説明

画像形成装置

【課題】 電子写真方式の画像形成装置において、オゾン及び現像剤の排出量を小さくしつつ、十分な量の空気を筐体外に排出可能とする。
【解決手段】 定着器11に搬送される用紙が通過する第1空間15A側と帯電器7B側の第2空間15B側とを仕切るとともに、第1空間15A内の空気を現像剤フィルタ17に導く仕切壁15を設ける。さらに、現像剤フィルタ17の下流側にオゾンフィルタ18を設けるとともに、現像剤フィルタ17からオゾンフィルタ18に至る気流の通路15Dを第2空間15Bに連通させる。これにより、第2空間15B内のオゾンを多く含む空気は、現像剤フィルタ17を通過することなく、オゾンフィルタ18を通過して筐体3外に排出されるので、現像剤フィルタ17及びオゾンフィルタ18を通過する場合に比べて通風抵抗が小さく、十分な量の空気を筐体3外に排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光ドラムの表面を帯電器にて帯電させて現像剤像を感光ドラムに担持させるので、帯電器の周囲にはオゾンが発生してしまう。
また、感光ドラムから記録用紙等の記録シートに転写された現像剤は、定着器により加熱されて記録シートに定着するまでの間は記録シートから剥離し易く、記録シートから剥離した現像剤は画像形成装置(筐体)内を浮遊してしまう。
【0003】
ところで、画像形成装置には、筐体内の空気を排出するためにファンが設けられているが、前述したように、筐体内にはオゾン及び現像剤が浮遊しているので、空気と共にオゾン及び現像剤が筐体(画像形成装置)外に排出されてしまうおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の発明では、オゾンを分解・吸着するオゾンフィルタ及び現像剤を除去する集塵フィルタを設け、空気と共にオゾン及び現像剤が筐体(画像形成装置)外に排出されてしまうことを防止している。
【特許文献1】特開平8−220952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明は、集塵フィルタ及びオゾンフィルタを気流に対して直列に配設するとともに、排気口から排出される空気の全てが集塵フィルタ及びオゾンフィルタを通過するような構成としているので、気流がフィルタを通過する際の通風抵抗が大きくなり、気流の流速が低下して風量が小さくなり、十分な量の空気を筐体外に排出することができなくなる。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、オゾン及び現像剤の排出量を小さくしつつ、十分な量の空気を筐体外に排出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、筐体(3)に収納され、現像剤像を担持する感光ドラム(7A)と、筐体(3)内に収納され、感光ドラム(7A)を帯電させる帯電器(7B)と、記録シートに転写された現像剤像を記録シートに定着させる定着器(11)と、筐体(3)内の空気中の含まれる現像剤を除去する現像剤フィルタ(17)と、現像剤フィルタ(17)を通過した空気が通過する位置に配設され、筐体(3)内の空気中の含まれるオゾンを減少させるオゾンフィルタ(18)と、筐体(3)に設けられた排気口(3A)に向かって流れる気流を発生させるファン(21)と、オゾンフィルタ(18)を通過した空気を排気口(3A)に導くダクト手段(19)と、定着器(11)に搬送される記録シートが通過する第1空間(15A)側と帯電器(7B)側の第2空間(15B)側とを仕切るとともに、第1空間(15A)内の空気を現像剤フィルタ(17)に導く仕切壁(15)とを備え、現像剤フィルタ(17)からオゾンフィルタ(18)に至る気流の通路(15D)は、第2空間(15B)に連通していることを特徴とする。
【0008】
これにより、請求項1に記載の発明では、第1空間(15A)を通過する記録シートに転写された現像剤像は未だ定着していないので、この第1空間(15A)には、記録シートから剥離した現像剤が他の空間より多く浮遊し、一方、第2空間(15B)には、他の空間に比べて多くのオゾンが浮遊している状態となる。
【0009】
そして、第1空間(15A)内の空気は、現像剤フィルタ(17)及びオゾンフィルタ(18)を通過するので、現像剤及びオゾンが確実に除去された空気が筐体(3)外に排出される。
【0010】
また、第2空間(15B)内のオゾンを多く含む空気は、現像剤フィルタ(17)を通過することなく、オゾンフィルタ(18)を通過して筐体(3)外に排出されるので、現像剤フィルタ(17)及びオゾンフィルタ(18)を通過する場合に比べて通風抵抗が小さく、十分な量の空気を筐体(3)外に排出することができる。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明では、オゾン及び現像剤の排出量を小さくしつつ、十分な量の空気を筐体(3)外に排出することが可能となる。
また、仕切壁(15)は、定着器(11)に搬送される記録シートが通過する第1空間(15A)側と帯電器(7B)側の第2空間(15B)側とを仕切るので、定着器(11)で発生した熱が第2空間(15B)側に移動してしまうことを抑制でき、帯電器(7B)や感光ドラム(7A)等を定着器(11)の熱から保護することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、複数の感光ドラム(7A)が設けられているとともに、これらの感光ドラム(7A)は、感光ドラム(7A)の回転と連動して回転する無端ベルト(13)の回転方向に沿って直列に配設されており、さらに、帯電器(7B)は、複数の感光ドラム(7A)に対応して複数設けられていることを特徴とする。
【0013】
これにより、請求項2に記載の発明では、第1空間(15A)に流れ込む空気中にオゾンが含まれる可能性が高くなるものの、第1空間(15A)内の空気は、現像剤フィルタ(17)及びオゾンフィルタ(18)を通過するので、オゾンを確実に除去することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、現像剤フィルタ(17)は、そのフィルタ面が、仕切壁(15)により案内される空気の主流方向に対して略直交するように配設されていることを特徴とする。
【0015】
これにより、請求項3に記載の発明では、主流方向がフィルタ面に対して傾いている場合に比べて、現像剤フィルタ(17)で発生する圧力損失を小さくすることができるので、通風抵抗を小さくして、十分な量の空気を筐体外に排出することができる。
【0016】
なお、「フィルタ面」とは、現像剤フィルタ(17)又はオゾンフィルタ(18)の外縁のうち、気流が通過する仮想の面をいう。
また、請求項4に記載の発明では、オゾンフィルタ(18)は、そのフィルタ面が、現像剤フィルタ(17)のフィルタ面と略平行となるように配設されており、さらに、オゾンフィルタ(18)、ダクト手段(19)及びファン(21)は、オゾンフィルタ(18)を通過する空気の主流方向が、オゾンフィルタ(18)のフィルタ面に対して傾くように設定されていることを特徴とする。
【0017】
これにより、請求項4に記載の発明では、オゾンフィルタ(18)を通過する空気の主流方向が、オゾンフィルタ(18)のフィルタ面に対して傾いているので、主流方向がフィルタ面に対して略直交する場合に比べて、空気とオゾンフィルタ(18)が接触している時間及びオゾンフィルタ(18)を通過した時から排気口(3A)から排出されるまでの時間が長くなる。
【0018】
このため、オゾンフィルタ(18)によるオゾンの分解・吸着に加えて、時間経過によるオゾンの分解が進行するので、排気口(3A)から排出されるオゾンの量を低減することが可能となる。
【0019】
なお、請求項3又は4においては、請求項5に記載の発明のごとく、排気口(3A)は、定着器(11)より上方側に設けられており、さらに、現像剤フィルタ(17)及びオゾンフィルタ(18)は、それらのフィルタ面が略水平となるように配設されていることが望ましい。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、ダクト手段(19)は、感光ドラム(7A)の軸方向と略平行に延びる管状の気流通路(19A)を構成し、排気口(3A)は、気流通路(19A)の長手方向一端側に設けられ、気流通路(19A)の長手方向一端側には、フィルタ面が気流通路(19A)の長手方向と略平行となるようにオゾンフィルタ(18)が配設されており、さらに、気流通路(19A)の長手方向他端側は、オゾンフィルタ(18)が配設されることなく、閉塞されていることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項7に記載の発明では、ダクト手段(19)の内壁のうちオゾンフィルタ(18)と対向する部位(A)は、その他の部位に比べて、オゾンフィルタ(18)に近接していることを特徴とする。
【0022】
これにより、請求項7に記載の発明では、オゾンフィルタ(18)を通過した空気を、高い速度を維持したままダクト手段(19)の内壁に衝突させることができるので、オゾンフィルタ(18)で分解・吸着できなかったオゾンの分解を促すことができ、排気口(3A)から排出されるオゾンの量を確実に低減することが可能となる。
【0023】
なお、請求項8に記載の発明では、ダクト手段(19)の外壁部(19E)により、記録シートの搬送を案内する搬送シュートの少なくとも一部が構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項9に記載の発明では、仕切壁(15)は、感光ドラム(7A)と定着器(11)との間に配設されているとともに、内部に空隙部(15C)が設けられた二重壁構造であることを特徴としているので、帯電器(7B)や感光ドラム(7A)等を定着器(11)の熱から確実に保護することができる。
【0025】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す中央断面図であり、図2は排気ダクト19の断面図であり、図3は排気ダクト19及び定着器11等を含む部分の斜視図であり、図4は排気ダクト19を下方側から見た斜視図であり、図5はダクトプレート19Bの上面図である。
【0027】
2.画像形成装置の構成
2.1.画像形成装置の概略構造
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、周知のごとく、プロセスカートリッジ7、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0028】
なお、本実施形態に係る画像形成装置1は、ダイレクトタンデム方式のカラーレーザプリンタであるため、用紙の搬送方向、つまり後述する転写ベルト13の回転方向に沿って直列に複数個(本実施形態では、4個)のプロセスカートリッジ7が配設されている。
【0029】
具体的には、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスカートリッジ7K、イエロー用のプロセスカートリッジ7Y、マゼンタ用のプロセスカートリッジ7M、シアン用のプロセスカートリッジ7Cである。
【0030】
また、各プロセスカートリッジ7K〜7Cは、収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造等は殆ど同じであり、具体的には、各プロセスカートリッジ7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B、及び転写が終わった感光ドラム7Aの表面をクリーニングするクリーナ7D等から構成されている。
【0031】
また、露光器9は、各プロセスカートリッジ7K〜7Cに対応した4つの露光器9K〜9Cから構成されており、具体的には、プロセスカートリッジ7K用の露光器9K、プロセスカートリッジ7Y用の露光器9Y、プロセスカートリッジ7M用の露光器9M、及びプロセスカートリッジ7C用の露光器9Cである。
【0032】
なお、各露光器9K〜9Cは、多数個のLEDを感光ドラム7Aの軸方向と平行な方向に並べ、これらのLEDの点滅制御を行うことにより感光ドラム7Aを露光する露光手段である。
【0033】
また、定着器11は、用紙の印刷面側に配設されて現像剤を加熱しながら用紙に搬送力を付与する加熱ローラ11A、及び用紙を挟んで加熱ローラ11Aと反対側に配設されて用紙を加熱ローラ11A側に押圧する加圧ローラ11B等を有して構成されている。
【0034】
以上に説明した構成において、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0035】
なお、本実施形態では、現像剤は正電荷を帯び、一方、感光ドラム7Aのうち露光器9にて露光された部分は低電位となり、その他の部分は帯電器7Bにより帯電されたままの電位(露光された部分よりも高電位)となって静電潜像が形成される。そして、正電荷を帯びた現像剤が静電潜像の低電位部分(露光された部分)に吸着され、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持される。
【0036】
また、用紙を搬送する転写ベルト13を挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ14が設けられており、この転写ローラ14には、負の電位が印加されている。
【0037】
このため、感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像は、転写ベルト13により搬送される用紙に転写される。そして、現像剤像が転写された用紙は、定着器11に搬送されて加熱され、用紙に転写された現像剤像が用紙に溶着(定着)する。
【0038】
2.2.筐体内の空気を排出するための構造
筐体3の上部側面には、図1に示すように、筐体3の内側と外側とを連通させて筐体3内の空気(空気)を筐体3外に排出する排気口3Aが設けられており、この排気口3Aは、定着器11の上方側に設けられている。
【0039】
また、定着器11に最も近接したプロセスカートリッジ7Cと定着器11との間には、定着器11に搬送される用紙が通過する第1空間15A側と帯電器7B側の第2空間15B側とを仕切る仕切壁15が設けられている。
【0040】
このため、第1空間15Aには、加熱定着される前の現像剤が転写された用紙が通過するので、この第1空間15Aには、用紙から剥離した現像剤が他の空間より多く浮遊し、一方、第2空間15Bには、他の空間に比べて多くのオゾンが浮遊している状態となる。
【0041】
また、仕切壁15は、図2に示すように、感光ドラム7A側から定着器11に向かう方向において、感光ドラム7Aと定着器11との間に配設されているとともに、内部に空隙部15Cが設けられた二重壁構造となっている。
【0042】
そして、二重壁構造の仕切壁15は、その下端側、つまり仕切壁15の転写ベルト13側は、転写ベルト13により搬送される用紙と干渉しない程度まで転写ベルト13に近接した位置まで延びている。
【0043】
また、第1空間15Aの上方側には、現像剤(トナー)を除去する現像剤フィルタ(トナーフィルタ)17が設けられており、第1空間15A内の空気は、仕切壁15に導かれて現像剤フィルタ17に流入する。
【0044】
そして、現像剤フィルタ17は、そのフィルタ面17Aが、仕切壁15により案内される空気の主流方向(図2の矢印D1で示される方向)に対して略直交するように配設されている。因みに、「フィルタ面」とは、現像剤フィルタ17の外縁のうち、気流が通過する仮想の面をいう。
【0045】
なお、本実施形態では、現像剤フィルタ17は、第1空間15Aの上方側に配設されているとともに、仕切壁15が略鉛直方向に延びているので、仕切壁15により案内される空気の主流方向D1は、下から上に向かう略鉛直方向となり、現像剤フィルタ17のフィルタ面17Aは略水平となる。
【0046】
また、現像剤フィルタ17の空気流れ下流側、つまり現像剤フィルタ17の上方側には、筐体3内の空気中の含まれるオゾンを減少させるオゾンフィルタ18が配設されており、このオゾンフィルタ18には、現像剤フィルタ17を通過した空気の殆ど全てが流入する。
【0047】
因みに、本実施形態に係るオゾンフィルタ18は、オゾンの分解を促進するとともに、オゾンを吸着することにより、筐体3内の空気中の含まれるオゾンを減少させる金属系の触媒が担持添着されたフィルタであり、そのフィルタ面18Aが、現像剤フィルタ17のフィルタ面17Aと略平行となるように略水平に配設されている。
【0048】
また、現像剤フィルタ17からオゾンフィルタ18に至る略直線状の気流の通路15Dには、第2空間15Bと通路15Dとを連通させる連通口15Eが設けられており、第2空間15B内の空気は、連通口15Eから通路15Dに進入してオゾンフィルタ18に流入する。このため、本実施形態では、オゾンフィルタ18には、現像剤フィルタ17を通過した空気及び連通口15Eから進入した第2空間15B内の空気が流入する。
【0049】
そして、オゾンフィルタ18の空気流れ下流側には、オゾンフィルタ18を通過した空気を排気口3Aに導く排気ダクト19が設けられており、この排気ダクト19は、図3又は図4に示すように、画像形成装置1の左右方向、つまり感光ドラム7Aの軸方向と略平行に延びる管状の気流通路19A(図2参照)を構成している。
【0050】
また、排気ダクト19(気流通路19A)の長手方向一端側(本実施形態では、画像形成装置1に向かって右側)には、第1空間15A及び第2空間15Bから排気口3Aに向かって流れる気流を発生させる排気ファン21(図5参照)が設けられており、この排気ファン21の排気側が排気口3Aに面している。なお、本実施形態では、排気ファン21は、空気が回転軸方向を通り抜ける軸流ファン(JIS B 0132番号1012等参照)にて構成されている。
【0051】
また、排気ダクト19は、図2に示すように、オゾンフィルタ18が組み付けられたダクトプレート19B、及びこのダクトプレート19Bの上方側を覆うようにしてダクトプレート19Bと共に気流通路19Aを構成するダクトカバー19C等から構成されている。
【0052】
そして、気流通路19Aの断面形状は、図2に示すように、その内壁のうちオゾンフィルタ18と対向する部位Aが、その他の部位に比べて、オゾンフィルタ18に近接するように略扇状に形成されている。
【0053】
すなわち、ダクトプレート19Bは、その板面19Dが略水平となるような帯板状のものである。そして、ダクトプレート19B(気流通路19A)の排気ファン21側には、図5に示すように、フィルタ面18Aがダクトプレート19Bの長手方向と略平行となるようにオゾンフィルタ18が配設され、一方、長手方向他端側は、オゾンフィルタ18が配設されることなく閉塞されている。
【0054】
つまり、オゾンフィルタ18は、ダクトプレート19B(気流通路19A)の長手方向と平行な方向に延びるように帯板状に形成されているとともに、そのフィルタ面18Aは、ダクトプレート19Bの板面19Dに略平行となっている。そして、オゾンフィルタ18は、ダクトプレート19Bの長手方向全域に渡って設けられておらず、長手方向他端側(排気ファン21と反対側の端部側)を除く領域にのみに設けられている。
【0055】
一方、ダクトカバー19Cの内壁のうちオゾンフィルタ18と対向する部位Aは、図2に示すように、オゾンフィルタ18のフィルタ面18Aと平行となっており、かつ、この部位Aからオゾンフィルタ18まで距離は、その他の部位とオゾンフィルタ18までの距離に比べて小さくなるように設定されている。
【0056】
このため、気流通路19Aのうちオゾンフィルタ18の直上部分(図2二点鎖線L1より左側)の通路断面積は、オゾンフィルタ18より定着器11側(図2二点鎖線L1より右側)の通路断面積より小さくなるので、気流通路19Aの断面形状は、定着器11側(本実施形態では、画像形成装置1の後方側)ほど通路断面積が大きくなるような略扇状となる。
【0057】
そして、排気ファン21の吸い込み側の中心O1が、気流通路19Aのうちオゾンフィルタ18より定着器11側(図2二点鎖線L1より右側)にずれた位置に設定されているので、オゾンフィルタ18を通過する空気の主流D2は、オゾンフィルタ18のフィルタ面18Aに対して傾くようにして流通する。
【0058】
なお、「排気ファン21の吸い込み側の中心O1」とは、本実施形態では、排気ファン21として軸流ファンを採用しているので、その回転中心と一致するが、その他形式のファンでは、ファンの吸入口の中心(面心)をいう。
【0059】
また、ダクトカバー19Cの外壁部のうち円弧状断面部19Eには、図3に示すように、定着器11から排出された用紙の搬送方向を上方側に向けて略180°転向させるシュートの一部を構成する突条リブ19Fが設けられている。
【0060】
なお、突条リブ19F及びダクトカバー19Cは樹脂にて一体成形されており、ダクトプレート19Bも樹脂にて成形されている。そして、ダクトカバー19Cとダクトプレート19Bとは、ダクトカバー19C及びダクトプレート19Bに設けられた係合部を係合させることにより、互いに分解可能に組み付けられている。
【0061】
3.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、前述したように、第1空間15Aには、用紙から剥離した現像剤が他の空間より多く浮遊し、一方、第2空間15Bには、他の空間に比べて多くのオゾンが浮遊している状態となる。
【0062】
そして、第1空間15A内の空気は、現像剤フィルタ17及びオゾンフィルタ18を通過するので、現像剤及びオゾンが確実に除去された空気が筐体3外に排出される。
また、第2空間15B内のオゾンを多く含む空気は、現像剤フィルタ17を通過することなく、オゾンフィルタ18を通過して筐体3外に排出されるので、第2空間15B内の空気が現像剤フィルタ17及びオゾンフィルタ18を通過して排出される場合に比べて、通風抵抗が小さく十分な量の空気を筐体3外に排出することができる。
【0063】
したがって、本実施形態では、オゾン及び現像剤の排出量を小さくしつつ、十分な量の空気を筐体3外に排出することが可能となる。
また、仕切壁15は、定着器11に搬送される用紙が通過する第1空間15A側と帯電器7B側の第2空間15B側とを仕切るので、定着器11で発生した熱が第2空間15B側に移動してしまうことを抑制でき、帯電器7Bや感光ドラム7A等を定着器11の熱から保護することができる。
【0064】
そして、本実施形態では、仕切壁15は、感光ドラム7Aと定着器11との間に配設されているとともに、内部に空隙部15Cが設けられた二重壁構造であるので、帯電器7Bや感光ドラム7A等を定着器11の熱から確実に保護することができる。
【0065】
また、本実施形態では、複数の感光ドラム7Aが転写ベルト13の回転方向に沿って直列に配設されたダイレクトタンデム方式の画像形成装置であるので、搬送される用紙と共にオゾンが含まれる空気が第1空間15Aに流れ込む可能性が高くなるものの、第1空間15A内の空気は、現像剤フィルタ17及びオゾンフィルタ18を通過するので、オゾンを確実に除去することができる。
【0066】
また、本実施形態では、現像剤フィルタ17は、そのフィルタ面17Aが、仕切壁15により案内される空気の主流方向D1に対して略直交するように配設されているので、主流方向がフィルタ面17Aに対して傾いている場合に比べて、現像剤フィルタ17で発生する圧力損失を小さくすることができ、通風抵抗を小さくして、十分な量の空気を筐体外に排出することができる。
【0067】
また、本実施形態では、オゾンフィルタ18を通過する空気の主流D2の方向が、オゾンフィルタ18のフィルタ面に対して傾くように設定されているので、主流D2の方向がフィルタ面18Aに対して略直交する場合に比べて、空気とオゾンフィルタ18が接触している時間及びオゾンフィルタ18を通過した時から排気口3Aから排出されるまでの時間が長くなる。
【0068】
このため、オゾンフィルタ18によるオゾンの分解・吸着に加えて、時間経過によるオゾンの分解が進行するので、排気口3Aから排出されるオゾンの量を低減することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、排気ダクト19の内壁のうちオゾンフィルタ18と対向する部位Aは、その他の部位に比べて、オゾンフィルタ18に近接しているので、オゾンフィルタ18を通過した空気を、高い速度を維持したまま排気ダクト19の内壁(部位A)に衝突させることができる。
【0070】
したがって、オゾンフィルタ18で分解・吸着できなかったオゾンの分解を促すことができるので、排気口3Aから排出されるオゾンの量を確実に低減することが可能となる。
また、本実施形態では、ダクトカバー19Cの円弧状断面部19Eにより、用紙の搬送を案内する搬送シュートの少なくとも一部が構成されているので、排気ダクト19を有効活用することができ、構成部品点数が増大してしまうことを防止できる。
【0071】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る露光器9は、LEDにて構成されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザ光を走査しながら感光ドラム7Aを露光する露光器であってもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、排気ファン21として軸流ファンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、遠心ファン等の他の形式のファンを用いてもよい。
また、上述の実施形態では、現像剤フィルタ17及びオゾンフィルタ18を互いに水平に配設したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
また、上述の実施形態では、仕切壁15に導かれた空気の主流に対して、現像剤フィルタ17のフィルタ面17Aが略直交するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
また、上述の実施形態では、オゾンフィルタ18を通過する空気の主流D2は、オゾンフィルタ18のフィルタ面18Aに対して傾くようにして流通させたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
また、上述の実施形態では、オゾンフィルタ18は、ダクトプレート19Bの長手方向全域に設けられておらず、排気ファン21と反対側には、オゾンフィルタ18が設けられていなかったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
また、上述の実施形態では、仕切壁15を二重壁構造としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、ダイレクトタンデム式のレーザプリンタに本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、モノクロ方式の電子写真方式の画像形成装置、又は中間転写方式のカラーレーザプリンタ等にも適用することができる。
【0077】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す中央断面図である。
【図2】本実施形態に係る排気ダクト19の断面図である。
【図3】本実施形態に係る排気ダクト19及び定着器11等を含む部分の斜視図である。
【図4】本実施形態に係る排気ダクト19を下方側から見た斜視図である。
【図5】本実施形態に係るダクトプレート19Bの上面図である。
【符号の説明】
【0079】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…排気口、5…画像形成部、
7…プロセスカートリッジ、7A…感光ドラム、7B…帯電器、
9…露光器、11…定着器、11A…加熱ローラ、13…転写ベルト、
14…転写ローラ、15…仕切壁、15A…第1空間、15B…第2空間、
15C…空隙部、15D…通路、15E…連通口、17…現像剤フィルタ、
18…オゾンフィルタ、19…ダクトプレート、19…排気ダクト、
19A…気流通路、19B…ダクトプレート、19C…ダクトカバー、
19D…板面、19E…円弧状断面部、19F…突条リブ、21…排気ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を記録シートに転写することにより、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
筐体に収納され、現像剤像を担持する感光ドラムと、
前記筐体内に収納され、前記感光ドラムを帯電させる帯電器と、
記録シートに転写された現像剤像を記録シートに定着させる定着器と、
前記筐体内の空気中の含まれる現像剤を除去する現像剤フィルタと、
前記現像剤フィルタを通過した空気が通過する位置に配設され、前記筐体内の空気中の含まれるオゾンを減少させるオゾンフィルタと、
前記筐体に設けられた排気口に向かって流れる気流を発生させるファンと、
前記オゾンフィルタを通過した空気を前記排気口に導くダクト手段と、
前記定着器に搬送される記録シートが通過する第1空間側と前記帯電器側の第2空間側とを仕切るとともに、前記第1空間内の空気を前記現像剤フィルタに導く仕切壁とを備え、
前記現像剤フィルタから前記オゾンフィルタに至る気流の通路は、前記第2空間に連通していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の前記感光ドラムが設けられているとともに、これらの感光ドラムは、前記感光ドラムの回転と連動して回転する無端ベルトの回転方向に沿って直列に配設されており、
さらに、前記帯電器は、前記複数の感光ドラムに対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤フィルタは、そのフィルタ面が、前記仕切壁により案内される空気の主流方向に対して略直交するように配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記オゾンフィルタは、そのフィルタ面が、前記現像剤フィルタのフィルタ面と略平行となるように配設されており、
さらに、前記オゾンフィルタ、前記ダクト手段及び前記ファンは、前記オゾンフィルタを通過する空気の主流方向が、前記オゾンフィルタのフィルタ面に対して傾くように設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排気口は、前記定着器より上方側に設けられており、
さらに、前記現像剤フィルタ及び前記オゾンフィルタは、それらのフィルタ面が略水平となるように配設されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ダクト手段は、前記感光ドラムの軸方向と略平行に延びる管状の気流通路を構成し、
前記排気口は、前記気流通路の長手方向一端側に設けられ、
前記気流通路の長手方向一端側には、フィルタ面が前記気流通路の長手方向と略平行となるように前記オゾンフィルタが配設されており、
さらに、前記気流通路の長手方向他端側は、前記オゾンフィルタが配設されることなく、閉塞されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ダクト手段の内壁のうち前記オゾンフィルタと対向する部位は、その他の部位に比べて、前記オゾンフィルタに近接していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ダクト手段の外壁部により、記録シートの搬送を案内する搬送シュートの少なくとも一部が構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記仕切壁は、前記感光ドラムと前記定着器との間に配設されているとともに、内部に空隙部が設けられた二重壁構造であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−79047(P2010−79047A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248598(P2008−248598)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】