画像形成装置
【課題】現像剤中のトナーの劣化度合いを精度良く検知する画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】転写電流を適切な転写電流値よりも10から50%低下させた状態で感光体202上に形成したトナーパターンを中間転写ベルト101上に転写し、中間転写ベルト101上のトナーパッチをトナー付着量検知のための光学式センサ311を用いて測定する。そして、その測定値のばらつきから現像剤中のトナーの劣化度合いD_granを算出し、劣化度合いに応じて中間転写ベルト101に塗布する潤滑剤の量を変化させる。
【解決手段】転写電流を適切な転写電流値よりも10から50%低下させた状態で感光体202上に形成したトナーパターンを中間転写ベルト101上に転写し、中間転写ベルト101上のトナーパッチをトナー付着量検知のための光学式センサ311を用いて測定する。そして、その測定値のばらつきから現像剤中のトナーの劣化度合いD_granを算出し、劣化度合いに応じて中間転写ベルト101に塗布する潤滑剤の量を変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、像担持体表面に静電的に形成した静電潜像に、少なくともトナーを含む現像剤を付与してトナー像を形成した後、紙などの転写材に該トナー像を転写する工程を繰り返す画像形成装置においては、長期にわたって安定して高品位な画像を得るためには現像剤が常時安定した帯電量を保持していることが重要である。
【0003】
しかし、現像剤は、現像剤担持体上の現像剤の量を適正化するために設けられた、現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスによって劣化してしまう。そして、現像剤が劣化してしまうと帯電量も変動してしまう。トナーとキャリアとからなる2成分現像剤においては、帯電量が高くなりすぎた場合には、トナーとキャリアとの間の静電的付着力が増大し、キャリアに強固に付着してしまうために現像剤としての現像能力が低下し、所望の画像濃度が得られなくなってしまう。また、逆に、帯電量が低くなりすぎてしまった場合には、トナーとキャリアとの間の静電的付着力が低下し、地肌汚れや、トナー飛散による機内汚染を引き起こしてしまう。
【0004】
また、一成分現像剤においても2成分現像剤と同様に、現像ローラと現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスにより現像剤が劣化して、トナー表面に付着している添加剤がトナーに埋没したり、トナーから遊離したりする。また、これらの事象が発生することにより、劣化したトナーと新たに補給されたトナーの帯電量が大きく異なることによって地汚れやぼそつきも発生してしまう。
【0005】
さらに、中間転写方式の画像形成装置では、現像剤の劣化により、その帯電量が不安定となることで、像担持体上から中間転写体上へのトナー像の転写が不安定なって、一次転写効率が低下するとともに、紙などの転写材への転写画像の劣化がより顕著となる傾向がある。
【0006】
以上のように現像剤が劣化してしまうと、紙などの転写材への転写画像の画像品質を低下させてしまう。しかし、これらの現象は現像剤中のトナーが劣化していることが主要因である。したがって、劣化したトナーを排出し、新たなトナーを現像剤中に投入して攪拌することにより、紙などの転写材への転写画像の画像品質の良好な出力を得ることができる。
【0007】
そこで、画像形成装置について、安定して良好な画像形成を行うための多くの提案がなされている。
【0008】
例えば、特許文献1には、現像剤の現像特性を安定した状態として維持されるようにするために現像剤のエージング処理を行う技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、書き込み画素等の画像信号から画像で消費されるであろうトナー量を割り出し、それが所定の定常消費量に比べて少ない場合には、余分のトナー量を画像領域外で予め消費させる技術や、現像剤を強制消費する際に、排トナーボックスに送り込む等して循環使用する技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、予め決められた現像ローラの回転数における画像ドット数が所定の閾値より小さい場合に、現像剤を現像ローラから感光体ドラム上へと現像する画像形成装置に関する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような技術では、現像剤中の劣化したトナーを排出することにより良好な画質を得ようとしている。しかし、劣化したトナーを排出て新たなトナーを補給して現像剤をリフレッシュしてしまうと無駄なトナー消費をしてしまい、コストの増大につながってしまう。
【0012】
また、特許文献1に開示されている技術では、現像剤中に含まれている劣化トナーを排出することなく画像形成条件を決定しているため、真に良好な画像形成を行っているとは言い難い。
【0013】
そして、特許文献2および特許文献3に開示されている技術では、画像情報に対応するドット数と像担持体の回転距離情報から印字率を算出して、閾値より印字率が低い場合に主走査帯状に作像してトナーリフレッシュを行っている。つまり、実際にはどの程度2成分現像剤中のトナーが劣化しているのかが不明なままトナーリフレッシュを行っている。そのため、ある場合にはトナーリフレッシュ量が足りずに良好な画像を得ることができないという問題が発生し、またあるときにはトナーリフレッシュ量が多すぎるため、必要以上にトナーを消費してしまうという等の問題が生じている。以上のように、転写画像の劣化を抑える手段として現像剤中の劣化トナーを排出することには種々の問題点がある。
【0014】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化をトナー排出を行うことなく抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、上記像担持体上に形成された潜像を顕像化して、該像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、上記像担持体と接触する位置に設けられ、複数の張架ローラによって張架されるベルト部材からなる中間転写体と、該中間転写体上の上記像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、上記像担持体のトナー像を上記中間転写体上に転写する一次転写手段と、上記中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、形成される画像の画像濃度が所定の画像濃度となるように画像形成条件を調整する制御を行う画像濃度制御手段と、を備えた画像形成装置において、上記塗布装置により上記中間転写体上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段と、上記中間転写体上にトナーパターンを形成するトナーパターン形成手段と、上記中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、上記トナーパターン検出手段によって上記トナーパターンから得られる複数の検出結果を用いて上記トナーの劣化度合いを定量的に算出する算出手段とを有し、上記算出手段による算出結果に応じて、上記潤滑剤量調整手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、潤滑剤供給装置は、少なくとも中間転写体の像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する塗布ローラと、該塗布ローラと当接して該塗布ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを備え、潤滑剤量調整手段は、上記塗布ローラに対する上記潤滑剤供給部の押圧力を調整する押圧力調整手段であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、像担持体上に形成したトナーパターンを中間転写体上に転写する際に設定される転写電流は、最適とされている転写電流よりも10から50%下げて設定することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置において、トナーパターン検出手段で中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出したときに出力される複数の出力結果のうち、それぞれの出力結果の最大値をReg_max、Dif_max、最小値をReg_min,Dif_minとすると、現像剤中の劣化トナーの度合いD_granは下式となることを特徴とするものである。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
α、β:予め求めておいた画像形成装置固有の転写特性の定数。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、二次転写手段は、二次転写ローラと、該二次転写ローラと中間転写体を介して対向する対向ローラとを備え、上記二次転写ローラまたは二次転写ローラの上記対向ローラに転写電流を印可することで中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写するものであって、上記トナー像を中間転写体上から上記記録媒体に転写する際に、転写効率を補正する補助的な手段として、トナーの劣化度合いの算出結果に基いて、上記二次転写手段の上記転写電流を変更する二次転写電流制御手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置において、トナーパターン検出手段は、中間転写体上に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通であることを特徴とするものである。
本発明は、トナーパターン検出手段によって、トナーパターンから得られる複数の検出結果を用い、算出手段によってトナーの劣化度合いを定量的に算出するので、実際の現像剤中の劣化トナーの状態を定量的に判定することができる。そして、劣化したトナーからなる像担持体上のトナー像の中間転写体上への一次転写効率は、潤滑剤塗布量を変化させることにより変化させることができる。そこで、算出された算出結果に応じて、中間転写体上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段を制御して潤滑剤塗布量を変化させ、中間転写体上のトナー像の記録媒体への一次転写効率を適切に制御することができる。このように制御することで、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、実際の現像剤中の劣化トナーの状態を定量的に判定することができ、その結果を基に潤滑剤塗布量を適切に変化させることで、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタの画像形成部の概略構成を示した説明図。
【図3】本実施形態におけるトナー付着量検知センサに関わる制御図を示すブロック図。
【図4】黒トナーのトナー付着量を検知する光学式センサを示す説明図。
【図5】カラートナーのトナー付着量を検知する光学式センサを示す説明図。
【図6】トナー付着量と正反射光出力および拡散反射光出力の関係を示した説明図。
【図7】光学式センサで中間転写ベルトのトナーパターンを検知し、現像剤中のトナーの劣化度合いを検知する手順を示すフローチャート図。
【図8】現像剤中のトナーの劣化度合いとそれに対する潤滑剤塗布量を示すテーブル。
【図9】プロセスコントロールの手順を示すフローチャート図。
【図10】潤滑剤塗布量と転写効率の関係を示す説明図。
【図11】潤滑剤塗布装置における潤滑剤供給ユニットをその周囲構成とともに示す拡大構成図。
【図12】潤滑剤塗布ローラに対する潤滑剤の押圧力を弱めた状態の同潤滑剤供給ユニットを示す拡大構成図。
【図13】現像剤中の劣化トナーの度合いとぼそつきランクの関係を示した説明図。
【図14】本実施形態で、ぼそつきランク付けに用いた段階見本の画像例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。本プリンタは、図1に示すように、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト101に沿って画像形成部102Y(イエロー)、102M(マゼンダ)、102C(シアン)、102K(黒)が設けられている。また、各画像形成部102Y、102M、102C、102Kにより形成された各トナー像は、一次転写装置106Y、106M、106C、106K、により中間転写ベルト101上へ重ねられるように順次転写される。また、後述する中間転写ベルト上に転写されたトナー像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段としての画像検出装置110が中間転写ベルト101に対向して設けられている。中間転写ベルト101上のトナー像は2次転写装置111により記録材としての転写紙112へ転写される。また、中間転写ベルト上の転写残トナーなどをクリーニングするクリーニング手段としての中間転写ベルトクリーナ114と、クリーニング後の中間転写ベルト上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置115とを備えている。
【0020】
図2は、画像形成部102Y、102M、102C、102Kの概略構成を示した説明図である。ここで、各画像形成部102Y、102M、102C、102Kの構成は使用するトナーの色はことなるが、基本的には同様なものであるので、以下、各色に対応する符号を省略して、互いに区別することなく説明する。
【0021】
感光体202の周りには、感光体表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置201、書き込み光Lにより感光体表面に静電潜像を書き込む露光手段としての書込装置203、静電潜像をトナーによって現像する現像手段としての現像装置205、感光体上の転写残トナーなどをクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーナ200、及び感光体表面を除電する除電手段としてのイレーズ(除電装置)207、電位検知手段としての電位センサ210が設けられている。
【0022】
本実施形態の帯電装置201は、スコロトロンチャージャからなる非接触式帯電器であり、スコロトロンチャージャのグリット電圧(帯電バイアス)Vgを目標帯電電位(本実施形態ではマイナス電位)に設定することで、感光体202表面の電位をその目標帯電電位するものである。また、帯電装置201は、これに限らず、他の非接触式帯電器や、接触式帯電器を用いることも出来る。
【0023】
本実施形態の書込装置203は、光源としてレーザーダイオード(LD)を用い、断続的な書込み光すなわち繰り返しパルス状の書き込み光Lを照射することで、感光体表面上に1ドットごとの静電潜像(以下、1ドット静電潜像という)を形成する。本実施形態では、1ドット静電潜像を形成する際の露光時間(単位露光時間)を変更することで、1ドット静電潜像に付着するトナー付着量を制御して階調制御を行うことが可能となっている。本実施形態では、最大単位露光時間を15分割(それぞれの単位露光時間を以下「露光デューティ」という)して、16階調の階調制御が可能となっている。したがって、本実施形態では、露光デューティを0(露光しない)〜15(最大単位露光時間)の16段階で調整可能となっている。
【0024】
本実施形態の現像装置205は、感光体202表面に対向配置される現像剤担持体としての現像ローラを備えており、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を現像ローラ上に担持させて、感光体202表面にトナーを供給する。現像ローラには、絶対値が露光部電位VLよりも十分に大きくかつ帯電電位Vdよりも十分に小さい現像バイアスVbを印加されている。これにより感光体202表面と現像ローラとが対向する現像領域において、感光体表面上の静電潜像(露光部)に向けてトナーを移動させ、かつ、感光体202表面上の静電潜像(露光部)に向けてトナーを移動させ、かつ、感光体202表面上の非静電潜像(非露光部)にはトナーが移動しないような電界を形成でき、静電潜像をトナーで現像することが出来る。
【0025】
画像形成を行うときには、まず、感光体202の表面が一様に目標帯電電位(マイナス電位)となるように、帯電装置201により感光体202表面を帯電する。次に、帯電された感光体202の表面部分に対し、画像データに応じた書き込み光Lを書込装置203の光源(LD)から感光体202へ露光し、これにより感光体202表面の露光部の電位(絶対値)が下がることにより、感光体202の表面上に静電潜像が形成される。この後、感光体202の表面上に形成された静電潜像(本実施形態では露光部)は、現像装置205の現像剤担持体である現像ローラ上に担持されたトナーによってトナー像に現像される。具体的には、現像ローラに対し、絶対値が露光部電位VLよりも大きくかつ帯電電位Vdよりも小さい現像バイアスVbを印加して、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーを静電的に静電潜像に付着させることにより現像する。
【0026】
感光体202上に形成されたトナー像は、一次転写装置106により中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101に転写されずに感光体202上に残った転写残トナーは感光体クリーナ200で回収される。また、中間転写ベルト101上にトナー像を転写した後の感光体表面は、イレーズ207により一様に除電光が照射されることにより、非静電潜像部分が除去されて、一様に除電された状態になる。
【0027】
このようにして各画像形成部102Y、102M、102C、102Kで形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト101上に互いに重なり合うように一次転写される。その後、中間転写ベルト101上に転写された各色トナー像を2次転写装置111により中間転写ベルト101から転写紙112へ転写される。このとき、転写紙112に転写されずに中間転写ベルト101上に残った転写残トナーは中間転写ベルトクリーナ114で回収される。中間転写ベルト101上の転写残トナーを回収後、潤滑剤塗布装置115により中間転写ベルト101上に潤滑剤を塗布し、中間転写ベルト表面の摩擦係数を一定に保つ。その後、図示しない定着装置によってトナー像が転写紙112に定着され一連の印刷プロセスが終了する。
【0028】
図3は本実施形態の複写機が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の複写機には、コンピュータ構成のメイン制御部41が備えられており、このメイン制御部41が各部を駆動制御する。メイン制御部41は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU(Central Processing Unit)42にバスライン45を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)44と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)43とが接続されて構成されている。
【0029】
メイン制御部41には、画像検出装置110が接続されており、画像検出装置110は各色のトナー付着量検出センサ及び色ずれ補正画像検知センサ311Y、311M、311C、311Kから構成されている。これらのセンサで検出した情報は、メイン制御部41に送り出される。また、メイン制御部41には図示しない帯電装置、書込装置、現像装置、電位センサも接続されている。
【0030】
メイン制御部41は、画像検出装置110で検知された中間転写ベルト上に形成されたトナー濃度に基づいて、現像装置の現像バイアス、光書き込みユニットの露光量(レーザーパワー・露光時間)、帯電装置の帯電バイアスなどを変更するプロセス条件変更手段としての機能を有している。
【0031】
次に、本実施形態におけるトナー付着量検知手段である光学式センサについて説明する。図4は、黒トナー付着量検出センサの構成を示す図であり、図5は、カラートナー付着量検出センサの構成を示す図である。
【0032】
図4に示すように、黒トナー付着量検出センサ311−1は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子311−1aと、正反射光を受光する受光素子311−1bとから構成されている。発光素子311−1aは中間転写ベルト101上に光を照射し、この照射光は中間転写ベルト101によって反射される。受光素子311−1bは、この反射光のうちの正反射光を受光する。
【0033】
一方、図5に示すように、カラートナー付着量検出センサ311−2は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子311−2aと、正反射光を受光する受光素子311−2bと、拡散反射光を受光する第2受光素子311−2cとから構成されている。発光素子311−2aは、黒トナー付着量検出センサ311−1の場合と同様、中間転写ベルト101上に光を照射し、この照射光は、中間転写ベルト101表面によって反射される。第1受光素子311−2bは、この反射光のうちの正反射光を受光し、第2受光素子311−2cは、反射光のうち拡散反射光を受光する。
【0034】
本実施形態では、発光素子311−1a、311−2aとして、発光される光のピーク波長λpが950nmであるGaAs赤外発光ダイオードを用いる。受光素子311−1b、311−2b、311−2cとしては、ピーク受光感度が800nmであるSiフォトトランジスタなどを用いる。
【0035】
また、黒トナー付着量検出センサ311−1及びカラートナー付着量検出センサ311−2と、検知対象物である中間転写ベルト101のベルト表面との間には、5mmの距離(検出距離)を設けて配設している。
【0036】
本実施形態では、トナー付着量検知センサ311−1、311−2を中間転写ベルト101近傍に設け、中間転写ベルト上のトナー付着量に基づいて、露光量、現像バイアスなどの作像条件を決定する。また、本実施形態では、中間転写ベルト101に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通とした構成としているが、別途設けるようにしてもよい。
【0037】
次に、適正な良好な画像品質を得るための作像条件変更方法(以後、プロセスコントロールと呼ぶ)について図9を用いて説明する。メイン制御部41は、感光体ドラム202や現像装置205の使用状態、環境変化が所定値以上となったら、プロセスコントロールモード実行する(S1)。メイン制御部41は、プロセスコントロールモードが実行されると、まず、トナー濃度検知手段たる画像検出装置110の出力値の調整を行う(S2)。
【0038】
前述したように画像検出装置110は、中間転写ベルト101に対向した位置にあり、各色に対応した、トナー付着量検出センサ及び色ずれ補正画像検知センサ311から構成されている。また、トナー付着量検知センサおよび色ずれ補正画像検知センサ311は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子311−2a(311−1a)と、正反射光を受光する受光素子311−2b(311−1b)と、拡散反射光を受光する第2受光素子311−2cとから構成されている。
【0039】
受光素子311−2a(311−1a)は、感光体202上から一時転写され中間転写ベルト101上に形成された単位面積あたりのトナー付着量を横軸にとり、且つその出力電圧値を縦軸にとると、図6に示すように、トナー付着量の増加に従って正反射光出力は徐々に出力電圧値を小さくする特性を有し、拡散反射光出力は徐々に出力電圧値を大きくする線形特性を有する。ここで、図6は、マセンダのトナーについてのグラフを例示している。
【0040】
画像検出装置110の校正においては、中間転写ベルト101を基準板と見立て、LEDによる発光をONにした状態で中間転写ベルト101から反射した光を検知したときの受光素子の出力電圧値Vrefが、基準(ベース)電圧Vbaとなるように、LEDの発光量を調整する。基準電圧Vbaは、予めROM44に記憶されており、LEDの発光量は、LEDに流す電流Ifを調整することにより行う。
【0041】
画像検出装置110の出力値の調整を行ったら、次に、メイン制御部41は、ベタ画像を安定化させるプロセスコントロールを実行する(S3)。このベタ画像を安定化させるプロセスコントロールは、露光量(レーザーパワー)および帯電バイアスを固定して、現像バイアス電圧出力を多段階に変化させて、トナー付着量の異なる複数個のトナーパターン像を作像する。
【0042】
そして、画像検出装置110で検出したトナー付着量がそれぞれ目標値となるように現像バイアス電圧を調整する。
【0043】
ベタ画像の安定化が終わったら、次に、メイン制御部41は低階調についてのプロセスコントロールを実行し、画像形成プロセス条件たる露光量(レーザーパワー)を調整する(S4)。ベタ画像および低階調についての調整が終了したら、メイン制御部41はプロセスコントロールで設定した、帯電条件、現像バイアス条件、レーザーパワー条件をRAM43に保存し、プロセスコントロールを終了する。
【0044】
次に、本実施形態における、中間転写ベルト101上への潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段の一例として、潤滑剤塗布装置115に備えた潤滑剤塗布ローラ451と潤滑剤塗布ローラ451に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部との押圧力を調整する押圧力調整手段について図11を用いて説明する。図11は、潤滑剤塗布装置115における潤滑剤供給ユニット450をその周囲構成とともに示す拡大構成図である。
【0045】
同図において、潤滑剤塗布装置115の潤滑剤供給ユニット450は、潤滑剤塗布ローラ451、付勢コイルバネ453、カム軸454、カム455、保持体回動軸456と、潤滑剤塗布ローラ451への潤滑剤供給部である保持体452、潤滑剤457と、図示しないカムモータおよびカムモータ駆動制御部などを有している。そして、上述した潤滑剤塗布ローラ451は、図示しない支持体に回転自在に保持され、少なくとも潤滑剤を塗布する際には、図示していない駆動装置により駆動される。ここで、潤滑剤塗布ローラ451としては、スポンジローラやブラシローラ等の潤滑剤457との当接部分が変形し、潤滑剤を保持することができる周知なものを利用することができる。また、潤滑剤457としては、固形潤滑剤を用いている。
【0046】
潤滑剤供給ユニット450の保持体452は、その上部に設けられた保持体回動軸456を中心にした回動が可能になるように、図示しない支持体に支持されている。そして、保持体452の側方では、付勢コイルバネ53が上述した支持体に支持されながら、保持体452を中間転写ベルト101に向けて付勢している。
【0047】
この付勢により、保持体452に保持されている潤滑剤457が潤滑剤塗布ローラ451に向けて押圧され当接している。付勢コイルバネ453による保持体452の付勢方向は、図中一点鎖線で示す潤滑剤塗布ローラ451とニップ裏側張架ローラ446の回転中心とを結ぶ線と平行な方向としている。
【0048】
保持体452の近傍には、図示しないカムモータからの駆動力によってカム軸454を中心にして回動するカム455が配設されており、自らのカム面を保持体452の下部に突き当てている。この突き当てにより、付勢コイルバネ453によって中間転写ベルト101に向けて付勢される保持体452の付勢方向への移動が規制されている。
【0049】
図示しないカムモータが正転駆動したり逆転駆動したりすると、カム455がカム軸454を中心にして回動して、自らのカム面を保持体452により近づけたり遠ざけたりする。これにより、カム面と保持体452の下部との当接位置がプリンタ部に対して図中左右方向に移動して、保持体452が保持体回動軸456を中心にして図中反時計回り方向に少しだけ回転したり、図中時計回り方向に少しだけ回転したりする。
【0050】
このようにして保持体452が回転すると、潤滑剤457が潤滑剤塗布ローラ452に対して少しだけ遠ざかったり少しだけ近づいたりして、潤滑剤塗布ローラ452に対する潤滑剤457の押圧力が弱まったり強まったりする。即ち、本装置では、保持体452、付勢コイルバネ453、カム軸454、カム455、保持体回動軸456、図示しないカムモータおよびカムモータ駆動を制御する制御部などが、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整する押圧力調整手段として機能している。
【0051】
上記カムモータが所定の時間だけ正転駆動されると、図12に示すように、カム455がカム軸454を中心にして所定の角度だけ図中反時計回り方向に回転して、保持体452の下部を付勢コイルバネ453の付勢力に打ち勝って図中右側から左側へと押す。これにより、保持体452が保持体回動軸456を中心にして図中時計回り方向に所定の角度だけ回転して、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を少し弱める。
【0052】
この逆に、上記カムモータが逆転駆動されると、保持体452が保持体回動軸456を中心にして図中反時計回り方向に回転して、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力が強まる。
【0053】
このように押圧力調整手段により潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整することができる。そして、その押圧力を強めた場合には、潤滑剤塗布ローラ451により潤滑剤457から掻き取る潤滑剤量が増え中間転写ベルト101に塗布される潤滑材量を増やすことができる。また、押圧力を弱めた場合には、潤滑剤塗布ローラ451により潤滑剤457から掻き取る潤滑剤量が少なくなり中間転写ベルト101に塗布される潤滑材量を少なくすことができる。
【0054】
そして、本実施形態の中間転写ベルト101上に塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段としての押圧力調整手段は、後述する段階的に判断された潤滑剤塗布量に調整するため、メイン制御部41により潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を複数段階に制御されている。
【0055】
また、上述したように本実施形態では、潤滑剤量調整手段として潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整する押圧力調整手段を用いているが、これに限定されるものでない。例えば、潤滑剤塗布ローラ451への潤滑剤457の押圧力を一定とし、潤滑剤塗布ローラ451の単位時間当たりの回転数を調整することで、中間転写ベルト101上に塗布する潤滑剤の塗布量を調整してもよい。
【0056】
次に現像剤中のトナーの劣化度合いの検知と、検知した値からトナーの劣化度合の定量化と、定量化したトナーの劣化度合に基づく中間転写ベルト101への潤滑剤塗布量の決定までの流れについて図7を用いて説明する。
【0057】
ここで、検知した値からトナーの劣化度合の定量化を行なう後述する式は、本発明の発明者が、トナーが劣化するほど中間転写体へ転写がされずらくなり、中間転写体上に形成した検出用トナーパターンについて付着量を検出すると、その値のバラツキが大きくなることに着目して実験を重ね見出したものである。そして、トナーの劣化が進むほど、中間転写体上に形成した検出用トナーパターンについての付着量の値のバラツキが大きくなる理由は、現像剤が現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスによって劣化してしまうと現像剤の帯電量も変動してしまいうためと考えられる。そして、トナーの劣化度合いが進むほど現像剤に含まれる帯電量が変動したトナーの量が多くなり、検出用トナーパターンについての付着量の値のバラツキが大きくなるためと考えられる。
【0058】
(ステップ1)
まず、メイン制御部41より現像剤中のトナーの劣化度合い検知の実行命令があった場合に転写電流を現在設定されている値から劣化トナー検知用の転写電流値に変更する。劣化トナー検知用の転写電流値は、使用するトナー、現像剤、および現像装置によって設定する値が異なるが、通常動作時に最適とされている転写電流の値よりも10から50%下げた値とする。また、転写条件以外の作像条件は、前述したプロセスコントロールにより決定されている。
【0059】
このように劣化トナー検知用の転写電流値に変更する理由としては、2点挙げられる。1点目は、転写電流を下げると、感光体202上のトナーの中間転写ベルト101上への転写効率は低下する。そして、転写余裕度も低下するため、帯電量が不安定な状態となっている劣化トナーは中間転写ベルト101上に転写されづらく、トナーバターンが不均一状態になりやすい。そのため、転写電流を下げた方がトナーパターンを画像検知手段110で検知したときに取得した値がばらつきやすく、トナー劣化度合いを検知する感度を高くできることができるためである。
【0060】
2点目は、転写電流を下げると、中間転写ベルト上に転写されるトナー量が減るため、中間転写ベルト101上ではトナー付着量が少ない状態になる。図6に示すように、中間転写ベルト上に転写されたトナー付着量0.2mg/cm2近傍と0.5mg/cm2近傍で正反射光出力と拡散反射光出力の特性を見ると、トナー付着量の少ない0.2mg/cm2近傍の方が正反射光出力のバラツキが大きいことが分かる(r1>r2)。一方、拡散反射光出力は、どちらのトナー付着量においてもほぼ同じバラツキであることが分かる(d1≒d2)。そのため、転写電流を下げ、中間転写ベルト101上のトナーの付着量を低くして正反射光出力、拡散反射光出力を取得した方が、正反射光出力のバラツキを大きくでき、トナー劣化度合いを検知する感度を高くできるためである。
【0061】
(ステップ2)
次に、感光体202上にトナーパターンを作成する。ここで、作成する基準トナーパターンの大きさは主走査方向が15mmで、副走査方向の大きさが39mmである。また、本実施形態ではトナーパターンとして、ソリッドなベタ書き込みのパターンを用いる。感光体202上に形成されたトナーパターンは、ステップ1にて設定した劣化トナー検知用の転写電流値で中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101上に転写されたトナーパターンは、画像検知手段110によって検知される。このトナーパターンを検知するとき、サンプリング時間の間隔は4msecとし、中間転写ベルト101の反射ムラの影響を受けないようにするため少なくとも100ポイント以上サンプリングし、5点移動平均値を求める。
【0062】
画像検知手段110には正反射受光素子311−2bおよび拡散反射光受光素子311−2cを備えているので、それぞれの受光素子からの出力を得られる。ここでは、正反射光受光素子からの出力をReg(n)、拡散反射光受光素子からの出力をDif(n)とする。仮に、100ポイントサンプリングし、5点移動平均値を求めたとすると、下記に示すような2つのデータセットが得られる。
正反射光出力データ:Reg(1)、Reg(2)、・・・、Reg(20)
拡散反射光出力データ:Dif(1)、Dif(2)、・・・、Dif(20)
【0063】
(ステップ3)
そこで、正反射光出力データおよび拡散反射光出力データからから最大値と最小値を選択し、それぞれをRAMに記録する。この最大値、最小値をそれぞれReg_max、Dif_max、Dif_min、Dif_minと呼ぶ。
【0064】
(ステップ4)
そして、Reg_max、Dif_max、Dif_min、Dif_minが取得できたら、これらの値から現像剤中の劣化トナー度合いD_Gran を算出する。上述したように、トナーの劣化度合いが高い程、トナーパターンを検出した正反射光出力データReg(n)と拡散反射光出力データDif(n)のバラツキは大きくなる傾向にあるので、算出式は下記の式で定量化することができる。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
ここでα、βは、実験的に求める値である。
そして、基本的にα≒1であり、βは、付着量と拡散反射光出力の関係の一次近似式の傾きslope(dif)とすると、算出式はβ=1/slope(dif)となる。
また、図6のマセンダのトナーについてのグラフの付着量と拡散反射光出力の関係の一次近似式は以下のようになり、βの値は2.4718となる。
y=2.4718x+0.1104
【0065】
(ステップ5)
現像剤中のトナーの劣化に応じた中間転写ベルト101上への各色ごとの(4種類の)潤滑剤塗布量を、劣化トナー度合いD_Granの値から、図8の表に記載の条件で段階的に判断する。図8はD_Granの値に応じた潤滑剤塗布量を示す表である。ここで図8中のA、B、Cは予め求めておいた画像形成装置固有の劣化トナー判定定数であり、C>B>Aとする。また、STD1はトナーが負荷を受けていない状態での最適な潤滑剤塗布量を示す。
【0066】
上述したようにして求められた各色ごとの(4種類の)潤滑剤塗布量の中で、最も多い潤滑剤塗布量の値を中間転写ベルト101への潤滑剤塗布量として決定する。そして、このようにして決定した潤滑剤塗布量に、上述した潤滑剤塗布量の可変機構を用いて調整し、実際の画像形成動作を行うことで、現像剤中のトナーが劣化することに起因する、トナー像の転写効率の低下を適切に補正できる。このようにして、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
【0067】
次に本実施形態で行ったA、B、Cを求める実験に使用した構成を以下に示す。実験機はImagio ProC900で、紙種はNBSリコー製Type6200を使用した。これらの実験機、評価用紙を用いて実験機の環境条件(温度・湿度10℃・15%、23℃・50%、27℃・80%)や、現像剤の劣化状態(新品状態、10分攪拌状態、60分攪拌状態)を変化させ、そのときのD_Granおよび2by2画像のぼそつきランク付けを行った。ぼそつきランク付けとは段階見本にて目視評価を行うものである。その結果を示したものが図13である。このとき、ぼそつきランクがランク4となるときのD_Granの値をA、ランク3となるときのD_Granの値をB、ランク2となるときのD_Granの値をCとした。
【0068】
ここで、今回行った2by2画像のぼそつきランク付けについて簡単に説明しておく。2by2画像とは、縦横2ドットの大きさのドットパターンをタイル状に印字する画像である。この画像において、ハーフトーンの均一性よりぼそつきを評価できる。評価方法は、段階見本と比較し、どのレベルであるのかを目視にて判断する。図14に、ぼそつきランク付けに用いた段階見本の画像例を示す。この見本において、ランク4以上を問題なしとし、ランク3以下を問題ありと判断している。また、図14の段階見本の画像例は、各ランクごと違いを分かりやすく示すため、黒のトナーについてのグラフを例示している。
【0069】
また、劣化状態に応じて潤滑剤塗布量を変化させる理由について、図10を用いて説明する。図10はマセンダのトナーについての潤滑剤塗布量と転写効率の関係を示す図である。ここで、図中のグラフ(ア)は劣化していない状態のトナーを示し、グラフ(イ)は現像装置内で10分間の攪拌により負荷を受けたトナー、グラフ(ウ)は現像装置内で60分の攪拌により負荷を受けたトナーを示している。転写効率は、潤滑剤塗布量を増加させるにつれて増大し、ある値で転写効率のピークを示す。しかし、その値から潤滑剤塗布量を増加させても転写効率はほぼ一定になってしまう。また、トナーが負荷を受けると、その程度によって転写効率の最大値が低下し、転写効率を最大にする潤滑剤塗布量が増加するためである。
【0070】
そして、潤滑剤塗布量を予め多めにしておいた場合には、潤滑剤の消費量が増大し、交換周期が早まるためコストの面から不利となるため、潤滑剤塗布量は転写効率によって増減させた方が良い。
【0071】
また、図10では感光体202の単位走行距離に対する潤滑剤塗布量を記載している。ここで、感光体202の走行距離とは、感光体202が回転を開始してから停止するまでの時間と、回転速度を乗算した値から算出する。感光体202が回転している時間と、潤滑剤塗布ローラ452が駆動している時間は等いため、単位としてはg/mとなっている。
【0072】
また、本実施形態では、潤滑剤塗布量の調整を、図8に示すように基準塗布量を含め4段階としたが、これに限定されるものではなく、本発明を適用する画像形成装置の使用目的等に応じてより多い段階、または少ない段階としてもよい。
【0073】
さらに、段階的な潤滑剤塗布量の調整に加え、トナー像が中間転写ベルト101から転写紙112に転写される際に、補助的な手段として、二次転写手段に備えられた二次転写ローラまたは二次転写ローラの対向ローラに印可される転写電流を変更してもよい。このように構成することで、中間転写ベルト101上のトナー像の二次転写効率を制御でき、より細やかな一次転写と二次転写とを含めた転写効率の制御を可能とすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、画像検知手段110により、トナーパターンから得られる複数の検出結果を用い、算出手段によってトナーの劣化度合いを定量的に算出するので、実際の現像剤中の劣化トナーの状態を定量的に判定することができる。そして、劣化したトナーからなる感光体202上のトナー像の中間転写ベルト101への一次転写効率は、潤滑剤塗布量を変化させることにより制御することができる。そこで、算出した算出結果に応じて、中間転写体101上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段を制御して潤滑剤塗布量を変化させ、感光体202上のトナー像の中間転写ベルト101への一次転写効率を適切に制御することができる。よって、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写紙112に転写される転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
また、本実施形態では、潤滑剤量調整手段として、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整する押圧力調整手段をもちいるので、算出した算出結果に応じて、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力をこの押圧力調整手段を制御することで潤滑剤塗布量を変化させ、感光体202上のトナー像の中間転写ベルト101への一次転写効率を適切に制御することができる。よって、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写紙112に転写される転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
また、本実施形態では、感光体202上に形成したトナーパターンを中間転写ベルト101上に転写する際に設定される転写電流を、最適とされている転写電流よりも10から50%下げて設定することで、トナー劣化度合いを検知する感度を高くすることができ、劣化トナーの状態をより適切に判断することができる。
また、本実施形態では、画像検知手段110で中間転写ベルト101上に形成されたトナーパターンを検出したときに出力される複数の出力結果のうち、それぞれの出力結果の最大値をReg_max、Dif_max、最小値をReg_min,Dif_minとし、現像剤中の劣化トナーの度合いD_granは下式とすることで、トナーの劣化度合いを定量的に算出するすることができる。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
α、β:予め求めておいた画像形成装置固有の転写特性の定数。
また、本実施形態では、トナー像が中間転写ベルト101から転写紙112に転写される際に、トナー像が中間転写ベルト101から転写紙112に転写される際に、転写効率を補正する補助的な手段として、トナーの劣化度合いの算出結果に基いて、二次転写ローラまたは二次転写ローラの対向ローラに印可される転写電流を変更する二次転写電流制御手段を備えている。このような構成とすることで、中間転写ベルト101上のトナー像の二次転写効率を制御でき、より細やかな一次転写と二次転写とを含めた転写効率の制御を可能とすることができる。
また、本実施形態では、画像検知手段110は、中間転写ベルト101に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通であるので、別途検出手段を設ける必要がなく、低コストで本発明の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
41 メイン制御部
101 中間転写ベルト
102Y、102M、102C、102K 画像形成部
110 画像検出装置
112 記録材としての転写紙
113 濃度パッチ
114 中間転写ベルトクリーナ
115 潤滑剤塗布装置
201 帯電装置
202 感光体
203 書込装置
205 現像装置
311 光学式センサ
311−1 黒トナー用の付着量検出センサ
311−2 カラートナー用の付着量検出センサ
450 潤滑剤供給ユニット
451 潤滑剤塗布ローラ
452 潤滑剤供給ユニットの保持体
455 潤滑剤供給ユニットに設けたカム
457 潤滑剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開平10‐083115号公報
【特許文献2】特開2006‐171788号公報
【特許文献3】特開2004‐125829号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、像担持体表面に静電的に形成した静電潜像に、少なくともトナーを含む現像剤を付与してトナー像を形成した後、紙などの転写材に該トナー像を転写する工程を繰り返す画像形成装置においては、長期にわたって安定して高品位な画像を得るためには現像剤が常時安定した帯電量を保持していることが重要である。
【0003】
しかし、現像剤は、現像剤担持体上の現像剤の量を適正化するために設けられた、現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスによって劣化してしまう。そして、現像剤が劣化してしまうと帯電量も変動してしまう。トナーとキャリアとからなる2成分現像剤においては、帯電量が高くなりすぎた場合には、トナーとキャリアとの間の静電的付着力が増大し、キャリアに強固に付着してしまうために現像剤としての現像能力が低下し、所望の画像濃度が得られなくなってしまう。また、逆に、帯電量が低くなりすぎてしまった場合には、トナーとキャリアとの間の静電的付着力が低下し、地肌汚れや、トナー飛散による機内汚染を引き起こしてしまう。
【0004】
また、一成分現像剤においても2成分現像剤と同様に、現像ローラと現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスにより現像剤が劣化して、トナー表面に付着している添加剤がトナーに埋没したり、トナーから遊離したりする。また、これらの事象が発生することにより、劣化したトナーと新たに補給されたトナーの帯電量が大きく異なることによって地汚れやぼそつきも発生してしまう。
【0005】
さらに、中間転写方式の画像形成装置では、現像剤の劣化により、その帯電量が不安定となることで、像担持体上から中間転写体上へのトナー像の転写が不安定なって、一次転写効率が低下するとともに、紙などの転写材への転写画像の劣化がより顕著となる傾向がある。
【0006】
以上のように現像剤が劣化してしまうと、紙などの転写材への転写画像の画像品質を低下させてしまう。しかし、これらの現象は現像剤中のトナーが劣化していることが主要因である。したがって、劣化したトナーを排出し、新たなトナーを現像剤中に投入して攪拌することにより、紙などの転写材への転写画像の画像品質の良好な出力を得ることができる。
【0007】
そこで、画像形成装置について、安定して良好な画像形成を行うための多くの提案がなされている。
【0008】
例えば、特許文献1には、現像剤の現像特性を安定した状態として維持されるようにするために現像剤のエージング処理を行う技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、書き込み画素等の画像信号から画像で消費されるであろうトナー量を割り出し、それが所定の定常消費量に比べて少ない場合には、余分のトナー量を画像領域外で予め消費させる技術や、現像剤を強制消費する際に、排トナーボックスに送り込む等して循環使用する技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、予め決められた現像ローラの回転数における画像ドット数が所定の閾値より小さい場合に、現像剤を現像ローラから感光体ドラム上へと現像する画像形成装置に関する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような技術では、現像剤中の劣化したトナーを排出することにより良好な画質を得ようとしている。しかし、劣化したトナーを排出て新たなトナーを補給して現像剤をリフレッシュしてしまうと無駄なトナー消費をしてしまい、コストの増大につながってしまう。
【0012】
また、特許文献1に開示されている技術では、現像剤中に含まれている劣化トナーを排出することなく画像形成条件を決定しているため、真に良好な画像形成を行っているとは言い難い。
【0013】
そして、特許文献2および特許文献3に開示されている技術では、画像情報に対応するドット数と像担持体の回転距離情報から印字率を算出して、閾値より印字率が低い場合に主走査帯状に作像してトナーリフレッシュを行っている。つまり、実際にはどの程度2成分現像剤中のトナーが劣化しているのかが不明なままトナーリフレッシュを行っている。そのため、ある場合にはトナーリフレッシュ量が足りずに良好な画像を得ることができないという問題が発生し、またあるときにはトナーリフレッシュ量が多すぎるため、必要以上にトナーを消費してしまうという等の問題が生じている。以上のように、転写画像の劣化を抑える手段として現像剤中の劣化トナーを排出することには種々の問題点がある。
【0014】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化をトナー排出を行うことなく抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、上記像担持体上に形成された潜像を顕像化して、該像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、上記像担持体と接触する位置に設けられ、複数の張架ローラによって張架されるベルト部材からなる中間転写体と、該中間転写体上の上記像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、上記像担持体のトナー像を上記中間転写体上に転写する一次転写手段と、上記中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、形成される画像の画像濃度が所定の画像濃度となるように画像形成条件を調整する制御を行う画像濃度制御手段と、を備えた画像形成装置において、上記塗布装置により上記中間転写体上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段と、上記中間転写体上にトナーパターンを形成するトナーパターン形成手段と、上記中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、上記トナーパターン検出手段によって上記トナーパターンから得られる複数の検出結果を用いて上記トナーの劣化度合いを定量的に算出する算出手段とを有し、上記算出手段による算出結果に応じて、上記潤滑剤量調整手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、潤滑剤供給装置は、少なくとも中間転写体の像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する塗布ローラと、該塗布ローラと当接して該塗布ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを備え、潤滑剤量調整手段は、上記塗布ローラに対する上記潤滑剤供給部の押圧力を調整する押圧力調整手段であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、像担持体上に形成したトナーパターンを中間転写体上に転写する際に設定される転写電流は、最適とされている転写電流よりも10から50%下げて設定することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置において、トナーパターン検出手段で中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出したときに出力される複数の出力結果のうち、それぞれの出力結果の最大値をReg_max、Dif_max、最小値をReg_min,Dif_minとすると、現像剤中の劣化トナーの度合いD_granは下式となることを特徴とするものである。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
α、β:予め求めておいた画像形成装置固有の転写特性の定数。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、二次転写手段は、二次転写ローラと、該二次転写ローラと中間転写体を介して対向する対向ローラとを備え、上記二次転写ローラまたは二次転写ローラの上記対向ローラに転写電流を印可することで中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写するものであって、上記トナー像を中間転写体上から上記記録媒体に転写する際に、転写効率を補正する補助的な手段として、トナーの劣化度合いの算出結果に基いて、上記二次転写手段の上記転写電流を変更する二次転写電流制御手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置において、トナーパターン検出手段は、中間転写体上に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通であることを特徴とするものである。
本発明は、トナーパターン検出手段によって、トナーパターンから得られる複数の検出結果を用い、算出手段によってトナーの劣化度合いを定量的に算出するので、実際の現像剤中の劣化トナーの状態を定量的に判定することができる。そして、劣化したトナーからなる像担持体上のトナー像の中間転写体上への一次転写効率は、潤滑剤塗布量を変化させることにより変化させることができる。そこで、算出された算出結果に応じて、中間転写体上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段を制御して潤滑剤塗布量を変化させ、中間転写体上のトナー像の記録媒体への一次転写効率を適切に制御することができる。このように制御することで、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、実際の現像剤中の劣化トナーの状態を定量的に判定することができ、その結果を基に潤滑剤塗布量を適切に変化させることで、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】同プリンタの画像形成部の概略構成を示した説明図。
【図3】本実施形態におけるトナー付着量検知センサに関わる制御図を示すブロック図。
【図4】黒トナーのトナー付着量を検知する光学式センサを示す説明図。
【図5】カラートナーのトナー付着量を検知する光学式センサを示す説明図。
【図6】トナー付着量と正反射光出力および拡散反射光出力の関係を示した説明図。
【図7】光学式センサで中間転写ベルトのトナーパターンを検知し、現像剤中のトナーの劣化度合いを検知する手順を示すフローチャート図。
【図8】現像剤中のトナーの劣化度合いとそれに対する潤滑剤塗布量を示すテーブル。
【図9】プロセスコントロールの手順を示すフローチャート図。
【図10】潤滑剤塗布量と転写効率の関係を示す説明図。
【図11】潤滑剤塗布装置における潤滑剤供給ユニットをその周囲構成とともに示す拡大構成図。
【図12】潤滑剤塗布ローラに対する潤滑剤の押圧力を弱めた状態の同潤滑剤供給ユニットを示す拡大構成図。
【図13】現像剤中の劣化トナーの度合いとぼそつきランクの関係を示した説明図。
【図14】本実施形態で、ぼそつきランク付けに用いた段階見本の画像例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。本プリンタは、図1に示すように、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト101に沿って画像形成部102Y(イエロー)、102M(マゼンダ)、102C(シアン)、102K(黒)が設けられている。また、各画像形成部102Y、102M、102C、102Kにより形成された各トナー像は、一次転写装置106Y、106M、106C、106K、により中間転写ベルト101上へ重ねられるように順次転写される。また、後述する中間転写ベルト上に転写されたトナー像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段としての画像検出装置110が中間転写ベルト101に対向して設けられている。中間転写ベルト101上のトナー像は2次転写装置111により記録材としての転写紙112へ転写される。また、中間転写ベルト上の転写残トナーなどをクリーニングするクリーニング手段としての中間転写ベルトクリーナ114と、クリーニング後の中間転写ベルト上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置115とを備えている。
【0020】
図2は、画像形成部102Y、102M、102C、102Kの概略構成を示した説明図である。ここで、各画像形成部102Y、102M、102C、102Kの構成は使用するトナーの色はことなるが、基本的には同様なものであるので、以下、各色に対応する符号を省略して、互いに区別することなく説明する。
【0021】
感光体202の周りには、感光体表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置201、書き込み光Lにより感光体表面に静電潜像を書き込む露光手段としての書込装置203、静電潜像をトナーによって現像する現像手段としての現像装置205、感光体上の転写残トナーなどをクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーナ200、及び感光体表面を除電する除電手段としてのイレーズ(除電装置)207、電位検知手段としての電位センサ210が設けられている。
【0022】
本実施形態の帯電装置201は、スコロトロンチャージャからなる非接触式帯電器であり、スコロトロンチャージャのグリット電圧(帯電バイアス)Vgを目標帯電電位(本実施形態ではマイナス電位)に設定することで、感光体202表面の電位をその目標帯電電位するものである。また、帯電装置201は、これに限らず、他の非接触式帯電器や、接触式帯電器を用いることも出来る。
【0023】
本実施形態の書込装置203は、光源としてレーザーダイオード(LD)を用い、断続的な書込み光すなわち繰り返しパルス状の書き込み光Lを照射することで、感光体表面上に1ドットごとの静電潜像(以下、1ドット静電潜像という)を形成する。本実施形態では、1ドット静電潜像を形成する際の露光時間(単位露光時間)を変更することで、1ドット静電潜像に付着するトナー付着量を制御して階調制御を行うことが可能となっている。本実施形態では、最大単位露光時間を15分割(それぞれの単位露光時間を以下「露光デューティ」という)して、16階調の階調制御が可能となっている。したがって、本実施形態では、露光デューティを0(露光しない)〜15(最大単位露光時間)の16段階で調整可能となっている。
【0024】
本実施形態の現像装置205は、感光体202表面に対向配置される現像剤担持体としての現像ローラを備えており、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を現像ローラ上に担持させて、感光体202表面にトナーを供給する。現像ローラには、絶対値が露光部電位VLよりも十分に大きくかつ帯電電位Vdよりも十分に小さい現像バイアスVbを印加されている。これにより感光体202表面と現像ローラとが対向する現像領域において、感光体表面上の静電潜像(露光部)に向けてトナーを移動させ、かつ、感光体202表面上の静電潜像(露光部)に向けてトナーを移動させ、かつ、感光体202表面上の非静電潜像(非露光部)にはトナーが移動しないような電界を形成でき、静電潜像をトナーで現像することが出来る。
【0025】
画像形成を行うときには、まず、感光体202の表面が一様に目標帯電電位(マイナス電位)となるように、帯電装置201により感光体202表面を帯電する。次に、帯電された感光体202の表面部分に対し、画像データに応じた書き込み光Lを書込装置203の光源(LD)から感光体202へ露光し、これにより感光体202表面の露光部の電位(絶対値)が下がることにより、感光体202の表面上に静電潜像が形成される。この後、感光体202の表面上に形成された静電潜像(本実施形態では露光部)は、現像装置205の現像剤担持体である現像ローラ上に担持されたトナーによってトナー像に現像される。具体的には、現像ローラに対し、絶対値が露光部電位VLよりも大きくかつ帯電電位Vdよりも小さい現像バイアスVbを印加して、所定極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電したトナーを静電的に静電潜像に付着させることにより現像する。
【0026】
感光体202上に形成されたトナー像は、一次転写装置106により中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101に転写されずに感光体202上に残った転写残トナーは感光体クリーナ200で回収される。また、中間転写ベルト101上にトナー像を転写した後の感光体表面は、イレーズ207により一様に除電光が照射されることにより、非静電潜像部分が除去されて、一様に除電された状態になる。
【0027】
このようにして各画像形成部102Y、102M、102C、102Kで形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト101上に互いに重なり合うように一次転写される。その後、中間転写ベルト101上に転写された各色トナー像を2次転写装置111により中間転写ベルト101から転写紙112へ転写される。このとき、転写紙112に転写されずに中間転写ベルト101上に残った転写残トナーは中間転写ベルトクリーナ114で回収される。中間転写ベルト101上の転写残トナーを回収後、潤滑剤塗布装置115により中間転写ベルト101上に潤滑剤を塗布し、中間転写ベルト表面の摩擦係数を一定に保つ。その後、図示しない定着装置によってトナー像が転写紙112に定着され一連の印刷プロセスが終了する。
【0028】
図3は本実施形態の複写機が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の複写機には、コンピュータ構成のメイン制御部41が備えられており、このメイン制御部41が各部を駆動制御する。メイン制御部41は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU(Central Processing Unit)42にバスライン45を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)44と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)43とが接続されて構成されている。
【0029】
メイン制御部41には、画像検出装置110が接続されており、画像検出装置110は各色のトナー付着量検出センサ及び色ずれ補正画像検知センサ311Y、311M、311C、311Kから構成されている。これらのセンサで検出した情報は、メイン制御部41に送り出される。また、メイン制御部41には図示しない帯電装置、書込装置、現像装置、電位センサも接続されている。
【0030】
メイン制御部41は、画像検出装置110で検知された中間転写ベルト上に形成されたトナー濃度に基づいて、現像装置の現像バイアス、光書き込みユニットの露光量(レーザーパワー・露光時間)、帯電装置の帯電バイアスなどを変更するプロセス条件変更手段としての機能を有している。
【0031】
次に、本実施形態におけるトナー付着量検知手段である光学式センサについて説明する。図4は、黒トナー付着量検出センサの構成を示す図であり、図5は、カラートナー付着量検出センサの構成を示す図である。
【0032】
図4に示すように、黒トナー付着量検出センサ311−1は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子311−1aと、正反射光を受光する受光素子311−1bとから構成されている。発光素子311−1aは中間転写ベルト101上に光を照射し、この照射光は中間転写ベルト101によって反射される。受光素子311−1bは、この反射光のうちの正反射光を受光する。
【0033】
一方、図5に示すように、カラートナー付着量検出センサ311−2は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子311−2aと、正反射光を受光する受光素子311−2bと、拡散反射光を受光する第2受光素子311−2cとから構成されている。発光素子311−2aは、黒トナー付着量検出センサ311−1の場合と同様、中間転写ベルト101上に光を照射し、この照射光は、中間転写ベルト101表面によって反射される。第1受光素子311−2bは、この反射光のうちの正反射光を受光し、第2受光素子311−2cは、反射光のうち拡散反射光を受光する。
【0034】
本実施形態では、発光素子311−1a、311−2aとして、発光される光のピーク波長λpが950nmであるGaAs赤外発光ダイオードを用いる。受光素子311−1b、311−2b、311−2cとしては、ピーク受光感度が800nmであるSiフォトトランジスタなどを用いる。
【0035】
また、黒トナー付着量検出センサ311−1及びカラートナー付着量検出センサ311−2と、検知対象物である中間転写ベルト101のベルト表面との間には、5mmの距離(検出距離)を設けて配設している。
【0036】
本実施形態では、トナー付着量検知センサ311−1、311−2を中間転写ベルト101近傍に設け、中間転写ベルト上のトナー付着量に基づいて、露光量、現像バイアスなどの作像条件を決定する。また、本実施形態では、中間転写ベルト101に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通とした構成としているが、別途設けるようにしてもよい。
【0037】
次に、適正な良好な画像品質を得るための作像条件変更方法(以後、プロセスコントロールと呼ぶ)について図9を用いて説明する。メイン制御部41は、感光体ドラム202や現像装置205の使用状態、環境変化が所定値以上となったら、プロセスコントロールモード実行する(S1)。メイン制御部41は、プロセスコントロールモードが実行されると、まず、トナー濃度検知手段たる画像検出装置110の出力値の調整を行う(S2)。
【0038】
前述したように画像検出装置110は、中間転写ベルト101に対向した位置にあり、各色に対応した、トナー付着量検出センサ及び色ずれ補正画像検知センサ311から構成されている。また、トナー付着量検知センサおよび色ずれ補正画像検知センサ311は、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子311−2a(311−1a)と、正反射光を受光する受光素子311−2b(311−1b)と、拡散反射光を受光する第2受光素子311−2cとから構成されている。
【0039】
受光素子311−2a(311−1a)は、感光体202上から一時転写され中間転写ベルト101上に形成された単位面積あたりのトナー付着量を横軸にとり、且つその出力電圧値を縦軸にとると、図6に示すように、トナー付着量の増加に従って正反射光出力は徐々に出力電圧値を小さくする特性を有し、拡散反射光出力は徐々に出力電圧値を大きくする線形特性を有する。ここで、図6は、マセンダのトナーについてのグラフを例示している。
【0040】
画像検出装置110の校正においては、中間転写ベルト101を基準板と見立て、LEDによる発光をONにした状態で中間転写ベルト101から反射した光を検知したときの受光素子の出力電圧値Vrefが、基準(ベース)電圧Vbaとなるように、LEDの発光量を調整する。基準電圧Vbaは、予めROM44に記憶されており、LEDの発光量は、LEDに流す電流Ifを調整することにより行う。
【0041】
画像検出装置110の出力値の調整を行ったら、次に、メイン制御部41は、ベタ画像を安定化させるプロセスコントロールを実行する(S3)。このベタ画像を安定化させるプロセスコントロールは、露光量(レーザーパワー)および帯電バイアスを固定して、現像バイアス電圧出力を多段階に変化させて、トナー付着量の異なる複数個のトナーパターン像を作像する。
【0042】
そして、画像検出装置110で検出したトナー付着量がそれぞれ目標値となるように現像バイアス電圧を調整する。
【0043】
ベタ画像の安定化が終わったら、次に、メイン制御部41は低階調についてのプロセスコントロールを実行し、画像形成プロセス条件たる露光量(レーザーパワー)を調整する(S4)。ベタ画像および低階調についての調整が終了したら、メイン制御部41はプロセスコントロールで設定した、帯電条件、現像バイアス条件、レーザーパワー条件をRAM43に保存し、プロセスコントロールを終了する。
【0044】
次に、本実施形態における、中間転写ベルト101上への潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段の一例として、潤滑剤塗布装置115に備えた潤滑剤塗布ローラ451と潤滑剤塗布ローラ451に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部との押圧力を調整する押圧力調整手段について図11を用いて説明する。図11は、潤滑剤塗布装置115における潤滑剤供給ユニット450をその周囲構成とともに示す拡大構成図である。
【0045】
同図において、潤滑剤塗布装置115の潤滑剤供給ユニット450は、潤滑剤塗布ローラ451、付勢コイルバネ453、カム軸454、カム455、保持体回動軸456と、潤滑剤塗布ローラ451への潤滑剤供給部である保持体452、潤滑剤457と、図示しないカムモータおよびカムモータ駆動制御部などを有している。そして、上述した潤滑剤塗布ローラ451は、図示しない支持体に回転自在に保持され、少なくとも潤滑剤を塗布する際には、図示していない駆動装置により駆動される。ここで、潤滑剤塗布ローラ451としては、スポンジローラやブラシローラ等の潤滑剤457との当接部分が変形し、潤滑剤を保持することができる周知なものを利用することができる。また、潤滑剤457としては、固形潤滑剤を用いている。
【0046】
潤滑剤供給ユニット450の保持体452は、その上部に設けられた保持体回動軸456を中心にした回動が可能になるように、図示しない支持体に支持されている。そして、保持体452の側方では、付勢コイルバネ53が上述した支持体に支持されながら、保持体452を中間転写ベルト101に向けて付勢している。
【0047】
この付勢により、保持体452に保持されている潤滑剤457が潤滑剤塗布ローラ451に向けて押圧され当接している。付勢コイルバネ453による保持体452の付勢方向は、図中一点鎖線で示す潤滑剤塗布ローラ451とニップ裏側張架ローラ446の回転中心とを結ぶ線と平行な方向としている。
【0048】
保持体452の近傍には、図示しないカムモータからの駆動力によってカム軸454を中心にして回動するカム455が配設されており、自らのカム面を保持体452の下部に突き当てている。この突き当てにより、付勢コイルバネ453によって中間転写ベルト101に向けて付勢される保持体452の付勢方向への移動が規制されている。
【0049】
図示しないカムモータが正転駆動したり逆転駆動したりすると、カム455がカム軸454を中心にして回動して、自らのカム面を保持体452により近づけたり遠ざけたりする。これにより、カム面と保持体452の下部との当接位置がプリンタ部に対して図中左右方向に移動して、保持体452が保持体回動軸456を中心にして図中反時計回り方向に少しだけ回転したり、図中時計回り方向に少しだけ回転したりする。
【0050】
このようにして保持体452が回転すると、潤滑剤457が潤滑剤塗布ローラ452に対して少しだけ遠ざかったり少しだけ近づいたりして、潤滑剤塗布ローラ452に対する潤滑剤457の押圧力が弱まったり強まったりする。即ち、本装置では、保持体452、付勢コイルバネ453、カム軸454、カム455、保持体回動軸456、図示しないカムモータおよびカムモータ駆動を制御する制御部などが、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整する押圧力調整手段として機能している。
【0051】
上記カムモータが所定の時間だけ正転駆動されると、図12に示すように、カム455がカム軸454を中心にして所定の角度だけ図中反時計回り方向に回転して、保持体452の下部を付勢コイルバネ453の付勢力に打ち勝って図中右側から左側へと押す。これにより、保持体452が保持体回動軸456を中心にして図中時計回り方向に所定の角度だけ回転して、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を少し弱める。
【0052】
この逆に、上記カムモータが逆転駆動されると、保持体452が保持体回動軸456を中心にして図中反時計回り方向に回転して、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力が強まる。
【0053】
このように押圧力調整手段により潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整することができる。そして、その押圧力を強めた場合には、潤滑剤塗布ローラ451により潤滑剤457から掻き取る潤滑剤量が増え中間転写ベルト101に塗布される潤滑材量を増やすことができる。また、押圧力を弱めた場合には、潤滑剤塗布ローラ451により潤滑剤457から掻き取る潤滑剤量が少なくなり中間転写ベルト101に塗布される潤滑材量を少なくすことができる。
【0054】
そして、本実施形態の中間転写ベルト101上に塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段としての押圧力調整手段は、後述する段階的に判断された潤滑剤塗布量に調整するため、メイン制御部41により潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を複数段階に制御されている。
【0055】
また、上述したように本実施形態では、潤滑剤量調整手段として潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整する押圧力調整手段を用いているが、これに限定されるものでない。例えば、潤滑剤塗布ローラ451への潤滑剤457の押圧力を一定とし、潤滑剤塗布ローラ451の単位時間当たりの回転数を調整することで、中間転写ベルト101上に塗布する潤滑剤の塗布量を調整してもよい。
【0056】
次に現像剤中のトナーの劣化度合いの検知と、検知した値からトナーの劣化度合の定量化と、定量化したトナーの劣化度合に基づく中間転写ベルト101への潤滑剤塗布量の決定までの流れについて図7を用いて説明する。
【0057】
ここで、検知した値からトナーの劣化度合の定量化を行なう後述する式は、本発明の発明者が、トナーが劣化するほど中間転写体へ転写がされずらくなり、中間転写体上に形成した検出用トナーパターンについて付着量を検出すると、その値のバラツキが大きくなることに着目して実験を重ね見出したものである。そして、トナーの劣化が進むほど、中間転写体上に形成した検出用トナーパターンについての付着量の値のバラツキが大きくなる理由は、現像剤が現像剤規制部材から受ける繰り返しストレスによって劣化してしまうと現像剤の帯電量も変動してしまいうためと考えられる。そして、トナーの劣化度合いが進むほど現像剤に含まれる帯電量が変動したトナーの量が多くなり、検出用トナーパターンについての付着量の値のバラツキが大きくなるためと考えられる。
【0058】
(ステップ1)
まず、メイン制御部41より現像剤中のトナーの劣化度合い検知の実行命令があった場合に転写電流を現在設定されている値から劣化トナー検知用の転写電流値に変更する。劣化トナー検知用の転写電流値は、使用するトナー、現像剤、および現像装置によって設定する値が異なるが、通常動作時に最適とされている転写電流の値よりも10から50%下げた値とする。また、転写条件以外の作像条件は、前述したプロセスコントロールにより決定されている。
【0059】
このように劣化トナー検知用の転写電流値に変更する理由としては、2点挙げられる。1点目は、転写電流を下げると、感光体202上のトナーの中間転写ベルト101上への転写効率は低下する。そして、転写余裕度も低下するため、帯電量が不安定な状態となっている劣化トナーは中間転写ベルト101上に転写されづらく、トナーバターンが不均一状態になりやすい。そのため、転写電流を下げた方がトナーパターンを画像検知手段110で検知したときに取得した値がばらつきやすく、トナー劣化度合いを検知する感度を高くできることができるためである。
【0060】
2点目は、転写電流を下げると、中間転写ベルト上に転写されるトナー量が減るため、中間転写ベルト101上ではトナー付着量が少ない状態になる。図6に示すように、中間転写ベルト上に転写されたトナー付着量0.2mg/cm2近傍と0.5mg/cm2近傍で正反射光出力と拡散反射光出力の特性を見ると、トナー付着量の少ない0.2mg/cm2近傍の方が正反射光出力のバラツキが大きいことが分かる(r1>r2)。一方、拡散反射光出力は、どちらのトナー付着量においてもほぼ同じバラツキであることが分かる(d1≒d2)。そのため、転写電流を下げ、中間転写ベルト101上のトナーの付着量を低くして正反射光出力、拡散反射光出力を取得した方が、正反射光出力のバラツキを大きくでき、トナー劣化度合いを検知する感度を高くできるためである。
【0061】
(ステップ2)
次に、感光体202上にトナーパターンを作成する。ここで、作成する基準トナーパターンの大きさは主走査方向が15mmで、副走査方向の大きさが39mmである。また、本実施形態ではトナーパターンとして、ソリッドなベタ書き込みのパターンを用いる。感光体202上に形成されたトナーパターンは、ステップ1にて設定した劣化トナー検知用の転写電流値で中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101上に転写されたトナーパターンは、画像検知手段110によって検知される。このトナーパターンを検知するとき、サンプリング時間の間隔は4msecとし、中間転写ベルト101の反射ムラの影響を受けないようにするため少なくとも100ポイント以上サンプリングし、5点移動平均値を求める。
【0062】
画像検知手段110には正反射受光素子311−2bおよび拡散反射光受光素子311−2cを備えているので、それぞれの受光素子からの出力を得られる。ここでは、正反射光受光素子からの出力をReg(n)、拡散反射光受光素子からの出力をDif(n)とする。仮に、100ポイントサンプリングし、5点移動平均値を求めたとすると、下記に示すような2つのデータセットが得られる。
正反射光出力データ:Reg(1)、Reg(2)、・・・、Reg(20)
拡散反射光出力データ:Dif(1)、Dif(2)、・・・、Dif(20)
【0063】
(ステップ3)
そこで、正反射光出力データおよび拡散反射光出力データからから最大値と最小値を選択し、それぞれをRAMに記録する。この最大値、最小値をそれぞれReg_max、Dif_max、Dif_min、Dif_minと呼ぶ。
【0064】
(ステップ4)
そして、Reg_max、Dif_max、Dif_min、Dif_minが取得できたら、これらの値から現像剤中の劣化トナー度合いD_Gran を算出する。上述したように、トナーの劣化度合いが高い程、トナーパターンを検出した正反射光出力データReg(n)と拡散反射光出力データDif(n)のバラツキは大きくなる傾向にあるので、算出式は下記の式で定量化することができる。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
ここでα、βは、実験的に求める値である。
そして、基本的にα≒1であり、βは、付着量と拡散反射光出力の関係の一次近似式の傾きslope(dif)とすると、算出式はβ=1/slope(dif)となる。
また、図6のマセンダのトナーについてのグラフの付着量と拡散反射光出力の関係の一次近似式は以下のようになり、βの値は2.4718となる。
y=2.4718x+0.1104
【0065】
(ステップ5)
現像剤中のトナーの劣化に応じた中間転写ベルト101上への各色ごとの(4種類の)潤滑剤塗布量を、劣化トナー度合いD_Granの値から、図8の表に記載の条件で段階的に判断する。図8はD_Granの値に応じた潤滑剤塗布量を示す表である。ここで図8中のA、B、Cは予め求めておいた画像形成装置固有の劣化トナー判定定数であり、C>B>Aとする。また、STD1はトナーが負荷を受けていない状態での最適な潤滑剤塗布量を示す。
【0066】
上述したようにして求められた各色ごとの(4種類の)潤滑剤塗布量の中で、最も多い潤滑剤塗布量の値を中間転写ベルト101への潤滑剤塗布量として決定する。そして、このようにして決定した潤滑剤塗布量に、上述した潤滑剤塗布量の可変機構を用いて調整し、実際の画像形成動作を行うことで、現像剤中のトナーが劣化することに起因する、トナー像の転写効率の低下を適切に補正できる。このようにして、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
【0067】
次に本実施形態で行ったA、B、Cを求める実験に使用した構成を以下に示す。実験機はImagio ProC900で、紙種はNBSリコー製Type6200を使用した。これらの実験機、評価用紙を用いて実験機の環境条件(温度・湿度10℃・15%、23℃・50%、27℃・80%)や、現像剤の劣化状態(新品状態、10分攪拌状態、60分攪拌状態)を変化させ、そのときのD_Granおよび2by2画像のぼそつきランク付けを行った。ぼそつきランク付けとは段階見本にて目視評価を行うものである。その結果を示したものが図13である。このとき、ぼそつきランクがランク4となるときのD_Granの値をA、ランク3となるときのD_Granの値をB、ランク2となるときのD_Granの値をCとした。
【0068】
ここで、今回行った2by2画像のぼそつきランク付けについて簡単に説明しておく。2by2画像とは、縦横2ドットの大きさのドットパターンをタイル状に印字する画像である。この画像において、ハーフトーンの均一性よりぼそつきを評価できる。評価方法は、段階見本と比較し、どのレベルであるのかを目視にて判断する。図14に、ぼそつきランク付けに用いた段階見本の画像例を示す。この見本において、ランク4以上を問題なしとし、ランク3以下を問題ありと判断している。また、図14の段階見本の画像例は、各ランクごと違いを分かりやすく示すため、黒のトナーについてのグラフを例示している。
【0069】
また、劣化状態に応じて潤滑剤塗布量を変化させる理由について、図10を用いて説明する。図10はマセンダのトナーについての潤滑剤塗布量と転写効率の関係を示す図である。ここで、図中のグラフ(ア)は劣化していない状態のトナーを示し、グラフ(イ)は現像装置内で10分間の攪拌により負荷を受けたトナー、グラフ(ウ)は現像装置内で60分の攪拌により負荷を受けたトナーを示している。転写効率は、潤滑剤塗布量を増加させるにつれて増大し、ある値で転写効率のピークを示す。しかし、その値から潤滑剤塗布量を増加させても転写効率はほぼ一定になってしまう。また、トナーが負荷を受けると、その程度によって転写効率の最大値が低下し、転写効率を最大にする潤滑剤塗布量が増加するためである。
【0070】
そして、潤滑剤塗布量を予め多めにしておいた場合には、潤滑剤の消費量が増大し、交換周期が早まるためコストの面から不利となるため、潤滑剤塗布量は転写効率によって増減させた方が良い。
【0071】
また、図10では感光体202の単位走行距離に対する潤滑剤塗布量を記載している。ここで、感光体202の走行距離とは、感光体202が回転を開始してから停止するまでの時間と、回転速度を乗算した値から算出する。感光体202が回転している時間と、潤滑剤塗布ローラ452が駆動している時間は等いため、単位としてはg/mとなっている。
【0072】
また、本実施形態では、潤滑剤塗布量の調整を、図8に示すように基準塗布量を含め4段階としたが、これに限定されるものではなく、本発明を適用する画像形成装置の使用目的等に応じてより多い段階、または少ない段階としてもよい。
【0073】
さらに、段階的な潤滑剤塗布量の調整に加え、トナー像が中間転写ベルト101から転写紙112に転写される際に、補助的な手段として、二次転写手段に備えられた二次転写ローラまたは二次転写ローラの対向ローラに印可される転写電流を変更してもよい。このように構成することで、中間転写ベルト101上のトナー像の二次転写効率を制御でき、より細やかな一次転写と二次転写とを含めた転写効率の制御を可能とすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、画像検知手段110により、トナーパターンから得られる複数の検出結果を用い、算出手段によってトナーの劣化度合いを定量的に算出するので、実際の現像剤中の劣化トナーの状態を定量的に判定することができる。そして、劣化したトナーからなる感光体202上のトナー像の中間転写ベルト101への一次転写効率は、潤滑剤塗布量を変化させることにより制御することができる。そこで、算出した算出結果に応じて、中間転写体101上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段を制御して潤滑剤塗布量を変化させ、感光体202上のトナー像の中間転写ベルト101への一次転写効率を適切に制御することができる。よって、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写紙112に転写される転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
また、本実施形態では、潤滑剤量調整手段として、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力を調整する押圧力調整手段をもちいるので、算出した算出結果に応じて、潤滑剤塗布ローラ451に対する潤滑剤457の押圧力をこの押圧力調整手段を制御することで潤滑剤塗布量を変化させ、感光体202上のトナー像の中間転写ベルト101への一次転写効率を適切に制御することができる。よって、現像剤中のトナーが劣化することに起因する転写紙112に転写される転写画像の劣化を、劣化トナーの排出を行うことなく抑えることができる。
また、本実施形態では、感光体202上に形成したトナーパターンを中間転写ベルト101上に転写する際に設定される転写電流を、最適とされている転写電流よりも10から50%下げて設定することで、トナー劣化度合いを検知する感度を高くすることができ、劣化トナーの状態をより適切に判断することができる。
また、本実施形態では、画像検知手段110で中間転写ベルト101上に形成されたトナーパターンを検出したときに出力される複数の出力結果のうち、それぞれの出力結果の最大値をReg_max、Dif_max、最小値をReg_min,Dif_minとし、現像剤中の劣化トナーの度合いD_granは下式とすることで、トナーの劣化度合いを定量的に算出するすることができる。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
α、β:予め求めておいた画像形成装置固有の転写特性の定数。
また、本実施形態では、トナー像が中間転写ベルト101から転写紙112に転写される際に、トナー像が中間転写ベルト101から転写紙112に転写される際に、転写効率を補正する補助的な手段として、トナーの劣化度合いの算出結果に基いて、二次転写ローラまたは二次転写ローラの対向ローラに印可される転写電流を変更する二次転写電流制御手段を備えている。このような構成とすることで、中間転写ベルト101上のトナー像の二次転写効率を制御でき、より細やかな一次転写と二次転写とを含めた転写効率の制御を可能とすることができる。
また、本実施形態では、画像検知手段110は、中間転写ベルト101に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通であるので、別途検出手段を設ける必要がなく、低コストで本発明の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
41 メイン制御部
101 中間転写ベルト
102Y、102M、102C、102K 画像形成部
110 画像検出装置
112 記録材としての転写紙
113 濃度パッチ
114 中間転写ベルトクリーナ
115 潤滑剤塗布装置
201 帯電装置
202 感光体
203 書込装置
205 現像装置
311 光学式センサ
311−1 黒トナー用の付着量検出センサ
311−2 カラートナー用の付着量検出センサ
450 潤滑剤供給ユニット
451 潤滑剤塗布ローラ
452 潤滑剤供給ユニットの保持体
455 潤滑剤供給ユニットに設けたカム
457 潤滑剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開平10‐083115号公報
【特許文献2】特開2006‐171788号公報
【特許文献3】特開2004‐125829号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
上記像担持体上に形成された潜像を顕像化して、該像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、
上記像担持体と接触する位置に設けられ、複数の張架ローラによって張架されるベルト部材からなる中間転写体と、
該中間転写体上の上記像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、
上記像担持体のトナー像を上記中間転写体上に転写する一次転写手段と、
上記中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
形成される画像の画像濃度が所定の画像濃度となるように画像形成条件を調整する制御を行う画像濃度制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
上記塗布装置により上記中間転写体上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段と、
上記中間転写体上にトナーパターンを形成するトナーパターン形成手段と、
上記中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、
上記トナーパターン検出手段によって上記トナーパターンから得られる複数の検出結果を用いて上記トナーの劣化度合いを定量的に算出する算出手段とを有し、
上記算出手段による算出結果に応じて、上記潤滑剤量調整手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
潤滑剤供給装置は、少なくとも中間転写体の像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する塗布ローラと、該塗布ローラと当接して該塗布ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを備え、
潤滑剤量調整手段は、上記塗布ローラに対する上記潤滑剤供給部の押圧力を調整する押圧力調整手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
像担持体上に形成したトナーパターンを中間転写体上に転写する際に設定される転写電流は、最適とされている転写電流よりも10から50%下げて設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置において、
トナーパターン検出手段で中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出したときに出力される複数の出力結果のうち、それぞれの出力結果の最大値をReg_max、Dif_max、最小値をReg_min,Dif_minとすると、
現像剤中の劣化トナーの度合いD_granは下式となることを特徴とする画像形成装置。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
α、β:予め求めておいた画像形成装置固有の転写特性の定数。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、
二次転写手段は、二次転写ローラと、該二次転写ローラと中間転写体を介して対向する対向ローラとを備え、上記二次転写ローラまたは二次転写ローラの上記対向ローラに転写電流を印可することで中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写するものであって、
上記トナー像を中間転写体上から上記記録媒体に転写する際に、転写効率を補正する補助的な手段として、トナーの劣化度合いの算出結果に基いて、上記二次転写手段の上記転写電流を変更する二次転写電流制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置において、
トナーパターン検出手段は、中間転写体上に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
上記像担持体上に形成された潜像を顕像化して、該像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、
上記像担持体と接触する位置に設けられ、複数の張架ローラによって張架されるベルト部材からなる中間転写体と、
該中間転写体上の上記像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、
上記像担持体のトナー像を上記中間転写体上に転写する一次転写手段と、
上記中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、
形成される画像の画像濃度が所定の画像濃度となるように画像形成条件を調整する制御を行う画像濃度制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
上記塗布装置により上記中間転写体上へ塗布する潤滑剤の塗布量を調整する潤滑剤量調整手段と、
上記中間転写体上にトナーパターンを形成するトナーパターン形成手段と、
上記中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、
上記トナーパターン検出手段によって上記トナーパターンから得られる複数の検出結果を用いて上記トナーの劣化度合いを定量的に算出する算出手段とを有し、
上記算出手段による算出結果に応じて、上記潤滑剤量調整手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
潤滑剤供給装置は、少なくとも中間転写体の像担持体と対向する側の面に潤滑剤を塗布する塗布ローラと、該塗布ローラと当接して該塗布ローラに潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを備え、
潤滑剤量調整手段は、上記塗布ローラに対する上記潤滑剤供給部の押圧力を調整する押圧力調整手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
像担持体上に形成したトナーパターンを中間転写体上に転写する際に設定される転写電流は、最適とされている転写電流よりも10から50%下げて設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置において、
トナーパターン検出手段で中間転写体上に形成されたトナーパターンを検出したときに出力される複数の出力結果のうち、それぞれの出力結果の最大値をReg_max、Dif_max、最小値をReg_min,Dif_minとすると、
現像剤中の劣化トナーの度合いD_granは下式となることを特徴とする画像形成装置。
D_Gran=α*(Reg_max−Reg_min)+β*(Dif_max−Dif_min)
α、β:予め求めておいた画像形成装置固有の転写特性の定数。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、
二次転写手段は、二次転写ローラと、該二次転写ローラと中間転写体を介して対向する対向ローラとを備え、上記二次転写ローラまたは二次転写ローラの上記対向ローラに転写電流を印可することで中間転写体上のトナー像を記録媒体上に転写するものであって、
上記トナー像を中間転写体上から上記記録媒体に転写する際に、転写効率を補正する補助的な手段として、トナーの劣化度合いの算出結果に基いて、上記二次転写手段の上記転写電流を変更する二次転写電流制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置において、
トナーパターン検出手段は、中間転写体上に形成されたトナー像の光学特性を検出する手段と共通であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−191709(P2011−191709A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60016(P2010−60016)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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