説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の制御を容易にし、製造コストの上昇を抑制し、像担持体に供給されるトナーの品質低下を回避する。
【解決手段】ドキュメントから印字画素数および印字率を取得する印字情報取得手段30と、該印字情報取得手段30により取得される印字率が予め設定された閾値より低い場合に、像担持体14の非印字領域にトナーを移動させる滞留トナー消費処理を実行する制御手段13とを有する画像形成装置において、印字情報取得手段30に取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、印字時に像担持体14の印字領域に移動させるトナー現像量を通常より増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置に設けられた印字率取得手段によってドキュメントの印字率を取得する画像形成装置が知られている。ここで、印字率とは、現像ローラの単位回転当たりの印字画素数の割合を表し、現像ローラの単位回転中に最大印字幅で全画素印字する場合を100%とする。この印字率の高低によって、現像ローラから感光ドラムに供給される現像剤の量が異なり、現像剤が現像ローラに滞留する時間も異なる。印字率が低いドキュメントの印字が連続し現像剤が現像ローラに長く滞留した場合、現像剤が摺擦されて像担持体に供給される現像剤の品質が劣化するという問題点がある。
【0003】
特許文献1の画像形成装置では、前記問題点を解決するために、取得する印字率が予め設定された閾値より低い場合、像担持体上の転写材に印字される領域から外した領域に現像剤を現像している。そして、現像後、転写材に印字される領域から外したために転写材に転写されずに像担持体に残留した現像剤を清掃部材によって除去し廃棄している。このように、現像剤を強制的に消費することにより、現像剤を現像剤担持体に長く滞留させないようにして現像剤の品質が劣化するのを回避している。しかしながら、現像剤が強制的に消費されればされるほど、画像形成装置に設けられた廃棄現像剤収容部の収容スペースが少なくなり、廃棄現像剤収容部の交換間隔を短縮してしまう。その結果、ユーザーに対して、廃棄現像剤収容部交換の手間の増加、および、交換にかかる消耗品コストの上昇による不利益をもたらすという別の問題が生じる。
【0004】
特許文献2の画像形成装置では、上述の全ての問題点を生じさせないために、像担持体上に印字率が低い画像を形成する低印字モード、および、像担持体上に印字率が高い画像を形成する高印字モードを設定し、各印字モードに対して、現像剤担持体および現像剤供給手段に印加する電圧をそれぞれ設定している。このようにして、各印字モードに対応した量の現像剤を現像剤供給手段から現像剤担持体に供給することにより、現像剤を現像剤担持体に長く滞留させないようにするとともに、各印字モードにおける現像剤の消費に対応できるようにしている。しかしながら、この画像形成装置は、現像剤担持体に加えて、現像剤供給手段も電圧により制御するようになっているため、制御が複雑になり、それに伴って、制御装置の製造コストも上昇するという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−75438号公報
【特許文献2】特開2006−84598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置の制御を容易にし、製造コストの上昇を抑制し、像担持体に供給されるトナーの品質低下を回避できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の画像形成装置は、ドキュメントから印字画素数および印字率を取得する印字情報取得手段と、前記印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された閾値より低い場合に、像担持体の非印字領域にトナーを移動させる滞留トナー消費処理を実行する制御手段とを有する画像形成装置において、前記印字情報取得手段に取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、印字時に像担持体の印字領域に移動させるトナー現像量を通常より増加させるようにした。
【0008】
この構成によれば、印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、トナーの消費量が増加する。したがって、滞留トナーの発生量が減少する。このようにすれば、複雑な制御を行う必要がなく、装置の制御を容易にし、製造コストの上昇を抑制し、像担持体に供給されるトナーの品質低下を回避できる。
【0009】
前記制御手段は、前記像担持体に対する現像ローラの現像バイアス、または、現像デューティーを変更することにより前記トナー現像量を増加させることが好ましい。この構成によれば、現像ローラの現像バイアス、または、現像デューティーを変更することでトナー現像量を精度良く調整することができる。
【0010】
前記課題を解決するための手段として、本発明の画像形成装置は、ドキュメントから印字画素数および印字率を取得する印字情報取得手段と、前記印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された閾値より低い場合に、像担持体の非印字領域にトナーを移動させる滞留トナー消費処理を実行する制御手段とを有する画像形成装置において、前記制御手段は、前記印字情報取得手段により取得される印字率に関わらず予め設定した一定の単位面積当たりのトナー現像量を像担持体の印字領域に移動させて印字する第1のモード、または、前記印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、前記第1モードより増加した単位面積当たりのトナー現像量を像担持体の印字領域に移動させて印字する第2のモードのいずれかを実行するようにした。
【0011】
この構成によれば、制御手段は、第1のモード、または、第2のモードのいずれかによって、印字を実行する。単位面積当たりのトナー現像量が異なる2つの印字モードを有することにより、一方を印字品質を優先させるモードとし、他方をトナー消費を優先させるモードとすることができる。
【0012】
前記第1モード、および、第2モードはユーザーにより選択可能であることが好ましい。この構成によれば、ユーザーの好みに応じて印字のモードを選択することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、トナーの消費量を増加させるので、滞留トナーの発生量を減少させる。このようにすれば、複雑な制御を行う必要がなく、装置の制御を容易にし、製造コストの上昇を抑制し、像担持体に供給されるトナーの品質低下を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図。
【図2】画像形成装置の印字制御についてのフローチャートを示す図。
【図3】各印字率における画像品質の良否についての実験結果を示す図。
【図4】印字率とトナー使用量との関係を示す図。
【図5】感光ドラムと現像ローラとの間に形成される振動電界を示す図。
【図6】第2モードとして設定される印字率に対する単位面積当たりのトナー現像量の一例を示す図。
【図7】第2モードとして設定される印字率に対する単位面積当たりのトナー現像量の一例を示す図。
【図8】本発明にかかる画像形成装置の制御を行った場合の滞留トナー消費量を示す図。
【図9】本発明にかかる画像形成装置の制御を行った場合の滞留トナー消費量の削減率を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかる画像形成装置10の全体構成を示す概略図である。本発明にかかる画像形成装置10は、モノクロ、および、カラーのいずれにも適用できる。画像形成装置10は、印字部11、画像処理部12、および、装置制御部(制御手段)13を備えている。
【0017】
印字部11には、感光ドラム(像担持体)14の周囲に帯電チャージャ15、現像ローラ16を有する現像装置17及びクリーニング部材18が設けられている。また、印字部11には、像露光装置19、記録紙20を収容した給紙ユニット21、転写材搬送路22、搬送ローラ23、転写ローラ24、定着ユニット25、排出ローラ26、現像ローラ駆動モータ27、および、現像バイアス用高圧電源28が設けられている。
【0018】
画像処理部12は、パソコン(外部機器)29、および、印字部11の像露光装置19と接続されている。画像処理部12は、パソコン29から送信されるプリント言語を印字部11の像露光装置19で露光するための印字データに展開処理する。画像処理部12には、展開した印字データの印字画素数Dおよび展開した印字データを印字するのに必要とされる現像ローラ16の回転数Nを取得し、印字データの印字画素数D、および、現像ローラ16の回転数Nから現像ローラ16の単位回転数当たりの印字率P(=D/(DU100%×N)を算出し、その値を取得する印字情報取得手段30が設けられている。ここで、DU100%は、現像ローラ16の単位回転中に最大印字幅で全画素印字する場合の印字画素数である。本実施形態において、印字情報取得手段30はマイコンである。印字情報取得手段30は、印字画素数Dおよび印字率Pのデータを装置制御部13に送信するようになっている。
【0019】
装置制御部13は、画像処理部12の印字情報取得手段30、印字部11の現像ローラ駆動モータ27、および、印字部11の現像バイアス用高圧電源28と接続されている。本実施形態において、装置制御部13はマイコンである。装置制御部13には、現像ローラ駆動モータ27に駆動される現像ローラ16の積算回転数Rの値を取得する現像ローラ積算回転数取得手段31が設けられている。本実施形態において、現像ローラ積算回転数取得手段31はマイコンである。装置制御部13では、印字情報取得手段30から受信した印字画素数Dの値を積算するようになっている。プリント毎に取得される印字画素数Dを積算した値を積算印字画素数DTOTALとする。
【0020】
画像形成装置10は、通常のモードである第1モードと、廃トナー収容部セーブモードである第2モードを有している。
【0021】
第1モードは、印字情報取得手段30により取得される印字率に関わらず、予め設定した一定の単位面積当たりのトナー現像量を感光ドラム14の印字領域に移動させて印字するモードである。
【0022】
第2モードは、印字情報取得手段30により取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、第1モードより増加した単位面積当たりのトナー現像量を感光ドラム14の印字領域に移動させて印字するモードである。この第2モードでは、印字情報取得手段30に取得される印字率が予め設定された基準印字率以上である場合、第1モードと同様のトナー現像量での印字となる。印字情報取得手段30に取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合には、感光ドラム14の印字領域に移動させるトナー現像量を第1モードより増加させるようになっている。
【0023】
装置制御部13は、ユーザーが選択した第1モードと、第2モードのいずれか一方のモードにしたがって画像形成装置10を制御し印字するようになっている。
【0024】
画像形成装置10は、画像処理部12がパソコン29からの印字データに対応するプリント言語(印字元データ)を受信すると印字動作を開始し、印字部11の像露光装置19で露光するための印字データに展開処理する。画像処理部12の印字情報取得手段30は、展開した印字データから印字画素数Dおよび印字率Pを取得し、装置制御部13に送信する。装置制御部13は、受信した印字データに応じて現像バイアス用高圧電源28を制御し現像ローラ16の現像バイアスを設定して印字部11を駆動する。そして、画像形成装置10は、感光ドラム14を帯電チャージャ15により帯電し、画像処理部12が展開した印字データを像露光装置19に送信し、像露光装置19によってレーザ光を照射することにより前記印字データに対応する静電潜像を感光ドラム14に形成する。感光ドラム14には、装置制御部13に制御され現像ローラ駆動モータ27により駆動された現像ローラ16により、潜像電位と現像バイアス電圧の電位ギャップに、帯電したトナーが供給されることによって顕像化される。顕像化されたトナー像は、給紙ユニット21から転写材搬送路22上を搬送ローラ23により搬送された記録紙20に転写ローラ24によって転写された後、定着ユニット25で定着され、排出ローラ26により電子写真画像として画像形成装置10から排紙される。感光ドラム14から記録紙20に転写できずに感光ドラム14に残留したトナーは、感光ドラム14に圧接されるクリーニング部材18で掻き落とされる。
【0025】
図2は、画像形成装置10の印字制御についてのフローチャートを示す。
【0026】
現像装置17を画像形成装置10に装着すると、現像ローラ積算回転数Rをリセットする(ステップS201)。また、積算印字画素数DTOTALをリセットする(ステップS202)。
【0027】
画像形成装置10の画像処理部12は、パソコン29から印字元データを受信するまで待機する(ステップS203:NO)。印字元データを受信する(ステップS203:YES)と、印字元データを印字データに展開し、展開した印字データの印字画素数Dおよび展開した印字データを印字するのに必要とされる現像ローラ16の回転数Nを取得し、印字データの印字画素数D、および、現像ローラ16の回転数Nから現像ローラ16の単位回転数当たりの印字率P(=D/(DU100%×N)を取得する(ステップS204)。
【0028】
画像形成装置10の装置制御部13は、現在選択されている印字モードの情報を取得する。
【0029】
現在選択されている印字モードが通常モードである第1のモードである場合(ステップS205:YES)、現像条件を通常の単位面積当たりのトナー現像量となる現像バイアス設定にセットし(ステップS207)、プリントにかかる印字画素数Dを積算印字画素数DTOTALに積算する(ステップS208)。ここで、通常の単位面積当たりのトナー現像量とは5g/m程度である。
【0030】
通常モードでない第2のモード(廃トナー収容部セーブモード)である場合(ステップS205:NO)、印字率Pの値と基準印字率PTHの値とを比較する。基準印字率PTHとは、現像ローラ単位回転当たりの印字率の基準値である。この基準値を下回る印字率が続くと、トナー消費が少なすぎて現像装置17内でトナーが滞留し、それによりトナーが不必要に帯電や攪拌によるストレスを受けて劣化し、画像品質が低下してしまう。
【0031】
図3は、各印字率における画像品質(背景部カブリ)の良否についての実験結果を示す。印字率1%では、4000枚印字すると、画像品質は不可となった。印字率2%では、10000枚印字すると、画像品質は不可となった。印字率3%以上では、10000枚印字しても、画像品質は不可とはならなかった。通常、10000枚程度の印字に対して、画像品質が維持されることが望まれている。したがって、この実験結果により、基準印字率PTHを3%とした。
【0032】
図4は、印字率とトナー使用量との関係を示す。ハッチングが施された部分は、印字率3%で使用される量のトナーに対して、印字率3%未満で印字した場合に未使用のトナーが生じることを示している。上述したように、前記未使用のトナーを生じさせる低印字率の印字では、画像品質の低下を引き起こすので、本発明においては、後に示す制御により前記未使用のトナーが少なくなるようにしている。
【0033】
印字率Pの値が基準印字率PTHの値より大きい場合(ステップS206:NO)、現像条件を通常の単位面積当たりのトナー現像量となる現像バイアス設定にセットし(ステップS207)、プリントにかかる印字画素数Dを積算印字画素数DTOTALに積算する(ステップS208)。ここで、通常の単位面積当たりのトナー現像量とは5g/m程度である。積算印字画素数DTOTALは次式(1)のように表わされる。
【0034】
【数1】

【0035】
現像バイアス設定とは、感光ドラム14と現像ローラ16との間に形成される振動電界の飛ばし側電位、すなわち、感光ドラム14にトナーを移動させる力の大きさを変更するものである。
【0036】
図5は、感光ドラム14と現像ローラ16との間に形成される振動電界を示す。振動電界の飛ばし側電位は、現像ローラ16に印加する現像バイアスの交流振幅(ピーク間電圧)V、交流バイアスに重畳させる直流バイアス値V(現像ローラ16の電位)、交流矩形波バイアスにおけるトナー飛ばし側電圧時間の割合(以下「現像デューティー」という。)、の少なくとも1つを変えることで変更することができる。感光ドラム14の電位Vと、現像ローラ16の電位Vとの電位差はGである。現像デューティーDは、次式(2)のように表わされる。
【0037】
【数2】

【0038】
現像バイアスの交流振幅Vを大きくすることにより、又、直流バイアス値Vをトナーの正規の帯電極性と同極性側に大きくすることにより、又、現像デューティーDを大きくすることにより、感光ドラム14にトナーを移動させる力が増大する。現像デューティーDを大きくするには、(2)式において、Hの値を小さくし、Lの値を大きくするように変更する(例えば、H=60,L=40をH=52,L=48のように変更する)。
【0039】
印字率Pの値が基準印字率PTHの値より小さい場合(ステップS206:YES)、現像条件を通常の単位面積当たりのトナー現像量に対してM倍のトナー現像量となる現像バイアス設定にセットし(ステップS209)、プリントにかかる印字画素数DのM倍の印字画素数を積算印字画素数DTOTALに積算する(ステップS210)。積算印字画素数DTOTALは次式(3)のように表される。
【0040】
【数3】

【0041】
図6は、印字率(%)と単位面積当たりのトナー現像量(g/m)の設定を基準印字率PTH=3%、倍率M=1.2とした場合を示す。倍率Mは1以上2までの値の定数、または、印字率を入力したテーブルから求められる1以上2までの数値である。図7に示すように、印字率が約2.5%と3%との間で、単位面積当たりのトナー現像量を徐々に変化させるようにしてもよい。
【0042】
積算印字画素数DTOTALへの印字画素数Dの積算(ステップS208、または、ステップS210)が終了した後、プリント動作を行う(ステップS211)。
【0043】
印字が終了した後、予め設定した滞留トナー消費制御の実行周期RCHECKと現像ローラ16の積算回転数Rとを比較する(ステップS212)。予め設定した滞留トナー消費制御の実行周期RCHECKは、通常A4サイズを100枚印字する現像ローラ積算回転数とする。実行周期RCHECKは、任意の現像ローラ積算回転数に変更してもよい。
【0044】
現像ローラ積算回転数RがRCHECKより小さい場合(ステップS212:NO)、画像形成装置10の画像処理部12は、パソコン29から印字元データを受信するまで待機する(ステップS203)。
【0045】
現像ローラ積算回転数RがRCHECKより大きい場合(ステップS212:YES)、積算印字画素数DTOTALと現像ローラ積算回転数Rと印字率100%となる印字画素数DU100%とから現像ローラ単位回転数当たりの平均印字率DTOTAL/(DU100%×R)を算出し、その値と基準印字率PTHとを比較する。
【0046】
基準印字率PTHの方が平均印字率DTOTAL/(DU100%×R)より大きい場合(ステップS213:YES)、PTH−DTOTAL/(DU100%×R)の値と現像ローラ積算回転数Rとから、消費すべき滞留トナー量を算出し、算出された量のトナーを排出する(ステップS214)。具体的には、装置制御部13から画像処理部12へ、滞留トナー量に対応する印字画素数Dの印字データを形成するように送信する。次に、感光ドラム14の前記印字データが形成された非印字領域にトナーを移動させ、転写ローラ24に通常の転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加し記録紙20にトナーを転写させないようにする。そして、感光ドラム14に残留させたトナーをクリーニング部材18により掻き落とし排出する。その後、現像ローラ積算回転数Rをリセットする(ステップS215)。また、積算印字画素数DTOTALをリセットする(ステップS216)。そして、画像形成装置10の画像処理部12は、パソコン29から印字元データを受信するまで待機する(ステップS203)。
【0047】
基準印字率PTHの方が平均印字率DTOTAL/(DU100%×R)より小さい場合(ステップS213:NO)、現像ローラ積算回転数Rをリセットする(ステップS215)。また、積算印字画素数DTOTALをリセットする(ステップS216)。そして、画像形成装置10の画像処理部12は、パソコン29から印字元データを受信するまで待機する(ステップS203)。
【0048】
図8は、基準印字率PTH=3%、倍率M=1.2とした場合の滞留トナー消費量を示す。本発明における制御がない従来の場合と比較すると、滞留トナー消費量が減少していることが分かる。
【0049】
本発明によれば、印字情報取得手段30により取得される印字率が予め設定された基準印字率の値より低い場合に、印字情報取得手段30により取得される印字率に対して予め設定された単位面積当たりのトナー現像量での印字によりドキュメントを現像する。印字率に応じた量のトナー消費、すなわち、予め設定された基準印字率より低印字率の場合に単位面積当たりのトナー現像量を増加させてトナーを消費し、トナー消費を多くすることによりトナーの滞留を低減する。このようにして、装置の制御を容易にし、製造コストの上昇を抑制し、像担持体14に供給されるトナーの品質低下を回避できる。
【0050】
図9は、滞留トナー消費量の削減率を示す。本発明により、滞留トナー消費量を減少させることができる。印字率によって単位面積当たりのトナー現像量を変える結果、画像濃度の変化が多少現れる。したがって、ユーザーは、画像濃度を安定させ印字品質を優先させる第1モード、トナー消費を優先させる第2モードのうちの一方を希望に応じて選択する。
【符号の説明】
【0051】
10 画像形成装置
11 印字部
12 画像処理部
13 装置制御部(制御手段)
14 感光ドラム(像担持体)
15 帯電チャージャ
16 現像ローラ
17 現像装置
18 クリーニング部材
19 像露光装置
20 記録紙
21 給紙ユニット
22 転写材搬送路
23 搬送ローラ
24 転写ローラ
25 定着ユニット
26 排出ローラ
27 現像ローラ駆動モータ
28 現像バイアス用高圧電源
29 パソコン(外部機器)
30 印字情報取得手段
31 現像ローラ回転数取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントから印字画素数および印字率を取得する印字情報取得手段と、
前記印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された閾値より低い場合に、像担持体の非印字領域にトナーを移動させる滞留トナー消費処理を実行する制御手段と
を有する画像形成装置において、
前記印字情報取得手段に取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、印字時に像担持体の印字領域に移動させるトナー現像量を通常より増加させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記像担持体に対する現像ローラの現像バイアス、または、現像デューティーを変更することにより前記トナー現像量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ドキュメントから印字画素数および印字率を取得する印字情報取得手段と、
前記印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された閾値より低い場合に、像担持体の非印字領域にトナーを移動させる滞留トナー消費処理を実行する制御手段と
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、
前記印字情報取得手段により取得される印字率に関わらず予め設定した一定の単位面積当たりのトナー現像量を像担持体の印字領域に移動させて印字する第1のモード、または、前記印字情報取得手段により取得される印字率が予め設定された基準印字率より低い場合に、前記第1モードより増加した単位面積当たりのトナー現像量を像担持体の印字領域に移動させて印字する第2のモードのいずれかを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1モード、および、第2モードはユーザーにより選択可能であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−141371(P2011−141371A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1186(P2010−1186)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】