説明

画像形成装置

【課題】テストパターン印刷に用いる用紙の再利用を促して用紙の消費を節約すると共に用紙を再利用する際のユーザーの作業負担を軽減する。
【解決手段】ユーザーからの指示によりノズルチェックパターン印刷が実行すると(S120)、その印刷位置を記憶し(S130)、印刷済み用紙を排紙直前の位置まで搬送してクリーニング指示を受け付け(S150,S160)、クリーニング指示がなされた場合にはクリーニングを実行してノズルチェックパターンの再印刷指示を受け付け(S170,S180)、再印刷が指示された場合には記憶した印刷位置に基づいて印刷済み用紙を引き戻して(S200)、ノズルチェックパターンの再印刷を実行する(S120)。これにより、ユーザーは同じ用紙にノズルチェックパターン印刷を複数回に亘って実行する場合でも、その度に用紙を給紙トレイにセットし直す必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を媒体に形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、印刷状態を確認するためのテストパターンを印刷する際にテストパターンに隣接してマーク(目印)を印刷しておき、次にテストパターンを印刷する場合には印刷済み用紙に記録したマークを光センサーなどの読み取りセンサーによって読み取ることにより印刷済み用紙に余白があるか否かを判定し、余白があると判定した場合にはその余白部分にテストパターンを再印刷するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、テストパターンを印刷する際に印刷位置情報を記憶しておき、次にテストパターンを印刷する場合には前回印刷したテストパターンの印刷位置情報に基づいて空き領域を判定し、空き領域があると判定した場合にはその空き領域から印刷開始位置を決定してテストパターンの再印刷を行なうものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182053号公報
【特許文献2】特開2007−283604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の装置では、余白部分を検出するための専用のセンサーが必要となり、装置が大型化すると共にコスト面でも不利となる。また、上述した2つの装置は、いずれも、テストパターンが印刷された印刷済み用紙を一旦排紙するため、テストパターンを再度印刷する場合にはその都度印刷済み用紙を給紙トレイにセットし直さなければならない。例えば、印刷ヘッドのノズルに目詰まりがないかを検査するためにノズルチェックパターンを印刷した場合を考えると、ノズルの目詰まりが確認されたときには、通常、ノズルクリーニングを実行し、このノズルクリーニングによりノズルの目詰まりが解消されたかを確認するためにノズルチェックパターンを再印刷することが行なわれるから、再印刷の度に用紙を向きに注意して給紙トレイにセットしなければならず、ユーザーに対して煩わしい作業負担を課すものとなる。
【0006】
本発明の画像形成装置は、テストパターンの形成に用いる媒体の再利用を促して媒体の消費を節約できるようにすると共に媒体を再利用する際のユーザーの作業負担を軽減することを主目的とする。
【0007】
本発明の画像形成装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、
画像を媒体に形成する画像形成装置であって、
前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記媒体を供給端から排出端まで正逆両方向に搬送が可能な搬送手段と、
装置の状態を検査するためのテストパターンの形成が要求された場合には、前記供給端にセットされた媒体が前記吐出ヘッドに対向する位置まで搬送されるよう前記搬送手段を制御すると共に該媒体にテストパターンが形成されるよう前記吐出ヘッドを制御し、該媒体にテストパターンが形成された後に前記排出端よりも手前で且つユーザーが前記媒体に形成されたテストパターンを視認可能な所定位置まで該媒体が搬送されるよう前記搬送手段を制御し、前記媒体が前記所定位置まで搬送された後に前記媒体の排出の要求か前記テストパターンの再形成の要求かのいずれかを受け付け、前記媒体の排出が要求された場合には該媒体が前記排出端まで搬送されるよう前記搬送手段を制御し、前記テストパターンの再形成が要求された場合には前記媒体に既に形成されているテストパターンの領域とは異なる空き領域が前記吐出ヘッドに対向する位置となるまで該媒体が引き戻されるよう前記搬送手段を制御すると共に該引き戻した後に該媒体にテストパターンが再形成されるよう前記吐出ヘッドを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0009】
この本発明の画像形成装置では、装置の状態を検査するためのテストパターンの形成が要求された場合には、供給端にセットされた媒体が吐出ヘッドに対向する位置まで搬送されるよう搬送手段を制御すると共に媒体にテストパターンが形成されるよう吐出ヘッドを制御し、媒体にテストパターンが形成された後に排出端よりも手前で且つユーザーが媒体に形成されたテストパターンを視認可能な所定位置まで媒体が搬送されるよう搬送手段を制御し、媒体が所定位置まで搬送された後に媒体の排出の要求かテストパターンの再形成の要求かのいずれかを受け付け、媒体の排出が要求された場合には媒体が排出端まで搬送されるよう搬送手段を制御し、テストパターンの再形成が要求された場合には媒体に既に形成されているテストパターンの領域とは異なる空き領域が吐出ヘッドに対向する位置となるまで媒体が引き戻されるよう搬送手段を制御すると共に引き戻した後に媒体にテストパターンが再形成されるよう吐出ヘッドを制御する。これにより、テストパターンの形成に用いる媒体の再利用を促して媒体の消費を節約することができる。また、テストパターンの形成済みの媒体を引き戻して再度テストパターンを形成できるようにするから、ユーザーはテストパターンを形成する度に媒体を供給端にセットする必要がなく、媒体を再利用する際のユーザーの作業負担を軽減することができる。
【0010】
こうした本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記テストパターンの形成に伴って該パターンの形成位置を記憶し、前記テストパターンの再形成が要求された場合には前記記憶された形成位置に基づいて前記媒体の空き領域が前記吐出ヘッドに対向する位置となるまで該媒体が引き戻されるよう前記搬送手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に媒体の空き領域にテストパターンを再形成することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置において、装置をメンテナンスするメンテナンス手段を備え、前記制御手段は、前記媒体が前記所定位置まで搬送された後に前記メンテナンスの要否を受け付け、前記メンテナンスが要求された場合には該メンテナンスが実行されるよう前記メンテナンス手段を制御し、該メンテナンスが実行された後に前記媒体の排出の要求か前記テストパターンの再形成の要求かのいずれかを受け付けて制御する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の画像形成装置において、前記テストパターンは、前記吐出ヘッドが有するノズルの状態を検査するためのパターンであり、前記メンテナンス手段は、前記ノズルをクリーニングするクリーニング手段であるものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のインクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図。
【図2】紙送り機構41の構成の概略を示す構成図。
【図3】キャッピング装置50の構成の概略を示す構成図。
【図4】ノズルチェックパターン印刷時処理の一例を示すフローチャート。
【図5】ノズルチェックパターン印刷時における用紙Pの搬送の様子。
【図6】搬送後の印刷済み用紙Pの一例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態としてのインクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図であり、図2は紙送り機構41の構成の概略を示す構成図であり、図3はキャッピング装置50の構成の概略を示す構成図である。
【0014】
本実施形態のインクジェットプリンター20は、図1に示すように、用紙Pを図中奥から手前に搬送する紙送り機構41と、紙送り機構41によりプラテン38上に搬送された用紙Pに印刷ヘッド24に形成されたノズル23からインク滴を吐出して印刷を行なうプリンター機構21と、プラテン38の印字領域よりも右寄りの右端付近に配置され印刷ヘッド24のノズル23が形成された面(以下、ノズル形成面という)を封止すると共に必要に応じてノズル23内のインクを吸引するインク吸引動作により印刷ヘッド24をクリーニングするキャッピング装置50と、装置全体をコントロールするコントローラー60と、を備える。
【0015】
プリンター機構21は、図1に示すように、キャリッジベルト32に取り付けられキャリッジモーター34により駆動されてガイド28に沿って左右方向(主走査方向)に往復動するキャリッジ22と、キャリッジ22に搭載されシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の各色のインクを貯留すると共に個別に交換可能なインクカートリッジ26C,26M,26Y,26Kと、インクカートリッジ26C,26M,26Y,26Kからそれぞれ供給された各インクに加圧してインク滴を吐出する複数のノズル23が形成された印刷ヘッド24とを備える。なお、印刷ヘッド24は、圧電素子に電圧を印加することによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用することができる他、発熱抵抗体(例えばヒーターなど)に電圧を印加することによりインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用することもできる。
【0016】
紙送り機構41は、図1または図2に示すように、用紙Pの供給端である給紙トレイ42にセットされた用紙Pを給紙する給紙ローラー44と、給紙ローラー44により給紙された用紙Pを印刷ヘッド22に対向する位置に搬送する搬送ローラー45と、用紙Pを排出端である排紙トレイ43に排紙する排紙ローラー46と、給紙ローラー44や搬送ローラー45,排紙ローラー46を回転駆動する搬送モーター48とを備える。搬送モーター48は、その回転軸に回転角を検出するロータリーエンコーダー49が取り付けられており、ロータリーエンコーダー49からの回転量に基づいて駆動制御されている。なお、ロータリーエンコーダー49は、図示しないが、所定回転角間隔で目盛りが形成されたロータリースケールと、ロータリースケールの目盛りを読み取るためのロータリースケールセンサとにより構成されている。
【0017】
キャッピング装置50は、印刷ヘッド24をキャッピング装置50に対向する位置(いわゆるホームポジション)に移動させた状態でノズル形成面を封止することによりノズル23内のインクの乾燥を防止したり、ノズル形成面を封止した状態でノズル23内のインクを吸引することにより印刷ヘッド24をクリーニングするための装置として構成されており、図3に示すように、上方に開口した略直方体のキャップ52と、キャップ52の底部に接続された伸縮性のチューブ53に取り付けられた吸引ポンプ54と、キャップ52の底部に接続された伸縮性のチューブ55に取り付けられた大気開放バルブ56と、キャップ52を昇降させるための図示しない昇降機構と、を備える。印刷ヘッド24のクリーニングは、印刷ヘッド24をホームポジションに移動させ、この状態で図示しない昇降機構によりキャップ52を上昇させて印刷ヘッド24のノズル形成面を密閉し、ノズル形成面を密閉した後に大気開放バルブ56を閉成すると共に吸引ポンプ54を駆動することにより行なわれる。これにより、印刷ヘッド24とキャップ52とにより形成される密閉空間は負圧となり、ノズル23内のインクは強制的に吸引されるため、印刷ヘッド24のノズル23内のインクの粘度をその吐出に適した良好な状態に保持することができる。なお、吸引ポンプ54の吐出口には、チューブを介して図示しない廃液タンクに接続されており、吸引ポンプ54により吸引されたインクは廃液タンクに排出されるようになっている。
【0018】
コントローラー60は、CPU61を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM62と、一時的にデータを記憶するRAM63と、書き換え可能で電源を切ってもデータは保持されるフラッシュメモリー64と、インターフェース(I/F)65と、を備える。このコントローラー60には、フレーム58にガイド28に沿って配置された光学スケール36aとキャリッジ22の背面に取り付けられて光学スケール36aを光学的に読み取る光学センサー36bとにより構成されキャリッジ22の主走査方向における位置を検出するキャリッジポジションセンサー36からのキャリッジポジションや、ロータリーエンコーダー49からの搬送ローラー45の回転量などがI/F65を介して入力されており、コントローラー60からは印刷ヘッド24への駆動信号や搬送モーター48への駆動信号,キャリッジモーター34への駆動信号,吸引ポンプ54への駆動信号,大気開放バルブ56の開閉信号などがI/F65を介して出力されている。また、コントローラー60は、ユーザーPC10からの印刷ジョブをI/F65を介して受け付けたり、ユーザーPC10とステータスデータのやり取りも行なう。なお、RAM63には、印刷バッファー領域が設けられており、ユーザーPC10から印刷データが受け付けられると、受け付けた印刷データは印刷バッファー領域に記憶される。
【0019】
こうして構成された実施例のインクジェットプリンター20では、ユーザーPC10から印刷ジョブを受け付けると、RAM63の印刷バッファーから印刷データ(画像データ)を読み出し、読み出した印刷データに基づいてプリンター機構21と紙送り機構41とを制御することにより画像を用紙に印刷する通常の印刷モードの他に、ユーザーPC10からの指示により印刷ヘッド24の全ノズル23からインクを吐出して用紙にノズルチェックパターンを印刷するノズルチェックパターン印刷モードにも対応している。ユーザーは、用紙に印刷されたノズルチェックパターンを目視することにより、ノズル23に目詰まりが生じていないかを確認する。
【0020】
次に、こうして構成された実施例のインクジェットプリンター20の動作、特に、ノズルチェックパターン印刷モード時の動作について説明する。図4は、コントローラー60のCPU61により実行されるノズルチェックパターン印刷時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーPC10からノズルチェックパターン印刷モードが指示されたときに実行される。以下、図4のノズルチェックパターン印刷時処理ルーチンを、図5に示すノズルチェックパターン印刷時における用紙Pの搬送の様子を参照しながら説明する。
【0021】
ノズルチェックパターン印刷時処理ルーチンが実行されると、コントローラー60のCPU61は、まず、給紙トレイ42への用紙Pのセットを要求する画面をユーザーPC10に出力させ(ステップS100)、用紙Pが給紙トレイ42にセットされたときに給紙が開始されるよう搬送モーター48を駆動制御する(ステップS110,図5(a)参照)。続いて、給紙された用紙Pにノズルチェックパターンが印刷されるよう印刷ヘッド24とキャリッジモーター34とを駆動制御し(ステップS120,図5(b)参照)、今回ノズルチェックパターンを印刷した位置(印刷位置)を算出してRAM63に記憶する(ステップS130)。ここで、印刷位置は、例えば、給紙開始時における搬送ローラー45の回転量を基準としてノズルチェックパターン印刷が完了するまでの搬送ローラー45の回転量を積算することにより算出することができる。なお、搬送ローラー45の回転量は、前述したロータリーエンコーダー49からの信号に基づいて検出することができる。
【0022】
ノズルチェックパターン印刷が完了すると、今回ノズルチェックパターンを印刷した印刷済みの用紙Pに再度ノズルチェックパターン印刷を行なうための空き領域があるか否かを判定する(ステップS140)。ここで、空き領域があるか否かの判定は、例えば、用紙Pにノズルチェックパターンの最大印刷回数を定めておくものとすれば、同じ用紙Pに対してノズルチェックパターン印刷が行なわれる度に印刷回数をカウントすると共にカウントした印刷回数と最大印刷回数とを比較することにより判定することができる。空き領域があると判定されると、印刷済みの用紙Pが排紙トレイ43に到達する直前の位置まで搬送されるよう搬送モーター48を駆動制御する(ステップS150,図5(c)参照)。図6に、搬送後の印刷済み用紙Pの一例を示す。図6に示すように、ノズルチェックパターン印刷が完了すると、用紙Pは完全に排紙されないが、排紙直前の位置まで搬送することにより、ユーザーは用紙Pに印刷されたノズルチェックパターンを目視により確認することができる。なお、ノズルチェックパターンは、図6に示すように、矩形領域に多数のラインを印刷することにより構成され、全ラインが欠けることなく印刷されている場合にはノズル23に目詰まりが発生していないと判断され、ラインに欠けが生じている場合にはノズル23の目詰まりが発生していると判断される。なお、本実施形態では、図6に示すように、ノズルチェックパターンの印刷と共に「ドット抜けがなければ排紙して下さい。」などのメッセージを印刷するものとした。
【0023】
印刷済み用紙Pを搬送すると、クリーニング指示を受け付ける(ステップS160)。通常、ノズルチェックパターンを目視してパターンを構成するラインに欠けがありノズル23に目詰まりが確認された場合にはクリーニングが指示され、ラインに欠けがなくノズル23に目詰まりが確認されなかった場合にはクリーニングは指示されない。クリーニング指示がなされた場合にはキャッピング装置50により印刷ヘッド24のノズル形成面を封止して吸引ポンプ54によりインクを吸引するクリーニング処理を実行し(ステップS170)、クリーニングの効果を確認するためのノズルチェックパターンの再印刷指示を受け付ける(ステップS180)。ノズルチェックパターンの再印刷が指示された場合には、ステップS130で記憶した印刷位置に基づいて印刷済み用紙Pが引き戻されるよう搬送モーター48を駆動制御する(ステップS200,図5(d)参照)。ここで、用紙Pの引き戻しは、具体的には、前回にノズルチェックパターンを印刷した印刷位置から搬送方向におけるノズルチェックパターン1個分の長さだけ排紙の方向にズラした位置が次の印刷位置となるよう搬送モーター48を駆動制御することにより行なわれる。
【0024】
印刷済み用紙Pが引き戻されると、印刷済み用紙Pの空き領域にノズルチェックパターンが再印刷がされるよう印刷ヘッド24とキャリッジモーター34とを駆動制御すると共に(ステップS120,図5(e)参照)、今回の印刷位置を算出して記憶し(ステップS130)、印刷済み用紙Pに更に空き領域がある場合には(ステップS140)、印刷済み用紙Pを排紙直前の位置まで搬送してクリーニング指示やノズルチェックパターンの再印刷指示を受け付ける(ステップS160〜S180)。ステップS160でクリーニングが指示されなかった場合やステップS180でノズルチェックパターンの再印刷が指示されなかった場合には、排紙が指示されたと判断し、印刷済み用紙Pが排紙トレイ43に排紙されるよう搬送モーター48を駆動制御して(ステップS190,図5(f)参照)、本ルーチンを終了する。
【0025】
ステップS140で印刷済み用紙Pに再度ノズルチェックパターン印刷を行なうための空き領域がないと判定された場合には、印刷済み用紙Pを排紙トレイ43に排紙し(ステップS210)、排紙した後にクリーニング指示がなされた場合には、前述したクリーニング処理を実行して(ステップS230)、ノズルチェックパターンの再印刷指示を受け付け(ステップS240)、再印刷が指示されたときにはステップS100に戻る。ステップS220でクリーニング指示がなされなかった場合やステップS240でノズルチェックパターンの再印刷指示がなされなかった場合にはこれで本ルーチンを終了する。
【0026】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷ヘッド24が本発明の「吐出ヘッド」に相当し、紙送り機構41が「搬送手段」に相当し、コントローラー60が「制御手段」に相当する。
【0027】
以上説明した本実施形態のインクジェットプリンター20によれば、ユーザーからの指示によりノズルチェックパターン印刷が実行された場合には、その印刷位置を記憶し、印刷済み用紙Pを排紙直前の位置まで搬送してクリーニング指示を受け付け、クリーニング指示がなされた場合にはクリーニングを実行してノズルチェックパターンの再印刷指示を受け付け、再印刷が指示された場合には記憶した印刷位置に基づいて印刷済み用紙Pを引き戻してノズルチェックパターンの再印刷を実行するから、ユーザーは同じ用紙Pにノズルチェックパターン印刷を複数回に亘って実行するものとしても、その度に用紙を給紙トレイ42にセットし直す必要がない。この結果、ノズルチェックパターン印刷に用いる用紙Pの再利用を促して用紙Pの消費を節約することができると共に用紙Pを再利用する際のユーザーの作業負担を軽減することができる。
【0028】
上述した実施形態では、印刷済みの用紙Pを排紙直前の位置まで搬送するものとしたが、搬送ローラー44や排紙ローラー45で用紙Pを引き戻すことができる範囲内で且つ印刷したノズルチェックパターンをユーザーが視認可能な範囲内であれば、印刷済み用紙Pの搬送量は如何なる量としてもよい。ここで、ノズルチェックパターン印刷後の用紙Pの搬送はユーザーが視認可能な範囲内で行なう必要があるから、印刷済み用紙Pにはノズルチェックパターンを印刷するための空き領域(余白)が存在するが、その余白にノズルチェックパターンを印刷すると、完全に排紙することなしにユーザーが視認可能な位置まで搬送することができない場合が生じる。したがって、ステップS140の処理では、こうした場合を考慮して、最大印刷回数を設定することが望ましい。
【0029】
上述した実施形態では、吸引ポンプ54によるインク吸引動作により印刷ヘッド24をクリーニングするものとしたが、これに限られず、例えば、印刷ヘッド24をキャップ52に対向する位置まで移動させ印刷ヘッド24の全ノズル23からインクを吐出するフラッシング動作により印刷ヘッド24をクリーニングするものとしてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、本発明をノズルチェックパターン印刷時の処理に適用して説明したが、これに限られず、例えば、ギャップ調整パターン印刷時の処理に適用するなど、種々のテストパターン印刷時の処理に適用することができる。なお、ギャップ調整パターン印刷では、印刷ヘッド24の往動時に所定時間t毎に印刷ヘッド24からインクを吐出することにより用紙の搬送方向に沿って所定長さの複数本のラインを一定間隔で印刷し、印刷ヘッド24の復動時に各ライン毎に所定時間tの前後で少しずつタイミングをズラして印刷ヘッド24からインクを吐出することにより往動時と同数のラインを印刷する。このため、往動時に印刷されるラインは一定間隔となるが、往動時に印刷されるラインは一定間隔ではなく少しずつ間隔が異なり、往動時に印刷されたラインと復動時に印刷されたラインとの重なり具合は各ライン毎に少しずつ異なるものとなる。ユーザーは印刷された複数本のラインのうちズレが最も少ないラインを特定してインクジェットプリンター20に指示することにより、インクジェットプリンター20(コントローラー60)はその特定したラインを印刷したタイミングで往復双方向の印刷が行なわれるよう自動調整(ギャップ調整)する。したがって、図4のノズルチェックパターン印刷時処理ルーチンのノズルチェックパターン印刷をギャップ調整パターン印刷に、クリーニングをギャップ調整にそれぞれ置き換えることにより、ギャップ調整パターン印刷時の処理にも適用することができる。
【0031】
上述した実施形態では、本発明の画像形成装置をインクジェットプリンター20に適用して説明したが、原稿の読み取りが可能なスキャナーを備えるマルチファンクションプリンターに適用するものとしたり、FAX機能を備えるFAX装置に適用するものとしてもよい。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0033】
10 ユーザーPC、20 インクジェットプリンター、21 プリンター機構、22 キャリッジ、23 ノズル、24 印刷ヘッド、26,26K,26C,26M,26Y インクカートリッジ、28 ガイド、32 キャリッジベルト、34 キャリッジモーター、35 紙送りローラー、36 キャリッジポジションセンサー、36a 光学スケール、36b 光学センサー、38 プラテン、41 紙送り機構、42 給紙トレイ、43 排紙トレイ、44 給紙ローラー、45 搬送ローラー、46 排紙ローラー、48 搬送モーター、49 ロータリーエンコーダー、 50 キャッピング装置、52 キャップ、53,55 チューブ、54 吸引ポンプ、56 大気開放バルブ、60 コントローラー、61 CPU、62 ROM、63 RAM、64 フラッシュメモリー、65 インターフェース(I/F)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を媒体に形成する画像形成装置であって、
前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記媒体を供給端から排出端まで正逆両方向に搬送が可能な搬送手段と、
装置の状態を検査するためのテストパターンの形成が要求された場合には、前記供給端にセットされた媒体が前記吐出ヘッドに対向する位置まで搬送されるよう前記搬送手段を制御すると共に該媒体にテストパターンが形成されるよう前記吐出ヘッドを制御し、該媒体にテストパターンが形成された後に前記排出端よりも手前で且つユーザーが前記媒体に形成されたテストパターンを視認可能な所定位置まで該媒体が搬送されるよう前記搬送手段を制御し、前記媒体が前記所定位置まで搬送された後に前記媒体の排出の要求か前記テストパターンの再形成の要求かのいずれかを受け付け、前記媒体の排出が要求された場合には該媒体が前記排出端まで搬送されるよう前記搬送手段を制御し、前記テストパターンの再形成が要求された場合には前記媒体に既に形成されているテストパターンの領域とは異なる空き領域が前記吐出ヘッドに対向する位置となるまで該媒体が引き戻されるよう前記搬送手段を制御すると共に該引き戻した後に該媒体にテストパターンが再形成されるよう前記吐出ヘッドを制御する制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記テストパターンの形成に伴って該パターンの形成位置を記憶し、前記テストパターンの再形成が要求された場合には前記記憶された形成位置に基づいて前記媒体の空き領域が前記吐出ヘッドに対向する位置となるまで該媒体が引き戻されるよう前記搬送手段を制御する手段である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置であって、
装置をメンテナンスするメンテナンス手段を備え、
前記制御手段は、前記媒体が前記所定位置まで搬送された後に前記メンテナンスの要否を受け付け、前記メンテナンスが要求された場合には該メンテナンスが実行されるよう前記メンテナンス手段を制御し、該メンテナンスが実行された後に前記媒体の排出の要求か前記テストパターンの再形成の要求かのいずれかを受け付けて制御する手段である
画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記テストパターンは、前記吐出ヘッドが有するノズルの状態を検査するためのパターンであり、
前記メンテナンス手段は、前記ノズルをクリーニングするクリーニング手段である
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−194787(P2011−194787A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65867(P2010−65867)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】