説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、廃トナー回収ボトルの廃トナーの回収口が画像形成装置本体内に設けられている廃トナーの排出部に正常に接合したときにのみ、廃トナー回収ボトルが画像形成装置本体内に装着されたことを検出できるようにすることを目的とする。
【解決手段】検出部200の設けられている位置決め部材100で、廃トナー回収ボトル300の回収口312の設けられている絞り部310を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらのうちの複数の機能を備えた複合機等における画像形成装置においては、使用済みの廃トナーを廃トナー回収ボトルに送出して回収し、その廃トナー回収ボトルが満杯になったときに、空の廃トナー回収ボトルと交換するようにしている(特許文献1,2参照)。
【0003】
画像形成装置がフルカラー式の場合の廃トナー回収の一例について説明する。先ず、画像形成装置の概略から説明すると、この画像形成装置には、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)の各色にそれぞれ対応したドラムからなる複数の感光体が用意されている。そして、各感光体の周面には、レーザスキャニングユニットを用いて所定の静電潜像が形成されると共に、各感光体の周面には、供給された各色のトナーによって各色のトナー像がそれぞれ生成される。各感光体の周面に生成された各色のトナー像は、回転駆動する無端ベルトからなる転写ベルトに順次重畳転写され、これにより、転写ベルト上にはカラー画像が合成される。次いで、この転写ベルト上に合成されたカラー画像は、用紙等からなる転写材に転写された後、加圧・加熱されて定着処理される。転写材に転写された後に転写ベルト上に残留したトナーは、クリーニング装置によって除去され、そのクリーニング装置によって清掃された転写ベルトは、再び各感光体側に送られて次のカラー画像の合成に使用される。
【0004】
クリーニング装置は、転写ベルトの回転方向に関して、転写材に転写する位置よりも下流側で、かつ、最初の感光体の位置よりも上流側に設けられる。そして、このクリーニング装置は、転写ベルト面に摺接するクリーニングブレードと、そのクリーニングブレードにより除去された残トナーを搬送するスクリュー等からなる搬送機構と、その搬送機構で搬送されてきた廃トナーを収容する廃トナー回収ボトルとから構成されている。
【0005】
廃トナー回収ボトルは、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられている。そして、この廃トナー回収ボトルが廃トナーで満杯になったことが満杯センサで検出されたときには、その旨が利用者に報知されると共に画像形成装置の稼動が停止され、廃トナー回収ボトルが画像形成装置本体から抜き出される。次いで、空の廃トナー回収ボトルが新たに画像形成装置本体に装着される。廃トナー回収ボトルが画像形成装置本体内に装着されることなく装置が稼動されると、廃トナーが画像形成装置本体内に散逸するので、これを防止するために廃トナー回収ボトルの装着の有無を検出するためのセットセンサが設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−312190号公報
【特許文献2】特開2002−304104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の画像形成装置においては、廃トナー回収ボトルの装着の有無を検出するためのセットセンサが設けられているが、このセットセンサは、廃トナー回収ボトルが画像形成装置本体内に存在することを検出するのみで、廃トナー回収ボトルの廃トナーの回収口が画像形成装置本体内に設けられている廃トナー排出部に確実に接合して装着されていることを検出するものでなかった。このため、セットセンサが廃トナー回収ボトルの装着有りを検出して画像形成装置本体が稼動したときであっても、廃トナー回収ボトルの回収口が画像形成装置本体内に設けられている廃トナー排出部に正常に接合しておらず、廃トナーが画像形成装置本体内に飛散してしまう虞があった。
また、従来のセットセンサは、廃トナー回収ボトルの廃トナーの回収口から離れた位置に設けられているので、回収口が画像形成装置本体内に設けられている廃トナー排出部に正常に接合しているにも関わらず、セットセンサが廃トナー回収ボトルの装着無しを検出してしまうこともあり、その結果画像形成装置本体が稼動できないという欠点があった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、廃トナー回収ボトルの廃トナーの回収口が画像形成装置本体内に設けられている廃トナー排出部に正常に接合したときにのみ、廃トナー回収ボトルが画像形成装置本体内に装着されたことを検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0010】
第1の発明は、画像形成後に回収された廃トナーを収容する廃トナー回収ボトルが着脱可能に設けられる画像形成装置であって、装着される上記廃トナー回収ボトルの位置決めを行う位置決め部材と、該位置決め部材と一体的に設けられると共に上記廃トナー回収ボトルの有無を検出する検出部とを備えるという構成を採用する。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記廃トナーを受ける廃トナーの回収口を有する絞り部を備え、上記位置決め部材は、上記絞り部を位置決めするという構成を採用する。
【0012】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記位置決め部材は、上記絞り部を把持することによって位置決めするという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置において、廃トナー回収ボトルの位置決め部材と、廃トナー回収ボトルの有無を検出する検出部とが一体的に設けられているので、廃トナー回収ボトルの廃トナーの回収口が画像形成装置本体内に設けられている廃トナー排出部に正常に接合したことを確実に検出することができる。したがって、本発明によれば、廃トナーが画像形成装置本体内に飛散してしまうという欠点を防止することができると共に、回収口が廃トナー排出部に正常に接合しているにも関わらず、セットセンサが廃トナー回収ボトルの装着無しを検出して画像形成装置本体が稼動できないという欠点を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置の廃トナー回収ボトルの上部部分の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像形成装置の位置決め部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明においては、本発明の画像形成装置の一例として複写機を挙げて説明する。
【0016】
図1は、電子写真方式からなるフルカラー複写機Pの斜視図であり、この複写機Pは、周知の複写機と同様に、原稿の画像を読み取る画像読取部1と、読み取った画像データに基づいて記録紙(記録媒体)に印刷を行う印刷部2とを備えている。
【0017】
画像読取部1は、原稿の画像に光を照射し、その反射光を受光することによって原稿の画像を画像データとして読み取るものであり、原稿に光を照射する光源装置や原稿からの戻り光を受光して画像データに変換する受光センサ等を備えている。
【0018】
印刷部2は、ベルトユニット6と、画像形成ユニット7と、給紙カセット8と、給紙トレイ9と、二次転写部10と、定着部11と、排紙トレイ12と、搬送路13と、廃トナー回収ユニット14とを備えている。
【0019】
ベルトユニット6は、画像形成ユニット7において形成されるトナー画像が転写され、この転写されたトナー画像を搬送するものであり、画像形成ユニット7からトナー画像が転写される中間転写ベルト61と、中間転写ベルト61を架設すると共に無端回送させる駆動ローラ62と、従動ローラ63と、テンションローラ64と、クリーニング部65とを備えている。
【0020】
中間転写ベルト61は、駆動ローラ62、従動ローラ63及びテンションローラ64に張架される構成となっている。
駆動ローラ62は、モータ等の駆動源を有する駆動部に接続され、中間転写ベルト61に対しグリップ力を付与しつつ回走させるものである。
従動ローラ63は、駆動ローラ62の回転駆動に従動して回転駆動するものである。
テンションローラ64は、駆動ローラ62の回転駆動に従動して回転駆動する従動ローラの一種であり、バネ機構を有して中間転写ベルト61にテンションを与えるものである。
【0021】
クリーニング部65は、中間転写ベルト61に関して、駆動ローラ62の位置よりも下流側で、かつ、最初の画像形成ユニット7(イエロー(Y))よりも上流側に設けられている。このクリーニング部65は、図示しないが、中間転写ベルト61の面に摺接するクリーニングブレードを有していて、中間転写ベルト61に残留したトナー(廃トナー)を除去して中間転写ベルト61の面を清掃できるように構成されている。そして、このクリーニング部65で除去された廃トナーは、スクリュー等からなる搬送機構(不図示)を介して廃トナー回収ユニット14に送出できるように構成されている。
なお、図示の例では、クリーニング部65は中間転写ベルト61の水平部分に設けられているが、これは図面を簡略化するためである。実際には、廃トナーを効率よく除去するために、クリーニングを行う際に中間転写ベルト61をクリーニング部65に対して押し当て可能なローラ群あるいはローラが設置されている。
【0022】
画像形成ユニット7は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応して設けられており、各色のトナー画像を形成するものである。そして、これらの画像形成ユニット7は、中間転写ベルト61の回転駆動方向に沿って上流側から下流方向に向って順に配列されている。
【0023】
各画像形成ユニット7は、感光体71と、帯電器72と、レーザスキャニングユニット73と、現像装置74と、一次転写ローラ75と、クリーニング装置76及び不図示の除電装置等とを有する。
【0024】
感光体71は、円柱に形状設定され、その周面に静電潜像及び当該静電潜像に基づくトナー像が形成されるものである。帯電器72は、感光体71に対して対向配置され、感光体71の周面を帯電状態とするものである。レーザスキャニングユニット73は、印刷形式の画像データに基づいて射出されるレーザ光を帯電状態の感光体71の周面において走査するものである。
【0025】
現像装置74は、感光体71の周面に対してトナーを供給することによって感光体71の周面上に静電潜像に基づくトナー像を現像するものである。
一次転写ローラ75は、中間転写ベルト61を挟んで感光体71と対向配置され、感光体71に現像されたトナー像を中間転写ベルト61に一次転写するものである。クリーニング装置76は、一次転写の後に感光体71上に残留したトナーを除去するものである。
【0026】
給紙カセット8は、装置本体に対して引き出し自在であり、記録紙を収容するものである。給紙トレイ9は、装置本体に対して開閉自在であり、記録紙を収容するものである。
二次転写部10は、中間転写ベルト61上に形成された画像を記憶媒体に二次転写するものであって、中間転写ベルト61を駆動させる駆動ローラ62と、中間転写ベルト61を挟んで該駆動ローラ62と対向配置される二次転写ローラ10aとから構成されている。
【0027】
定着部11は、記憶媒体上に二次転写されたトナー像を記録紙に定着させるものであり、加圧及び加熱することによりトナー像を記録紙に定着させる加熱ローラを備える。
搬送路13は、給紙カセット8から記憶紙を搬出するピックアップローラ13a、記憶媒体を搬送する給紙ローラ13b、排紙トレイ12に記憶媒体を排紙する排紙ローラ13c等を備える。
【0028】
廃トナー回収ユニット14は、本発明の特徴をなすもので、位置決め部材と、検出部と、廃トナー回収ボトルとから構成されている。この廃トナー回収ユニット14には、上述したクリーニング部65で除去された廃トナーを受け入れて回収できるように構成されている。この廃トナー回収ユニット14については、後に図面を用いて詳述する。
【0029】
このような構成からなる複写機Pは、上述のように、画像読取部1において画像データが取得され、さらに印刷部2において当該画像データに基づいて記録紙にカラー印刷が行なわれる。
【0030】
以下、図2及び図3を用いて廃トナー回収ユニット14について説明する。この廃トナー回収ユニット14は、位置決め部材100と、検出部200と、廃トナー回収ボトル300とから構成されていて、複写機Pの本体内で比較的大きな空間を確保できる箇所に設けられている。しかも、その箇所は、複写機Pのカバー(不図示)を開けたときに外側に現れる所で、廃トナー回収ボトル300の着脱が容易に行なえるように配慮されている。
【0031】
位置決め部材100は、取付金具110と保持部120とで構成されている。このうち、取付金具110はL字状の金具からなり、その一辺側には、複写機Pの図示しない本体フレームに設けられている位置決め用孔に挿入されるピン111が設けられていると共に、その取付金具110をそのフレームに固定するためのビス112が設けられるように構成されている。
【0032】
保持部120は、コ字状の可撓性を有する合成樹脂からなり、取付金具110の他辺側に固定されている。この保持部120の取付金具110に対する取付は、平面から見たとき、コ字状の開口側が取付金具110と反対側に位置し、かつ、コ字状の相対している二辺に当る突出片121a,121bは、水平を保つように(図1において、廃トナー回収ボトル300の載置面と平行になるように)設けられている。そして、これら突出片121a,121bの間隔は、後述する廃トナー回収ボトル300の上部の絞り部が嵌入できるように決められていると共に、これら突出片121a,121bの相対する面の一部は、互いの面側に突出するようにそれぞれ形成されている。これら突出した部分は、廃トナー回収ボトル300の上部の絞り部に形成されている凹部に挿入できる大きさに決められている。
【0033】
検出部200は、リミットスイッチからなり、取付金具110の他辺側に設けられていて、その他辺側に廃トナー回収ボトル300が位置したときに操作される作動片210を備えている。すなわち、この作動片210は、後述するフレーム側に設けられている廃トナーの排出口400の下部と廃トナー回収ボトル300の回収口312との接合が一致したときに検出部200から信号を出力できるように構成されている。
なお、検出部200は、廃トナー回収ボトル300が位置したことを検出できるセンサであれば、リミットスイッチからなる機械的なセンサでなくとも、光学的なセンサ等であってもよい。
【0034】
廃トナー回収ボトル300は、合成樹脂製の容器からなり、その容器の上部は、他の部分より小形の絞り部310に形成され、その絞り部310の下部は収納部311に形成されている。絞り部310は、廃トナー回収ボトル300が複写機Pのフレームに載置されたときに、保持部120の突出片121a,121b間に対向でき、かつ、それら突出片121a,121b間に嵌入できる大きさに決められている。また、絞り部310の上面には、回収口312が設けられていて、クリーニング部65で回収された廃トナーをフレーム側に設けられている廃トナーの排出口400を介して回収口312で受け、これによって廃トナーを廃トナー回収ボトル300内に受け入れられるように構成されている。この排出口400の下部形状は、廃トナー回収ボトル300の回収口312の形状と一致するように決められている。なお、図示しないが、この排出口400の内側には、廃トナー回収ボトル300が複写機Pから抜き取られているときにその排出口400を閉じるシャッターが設けられている。
収納部311は、その下面側が複写機Pのフレームに載置され(図1参照)、その容量は、複写機P内に収納できる範囲で可能なかぎり大きく形成され、多くの廃トナーを収納できるように配慮されている。
【0035】
上記構成からなる廃トナー回収ユニット14によれば、検出部200の設けられている位置決め部材100で、廃トナー回収ボトル300の回収口312の設けられている絞り部310を保持することができるので、廃トナー回収ボトル300の廃トナーの回収口312が複写機Pの本体内に設けられている廃トナーの排出口400に正常に接合したことを検出部200で確実に検出することができる。したがって、廃トナーが複写機Pの本体内に飛散してしまうという欠点を防止することができると共に、回収口312が廃トナーの排出部400に正常に接合しているにも関わらず、検出部200が廃トナー回収ボトル300の装着無しを検出してしまい、その結果画像形成装置本体が稼動できないという欠点を防止することができる。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0037】
例えば、上述の例では、廃トナー回収ボトル300には、中間転写ベルト61上のクリーニング部65で除去された廃トナーのみを受け入れて回収できるようにしているが、画像形成ユニット7のクリーニング装置76で除去された廃トナーも回収できるようにしてもよい。
また、上述の例では、フルカラー式の場合の廃トナー回収について説明したが、モノクロ式の場合の廃トナー回収であってもよい。
また、上述の例では、回収口312が絞り部310の上面に設けられている構成について説明したが、これに限定されるものではなく、絞り部310の上面を除く他の面に回収口312が設けられていても良い。
【符号の説明】
【0038】
P……複写機(画像形成装置)、6……ベルトユニット、61……中間転写ベルト、65……クリーニング部、7……画像形成ユニット、14……廃トナー回収ユニット、100……位置決め部材、110……取付金具、111……ピン、112……ビス、120……保持部、121a,121b……突出片、200……検出部、210……作動片、300……廃トナー回収ボトル、310……絞り部、311……収納部、312……回収口、400……排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成後に回収された廃トナーを収容する廃トナー回収ボトルが着脱可能に設けられる画像形成装置であって、
装着される前記廃トナー回収ボトルの位置決めを行う位置決め部材と、
該位置決め部材と一体的に設けられると共に前記廃トナー回収ボトルの有無を検出する検出部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記廃トナーを受ける廃トナーの回収口を有する絞り部を備え、前記位置決め部材は、前記絞り部を位置決めすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記絞り部を把持することによって位置決めすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−209494(P2011−209494A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76972(P2010−76972)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】