説明

画像形成装置

【課題】色トナーのみならず、他色のトナーについても、正常トナーであるかどうかを判別できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】正常トナーとキャリアとを混合してなる現像剤を所定回数撹拌したときの、透磁率センサ36によって測定した波形を正常波形として記憶手段73に記憶させ、トナー容器61が装置本体に装着されたとき、現像装置30の撹拌手段32を駆動させて現像剤を撹拌して透磁率センサ36で透磁率を測定し、得られた測定波形と記憶手段73に記憶された正常波形とを比較して、トナー容器61から現像装置30に補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、出力される画像が最適になるように、内部機構や各種画像形成条件(帯電装置の印加電圧、現像バイアス電圧、転写電圧、定着温度など)が設計されている。現像用トナー(以下、単に「トナー」と記すことがある)も同様に、それぞれの画像形成装置に対応して、出力される画像が最適になるように設計されている。近年、画像形成装置は、フルカラー装置やモノクロ装置、画像形成速度など使用者の用途に応じて多種多様な装置が開発され市販されている。これに伴い、トナーも多様化が進んでいる。
【0003】
一方、資源の有効活用やコストダウンの観点から、装置本体に装着して現像装置にトナーを補充するトナー容器の共通化が進められている。
【0004】
ところが、異なるトナーが充填された同一形態のトナー容器が複数存在することになると、画像形成装置にトナーを補給する際に、誤って他機種用のトナー容器を画像形成装置に装着するおそれがある。特に、大規模なオフィスでは、フルカラー装置やモノクロ装置、低速装置、高速装置、あるいは旧型と新型といったように多種多様な画像形成装置が設置されており、間違ったトナー容器を装着する可能性が高い。
【0005】
間違ったトナー容器が画像形成装置に装着されると、画像形成条件とトナー特性とが一致せず発色性や定着性が劣化し、最適な画像を得ることが困難になる。また、トナーの飛散や定着ローラ等への固着が生じ、装置が故障する原因にもなる。
【0006】
そこで、例えば特許文献1では、トナーに赤外線反射性能を有する成分を含有させると共に、装置本体に赤外線検知ユニットを設けて、形成した画像に赤外線を照射し、使用しているトナーが正常トナーかどうかを判別する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-330338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の提案技術は、赤外線反射性能を有する成分をトナーに含有させるため、黒色トナー以外のカラートナーには適用できない問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、黒色トナーのみならず、他色のトナーについても、正常トナーであるかどうかを判別できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、トナーとキャリアとを混合してなる現像剤が充填された現像装置と、現像装置にトナーを補給する、装置本体に対して着脱自在のトナー容器と、記憶手段とを備えた画像形成装置であって、前記現像装置は、現像剤を撹拌する撹拌手段と、現像剤の透磁率を測定する透磁率センサとを有し、前記記憶手段は、正常トナーとキャリアとを混合してなる現像剤を所定回数撹拌したときの、前記透磁率センサによって測定した波形を正常波形として記憶し、トナー容器が装置本体に装着されたとき、前記現像装置の前記撹拌手段を駆動させて現像剤を撹拌して前記透磁率センサで透磁率を測定し、得られた測定波形と前記記憶手段に記憶された正常波形とを比較して、前記トナー容器から現像装置に補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0011】
正常トナーかどうかの判別性能を上げる観点からは、前記透磁率センサによって測定した波形の、最大値と最低値との差及び/又は極大値の数を比較して、補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別してもよい。
【0012】
また、本発明によれば、現像バイアス電圧を印加して感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像する現像装置と、現像装置にトナーを補給する、装置本体に対して着脱自在のトナー容器と、感光体上のトナー濃度を測定する濃度センサと、記憶手段とを備えた画像形成装置であって、前記記憶手段は、正常トナーを用いて現像バイアス電圧を2以上に変化させて、前記濃度センサで測定した感光体上のトナー濃度と現像バイアス電圧との相関関係を正常関係として記憶し、トナー容器が装置本体に装着されたとき、現像バイアス電圧を2以上変化させて感光体上のトナー濃度を前記濃度センサで測定し、現像バイアス電圧とトナー濃度との相関関係を求め、求めた相関関係と前記記憶手段に記憶された正常関係とを比較して、前記トナー容器から現像装置に補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0013】
前記画像形成装置に表示手段をさらに設け、前記トナー容器から現像装置に補給されたトナーが正常トナーでないと判断された場合には、前記表示手段にその旨を表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
第1発明に係る画像形成装置では、現像剤の透磁率を測定することによって正常なトナーかどうかを判別するので、特別な添加剤や検知センサを設ける必要がなく、また黒色トナーのみならず、それ以外のカラートナーについても正常なトナーかどうかを判別できるようになる。
【0015】
また、第2発明に係る画像形成装置では、感光体上のトナー濃度と現像バイアス電圧との相関関係から正常なトナーかどうかを判別するので、第1発明と同様に、特別な添加剤や検知センサを設ける必要がなく、また黒色トナーのみならず、それ以外のカラートナーについても正常なトナーかどうかを判別できるようになる。
【0016】
この結果、不正常なトナーを使用した場合に生じる装置本体への悪影響を抑えることができる。また、使用者にその旨を知らせることによって、安定・安全な装置の稼働が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図。
【図2】図1の作像ユニット20の概説図。
【図3】透磁率センサの検出電圧の波形例を示す図。
【図4】第2の発明に係る画像形成装置に用いる作像ユニットの一例を示す概説図。
【図5】現像バイアス電圧を変化させたときの、トナーの種類ごとのトナー濃度変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0019】
図1に、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図を示す。画像形成装置1は、主に画像を印刷するプリンタ部100と、主に原稿画像を読み取るイメージリーダー部200と、操作入力部300とから構成されている。操作入力部300は、使用者が印刷条件等を入力する入力部310と、装置の稼働状況や使用者の入力結果を表示する表示パネル(表示手段)320とを有する。
【0020】
イメージリーダー部200は、不図示の原稿ガラス板の上に載置された原稿を、スキャナを移動して読み取る公知のものである。原稿画像は、赤(R)・緑(G)・青(B)の三色に色分解されて、不図示のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサにより電気信号に変換され、R・G・Bの画像データとしてプリンタ部100へ送られる。
【0021】
プリンタ部100は、その内部中央部に中間転写ベルト11を備えている。中間転写ベルト11は半導電性材料からなっており、3つのローラ12、13、14に懸架されて、図において反時計回りに回転している。中間転写ベルト11の下面水平部の下には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色にそれぞれ対応する4つの作像ユニット20Y、20M、20C、20K(以下、「作像ユニット20」と総称することがある)が、中間転写ベルト11に沿って並んで配置されている。
【0022】
図2に示すように、作像ユニット20は円筒状の感光体21を有し、感光体21の周囲には、回転方向に沿って順に、感光体21の表面を均一に帯電させる帯電器22と、均一に帯電した感光体21の表面に色データに応じて露光することによって静電潜像を形成するプリントヘッド23と、感光体21の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像とする現像装置30と、中間転写ベルト11を挟んで感光体21と対向する位置で中間転写ベルト11の内側に接触して設けられ、感光体21の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト11の下面に一次転写するための一次転写ローラ24と、一次転写の後に感光体21の表面に残留するトナーを回収してクリーニングするクリーナ25が配置されている。プリントヘッド23は、感光体21の軸方向と平行な走査方向に多数並べられたLED列で構成されている。
【0023】
図1に戻って、作像部ユニット20の各現像装置には、各色トナーを一定量補給するサブホッパー62Y、62M、62C、62K(以下、「サブホッパー62」と総称することがある)が設けられており、ここから不図示のジョイントを介して各現像装置にトナーが供給される。サブホッパー62の上方には、トナー容器61Y、61M、61C、61K(以下、「トナー容器61」と総称することがある)が着脱自在に設けられている。サブホッパー62内のトナー残量が少なくなると、トナー容器61からサブホッパー62にトナーが供給される。トナー容器61内のトナーがなくなると、新しいトナー容器61と交換される。これらのトナー量の検出やトナー供給は、不図示のセンサや駆動手段で実行される。
【0024】
中間転写ベルト11を懸架するローラ12の外側には二次転写ローラ44が圧接されている。二次転写ローラ44と中間転写ベルト11との接触部分が二次転写領域となる。二次転写ローラ44は、不図示の離接機構により、中間転写ベルト11に接触する位置と接触しない位置とに移動可能に設けられている。また、中間転写ベルト11を懸架するローラ14の外側にはクリーニングブラシ15が設けられており、中間転写ベルト11の表面に残るトナーを掻き取って廃トナーボックス16に回収している。このクリーニングブラシ15も中間転写ベルト11に接触する位置と接触しない位置とに移動可能に設けられている。
【0025】
プリンタ部100の下方には給紙カセット41が着脱自在に設けられている。給紙カセット41に積載収容された用紙は給紙ローラ42によって最上部のものから1枚ずつ搬送路Aに送り出される。搬送路Aは、給紙カセット41からタイミングローラ対43のニップ部、二次転写領域、定着ユニット50を通って排紙トレイまで伸びている。タイミングローラ対43は、給紙カセット41から送られてきた用紙を中間転写ベルト11上の画像と同期をとって二次転写領域に給紙するためのものである。タイミングローラ対43の近傍には、タイミングセンサ45が設けられている。このタイミングセンサ45は、用紙の先端がタイミングローラ対43で挟まれたことを検知するものである。タイミングセンサ45が用紙の先端を検知すると、タイミングローラ対43は一時回転を停止し、その後、中間転写ベルト11上のトナー画像と同期をとって用紙を二次転写領域に送り出す。なお、タイミングローラ対43では普通紙か厚紙かOHP用紙か等の用紙厚さを検知する機能を持たせることもできる。
【0026】
定着ユニット50は、一対の加熱ローラ51a,51bに懸架された定着ベルト52と、この定着ベルト52を介して加熱ローラ51aに圧接し従動回転する定着ローラ53とを備えている。トナー画像が二次転写された用紙が定着ベルト52と定着ローラ53のニップ部を通過する間に、トナー画像は加熱・加圧されて用紙に溶融定着する。
【0027】
制御部70は、各種センサの情報や使用者の指示に応じて装置全体の動作を設計された仕様で駆動制御する動作制御部71と、イメージリーダ200で読み取ったりパソコンやFAXなどで受信したデジタルデータを格納するデータ格納部72と、記憶手段73と、電源部74を有する。記憶手段73は後述する正常トナー特有の情報を記憶すると共に、トナー容器61を交換したときに検出するトナー情報と比較し、正常トナーであるかどうかを判別する機能を持っている。また、電源部74は画像形成や転写や定着に必要なそれぞれの電圧を制御する。
【0028】
このような構成の画像形成装置において、画像信号が入力されると、動作制御部71で色別に変換したデジタル画像信号を作成し、この信号がそれぞれの色のプリントヘッド23のLED駆動回路に入力され、LEDが発光して均一に帯電した感光体21の表面を露光し、各色別の静電潜像を形成する。この露光は、4個のプリントヘッド23が色順に時間差をもって実行される。この形成された静電潜像は、各現像装置30によって現像されたトナー画像となる。次ぎに、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加された一次転写ローラ24によってトナー画像は中間転写ベルト11に転写される。この動作が各色で行われ、中間転写ベルト11上に各色が重ね合わさったトナー画像が形成される。
【0029】
次に、中間転写ベルト11に形成されたトナー画像は二次転写領域に運ばれる。そして、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加された二次転写ローラ44によって、トナー画像は、二次転写領域を通過する用紙に一括して二次転写される。なお、モノクロ画像の場合には、作像ユニット20Kだけが稼働してブラックのトナー画像が作られ、前記フルカラー画像の場合と同様に、一次転写及び二次転写された後、定着ユニット50で用紙に溶融定着される。
【0030】
以上説明した画像形成において、例えば、現像工程や一次転写工程、二次転写工程では、トナーの帯電量と印加する電圧との関係が重要となる。また、定着工程では、トナーの溶融特性と定着ユニットによる加熱温度との関係が重要となる。これらの関係が好適でないと、画像の発色性や定着性が劣化し、最適な画像が得られない。ところが、前述のようにトナーの帯電特性及び溶融特性等はトナーの種類によって異なる。そこで、本発明では、トナー容器61を交換した際に、補給されるトナーが正常トナーであるかどうかを判別するようにした。
【0031】
第1の発明に係る画像形成装置は、トナーとキャリアとから構成される二成分系現像剤において、トナーの種類ごとにその現像剤が示す透磁率が異なることに着目してなされたものである。図2に作像ユニット20の概説図を示す。現像装置30は、ケース31内に、互いに搬送方向の異なる2つの搬送スクリュー32,33と、感光体21と離隔対向するように設けられた回転自在の現像ローラ35と、ケース31の底面に設けられた透磁率センサ36とを有する。現像ローラ35及び2つの搬送スクリュー32,33の回転軸はいずれも感光体21の回転軸と平行とされている。搬送スクリュー32にはパドル32aが取り付けられており、これによって、現像剤を軸方向に搬送すると同時に透磁率センサ36近傍の現像剤を撹拌混合する。
【0032】
図3に、透磁率センサ36による検出電圧の経時変化例を示す。これは、パドル32aが3回転する間の検出電圧の変化を示すものである。この図の検出電圧は、大きいピークと小さいピークとが交互に繰り返す波形となっている。このような検出電圧の変化は、トナーの種類ごとに異なる。そこで、トナー容器61(図1に図示)が交換された際、当該トナー容器61に充填されているトナーが正常トナーかどうかを、透磁率センサ36によって測定した検出電圧の経時変化によって判別する。すなわち、正常トナーを用いた現像剤の透磁率センサ36による検出電圧の経時変化を記憶手段73(図1に図示)に予め記憶させておく。そして、トナー容器61(図1に図示)が交換されると、パドル32aを回転させて、透磁率センサ36による検出電圧の経時変化を測定し、予め記憶している正常トナーの場合と比較し、交換されたトナー容器61に充填されているトナーが正常トナーかどうかを判別するのである。正常トナーを用いた現像剤の透磁率センサ36による出力波形は、記憶手段73に予め記憶しておいてもよいし、各画像形成装置においてそれぞれ測定して記憶するようにしてもよい。なお、図3の波形は特定の装置用の正常トナーの場合を示すもので、異なる機種用の正常トナーは異なる波形を示す。
【0033】
透磁率センサ36による検出電圧波形の比較方法としては、例えば、透磁率センサ36の検出電圧の最大値と最小値との差A(図3に図示)や極大値の数(図3の○印)を指標とすればよい。これらを組み合わせることにより正常トナーかどうかの判別の精度を高められる。
【0034】
透磁率センサ36による測定値には、ばらつきが不可避的に生じるので、測定値に基づく判別には所定の許容範囲を設けるのが望ましい。例えば、透磁率センサ36が検出電圧の最大値と最小値との差については、差の違いがプラスマイナス5%以内を正常トナーと判別し、それを超える場合を正常トナーでないと判別する。また、検出電圧の極大値の数については、例えば極大値数がプラスマイナス10%の範囲を正常トナーと判別し、その範囲を超える場合を正常トナーでないと判別する。正常トナーでないと判別した場合には、その旨を表示パネル320(図1に図示)に表示して使用者に報知し、トナー容器61(図1に図示)の交換を促すようにするのが好ましい。
【0035】
次に、第2の発明に係る画像形成装置について説明する。第2の発明は、トナーの種類ごとに、現像バイアス電圧とトナー濃度との相関関係が異なることに着目してなされたものである。すなわち、トナー容器61(図1に図示)が交換されると、現像バイアス電圧を変化させて複数個の濃度の異なる画像(例えば数mm角のトナーパッチ)を形成し、濃度センサ37によってその濃度を測定し、現像バイアス電圧とトナー濃度との関係を求める。そして、予め記憶されている、正常トナーを用いた場合の、現像バイアス電圧とトナー濃度との関係と比較して、トナー容器61に充填されているトナーが正常トナーかどうかを判別するのである。なお、正常トナーを用いた場合の、現像バイアス電圧とトナー濃度との関係は、記憶手段73に予め記憶しておいてもよいし、各画像形成装置においてそれぞれ測定して記憶するようにしてもよい。
【0036】
図4に、第2の発明に係る画像形成装置に用いる作像ユニット20の一例を示す。この図に示す作像ユニット20では、現像装置30と一次転写ローラ24との間に、感光体21の表面に形成されたトナー画像の濃度を測定する濃度センサ37が設けられている。そして、トナー容器61(図1に図示)が交換されると、現像バイアス電圧を変化させて複数個の濃度の異なる画像が形成され、濃度センサ37によってその濃度が測定される。濃度センサ37による測定値は記憶手段73へ送られる。
【0037】
図5に、現像バイアス電圧とトナー濃度との関係の一例を示す図を示す。この図は、縦軸をトナー濃度とし、横軸を現像バイアス電圧として、正常トナー、トナー容器61Aのトナー、トナー容器61Bのトナーについて、現像バイアス電圧を変化させたときのトナー濃度をそれぞれプロットしたものである。この図から理解されるように、現像バイアス電圧が高くなるとトナー濃度も高くなるが、その傾きはトナーによって異なる。また、同じ現像バイアス電圧を印加してもトナーによってトナー濃度は異なる。
【0038】
図5において、正常トナーとトナー容器61Aのトナーとは、現像バイアス電圧を変化させたときのトナー濃度の測定値が近似しており、トナー容器61Aのトナーは正常トナーと判別できる。一方、トナー容器61Bのトナーは、トナー濃度が正常トナーよりも全体的に低い値となっており、トナー容器61Bのトナーは正常トナーではないと判別できる。図5では、現像バイアス電圧を3段階に変えてトナー濃度を測定しているが、現像バイアス電圧を変化させる数は2つ以上であればよく、4つ以上変えてももちろん構わない。
【0039】
第1の発明と同様に、測定値にはばらつきが不可避的に生じるので、測定値に基づく判別には所定の許容範囲を設けるのが望ましい。例えば、現像バイアス電圧の上昇に対するトナー濃度の上昇、すなわち図5における直線の傾きで正常トナーかどうかを判別する場合には、正常なトナーの場合の傾きに対してプラスマイナス5%以内を正常トナーと判別し、それを超える場合を正常トナーでないと判別する。また、所定のバイアス電圧におけるトナー濃度で正常トナーかどうかを判別する場合には、正常なトナーの場合のトナー濃度に対してプラスマイナス5%以内を正常トナーと判別し、それを超える場合を正常トナーでないと判別する。トナー濃度変化(傾き)及びトナー濃度値の両方を用いて正常トナーかどうかを判別すると判別精度が高まる。正常トナーでないと判別した場合には、その旨を表示パネル320(図1に図示)に表示して使用者に報知し、トナー容器61の交換を促すようにするのが好ましい。
【0040】
また、第1の発明と第2の発明とを同時に実施するようにしてもよい。すなわち、2成分系現像剤を用いる画像形成装置において、透磁率センサ36(図2に図示)と濃度センサ37(図4に図示)を設けて、現像剤撹拌中の透磁率センサの検出電圧の波形と、感光体21の表面の濃度と現像バイアス電圧の相関関係とによって正常トナーかどうかを判別する。これにより、判別精度を一層高めることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の画像形成装置は、特別な添加剤や検知センサを設けることなく、また黒色トナーのみならず、それ以外のカラートナーについても正常なトナーかどうかを判別でき有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
21 感光体
30 現像装置
32 搬送スクリュ
33 搬送スクリュ
36 透磁率センサ
37 濃度センサ
61 トナー容器
73 記憶手段
320 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを混合してなる現像剤が充填された現像装置と、現像装置にトナーを補給する、装置本体に対して着脱自在のトナー容器と、記憶手段とを備えた画像形成装置において、
前記現像装置は、現像剤を撹拌する撹拌手段と、現像剤の透磁率を測定する透磁率センサとを有し、
前記記憶手段は、正常トナーとキャリアとを混合してなる現像剤を所定回数撹拌したときの、前記透磁率センサによって測定した波形を正常波形として記憶し、
トナー容器が装置本体に装着されたとき、前記現像装置の前記撹拌手段を駆動させて現像剤を撹拌して前記透磁率センサで透磁率を測定し、得られた測定波形と前記記憶手段に記憶された正常波形とを比較して、前記トナー容器から現像装置に補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記透磁率センサによって測定した波形の、最大値と最低値との差及び/又は極大値の数を比較して、補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
現像バイアス電圧を印加して感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像する現像装置と、現像装置にトナーを補給する、装置本体に対して着脱自在のトナー容器と、感光体上のトナー濃度を測定する濃度センサと、記憶手段とを備えた画像形成装置において、
前記記憶手段は、正常トナーを用いて現像バイアス電圧を2以上に変化させて、前記濃度センサで測定した感光体上のトナー濃度と現像バイアス電圧との相関関係を正常関係として記憶し、
トナー容器が装置本体に装着されたとき、現像バイアス電圧を2以上変化させて感光体上のトナー濃度を前記濃度センサで測定し、現像バイアス電圧とトナー濃度との相関関係を求め、求めた相関関係と前記記憶手段に記憶された正常関係とを比較して、前記トナー容器から現像装置に補給されたトナーが正常トナーかどうかを判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置が表示手段をさらに備え、前記トナー容器から現像装置に補給されたトナーが正常トナーでないと判断された場合には、前記表示手段にその旨を表示する請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−215174(P2011−215174A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80161(P2010−80161)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】