説明

画像形成装置

【課題】画像形成に関わる構成部品の着脱を原因として、画像形成装置が形成する画像の質が低下することを抑制する。
【解決手段】画像形成ユニットの画像形成装置1に対する装着時においては、外部からのトナーの入り口である供給口1335は、領域171cの上方に位置しており、すなわち、えい透過部172及び突出部171aの並び方向に、突出部171aを挟んだ透過部172の反対側に位置する。そして、突出部171aは領域171cよりも高い位置にある。凹部173の上面は、透過部172の上面よりも低い位置にある。これにより、画像形成ユニットのY方向への着脱時に、供給口1335の周辺から仕切部材17にトナーが落下しても、突出部171a及び凹部173によってX(+)側からX(−)側へのトナーの移動が制限され、露光光の光路へのトナーの移動が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやコピー機などの画像を形成する画像形成装置にあっては、画像形成に関わる構成部品をユーザ若しくはメンテナンス技術者によって容易に着脱可能なように、これらがユニット化されたもの(以下、「画像形成ユニット」という。)がある。特許文献1には、複数個のプロセスカートリッジを高さ位置の異なった支え面に設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−212986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置に対してプロセスカートリッジが着脱される際には、その移動によって周辺に色材が落下することがある。
本発明の目的は、画像形成に関わる構成部品の着脱を原因として、画像形成装置が形成する画像の質が低下することを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1に係る画像形成装置は、に応じた潜像を保持する像保持体の下方から、前記像保持体に向けて露光光を照射する露光手段と、前記露光手段が設けられる空間と前記像保持体が設けられる空間とを仕切る仕切部材であって、前記露光光を透過させる透過部であって、外部からの色材の入り口となる供給口から供給される色材を用いて前記潜像を現像する現像手段が自装置に対して着脱されるときの、前記供給口の移動方向に延びる透過部と、前記透過部に沿って前記移動方向に延びる第1の突出部とを上面に有しており、前記第1の突出部及び前記透過部の並び方向に、前記第1の突出部を挟んで前記透過部の反対側に、自装置に装着された前記現像手段の供給口が位置する仕切部材と、前記現像手段により現像された像に基づいて、媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、光に応じた潜像を保持する像保持体の下方から、前記像保持体に向けて露光光を照射する露光手段と、前記潜像に色材を供給して現像し、現像された像を転写して、媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記露光手段が設けられる空間と前記像保持体が設けられる空間とを仕切る仕切部材であって、前記露光光を透過させる透過部であって、前記像保持体の前記現像された像が転写された後の領域のトナーを回収して排出口から排出することで当該領域を清掃する清掃手段が自装置に対して着脱されるときの、前記排出口の移動方向に延びる透過部と、前記透過部に沿って前記移動方向に延びる第1の突出部とを上面に有しており、前記第1の突出部及び前記透過部の並び方向に、前記第1の突出部を挟んで前記透過部の反対側に、自装置に装着された前記清掃手段の排出口が位置する仕切部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に係る構成において、前記仕切部材は、前記並び方向に、前記透過部よりも前記第1の突出部側に設けられ、前記移動方向に延びる凹部を前記上面に有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1に係る構成において、前記仕切部材は、前記並び方向に、前記透過部及び前記第1の突出部を複数組有しており、複数の前記現像装置が、前記組のそれぞれに対応して1つずつ装着可能であり、前記仕切部材は、前記並び方向に、一の組の前記透過部と、当該透過部から見て当該組の前記第1の突出部がある側とは反対側に隣り合う組に対応して装着される前記現像手段の供給口とに挟まれる第2の突出部であって、前記透過部に沿って前記移動方向に延びる第2の突出部を前記上面に有していることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項1に係る構成において、前記第1の突出部は、前記供給口の鉛直下方向の領域を少なくとも含み、且つ前記移動方向に前記仕切部材の一部で延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2に係る発明によれば、第1の突出部が設けられない場合に比べて、画像形成に関わる構成部品の着脱を原因として、画像形成装置が形成する画像の質が低下することを抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、凹部が設けられない場合に比べて、画像形成装置が形成する画像の質の低下を抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、第2の突出部が設けられない場合に比べて、隣接する組間での色材の移動による画像の質の低下を抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、仕切部材の全体に第1の突出部が延びる場合に比べて、画像形成装置に占める仕切部材のスペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の構造を模式的に示す図である。
【図2】仕切部材の外観を示す斜視図である。
【図3】仕切部材の断面図である。
【図4】画像形成ユニットの着脱を説明する図である。
【図5】画像形成ユニットの着脱を説明する図である。
【図6】仕切部材の断面図である。
【図7】仕切部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
図1はこの実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す図である。
以下では、以下のようにXYZ直交座標系を定めて説明する。画像形成装置1を正面から見たときの左右方向の右方向をX(+)・左方向をX(−)とし、奥行き方向の奥方向をY(+)・手前方向をY(−)とし、高さ方向の上方向をZ(+)・下方向をZ(−)とする。
【0013】
画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の一例であり、電子写真プロセスにより画像を形成するものである。画像形成装置1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kがそれぞれ着脱可能に構成されている。画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、それぞれトナー像を形成するトナー像形成手段として機能するものである。画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、画像形成装置1に装着されたときには、仕切部材17によって下方(Z(−)側)から支持されることにより装置内に固定される。画像形成装置1には、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの着脱を実現するために、その筐体の正面には後述する開閉カバー203が設けられている。
【0014】
仕切部材17は、本発明の仕切部材の一例であり、露光装置12が設けられる空間と、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kが設けられる空間とを仕切る。すなわち、仕切部材17は、露光装置12が設けられる空間と、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kが設けられる空間とが、自身を介して鉛直方向(Z方向)に隣接するように仕切る。仕切部材17のうち上方を向く面(上面)は、X方向に対する一端側であるX(+)側が他端側であるX(−)に対して高くなるよう傾斜している。すなわち、最もX(+)側にあるイエロー(Y)の画像形成ユニット13Yが相対的に高い位置にあり、最もX(−)側にある黒(K)の画像形成ユニット13Kが相対的に低くなるよう、水平方向(X方向)に対して或る角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態で、仕切部材17は画像形成装置1の筐体内に設けられている。これにより、4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kを水平に配置する場合に比べて、水平方向に対する装置の寸法を小さくし得る。なお、「下方」とは、鉛直下方向(重力方向)に成分を持つ方向のことをいい、また、「上方」とは、鉛直上方向(重力方向の逆方向)に成分を持つ方向のことをいう。また、以下では、上方を向く面を「上面」といい、下方を向く面を「下面」という。仕切部材17の構成について詳しくは後述する。
【0015】
続いて、画像形成ユニット13及び画像形成に関わる周辺の構成について説明する。なお、図1、2では図が煩雑になるのを防ぐために、画像形成ユニット13Yのみについて各構成に符号を付している。また、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kに関わる構成の末尾に付されたアルファベットは画像形成装置1が扱うトナーの色に対応する。符号の末尾のアルファベットのみが異なる構成は、扱うトナーの色が異なるが、その構成は同一である。以下の説明において、これら各構成を特に区別する必要がない場合には、符号の末尾のアルファベットを省略して説明する。
感光体ドラム131は、本発明の像保持体の一例であり、表面に光導電膜を積層した円筒状の部材である。感光体ドラム131は、表面に照射される露光光に応じて形成された静電潜像を保持する。感光体ドラム131は、中間転写ベルト141と接触した状態にあるときに、中間転写ベルト141の移動に伴って、円筒の中心を軸(図1において紙面垂直方向)として図中の矢印の方向に回転する。帯電装置132は、本発明の帯電手段の一例であり、感光体ドラム131の光導電膜を決められた電位に帯電させる。露光装置12は、本発明の露光手段の一例であり、画像データに応じて変調された露光光を照射するための半導体レーザ(いずれも図示せず)を4つ備えている。露光装置12は、露光レンズ120を備えている。露光装置12は、露光レンズ120及び後述する透過部172を介して、各画像形成ユニット13の感光体ドラム131の下方からその感光体ドラム131に向けて露光光を照射する。露光装置12は、4つの画像形成ユニット13の下部に沿って設けられており、仕切部材17の下方であるZ(−)側から、上方であるZ(+)側に向けて露光光を照射する。
【0016】
現像装置133は、本発明の現像手段の一例であり、色材としてY,M,C,Kのいずれかの色のトナーを含む現像剤を有している。現像装置133は、現像剤を用いて感光体ドラム131に形成された潜像にトナーを供給して、これを現像する。現像装置133は、ケースの感光体ドラム131側の開口部に、現像ロール1333を有している。現像ロール1333よりも奥側には、現像剤を攪拌しつつ、現像ロール1333に現像剤を供給する供給オーガ1332が設けられている。供給オーガ1332が回転することによって現像ロール1333へと供給された現像剤は、現像ロール1333の表面に吸着されて、感光体ドラム131と対向する現像領域へと搬送される。供給オーガ1332のさらに奥側には、攪拌オーガ1331が設けられている。また、現像装置133のケースの攪拌オーガ1331の上方の位置には、シャッタ1334と供給口1335とが設けられているが(図2に図示)、その説明について詳しくは後述する。
清掃装置135は、本発明の清掃手段の一例であり、感光体ドラム131の表面のうちの現像された像が転写された後の領域と接触する。清掃装置135は、転写工程後に接触領域に残留したトナーを掻きとることによってその接触領域を清掃する。清掃装置135は、接触領域を清掃することにより回収したトナー排出部1351(図2に図示)の排出口から、清掃装置135外(つまり、画像形成ユニット13外)に排出する。
以上が、画像形成ユニット13の構成の説明である。
【0017】
中間転写ベルト141は、無端のベルト状の部材であり、回転ロール143、一次転写ロール134及びバックアップロール144と接触しながら図中の矢印D14の方向に回転する。回転ロール143は、中間転写ベルト141の移動を支持する円筒状の部材であり、円筒の中心を軸として回転する。一次転写ロール134は、中間転写ベルト141を挟んで感光体ドラム131と対向する円筒状の部材である。一次転写ロール134は、感光体ドラム131との間に電位差を生じさせて感光体ドラム131表面のトナーを中間転写ベルト141表面に転写する。二次転写ロール142は、中間転写ベルト141を挟んでバックアップロール144と対向する円筒状の部材であり、バックアップロール144との間に電位差を生じさせて、中間転写ベルト141表面のトナーを記録用紙の表面に転写する。定着装置15は、トナー像が転写された記録用紙に熱と圧力とを加える定着処理を施し、そのトナー像を記録用紙に定着させる。
【0018】
制御部19は、画像形成装置1の各部を制御する。例えば、制御部19は、外部装置2から取得した画像データに基づいて記録用紙Pに画像を形成するための各種の制御を実行する。制御部19は、本発明の画像形成手段の一例として画像形成装置1の各部を機能させる際には、自装置に装着された画像形成ユニット13が現像した像を、感光体ドラム131から記録用紙Pに転写して定着させることにより、画像を形成する。このとき、制御部19は、画像形成装置1の内部に配置された収容部11から1枚ずつ記録用紙Pを搬送させ、二次転写ロール142とバックアップロール144とのニップ領域にて中間転写ベルト141上のトナー像を転写させる。そして、制御部19は、この記録用紙Pを装置外に排出する。なお、記録用紙Pに代えて、プラスチックやその他の材質のシートなどの画像を形成し得る媒体を用いてもよい。
【0019】
続いて、仕切部材17の構成についてより詳細に説明する。
図2は、画像形成ユニット13Yが装着されたときの仕切部材17の外観を示す斜視図である。
画像形成ユニット13は、一方向に延びた外観の形状を有しており、画像形成装置1内ではY方向に延びている。画像形成ユニット13はY方向に移動させられて、画像形成装置1に対する着脱が行われる。ユーザが画像形成装置1に画像形成ユニット13を装着させるときには、画像形成ユニット13は、Y(−)側からY(+)側であるY方向に、仕切部材17の上面に沿って移動させられる。反対に、ユーザが画像形成装置1から画像形成ユニット13を離脱させるときには、画像形成ユニット13は、Y(+)側からY(−)側であるY方向に、仕切部材17の上面に沿って移動させられる。画像形成装置1の筐体201のうち前面側には開閉カバー203が開閉可能に取り付けられている。図2に示すように、開閉カバー203が開けられた状態でユーザにより画像形成ユニット13の着脱が行われる。また、画像形成ユニット13が画像形成装置1に装着されているときには、画像形成ユニット13の奥側(Y(+)側)が、画像形成装置1の筐体201の奥側に設けられた支持板202によって支持される。
【0020】
画像形成装置1に装着された画像形成ユニット13の奥側(Y(+))の上面には、供給口1335が設けられている。供給口1335は、外部(つまり、図示せぬトナーカートリッジ)から現像装置133に供給されるトナーの入り口となる。現像装置133は、供給口1335を介して供給されるトナーを用いて現像を行う。また、画像形成ユニット13の上面には、供給口1335を塞いだり、開放させたりするための開閉部材であるシャッタ1334が設けられている。図2に示すように、画像形成ユニット13が画像形成装置1に装着された状態では供給口1335はシャッタ1334により塞がれていない。また、清掃装置135は、Y方向に延びているトナー排出部1351を有しており、Y(−)側の先端付近の下方を向く面に図示せぬ排出口が設けられている。清掃装置135は、感光体ドラム131から回収したトナーをこの排出口から下方(図2の点線の矢印方向)に排出する。この排出されたトナーは、開閉カバー203が閉状態であるときに、排出口の下方に位置する図示せぬトナー回収ボトルに排出される。また、トナー排出部1335の排出口にはシャッタなどの開閉部材が設けられており、開閉カバー203が開けられた状態ではこの開閉部材は排出口を塞いでおり、開閉カバー203が閉じられた状態ではこの開閉部材は排出口を開放させる。この排出口を開放させられているときに、清掃装置135が回収したトナーがそこから排出される。
【0021】
図3は、図2に示す切断線III-III(つまり、XZ平面)で仕切部材17を切断したときの断面の一部を表す図である。
仕切部材17の構成は、基部171と透過部172とに大別される。基部171は、例えば板状に形成されており、画像形成装置1の筐体内に設けられたときにY方向に延びる領域を上面に有している。Y方向は、現像装置133が画像形成装置1に対して着脱されるときの供給口1335の移動方向に相当する。基部171の上面には、突出部171aと、X方向に突出部171aと隣り合う領域171bと、X方向に領域171bとは反対側において突出部171aと隣り合う領域171cとが設けられている。
【0022】
突出部171aは本発明の第1の突出部の一例であり、領域171b及び171cに対して上方に突出している。すなわち、画像形成装置1の筐体内において、突出部171aは、領域171b及び171cよりも高い位置にある。また、突出部171aは、X(+)側からX(−)側へと次第に高くなるよう矢印S方向に傾斜する領域である。この方向は鉛直上方向に成分を持つ方向であり、鉛直下方向に成分を持つ方向に並べられる画像形成ユニット13の配列方向とは逆の関係となっている。
【0023】
透過部172は、本発明の透過部の一例であり、基部171の上面とその反対側を向く下面との間で光を透過させる。透過部172は、露光装置12から感光体ドラム131に向けて照射されるよって露光光の光路(図1に二点鎖線で図示。)に設けられる。ここでは、透過部172は、ここでは基部171の上面と下面とを貫く貫通孔であり、Y方向に延びている。なお、透過部172は光を透過させる部位であればよく、貫通孔に代えて、透光性を持つ部材が設けられてもよい。
また、基部171は、上面においてY方向に延びる凹部173を有している。凹部173は、本発明の凹部の一例であり、領域171bに対して凹んでいる。凹部173は、基部171の上面においてY方向に延びており、透過部172と突出部171a(つまり、領域171c)とに挟まれる位置にある。そして、凹部173の上面は透過部172の上面よりも低い位置にある。
【0024】
ところで、図3には、1組の突出部171a、領域171b及び171cを示すが、図1,2などからも分かるように、基部171は、突出部171a、領域171b及び171cから成る領域をそれらの並び方向に複数組(ここでは4組)有している。仕切部材17は、これら各組に対応して1つずつ画像形成ユニット13が装着可能されるように構成されている。そして、仕切部材17は、上面に突起174を複数有している。突起174は、本発明の第1の突出部に対し、第2の突出部の一例として機能する。すなわち、突起174は、或る一組の透過部172と、その透過部172から見てその組の突出部171aがある側とは反対側に隣り合う組に対応して装着される現像装置133の供給口1335とに挟まれる。そして、突起174は、隣接する組の領域171cや透過部172よりも高い位置にある。
【0025】
続いて、以上の構成の仕切部材17の作用について説明する。
図4、5は、画像形成ユニット13のうち現像装置133の周辺をX方向(X(+)側からX(−)側)に見たときの様子を表す。図4(a)に示すように、画像形成ユニット13の未装着時であり、その装着に際して画像形成ユニット13がY(−)側からY(+)方向に移動させられるときには、供給口1335はシャッタ1334により塞がれている。このように、供給口1335がシャッタ1334によって塞がれているときには、現像装置133へのトナーの供給は行われない。このとき、画像形成装置1内に設けられた搬送路22の下方を向く開口部もシャッタ21によって塞がれている。搬送路22は、図示せぬトナーカートリッジから供給されるトナーが搬送される経路である。シャッタ21は、搬送路22の開口部を塞ぐか、又は開放させたりするための開閉部材である。一方、図4(b)に示すように、画像形成ユニット13が画像形成装置1に装着されているときには、例えば装置内の特定の部位にシャッタ1334が引っ掛かることにより、供給口1335に対するシャッタ1334の相対的な位置が変わる。このとき、供給口1335はシャッタ1334により塞がれておらず、開放した状態となっている。このとき、搬送路22の開口部の下方に供給口1335が位置するとともに、両者が開放した状態となっており、現像装置133へのトナーの供給が行われる。
【0026】
そして、画像形成ユニット13の交換時などにおいて、画像形成ユニット13が画像形成装置1から離脱させられるときには、Y(+)側からY(―)方向に移動させられる。この移動が行われている期間には、図5に示すように、供給口1335がシャッタ1334により塞がれる途中の期間がある。また、このとき、搬送路22の開口部もシャッタ21により塞がれる途中の期間がある。このとき、例えば供給口1335の周辺やシャッタ1334の側面(特に、Y(+)側)、シャッタ21のY(−)側に付着したトナーが仕切部材17の上面に落下することがある。図4(b)に示す態様でのトナーの供給により、これらの各部位にトナーが付着していることがあるからである。この落下したトナーが、仕切部材17の透過部172の位置に移動して、さらに下方に落下すると、露光レンズ120に付着する。このトナーの付着が生じると、画像形成工程のうちの露光工程を原因として、画像形成装置1により形成される画像の質が低下してしまうことがある。特に、仕切部材17の上面は透過部172側に下がるように傾斜しているから、このようなトナーの移動が生じやすい。また、画像形成ユニット13からのトナーの落下は、画像形成装置1に対する着脱が行われるとき(特に、離脱させるとき)の振動などによって起こりやすく、仕切部材17のY方向の或る程度広い範囲に亘って起こり得る。
以上のような画像形成装置1に対する画像形成ユニット13の着脱を原因とした、画像形成装置1が形成する画像の質の低下を抑制し得るように、仕切部材17は構成されている。
【0027】
図3に示すように、画像形成ユニット13の装着時において供給口1335は、突出部171a及び透過部172の並び方向に、突出部171aを挟んだ透過部172の反対側に位置している。そして、突出部171aは、領域171cよりも高い位置となるよう突出している。より具体的には、突出部171aは透過部172側に次第に高くなるように傾斜しており、この方向へのトナーの移動は、その領域が水平である場合などに比べて生じにくい。また、凹部173の上面は、透過部172の上面よりも低い位置にある。よって、突出部171aよりもX(−)側にトナーが移動させられた場合であっても、凹部173にトナーが溜まるので、凹部173が設けられない場合に比べて、透過部172側へのトナーの移動は抑制される。更には、突起174が設けられているので、突起174が設けられない場合に比べて、隣接する組間でのトナーの移動による画質の低下も抑制し得る。
なお、透過部172が透光性を持つ部材により構成される場合であっても、この領域へのトナーの付着が防止されるので、これと同等の効果を奏し得る。
【0028】
また、図2からも分かるように、突出部171aは、Y方向に基部171の一部に設けられている。このようにしているのは、画像形成装置1の奥側(Y(+)側)に比べて手前側(Y(−)側)の方が、供給口1335からのトナーの落下が起こりにくいからである。このように、画像形成装置1に装着されたときの画像形成ユニット13の供給口1335の鉛直下方向(Z(−)側)の領域を少なくとも含み、且つY方向に基部171の一部に突出部171aを設けることで、その全体に突出部171aを設ける場合に比べて、画像形成装置1の筐体内に占める基部171のスペースが小さくなる。
【0029】
また、清掃装置135のトナー排出部1335からトナーが排出される際に、その排出口から下方にトナーが落下させられるが、このトナーが仕切部材17上に落下することもあり得る。画像形成装置1にあっては、図1からも分かるように、清掃装置135の下方には、隣接する組の画像形成ユニット13の現像装置133が位置しており、更にその下方に領域171cが位置している。すなわち、画像形成ユニット13が画像形成装置1に対して着脱される際のトナー排出部1335の排出口の移動方向に、突出部171a及び凹部173が延びていることにもなる。これにより、トナー排出部1335の排出口から落下するトナーについても、仕切部材17の作用によって画像形成装置1が形成する画像の画質の低下を抑制することに寄与させ得る。
【0030】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施し得る。また、以下に示す変形例は、各々を組み合わせてもよい。
[変形例1]
上述した実施形態の仕切部材17を以下のとおり変形してもよい。なお、以下の説明において仕切部材17と同じ構成については同一の符号を付して表し、対応する構成については「A」、「B」という符号を末尾に付して表し、その説明を省略する。
図6は、この変形例の仕切部材17Aについて、図3と同じ方向の断面を表した図である。仕切部材17Aは、基部171Aを有している。基部171Aの構成は、基部171のううち凹部173を設けないようにしたものに等しい。仕切部材17Aの構成であっても、突出部171aの作用により、トナーの透過部172側への移動は抑制される。
【0031】
図7は、この変形例の仕切部材17Bについて、図3と同じ方向の断面を表した図である。
仕切部材17Bは、基部171Bを有している。基部171Bの構成は、仕切部材17の凹部173の位置を、突出部171aの位置に変更したものに等しい。仕切部材17Bの構成であっても、突出部171a及び凹部173の作用により、トナーの透過部172側への移動は抑制される。また、突出部171aにおいて、突出部171a及び透過部172の並び方向に複数の凹部を設けるようにしてもよい。また、突出部171aと領域171bとの両方に凹部173を設けてもよい。また、上述した実施形態の仕切部材17の領域171bに、凹部173を複数設けてもよい。要するに、凹部173は、各組について、突出部171a及び透過部172の並び方向に、透過部172よりも突出部171a側に設けられていればよい。
【0032】
また、以上説明した各仕切部材の構成において、突起174を設けないとする構成を妨げるものではない。また、突出部171aは傾斜する領域でなくてもよく、凸状などの他の形状であってもよい。要するに、画像形成装置1への装着時において鉛直上方向を成分に持つ方向に突き出していればよい。そして、好ましくは、突出部171aの少なくとも一部が領域171cよりも高い位置にあるとよい。また、突起174についても、凸状などの他の形状であってもよい。
【0033】
[変形例2]
上述した実施形態では、画像形成ユニット13の供給口1335からのトナーの落下を原因とした画質の低下を抑制する場合について説明したが、トナーの落下の原因が他のものであっても本発明の仕切部材により、そのトナーを原因とした画質の低下を抑制し得る。例えば、現像ロール1333と感光体ドラム131とが対向し、潜像の現像される領域(いわゆる、現像領域)においては、現像ロール1333が現像装置133の開口部から露出しており、そこからトナーが落下することがある。この場合であっても、その鉛直下方向に、領域171b、突出部171a及び凹部173のいずれかが位置していれば、それらがない場合に比べて、落下したトナーを原因とする画質の低下を抑制し得る。
【0034】
[変形例3]
また、画像形成ユニット13の構成要素を以下のように変形してもよい。
例えば、画像形成ユニットに少なくとも現像装置133が含まれていれば、上述した実施形態で説明したものと同じ作用により、現像装置の着脱を原因として落下するトナーによる画質の低下を抑制し得る。
また、清掃装置135を少なくとも含む画像形成ユニット(例えば、感光体ドラム131及び清掃装置135を含む。)であっても、トナー排出部1351の排出口から落下するトナーによる画質の低下を抑制し得る。この構成において、例えば、現像装置133がユニット化されていない場合には、突出部171aに相当するものがなくてもよく、このときは、突起174が、本発明の第1の突出部の一例として機能する。また、この構成において、突起174と透過部172とに挟まれる位置に凹部を設けられても構わない。
【0035】
[変形例4]
上述した実施形態において、突出部171aは基部171の一部においてY方向に延びていたが、その全体で延びていてもよい。
画像形成装置1に着脱可能な画像形成ユニット13の数は4つに限らず、1つ以上のいくつであってもよい。
また、画像形成ユニット13における供給口1335が、画像形成装置1の筐体内において奥側(Y(+)側)に位置する構成に限らず、手前側(Y(−)側)に位置する構成であってもよい。この場合も、供給口1335の位置の鉛直下方向を含む領域に突出部171a、凹部173、及び突起174が設けられているとよい。
また、画像形成装置1に対して基部171の上面がX(+)側が高くなり、X(−)側が低くなるよう傾斜して設置されない場合であっても、上述の実施形態と同等の効果を奏し得る。
また、上述した実施形態では、仕切部材17は、画像形成ユニット13を支持する支持部材としても機能するものであったが、本発明の仕切部材は、支持部材として機能するものでなくてもよい。例えば、画像形成ユニット13が別の部材によって支持される場合であっても、画像形成ユニット13の下方に仕切部材17が設けられていれば、上述した実施形態と同等の作用により、画像形成ユニットから落下するトナーによる画質の低下を抑制し得る。
【符号の説明】
【0036】
1…画像形成装置、12…露光装置、120…露光レンズ、13…画像形成ユニット、131…感光体ドラム、132…帯電装置、133…現像装置、1334…シャッタ、1335…供給口、135…清掃装置、17,17A,17B…仕切部材、171,171A,171B…基部、171a…突出部172…透過部、173…凹部、174…突起、21…シャッタ、22…搬送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光に応じた潜像を保持する像保持体の下方から、前記像保持体に向けて露光光を照射する露光手段と、
前記露光手段が設けられる空間と前記像保持体が設けられる空間とを仕切る仕切部材であって、前記露光光を透過させる透過部であって、外部からの色材の入り口となる供給口から供給される色材を用いて前記潜像を現像する現像手段が自装置に対して着脱されるときの、前記供給口の移動方向に延びる透過部と、前記透過部に沿って前記移動方向に延びる第1の突出部とを上面に有しており、前記第1の突出部及び前記透過部の並び方向に、前記第1の突出部を挟んで前記透過部の反対側に、自装置に装着された前記現像手段の供給口が位置する仕切部材と、
前記現像手段により現像された像に基づいて、媒体に画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
光に応じた潜像を保持する像保持体の下方から、前記像保持体に向けて露光光を照射する露光手段と、
前記潜像に色材を供給して現像し、現像された像を転写して、媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記露光手段が設けられる空間と前記像保持体が設けられる空間とを仕切る仕切部材であって、前記露光光を透過させる透過部であって、前記像保持体の前記現像された像が転写された後の領域のトナーを回収して排出口から排出することで当該領域を清掃する清掃手段が自装置に対して着脱されるときの、前記排出口の移動方向に延びる透過部と、前記透過部に沿って前記移動方向に延びる第1の突出部とを上面に有しており、前記第1の突出部及び前記透過部の並び方向に、前記第1の突出部を挟んで前記透過部の反対側に、自装置に装着された前記清掃手段の排出口が位置する仕切部材と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記仕切部材は、前記並び方向に、前記透過部よりも前記第1の突出部側に設けられ、前記移動方向に延びる凹部を前記上面に有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記仕切部材は、前記並び方向に、前記透過部及び前記第1の突出部を複数組有しており、
複数の前記現像装置が、前記組のそれぞれに対応して1つずつ装着可能であり、
前記仕切部材は、前記並び方向に、一の組の前記透過部と、当該透過部から見て当該組の前記第1の突出部がある側とは反対側に隣り合う組に対応して装着される前記現像手段の供給口とに挟まれる第2の突出部であって、前記透過部に沿って前記移動方向に延びる第2の突出部を前記上面に有している
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の突出部は、前記供給口の鉛直下方向の領域を少なくとも含み、且つ前記移動方向に前記仕切部材の一部で延びている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−107649(P2011−107649A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265565(P2009−265565)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】