画像形成装置
【課題】簡単な構成で不用意に転写ローラが外れてしまったり、周辺機器との干渉を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーを担持する感光体ドラムに対向配置された転写ローラ44と、転写ローラ44を感光体ドラムに向けて押圧する付勢部材と、転写ローラ44を保持した転写ローラハウジング72と、転写ローラハウジング72の両端に設けられた着脱操作用取っ手88と、転写ローラハウジング72の両端に設けられた一対の固定フック解除操作部87と、一対の固定フック解除操作部87の操作に連動する一対の固定フックと、転写ローラハウジング72を保持する保持部に設けられて一対の固定フックと係合する一対の被係合部と、を備えている。
【解決手段】トナーを担持する感光体ドラムに対向配置された転写ローラ44と、転写ローラ44を感光体ドラムに向けて押圧する付勢部材と、転写ローラ44を保持した転写ローラハウジング72と、転写ローラハウジング72の両端に設けられた着脱操作用取っ手88と、転写ローラハウジング72の両端に設けられた一対の固定フック解除操作部87と、一対の固定フック解除操作部87の操作に連動する一対の固定フックと、転写ローラハウジング72を保持する保持部に設けられて一対の固定フックと係合する一対の被係合部と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラム等の像担持体に対向配置された転写ローラをユニット状に構成した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において経年劣化に伴って像担持体とは独立して交換することができるように転写ローラを着脱可能とすると共に、その転写ローラの交換作業の容易化を実現するため、転写ローラのホルダーとユニット化したもの(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【0003】
この際、転写ローラ(ホルダー)は、ユーザーが転写ローラを交換する場合には、転写ユニット(ホルダー)の固定部分のロック解除操作を行う必要があるが、片手による交換作業の操作容易性を確保するためには、複数の固定部分を連結して1箇所のロック解除操作で外せるようにすれば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−284078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した画像形成装置にあっては、片手操作による交換作業を可能としてしまうと、JAM処理の際に誤って解除部分を操作してしまって、不用意に転写ユニット(ホルダー)のロック状態が解除されてしまう虞があった。
【0006】
また、ホルダー等のユニット化したものの場合、その大型化に伴って重量も増してしまうことから、片手操作では不安定な着脱操作となり、周辺機器と干渉して破損等の要因となってしまう虞もあった。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構成で不用意に転写ローラが外れてしまったり、周辺機器との干渉を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナーを担持する感光体ドラムに対向配置された転写ローラと、該転写ローラを前記感光体ドラムに向けて押圧する付勢部材と、前記転写ローラハウジングを着脱可能に保持すると共に前記付勢部材を保持した転写ローラハウジングと、該転写ローラハウジングの両端に設けられた着脱操作用取っ手と、前記転写ローラハウジングの両端に設けられた一対の固定フック解除操作部と、該一対の固定フック解除操作部の操作に連動する一対の固定フックと、前記転写ローラハウジングを保持する保持部に設けられて前記一対の固定フックと係合する一対の被係合部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この際、前記転写ローラハウジングには、前記転写ローラに隣接する転写前ガイドと、画像転写後の転写紙を像担持体から分離させる分離部材とが設けられているのが好ましい。
【0010】
また、前記転写ローラは、装置本体の外壁の一部を構成する側面パネルに設けられており、該側面パネルを開放することによって水平方向に移動することなく上下方向に着脱操作されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置は、簡単な構成で不用意に転写ローラが外れてしまったり、周辺機器との干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に画像形成装置としての複合機の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の側面パネル開放状態の要部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の側面パネル開放状態の要部の拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのロック状態の要部の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのアンロック状態の要部の斜視図である。
【図8】(A)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのロック状態の側面図、(B)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのアンロック状態の側面図である。
【図9】(A)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される転写搬送ユニットの斜視図、(B)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される転写搬送ユニットの転写ローラユニットを取り外した状態の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の拡大断面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写ローラユニットの斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における装置本体側の要部の斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例は本発明の画像形成装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0014】
(複合機11の全体構成)
図1において、11は複写機・プリンタ・ファクシミリ・スキャナーの各機能を具備した画像形成装置としての複合機11である。
【0015】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機11は、装置本体12と、装置本体12の前面から引き出し可能な給紙カセット13と、給紙カセット13に収納した転写紙(図示せず)とは別の転写紙(図示せず)を利用可能とするために装置本体12の一方の側面に開閉可能に設けられた手差トレイ14と、複写機・ファクシミリ・スキャナの各種機能として原稿を読み取る際に使用する自動原稿送り装置(ADF)15と、各種機能等の設定・選択操作を行う操作部16とを備えている。尚、複合機11の形状や構成・機能等は図示例のものに限定されるものではない。
【0016】
(装置本体12の内部構成)
また、装置本体12の内部には、給紙カセット13に収納された転写紙を取り出して排紙トレイ17に向けて搬送する給紙搬送経路18と、給紙搬送経路18の転写紙搬送方向上流側に配置されたレジストローラ対19と、レジストローラ対19よりも給紙搬送経路18の転写紙搬送方向下流側に配置された画像形成部20と、画像形成部20によって転写紙の表面に転写されたトナー像を転写紙の表面に定着させる定着部21と、給紙搬送経路18の装置本体12内での最下流部に配置された排出部22と、を備えている。
【0017】
さらに、給紙搬送経路18は、複数の経路が分岐・合流されており、本実施の形態では、給紙搬送経路18の転写紙搬送方向最上流寄りで手差トレイ14から供給された転写紙が合流するトレイ給紙経路23と、定着部21よりも給紙搬送経路18の転写紙搬送方向下流側に配置された分岐経路24と、両面印刷の場合に分岐経路24に導かれた転写紙を表裏反転させるスイッチバック経路25と、スイッチバック経路25によって表裏反転した転写紙をレジストローラ対19よりも転写紙搬送方向上流側の給紙搬送経路18へと戻す反転経路26と、を備えている。
【0018】
(レジストローラ対19の構成)
レジストローラ対19は、給紙カセット13又は手差トレイ14から取り出された転写紙の搬送方向先端をレジストセンサ(図示せず)で検出することにより、転写紙の先端位置と画像形成部20を構成する感光体ドラム27の表面に形成されたトナー像位置とを同期させるものである。
【0019】
具体的には、レジストセンサが転写紙の先端を検出してから所定時間経過後にレジストローラ対19と感光体ドラム27の回転駆動を開始させ、レジストセンサが転写紙の後端を検出してから所定時間経過後にレジストローラ対19と感光体ドラム27の回転駆動を停止する。また、レジストセンサは、給紙カセット13から給紙搬送経路18へと送り出された転写紙の転写紙搬送方向に沿うシート長を検出するもので、転写紙の先端を検出してから後端を検出するまでの時間によって転写紙の長さ(転写紙搬送方向に沿う方向)を検出する。
【0020】
レジストローラ対19は、モータ等の駆動源(図示せず)に連繋されている。そして、レジストローラ対19は、静止状態において、転写紙の先端がニップされたときに瞬間的に転写紙の搬送を停止することで転写紙の斜め送りを矯正する。
【0021】
(画像形成部20の構成)
本実施の形態において、画像形成部20は、補給用トナー収納容器28と現像器ユニット29と、転写部30と、を備えている。
【0022】
(補給用トナー収納容器28の構成)
補給用トナー収納容器28は、補給用トナーが収納された容器本体31と、容器本体31の上面開口を閉成するコンテナカバー32とを備えている。また、補給用トナー収納容器28は、その内部に一対のトナー攪拌部材33,34とスパイラルロッド35とを備えている。
【0023】
トナー攪拌部材33,34は、容器本体31の一方の側面(駆動部側)から他方の側面に跨って設けられている。また、トナー攪拌部材33,34は攪拌羽根36を備え、容器本体31内に収納されたトナーを撹拌しつつスパイラルロッド35へと搬送する。
【0024】
スパイラルロッド35は、トナー撹拌部材33,34によって撹拌搬送された補給用のトナーを転写紙幅方向の一方側に向けて搬送し、その一方側から現像器ユニット29に補給用のトナーを供給する。
【0025】
尚、補給用トナー収納容器28は、装置本体12に対して着脱可能(交換可能)とされ、装置本体12の正面カバー(図示せず)を開放することによって補給用トナー収納容器28の着脱(交換)を行うことができる。
【0026】
(現像器ユニット29の構成)
現像器ユニット29は、筺体内部でトナーを循環移動させつつ像担持体としての感光体ドラム27にトナーを供給するもので、トナー供給方向上流側から順に、一対のスパイラルフィーダ(攪拌ミキサー)37,38と、感光体ドラム27と対向する現像ローラ39とを回転可能に備えている。
【0027】
また、現像器ユニット29の内部には、スパイラルフィーダ37,38の間を隔絶する隔壁40が形成されている。この隔壁40の両端は、現像器ユニット29の縦壁(紙面と直行する転写紙幅方向両端の壁面)との間に隙間が形成されており、転写紙幅方向の一方側で補給用トナー収納容器28から補給されたトナーを含めて、スパイラルロッド35の下方に配置されたスパイラルフィーダ37により現像器ユニット29の一方(紙面奥行き方向)へとトナーが攪拌搬送(往路)された後に、この一方側の隙間で折り返されてスパイラルフィーダ38により現像器ユニット29の他方(紙面手前方向)へとトナーが攪拌搬送(復路)されてこの他方側の隙間で再び折り返される循環経路が構成されている。
【0028】
さらに、現像器ユニット29の外壁面には、現像器ユニット29のトナー量を検出するトナーセンサ41が設けられている。
【0029】
現像ローラ39は、その周面が感光体ドラム27の周面と対向するように配置されている。従って、現像ローラ39に搬送されつつあるトナーは、現像ローラ39を介して感光体ドラム27の周面に供給され、これによって感光体ドラム27の周面に静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0030】
トナーセンサ41は、その出力信号に基づいて設置箇所付近(トナー補給部付近)のトナー量が検出され、制御回路(図示せず)によって補給用トナー収納容器28からのトナー補給量や補給タイミング等が制御される。
【0031】
(転写部30の構成)
転写部30は、感光体ドラム(例えば、アモルファスシリコン製)27の周囲に、感光体ドラム27の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿う画像形成プロセス順に、帯電デバイス42・露光デバイス43・現像ローラ39・転写ローラ44・クリーニングデバイス45・除電デバイス46を備えている。
【0032】
帯電デバイス42には、直流電圧(Vdc)に交流電圧(Vac)を重畳した帯電バイアスが印加される。
【0033】
露光デバイス43は、例えば、図示を略するパーソナルコンピュータから送信された印刷データに含まれる画像データを処理して、感光体ドラム27の表面にレーザ光を照射する。尚、ここでの印刷データには、上述した画像データの他、例えば、画像形成処理部数・拡大/縮小率・画像濃度等の各種設定に関するデータ等が該当する。
【0034】
転写ローラ44には転写電圧が印加され、感光体ドラム27の表面に形成されたトナー像を、感光体ドラム27と協働して転写紙をニップ搬送しつつ、その印加電圧によって転写する。
【0035】
クリーニングデバイス45は、転写紙へのトナー転写後に感光体ドラム27の表面に残存した転写残トナーや転写紙粉等を除去する。
【0036】
除電デバイス46には、例えば、LED光源等が用いられ、帯電デバイス42で帯電された感光体ドラム27を除電する。
【0037】
(定着部21の構成)
定着部21は、画像形成部20によって転写紙の表面に転写された未定着トナー像を定着させるために、転写紙の表面側、即ち、未定着トナー像側に配置された加熱部材としての加熱ローラ47(又は加熱ベルト)と、給紙搬送経路18を挟んで加熱ローラ47と対向する加圧部材としての加圧ローラ48とを備え、この加圧ローラ48を加熱ローラ47に圧接することで転写紙をニップ搬送する。
【0038】
転写紙の表面に形成された未定着トナー像は、加熱ローラ47に直接接触することによって溶融し、転写紙の裏面側から加圧ローラ48で加圧されることによってそのまま転写紙の表面に溶融トナーが定着像として定着される。
【0039】
尚、加熱ローラ47の表面には、溶融トナーが付着しないように表面コーティング処理等がなされている。また、加熱ローラ47の表面に付着してしまった溶融トナー等は図示を略するクリーニングデバイス等によって除去される。
【0040】
(各給紙搬送経路の構成)
給紙搬送経路18は、給紙カセット13からカセット給紙部で取り出した最上位の転写紙を、レジストローラ対19、感光体ドラム27と転写ローラ44(転写部30)、定着部21、の順でニップ搬送した後、排出部22から排紙トレイ17に至る経路を形成している。
【0041】
トレイ給紙経路23は、給紙トレイからトレイ給紙部で取り出した最上位の転写紙を、レジストローラ対19に向けて搬送する経路を形成している。
【0042】
分岐経路24は、給紙搬送経路18の定着部21よりも搬送方向下流側に切り替え可能に設けられた切替部材49を備え、この切替部材49の経路切り替えにより、スイッチバック経路25に転写紙を搬送する経路を形成している。
【0043】
スイッチバック経路25は、排出部22の上方に設けられて正逆回転するスイッチバックローラ対50を備え、転写紙の一部をニップ搬送しつつスイッチバックした転写紙を反転経路26に向けて搬送する経路を形成している。
【0044】
反転経路26は、装置本体12と側面パネル51との共同によって形成され、スイッチバック経路25から搬送された転写紙をレジストローラ対19に向けて搬送する経路を形成している。
【0045】
(側面パネル51の構成)
複合機11の一方の外側壁面の一部を形成する側面パネル51は、図2に示すように、その外壁面側下方に形成されて給紙トレイを回動可能に支持すると共に常時(非使用時)は手差トレイ14を収納する凹部52と、外壁面側上方に回動可能に設けられた開閉操作用取っ手53と、装置本体12内に位置する裏面側下方に回動可能に支持した転写搬送ユニット54と、を備えている。また、側面パネル51と転写搬送ユニット54とは、図3に示すように、装置本体12の下方に設けられた同一のユニット支持軸55を中心として回動し、図4及び図5に示すように、装置本体12に一端が固定されたカバーストラップ56とユニットストラップ57との長さの差異によりその開放度が異なっており、それぞれ下方のユニット支持軸55を回動支点としたことと相俟って、上方に拡開する開放状態とすることができ、転写ローラ44の交換作業やJAM処理の容易性が確保されている。さらに、側面パネル51は、常時(閉成時)はその裏面で転写搬送ユニット54の背面側との対向間隔、すなわち、反転経路26の転写紙厚み方向の間隔を規定するように転写搬送ユニット54を支持している。この際、転写搬送ユニット54は、開閉操作用取っ手53を用いた側面パネル51の開放操作に連動して側面パネル51による支持状態が解除されると共に、感光体ドラム27から転写ローラ44が離間するように構成されている。
【0046】
開閉操作用取っ手53は、図6〜図8に示すように、側面パネル51の裏面側上部に設けられたパネル支持軸58に回動可能に支持され、開閉操作用取っ手53の回動操作に連動してパネル支持軸58の両端に設けられて装置本体12のカバー固定部(図示せず)と係合するカバー固定用フック59を回動させる。また、側面パネル51の裏面側には、カバー固定用フック59の回動に連動して上下方向にスライド変位する連結スライダ60と、連結スライダ60の下端に当接するように回動可能とされたユニット固定用フック61と、が設けられており、連結スライダ60の下方変位によってユニット固定用フック61が回動して側面パネル51による転写搬送ユニット54の支持状態が解除される。
【0047】
ユニット固定用フック61は、装置本体12側に設けられたユニット固定用フック係合部62と係合することにより転写搬送ユニット54の全体を位置決めして側面パネル51と転写搬送ユニット54との相対位置を規定するフック部63と、開閉操作用取っ手53の開放操作に連動して感光体ドラム27から転写ローラ44を離間させる離間操作部64と、を備えている。尚、ユニット固定用フック61には、フック部63がユニット固定用フック係合部62と係合する方向に付勢(ねじりバネ等)されている。
【0048】
(転写搬送ユニット54の構成)
転写搬送ユニット54は、図9〜図12に示すように、ユニット支持軸55が貫通するユニットベースブラケット65を両端下方に固定したユニットベースハウジング66と、ユニットベースハウジング66に設けられた転写ローラユニット保持部67に保持された転写ローラユニット68と、を備えている。
【0049】
ユニットベースハウジング66は、レジストローラ対19のうち側面パネル51側に位置する一方のレジストローラ69を回転可能に直接保持している。また、ユニットベースハウジング66は、一方のレジストローラ69を装置本体12内側の他方のレジストローラ70に向けて付勢するレジストローラ押圧バネ部材71を備えている。尚、ユニットベースハウジング66の表面側と裏面側及び底面側は上述した各搬送経路18,26の一部を形成している。
【0050】
転写ローラユニット68は、図13に示すように、転写ローラユニット保持部67に収納される転写ローラハウジング72と、転写ローラ44と、転写ローラ44を感光体ドラム27に向けて付勢する転写ローラ押圧バネ部材73と、レジストローラ対19と転写部30との間の搬送経路18を形成する一対の転写前ガイドの一方(側面パネル51側)である転写前裏面側ガイド74と、感光体ドラム27から転写紙を分離させる分離針75と、ユニット固定用フック61の離間操作部64と当接して転写ローラ押圧バネ部材73を付勢に抗して伸縮させることで転写ローラ44を感光体ドラム27から離間させる転写ローラロック解除レバー76(図8参照)と、を備えている。
【0051】
したがって、側面パネル51を開放する際、その開放操作開始時に感光体ドラム27に対して転写ローラ44が必要以上に接触することが無く、感光体ドラム27への傷付きが抑制されている。
【0052】
分離針75は、転写ローラ44よりもシート搬送方向下流側の給紙搬送経路18に先端が露出するように転写紙幅方向に沿って複数配置されており、分離電圧の印加によって感光体ドラム27と分離針75との間で放電させ、転写ローラ44によって帯電させられた転写紙を除電して感光体ドラム27から転写紙を分離する。
【0053】
(装置本体12の構成)
装置本体12は、図14に示すように、感光体ドラム27と、他方のレジストローラ70と、ユニット固定用樹脂部材77とを備えている。
【0054】
ユニット固定用樹脂部材77は、転写搬送ユニット54の回動軌跡と開度とを規定するようにユニットストラップ57と係合するユニットストラップガイド溝78と、ユニット固定用フック係合部62と、転写ローラ44の両端に設けられた転写ローラカラー79と係合することで転写ローラ44を位置決めする略U字溝形状の転写ローラ位置決め部80と、一方のレジストローラ69の両端に設けられたレジストローラカラー81と係合することで一方のレジストローラ69を位置決めする略U字溝形状のレジストローラ位置決め部82と、転写前裏面側ガイド74と対向する他方の転写前ガイドとしての転写前表面側ガイド83と、を備えている。
【0055】
(実施例)
次に、本発明の画像形成装置における具体的な実施例を図15乃至図17に基づいて説明する。
【0056】
転写ローラユニット68は、ユニットベースハウジング66に設けられた転写ローラユニット保持部67に対して着脱可能なユーザー交換可能ユニット(Customer Replaceable Unit)となっている。また、転写ローラユニット68は転写ローラハウジング72に保持されており、その転写ローラハウジング72に転写ローラ押圧バネ部材73、転写前裏面側ガイド74、分離針75、をそれぞれ配置することで転写ローラ44に近接する部品をユニットベースハウジング66から同時に取り外すことが可能となり、交換作業の容易性が向上されている。さらに、転写ローラハウジング72の両端付近にはユニットベースハウジング66から転写ローラハウジング72を離脱する際に操作される固定フック解除操作部87が設けられている。また、転写ローラハウジング72の両端には、転写ローラユニット保持部67からの離脱並びに転写ローラユニット保持部67に新たに転写ローラハウジング72を装着する際に操作される着脱操作用取っ手88が設けられている。
【0057】
これにより、転写ローラユニット68を交換する際には、両手で両端の着脱操作用取っ手88を持ちながら両手で両端の固定フック解除操作部87を押圧操作すると、転写ローラハウジング72に設けられたランス状等の一対の固定フック89と転写ローラユニット保持部67に形成された穴状の一対の被係合部90との係合状態が解除され、転写ローラユニット保持部67から取り外すことができる。また、着脱操作用取っ手88を持ちながら転写ローラ位置決め部80に新たな転写ローラユニット68を押し込むことにより固定フック89が被係合部90に係合して転写ローラユニット68が転写ローラユニット保持部67に位置決め固定される。
【0058】
この際、転写ローラユニット68は、側面パネル51を開放した状態での略上下方向の着脱操作であるため、水平方向での移動を経ること無く行うことができ、周辺部品への干渉等に影響され難く、作業性が向上するうえ、転写ローラユニット68を誤って落としてしまうといった懸念も解消することができる。
【0059】
また、両手で両端の固定フック解除操作部87を押圧操作しないとロック状態は解除されないため、不安定な片手操作での離脱操作を不能とし、安全性が確保されている。
【符号の説明】
【0060】
11…複合機
12…装置本体
27…感光体ドラム
44…転写ローラ
54…転写搬送ユニット
68…転写ローラユニット
69…一方のレジストローラ
71…レジストローラ押圧バネ部材
72…転写ローラハウジング
73…転写ローラ押圧バネ部材
74…転写前裏面側ガイド
75…分離針
79…転写ローラカラー
87…固定フック解除操作部
88…着脱操作用取っ手
89…固定フック
90…被係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラム等の像担持体に対向配置された転写ローラをユニット状に構成した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において経年劣化に伴って像担持体とは独立して交換することができるように転写ローラを着脱可能とすると共に、その転写ローラの交換作業の容易化を実現するため、転写ローラのホルダーとユニット化したもの(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【0003】
この際、転写ローラ(ホルダー)は、ユーザーが転写ローラを交換する場合には、転写ユニット(ホルダー)の固定部分のロック解除操作を行う必要があるが、片手による交換作業の操作容易性を確保するためには、複数の固定部分を連結して1箇所のロック解除操作で外せるようにすれば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−284078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した画像形成装置にあっては、片手操作による交換作業を可能としてしまうと、JAM処理の際に誤って解除部分を操作してしまって、不用意に転写ユニット(ホルダー)のロック状態が解除されてしまう虞があった。
【0006】
また、ホルダー等のユニット化したものの場合、その大型化に伴って重量も増してしまうことから、片手操作では不安定な着脱操作となり、周辺機器と干渉して破損等の要因となってしまう虞もあった。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構成で不用意に転写ローラが外れてしまったり、周辺機器との干渉を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナーを担持する感光体ドラムに対向配置された転写ローラと、該転写ローラを前記感光体ドラムに向けて押圧する付勢部材と、前記転写ローラハウジングを着脱可能に保持すると共に前記付勢部材を保持した転写ローラハウジングと、該転写ローラハウジングの両端に設けられた着脱操作用取っ手と、前記転写ローラハウジングの両端に設けられた一対の固定フック解除操作部と、該一対の固定フック解除操作部の操作に連動する一対の固定フックと、前記転写ローラハウジングを保持する保持部に設けられて前記一対の固定フックと係合する一対の被係合部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この際、前記転写ローラハウジングには、前記転写ローラに隣接する転写前ガイドと、画像転写後の転写紙を像担持体から分離させる分離部材とが設けられているのが好ましい。
【0010】
また、前記転写ローラは、装置本体の外壁の一部を構成する側面パネルに設けられており、該側面パネルを開放することによって水平方向に移動することなく上下方向に着脱操作されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置は、簡単な構成で不用意に転写ローラが外れてしまったり、周辺機器との干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に画像形成装置としての複合機の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の側面パネル開放状態の要部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の側面パネル開放状態の要部の拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのロック状態の要部の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのアンロック状態の要部の斜視図である。
【図8】(A)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのロック状態の側面図、(B)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される側面パネルのアンロック状態の側面図である。
【図9】(A)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される転写搬送ユニットの斜視図、(B)は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に適用される転写搬送ユニットの転写ローラユニットを取り外した状態の斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の拡大断面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写ローラユニットの斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における装置本体側の要部の斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における転写搬送ユニットの要部の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例は本発明の画像形成装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0014】
(複合機11の全体構成)
図1において、11は複写機・プリンタ・ファクシミリ・スキャナーの各機能を具備した画像形成装置としての複合機11である。
【0015】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機11は、装置本体12と、装置本体12の前面から引き出し可能な給紙カセット13と、給紙カセット13に収納した転写紙(図示せず)とは別の転写紙(図示せず)を利用可能とするために装置本体12の一方の側面に開閉可能に設けられた手差トレイ14と、複写機・ファクシミリ・スキャナの各種機能として原稿を読み取る際に使用する自動原稿送り装置(ADF)15と、各種機能等の設定・選択操作を行う操作部16とを備えている。尚、複合機11の形状や構成・機能等は図示例のものに限定されるものではない。
【0016】
(装置本体12の内部構成)
また、装置本体12の内部には、給紙カセット13に収納された転写紙を取り出して排紙トレイ17に向けて搬送する給紙搬送経路18と、給紙搬送経路18の転写紙搬送方向上流側に配置されたレジストローラ対19と、レジストローラ対19よりも給紙搬送経路18の転写紙搬送方向下流側に配置された画像形成部20と、画像形成部20によって転写紙の表面に転写されたトナー像を転写紙の表面に定着させる定着部21と、給紙搬送経路18の装置本体12内での最下流部に配置された排出部22と、を備えている。
【0017】
さらに、給紙搬送経路18は、複数の経路が分岐・合流されており、本実施の形態では、給紙搬送経路18の転写紙搬送方向最上流寄りで手差トレイ14から供給された転写紙が合流するトレイ給紙経路23と、定着部21よりも給紙搬送経路18の転写紙搬送方向下流側に配置された分岐経路24と、両面印刷の場合に分岐経路24に導かれた転写紙を表裏反転させるスイッチバック経路25と、スイッチバック経路25によって表裏反転した転写紙をレジストローラ対19よりも転写紙搬送方向上流側の給紙搬送経路18へと戻す反転経路26と、を備えている。
【0018】
(レジストローラ対19の構成)
レジストローラ対19は、給紙カセット13又は手差トレイ14から取り出された転写紙の搬送方向先端をレジストセンサ(図示せず)で検出することにより、転写紙の先端位置と画像形成部20を構成する感光体ドラム27の表面に形成されたトナー像位置とを同期させるものである。
【0019】
具体的には、レジストセンサが転写紙の先端を検出してから所定時間経過後にレジストローラ対19と感光体ドラム27の回転駆動を開始させ、レジストセンサが転写紙の後端を検出してから所定時間経過後にレジストローラ対19と感光体ドラム27の回転駆動を停止する。また、レジストセンサは、給紙カセット13から給紙搬送経路18へと送り出された転写紙の転写紙搬送方向に沿うシート長を検出するもので、転写紙の先端を検出してから後端を検出するまでの時間によって転写紙の長さ(転写紙搬送方向に沿う方向)を検出する。
【0020】
レジストローラ対19は、モータ等の駆動源(図示せず)に連繋されている。そして、レジストローラ対19は、静止状態において、転写紙の先端がニップされたときに瞬間的に転写紙の搬送を停止することで転写紙の斜め送りを矯正する。
【0021】
(画像形成部20の構成)
本実施の形態において、画像形成部20は、補給用トナー収納容器28と現像器ユニット29と、転写部30と、を備えている。
【0022】
(補給用トナー収納容器28の構成)
補給用トナー収納容器28は、補給用トナーが収納された容器本体31と、容器本体31の上面開口を閉成するコンテナカバー32とを備えている。また、補給用トナー収納容器28は、その内部に一対のトナー攪拌部材33,34とスパイラルロッド35とを備えている。
【0023】
トナー攪拌部材33,34は、容器本体31の一方の側面(駆動部側)から他方の側面に跨って設けられている。また、トナー攪拌部材33,34は攪拌羽根36を備え、容器本体31内に収納されたトナーを撹拌しつつスパイラルロッド35へと搬送する。
【0024】
スパイラルロッド35は、トナー撹拌部材33,34によって撹拌搬送された補給用のトナーを転写紙幅方向の一方側に向けて搬送し、その一方側から現像器ユニット29に補給用のトナーを供給する。
【0025】
尚、補給用トナー収納容器28は、装置本体12に対して着脱可能(交換可能)とされ、装置本体12の正面カバー(図示せず)を開放することによって補給用トナー収納容器28の着脱(交換)を行うことができる。
【0026】
(現像器ユニット29の構成)
現像器ユニット29は、筺体内部でトナーを循環移動させつつ像担持体としての感光体ドラム27にトナーを供給するもので、トナー供給方向上流側から順に、一対のスパイラルフィーダ(攪拌ミキサー)37,38と、感光体ドラム27と対向する現像ローラ39とを回転可能に備えている。
【0027】
また、現像器ユニット29の内部には、スパイラルフィーダ37,38の間を隔絶する隔壁40が形成されている。この隔壁40の両端は、現像器ユニット29の縦壁(紙面と直行する転写紙幅方向両端の壁面)との間に隙間が形成されており、転写紙幅方向の一方側で補給用トナー収納容器28から補給されたトナーを含めて、スパイラルロッド35の下方に配置されたスパイラルフィーダ37により現像器ユニット29の一方(紙面奥行き方向)へとトナーが攪拌搬送(往路)された後に、この一方側の隙間で折り返されてスパイラルフィーダ38により現像器ユニット29の他方(紙面手前方向)へとトナーが攪拌搬送(復路)されてこの他方側の隙間で再び折り返される循環経路が構成されている。
【0028】
さらに、現像器ユニット29の外壁面には、現像器ユニット29のトナー量を検出するトナーセンサ41が設けられている。
【0029】
現像ローラ39は、その周面が感光体ドラム27の周面と対向するように配置されている。従って、現像ローラ39に搬送されつつあるトナーは、現像ローラ39を介して感光体ドラム27の周面に供給され、これによって感光体ドラム27の周面に静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0030】
トナーセンサ41は、その出力信号に基づいて設置箇所付近(トナー補給部付近)のトナー量が検出され、制御回路(図示せず)によって補給用トナー収納容器28からのトナー補給量や補給タイミング等が制御される。
【0031】
(転写部30の構成)
転写部30は、感光体ドラム(例えば、アモルファスシリコン製)27の周囲に、感光体ドラム27の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿う画像形成プロセス順に、帯電デバイス42・露光デバイス43・現像ローラ39・転写ローラ44・クリーニングデバイス45・除電デバイス46を備えている。
【0032】
帯電デバイス42には、直流電圧(Vdc)に交流電圧(Vac)を重畳した帯電バイアスが印加される。
【0033】
露光デバイス43は、例えば、図示を略するパーソナルコンピュータから送信された印刷データに含まれる画像データを処理して、感光体ドラム27の表面にレーザ光を照射する。尚、ここでの印刷データには、上述した画像データの他、例えば、画像形成処理部数・拡大/縮小率・画像濃度等の各種設定に関するデータ等が該当する。
【0034】
転写ローラ44には転写電圧が印加され、感光体ドラム27の表面に形成されたトナー像を、感光体ドラム27と協働して転写紙をニップ搬送しつつ、その印加電圧によって転写する。
【0035】
クリーニングデバイス45は、転写紙へのトナー転写後に感光体ドラム27の表面に残存した転写残トナーや転写紙粉等を除去する。
【0036】
除電デバイス46には、例えば、LED光源等が用いられ、帯電デバイス42で帯電された感光体ドラム27を除電する。
【0037】
(定着部21の構成)
定着部21は、画像形成部20によって転写紙の表面に転写された未定着トナー像を定着させるために、転写紙の表面側、即ち、未定着トナー像側に配置された加熱部材としての加熱ローラ47(又は加熱ベルト)と、給紙搬送経路18を挟んで加熱ローラ47と対向する加圧部材としての加圧ローラ48とを備え、この加圧ローラ48を加熱ローラ47に圧接することで転写紙をニップ搬送する。
【0038】
転写紙の表面に形成された未定着トナー像は、加熱ローラ47に直接接触することによって溶融し、転写紙の裏面側から加圧ローラ48で加圧されることによってそのまま転写紙の表面に溶融トナーが定着像として定着される。
【0039】
尚、加熱ローラ47の表面には、溶融トナーが付着しないように表面コーティング処理等がなされている。また、加熱ローラ47の表面に付着してしまった溶融トナー等は図示を略するクリーニングデバイス等によって除去される。
【0040】
(各給紙搬送経路の構成)
給紙搬送経路18は、給紙カセット13からカセット給紙部で取り出した最上位の転写紙を、レジストローラ対19、感光体ドラム27と転写ローラ44(転写部30)、定着部21、の順でニップ搬送した後、排出部22から排紙トレイ17に至る経路を形成している。
【0041】
トレイ給紙経路23は、給紙トレイからトレイ給紙部で取り出した最上位の転写紙を、レジストローラ対19に向けて搬送する経路を形成している。
【0042】
分岐経路24は、給紙搬送経路18の定着部21よりも搬送方向下流側に切り替え可能に設けられた切替部材49を備え、この切替部材49の経路切り替えにより、スイッチバック経路25に転写紙を搬送する経路を形成している。
【0043】
スイッチバック経路25は、排出部22の上方に設けられて正逆回転するスイッチバックローラ対50を備え、転写紙の一部をニップ搬送しつつスイッチバックした転写紙を反転経路26に向けて搬送する経路を形成している。
【0044】
反転経路26は、装置本体12と側面パネル51との共同によって形成され、スイッチバック経路25から搬送された転写紙をレジストローラ対19に向けて搬送する経路を形成している。
【0045】
(側面パネル51の構成)
複合機11の一方の外側壁面の一部を形成する側面パネル51は、図2に示すように、その外壁面側下方に形成されて給紙トレイを回動可能に支持すると共に常時(非使用時)は手差トレイ14を収納する凹部52と、外壁面側上方に回動可能に設けられた開閉操作用取っ手53と、装置本体12内に位置する裏面側下方に回動可能に支持した転写搬送ユニット54と、を備えている。また、側面パネル51と転写搬送ユニット54とは、図3に示すように、装置本体12の下方に設けられた同一のユニット支持軸55を中心として回動し、図4及び図5に示すように、装置本体12に一端が固定されたカバーストラップ56とユニットストラップ57との長さの差異によりその開放度が異なっており、それぞれ下方のユニット支持軸55を回動支点としたことと相俟って、上方に拡開する開放状態とすることができ、転写ローラ44の交換作業やJAM処理の容易性が確保されている。さらに、側面パネル51は、常時(閉成時)はその裏面で転写搬送ユニット54の背面側との対向間隔、すなわち、反転経路26の転写紙厚み方向の間隔を規定するように転写搬送ユニット54を支持している。この際、転写搬送ユニット54は、開閉操作用取っ手53を用いた側面パネル51の開放操作に連動して側面パネル51による支持状態が解除されると共に、感光体ドラム27から転写ローラ44が離間するように構成されている。
【0046】
開閉操作用取っ手53は、図6〜図8に示すように、側面パネル51の裏面側上部に設けられたパネル支持軸58に回動可能に支持され、開閉操作用取っ手53の回動操作に連動してパネル支持軸58の両端に設けられて装置本体12のカバー固定部(図示せず)と係合するカバー固定用フック59を回動させる。また、側面パネル51の裏面側には、カバー固定用フック59の回動に連動して上下方向にスライド変位する連結スライダ60と、連結スライダ60の下端に当接するように回動可能とされたユニット固定用フック61と、が設けられており、連結スライダ60の下方変位によってユニット固定用フック61が回動して側面パネル51による転写搬送ユニット54の支持状態が解除される。
【0047】
ユニット固定用フック61は、装置本体12側に設けられたユニット固定用フック係合部62と係合することにより転写搬送ユニット54の全体を位置決めして側面パネル51と転写搬送ユニット54との相対位置を規定するフック部63と、開閉操作用取っ手53の開放操作に連動して感光体ドラム27から転写ローラ44を離間させる離間操作部64と、を備えている。尚、ユニット固定用フック61には、フック部63がユニット固定用フック係合部62と係合する方向に付勢(ねじりバネ等)されている。
【0048】
(転写搬送ユニット54の構成)
転写搬送ユニット54は、図9〜図12に示すように、ユニット支持軸55が貫通するユニットベースブラケット65を両端下方に固定したユニットベースハウジング66と、ユニットベースハウジング66に設けられた転写ローラユニット保持部67に保持された転写ローラユニット68と、を備えている。
【0049】
ユニットベースハウジング66は、レジストローラ対19のうち側面パネル51側に位置する一方のレジストローラ69を回転可能に直接保持している。また、ユニットベースハウジング66は、一方のレジストローラ69を装置本体12内側の他方のレジストローラ70に向けて付勢するレジストローラ押圧バネ部材71を備えている。尚、ユニットベースハウジング66の表面側と裏面側及び底面側は上述した各搬送経路18,26の一部を形成している。
【0050】
転写ローラユニット68は、図13に示すように、転写ローラユニット保持部67に収納される転写ローラハウジング72と、転写ローラ44と、転写ローラ44を感光体ドラム27に向けて付勢する転写ローラ押圧バネ部材73と、レジストローラ対19と転写部30との間の搬送経路18を形成する一対の転写前ガイドの一方(側面パネル51側)である転写前裏面側ガイド74と、感光体ドラム27から転写紙を分離させる分離針75と、ユニット固定用フック61の離間操作部64と当接して転写ローラ押圧バネ部材73を付勢に抗して伸縮させることで転写ローラ44を感光体ドラム27から離間させる転写ローラロック解除レバー76(図8参照)と、を備えている。
【0051】
したがって、側面パネル51を開放する際、その開放操作開始時に感光体ドラム27に対して転写ローラ44が必要以上に接触することが無く、感光体ドラム27への傷付きが抑制されている。
【0052】
分離針75は、転写ローラ44よりもシート搬送方向下流側の給紙搬送経路18に先端が露出するように転写紙幅方向に沿って複数配置されており、分離電圧の印加によって感光体ドラム27と分離針75との間で放電させ、転写ローラ44によって帯電させられた転写紙を除電して感光体ドラム27から転写紙を分離する。
【0053】
(装置本体12の構成)
装置本体12は、図14に示すように、感光体ドラム27と、他方のレジストローラ70と、ユニット固定用樹脂部材77とを備えている。
【0054】
ユニット固定用樹脂部材77は、転写搬送ユニット54の回動軌跡と開度とを規定するようにユニットストラップ57と係合するユニットストラップガイド溝78と、ユニット固定用フック係合部62と、転写ローラ44の両端に設けられた転写ローラカラー79と係合することで転写ローラ44を位置決めする略U字溝形状の転写ローラ位置決め部80と、一方のレジストローラ69の両端に設けられたレジストローラカラー81と係合することで一方のレジストローラ69を位置決めする略U字溝形状のレジストローラ位置決め部82と、転写前裏面側ガイド74と対向する他方の転写前ガイドとしての転写前表面側ガイド83と、を備えている。
【0055】
(実施例)
次に、本発明の画像形成装置における具体的な実施例を図15乃至図17に基づいて説明する。
【0056】
転写ローラユニット68は、ユニットベースハウジング66に設けられた転写ローラユニット保持部67に対して着脱可能なユーザー交換可能ユニット(Customer Replaceable Unit)となっている。また、転写ローラユニット68は転写ローラハウジング72に保持されており、その転写ローラハウジング72に転写ローラ押圧バネ部材73、転写前裏面側ガイド74、分離針75、をそれぞれ配置することで転写ローラ44に近接する部品をユニットベースハウジング66から同時に取り外すことが可能となり、交換作業の容易性が向上されている。さらに、転写ローラハウジング72の両端付近にはユニットベースハウジング66から転写ローラハウジング72を離脱する際に操作される固定フック解除操作部87が設けられている。また、転写ローラハウジング72の両端には、転写ローラユニット保持部67からの離脱並びに転写ローラユニット保持部67に新たに転写ローラハウジング72を装着する際に操作される着脱操作用取っ手88が設けられている。
【0057】
これにより、転写ローラユニット68を交換する際には、両手で両端の着脱操作用取っ手88を持ちながら両手で両端の固定フック解除操作部87を押圧操作すると、転写ローラハウジング72に設けられたランス状等の一対の固定フック89と転写ローラユニット保持部67に形成された穴状の一対の被係合部90との係合状態が解除され、転写ローラユニット保持部67から取り外すことができる。また、着脱操作用取っ手88を持ちながら転写ローラ位置決め部80に新たな転写ローラユニット68を押し込むことにより固定フック89が被係合部90に係合して転写ローラユニット68が転写ローラユニット保持部67に位置決め固定される。
【0058】
この際、転写ローラユニット68は、側面パネル51を開放した状態での略上下方向の着脱操作であるため、水平方向での移動を経ること無く行うことができ、周辺部品への干渉等に影響され難く、作業性が向上するうえ、転写ローラユニット68を誤って落としてしまうといった懸念も解消することができる。
【0059】
また、両手で両端の固定フック解除操作部87を押圧操作しないとロック状態は解除されないため、不安定な片手操作での離脱操作を不能とし、安全性が確保されている。
【符号の説明】
【0060】
11…複合機
12…装置本体
27…感光体ドラム
44…転写ローラ
54…転写搬送ユニット
68…転写ローラユニット
69…一方のレジストローラ
71…レジストローラ押圧バネ部材
72…転写ローラハウジング
73…転写ローラ押圧バネ部材
74…転写前裏面側ガイド
75…分離針
79…転写ローラカラー
87…固定フック解除操作部
88…着脱操作用取っ手
89…固定フック
90…被係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持する感光体ドラムに対向配置された転写ローラと、該転写ローラを前記感光体ドラムに向けて押圧する付勢部材と、前記転写ローラハウジングを着脱可能に保持すると共に前記付勢部材を保持した転写ローラハウジングと、該転写ローラハウジングの両端に設けられた着脱操作用取っ手と、前記転写ローラハウジングの両端に設けられた一対の固定フック解除操作部と、該一対の固定フック解除操作部の操作に連動する一対の固定フックと、前記転写ローラハウジングを保持する保持部に設けられて前記一対の固定フックと係合する一対の被係合部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ローラハウジングには、前記転写ローラに隣接する転写前ガイドと、画像転写後の転写紙を像担持体から分離させる分離部材とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ローラは、装置本体の外壁の一部を構成する側面パネルに設けられており、該側面パネルを開放することによって水平方向に移動することなく上下方向に着脱操作されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナーを担持する感光体ドラムに対向配置された転写ローラと、該転写ローラを前記感光体ドラムに向けて押圧する付勢部材と、前記転写ローラハウジングを着脱可能に保持すると共に前記付勢部材を保持した転写ローラハウジングと、該転写ローラハウジングの両端に設けられた着脱操作用取っ手と、前記転写ローラハウジングの両端に設けられた一対の固定フック解除操作部と、該一対の固定フック解除操作部の操作に連動する一対の固定フックと、前記転写ローラハウジングを保持する保持部に設けられて前記一対の固定フックと係合する一対の被係合部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ローラハウジングには、前記転写ローラに隣接する転写前ガイドと、画像転写後の転写紙を像担持体から分離させる分離部材とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ローラは、装置本体の外壁の一部を構成する側面パネルに設けられており、該側面パネルを開放することによって水平方向に移動することなく上下方向に着脱操作されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−158623(P2011−158623A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18960(P2010−18960)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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