説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置に事後的に装着される追加ユニットに対する操作性を良好にする。
【解決手段】複写機1は、装置本体10と、装置本体10の上部に配置された画像読取部20と、画像読取部20の前面に配置された操作パネルユニット50とを備える。操作パネルユニット50は、可動筐体51、スタートボタン52、タッチパネル53及び追加ユニットの装着部54を備えている。この装着部54には、例えばカードリーダユニットが事後的に装着される。操作パネルユニット50は、上下方向に首振りする姿勢変更タイプのユニットであり、カードリーダユニットが装着部54に装着された場合、そのカードリーダユニットも操作パネルユニット50の姿勢変更し追従して姿勢変更させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、或いはこれらの複合機等の画像形成装置に関し、特に可動式の操作ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、用紙の選定、処理内容やオプション機能の選択、コピー動作の実行指示等、画像形成処理に関連するユーザの操作指示を受け付ける操作部が備えられている。近年の複写機等では、この操作部は、各種の表示を行うと共にユーザの手動操作入力を受け付けるタッチパネルと、スタートキーやテンキー等を含む操作ボタンとで構成されることが多い。
【0003】
このような操作部において、ユニバーサルデザインの一貫として、前記タッチパネルや操作ボタンが配列された操作面の角度を変更可能としたものが知られている(例えば特許文献1〜4)。これは、前記タッチパネルや操作ボタンが装備された操作部筐体を、画像形成部を収容する装置本体に対して回動自在に取り付け、前記操作面を姿勢変更可能としたものである。このような操作部とすれば、例えば車椅子に搭乗したユーザのように、操作や視認に適した高さ位置が低いユーザでも、前記操作面の角度を調整することで、タッチパネルや操作ボタンを容易に操作したり、タッチパネルの表示を正面視したりすることが可能になるという利点がある。
【0004】
ところで、画像形成装置に対して、事後的に様々なオプション機器ユニットや増設・拡張ユニット等が後付けされることがある。これらのユニットの中には、ユーザが何らかの操作を受け付けて機能する機能部を含むものがある。例えば、ユーザ認証を行うカードリーダユニットは、オプション機器ユニットとして画像形成装置にしばしば後付けされる。このカードリーダユニットでは、ユーザが認証カードをユニットの読取部に差し込む、あるいは近接させるという操作が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−119498号公報
【特許文献2】特開2003−345087号公報
【特許文献3】特開2005−85936号公報
【特許文献4】特開2009−98444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のカードリーダユニットのように、ユーザからの操作を受け付ける機能部を備えた追加ユニットが画像形成装置に事後的に装着される場合、タッチパネルや操作ボタンを含む操作部だけでなく、この追加ユニットに対する操作性を考慮する必要がある。しかし、追加ユニットに対する操作性が考慮された画像形成装置は、未だ提供されていないのが実情である。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、画像形成装置に事後的に装着される追加ユニットに対する操作性を良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像形成処理に関連するユーザの操作指示を受け付ける操作部と、前記画像形成部を収容する装置本体と、前記装置本体に対して姿勢変更可能に取り付けられ、前記操作部を収容すると共に、事後的に追加されるユニットの装着部を有する可動筐体と、を備える(請求項1)。前記可動筐体の装着部には、当該画像形成装置に付加機能を提供する追加ユニットが着脱可能に取り付けられる(請求項2)。
【0009】
この構成によれば、装置本体に対して姿勢変更可能な可動筐体に、追加ユニットのための装着部が備えられている。このためユーザは、可動筐体を通して操作部を姿勢変更させる場合と同様にして、追加ユニットを姿勢変更させることができる。
【0010】
上記構成において、前記追加ユニットは、ユーザからの操作を受け付ける機能部を備えた操作ユニットであることが望ましい(請求項3)。この構成によれば、ユーザは、操作ユニットを自身が操作し易い姿勢になるよう、可動筐体を通して操作ユニットを姿勢変更させることが可能となる。従って、操作ユニットに対する操作性を良好なものとすることができる。
【0011】
この場合、前記操作ユニットは、ユーザの認証を行うためのカードリーダユニットであることが望ましい(請求項4)。この構成によれば、カードリーダユニットに対する認証カードの読取のための操作を、容易に行わせることができる。
【0012】
上記構成において、前記操作部は、ユーザの操作指示を受け付ける操作受付面を備え、前記可動筐体は、前記操作受付面を露出させる窓部を備えた表面と、前記装置本体に対して揺動可能に取り付けられる第1側面と、前記装着部が設けられる第2側面とを有し、前記操作ユニットは、前記機能部を動作させるための操作面を有し、前記装着部に装着された状態において、前記操作面は前記操作受付面と実質的に同じ方向に配向されることが可能であることが望ましい(請求項5)。
【0013】
この構成によれば、前記操作ユニットの操作面と前記操作受付面とが、実質的に同じ方向に配向されるので、ユーザは、画像形成装置の本来の操作のために操作受付面を姿勢変更させるだけで、操作ユニットについても、自身が操作し易い姿勢に設定することができる。従って、操作ユニットの操作性を一層良好なものとすることができる。
【0014】
上記構成において、前記操作ユニットを前記可動筐体に対して相対的に姿勢変更させる変更機構をさらに備えることが望ましい(請求項6)。この構成によれば、前記操作ユニットを、可動筐体(操作部)とは独立して姿勢変更させることができる。従って、ユーザは、操作ユニットだけを一層操作し易い姿勢に設定することが可能となる。
【0015】
或いは、前記操作ユニットを前記可動筐体に対して相対的に姿勢変更させる変更機構をさらに備え、前記変更機構は、前記操作受付面の角度に対する前記操作面の角度を変更させる角度調整機構であることが望ましい(請求項7)。この構成によれば、ユーザは、操作ユニットの操作面の角度を一層操作し易い角度に設定することが可能となる。
【0016】
また、前記変更機構は、前記操作ユニットを前記可動筐体に対してスライド移動させるスライド機構とすることができる(請求項8)。この構成によれば、操作ユニットを直線的にシンプルに移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像形成装置に事後的に装着される追加ユニットの姿勢を、可動筐体を通して変更させることが可能となる。従って、例えば車椅子に搭乗したユーザのように、操作に適した高さ位置が低いユーザでも、追加ユニットに対する操作性を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例である複写機の外観を示す斜視図である。
【図2】複写機の内部構成を概略的に示す断面図である。
【図3】追加ユニットの操作部への取り付け状況を示す図である。
【図4】追加ユニットが操作部へ装着された状態の複写機の外観を示す斜視図である。
【図5】カードリーダユニットの操作部への具体的な取り付け構造の一例を示す分解斜視図である。
【図6】追加ユニットの姿勢変更態様の一例を示す、複写機の外観斜視図である。
【図7】追加ユニットの姿勢変更態様の一例を示す、複写機の外観斜視図である。
【図8】追加ユニットの姿勢変更態様の一例を示す、複写機の外観斜視図である。
【図9】追加ユニットの姿勢変更態様の一例を示す、複写機の外観斜視図である。
【図10】追加ユニットの姿勢変更態様の一例を示す、複写機の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一例である複写機1の外観を示す斜視図である。なお、図1及び他の図において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向、Z−Z方向を上下方向といい、特に+X方向を右方、−X方向を左方、+Y方向を前方、−Y方向を後方、+Z方向を上方、−Z方向を下方という。
【0020】
複写機1は、いわゆる胴内排紙型の複写機であって、画像形成部及び給紙部が内部に備えられた箱形の装置本体10と、装置本体10の上部に配置された画像読取部20(装置本体の一部)と、装置本体10と画像読取部20との間に設けられ、画像形成後の用紙が排出され、該用紙の取出し用に少なくとも前方へ開放した排紙部30と、画像読取部20の前面に配置された操作パネルユニット50(操作部)とを備えている。
【0021】
装置本体10の前面10Fにおける下方部には、給紙部60が備えられている。この給紙部60は4段の給紙カセットからなり、これらは前面10Fから前方方向に引き出しが可能である。装置本体の内部には、画像形成のための各種の機器ユニットが収容されている。これらについては、図2に基づき詳述する。
【0022】
画像読取部20は、排紙部30のための空間を介して、装置本体10の上部に配置されている。画像読取部20は、装置本体10の上方右側に配置された支柱部40と、装置本体10の上方後側に配置された側壁とで支持されている。この画像読取部20は、複写される原稿を原稿読み取り位置に給紙し、その後に排紙を行う自動原稿給紙ユニット20Bと、前記原稿画像を読み取る光学系を有するスキャナユニット20Aとを含む。なお、スキャナユニット20Aと装置本体10とは、一体の筐体である。自動原稿給紙ユニット20Bは、原稿シートが載置される原稿トレイ201と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ202と、原稿シートを原稿トレイ201から原稿読取位置を経由して原稿排出トレイ202まで搬送する自動搬送機構203とを備えている。
【0023】
排紙部30は、画像読取部20で読み取られた原稿画像に基づき、装置本体10で画像形成された用紙が排紙される胴内排紙部であって、排紙トレイ31と、排紙口32とを含んでいる(図2参照)。排紙口32は、支柱部40の左側面(排紙部30に対向する面)に設けられ、画像形成後の用紙を装置本体10から排出させる開口である。排紙トレイ31は、この排紙口32から排出される用紙を受けるための用紙受け取り面である。
【0024】
操作パネルユニット50は、ユーザから画像形成処理に関連する各種の操作指示を受け付けるユニットである。操作パネルユニット50は、可動筐体51、スタートボタン52(操作部の一例)、タッチパネル53(操作部の一例/操作受付面)及び追加ユニットの装着部54を備えている。この操作パネルユニット50は、図1に点線で示す通り、上下方向に首振りする姿勢変更タイプのユニットである。
【0025】
可動筐体51は、薄箱状の筐体であって、ヒンジ機構等を介して、装置本体10(スキャナユニット20A)の前面に対して姿勢変更可能に取り付けられている。スタートボタン52は、ユーザが印刷実行指示を入力するボタンである。なお、図示は省略しているが、印刷部数等の入力を受け付けるテンキー等の操作ボタンが、スタートボタン52に隣接して備えられている。タッチパネル53は、液晶表示器(LCD)等からなり、各種複写動作の設定等を入力するための操作ガイド情報等を表示すると共に、種々の操作ボタン等を表示する。装着部54は、可動筐体51に備えられ、例えばユーザの認証を行うためのカードリーダユニット90(図3参照)のような、事後的に追加されるユニットを装着させるための部位である。
【0026】
続いて、複写機1の内部構成について説明する。図2は、複写機1の内部構成を概略的に示す断面図である。上述したように、複写機1は、装置本体10、画像読取部20、排紙部30及び操作パネルユニット50を含む。そして、装置本体10の内部には、給紙部60、画像形成部70及び定着部80が備えられている。
【0027】
画像読取部20のスキャナユニット20Aは、原稿に光を照射する露光ランプを具備する移動枠体21をその内部に含む。この他、図示は省略しているが、スキャナユニット20Aには、原稿からの反射光を光電変換して画像データを生成するCCD(Charge Coupled Device)センサや、このCCDセンサに前記反射光を導くための光学系等が内蔵されている。さらに、スキャナユニット20Aの上面には、載置原稿の読み取り用の第1プラテンガラス22と、自動給紙される原稿の読み取り用の第2プラテンガラス23とが備えられている。
【0028】
自動原稿給紙ユニット20Bは、自動搬送機構203の動作により、原稿トレイ201に載置された原稿シートを、第2プラテンガラス23の原稿読み取り位置へ給送するとともに、読み取り後の原稿シートを原稿排出トレイ202へ排出する。なお、ユーザが原稿シートを手置きする場合は、自動原稿給紙ユニット20Bが上方へ開かれ、第1プラテンガラス22上に原稿シートが載置される。
【0029】
給紙部60は、画像形成部70に対して用紙(シート)の給紙を行うものである。給紙部60は、4段の各給紙カセットに各々対応し、各サイズの用紙が収納される第1〜第4給紙貯留部120、130、140、150を含む。さらに、装置本体10の右側方部には、開閉自在な手差しトレイ16からなる手差し給紙部160が備えられている。図示は省略しているが、第1〜第4給紙貯留部120〜150には、用紙束の位置決めを行うカーソルや、用紙束を弾発的に持ち上げて後述のピックアップローラ621〜624に最上位の用紙を当接させるリフタなどが備えられている。
【0030】
このような給紙部60から、画像形成部70及び定着部80を通り、排紙口32へ至る経路には、用紙を搬送するための用紙搬送路が設けられている。かかる用紙搬送路は、第1〜第4給紙貯留部120〜150から画像形成部70へ至る第1用紙搬送路611、手差し給紙部160から画像形成部70へ至る第2用紙搬送路612、及び画像形成部70から排紙口32へ至る第3用紙搬送路613を含む。
【0031】
第1〜第4給紙貯留部120〜150の用紙取り出し側の上部には、収納されている用紙を1枚ずつ取り出すためのピックアップローラ621、622、623、624と、その下流側に配置された給紙ローラ対631、632、633、634とがそれぞれ備えられている。給紙ローラ対631、632、633、634は、抽出された用紙を第1用紙搬送路611に送り込むためのものである。
【0032】
第1用紙搬送路611には、用紙を画像形成部70へ向けて搬送する搬送ローラ対641、642、643、644が備えられている。また、第2用紙搬送路612には、手差しされた用紙を取り入れる給紙ローラ635と、この手差し用紙を画像形成部70へ向けて搬送する搬送ローラ対645とが備えられている。さらに、第1用紙搬送路611の終端位置には、用紙を画像形成部70の手前で待機させるためのレジストローラ対65が設けられている。第3用紙搬送路613の終端位置には、用紙を排紙部30に向けて搬送(排出)する排出ローラ対66が配置されている。この排出ローラ対66に沿うように、排紙口32が設けられている。
【0033】
画像形成部70は、画像読取部20で得られた原稿の画像データに基づき、給紙部60から搬送されてくる用紙にトナー像を転写する処理を施す。画像形成部70は、軸回りに回転可能に設けられた感光体ドラム71と、この感光体ドラム71の周面に沿うように配置された帯電器72、露光装置73、現像装置74、転写ローラ75及びクリーニング装置76とを含んでいる。
【0034】
感光体ドラム71は、その周面に静電潜像、及びこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものである。感光体ドラム71としては、周面にアモルファスシリコン層が積層されたアモルファスシリコン感光体ドラムが好適である。
【0035】
帯電器72は、ドラム心回り時計方向に回転している感光体ドラム71の周面に一様な電荷を形成する。帯電器72としては、コロナ放電によって感光体ドラム71の周面に電荷を付与する方式のものを用いることができる。この他、その周面が感光体ドラム71の周面と当接しながら従動回転しつつ、感光体ドラム71に電荷を付与する帯電ローラを採用してもよい。
【0036】
露光装置73は、前記画像データに基づき強弱が付与されたレーザ光を、回転している感光体ドラム71の周面に照射する。感光体ドラム71周面のレーザ光が照射された部分は、電荷が消去され、これによって当該感光体ドラム71の周面にレーザ光照射パターンに応じた静電潜像が形成される。
【0037】
現像装置74は、感光体ドラム71の周面に、内蔵する現像ローラを介してトナーを供給する。感光体ドラム71にトナーが供給されると、前記静電潜像が形成された部分にトナーが付着し、これによって感光体ドラム71の周面にトナー像が形成される。現像装置74には図略のトナー容器が着脱可能に装着されており、現像装置74内のトナーが費消されると、このトナー容器からトナーが補給される。
【0038】
転写ローラ75は、感光体ドラム71とニップ部を構成し、そのニップ部に送り込まれた用紙に対し、当該感光体ドラム71の周面に形成されているトナー像を転写させる。感光体ドラム71周面のトナー像は、プラスに帯電している。一方、転写ローラ75は、トナー像の電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙に付与する。プラスに帯電した感光体ドラム71周面のトナー像は、マイナスに帯電された用紙の表面に向けて引き剥がされ、用紙に転写される。
【0039】
クリーニング装置76は、転写処理後の感光体ドラム71の周面に残留しているトナーを取り除いて清浄化する。このクリーニング装置76によって清浄化された感光体ドラム71の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電器72へ向かうことになる。
【0040】
定着部80は、画像形成部70によってトナー像の転写処理が施された用紙に、加熱による定着処理を施す。定着部80は、内部に通電発熱体が装着されたヒートローラ81と、このヒートローラ81と周面同士が対向配置された加圧ローラ82とを備えている。転写処理後の用紙は、駆動回転されるヒートローラ81と、ヒートローラ81と反対方向に従動回転する加圧ローラ82との間のニップ部を通過することによって、ヒートローラ81からの熱を得て定着処理が施される。定着処理が施された用紙は、第3用紙搬送路613及び排出ローラ対66を経て排紙部30へ排出される。
【0041】
続いて、図3に基づいて、操作パネルユニット50及びその装着部54に取り付けられるカードリーダユニット90(追加ユニット/操作ユニット)について詳述する。操作パネルユニット50の可動筐体51は、タッチパネル53(操作受付面)を露出させる窓部511及びスタートボタン52を貫通させる窓部を備えた表面501と、装置本体10(スキャナユニット20A)の前面に対して揺動可能に取り付けられる第1側面502と、装着部54が設けられる第2側面503とを含む。
【0042】
第1側面502には、図略のヒンジ機構が備えられ、スキャナユニット20Aの前面側に配置されている。従って、操作パネルユニット50は、第1側面502の側を回動軸とし、その前方側が上下方向に首振り移動することで、姿勢変更させることが可能である。これによりユーザは、タッチパネル53の角度を自身が操作し易い角度に設定することができ、車椅子に搭乗したユーザ等に対しても操作パネルユニット50の操作性を良好にすることができる。
【0043】
カードリーダユニット90は、複写機1の利用管理を行うために付設されるオプションユニットであって、ユーザが保有する図略のICカードと無線通信を行い、前記ICカードに記憶されている識別情報を用いて、当該ICカードの所有者が複写機1の利用資格を有するか否かの認証を行う。前記識別情報は、例えば、社員IDや所属部署等、ユーザの属性を特定可能なデータである。
【0044】
カードリーダユニット90は、ユニット本体91と、該ユニット本体91を操作パネルユニット50の装着部54に取り付けるための連結部92とを備える。ユニット本体91には、カードリーダユニット90の動作制御及び各種演算を行うCPU、搬送波に信号波を重畳させる変調を行う変調回路、ICカード側からの信号波を復調させる復調回路、ICカードと無線電波の送受信を行うアンテナ、及び、認証処理を行う認証用CPU等を内蔵している。
【0045】
認証用CPUは、そのメモリ領域に格納された認証用データとICカードの識別情報とを比較し、認証用データ中に一致するデータが存在するか否かを確認する。一致データが存在する場合は、複写機1の利用を許可すべき旨の信号を、複写機1内に備えられている図略の制御部に向けて送信する。このような認証手続きを経て、ユーザは複写機1を使用可能となる。なお、このようなパッシブ型の無線カードリーダユニット90に代えて、磁気カードに記憶された識別情報を磁気的に読み取る磁気カードリーダユニットを用いるようにしても良い。
【0046】
連結部92は、装着部54と機械的な連結を行うための部位である。機械的な連結としては種々の形態を採用可能であり、例えば単純な凹凸嵌合、ロック付きスライド嵌合、ビス止め接続、弾性変形を伴う圧接連結等を例示することができる。これらの連結が達成可能なように、連結部92及び装着部54の形状、構造が設定される。連結部92は、複写機1との電気的な接続を兼ねる部分とされても良く、例えば多ピン型の電気コネクタやUSBコネクタを含んでいても良い。勿論、連結部92とは別個に、通信線及び電源線を含む電気ケーブルで複写機1との電気的な接続を行わせるようにしても良い。
【0047】
カードリーダユニット90は、カードリーダの機能部を動作させるための操作面91Hを表面に有する。ユーザは、ICカードをこの操作面91Hにかざすことで、カードリーダユニット90とICカードとの間で無線通信を行わせ、認証処理を実行させる。カードリーダユニット90が装着部54に装着された状態において、操作面91Hは、操作パネルユニット50のタッチパネル53やスタートボタン52が設けられている操作受付面と実質的に同じ方向に配向される。
【0048】
連結部92が装着部54へ機械的に連結されることにより、カードリーダユニット90は操作パネルユニット50と一体化する。すなわち、図4に示すように、操作パネルユニット50が上下方向に揺動すると、これに追従してカードリーダユニット90も上下方向に揺動する。従ってユーザは、複写機1の本来の操作のために操作パネルユニット50を姿勢変更させるだけで、カードリーダユニット90についても、自身が操作し易い姿勢に設定することができる。例えば、車椅子に搭乗したユーザは、図4に点線で示すように、操作パネルユニット50の角度を、自身が操作し易い角度に姿勢変更させれば、カードリーダユニット90の操作面91Hもまた、自身が操作し易い角度に姿勢変更される。すなわち、ICカードを操作面91Hにかざす作業を、容易に行うことができる。
【0049】
次に、具体的な取り付け構造の一例として、ビス止め接続方式を採用したカードリーダユニット90A、及びこれに対応した装着部540を図5に例示する。図5は、カードリーダユニット90Aの分解斜視図である。カードリーダユニット90Aは、取り付け金具93、上カバー94、下カバー95、カードリーダのユニット本体96及びスペーサ97を備えている。
【0050】
取り付け金具93は、L字型の板金からなり、各々ビス933、934を挿通させるためのビス孔が備えられた平板部931と折り曲げ部932とを含む。操作パネルユニット50Aの可動筐体51の第2側面503には、折り曲げ部932に対応した装着部540が備えられている。この装着部540は、第2側面503を矩形に凹没させた凹所512と、この凹所512に設けられたビス止め孔541とを備えている。凹所512は、折り曲げ部932に応じたサイズを有しており、ビス934がビス止め孔541に螺合されることで、取り付け金具93は可動筐体51の第2側面503に固定される。なお、装着部540には、凹所512を覆い第2側面503と同一面を形成する不図示の着脱可能なカバー部材が装着されている。取り付け金具93が取り付けられる際には、このカバー部材は取り外される。
【0051】
上カバー94及び下カバー95は、互いに嵌合されて1つのケーシングを構成するものであって、各々、前記嵌合のための爪部941、爪孔部951を備えている。上カバー94は、ユーザがICカードを接近させる操作面となる。下カバー95には、ビス止め孔953を有する座金952が取り付けられている。このビス止め孔953にビス933が螺合されることで、下ケース95が、取り付け金具93を介して可動筐体51に一体化される。
【0052】
ユニット本体96は、上記で説明したユニット本体91と同じカードリーダ機能及び認証機能を有している。ユニット本体96からは電気ケーブル96Cが接続され、この電気ケーブル96Cは、下カバー95に設けられたケーブル孔954から引き出されている。スペーサ97は、ユニット本体96と取り付け金具93との間に介在され、ユニット本体96の表面(カード読取面)を、上カバー94の裏面に可及的に接近させるためのスペーサである。
【0053】
以上のようなカードリーダユニット90Aによれば、取り付け金具93、上カバー94及び下カバー95を用いて、カードリーダ機能を有するユニット本体96を簡便に操作パネルユニット50Aへ事後的に取り付けることができる。
【0054】
以下、カードリーダユニットの姿勢変更の各種態様について説明する。図6〜図8には、カードリーダユニット90B、90C、90Dを操作パネルユニット50B、50C、50Dに対して相対的に姿勢変更させる変更機構が備えられている複写機1B、1C、1Dが例示されている。これら変更機構は、タッチパネル53の角度に対するカードリーダユニットのカード読取面の角度を変更させる角度調整機構である。
【0055】
図6に示す複写機1Bは、カードリーダユニット90Bが、操作パネルユニット50Bに対して回動自在に取り付けられている例を示している。カードリーダユニット90Bと操作パネルユニット50Bとの間には回動機構981が介在され、これによりカードリーダユニット90Bは、操作パネルユニット50Bの姿勢変更に追従してその姿勢が変更されるばかりではなく、操作パネルユニット50Bとは独立して姿勢変更を行わせることが可能とされている(図中の点線参照)。このような複写機1Bによれば、ユーザは、操作パネルユニット50Bを自身が使い易い角度に設定すると共に、カードリーダユニット90Bの操作面の角度を一層操作し易い角度に設定することが可能となる。
【0056】
図7に示す複写機1Cは、カードリーダユニット90Cが、操作パネルユニット50Cに対して折り曲げ自在に取り付けられている例を示している。カードリーダユニット90Cと操作パネルユニット50Cとの間には、ヒンジ機構982が介在され、これによりカードリーダユニット90Cは、操作パネルユニット50Cと平行な姿勢(図中の点線参照)と、操作パネルユニット50Cに対して90度折り曲げられた姿勢(図中の実線参照)との間で姿勢変更が可能とされている。例えば、ユーザ認証処理を行うとき、ユーザはカードリーダユニット90Cを平行姿勢とし、それ以外の時は折り曲げ姿勢として操作パネルユニット50Cの裏面側に退避させるという運用を図ることができる。
【0057】
図8に示す複写機1Dは、カードリーダユニット90Dが、操作パネルユニット50Dに対して回動自在で、且つ、カードリーダユニット90Dの操作面の角度が、操作パネルユニット50Dの姿勢変更に拘わらず一定とすることが可能とされた例を示している。カードリーダユニット90Dと操作パネルユニット50Dとの間には、姿勢維持機構983が介在され、これにより操作パネルユニット50Dを一定角度に維持できる構成とされている。この姿勢維持機構983は、操作パネルユニット50Dの傾斜を検知するジャイロ装置と、前記操作パネルユニット50Dの傾斜に応じてカードリーダユニット90Dを回動させるモータとを含む。このような複写機1Dによれば、ユーザは、例えばカードリーダユニット90Dの角度を、カードをかざし易い角度に固定的に維持しつつ、操作パネルユニット50Dの角度を、タッチパネルに照明が映り込まない角度に調整することが可能となる。
【0058】
カードリーダユニットの姿勢変更機構は、上記のような角度調整機構に限らず、カードリーダユニットを操作パネルユニットに対してスライド移動させるスライド機構であっても良い。図9に示す複写機1Eは、カードリーダユニット90Eが、操作パネルユニット50Eに対してスライド自在に取り付けられている例を示している。
【0059】
カードリーダユニット90Eと操作パネルユニット50Eとの間には、スライド機構984が介在され、これによりカードリーダユニット90Eは、操作パネルユニット50Eと平行な姿勢を保ったまま、操作パネルユニット50Eの背面に退避した退避姿勢(図中の実線参照)と、操作パネルユニット50Eの側部から突出した突出姿勢(図中の点線参照)を取ることが可能とされている。このような複写機1Eによれば、未使用時にカードリーダユニット90Eを操作パネルユニット50Eの背面に退避させることが出来るので、複写機1Eの占有面積を少なく出来る利点がある。
【0060】
以上、本発明の各種実施形態につき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0061】
(1)上記実施形態では、操作パネルユニット50、50B〜50Eが、いずれもスキャナユニット20Aの前面に対して揺動可能に取り付けられ、首振りすることで姿勢変更する例を示した。操作パネルユニットの姿勢変更の態様はこれに限られず、図10に示すように揺動アーム55の作用によって移動する態様であっても良い。図10に示す複写機1Fは、装置本体10の上部から揺動アーム55が延出され、この揺動アーム55の先端に操作パネルユニット50Fが取り付けられている。揺動アーム55は、三次元的な揺動動作を実現するアームであって、これにより操作パネルユニット50Fは、例えば図10に示すように、高さ位置を調整可能とされている。このような操作パネルユニット50Fの装着部54にカードリーダユニットを装着することによって、上記実施形態と同様なメリットを享受することができる。
【0062】
(2)上記実施形態では、事後的に追加されるユニットとして、カードリーダユニットを例示した。これは一例であって、各種の付属ユニット、増設・拡張ユニット等のオプションユニットを、装着部54に装着することができる。これらユニットの中で、特にユーザからの操作を受け付ける機能部(キー入力部やカード差し込み部等)を備えた操作ユニットであれば、これら操作ユニットの姿勢を操作し易い姿勢に調整可能となるので好ましい。
【0063】
(3)上記実施形態では、画像形成装置の一例として複写機を例示した。これに限らず、画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、或いはこれらの複合機等であっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1、1B〜1F 複写機(画像形成装置)
10 装置本体
20 画像読取部
50、50A〜50E 操作パネルユニット(操作部)
501 表面
502 第1側面
503 第2側面
51 可動筐体
52 スタートボタン
53 タッチパネル(操作受付面)
54 装着部
70 画像形成部
90、90A〜90E カードリーダユニット(追加ユニット/操作ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像形成処理に関連するユーザの操作指示を受け付ける操作部と、
前記画像形成部を収容する装置本体と、
前記装置本体に対して姿勢変更可能に取り付けられ、前記操作部を収容すると共に、事後的に追加されるユニットの装着部を有する可動筐体と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記可動筐体の装着部に着脱可能に取り付けられ、当該画像形成装置に付加機能を提供する追加ユニットをさらに備える、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記追加ユニットは、ユーザからの操作を受け付ける機能部を備えた操作ユニットである、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記操作ユニットは、ユーザの認証を行うためのカードリーダユニットである、画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像形成装置において、
前記操作部は、ユーザの操作指示を受け付ける操作受付面を備え、
前記可動筐体は、前記操作受付面を露出させる窓部を備えた表面と、前記装置本体に対して揺動可能に取り付けられる第1側面と、前記装着部が設けられる第2側面とを有し、
前記操作ユニットは、前記機能部を動作させるための操作面を有し、前記装着部に装着された状態において、前記操作面は前記操作受付面と実質的に同じ方向に配向されることが可能である、画像形成装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記操作ユニットを前記可動筐体に対して相対的に姿勢変更させる変更機構をさらに備える、画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記操作ユニットを前記可動筐体に対して相対的に姿勢変更させる変更機構をさらに備え、
前記変更機構は、前記操作受付面の角度に対する前記操作面の角度を変更させる角度調整機構である、画像形成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記変更機構は、前記操作ユニットを前記可動筐体に対してスライド移動させるスライド機構である、画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−203371(P2011−203371A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68597(P2010−68597)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】