説明

画像形成装置

【課題】検知手段にトナーが付着するのを防止する。
【解決手段】中間転写ベルト12上に保持されたトナー像を記録媒体に転写する転写部材17と、転写位置の上流側であって且つ転写位置へと搬送される記録媒体の搬送経路よりも像保持体側に配置され、中間転写ベルト12上に保持されたトナー像を検知する検知手段51(52)と、転写位置へと搬送される記録媒体の搬送方向に沿った複数の異なる位置で記録媒体と接触する複数の接触部65(66)を有し、複数の接触部65(66)のうち、記録媒体の搬送方向に沿った最も上流側に位置する接触部65(66)が記録媒体と接触することで検知手段51(52)の検知部を覆う遮蔽位置に傾斜移動し、記録媒体の搬送方向に沿った最も下流側に位置する接触部が記録媒体から離間することで検知手段51(52)の検知部を開放する検知位置に傾斜移動する遮蔽部材61とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置としては、感光体ドラムや中間転写体の表面に画質調整用又はトナー補給用のトナー像を形成し、これらのトナー像を検知手段で検知することによって、画質の調整やトナーの補給等を行うように構成したものがある。
【0003】
その際、上記検知手段は、画像形成装置の画像形成部材の配置等に起因して、感光体ドラムや中間転写ベルトの下方に配置されることが多いため、感光体ドラムや中間転写ベルトから落下するトナーや、感光体ドラムや中間転写ベルトの転写部を通過する記録用紙の紙粉等によって汚れ易い。
【0004】
そこで、上記検知手段の汚れ防止に関する技術としては、例えば、特開2002−31919号公報や特開2004−85787号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0005】
上記特開2002−31919号公報に係る画像形成装置は、感光体に形成した静電潜像を電子写真プロセスによって画像形成する画像形成装置において、露光により静電潜像を形成する像坦持体と、前記像坦持体に形成された静電潜像にトナー像を形成して可視像化する現像手段と、前記現像手段によって形成されたトナー像を転写紙に転写する転写手段と、前記現像手段の下流側で且つ前記転写手段の上流側にあって、前記像坦持体に形成されたトナー像のトナー濃度を光学的に検出するトナー濃度検出センサーと、前記トナー濃度検出センサーの検出面を覆うように一端を軸にして開閉する紙粉防止部材とを備え、転写紙が前記紙粉防止部材を押下中、前記トナー濃度検出センサーの検出面は前記紙粉防止部材によって閉ざされるように構成したものである。
【0006】
また、上記特開2004−85787号公報に係る画像形成装置は、記録紙の表面に光を照射する光照射手段と、記録紙表面の光照射領域内の反射光を読み取り出力する光学センサと、光学センサに送風する送風手段と、送風手段より送られた風を記録紙と光学センサとの間に通す風路とを備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−31919号公報
【特許文献2】特開2004−85787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、記録媒体の搬送経路に対して像保持体側に検知手段を配置した場合であっても、検知手段にトナーが付着するのを防止することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載された発明は、トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を転写位置において記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写位置の上流側であって且つ前記転写位置へと搬送される記録媒体の搬送経路よりも像保持体側に配置され、前記像保持体上に保持されたトナー像を検知する検知手段と、
前記転写位置へと搬送される記録媒体の搬送方向に沿った複数の異なる位置で当該記録媒体と接触する複数の接触部を有し、前記複数の接触部のうち、記録媒体の搬送方向に沿った最も上流側に位置する接触部が記録媒体と接触することで前記検知手段の検知部を覆う遮蔽位置に傾斜移動し、記録媒体の搬送方向に沿った最も下流側に位置する接触部が記録媒体から離間することで前記検知手段の検知部を開放する検知位置に傾斜移動する遮蔽部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
また、請求項2に記載された発明は、前記遮蔽部材は、記録媒体の搬送方向に沿った最も上流側に位置し、記録媒体の先端と接触することで前記遮蔽位置へと移動する第1の接触部と、記録媒体の搬送方向に沿った最も下流側に位置し、記録媒体の後端が離間することで前記検知位置へと復帰する第2の接触部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0011】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記像保持体は、複数のロール間に張り渡された中間転写ベルトからなり、前記検知手段は当該中間転写ベルトの下方に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0012】
又、請求項4に記載された発明は、前記検知手段は、前記ロールと前記中間転写ベルトとが接触する接点位置よりも、当該中間転写ベルトの移動方向上流側を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0013】
更に、請求項5に記載された発明は、前記遮蔽部材は、遮蔽位置に移動する際に、前記検知手段の検知部を清掃する清掃部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、記録媒体の搬送経路に対して像保持体側に検知手段を配置した場合であっても、検知手段にトナーが付着するのを防止することができる。
【0015】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、遮蔽部材と記録媒体が接触する接触部を小さくすることができ、記録媒体の接触による摩擦帯電を低減することができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、中間転写ベルトの下方に検知手段を配置させた場合であっても、検知手段にトナーが付着するのを防止することができる。
【0017】
又、請求項4に記載された発明によれば、ロールと中間転写ベルトとの接点位置を検知する場合と比較して、精度よく検知することができる。
【0018】
更に、請求項5に記載された発明によれば、清掃部材を設けない場合と比較して、検知手段に付着したトナーを確実に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラープリンタの要部を示す断面構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4は中間転写ベルト上に転写されるトナー像を示す模式図である。
【図5】図5はセンサーを示す概略構成図である。
【図6】図6は保持部材を示す外観斜視図である。
【図7】図7は搬送経路形成部材を示す外観斜視図である。
【図8】図8は遮蔽部材の要部を示す断面構成図である。
【図9】図9はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの動作を示す構成図である。
【図10】図10はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの動作を示す構成図である。
【図11】図11はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの動作を示す構成図である。
【図12】図12はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの動作を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタを示す構成図である。また、図3は同カラープリンタの画像形成部を示す構成図である
【0022】
このカラープリンタは、図2に示すように、パーソナルコンピュータや図示しない画像読取装置等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに応じて、フルカラーやモノクロの画像を出力するものである。
【0023】
上記カラープリンタ本体1の内部には、図2に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)2や図示しない画像読取装置等から送られてくる画像データに対して、必要に応じて、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す画像処理部3が配設されているとともに、カラープリンタ全体の動作を制御する制御部4が配設されている。
【0024】
そして、上記の如く画像処理部3で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理部3によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、カラープリンタ本体1の内部に設けられた画像出力部5によってフルカラー画像やモノクロ画像として出力される。
【0025】
上記画像処理部3によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに送られ、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kでは、対応する色の画像データに応じてLED発光素子アレイから出射される光によって画像露光が行われる。
【0026】
上記カラープリンタ本体1の内部には、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成部)6Y、6M、6C、6Kが、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット6Yが相対的に高く、最終色の黒(K)の画像形成ユニット6Kが相対的に低くなるように、水平方向に対して予め定められた角度(例えば、約10度)だけ傾斜した状態で一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。なお、上記画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの傾斜角度は、約10度に限定されるものではなく、これより大きな角度であっても小さな角度であっても良いことは勿論である。
【0027】
このように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを、予め定められた角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを水平に配置した場合と比較して、画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K間の距離を短く設定することができ、カラープリンタ本体1の幅を小さくしてより一層の小型化が可能となる。
【0028】
これらの4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kは、基本的に、形成する画像の色以外は同様に構成されており、図2及び図3に示すように、大別して、図示しない駆動手段により矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される感光体ドラム8と、この感光体ドラム8の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール9と、当該感光体ドラム8の表面に予め定められた色に対応した画像を露光して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる画像露光装置7と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を予め定められた色のトナーで現像する現像装置10と、感光体ドラム8の表面を清掃するクリーニング装置11とから構成されている。
【0029】
上記感光体ドラム8としては、例えば、直径30mm程度のドラム状に形成され、表面に有機光導電体(OPC)等からなる感光体層を被覆したものが用いられ、図示しない駆動モータにより矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される。
【0030】
また、上記帯電ロール9としては、例えば、芯金の表面に合成樹脂や合成ゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器が用いられ、この帯電ロール9の芯金には、予め定められた帯電バイアスが印加される。
【0031】
上記画像露光装置7は、図2に示すように、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K毎にそれぞれ個別に配置されており、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに設けられた画像露光装置7としては、LED発光素子を予め定められたピッチ(例えば、600dpi〜1200dpi)で感光体ドラム8の軸方向に沿って直線状に配置したLED発光素子アレイと、当該LED発光素子アレイの各LED発光素子から出射された光を感光体ドラム8上にスポット状に結像するロッドレンズアレイとを備えたものが用いられる。また、上記画像露光装置7は、図2及び図3に示すように、下方から感光体ドラム8上に画像を走査露光するように構成されている。
【0032】
なお、上記画像露光装置7としてLED発光素子アレイからなるものを用いた場合には、画像露光装置を大幅に小型化することができるため望ましいが、画像露光装置7としては、LED発光素子アレイからなるものに限らず、レーザービームを各感光体ドラム8の軸方向に沿って偏向走査するものなどを用いても良い。この場合には、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに対して1つの画像露光装置7が配設される。
【0033】
上記画像処理部3からは、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに個別に設けられた画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに、対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射された光束は、対応する感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面に走査露光され、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された静電潜像は、現像装置10Y、10M、10C、10Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0034】
上記各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された無端ベルト状の像保持体としての中間転写ベルト12上に、4つの一次転写ロール13Y、13M、13C、13Kによって順次多重に一次転写される。
【0035】
なお、この実施の形態では、像保持体として中間転写ベルト12を用いているが、モノクロの画像を形成する画像形成装置の場合には、像保持体として感光体ドラムを用いても良いことは勿論である。
【0036】
この中間転写ベルト12は、複数のロールによって張架された無端ベルト状部材であって、当該ベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が相対的に低く、且つ上流側が相対的に高くなるように、水平方向に対して画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの傾斜角度と等しい角度だけ傾斜した状態で配置されている。
【0037】
即ち、上記中間転写ベルト12は、図2に示すように、二次転写部の背面支持ロールとしての機能を兼ね備えた駆動ロール15と、従動ロール14との間に予め定められた張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた駆動モータによって回転駆動される駆動ロール15により、矢印B方向に沿って予め定められた速度で循環駆動される。上記中間転写ベルト12としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムによって無端ベルト状に形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト12は、その下辺走行領域において、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに接触するように配置されている。
【0038】
また、上記中間転写ベルト12には、図2に示すように、当該中間転写ベルト12の走行領域の低位側端部に配置され、中間転写ベルト12上に一次転写されたトナー像を記録媒体16上に二次転写する二次転写手段としての二次転写ロール17が、駆動ロール15によって張架された中間転写ベルト12の表面に接触するように配置されている。
【0039】
上記中間転写ベルト12上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、駆動ロール15に中間転写ベルト12を介して接触する二次転写ロール17によって、記録媒体としての記録用紙16上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙16は、鉛直方向の上方に位置する定着装置18へと搬送される。上記二次転写ロール17は、駆動ロール15の側方に中間転写ベルト12を介して圧接しており、鉛直方向の下方から上方に搬送される記録用紙16上に、各色のトナー像を一括して二次転写するようになっている。
【0040】
上記二次転写ロール17としては、例えば、ステンレス等の金属からなる芯金の外周に、導電剤を添加した合成ゴム材料等の導電性弾性体からなる弾性体層を予め定められた厚さに被覆したものが用いられる。
【0041】
そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙16は、定着手段としての定着装置18の加熱ロール19及び加圧ベルト(又は加圧ロール)20によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール21によってプリンタ本体1の上端部に設けられた排出トレイ22上に画像面を下にした状態で排出される。
【0042】
上記記録用紙16は、図2に示すように、プリンタ本体1内の底部に配置された給紙トレイ23から予め定められたサイズ及び材質のものが、給紙ロール24及び用紙分離ロール25により一枚ずつ分離された状態で給紙され、レジストロール26まで一旦搬送されて停止される。そして、上記給紙トレイ23から供給された記録用紙16は、予め定められたタイミングで回転するレジストロール26によって中間転写ベルト12の二次転写位置へと送り出される。上記記録用紙16としては、普通紙以外にも、表面又は表裏両面にコーティング処理が施されたコート紙等の厚紙や、OHPシートなども供給可能となっており、コート紙からなる記録用紙16には、写真画像なども出力される。
【0043】
その際、上記記録用紙16は、例えば、その給紙方向と交差する方向の中央部を基準として給紙搬送されて、中間転写ベルト12上からトナー像が転写定着され、同じく、その給紙方向と交差する方向の中央部を基準として排出トレイ22上に排出される。ただし、必ずしもこれに限定される訳ではなく、上記記録用紙16は、例えば、その給紙方向と交差する方向の一端部を基準として給紙搬送されるように構成しても良い。
【0044】
なお、トナー像の一次転写工程が終了した感光体ドラム8の表面は、図2及び図3に示すように、クリーニング装置11によって残留トナーが除去されて、次の画像形成工程に備える。また、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト12の表面は、図2に示すように、駆動ロール15の下流側の近傍に設けられたベルトクリーニング装置27によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成工程に備える。
【0045】
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラープリンタの要部を示す断面構成図である。
【0046】
上記カラープリンタにおいては、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの現像装置10Y、10M、10C、10K内のトナー濃度を検知するために、図4に示すように、これらの各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面にトナー濃度検知用のトナー像31Y、31M、31C、31K・・・を形成するとともに、当該トナー濃度検知用トナー像31Y、31M、31C、31K・・・を中間転写ベルト12上に転写し、この中間転写ベルト12上に転写されたトナー濃度検知用トナー像31Y、31M、31C、31K・・・の濃度を、第1の検知手段としてのトナー濃度センサー51によって光学的に検知するように構成されている。トナー濃度センサー51は、図5(a)に示すように、発光素子51aから出射される光をトナー濃度検知用トナー像31Y、31M、31C、31K・・・が転写された中間転写ベルト12の表面に照射し、当該中間転写ベルト12の表面からの正反射光及び拡散反射光の一方又は双方を受光素子51bによって検知することにより、トナー濃度検知用トナー像31Y、31M、31C、31K・・・の濃度を検知する。トナー濃度センサー51の出力は、図2に示すように、制御部4に入力される。
【0047】
また、上記カラープリンタにおいては、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kにおける画像形成位置を検知し、これらの各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kにおける画像形成位置を適宜補正することによってカラー画像の画質を維持するために、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面に画像形成位置検知用のトナー像としてのレジストパターン32Y、32M、32C、32K・・・を形成するとともに、当該イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のレジストパターン32Y、32M、32C、32K・・・を中間転写ベルト12上に転写し、この中間転写ベルト12上に転写されたレジストパターン32Y、32M、32C、32K・・・の位置を、第2の検知手段としての画像位置センサー52によって光学的に検知するように構成されている。画像位置センサー52は、図5(b)に示すように、発光素子52aから出射される光をレジストパターン32Y、32M、32C、32K・・・が転写された中間転写ベルト12の表面に照射し、当該中間転写ベルト12の表面からの反射光をバイセルと呼ばれる近接して配置された2つの受光素子52b、52cによって検知することにより、レジストパターン32Y、32M、32C、32K・・・の位置を検知する。画像位置センサー52の出力も、図2に示すように、制御部4に入力される。
【0048】
上記トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52は、図1に示すように、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kのうち、最も下流側に位置する黒(K)の画像形成ユニット6Kの下流側であって、中間転写ベルト12の二次転写位置よりも上流側であり、しかも中間転写ベルト12を張架する駆動ロール15の鉛直方向下方に近接して配置されている。
【0049】
上記駆動ロール15によって張架された中間転写ベルト12は、上述したように、その下辺走行領域が走行方向に沿った下流側が相対的に低く、且つ上流側が相対的に高くなるように、水平方向に対して予め定められた角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態で配置されている。上記トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52は、駆動ロール15の下端面において接線方向に位置する中間転写ベルト12が駆動ロール15と接触する接点位置、又は当該接点位置よりも中間転写ベルト12の移動方向上流側に予め定められた短い距離Dだけ上流側に、その検知位置が来るように配置される。
【0050】
なお、ロールには僅かであっても偏心があることを考慮すると、当該駆動ロール15の偏心の影響を直接受け難い、中間転写ベルト12が駆動ロール15と接触する接点位置よりも、中間転写ベルト12の移動方向上流側に予め定められた短い距離Dだけ上流側を検知位置とするように、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52を配置するのが望ましい。
【0051】
また、上記トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52は、図6に示すように、断面略コ字形状に折り曲げられた板金からなる保持部材53に、駆動ロール15の軸方向に沿って予め定められた距離だけ隔てて配置されている。トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52は、例えば、駆動ロール15の軸方向に沿った中心部に対して略左右対称な位置に配置される。
【0052】
上記保持部材53は、図1に示すように、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52が中間転写ベルト12の表面に対して実質的に直角に等しい角度を成して交差するように、鉛直方向に対して中間転写ベルト12の傾斜角度に等しい角度(例えば、10度)だけ傾斜して配置されている。
【0053】
上記保持部材53は、図6に示すように、平板状に形成されたセンサー取付部54と、当該センサー取付部54の上下両端部に同じ方向に向けて折り曲げた上端部55及び下端部56を備えている。また、この保持部材53の表面には、図7に示すように、記録用紙16を搬送する搬送経路56を形成する合成樹脂等からなる第1の搬送経路形成部材57が装着されている。この第1の搬送経路形成部材57の表面には、記録用紙16を案内する凸条58、59が、記録用紙16の搬送方向と交差する方向に沿って予め定められた間隔を隔てて複数設けられている。
【0054】
また、上記第1の搬送経路形成部材57と対向する位置には、図1に示すように、記録用紙16の搬送経路56を形成する第2の搬送経路形成部材60が設けられており、これら第1及び第2の搬送経路形成部材57、60によって、レジストロール26によって給送される記録用紙16を、中間転写ベルト12の二次転写位置へと搬送する用紙搬送経路56が形成されている。この用紙搬送経路56は、図1及び図2に示すように、略鉛直方向に沿って設けられ、駆動ロール15によって張架された中間転写ベルト12の右側面に二次転写ロール17が接触する二次転写位置へ記録用紙16が搬送される。上記第1の搬送経路形成部材57の上端部には、図1に示すように、記録用紙16を二次転写位置へと案内する凸条59からなる案内部が設けられており、この案内部59は、上端が鋭角を成す側面略三角形状に形成されている。
【0055】
さらに、上記第1の搬送経路形成部材57によって覆われた保持部材53の内部には、図1に示すように、中間転写ベルト12から落下するトナーによってトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aが汚損されるのを防止するために、これらトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを覆う遮蔽位置に傾斜して移動自在な遮蔽部材61が設けられている。
【0056】
この遮蔽部材61は、図6に示すように、その上端部に水平に配置された断面L字形状の遮蔽板部62と、当該遮蔽板部62の中央部に下方に向けて配置された正面矩形状に形成された取付板部63とから、正面略T字形状に形成されている。また、上記遮蔽部材61の取付板部63には、その鉛直方向の下端部の幅方向に沿った両端面に突出した軸部64が設けられており、この軸部64を支点として図示しない軸受け部により保持部材53に傾斜した状態に移動自在に取り付けられている。なお、軸受け部は、保持部材53又は第1の搬送経路形成部材57の内面に設けられている。
【0057】
上記遮蔽部材61は、図1に示すように、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の鉛直方向の下方に支点となる軸部64を有しており、当該軸部64の上方に位置する取付板部63と遮蔽板部62とによって正面略T字形状に形成されている。そのため、この遮蔽部材61の重心は、支点となる軸部64よりも鉛直方向の上方に設けられた取付板部63に位置する。
【0058】
また、上記遮蔽部材61は、図1に示すように、プリンタ本体1に鉛直方向に対して予め定められた角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態で取り付けられた保持部材53又は第1の搬送経路形成部材57の内面に取り付けられている。その結果、遮蔽部材61は、その重心が支点となる軸部よりも右側に位置し、この遮蔽部材61には、図1中、時計回り方向の回転モーメントが作用し、遮蔽部材61の遮蔽板部62が第1の搬送経路形成部材57の内面に突き当たった開放位置で停止している。このとき、遮蔽部材61の遮蔽板部62は、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを開放した開放位置となっており、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52は、中間転写ベルト12上に転写されるトナー濃度検知用トナー像31Y、31M、31C、31K・・・及びレジストパターン32Y、32M、32C、32K・・・を検知可能となっている。
【0059】
また、上記遮蔽部材61は、図1に示すように、用紙搬送経路56を通過する記録用紙16と接触して、当該遮蔽部材61の遮蔽板部62がトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを遮蔽した遮蔽位置へと移動可能となっている。この遮蔽部材61の取付板部63には、図1に示すように、記録用紙16の搬送方向に沿って当該記録用紙16と接触する上流側に位置する第1の接触部65と、下流側に位置する第2の接触部66とが設けられている。
【0060】
上記第1の接触部65は、記録用紙16の搬送方向に沿った最も上流側に位置し、記録用紙16の先端と接触することで遮蔽部材61を遮蔽位置へと移動させるものである。また、上記第2の接触部66は、記録用紙16の搬送方向に沿った最も下流側に位置し、記録用紙16の後端が離間することで遮蔽部材61を検知位置へと復帰させるものである。また、上記第2の接触部66は、中間転写ベルト12の二次転写位置に近い位置に設けられており、記録用紙16に転写される中間転写ベルト12上のトナー像が、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを通過している間は、遮蔽部材61の遮蔽板部62がトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを遮蔽する遮蔽位置を維持し、重力の作用によってトナーが落下しやすい位置に検知部51a、52aを設置した場合であっても、トナーが付着するのを確実に防止している。
【0061】
さらに、上記遮蔽部材61の遮蔽板部62には、図8に示すように、その下端部にトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aに接触して、当該検知部51a、52aの表面を清掃する清掃部材としての清掃ブラシ70が設けられている。
【0062】
以上の構成において、この実施の形態に係るカラープリンタでは、次のようにして、記録媒体の搬送経路に対して像保持体側に検知手段を配置した場合であっても、検知手段にトナーが付着するのを簡単な構成且つ低コストにて防止することが可能となっている。
【0063】
すなわち、上記カラープリンタでは、図2に示すように、プリンタの電源投入時、プリント動作を開始する前や、プリント動作を終了した後、あるいは予め定められた枚数だけプリントした後、更には予め定められた枚数だけ記録用紙16を給紙した後の記録用紙16の給紙間隔の間などの予め定められたタイミングで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kにおいて、現像装置内のトナー濃度を検知するためのトナー像、及び各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの画像形成位置を検知するためのレジストパターンの少なくとも一方が形成され、これらのトナー濃度検知用のトナー像及びレジストパターンは、中間転写ベルト12上に転写される。
【0064】
上記中間転写ベルト12上に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー濃度検知用のトナー像及びレジストパターンは、図1に示すように、黒色の画像形成ユニット6Kの下流側であって、中間転写ベルト12の二次転写位置よりも上流側の位置に配置されたトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52によって検知される。
【0065】
制御部4は、上記トナー濃度センサー51の検知結果に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの現像装置に供給するトナーの量を制御するとともに、画像位置センサー52の検知結果に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの画像露光装置7における画像形成位置や画像形成タイミングを制御する。
【0066】
その後、上記制御部4は、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kによって所望の画像をプリントするとともに、給紙トレイから記録用紙16を給紙する。
【0067】
すると、上記記録用紙16は、図2に示すように、レジストロール26を通過した後、当該レジストロール26によって中間転写ベルト12の二次転写位置へと搬送される。
【0068】
その際、上記記録用紙16は、図9に示すように、レジストロール26から中間転写ベルト12の二次転写位置へと至る用紙搬送経路56を通過するとき、当該記録用紙16の先端16aが遮蔽部材61の第1接触部65の下側面65aに接触し、図9中、上方へ搬送される記録用紙16の先端16aによって遮蔽部材61の第1の接触部65が押し上げられ、遮蔽部材61には、図9中、反時計回り方向の回転モーメントが作用する。
【0069】
そのため、上記遮蔽部材61は、図10に示すように、反時計回り方向に傾斜移動し、当該遮蔽部材61の遮蔽板部62がトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを覆った状態となり、中間転写ベルト12上に転写されたトナー像が二次転写位置へ移動する際に、中間転写ベルト12から落下するトナーによってトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部が汚れるのを防止することができる。
【0070】
さらに、上記遮蔽部材61は、図11に示すように、記録用紙16が用紙搬送経路56を通過し、記録用紙16の一部が遮蔽部材61の第1の接触部65又は第2の接触部66のいずれか一方と接触している間は、当該遮蔽部材61の遮蔽板部62がトナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aを覆った状態を維持する。
【0071】
そして、上記記録用紙16の後端16bが遮蔽部材61の第2の接触部66を通過すると、遮蔽部材61は、図12に示すように、自重による回転モーメントによって、図12中、時計回り方向に傾斜移動し、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aが中間転写ベルト12と対向する検知位置へと移動するようになっている。
【0072】
このとき、上記遮蔽部材61の遮蔽位置及び検知位置への移動に伴って、図8に示すように、トナー濃度センサー51及び画像位置センサー52の検知部51a、52aが遮蔽部材61の遮蔽板部62に取り付けられた清掃ブラシ70によって清掃される。
【符号の説明】
【0073】
12:中間転写ベルト(トナー像保持体)、17:二次転写ロール、51、52:センサー、61:遮蔽部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を転写位置において記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写位置の上流側であって且つ前記転写位置へと搬送される記録媒体の搬送経路よりも像保持体側に配置され、前記像保持体上に保持されたトナー像を検知する検知手段と、
前記転写位置へと搬送される記録媒体の搬送方向に沿った複数の異なる位置で当該記録媒体と接触する複数の接触部を有し、前記複数の接触部のうち、記録媒体の搬送方向に沿った最も上流側に位置する接触部が記録媒体と接触することで前記検知手段の検知部を覆う遮蔽位置に傾斜移動し、記録媒体の搬送方向に沿った最も下流側に位置する接触部が記録媒体から離間することで前記検知手段の検知部を開放する検知位置に傾斜移動する遮蔽部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、記録媒体の搬送方向に沿った最も上流側に位置し、記録媒体の先端と接触することで前記遮蔽位置へと移動する第1の接触部と、記録媒体の搬送方向に沿った最も下流側に位置し、記録媒体の後端が離間することで前記検知位置へと復帰する第2の接触部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像保持体は、複数のロール間に張り渡された中間転写ベルトからなり、前記検知手段は当該中間転写ベルトの下方に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記ロールと前記中間転写ベルトとが接触する接点位置よりも、当該中間転写ベルトの移動方向上流側を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、遮蔽位置に移動する際に、前記検知手段の検知部を清掃する清掃部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−137979(P2011−137979A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297637(P2009−297637)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】