画像形成装置
【課題】アイドラーギアの回転時に画像形成ユニットが位置決め孔から離間しないようにする。
【解決手段】感光体ドラム10、現像ローラ12−2およびアイドラーギア12−1aを備えた画像形成ユニットSYと、感光体ドラム10の軸部10aと二点で接触して位置決めする位置決め孔30aおよびアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaを位置決め孔30aに対して接近・離間する方向に移動自在に支持する支持孔30bを備えたブラケット30とを有し、アイドラーギア12−1aが駆動されたときに回転軸12−1aaが受ける力Fを第1の分力F1と第2の分力F2とに分離したとき、第1の分力F1は位置決め孔30aと軸部10aとが接触する力を増加させる方向となっている。
【解決手段】感光体ドラム10、現像ローラ12−2およびアイドラーギア12−1aを備えた画像形成ユニットSYと、感光体ドラム10の軸部10aと二点で接触して位置決めする位置決め孔30aおよびアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaを位置決め孔30aに対して接近・離間する方向に移動自在に支持する支持孔30bを備えたブラケット30とを有し、アイドラーギア12−1aが駆動されたときに回転軸12−1aaが受ける力Fを第1の分力F1と第2の分力F2とに分離したとき、第1の分力F1は位置決め孔30aと軸部10aとが接触する力を増加させる方向となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からプリンタ等の画像形成装置の本体に対して着脱される画像形成ユニット(画像形成部材組付体)が知られている。この画像形成ユニットには感光体ドラム(感光体の一例)および現像ローラ(現像手段の一例)が設けられており、画像形成ユニットを画像形成装置の装置本体に装着して使用される。
【0003】
ここで、特許文献1(特開平7−114324号公報)には、画像形成ユニットにおいて装置本体側から伝わる駆動反力を分散させて画像形成ユニットを押さえる力を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−114324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成ユニットを着脱できるよう構成した画像形成装置においては、着脱が容易であるとともに、画像形成時には確実に位置決めが成され、画像形成ユニットの振動による画像の劣化を抑制することが求められる。
【0006】
本発明は、回転手段が回転したときに画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体、現像剤を前記感光体に供給して前記静電潜像を現像する現像手段、および駆動力を受けて前記現像手段を回転させる回転手段を備えた画像形成部材組付体と、前記回転手段と噛み合い、前記回転手段を駆動する駆動手段と、前記感光体の軸部を回転自在に支持し、二点で接触して位置決めする位置決め孔が形成された位置決め部材と、前記回転手段の回転軸を前記位置決め孔に対して接近・離間する方向に移動自在に支持する支持孔が形成された支持部材とを有し、前記駆動手段が前記回転手段を駆動したときに前記回転軸が受ける力を前記支持孔における前記回転軸の移動を案内する案内辺に沿った第1の分力と前記案内辺と直交した第2の分力とに分離したとき、前記第1の分力の方向は前記位置決め孔と前記感光体の前記軸部とが接触する力を増加させる方向となっている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、画像形成部材組付体の重心は、前記感光体の軸部と前記回転手段の回転軸とを結ぶ線分を対角線とし、当該線分の両端を通る水平線を含んで形成される長方形または正方形の領域内に位置している、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記位置決め孔における前記感光体の前記軸部と接触する二点をそれぞれ通る接線が水平線とでなす角度をそれぞれθ1、θ2(但し、θ1<θ2)とし、前記支持孔の前記案内辺が水平線とでなす角度をθ3としたとき、θ1≦θ3≦θ2の関係が成立するようにそれぞれの角度が設定されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記位置決め部材と前記支持部材とは一体に形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、回転手段が回転したときにおいて画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生を防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、装置動作時において画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、装置動作時において画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、感光体の軸部と回転手段の回転軸とが精度よく位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの内部構成を示す説明図である。
【図3】図1のプリンタの外側扉および内側扉を開いた内部構造を示す図である。
【図4】図1のプリンタにおいて感光体ドラムと内側扉との関係を示す斜視図である。
【図5】図1のプリンタにおける画像形成ユニットとブラケットを示す斜視図である。
【図6】画像形成ユニットとブラケットとの関係を示す図である。
【図7】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図8】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図9】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図10】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図11】図1のプリンタにおける画像形成ユニットを示す側面図である。
【図12】位置決め孔における感光体ドラムの軸部と接触する二点をそれぞれ通る接線と支持孔の案内辺との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
本発明についての実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタPR1について説明する。
【0018】
図1および図2において、プリンタPR1は、装置本体として樹脂製の筐体1内に、記録媒体としての印刷用紙の格納部、印刷用紙の搬送機構、印刷用紙に対して画像形成を行う画像形成ユニット等が収納されている。そして、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色のトナーを用いて印刷動作を実行する。
【0019】
プリンタPR1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SK(画像形成部材組付体の一例)を備えている。これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKはそれぞれ独立して着脱されるようになっている。
【0020】
4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、予め設定された速度で回転する感光体ドラム10(10Y,10M,10C,10K)(感光体の一例)と、この感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面を帯電する帯電ローラ11(11Y,11M,11C,11K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を対応する色のトナー(現像剤の一例)で現像する現像装置12(12Y,12M,12C,12K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置13Y,13M,13C,13Kなどで構成されている。
【0021】
これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの上方には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を現像装置12Y,12M,12C,12Kで現像するために用いられるトナー(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のトナー)がそれぞれ収容されたトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kが着脱自在に装着されている。
【0022】
現像装置12Y,12M,12C,12Kは、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kにトナーを供給する現像ローラ12−2(12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2)(現像手段の一例)を有している。そして、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kに収容された例えば二成分または一成分の現像剤を攪拌しつつ現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2へと供給し、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kと対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に形成された静電潜像をトナーで現像するように構成されている。
【0023】
これにより、各感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像は、現像装置12Y,12M,12C,12Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
【0024】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの下方には、帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置14が配置されている。
【0025】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kとの間には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が転写(一次転写の一例)されるユニット化された中間転写ベルト15が、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに接触するように設けられている。中間転写ベルト15は筐体1に対して着脱自在で、3つのローラ16a,16b,16c(何れか1つのローラが駆動ローラ、他のローラが従動ローラ)に掛け渡されており、これらのローラ16a,16b,16cにより、図面の矢印で示す方向に回転する。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト15上に重ね合わされて転写されることにより、中間転写ベルト15上にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0026】
なお、中間転写ベルト15を挟んでローラ16cと対向する位置には、中間転写ベルト15上の残留トナーを除去するためのクリーナ22が配置されている。
【0027】
中間転写ベルト15を感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kとで挟むようにして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト15にそれぞれ転写するための一次転写ローラ16(16Y,16M,16C,16K)が配置されている。なお、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kはユニット化された中間転写ベルト15に組み込まれており、中間転写ベルト15と一体となって着脱される。
【0028】
また、ローラ16aと対向する位置には、中間転写ベルト15に転写されたフルカラートナー像を記録媒体である用紙Pに転写するための二次転写ローラ17が、ローラ16aとで中間転写ベルト15を挟むニップ部Nを形成するように設けられている。
【0029】
筐体1の下部には用紙Pの収容された給紙カセット18が装着されている。そして、給紙カセット18からピックアップローラ19にて一枚ずつ取り出された用紙Pは、前述したニップ部Nを経由して定着装置20を通り、筐体1の上部に形成された排紙トレイ24へと至る用紙搬送路Rを搬送される。そして、一対のレジストローラ23でタイミングを計られて用紙Pがニップ部Nに送り込まれると、中間転写ベルト15上のフルカラートナー像が二次転写ローラ17により用紙Pに転写される。その後、転写されたトナー像が定着装置20で定着された後、排紙トレイ24上に排出される。
【0030】
なお、筐体1の側部には手差しトレイ21が設けられており、手差しトレイ21からも用紙Pが用紙搬送路Rを搬送されるようになっている。
【0031】
筐体1の内部には、制御ユニットが配設されており、この制御ユニットには、例えば、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置が設けられている。
【0032】
この画像処理装置からは、前述の露光装置14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、露光装置14から画像データに応じて出射される4本のレーザビームが、それぞれの感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に走査露光されて静電潜像が形成される。
【0033】
図1において、筐体1の一側面(図1では正面側の面)には、手動で開閉する外側扉2が設けられている。
【0034】
図1および図3に示すように、外側扉2を開放した状態において露出される筐体1の内部には、前述したユニット化された中間転写ベルト15および4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱自在に装着されている。ここで、本実施の形態では、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの筐体1への装着部位が上下方向で順次異なっており、画像形成ユニットSYが最も高い位置に装着され、以下、画像形成ユニットSM、画像形成ユニットSC、画像形成ユニットSKと装着部位が順次低くなっている。
【0035】
これら中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、図1に示すように、中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱される開口部5aが形成された内部壁5に取り付けられて下部を支点にして開閉されるとともに、閉鎖時には開口部5aを閉塞する内側扉3により隠蔽されている。
【0036】
図示するように、内側扉3には、閉鎖された当該内側扉3を内部壁5にロックする位置と,内部壁5とのロックを解除する位置とに移動する解除レバー4が2箇所に設けられている。
【0037】
図4に示すように、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K、帯電ローラ11Y,11M,11C,11K、現像装置12Y,12M,12C,12K、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kは、これらの装着方向と同じ方向にその長手方向を向けて配置されている。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K、帯電ローラ11Y,11M,11C,11K、現像装置12Y,12M,12C,12K、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kに回転力を伝達する伝達機構(ギアやカップリング(軸継手)など)は画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの装着方向前方側(つまり、筐体1の奥側)に配置されている。なお、本実施の形態では、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの駆動はカップリングで行われており、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kが駆動されたときの回転軸の変位が防止されている。
【0038】
また、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2を回転させる現像ローラ回転ギアに駆動力を伝達するアイドラーギア12−1a(12Y−1a,12M−1a,12C−1a,12K−1a)(回転手段の一例)は、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの装着方向後方側(つまり、筐体1の手前側)に配置されている(図5、図6参照)。
【0039】
前述した内側扉3には、図4および図5に示すように、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aを回転自在に支持し、二点で接触して位置決めを行うために下部がV字形に形成された位置決め孔(位置決め孔の一例)30aの形成されたブラケット30(位置決め部材の一例)が配置されている。また、内側扉3に設けられた前述の解除レバー4には、当該解除レバー4を操作して内部壁5にロックする位置にすると、この操作に連動して感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aを位置決め孔30aに押し付けるバネ部材(図示せず)が備えられている。したがって、解除レバー5を操作することにより、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aが位置決め孔30aに二点で押し付けられて位置決めが行われる。
【0040】
ここで、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aは、ドラム本体と一体で回転する回転軸10a−1と、この回転軸10a−1を回転自在に支持する軸受け10a−2とで構成されており、軸受け10a−2は位置決め孔30aに支持されるだけで回転はせず、軸受け10a−2に支持された回転軸10a−1が回転するようになっている。
【0041】
感光体ドラム10の軸部10aと前述のアイドラーギア12−1aは、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの装着方向後方側に取り付けられた支持フレームSY−1,SM−1,SC−1,SK−1に支持されている(図11参照)。
【0042】
なお、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの位置決め孔30aは、下部がV字形である必要はなく、位置決めを行うことのできる形状となっていればよい。
【0043】
図5および図6に示すように、ブラケット30(支持部材の一例)には、さらにアイドラーギア12−1a(12Y−1a,12M−1a,12C−1a,12K−1a)の回転軸12−1aa(12Y−1aa,12M−1aa,12C−1aa,12K−1aa)(回転軸の一例)を支持する支持孔30b(支持孔の一例)が形成されている。
【0044】
この支持孔30bは位置決め孔30aに向けて長く形成された長孔である。したがって、回転軸12−1aaが支持孔30bに支持されることにより、アイドラーギア12−1aは位置決め孔30aに対して接近・離間する方向に移動自在となっている。
【0045】
本体側フレーム31には、図示しない駆動源(駆動手段の一例)からの回転力をアイドラーギア12−1aに伝達するための伝達ギア32が回転自在に取り付けられている。したがって、アイドラーギア12−1aは伝達ギア32を介して駆動源と噛み合っている。そして、駆動源により伝達ギア32が回転すると、この回転力がアイドラーギア12−1aに伝達されて回転する。これによって現像ローラ12−2が回転し、当該現像ローラ12−2によって現像剤が感光体ドラム10に供給されることになる。
【0046】
ここで、図6において、伝達ギア32からの回転力をアイドラーギア12−1aが受けたときに、当該回転力によってアイドラーギア12−1aが駆動される方向が圧力角作用方向Dとなる。そして、本実施の形態では、この圧力角作用方向Dにかかる力でアイドラーギア12−1aが回転したときに回転軸12−1aaが支持孔30bで受ける力Fは次のようになっている。
【0047】
すなわち、図7〜図10において、支持孔30bにおける回転軸12−1aaの移動を案内する辺を案内辺30b−1とする。そして、力Fを、案内辺30b−1に沿った第1の分力F1と、案内辺30b−1と直交した第2の分力F2とに分離したとき、本実施の形態では、図7および図8に示すように、第1の分力F1の方向が位置決め孔30aと感光体ドラム10の軸部10aとが接触する力を増加させる方向となっている。
【0048】
すなわち、第1の分力F1の方向が位置決め孔30aと感光体ドラム10の軸部10aとが接触する力を増加させる方向になっていれば、図示するように、装置動作時においてアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaには位置決め孔30aから離間する方向への力fが働くことになる。したがって、アイドラーギア12−1aが回転したときに、このアイドラーギア12−1aが取り付けられた画像形成ユニットSY,SM,SC,SKには、位置決め孔30aから離間する方向の力は発生しなくなる。
【0049】
これに対して、図9および図10に示すように、第1の分力F1の方向が位置決め孔30aと感光体ドラム10の軸部10aとが接触する力を減少させる方向になっていると、たとえ図9に示すように力Fが下向きであっても、装置動作時においてアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaには位置決め孔30aに向かう方向への力fが働くことになる。すると、アイドラーギア12−1aが回転したときに、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKには位置決め孔30aから離間する方向の力が発生して、感光体ドラム10の軸部10aが位置決め孔30aから浮いてしまう。
【0050】
本実施の形態では、前述のように、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKには位置決め孔30aから離間する方向の力は発生しないので、感光体ドラム10の軸部10aが位置決め孔30aから浮き上がることなく位置決め孔30aに確実に位置決めされる。これにより、感光体ドラム10の位置変動に起因する色ズレやバンディング悪化などが防止される。
【0051】
また、感光体ドラム10の軸部10aを浮かす力がかからないので、感光体ドラム10の軸部10aを位置決め孔30aに押さえつけるためのバネ力が低減され、小さな操作力で画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが装置本体から着脱される。
【0052】
なお、図11に示すように、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの重心Gは、感光体ドラム10の軸部10aとアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaとを結ぶ線分L1を対角線とし、当該線分L1の両端を通る水平線L2を含んで形成される長方形(または正方形)の領域内に位置しているのがよい。重心Gをこの領域内にすれば、装置動作時において画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが位置決め孔30aから離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0053】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0054】
たとえば、本実施の形態では、ブラケット30に位置決め孔30aと支持孔30bとが形成されているが、ブラケット30を、位置決め孔30aの形成された位置決め部材と支持孔30bの形成された支持部材とに分割して形成してもよい。
【0055】
但し、本実施の形態のように、ブラケット30に位置決め孔30aと支持孔30bとを形成すれば、感光体ドラム10の軸部10aとアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaとが精度よく位置決めされる。これにより、装置動作時における画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが位置決め孔30aから離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0056】
また、図12に示すように、位置決め孔30aにおいて、感光体ドラム10の軸部10aと接触する二点をそれぞれ通る接線L3,L4が水平線とでなす角度をそれぞれθ1、θ2(但し、θ1<θ2)とし、支持孔30bの案内辺30b−1が水平線とでなす角度をθ3としたとき、角度θ3が角度θ1以上で角度θ2以下(θ1≦θ3≦θ2)となるようにそれぞれの角度を設定してもよい。
【0057】
このようにすれば、感光体ドラム10の軸部10aは確実に位置決め孔30aの二点に接触されることになるので、装置動作時における画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが位置決め孔30aから離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上の説明では、画像形成装置としてのプリンタはフルカラープリンタであるが、フルカラーではないカラープリンタ、あるいはモノクロプリンタであってもよい。
【0059】
また、画像形成装置は、例えばファクシミリなどでもよく、さらには、プリンタとファクシミリの機能が融合した複数の機能を有する画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 感光体ドラム
10a 回転軸
10a−1 軸部
10a−2 軸受け
12 現像装置
12−1a アイドラーギア
12−1aa 回転軸
12−2 現像ローラ
30 ブラケット
30a 位置決め孔
30b 支持孔
30b−1 案内辺
31 本体側フレーム
32 伝達ギア
F 力
F1 第1の分力
F2 第2の分力
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からプリンタ等の画像形成装置の本体に対して着脱される画像形成ユニット(画像形成部材組付体)が知られている。この画像形成ユニットには感光体ドラム(感光体の一例)および現像ローラ(現像手段の一例)が設けられており、画像形成ユニットを画像形成装置の装置本体に装着して使用される。
【0003】
ここで、特許文献1(特開平7−114324号公報)には、画像形成ユニットにおいて装置本体側から伝わる駆動反力を分散させて画像形成ユニットを押さえる力を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−114324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成ユニットを着脱できるよう構成した画像形成装置においては、着脱が容易であるとともに、画像形成時には確実に位置決めが成され、画像形成ユニットの振動による画像の劣化を抑制することが求められる。
【0006】
本発明は、回転手段が回転したときに画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体、現像剤を前記感光体に供給して前記静電潜像を現像する現像手段、および駆動力を受けて前記現像手段を回転させる回転手段を備えた画像形成部材組付体と、前記回転手段と噛み合い、前記回転手段を駆動する駆動手段と、前記感光体の軸部を回転自在に支持し、二点で接触して位置決めする位置決め孔が形成された位置決め部材と、前記回転手段の回転軸を前記位置決め孔に対して接近・離間する方向に移動自在に支持する支持孔が形成された支持部材とを有し、前記駆動手段が前記回転手段を駆動したときに前記回転軸が受ける力を前記支持孔における前記回転軸の移動を案内する案内辺に沿った第1の分力と前記案内辺と直交した第2の分力とに分離したとき、前記第1の分力の方向は前記位置決め孔と前記感光体の前記軸部とが接触する力を増加させる方向となっている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、画像形成部材組付体の重心は、前記感光体の軸部と前記回転手段の回転軸とを結ぶ線分を対角線とし、当該線分の両端を通る水平線を含んで形成される長方形または正方形の領域内に位置している、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記位置決め孔における前記感光体の前記軸部と接触する二点をそれぞれ通る接線が水平線とでなす角度をそれぞれθ1、θ2(但し、θ1<θ2)とし、前記支持孔の前記案内辺が水平線とでなす角度をθ3としたとき、θ1≦θ3≦θ2の関係が成立するようにそれぞれの角度が設定されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記位置決め部材と前記支持部材とは一体に形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、回転手段が回転したときにおいて画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生を防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、装置動作時において画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、装置動作時において画像形成部材組付体が位置決め孔から離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、感光体の軸部と回転手段の回転軸とが精度よく位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの内部構成を示す説明図である。
【図3】図1のプリンタの外側扉および内側扉を開いた内部構造を示す図である。
【図4】図1のプリンタにおいて感光体ドラムと内側扉との関係を示す斜視図である。
【図5】図1のプリンタにおける画像形成ユニットとブラケットを示す斜視図である。
【図6】画像形成ユニットとブラケットとの関係を示す図である。
【図7】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図8】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図9】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図10】アイドラーギアの回転軸が支持孔で受ける力を説明する図である。
【図11】図1のプリンタにおける画像形成ユニットを示す側面図である。
【図12】位置決め孔における感光体ドラムの軸部と接触する二点をそれぞれ通る接線と支持孔の案内辺との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
本発明についての実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタPR1について説明する。
【0018】
図1および図2において、プリンタPR1は、装置本体として樹脂製の筐体1内に、記録媒体としての印刷用紙の格納部、印刷用紙の搬送機構、印刷用紙に対して画像形成を行う画像形成ユニット等が収納されている。そして、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色のトナーを用いて印刷動作を実行する。
【0019】
プリンタPR1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SK(画像形成部材組付体の一例)を備えている。これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKはそれぞれ独立して着脱されるようになっている。
【0020】
4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、予め設定された速度で回転する感光体ドラム10(10Y,10M,10C,10K)(感光体の一例)と、この感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面を帯電する帯電ローラ11(11Y,11M,11C,11K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を対応する色のトナー(現像剤の一例)で現像する現像装置12(12Y,12M,12C,12K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置13Y,13M,13C,13Kなどで構成されている。
【0021】
これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの上方には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を現像装置12Y,12M,12C,12Kで現像するために用いられるトナー(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のトナー)がそれぞれ収容されたトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kが着脱自在に装着されている。
【0022】
現像装置12Y,12M,12C,12Kは、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kにトナーを供給する現像ローラ12−2(12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2)(現像手段の一例)を有している。そして、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kに収容された例えば二成分または一成分の現像剤を攪拌しつつ現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2へと供給し、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kと対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に形成された静電潜像をトナーで現像するように構成されている。
【0023】
これにより、各感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像は、現像装置12Y,12M,12C,12Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
【0024】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの下方には、帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置14が配置されている。
【0025】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kとの間には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が転写(一次転写の一例)されるユニット化された中間転写ベルト15が、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに接触するように設けられている。中間転写ベルト15は筐体1に対して着脱自在で、3つのローラ16a,16b,16c(何れか1つのローラが駆動ローラ、他のローラが従動ローラ)に掛け渡されており、これらのローラ16a,16b,16cにより、図面の矢印で示す方向に回転する。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト15上に重ね合わされて転写されることにより、中間転写ベルト15上にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0026】
なお、中間転写ベルト15を挟んでローラ16cと対向する位置には、中間転写ベルト15上の残留トナーを除去するためのクリーナ22が配置されている。
【0027】
中間転写ベルト15を感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kとで挟むようにして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト15にそれぞれ転写するための一次転写ローラ16(16Y,16M,16C,16K)が配置されている。なお、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kはユニット化された中間転写ベルト15に組み込まれており、中間転写ベルト15と一体となって着脱される。
【0028】
また、ローラ16aと対向する位置には、中間転写ベルト15に転写されたフルカラートナー像を記録媒体である用紙Pに転写するための二次転写ローラ17が、ローラ16aとで中間転写ベルト15を挟むニップ部Nを形成するように設けられている。
【0029】
筐体1の下部には用紙Pの収容された給紙カセット18が装着されている。そして、給紙カセット18からピックアップローラ19にて一枚ずつ取り出された用紙Pは、前述したニップ部Nを経由して定着装置20を通り、筐体1の上部に形成された排紙トレイ24へと至る用紙搬送路Rを搬送される。そして、一対のレジストローラ23でタイミングを計られて用紙Pがニップ部Nに送り込まれると、中間転写ベルト15上のフルカラートナー像が二次転写ローラ17により用紙Pに転写される。その後、転写されたトナー像が定着装置20で定着された後、排紙トレイ24上に排出される。
【0030】
なお、筐体1の側部には手差しトレイ21が設けられており、手差しトレイ21からも用紙Pが用紙搬送路Rを搬送されるようになっている。
【0031】
筐体1の内部には、制御ユニットが配設されており、この制御ユニットには、例えば、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置が設けられている。
【0032】
この画像処理装置からは、前述の露光装置14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、露光装置14から画像データに応じて出射される4本のレーザビームが、それぞれの感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に走査露光されて静電潜像が形成される。
【0033】
図1において、筐体1の一側面(図1では正面側の面)には、手動で開閉する外側扉2が設けられている。
【0034】
図1および図3に示すように、外側扉2を開放した状態において露出される筐体1の内部には、前述したユニット化された中間転写ベルト15および4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱自在に装着されている。ここで、本実施の形態では、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの筐体1への装着部位が上下方向で順次異なっており、画像形成ユニットSYが最も高い位置に装着され、以下、画像形成ユニットSM、画像形成ユニットSC、画像形成ユニットSKと装着部位が順次低くなっている。
【0035】
これら中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、図1に示すように、中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱される開口部5aが形成された内部壁5に取り付けられて下部を支点にして開閉されるとともに、閉鎖時には開口部5aを閉塞する内側扉3により隠蔽されている。
【0036】
図示するように、内側扉3には、閉鎖された当該内側扉3を内部壁5にロックする位置と,内部壁5とのロックを解除する位置とに移動する解除レバー4が2箇所に設けられている。
【0037】
図4に示すように、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K、帯電ローラ11Y,11M,11C,11K、現像装置12Y,12M,12C,12K、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kは、これらの装着方向と同じ方向にその長手方向を向けて配置されている。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K、帯電ローラ11Y,11M,11C,11K、現像装置12Y,12M,12C,12K、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kに回転力を伝達する伝達機構(ギアやカップリング(軸継手)など)は画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの装着方向前方側(つまり、筐体1の奥側)に配置されている。なお、本実施の形態では、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの駆動はカップリングで行われており、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kが駆動されたときの回転軸の変位が防止されている。
【0038】
また、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2を回転させる現像ローラ回転ギアに駆動力を伝達するアイドラーギア12−1a(12Y−1a,12M−1a,12C−1a,12K−1a)(回転手段の一例)は、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの装着方向後方側(つまり、筐体1の手前側)に配置されている(図5、図6参照)。
【0039】
前述した内側扉3には、図4および図5に示すように、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aを回転自在に支持し、二点で接触して位置決めを行うために下部がV字形に形成された位置決め孔(位置決め孔の一例)30aの形成されたブラケット30(位置決め部材の一例)が配置されている。また、内側扉3に設けられた前述の解除レバー4には、当該解除レバー4を操作して内部壁5にロックする位置にすると、この操作に連動して感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aを位置決め孔30aに押し付けるバネ部材(図示せず)が備えられている。したがって、解除レバー5を操作することにより、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aが位置決め孔30aに二点で押し付けられて位置決めが行われる。
【0040】
ここで、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの軸部10aは、ドラム本体と一体で回転する回転軸10a−1と、この回転軸10a−1を回転自在に支持する軸受け10a−2とで構成されており、軸受け10a−2は位置決め孔30aに支持されるだけで回転はせず、軸受け10a−2に支持された回転軸10a−1が回転するようになっている。
【0041】
感光体ドラム10の軸部10aと前述のアイドラーギア12−1aは、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの装着方向後方側に取り付けられた支持フレームSY−1,SM−1,SC−1,SK−1に支持されている(図11参照)。
【0042】
なお、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの位置決め孔30aは、下部がV字形である必要はなく、位置決めを行うことのできる形状となっていればよい。
【0043】
図5および図6に示すように、ブラケット30(支持部材の一例)には、さらにアイドラーギア12−1a(12Y−1a,12M−1a,12C−1a,12K−1a)の回転軸12−1aa(12Y−1aa,12M−1aa,12C−1aa,12K−1aa)(回転軸の一例)を支持する支持孔30b(支持孔の一例)が形成されている。
【0044】
この支持孔30bは位置決め孔30aに向けて長く形成された長孔である。したがって、回転軸12−1aaが支持孔30bに支持されることにより、アイドラーギア12−1aは位置決め孔30aに対して接近・離間する方向に移動自在となっている。
【0045】
本体側フレーム31には、図示しない駆動源(駆動手段の一例)からの回転力をアイドラーギア12−1aに伝達するための伝達ギア32が回転自在に取り付けられている。したがって、アイドラーギア12−1aは伝達ギア32を介して駆動源と噛み合っている。そして、駆動源により伝達ギア32が回転すると、この回転力がアイドラーギア12−1aに伝達されて回転する。これによって現像ローラ12−2が回転し、当該現像ローラ12−2によって現像剤が感光体ドラム10に供給されることになる。
【0046】
ここで、図6において、伝達ギア32からの回転力をアイドラーギア12−1aが受けたときに、当該回転力によってアイドラーギア12−1aが駆動される方向が圧力角作用方向Dとなる。そして、本実施の形態では、この圧力角作用方向Dにかかる力でアイドラーギア12−1aが回転したときに回転軸12−1aaが支持孔30bで受ける力Fは次のようになっている。
【0047】
すなわち、図7〜図10において、支持孔30bにおける回転軸12−1aaの移動を案内する辺を案内辺30b−1とする。そして、力Fを、案内辺30b−1に沿った第1の分力F1と、案内辺30b−1と直交した第2の分力F2とに分離したとき、本実施の形態では、図7および図8に示すように、第1の分力F1の方向が位置決め孔30aと感光体ドラム10の軸部10aとが接触する力を増加させる方向となっている。
【0048】
すなわち、第1の分力F1の方向が位置決め孔30aと感光体ドラム10の軸部10aとが接触する力を増加させる方向になっていれば、図示するように、装置動作時においてアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaには位置決め孔30aから離間する方向への力fが働くことになる。したがって、アイドラーギア12−1aが回転したときに、このアイドラーギア12−1aが取り付けられた画像形成ユニットSY,SM,SC,SKには、位置決め孔30aから離間する方向の力は発生しなくなる。
【0049】
これに対して、図9および図10に示すように、第1の分力F1の方向が位置決め孔30aと感光体ドラム10の軸部10aとが接触する力を減少させる方向になっていると、たとえ図9に示すように力Fが下向きであっても、装置動作時においてアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaには位置決め孔30aに向かう方向への力fが働くことになる。すると、アイドラーギア12−1aが回転したときに、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKには位置決め孔30aから離間する方向の力が発生して、感光体ドラム10の軸部10aが位置決め孔30aから浮いてしまう。
【0050】
本実施の形態では、前述のように、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKには位置決め孔30aから離間する方向の力は発生しないので、感光体ドラム10の軸部10aが位置決め孔30aから浮き上がることなく位置決め孔30aに確実に位置決めされる。これにより、感光体ドラム10の位置変動に起因する色ズレやバンディング悪化などが防止される。
【0051】
また、感光体ドラム10の軸部10aを浮かす力がかからないので、感光体ドラム10の軸部10aを位置決め孔30aに押さえつけるためのバネ力が低減され、小さな操作力で画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが装置本体から着脱される。
【0052】
なお、図11に示すように、画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの重心Gは、感光体ドラム10の軸部10aとアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaとを結ぶ線分L1を対角線とし、当該線分L1の両端を通る水平線L2を含んで形成される長方形(または正方形)の領域内に位置しているのがよい。重心Gをこの領域内にすれば、装置動作時において画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが位置決め孔30aから離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0053】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0054】
たとえば、本実施の形態では、ブラケット30に位置決め孔30aと支持孔30bとが形成されているが、ブラケット30を、位置決め孔30aの形成された位置決め部材と支持孔30bの形成された支持部材とに分割して形成してもよい。
【0055】
但し、本実施の形態のように、ブラケット30に位置決め孔30aと支持孔30bとを形成すれば、感光体ドラム10の軸部10aとアイドラーギア12−1aの回転軸12−1aaとが精度よく位置決めされる。これにより、装置動作時における画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが位置決め孔30aから離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【0056】
また、図12に示すように、位置決め孔30aにおいて、感光体ドラム10の軸部10aと接触する二点をそれぞれ通る接線L3,L4が水平線とでなす角度をそれぞれθ1、θ2(但し、θ1<θ2)とし、支持孔30bの案内辺30b−1が水平線とでなす角度をθ3としたとき、角度θ3が角度θ1以上で角度θ2以下(θ1≦θ3≦θ2)となるようにそれぞれの角度を設定してもよい。
【0057】
このようにすれば、感光体ドラム10の軸部10aは確実に位置決め孔30aの二点に接触されることになるので、装置動作時における画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが位置決め孔30aから離間する方向の力の発生がより確実に防止される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上の説明では、画像形成装置としてのプリンタはフルカラープリンタであるが、フルカラーではないカラープリンタ、あるいはモノクロプリンタであってもよい。
【0059】
また、画像形成装置は、例えばファクシミリなどでもよく、さらには、プリンタとファクシミリの機能が融合した複数の機能を有する画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 感光体ドラム
10a 回転軸
10a−1 軸部
10a−2 軸受け
12 現像装置
12−1a アイドラーギア
12−1aa 回転軸
12−2 現像ローラ
30 ブラケット
30a 位置決め孔
30b 支持孔
30b−1 案内辺
31 本体側フレーム
32 伝達ギア
F 力
F1 第1の分力
F2 第2の分力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体、現像剤を前記感光体に供給して前記静電潜像を現像する現像手段、および駆動力を受けて前記現像手段を回転させる回転手段を備えた画像形成部材組付体と、
前記回転手段と噛み合い、前記回転手段を駆動する駆動手段と、
前記感光体の軸部を回転自在に支持し、二点で接触して位置決めする位置決め孔が形成された位置決め部材と、
前記回転手段の回転軸を前記位置決め孔に対して接近・離間する方向に移動自在に支持する支持孔が形成された支持部材とを有し、
前記駆動手段が前記回転手段を駆動したときに前記回転軸が受ける力を前記支持孔における前記回転軸の移動を案内する案内辺に沿った第1の分力と前記案内辺と直交した第2の分力とに分離したとき、前記第1の分力の方向は前記位置決め孔と前記感光体の前記軸部とが接触する力を増加させる方向となっている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成部材組付体の重心は、前記感光体の軸部と前記回転手段の回転軸とを結ぶ線分を対角線とし、当該線分の両端を通る水平線を含んで形成される長方形または正方形の領域内に位置している、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置決め孔における前記感光体の前記軸部と接触する二点をそれぞれ通る接線が水平線とでなす角度をそれぞれθ1、θ2(但し、θ1<θ2)とし、前記支持孔の前記案内辺が水平線とでなす角度をθ3としたとき、
θ1≦θ3≦θ2の関係が成立するようにそれぞれの角度が設定されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置決め部材と前記支持部材とは一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体、現像剤を前記感光体に供給して前記静電潜像を現像する現像手段、および駆動力を受けて前記現像手段を回転させる回転手段を備えた画像形成部材組付体と、
前記回転手段と噛み合い、前記回転手段を駆動する駆動手段と、
前記感光体の軸部を回転自在に支持し、二点で接触して位置決めする位置決め孔が形成された位置決め部材と、
前記回転手段の回転軸を前記位置決め孔に対して接近・離間する方向に移動自在に支持する支持孔が形成された支持部材とを有し、
前記駆動手段が前記回転手段を駆動したときに前記回転軸が受ける力を前記支持孔における前記回転軸の移動を案内する案内辺に沿った第1の分力と前記案内辺と直交した第2の分力とに分離したとき、前記第1の分力の方向は前記位置決め孔と前記感光体の前記軸部とが接触する力を増加させる方向となっている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成部材組付体の重心は、前記感光体の軸部と前記回転手段の回転軸とを結ぶ線分を対角線とし、当該線分の両端を通る水平線を含んで形成される長方形または正方形の領域内に位置している、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置決め孔における前記感光体の前記軸部と接触する二点をそれぞれ通る接線が水平線とでなす角度をそれぞれθ1、θ2(但し、θ1<θ2)とし、前記支持孔の前記案内辺が水平線とでなす角度をθ3としたとき、
θ1≦θ3≦θ2の関係が成立するようにそれぞれの角度が設定されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置決め部材と前記支持部材とは一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−59407(P2011−59407A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209365(P2009−209365)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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