続いて、トナー像が定着された用紙は、用紙ルートAに沿って搬送され、排出ローラ21jによって、画像形成装置10の外部に排出される。
【0013】
ここで、電子写真プロセス部16は、現像剤としてのトナーを収容するトナーカートリッジ16aと、筐(きょう)体の中に、像担持体としての感光体ドラム、該感光体ドラムを帯電させる帯電部材としての帯電ローラ、感光体ドラム上の静電潜像を現像する現像部材としての現像ローラ、クリーニングブレード等を収容したイメージドラムユニット16bと、用紙ルートAを挟んで感光体ドラムに対向するように配設された転写装置としての転写ローラ16cとを備える。
【0014】
また、前記イメージドラムユニット16bに近接して、静電潜像書込装置としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド17が配設されている。該LEDヘッド17は、発光素子としてのLEDを備え、イメージデータに基づいて感光体ドラムの表面を露光して静電潜像を形成する。なお、イメージドラムユニット16bの感光体ドラム等は、メインモータ22によって回転駆動される。また、レジストローラ21cは、レジストモータ21bによって回転駆動される。
【0015】
さらに、前記画像形成装置10は、定着ユニット15等に低電圧の電力を供給する低圧電源回路部11と、電子写真プロセス部16等に高電圧の電力を供給する高圧電源回路部14と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御回路部12とを有する。なお、前記低圧電源回路部11はACスイッチ11bを内蔵する。また、前記画像形成装置10は、ユーザが操作する操作パネル23と、図示されない音センサとしてのマイク及び増幅回路が実装されている集音手段としての集音回路部13とを有する。
【0016】
次に、前記画像形成装置10の制御システムについて説明する。
【0017】
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図に示されるように、制御回路部12は、演算手段としてのプロセッサであるCPU12aと、アナログデジタル変換手段としてのADコンバータ12bと、CPU12aが内蔵する計時手段としてのタイマ12cと、磁気ディスク、半導体メモリ等から成る第1の記憶手段12d及び第2の記憶手段12eとを備える。そして、セントロニクスインターフェイス、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、LAN(Local Area Network)インターフェイス等を介して、図示されないパーソナルコンピュータ等の上位装置と接続されている。
【0019】
また、21は、用紙ルートAに沿って用紙を搬送するための用紙送り機構部であり、レジストモータ21bを含んでいる。
【0020】
さらに、低圧電源回路部11は、ACスイッチ11bとともに、定着ユニット15に駆動電力を供給するためのゲート素子であるサイリスタ11aを内蔵する。そして、前記低圧電源回路部11は、制御回路部12及び高圧電源回路部14に+5〔V〕の電圧で電力を供給する。なお、高圧電源回路部14は、電子写真プロセス部16へ高圧の電力を供給する。
【0021】
また、集音回路部13には低圧電源回路部11から+5〔V〕の電圧で電力が供給される。なお、前記集音回路部13の出力は、制御回路部12のADコンバータ12bに入力される。また、定着ユニット15のハロゲンランプ15bには、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部11から駆動用の電力が供給される。さらに、電子写真プロセス部16のイメージドラムユニット16bには、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、高圧電源回路部14から高圧の電力が供給される。さらに、LEDヘッド17には、低圧電源回路部11から+5〔V〕の電圧で電力が供給される。なお、LEDヘッド17の動作は、制御回路部12によって制御される。
【0022】
そして、用紙送り機構部21のレジストモータ21bには、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部11から駆動用の電力が供給される。また、メインモータ22には、制御回路部12にあらかじめ組み込まれた制御プログラムに従って、低圧電源回路部11から駆動用の電力が供給される。
【0023】
さらに、操作パネル23は、画像形成装置10の初期設定値を変更するためのスイッチ、及び、画像形成装置10の状態表示を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)表示パネルを備え、制御回路部12と接続されている。
【0024】
本実施の形態において、該制御回路部12は、集音手段が集音した音に基づき画像形成部の状態を判断する状態判断手段、及び、該状態判断手段の判断結果に基づき画像形成部の駆動を制御する制御手段として機能し、前記操作パネル23は、状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段として機能する。
【0025】
次に、騒音を集音するための集音回路部13の回路構成について説明する。
【0026】
図3は本発明の第1の実施の形態における集音回路部の回路構成を示す図である。
【0027】
図において、MICは集音用のマイクであり、本実施の形態においては、コンデンサマイクである。そして、R6は、コンデンサマイクMICが集音した騒音の大きさに比例した電圧を検出するためにバイアス電圧を印加する抵抗である。C1は、カップリングコンデンサであり、直流成分を除去し、交流成分を通過させるために接続されている。
【0028】
また、抵抗R1、R2、及び、オペレーショナルアンプCOMP1から成る回路部分は反転増幅回路であり、増幅率は−R2/R1である。C2は、C1と同様の動作を行うカップリングコンデンサである。さらに、抵抗R3、R4、及び、オペレーショナルアンプCOMP2から成る回路部分も反転増幅回路であり、増幅率は−R4/R3である。
【0029】
したがって、集音回路部13としての増幅率はR2/R1*R4/R3である。
【0030】
また、前記オペレーショナルアンプCOMP1及びCOMP2の非判定入力に接続されている抵抗R5とR6との分圧によって、増幅出力の中心値が設定されている。なお、カップリングコンデンサC3及びC4は、ノイズ除去用に追加されている。
【0031】
次に、前記構成の画像形成装置10の動作について説明する。まず、印刷を開始するまでの動作について説明する。
【0032】
まず、ユーザが、低圧電源回路部11のACスイッチ11bを入れると、低圧電源回路部11に交流電圧が印加されて制御回路部12が動作を開始する。該制御回路部12が動作を開始すると、第1の記憶手段12d及び第2の記憶手段12eの初期化処理(制御回路部12のイニシャル動作)が行われる。そして、制御回路部12のイニシャル動作が完了すると、画像形成装置10の電子写真プロセス部16、定着ユニット15及びメインモータ22に駆動用の電力が供給されて、機構部の初期化処理が行われる。そして、前記画像形成装置10全体の初期化処理が完了すると、印刷動作が可能になり、画像形成装置10は、印刷待機状態となる。
【0033】
該印刷待機状態において、制御回路部12に接続されているセントロニクスインターフェイス、USBケーブル、LANインターフェイス等を介して、上位装置から印刷起動の命令を受信すると、画像形成装置10は印刷動作を開始する。
【0034】
次に、前記画像形成装置10が発生する騒音について説明する。
【0035】
図4は本発明の第1の実施の形態における騒音値指標のデータ構造を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるイニシャル動作中の騒音周波数特性を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における印刷動作中の騒音周波数特性を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における待機中の騒音周波数特性を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における暗ノイズの騒音周波数特性を示す図である。なお、図4において、(a)はイニシャル動作中、(b)は印刷動作中、(c)は待機中における騒音値指標のデータ構造を示す図である。
【0036】
図1に示されるように、本実施の形態における集音回路部13は、定着ユニット15の近くにおいて該定着ユニット15に対向して配設されている。これにより、集音回路部13は、画像形成装置10のイニシャル動作中、印刷動作中及び待機中に定着ユニット15が発生する騒音を捕らえることができる。
【0037】
そして、図5〜7には、正常時、すなわち、異常が発生していない場合において、画像形成装置10のイニシャル動作中、印刷動作中及び待機中に定着ユニット15が発生する騒音の周波数特性のデータが、それぞれ、示されている。なお、図5〜7に示されるデータは、図4(a)〜(c)に示されるように、各周波数に対応した電圧値に変換された状態で、あらかじめ制御回路部12の騒音データ記憶手段としての第1の記憶手段12dに格納されている。
【0038】
また、図8には、暗ノイズ、すなわち、バックグラウンドノイズの周波数特性として、画像形成装置10における定着ユニット15以外の部分が発生する騒音の周波数特性のデータが示されている。
【0039】
次に、前記定着ユニット15の異常をどのように検出するかについて説明する。
【0040】
例えば、定着ユニット15のヒートローラ15aの内部に異常がある場合には、具体的には、ヒートローラ15aに内蔵されたハロゲンランプ15bが通電状態のままである場合には、ハロゲンランプ15bのパルス駆動が行われておらず、周波数1000〔Hz〕付近の騒音がなくなる特徴がある。この特徴を検出することで、ハロゲンランプ15bの駆動異常を検出することが可能である。
【0041】
次に、前記画像形成装置10の基本動作について説明する。
【0042】
図9は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本動作を示すフローチャートである。
【0043】
まず、制御回路部12は画像形成装置10の状態監視を行う。続いて、制御回路部12は起動開始状態であるか否かを判断する。そして、起動開始状態である場合、制御回路部12は起動時の騒音監視処理を行う。
【0044】
また、起動開始状態でない場合、制御回路部12は待機開始状態であるか否かを判断する。そして、待機開始状態である場合、制御回路部12は待機時の騒音監視処理を行う。
【0045】
また、待機開始状態でない場合、制御回路部12は印刷開始状態であるか否かを判断する。そして、印刷開始状態である場合、制御回路部12は印刷時の騒音監視処理を行う。
【0046】
また、起動開始状態、待機開始状態又は印刷開始状態のいずれでもない場合、制御回路部12は、現状の画像形成装置10の各種制御処理を継続して行う。
【0047】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 画像形成装置10の状態監視を行う。
ステップS2 起動開始状態であるか否かを判断する。起動開始状態でない場合はステップS3に進み、起動開始状態である場合はステップS5に進む。
ステップS3 待機開始状態であるか否かを判断する。待機開始状態でない場合はステップS4に進み、待機開始状態である場合はステップS6に進む。
ステップS4 印刷開始状態であるか否かを判断する。印刷開始状態でない場合はステップS8に進み、印刷開始状態である場合はステップS7に進む。
ステップS5 起動時の騒音監視処理を行う。
ステップS6 待機時の騒音監視処理を行う。
ステップS7 印刷時の騒音監視処理を行う。
ステップS8 現状の画像形成装置10の各種制御処理を継続して行う。
【0048】
次に、騒音監視処理の動作について説明する。
【0049】
図10は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の騒音監視処理の動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、制御回路部12はサンプリングカウンタ値Nに0を入れる。次に、制御回路部12は、サンプリング周期TSを制御回路部12のCPU12aが内蔵するタイマ12cにセットする。該タイマ12cがタイムアウトすると、制御回路部12は、集音回路から信号電圧VINを読み取り、内部記憶手段2に格納する。具体的には、ADコンバータ12bが集音回路部13からの出力電圧VOUTを読み取り、第2の記憶手段12eに信号データA(N)として格納する。
【0051】
続いて、制御回路部12は、サンプリングカウンタ値Nをインクリメントし、N+1とする。続いて、制御回路部12は、サンプリングカウンタ値Nがあらかじめ設定されているサンプリング数が最大値Nmaxであるか否かを判断し、サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxとなるまでサンプリングを継続する。
【0052】
そして、サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxになったら、すなわち、サンプリングをNmax回行ったら、制御回路部12は、第2の記憶手段12eに取り込んだ信号データA(N)のフーリエ変換処理を行い、演算結果を波形データH(N)として第2の記憶手段12eに格納する。
【0053】
次に、制御回路部12は、あらかじめ第1の記憶手段12dに格納されている正常時の波形データR(N)と取り込んだ波形データH(N)との比較を、次の式(1)によって行い、その演算結果をMACHとする。
MACH=√(H(f1)−R(f1))2 +(H(f2)−R(f2))2
+(H(f3)−R(f3))2 +(H(f4)−R(f4))2
+(H(f5)−R(f5))2 ・・・式(1)
続いて、制御回路部12は、演算結果MACHがあらかじめ設定されている基準値REFを超えたか否か、すなわち、MACH>REFであるか否かを判断する。そして、MACH>REFである場合は、制御回路部12は、定着ユニット15の異常を検出したものとして、異常検出アラームを出力する。該異常検出アラームは、例えば、操作パネル23のLCD表示パネルに表示されることによって出力される。また、異常を検出したら、制御回路部12は、低圧電源回路部11のゲート素子であるサイリスタ11aのゲートを閉じ、定着ユニット15の駆動を停止させる。
【0054】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 サンプリングカウンタ値Nに0を入れる。
ステップS12 サンプリング周期TSを制御回路部12のCPU12aが内蔵するタイマ12cにセットする。
ステップS13 タイマ12cがタイムアウトか否かを判断する。タイムアウトの場合はステップS14に進み、タイムアウトでない場合はそのまま待機する。
ステップS14 集音回路から信号電圧VINを読み取り、内部記憶手段2に格納する。
ステップS15 サンプリングカウンタ値Nをインクリメントし、N+1とする。
ステップS16 サンプリングカウンタ値Nがあらかじめ設定されているサンプリング数が最大値Nmaxであるか否かを判断する。サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxである場合はステップS17に進み、サンプリングカウンタ値Nが最大値Nmaxでない場合はステップS12に戻る。
ステップS17 第2の記憶手段12eに取り込んだ信号データA(N)のフーリエ変換処理を行い、演算結果を波形データH(N)として第2の記憶手段12eに格納する。
ステップS18 正常時の波形データR(N)と取り込んだ波形データH(N)との比較を、前記式(1)によって行い、その演算結果をMACHとする。
ステップS19 MACH>REFであるか否かを判断する。MACH>REFである場合はステップS20に進み、MACH>REFでない場合は、定着ユニット15の駆動を停止させる。
ステップS20 定着ユニット15の異常を検出したものとして、異常検出アラームを出力する。
【0055】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10の定着ユニット15に対向する位置に集音回路部13を配設し、集音回路部13の出力をAD変換した信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納する。そして、サンプル数Nmax個の信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納すると、格納された信号データA(N)をフーリエ変換して波形データH(N)とする。さらに、該波形データH(N)と、あらかじめ第1の記憶手段12dに格納されている正常時の騒音を示す波形データR(N)とを比較する演算を行い、演算結果があらかじめ設定されている値REFを超えたら、定着ユニット15に異常が発生したものとして、該定着ユニット15の駆動を停止させる。
【0056】
これにより、定着ユニット15の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、定着ユニット15の駆動を確実に停止させることができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0058】
図11は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【0059】
前記第1の実施の形態においては、集音回路部13が定着ユニット15の近くにおいて該定着ユニット15に対向して配設されているのに対し、本実施の形態においては、図に示されるように、集音回路部13は、低圧電源回路部11のACスイッチ11bに隣接した位置に配設されている。これにより、集音回路部13は、画像形成装置10のイニシャル動作中、印刷動作中及び待機中にACスイッチ11bが発生する騒音を捕らえることができる。本実施の形態において、低圧電源回路部11は、集音手段による集音の対象としての画像形成部の一部として把握される。
【0060】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。ここでは、前記低圧電源回路部11の異常をどのように検出するかについて説明する。
【0062】
例えば、低圧電源回路部11のACスイッチ11bのはんだ付け箇所にはんだクラック等の接触不良がある場合、スパーク等の現象によって、騒音に周波数5000〔Hz〕付近のスペクトルが発生する特徴がある。この特徴を検出することで、低圧電源回路部11の駆動異常を検出することが可能である。
【0063】
なお、その他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
このように、本実施の形態においては、画像形成装置10の低圧電源回路部11のACスイッチ11bに隣接する位置に集音回路部13を配設し、該集音回路部13の出力をAD変換した信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納する。そして、サンプル数Nmax個の信号データA(N)を第2の記憶手段12eに格納すると、格納された信号データA(N)をフーリエ変換して波形データH(N)とする。さらに、該波形データH(N)と、あらかじめ第1の記憶手段12dに格納されている正常時の騒音を示す波形データR(N)とを比較する演算を行い、演算結果があらかじめ設定されている値REFを超えたら、低圧電源回路部11に異常が発生したものとして、該低圧電源回路部11の駆動を停止させる。
【0065】
これにより、低圧電源回路部11の故障の予兆を正確に捕らえることができ、故障の予兆を捕らえた場合には、低圧電源回路部11の駆動を確実に停止させることができる。
【0066】
なお、前記第1及び第2の実施の形態では、画像形成装置10がプリンタである例について説明したが、本発明は、集音回路部13を装着することができるのであれば、画像形成装置10が複写機、ファクシミリ等のような装置である場合にも、適用することが可能である。
【0067】
また、前記第2の実施の形態では、集音回路部13を低圧電源回路部11のACスイッチ11bに隣接して配設し、該低圧電源回路部11のACスイッチ11bにはんだクラックが発生した場合に生じるスパークによる騒音を監視することについて説明したが、複数の集音回路部13を画像形成装置10の他のアクチュエータ近傍に配設すれば、複合した騒音の監視が可能である。
【0068】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における集音回路部の回路構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における騒音値指標のデータ構造を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるイニシャル動作中の騒音周波数特性を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における印刷動作中の騒音周波数特性を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における待機中の騒音周波数特性を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における暗ノイズの騒音周波数特性を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の騒音監視処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置
12 制御回路部
12d 第1の記憶手段
13 集音回路部
16 電子写真プロセス部
23 操作パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
(b)前記画像を形成する画像形成部と、
(c)該画像形成部の音を集音する集音手段と、
(d)該集音手段が集音した音に基づき前記画像形成部の状態を判断する状態判断手段と、
(e)該状態判断手段の判断結果に基づき前記画像形成部の駆動を制御する制御手段と、
(f)前記状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記状態判断手段は、前記集音手段が集音した音と、あらかじめ騒音データ記憶手段に格納されている騒音の正常値データとを比較して前記画像形成部に異常が発生したか否かを判断する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記状態判断手段が前記画像形成部に異常が発生したと判断すると、前記制御手段は、前記画像形成部の駆動を停止させる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
(a)媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
(b)前記画像を形成する画像形成部と、
(c)該画像形成部の音を集音する集音手段と、
(d)該集音手段が集音した音に基づき前記画像形成部の状態を判断する状態判断手段と、
(e)該状態判断手段の判断結果に基づき前記画像形成部の駆動を制御する制御手段と、
(f)前記状態判断手段の判断結果に基づき該判断結果を出力する出力手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記状態判断手段は、前記集音手段が集音した音と、あらかじめ騒音データ記憶手段に格納されている騒音の正常値データとを比較して前記画像形成部に異常が発生したか否かを判断する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記状態判断手段が前記画像形成部に異常が発生したと判断すると、前記制御手段は、前記画像形成部の駆動を停止させる請求項2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−54558(P2010−54558A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216299(P2008−216299)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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