説明

画像形成装置

【課題】省エネルギー化を図りつつ、加熱ローラの非通紙領域の過熱と排紙後のタッキングを防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】ファンユニット100にて送風管200内に吸引された外気が吹出し口201から吹き出す際に、側壁ガイド301が開いた状態となっているので、吹出し口201の全幅(記録シートの搬送方向に直交する方向における全幅)に亘って風が吹き出す。また、蓋212が開かれているので、吹出し口201から吹き出した風は取込み口211に吹き込む。取込み口211に吹き込んだ風は、仕切り壁602a〜602dによって吹出し口213へ導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、省エネルギー化を図りつつ定着器の部分的な過熱を解消する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機、ファクシミリといった画像形成装置は、常に、印刷速度の高速化を要求されてきた。このため、例えば、定着器がトナーを加熱、溶融して、記録シートに圧着する際の定着温度を上昇させれば、トナーをより早く溶融し記録シートに圧着して定着時間を短縮することができる。
さて、定着器は加熱ローラと加圧ローラとにて記録シートにトナーを圧着するところ、記録シートによって加熱ローラ周面から熱が奪われるので、特に、記録シートを連続通紙する場合には加熱ローラ自体を加熱し続けなければならない。
【0003】
しかしながら、サイズの異なる記録シートに画像を形成する装置において、サイズの小さい記録シート(以下、「小サイズ紙」という。)が連続通紙される場合、加熱ローラ周面の小サイズ紙が通過しない領域(以下、「非通紙領域」という。)は小サイズ紙によって熱を奪われない。
このような理由によって非通紙領域が過熱した状態で大サイズ紙を通紙すると、トナーの過溶融による高温オフセットや光沢ムラが発生するおそれがある。また、更に過熱が進むと、定着ローラや加圧ローラを被覆するPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)チューブ等が溶融、破壊しかねない。
【0004】
このような問題に対して、例えば、電磁誘導加熱方式の画像形成装置において、磁束を加熱ローラへ導く磁性体コアを回転させることによって励磁コイルが発生させる磁束分布を制御する技術が提案されている(特許文献1を参照)。このようにすれば、記録シートのサイズに合わせて磁束分布を制御することにより、非通紙領域の磁束密度を低減して、延いては発熱量を低減することができる。
【特許文献1】特開2005−309146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置の高速化を更に進めると、通紙領域における連続通紙時の温度低下を防ぐために更なる加熱が必要になる。すると、磁束密度を低減するにも限界があるので、非通紙領域の過熱を十分に抑えることができない。
これに対して、ワックス成分を含有する重合トナーのように、より低温で溶融するトナーを用いれば、定着温度をあまり高くすることなく高速化を実現できる可能性がある一方、溶融点温度が高いトナーに比べてトナーが固化し難いので、排紙後に記録シートどうしが貼り付くおそれがある(タッキング)。
【0006】
また、従来技術においては、記録シートのサイズに関わりなく最大出力でファンを駆動して記録シートを冷却している。しかしながら、近年の環境意識の高まりを考えれば、上述のような問題を解決するに際して省エネルギー化を考慮すべきことは言うまでもない。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、省エネルギー化を図りつつ、加熱ローラの非通紙領域の過熱と排紙後のタッキングを防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、加熱回転体にてトナーを溶融して、記録シートに圧着する定着器と、ファンと、記録シートが定着器から機外に至るまでの搬送経路へ、ファンの風を導く第1送風管と、定着時に、加熱回転体周面上の記録シートが通過しない非通紙領域の温度が所定温度よりも高いか低いかを判定する判定手段と、記録シートの搬送方向と直交する方向における記録シート幅が所定幅よりも小さい場合において、非通紙領域の温度が所定温度よりも低ければ、第1送風管の吹出し口の幅方向寸法を当該記録シート幅まで狭める吹出し幅規制手段と、第1送風管の吹出し口の幅方向寸法を狭めるのに併せて、ファンへの給電量を低減する給電制御手段と、非通紙領域の温度が所定温度よりも高い場合のみ、第1送風管から吹き出した風を取り込んで非通紙領域へ導く第2送風管と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、小サイズ紙を通紙する際に、加熱ローラの非通紙領域の温度が所定温度より低ければ第1送風管の吹出し幅を狭めて、ファンへの給電量を低減するので、常に最大出力でファンを駆動する従来技術に比べて省エネルギー化を図りつつ、タッキングを防止することができる。
また、非通紙領域の温度が所定温度より高ければ、ファンの風を当該非通紙領域へ送るので非通紙領域の過熱を防止することができる。
【0009】
なお、この場合において、前記吹出し幅規制手段は、非通紙領域の温度が所定温度よりも高ければ、吹出し口の幅方向寸法を当該記録シート幅よりも大きくしても良い。このようにすれば、より効果的に第2送風管へ、延いては非通紙領域へ風を送ることができる。
また、本発明に係る画像形成装置は、前記吹出し幅規制手段は、記録シート幅が所定幅よりも大きければ、吹出し口の幅方向寸法を当該シート幅以上とすることを特徴とする。このようにすれば、大サイズ紙も確実に冷却することができるので、大サイズ紙のタッキングを防止することができる。
【0010】
この場合において、定着器から機外に至るまでの記録シートの搬送路上において、第1送風管と第2送風管との間隙に記録シートを通紙しても良い。また、前記定着器は、前記第2送風管から吹き出した風を非通紙領域へ導く通風ガイドを備えれば、より効果的に加熱ローラの非通紙領域を冷却することができる。
また、本発明に係る画像形成装置は、前記定着器が、非通紙領域の温度が所定温度よりも高ければ、定着器を通過する記録シートの搬送速度を低減することを特徴とする。このようにしても、加熱ローラの非通紙領域と記録シートとを効果的に冷却することができる。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、加熱回転体にてトナーを溶融して、記録シートに圧着する定着器と、ファンと、定着時に、加熱回転体周面上の記録シートが通過しない非通紙領域の温度が所定温度よりも高いか低いかを判定する判定手段と、記録シートの搬送方向に直交する方向における記録シート幅が所定幅よりも小さい場合において、非通紙領域の温度が所定温度よりも高い場合のみ、ファンからの風を非通紙領域へ導く送風管と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]画像形成装置の構成
先ず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。図1に示されるように、画像形成装置1は、ファンユニット100、温度センサ101、定着器102、制御ユニット103、イメージングユニット110Y〜110K、露光器111、中間転写ベルト112、2次転写ローラ113、クリーナ114、給紙カセット115、ピックアップローラ116、排紙ローラ118及び排紙トレイ119を備え、トナーボトル120Y〜120Kが装着されている。
【0013】
イメージングユニット110Y〜110Kは、露光器111が形成した静電潜像を現像してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成し、中間転写ベルト112上へ一次転写する。中間転写ベルト112上の残留トナーはクリーナ114にて除去される。
給紙カセット115は内部に記録シートPを格納する。記録シートPはピックアップローラ116によって1枚ずつ取り出され、搬送路へと送り出される。2次転写ローラ113は中間転写ベルト112上のトナー像を記録シート上へ静電転写する。
【0014】
定着器102はトナーを溶融し、記録シートに圧着する。その後、記録シートは排紙ローラ118にて排紙トレイ119上に排出される。
制御ユニット103は温度センサ101にて定着器102の加熱ローラ外周における非通紙領域の温度を監視すると共に、画像形成装置1全体の動作を統括する。また、トナーボトル120Y〜120Kは着脱可能に装着されており、それぞれイメージングユニット110Y〜110Kへ各色のトナーを供給する。
【0015】
ファンユニット100は、後述する送風管と共に冷却システムを構成し、制御ユニット103の制御の下、排紙経路117を通過する記録シートや、定着器102が備える加熱ローラ外周の非通紙領域へ送風し、これらを冷却する。
なお、画像形成装置1は、記録シート搬送経路において、記録シート搬送方向に直交する方向のほぼ中央で記録シートを搬送するセンター通紙方式を採用している。
【0016】
[2]冷却システムの構成
次に、画像形成装置1が備える冷却システムについて説明する。
(1)冷却システムの構成
図2は、画像形成装置1が備える冷却システムの構成を示す図である。図2に示されるように、冷却システム2は、送風管200、210を備えている。
【0017】
送風管200はファンユニット100を内蔵しており、ファンユニット100にて取り込んだ外気を吹出し口201から吹き出す。
送風管210は取込み口211が送風管200の吹出し口201に対向するように配設されており、送風管200からの送風を取込み口211にて取り込んで、吹出し口213から定着器102の加熱ローラ220外周の非通紙領域へ送風する。
【0018】
また、送風管210は蓋212を備えており、蓋212にて取込み口211を開閉する。蓋212にて取込み口211が閉じられている場合には、送風管200の吹出し口201から吹き出した風は排出ローラ118の隙間を抜けて排紙トレイ119上へ向かう。
定着器102は、加熱ローラ220と加圧ローラ221との他、送風管210の吹出し口213から吹き出した風を加熱ローラ220の非通紙領域へ導く通気ガイド222を備えている。
【0019】
また、通気ガイド222上には通紙リブ223が設けられている。加熱ローラ220と加圧ローラ221とによって、トナー像を定着された記録シートは通紙リブ223、通紙ガイド230及び送風管200、210によって排紙ローラ118へと導かれる。
(2)送風管200の構成
次に、送風管200の構成について説明する。
【0020】
図3は、送風管200の主要な構成を示す図であって、(a)はファンユニット100側から見た平面図であり、(b)は斜視図である。
図3に示されるように、送風管200は、側壁ガイド301が支軸302にて筐体303内に回動可能に支持されてなる。側壁ガイド301は後述の駆動機構により、破線にて示される位置301aまで矢印で示されるように往復回動する。
【0021】
側壁ガイドが位置301にある場合には、吹出し口201全体に亘って風が送られるので、大サイズ紙を全体に亘って冷却することができる。また、側壁ガイドが位置301aにある場合には、風の吹き出し幅が狭められるので、小サイズ紙の通紙位置のみに風が送られる。
なお、小サイズ紙が通紙される場合に、側壁ガイドを位置301に置くと、小サイズ紙の全体に加えて、送風管210の取込み口211へも風が送られる。また、吹出し口201はメッシュフィルタにて覆われており、排紙経路117への異物の侵入や、送付管200内への記録シートの巻き込みを防止する。
【0022】
図4は、側壁ガイド301の駆動機構を示す図であって、(a)はファンユニット100側から見た平面図であり、(b)は側面図である。図4に示されるように、側壁ガイド301は、モータ404の回転駆動力がプーリー403、ベルト402及びプーリー401を介して支軸302に伝えられることによって、回転駆動される。
図5は、使用状態における送風管200の概観を示す図であって、(a)はファンユニット100側から見た平面図であり、(b)は斜視図である。図5に示されるように、送風管200は使用状態においては上蓋501が設置され、ファンユニット100の上側からのみ外気を吸入する。
【0023】
(2)送風管210の構成
次に、送風管210の構成について説明する。
図6は、送風管210の構成を示す図であって、(a)は外観斜視図であり、(b)は内部構造を破線で示した斜視図である。図6に示されるように、送風管210は筐体602、裏蓋603等からなり、筐体602には取込み口211が形成されている。また、裏蓋603には切り欠き部があり筐体602と共に吹出し口213を形成している。
【0024】
筐体602には支軸601を介して蓋212が保持されており、不図示の駆動機構によって回転駆動される。また、筐体602には仕切り壁602a〜602dが設けられており、取込み口211から吹出し口213へ風を導く。
図7もまた送風管210の構成を示す図であって、(a)は筐体602の上面図であり、(b)は裏蓋603を取り付けた状態における底面図である。図7に示されるように、取込み口211にて取り込まれた風は仕切り壁602a〜602dにて区切られた空間を通過して、吹出し口213から吹き出す。
【0025】
(3)非通紙領域の過熱時における送風経路
次に、送風管200、210を通じた送風経路について説明する。
図8は、小サイズ紙を連続通紙した場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱した場合の送風経路を矢印で示す断面図である。図8に示されるように、送風管200はファンユニット100にて画像形成装置1の上部から外気を吸入し、吹出し口201から風を吹き出す。
【0026】
小サイズ紙が吹出し口201と取込み口211との間を通過している場合には、風が小サイズ紙に当たり、小サイズ紙が冷却される。
また、小サイズ紙の通過中であるか否かに関わらず、吹出し口201からの風が取込み口211に吹き込み、更に、吹出し口213から吹き出す。吹出し口213から吹き出した風は通気ガイド222と通紙リブ223とによって加熱ローラ220の非通紙領域へ導かれる。
【0027】
なお、この場合において、図9に示されるように、ファンユニット100にて送風管200内に吸引された外気が吹出し口201から吹き出す際に、側壁ガイド301が開いた状態となっているので、吹出し口201の全幅(記録シートの搬送方向に直交する方向における全幅)に亘って風が吹き出する。
また、蓋212が開かれているので、吹出し口201から吹き出した風は取込み口211に吹き込む。取込み口211に吹き込んだ風は、仕切り壁602a〜602dによって吹出し口213へ導かれる。
【0028】
このようにすることによって、小サイズ紙を連続通紙することによって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱しても、当該非通紙領域に風を当てることによって過熱を解消することができる。
(4)側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態
次に、側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態について説明する。
【0029】
(a)大サイズ紙の通紙時
図10は、大サイズ紙を通紙する際の側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態を示す図である。大サイズ紙を通紙する際には、大サイズ紙を全幅に亘って冷却する必要がある。また、大サイズ紙は、加熱ローラ220のほぼ全幅に接触するので、非通紙領域が小さく、過熱するおそれがない。
【0030】
このため、大サイズ紙を通紙する際には、図10に示されるように、側壁ガイド301を開いて、吹出し口201の全体から風を吹き出させて、大サイズ紙を冷却する。また、加熱ローラ220へ風を送って非通紙領域を冷却する必要がないので、取込み口211へ風が吹き込まないように、蓋212が閉じられる。
(b)小サイズ紙の通紙時(非過熱時)
図11は、小サイズ紙を通紙する場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱していない場合における側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態を示す図である。小サイズ紙を冷却するためには、小サイズ紙が通過する範囲にのみ風を送れば足りる。
【0031】
このため、図11に示されるように、側壁ガイド301を閉じて、送風管200の吹出し口201からの風の吹出し幅を制限し、小サイズ紙が通過する範囲にのみ風を送る。側壁ガイド301を閉じると、ファンユニット100による送風量を低減することができるので、ファンユニット100を構成するファンの出力を低下させて、消費電力を削減することができる。
【0032】
(c)小サイズ紙の通紙時(過熱時)
図12は、小サイズ紙を通紙する場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱している場合における側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態を示す図である。図12に示されるように、小サイズ紙の通紙時に加熱ローラ220の非通紙領域が過熱したら、送風管200の吹出し口201全体から風が吹き出すように、側壁ガイド301を開く。
【0033】
また、送風管210は取込み口211の蓋212を開いて、送風管200の吹出し口201から吹き出した風を取り込み、吹出し口213から加熱ローラ220の非通紙領域へ送る。
これによって、小サイズ紙を冷却すると共に、加熱ローラ220の非通紙領域の過熱を抑えることができる。
【0034】
(5)定着器102の構成
次に、定着器102の構成について説明する。
図13は、定着器102の構成を示す外観斜視図である。図13に示されるように、定着器102は筐体1301内に加熱ローラ220と加圧ローラ221を格納してなっている。
【0035】
筐体1301は通気ガイド222と、通気ガイド222上に設けられた通紙リブ223とを備えており、通気ガイド222と通紙リブ223とによって、送風管210の吹出し口213からの風を加熱ローラ220の非通紙領域へ送る。
通紙リブ223は、吹出し口213からの風が加熱ローラ220の通紙領域に当たるのを防止する。これによって、加熱ローラ220の通紙領域における温度低下が防止されるので、定着器102のエネルギー効率が維持される。また、通紙リブ223は、トナー像を定着された記録シートを排紙トレイ119へ導く排紙経路117の一部ともなっている。
【0036】
加熱ローラ220の非通紙領域に当たった風は、筐体1301に設けられた排気口1302から排気される。
[3]冷却システム2の動作
次に、冷却システム2の動作について、特に、制御ユニット103による制御の流れに着目して説明する。
【0037】
(1)制御ユニット103の構成
制御ユニット103による制御の流れを説明するのに先立って、まず、制御ユニット103の構成について説明しておく。
図14は、制御ユニット103の主要な構成を示す図である。図14に示されるように、制御ユニット103はCPU(Central Processing Unit)1401、ROM(Read Only Memory)1402、RAM(Random Access Memory)1403、及び入出力インタフェース(Input/Output Interface)1404が内部バス1405にて接続されてなる。
【0038】
入出力インタフェース1404はファンユニット100や温度センサ101、給紙カセット115、イメージングユニット110Y〜110K、側壁ガイド301、送風管210の取込み口211の蓋212に接続されており、加熱ローラ220の非通紙領域の温度等の情報を取得したり、側壁ガイド301や蓋212の開閉等するための制御出力を行ったりする。
【0039】
(2)制御ユニット103による制御の流れ
次に、制御ユニット103による制御の流れについて説明する。
図15は、制御ユニット103による冷却ユニット2の制御の流れを示すフローチャートである。図15に示されるように、制御ユニット103は、先ず、ユーザから画像形成ジョブを受け付けると(S1501:YES)、受け付けた画像形成ジョブの内容を参照する。
【0040】
その結果、小サイズ紙を用いて画像形成する場合には(S1502:YES)、小サイズ紙画像形成処理を実行する(S1503)。また、小サイズ紙を用いて画像形成しない場合には(S1502:NO)、大サイズ紙画像形成処理を実行する(S1504)。画像形成処理を完了した後は、再びステップS1501に進み、次の画像形成ジョブを待つ。
【0041】
なお、画像形成装置1は、加熱ローラ220の非通紙領域の温度に関わらず、同様の速度およびタイミングで記録シートを搬送する。
(3)大サイズ紙画像形成処理
次に、大サイズ紙画像形成処理(S1504)について説明する。
図16は、大サイズ紙画像形成処理を示すフローチャートである。図16に示されるように、大サイズ紙画像形成処理において、制御ユニット103は、先ず、側壁ガイド301を開くことによって(S1601)、排紙経路117を通過する大サイズ紙の全体に風を当てることができる。
【0042】
また、送風管210の取込み口211の蓋212を閉じて(S1602)、加熱ローラ220に風が当たらないようにする。そして、ファンユニット100の出力を最大にして、送風管200の吹出し口201全体に十分な風量を供給する(S1603)。制御ユニット103は画像形成を実行した後(S1604)、上位ルーチンに復帰する。
(4)小サイズ紙画像形成処理
次に、小サイズ紙画像形成処理(S1503)について説明する。
【0043】
図17は、小サイズ紙画像形成処理を示すフローチャートである。図17に示されるように、小サイズ紙画像形成処理において、制御ユニット103は、先ず、側壁ガイド301を閉じて(S1701)、送風管200の吹出し口201から風が吹き出す範囲を小サイズ紙に合わせて狭める。
また、送風管210の取込み口211の蓋212を閉じて(S1702)、加熱ローラ220に風が当たらないようにする。更に、ファンユニット100の出力を最大時の半分にして(S1703)、画像形成を開始する(S1704)。ファンユニット100の出力を最大時の半分にしても、側壁ガイド301を閉じているので、小サイズ紙全体に十分な風量を送ることができる。
【0044】
その後、画像形成を完了していなければ(S1705:NO)、温度センサ101にて加熱ローラ220の非通紙領域の温度tを測定する(S1706)。測定によって得られた温度tが所定温度Tよりも高ければ(S1707:YES)、側壁ガイド301を開き(S1708)、蓋212を開き(S1709)、ファンユニット100の出力を最大にする(S1710)。
【0045】
このようにすれば、加熱ローラ220の非通紙領域がある程度高温になったら風を送って冷却するので、非通紙領域の過熱を防止することができる。
また、測定温度tが所定温度Tよりも低ければ(S1707:NO)、側壁ガイド301を閉じ(S1711)、蓋212を閉じ(S1712)、ファンユニット100の出力を最大時の半分にする(S1713)。このようにすれば、小サイズ紙を適切に冷却しながら、ファンユニットの消費電力を低減することができる。
【0046】
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、小サイズ紙とは、例えば、画像形成装置1が搬送することができる最大の記録シートの幅(以下、「搬送可能最大シート幅」という。)の約3分の2以下の記録シート幅を有するものとし、小サイズ紙よりも大きいものを大サイズ紙としても良い。
【0047】
また、ファンユニット100のサイズは、例えば、搬送可能最大シート幅の3分の1程度で、記録シート搬送方向に直交する方向において記録シート搬送位置のほぼ中央に配置しても良い。このようにすれば、記録シート幅全体に亘ってほぼ均一に風を送ることができる。
また、送風管200の吹出し口201の、記録シート搬送方向に直交する方向における大きさは、搬送可能最大シート幅とほぼ同一にするのが望ましい。また、記録シート搬送方向における吹出し口201の大きさは、ファンユニット100のほぼ4分の1としても良い。
【0048】
また、送風管210の取込み口211や吹出し口213の記録シート搬送方向に直交する方向における幅は、例えば、搬送可能最大シート幅のほぼ6分の1としても良い。仕切り壁602a、602bの間隔や仕切り壁602c、602dの間隔も、例えば、搬送可能最大シート幅のほぼ6分の1としても良い。
また、送風管210の取込み口211と吹出し口213は、記録シート搬送方向における幅がほぼ同じである。また、蓋212は取込み口211を完全に塞ぐことができる大きさになっている。
【0049】
(2) 上記実施の形態においては加熱ローラ220の非通紙領域の温度に関わらず同じ速度で記録シートを搬送する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
すなわち、加熱ローラ220の非通紙領域の温度が所定温度を越えたら記録シートの搬送速度を低下させても良い。特に、定着器102を通過する際の搬送速度を低下させると、加熱ローラ220の通紙領域の温度低下を抑えることができるので、加熱ローラ220を余り過熱する必要がなくなる。したがって、加熱ローラ220の非通紙領域の温度上昇を抑えることができる。
【0050】
(3) 上記実施の形態においては、送風管210の取込み口211に蓋212を設ける場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
すなわち、取込み口211に蓋212を設けずに、吹出し口213に蓋を設けても同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、吹出し口213にスライド式の蓋を設けても良い。スライド式の蓋を設ければ、記録シートの幅に応じて、よりきめ細かく風の吹き出し幅を変えることができるので、加熱ローラ220の必要な領域のみを冷却すると同時に、その他の領域の温度低下を防止することができる。
(4) 上記実施の形態においては、加熱ローラを用いて記録シート上のトナーを溶融し、圧着する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、加熱ベルトにてトナーを溶融、圧着するベルト定着方式の画像形成装置に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。すなわち、加熱ローラであっても加熱ベルトであっても加熱回転体を用いてトナーを溶融、圧着する画像形成装置であれば、本発明の効果を得ることができる。
【0052】
(5) 上記実施の形態においては特に言及しなかったが、加熱ローラと加圧ローラとの配置は、図2に示すものに限定されないのは言うまでもなく、加熱ローラと加圧ローラとの配置を入れ替えても本発明の効果は同じである。
(6) 上記実施の形態においては、送風管200の吹出し口201がメッシュフィルタにて覆われる場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、吹出し口201にメッシュフィルタを設けなくても本発明の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る画像形成装置は、省エネルギー化を図りつつ定着器の部分的な過熱を解消する技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。
【図2】画像形成装置1が備える冷却システムの構成を示す図である。
【図3】送風管200の主要な構成を示す図であって、(a)はファンユニット100側から見た平面図であり、(b)は斜視図である。
【図4】側壁ガイド301の駆動機構を示す図であって、(a)はファンユニット100側から見た平面図であり、(b)は側面図である。
【図5】使用状態における送風管200の概観を示す図であって、(a)はファンユニット100側から見た平面図であり、(b)は斜視図である。
【図6】送風管210の構成を示す図であって、(a)は外観斜視図であり、(b)は内部構造を破線で示した斜視図である。
【図7】送風管210の構成を示す図であって、(a)は筐体602の上面図であり、(b)は裏蓋603を取り付けた状態における底面図である。
【図8】小サイズ紙を連続通紙した場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱した場合の送風経路を矢印で示す断面図である。
【図9】小サイズ紙を連続通紙した場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱した場合の送風経路を矢印で示す分解斜視図である。
【図10】大サイズ紙を通紙する際の側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態を示す図である。
【図11】小サイズ紙を通紙する場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱していない場合における側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態を示す図である。
【図12】小サイズ紙を通紙する場合であって、加熱ローラ220の非通紙領域が過熱している場合における側壁ガイド301並びに蓋212の開閉状態を示す図である。
【図13】定着器102の構成を示す外観斜視図である。
【図14】制御ユニット103の主要な構成を示す図である。
【図15】制御ユニット103による冷却ユニット2の制御の流れを示すフローチャートである。
【図16】大サイズ紙画像形成処理を示すフローチャートである。
【図17】小サイズ紙画像形成処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1……………………画像形成装置
100………………ファンユニット
101………………温度センサ
102………………定着器
103………………制御ユニット
117………………排紙経路
200、210……送風管
201、213……吹出し口
211………………取込み口
212………………蓋
220………………加熱ローラ
222………………通気ガイド
223………………通紙リブ
301、301a…側壁ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱回転体にてトナーを溶融して、記録シートに圧着する定着器と、
ファンと、
記録シートが定着器から機外に至るまでの搬送経路へ、ファンの風を導く第1送風管と、
定着時に、加熱回転体周面上の記録シートが通過しない非通紙領域の温度が所定温度よりも高いか低いかを判定する判定手段と、
記録シートの搬送方向と直交する方向における記録シート幅が所定幅よりも小さい場合において、
非通紙領域の温度が所定温度よりも低ければ、第1送風管の吹出し口の幅方向寸法を当該記録シート幅まで狭める吹出し幅規制手段と、
第1送風管の吹出し口の幅方向寸法を狭めるのに併せて、ファンへの給電量を低減する給電制御手段と、
非通紙領域の温度が所定温度よりも高い場合のみ、第1送風管から吹き出した風を取り込んで非通紙領域へ導く第2送風管と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吹出し幅規制手段は、非通紙領域の温度が所定温度よりも高ければ、吹出し口の幅方向寸法を当該記録シート幅よりも大きくする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吹出し幅規制手段は、記録シート幅が所定幅よりも大きければ、吹出し口の幅方向寸法を当該シート幅以上とする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
定着器から機外に至るまでの記録シートの搬送路上において、第1送風管と第2送風管との間隙に記録シートを通紙する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着器は、前記第2送風管から吹き出した風を非通紙領域へ導く通風ガイドを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着器は、非通紙領域の温度が所定温度よりも高ければ、定着器を通過する記録シートの搬送速度を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
加熱回転体にてトナーを溶融して、記録シートに圧着する定着器と、
ファンと、
定着時に、加熱回転体周面上の記録シートが通過しない非通紙領域の温度が所定温度よりも高いか低いかを判定する判定手段と、
記録シートの搬送方向に直交する方向における記録シート幅が所定幅よりも小さい場合において、
非通紙領域の温度が所定温度よりも高い場合のみ、ファンからの風を非通紙領域へ導く送風管と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−72399(P2010−72399A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240513(P2008−240513)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】