説明

画像形成装置

【課題】装置本体に対して潜像担持体ユニットを潜像担持体の回転軸の軸方向に直交する方向に着脱可能な構成で、コストの削減と装置全体の小型化とを実現することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ100は、設置空間に対して軸方向に直交する下方向に挿入されたプロセスユニット2を支持するユニット支持部材と、ユニット支持部材を軸方向に沿って移動させる支持部材移動機構と、左側壁部110Lに配置され、プロセスユニット2内の駆動部に駆動を伝達する駆動伝達部とを備え、プリンタ100は、プロセスユニット2を設置空間に挿入した状態では、駆動部と駆動伝達部とは離間しており、支持部材スライド機構によってプロセスユニット2と共にユニット支持部材を駆動伝達部側に移動させ、プロセスユニット2の従動側カップリングとプリンタ100本体側の駆動側カップリングとが駆動連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置における作像プロセスは、表面移動する潜像担持体の表面を帯電装置によって一様帯電し、一様帯電された潜像担持体の表面に対して露光装置が照射するレーザービームによって潜像担持体の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像に現像装置がトナーを供給することによって、潜像担持体の表面上にトナー像が形成される。このような作像プロセスで形成されたトナー像は転写手段によって、潜像担持体から直接、または、中間転写体を介して、記録媒体に形成される。
一般的に、作像プロセスを構成する部品の多くは、装置本体部品にくらべて寿命が短い。このため、作像プロセスを構成する部品のうち、少なくとも潜像担持体を含む複数の部材を一体的に支持する潜像担持体ユニットとしてのプロセスカートリッジを装置本体に対して着脱可能とし、プロセスカートリッジを交換することで寿命が近づいた作像プロセスを構成する部品を交換する画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、外装の一部を開放することで、プロセスカートリッジを設置する設置空間を露出し、設置空間に対してプロセスカートリッジを挿入することで装置本体に対する装着を行い、設置空間にからプロセスカートリッジを引き抜くことで装置本体に対してプロセスカートリッジを取り外す。
【0003】
表面移動する潜像担持体の回転軸の軸方向の長さは画像形成を行う記録媒体の最大幅以上の長さが必要であるため、プロセスカートリッジは無端移動する潜像担持体の回転軸の軸方向に長尺な形状となるのが一般的である。このため、装置本体に対してプロセスカートリッジを着脱する方向が上記軸方向に沿った方向であると、プロセスカートリッジを長手方向に移動させて装置本体に対して着脱することになり、着脱時の操作性が悪くなる。
【0004】
特許文献1乃至3に記載の画像形成装置は、装置本体に対してプロセスカートリッジを着脱する方向が上記軸方向に直交する方向となっており、着脱する方向が上記軸方向に沿った方向である構成に比べて着脱時の操作性を改善することができる。
【0005】
装置本体に対してプロセスカートリッジを着脱する構成では、定期的に交換するプロセスカートリッジに駆動源を設けると、ランニングコストの上昇につながる。このため、潜像担持体等のプロセスカートリッジ内の駆動部に対して、装置本体側に設けた駆動源から駆動を伝達する構成が一般的である。
上述した、プロセスカートリッジを着脱する方向が上記軸方向に沿った方向となる構成では、プロセスカートリッジの挿入側の先端に従動側カップリングを設け、装置本体の設置空間を形成する壁面のうち奥側の壁面の従動側カップリングと対向する位置に駆動側カップリングを設けるものがある。このような構成では、プロセスカートリッジの挿入方向とカップリングの連結方向が一致するため、プロセスカートリッジを設置空間に挿入する動作のみでカップリングが連結し、装置本体側の駆動源からプロセスカートリッジ内の駆動部までのへの駆動連結がなされる。
一方、上記特許文献1乃至3の画像形成装置では、プロセスカートリッジを設置空間に対して挿入する方向が上記軸方向に直交する方向であるため、プロセスカートリッジを設置空間に対して挿入する動作のみではカップリングによる駆動連結を行うことができない。
【0006】
上記特許文献1及び2の画像形成装置では、装置本体側の駆動側カップリングを上記軸方向に移動させる機構を備えている。このような画像形成装置では、プロセスカートリッジを装置本体の設置空間に挿入する動作の後に、駆動側カップリングを上記軸方向に移動させる動作を行うことで、プロセスカートリッジ側の従動カップリングと連結させ、駆動連結を行う。
しかし、このように駆動側カップリングを軸方向に移動させる構成は、駆動源から駆動側カップリングまでの駆動を伝達する駆動伝達機構において駆動側カップリングを含む一部を軸方向に移動可能とする必要がある。駆動伝達機構の一部を軸方向に移動可能とし、この移動可能な一部に対して駆動源からの駆動を伝達可能とする機構は、装置の複雑化につながり、コスト高となる。
【0007】
上記特許文献3の画像形成装置では、プロセスカートリッジの挿入側の先端に内部の駆動部へ駆動を伝達する従動側歯車を備え、装置本体側には、プロセスカートリッジが突き当たる位置に従動側歯車とかみ合う駆動側歯車を備える。この画像形成装置では、従動側歯車と駆動側歯車との回転軸が潜像担持体の回転軸と平行であり、装置本体に対してプロセスカートリッジを突き当たる位置まで挿入することで、従動側歯車と駆動側歯車とがかみ合い、駆動連結が成される。
特許文献3の画像形成装置では、特許文献1及び2の画像形成装置と異なり、装置本体側の駆動伝達機構の一部を軸方向に移動可能とする必要がないため、特許文献1及び2の画像形成装置と比べて、駆動伝達機構の構成が簡易になり、コストの削減を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献3の画像形成装置では、装置本体側の駆動源からプロセスカートリッジ内の駆動部のすべてに対する駆動の伝達が、従動側歯車と駆動側歯車とのかみ合いを介して行われるため、従動側歯車と駆動側歯車とがかみ合う箇所(以下、かみ合い部と呼ぶ)に負荷が集中する。このため、かみ合い部での歯車の破損を防止するように、従動側歯車と駆動側歯車とがその回転軸に平行な方向にある程度の長さをもってかみ合い部を形成する必要があった。このため、潜像担持体の軸方向の長さや径などのプロセスカートリッジの使用が同じ構成であっても、カップリングによる駆動連結における駆動側カップリングと従動側カップリングとの接続部の軸方向の長さに比べて、従動側歯車と駆動側歯車とによる駆動連結における上記かみ合い部の軸方向の長さが長くなる。
上記特許文献3の画像形成装置では、かみ合い部の軸方向の長さがカップリングの接続部の長さよりも長い分、特許文献1や特許文献2の画像形成装置に比べて、プロセスカートリッジの軸方向の長さが長くなる。そして、プロセスカートリッジの軸方向が長くなると、それを収容する装置本体の軸方向の長さも長くなり、画像形成装置全体の大型化につながる。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、装置本体に対して潜像担持体ユニットを潜像担持体の回転軸の軸方向に直交する方向に着脱可能な構成で、コストの削減と装置全体の小型化とを実現することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくとも潜像担持体を含む複数の部材を一体的に支持し、装置本体に対して着脱可能な潜像担持体ユニットを有し、該装置本体の該潜像担持体の回転軸の軸方向の両端の筺体を形成する2つの本体壁部の間の設置空間に対して、該軸方向に直交する方向に該潜像担持体ユニットを挿入または引き出すことで該装置本体に対する該潜像担持体ユニットの着脱を行い、該潜像担持体ユニットを該装置本体に装着した状態で、該潜像担持体ユニット内の駆動部に対して装置本体側の駆動源から駆動を伝達する画像形成装置において、上記設置空間に対して上記軸方向に直交する方向に挿入された上記潜像担持体ユニットを支持する潜像担持体ユニット支持部材と、該潜像担持体ユニット支持部材を該軸方向に沿って移動させる支持部材移動機構と、2つの上記本体壁部の一方に配置され、該潜像担持体ユニット内の上記駆動部に駆動を伝達する駆動伝達部とを備え、上記潜像担持体ユニットを上記設置空間に挿入した状態では、該駆動部と該駆動伝達部とは離間しており、上記支持部材移動機構によって該潜像担持体ユニットと共に上記潜像担持体ユニット支持部材を該駆動伝達部側に移動させることによって、該駆動部と該駆動伝達部とが駆動連結することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記装置本体の外装は上記軸方向に直交する方向の装置側面または装置上面に開閉可能な開閉部材を備え、一様に帯電された上記潜像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込装置は、該開閉部材と一体的に移動し、該開閉部材を開放することによって、上記設置空間が露出し、上記潜像担持体ユニットを該装置本体に対して着脱可能となることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記支持部材移動機構は、上記開閉部材を閉める動作に連動して上記潜像担持体ユニット支持部材を該駆動伝達部側に移動させる連動機構を備えることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記潜像担持体ユニットを複数有し、上記潜像担持体ユニット支持部材は複数の該潜像担持体ユニットの上記軸方向の両端をそれぞれ支持する2つの端部支持部材からなり、該端部支持部材は、該潜像担持体ユニットを上記装置本体に装着した状態での上記軸方向に直交する方向の該装置本体に対する上記潜像担持体の位置決めを行う位置決め手段を構成することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記端部支持部材について、上記潜像担持体の位置決め手段を構成する部分の形状は、2つの該端部支持部材で同一の形状であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の画像形成装置において、2つの上記端部支持部材は、金属材料で形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、2つの上記端部支持部材が、同一の部品であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、2つの上記端部支持部材が、連結部材によって一体的に連結されていることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記潜像担持体ユニット支持部材を上記駆動伝達部から離れる方向に付勢する支持部材付勢手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記駆動伝達部を備える側の上記本体壁部と、上記潜像担持体ユニットを上記装置本体に装着した状態でこの本体壁部に対向する該潜像担持体ユニットの壁面とのそれぞれに、上記潜像担持体ユニット支持部材が該駆動伝達部側に移動することによって嵌合する嵌合形状を備えることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記潜像担持体ユニット支持部材の装置本体に対する軸方向に直交する方向の位置決めは、上記潜像担持体ユニット支持部材に上記軸方向に貫通するように設けられた複数の穴部と、該軸方向に延在するように上記本体壁部に固定され、該穴部を貫通する支持部材移動ガイドピンとによって構成され、該支持部材移動ガイドピンのうちの少なくとも1つの該本体壁部に対する位置が調節可能な構成となっていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1の画像形成装置では、潜像担持体ユニット支持部材を軸方向に沿って移動させる支持部材移動機構を備えることにより、潜像担持体ユニットを装置本体の設置空間に挿入した後、潜像担持体ユニット支持部材に支持される潜像担持体ユニットを挿入方向とは直交する軸方向に移動させることが出来る。そして、軸方向に沿って潜像担持体ユニット支持部材を駆動伝達部側に移動させることによって、潜像担持体ユニットを軸方向に沿って移動させ、駆動部と駆動伝達部とが駆動連結するため、軸方向と連結方向が一致するカップリングによる駆動連結を用いることが出来る。また、潜像担持体ユニットを軸方向に沿って移動させて駆動連結を行うため、駆動伝達機構の一部を軸方向に移動可能とし、この移動可能な一部に対して駆動源からの駆動を伝達可能とするような複雑な機構が不要である。よって、駆動部に駆動を伝達する構成を簡易にすることができ、コストの削減を図ることができる。
また、カップリングによる駆動連結であれば、潜像担持体ユニットを軸方向に直交する方向に取り出すための離間分を含めても上述した従動側歯車と駆動側歯車とのかみ合い部よりも接続部の軸方向に要する長さを短くでき、潜像担持体ユニットの軸方向の長さを短くすることができる。潜像担持体ユニットの軸方向を短くできるため、それを収容する装置本体の軸方向の長さも短くでき、画像形成装置全体の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置本体の設置空間に潜像担持体ユニットを挿入した後に、潜像担持ユニットを軸方向に沿って移動させて駆動連結を行う構成により、潜像担持体ユニットを潜像担持体の回転軸の軸方向に直交する方向に着脱可能な構成で、コストの削減と装置全体の小型化とを実現することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態にかかるプリンタの概略構成図。
【図2】プロセスユニットの概略説明図。
【図3】上カバーを開放した状態のプリンタの斜視説明図。
【図4】プロセスユニットとユニット支持部材の斜視説明図。
【図5】軸方向に直交する方向のプロセスユニットの位置決めの説明図。
【図6】本実施形態のプリンタの駆動連結の説明図。
【図7】設置空間に対するプロセスユニットの挿入が完了する前の説明図。
【図8】設置空間に対するプロセスユニットの挿入が完了した状態の説明図。
【図9】2つの装置本体側板とユニット支持部材との斜視説明図。
【図10】装置本体左側板に対する左端支持部材前側ガイドの位置を調節可能とした構成の説明図。
【図11】本実施形態とは光書込ユニット構成が異なるプリンタの説明図。
【図12】駆動側カップリングを軸方向に移動させて従動側カップリングと連結させる構成の説明図。
【図13】プロセスユニットを突き当たる位置まで挿入することで、従動側歯車と駆動側歯車とがかみ合い、駆動連結が成される構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ100という)の一実施形態について説明する。
まず、プリンタ100の基本的な構成について説明する。図1は、プリンタ100の概略構成図である。
プリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)を備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
【0015】
図2は、4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)のうちの一つのプロセスユニット2の概略説明図である。
図2に示すように、プロセスユニット2は、潜像担持体であるドラム状の感光体21、ドラムクリーニング装置24、不図示の除電装置、帯電装置23、現像手段である現像装置22等を備えている。潜像担持体ユニットであるプロセスユニット2は、プリンタ100本体に脱着可能であり、作像プロセスを構成する消耗部品を一度に交換できるようになっている。
【0016】
帯電装置23は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体21の表面を一様帯電する。一様帯電された感光体21の表面は、潜像書込装置である光書込ユニット1から照射されるレーザ光Lによって露光走査されて各色に対応した静電潜像が書き込まれる。この静電潜像は、現像装置22によって各色のトナー像に現像される。そして、4つのプロセスユニット2のそれぞれの感光体21上に形成された各色のトナー像が後述する中間転写ベルト31上にそれぞれ一次転写される。
ドラムクリーニング装置24は、一次転写工程を経た後の感光体21の表面に付着している転写残トナーを除去する。また、不図示の除電装置は、クリーニング後の感光体21の残留電荷を除電する。この除電により、感光体21の表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0017】
現像装置22は、トナーを収容するホッパ部221と、現像部223とを有している。ホッパ部221内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ222を備え、ホッパ部221のアジテータ222の下方にはホッパ部221と現像部223とを連通する連通孔224が形成されている。ホッパ部221内のトナーは、アジテータ222の回転によって撹拌されながら、自重によって現像部223に向けて移動する。
【0018】
現像装置22の現像部223内の連通孔224の下方には、不図示の駆動手段によって回転駆動されることでホッパ部221から現像部223に供給されたトナーを撹拌する撹拌パドル225が配置され、感光体21と対向して回転する現像ローラ226が配置されている。さらに、撹拌パドル225の下方には、不図示の駆動手段によって回転駆動されることによって現像部223内に供給されたトナーを現像ローラ226に供給するトナー供給ローラ227が配設されている。また、現像ローラ226の表面に先端が当接する薄層化ブレード228が配設されている。
【0019】
ホッパ部221から現像部223に移動したトナーは撹拌パドル225の回転によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ227に向けて移動する。トナー供給ローラ227は、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、現像部223内のトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。トナー供給ローラ227に付着したトナーは、現像ローラ226とトナー供給ローラ227との当接部で現像ローラ226の表面に供給される。現像ローラ226の供給されたトナーは、現像ローラ226の回転に伴って現像ローラ226の表面と薄層化ブレード228との当接位置を通過する際に、現像ローラ226の表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後の現像ローラ226上のトナーは、現像ローラ226と感光体21との当接部である現像領域において、感光体21表面の静電潜像に付着する。この付着により、静電潜像がトナーによって現像されて、感光体21の表面上にトナー像が形成される。
このようなプロセスによるトナー像の形成が、Y,M,C,K用の各プロセスユニット2(Y,M,C,K)において行われ、各感光体21(Y,M,C,K)の表面上にY,M,C,Kのトナー像がそれぞれ形成される。
【0020】
図1に示すように、プロセスユニット2(Y,M,C,K)の鉛直方向上方には、光書込ユニット1が配設されている。潜像書込手段である光書込ユニット1は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット2(Y,M,C,K)における感光体21(Y,M,C,K)を光走査する。この光走査により、感光体21(Y,M,C,K)上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。光書込ユニット1は、光源から発したレーザ光を、不図示のポリゴンモータによって回転駆動する不図示のポリゴンミラーで主走査方向に偏光しながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体21(Y,M,C,K)に照射するものである。
【0021】
図1に示すように、プロセスユニット2(Y,M,C,K)の鉛直方向下方には、無端状の中間転写体である中間転写ベルト31を張架しながら図1中反時計回り方向に無端移動する転写ユニット3が配設されている。転写手段である転写ユニット3は、中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ33、従動ローラ35、4つの一次転写ローラ32(Y,M,C,K)、二次転写ローラ34、不図示のベルトクリーニング装置などを備えている。
【0022】
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ33、従動ローラ35、不図示のクリーニングバックアップローラ及び4つの一次転写ローラ32(Y,M,C,K)によって張架されている。そして、不図示の駆動手段によって図1中の反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ33の回転力により、中間転写ベルト31が図1中の反時計回り方向に無端移動する。
【0023】
4つの一次転写ローラ32(Y,M,C,K)は、無端移動する中間転写ベルト31を各感光体21(Y,M,C,K)との間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト31のおもて面と、感光体21(Y,M,C,K)とが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップがそれぞれ形成されている。
【0024】
一次転写ローラ32(Y,M,C,K)には、不図示の転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体21(Y,M,C,K)の静電潜像と、一次転写ローラ32(Y,M,C,K)との間に転写電界が形成される。なお、一次転写ローラ32(Y,M,C,K)に代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0025】
Y用プロセスユニット2YのY用感光体21Yの表面に形成されたYトナーは、Y用感光体21Yの回転に伴って上述のY用の一次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、Y用感光体21Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写せされた中間転写ベルト31は、その無端移動に伴ってM,C,K用の一次転写ニップを通過する際に、感光体21(M,C,K)上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には4色トナー像が形成される。つまり、プリンタ100では、印字したい元画像を任意の色数に分解し、それぞれ個別の作像部で作像したのちに、中間転写ベルト31上で重ね合わせている。
【0026】
転写ユニット3の二次転写ローラ34は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されて、ループ内側の従動ローラ35との間に中間転写ベルト31を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト31のおもて面と、二次転写ローラ34とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ34には、図示しない転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。この印加により、二次転写ローラ34と、アース接続されている従動ローラ35との間には、二次転写電界が形成される。
【0027】
転写ユニット3の鉛直方向下方には、記録媒体である記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット6がプリンタ100の筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。詳しくは、図1中の矢印Dで示すように、給紙カセット6はプリンタ100の前面側に引き出すようにスライド可能となっている。
この給紙カセット6は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ5を当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路51に向けて送り出す。
【0028】
給紙路51の下流側端部付近には、レジストローラ対4が配設されている。このレジストローラ対4は、給紙カセット6から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0029】
二次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括二次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ34や中間転写ベルト31から曲率分離する。そして、転写後搬送路52を経由して、後述する定着装置7に送り込まれる。
【0030】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接している不図示のベルトクリーニング装置によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設された不図示のクリーニングバックアップローラは、ベルトクリーニング装置によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0031】
定着装置7は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ7aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ7bとによって定着ニップを形成している。定着装置7内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像を担持する面が定着ローラ7aに密着するようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が記録紙Pに定着される。
【0032】
定着装置7内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路53を経由した後、排紙路54と反転前搬送路55との分岐点にさしかかる。この分岐点には、不図示の切替爪が配設されており、定着装置7から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪は記録紙Pを排紙路54に向ける位置となっている。これにより、記録紙Pが定着後搬送路53から排紙路54内に進入して、排紙ローラ対8のローラ間に挟み込まれる。
【0033】
テンキー等を備えた不図示の操作部に対する入力操作や、不図示のパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号により、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対8に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー12の上面であるスタック部9にスタックされる。
【0034】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対8に挟み込まれながら排紙路54内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路53を通り抜けると、不図示の切替爪が排紙路54と反転前搬送路55とを開通させる位置に移動し、排紙路54と定着後搬送路53との間を閉鎖する。これとほぼ同時に、排紙ローラ対8が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路55内に進入する。
【0035】
図1は、プリンタ100を側面側から示している。図1中の右側がプリンタ100の前面であり、左側が後面である。プリンタ100の前面部は、回動軸40aを中心に回動することでプリンタ100の筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対8が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路51内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括二次転写された後、転写後搬送路52、定着装置7、定着後搬送路53、排紙路54、排紙ローラ対8を順次経由して、機外へと排出される。
【0036】
上述の反転ユニット40は、前カバー45と揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の前カバー45は、プリンタ100本体の筺体に設けられた回動軸40aを中心にして回動するように支持されている。この回動により、前カバー45は、その内部に保持している揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中二点鎖線で示すように、前カバー45がその内部の揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路51、二次転写ニップ、転写後搬送路52、定着ニップ、定着後搬送路53、排紙路54が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路51、二次転写ニップ、転写後搬送路52、定着ニップ、定着後搬送路53、排紙路54内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0037】
また、揺動体46は、前カバー45が開かれた状態で、前カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして回動するように前カバー45に支持されている。この回動により、揺動体46が前カバー45に対して開かれると、反転前搬送路55や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路55内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0038】
プリンタ100の筺体の上カバー12は、図1中矢印Aで示すように、軸部材61を中心にして回動自在に支持されており、図中反時計回り方向に回転することで、筺体に対して開いた状態になる。そして、筺体の上部開口を大きく露出させる。
【0039】
図1に示すように、4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)に横並びのレイアウトを採用した場合、中間転写ベルト31については横並びの感光体21(Y,M,C,K)にそれぞれ当接させるように、図1の如く横長の姿勢で張架することが望ましい。そして、横並びの4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)を、図1に示したように横長姿勢の中間転写ベルト31の鉛直方向上方に配設するか、あるいは、図1のレイアウトとは逆に、中間転写ベルト31の下方に配設する。ここで、中間転写ベルト31の下方に配設する場合には、光書込ユニット1を4つの感光体21(Y,M,C,K)に対する光走査がそれぞれ可能になるように横長姿勢で且つ各プロセスユニットの下方に配設する必要がでてくる。図1に示したレイアウトとは逆に、鉛直方向下側から上側に向けて、光書込ユニット1、各プロセスユニット2(Y,M,C,K)、中間転写ベルト31を順に重ねたレイアウトである。ところが、記録紙Pを鉛直方向下側から上側に向けて搬送する構成では、二次転写ニップを形成する中間転写ベルト31よりも上方に定着装置7を設ける必要があることから、前述のレイアウト(図1に示したレイアウトとは上下が逆のレイアウト)を採用すると、定着装置7の図中左側方が空白スペースになってしまう。このため、装置の小型化や省スペース化が困難になる。
【0040】
これに対して、本実施形態のプリンタ100では、図1に示すように、4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)を横並びにして、横長姿勢の中間転写ベルト31の上方に配設したレイアウトを採用している。このようなレイアウトでは、図示のように、横長姿勢の光書込ユニット1を4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)の上方に配設することになる。そして、4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)や光書込ユニット1を、図1に示すように定着装置7の側方に配設して、定着装置の側方に空白スペースが発生することを回避することができる。
【0041】
プリンタ100では、上述したように、小型化や省スペース化の観点から、各プロセスユニット2(Y,M,C,K)を中間転写ベルト31の上方に配設し、更にその上に光書込ユニット1を配設している。このため、光書込ユニット1を各プロセスユニットの真上から待避させることになる。そして、プリンタ100では、光書込ユニット1を開閉可能な上カバー12の下面側に保持させて、上カバー12の開閉に伴って光書込ユニット1を各プロセスユニット2(Y,M,C,K)の真上から待避させたり、真上にセットしたりする構成である。
【0042】
図3は、上カバー12を開放した状態のプリンタ100の斜視説明図である。
図3に示すように、プリンタ100では、装置上面の外装である上カバー12が開放自在に構成されており、そこに光書込ユニット1が取り付く構成となっている。こうすることで、上面の開放部である上カバー12を開放する操作のみで各プロセスユニット2(Y,M,C,K)の設置空間を露出させることができ、図3に示すようにそのまま各プロセスユニット2(Y,M,C,K)の着脱の操作を行うことが可能となっている。
プリンタ100では、給紙を行うときには図1中矢印Dで示すように給紙カセット6をプリンタ100の前面側に引き出し、紙詰まりが発生したときには図1中矢印Bで示すように前カバー45をプリンタ100の前面側に引くように回転させて転写紙Pの搬送路を露出させる。また、プロセスユニット2の交換を行うときには、図1中矢印Aで示すように上カバー12を上方に回転させる。このようなプリンタ100であれば、ユーザーが行う操作の全てをプリンタ100の前面から作業ができ、フルフロントオペレーションの構成を実現できる。
【0043】
図4は、各プロセスユニット2(Y,M,C,K)をプリンタ100内で下方より支持するユニット支持部材11とプロセスユニット2を図3と同方向から見た斜視説明図である。
図4に示すように、プリンタ100は、プロセスユニット2の設置空間の左右方向(図1中の手前奥方向)の両端にユニット支持部材11(ユニット左端支持部材11L、ユニット右端支持部材11R)を備える。
上カバーが開放されて、露出したプリンタ100の設置空間に対して、プロセスユニット2を上方から挿入すると、その下端がユニット支持部材11に突き当たり、プロセスユニット2のプリンタ100に対する上下方向の大まかな位置決めが成される。
【0044】
プリンタ100では、各プロセスユニット2(Y,M,C,K)で作像した各色のトナー像を中間転写ベルト31上で重ね合わせている。このため、回転移動する中間転写ベルト31に対する一次転写部の理想的な位置から感光体21の位置がずれると色間の画像ずれにつながり、画像品質を低下させてしまう。
以下、感光体21の軸方向に直交する方向のプリンタ100本体に対するプロセスユニット2の位置決めの構成について説明する。
図4に示すように、光書込ユニット1の下面の軸方向両端部の各プロセスユニット2(Y,M,C,K)と対向する位置にユニット上面押圧部材91(Y,M,C,K)を備えている。図4に示す状態から上カバー12を閉めることで図1に示すように各ユニット上面押圧部材91(Y,M,C,K)が各プロセスユニット2(Y,M,C,K)を押圧する。
図5は、感光体21の軸方向に直交する方向のユニット支持部材11に対するプロセスユニット2の位置決めの説明図である。
ユニット上面押圧部材91はユニット上面押圧バネ92の付勢力によってプロセスユニット2を図5中の矢印Fで示すように下方に押圧する。また、図4及び図5に示すように、ユニット支持部材11の上部には位置決め凹部112が設けられており、この位置決め凹部112にプロセスユニット2を嵌合させる。そして、図5中の矢印Fで示すようにプロセスユニット2を上方から押圧することで、図5中の矢印F1及びF2で示すように、プロセスユニット2の下端部が位置決め凹部112に対して斜め下方に押圧して、突き当たる。これにより、プロセスユニット2のユニット支持部材11に対する軸方向に直交する方向の位置決めが成され、プロセスユニット2が備える感光体21のプリンタ100本体に対する軸方向に直交する方向の位置決めが成される。
【0045】
また、ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rは、金属製で同一部材としている。変形し難い金属製で、同一の部材を用いることで、すくなくとも各感光体21の平行を保つことができる。例えば、製造時の組み付け誤差等により、軸方向両端で対抗する2つの位置決め凹部112を結んだ直線が中間転写ベルト31の表面移動方向に対して直交せず、斜めになった場合、ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rによって位置決めが成される感光体21の回転軸も中間転写ベルト31の表面移動方向に対して斜めになる。ここで、ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rが同一の部材を用いるものであれば、ユニット左端支持部材11Lの4つの位置決め凹部112のピッチ幅とユニット右端支持部材11Rの4つの位置決め凹部112のピッチ幅とが同一となる。よって、軸方向両端で対抗する2つの位置決め凹部112を結んだ4つの直線は常に平行となり、位置決め凹部112によって位置決めが成される4つの感光体21(Y,M,C,K)の平行を保つことが出来る。
4つの感光体21(Y,M,C,K)の平行を保つことで、中間転写ベルト31に対する感光体21の位置が理想の位置からずれていたとしても、4つの感光体21が中間転写ベルト31に対して同じようずれるため、少なくとも色間の画像ズレは大幅に減少させることができる。
また、ユニット支持部材11を金属部材にすることで、部品製造精度を樹脂などよりも高くでき、また導電性を利用して接地に利用することも可能である。更に、位置決め形状である位置決め凹部112を作成する金型のみを共通使用することで、同一部品でなくとも4つの位置決め凹部112を同一形状とすることができ同様の効果を得ることができる。
【0046】
画像形成装置のカラー化による問題として、色間の画像ズレが大きな課題として一般的に認識されている。この問題の原因はさまざまであるが、感光体の位置精度、特に複数の感光体間の平行度は影響が大きい。このような問題に対して、本実施形態のプリンタ100では、感光体21の位置決め用の形状を備えるユニット支持部材11として金属製の部材を用い、さらに、ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rを同一部材とすることで、感光体ピッチの規定を行う。これにより、色間の画像ズレを防止し、画像精度の向上による品質向上を実現している。
【0047】
次に、本実施形態のプリンタ100の特徴部について説明する。
プリンタ100は、図1に示すように、左側壁部110Lと右側壁部110Rとの間に各プロセスユニット2(Y,M,C,K)の設置空間を形成している。左側壁部110L内には、プロセスユニット2内の駆動部に駆動を伝達する駆動伝達機構を備え、設置空間に対して上方からプロセスユニット2を挿入した状態では、駆動部と該駆動伝達機構とは離間した状態である。そして、詳細は後述する支持部材移動機構によって、ユニット支持部材11を軸方向に平行に左側壁部110L側にスライドさせることによって、左側壁部110L内の駆動伝達機構とプロセスユニット2内の駆動部とが駆動連結する。
【0048】
近年、プリンタなど使用者近傍で使用する画像形成装置の小型化が著しい。また出力画像のカラー化が広く行われてきている。そういった画像形成装置においては、使用者近傍に設置するための省スペース性が求められており、装置サイズの小型化はもちろん、すべて前面から作業ができる(フルフロントオペレーション)などの要求も高い。また、不慣れな使用者でも誤操作することのないよう、操作部位は少なく、簡単な操作で扱えることが望ましい。
このような要求に対して、本実施形態のプリンタ100では、上カバー12が開放自在に構成されており、この上カバー12に光書込ユニット1が固定された構成となっている。こうすることで、上カバー12を開放する操作のみでプロセスユニット2を露出させることができ、そのまま着脱の操作を行うことが可能となっている。
上部開口部を開放することで、上部開口部とともに露光装置を移動させ、プロセスカートリッジを露出させる構成の画像形成装置としては、特許文献1乃至特許文献3に記載された画像形成装置を挙げることができる。
【0049】
上記特許文献1及び2の画像形成装置では、装置本体側の駆動側カップリングを上記軸方向に移動させる機構を備えている。このような画像形成装置では、プロセスカートリッジを装置本体に装着した後に、駆動側カップリングを軸方向に移動させてプロセスカートリッジ側の従動側カップリングと連結させ、駆動連結を行う。
【0050】
図12は、プリンタ100本体側の駆動側カップリングを上記軸方向に移動させてプロセスカートリッジであるプロセスユニット2側の従動側カップリングと連結させる構成の説明図である。
図12に示す構成では、駆動伝達機構として、駆動モータ16、第一ギヤ17、第二ギヤ18及び駆動側カップリングスライド機構20を備える。第一ギヤ17と同一回転軸の回転部材として、プロセスユニット2内の感光体21の感光体従動側カップリング21aと接続する第一駆動側カップリング20aを備え、第二ギヤ18と同一回転軸の回転部材として、プロセスユニット2内の現像装置22の現像従動側カップリング22aと接続する第二駆動側カップリング20bを備える。第一駆動側カップリング20a及び第二駆動側カップリング20bは駆動側カップリングスライド機構20の駆動によって実線で示す位置から破線で示す位置にスライド可能となっている。
また、設置空間の左側端部を形成する装置本体左側板14Lに対してユニット左端支持部材11Lを固定する左側固定部材115Lを備える。
【0051】
図12に示す構成では、プリンタ100本体に対してプロセスユニット2を着脱するときには、第一駆動側カップリング20a及び第二駆動側カップリング20bは実線で示す位置にある。
プロセスユニット2を装着するときに、プロセスユニット2が上方から設置空間に挿入されると、その下端部がユニット支持部材11(図12ではユニット左端支持部材11L)に突き当たり、支持される。次に、駆動側カップリングスライド機構20の駆動を駆動し、第一駆動側カップリング20a及び第二駆動側カップリング20bを軸方向に破線の位置までスライドさせる。これにより、第一駆動側カップリング20aと感光体従動側カップリング21aとが接続し、第二駆動側カップリング20bと現像従動側カップリング22aとが接続して、駆動伝達機構と駆動部とが駆動連結する。
図12に示す構成では、第一駆動側カップリング20aと感光体従動側カップリング21aとの接続、および、第二駆動側カップリング20bと現像従動側カップリング22aとの接続では、駆動連結にカップリング構成を利用したものである。このようにカップリングを利用した構成で、第一駆動側カップリング20a及び第二駆動側カップリング20bといった駆動伝達機構を構成する部材の駆動側カップリングを含む一部を軸方向にスライド可能とすると、装置が非常に複雑になり、マシンサイズの増加、コストUP、機構の複雑化による精度低下をさけられない。
【0052】
上記特許文献3の画像形成装置では、プロセスカートリッジの装着方向の先端に内部の駆動部へ駆動を伝達する従動側歯車を備え、装置本体側には、プロセスカートリッジが突き当たる位置に従動側歯車に駆動を伝達する駆動側歯車を備える。この画像形成装置では、従動側歯車及び駆動側歯車の回転軸が潜像担持体の回転軸と平行であり、装置本体に対してプロセスカートリッジを突き当たる位置まで挿入することで、従動側歯車と駆動側歯車とがかみ合い、駆動連結が成される。
【0053】
図13は、プリンタ100本体に対してプロセスユニット2を突き当たる位置まで挿入することで、従動側歯車と駆動側歯車とがかみ合い、駆動連結が成される構成の説明図である。
図13に示す構成では、プリンタ100本体に対してプロセスユニット2を装着するときに、プロセスユニット2が上方から設置空間に挿入されると、感光体21の回転軸と同一の軸線上に突出した位置決め部211Lが装置本体左側板14Lの水平面部分に突き当たる。このとき、プロセスユニット2内の駆動部へ駆動を伝達する従動側歯車である駆動ギヤ21Gと第一ギヤ17と同一の回転軸で第一ギヤ17の回転に回転する駆動側歯車である駆動伝達ギヤ17Gとがかみ合い長さEでかみ合い、駆動連結がなされる。
図13に示す構成では、駆動伝達機構の一部をスライドさせる構成が無く、プロセスユニット2を装着する操作のみで駆動連結が成されるため、図12を用いて説明した構成に比べて、低コストに有利である。
【0054】
しかし、プロセスユニット2の着脱時の操作性にすぐれ、低コストに有利な図13に示す構成を備えたプリンタ100では、装置本体のサイズ、特に、軸方向(プリンタ100の左右方向)の幅が大きくなるという問題があった。
これは以下の理由による。
プリンタ100体側の駆動源である駆動モータ16からプロセスユニット2内の駆動部のすべてに対する駆動の伝達が、駆動伝達ギヤ17Gと駆動ギヤ21Gとのかみ合いを介して行われるため、駆動伝達ギヤ17Gと駆動ギヤ21Gとのかみ合い部に負荷が集中する。このため、かみ合い部でのギヤの破損を防止するように、かみ合い部の回転軸に平行な方向の長さ(以下、かみ合い長さEと呼ぶ)はある程度の長さが必要である。このため、感光体21の軸方向の長さや径などのプロセスユニット2の使用が同じ構成であっても、図12に示すカップリングによる駆動連結に要する軸方向の長さが3[mm]程度であったのに対して、図13に示す構成では、かみ合い長さEとして10[mm]以上必要であった。
このため、駆動連結に要する形状の軸方向の長さが長い分、図13に示す構成は図12に示す構成に比べてプロセスユニット2の軸方向に長くなる。また、図13に示す構成では、駆動連結を行う位置がプロセスユニット2の挿入方向の奥側端部であり、駆動連結に要する形状のみがプロセスユニット2の軸方向から突出した形状であっても、駆動連結に要する形状の軌道となる空間には他の部材を設けることが出来ず、プロセスユニット2を装着した後は空白スペースになってしまう。
【0055】
さらに、カップリングによる駆動連結ではなく、図13のようにギヤ連結する構成である場合、感光体21が露光されるために感光体21の回転軸は精度良く位置決めを行う必要がある。そして、精度よく感光体21の位置決めを行うためには、プロセスユニット2に対して固定され、感光体21の軸線上に存在する位置決め部211Lが必要となる。この位置決め部211Lと同様の部材が軸方向の右側端部側にも必要であり、このような位置決め用の形状の軸方向の長さが片側で10[mm]の場合、軸方向両端部で合わせて20[mm]分のスペースが必要である。この位置決め部211Lは感光体21の軸線上に存在するため、プロセスユニット2の挿入方向の奥側となる位置に配置されており、プロセスユニット2の着脱時の位置決め部211Lの軌道となる空間には他の部材を設けることが出来ず、プロセスユニット2を装着した後は空白スペースになってしまう。
上述のように、図13に示す構成では、プロセスユニット2の軸方向の長さが長くなったり、プロセスユニット2を装着した後に空白スペースが生じたりするため、小型化を図ることが困難である。
なお、図13に示す構成では、一次転写ローラ32の軸方向端部から駆動モータ16の端部までの幅Wが76[mm]であった。
【0056】
なお、図12や図13の構成で生じる上述した課題は、プロセスカートリッジを感光体の軸方向に着脱する構成であれば解決できるものの、そもそも操作性に劣る構成であることや、位置決め構成の複雑化、画像形成装置自体の大型化などのの課題を解決することができない。このため、特許文献1〜特許文献2に記載の画像形成装置のように、プロセスカートリッジの交換時の優れた操作性を維持しつつ更に装置全体の小型化を安価に実現した画像形成装置が求められる。
【0057】
図6は、本実施形態のプリンタ100でプロセスユニット2を装着した状態の駆動連結の説明図である。
図7及び図8は、本実施形態のプリンタ100の装置本体に対してプロセスユニット2を装着する手順の説明図である。また、図9は、プロセスユニット2の設置空間の軸方向両端部を形成する装置本体左側板14L及び装置本体右側板14Rと、プロセスユニット2を下方から支持するユニット支持部材11との斜視説明図である。
【0058】
上述したようにプリンタ100は、左側壁部110L内には、プロセスユニット2内の駆動部に駆動を伝達する駆動伝達機構を備える。そして、図6に示すように、駆動伝達機構として、駆動モータ16、第一ギヤ17、第二ギヤ18を備える。また、第一ギヤ17と同一回転軸の回転部材として、プロセスユニット2内の感光体21の感光体従動側カップリング21aと接続する第一駆動側カップリング20aを備え、第二ギヤ18と同一回転軸の回転部材として、プロセスユニット2内の現像装置22の現像従動側カップリング22aと接続する第二駆動側カップリング20bを備える。
本実施形態のプリンタ100は、図12を用いて説明した構成と異なり、第一駆動側カップリング20a及び第二駆動側カップリング20bは軸方向にスライドできない構成である。
なお、第一駆動側カップリング20aは、図9中の第一側板開口部1401から設置空間側に突出し、第二駆動側カップリング20bは、図9中の第二側板開口部1402から設置空間側に突出する。
【0059】
本実施形態のプリンタ100は、装置本体左側板14Lに固定され、ユニット左端支持部材11Lに嵌合して、ユニット左端支持部材11Lを装置本体左側板14Lに対して軸方向にスライド可能に支持する左端支持部材ガイド15Lを備える。また、左端支持部材ガイド15Lと同様に、ユニット右端支持部材11Rに嵌合して、ユニット右端支持部材11Rを装置本体右側板14Rに対して軸方向にスライド可能に支持する不図示の右端支持部材ガイド15Rを装置本体右側板14Rに備える。
図9に示すように、ユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rとは、前側連結部材13Fと後側連結部材13Rとによって連結されており、軸方向にそって一体的にスライドする構成となっている。
左端支持部材ガイド15Lには、ユニット左端支持部材11Lを装置本体左側板14Lから離間させる方向(図8中の矢印J方向)に付勢する支持部材付勢スプリング19を備える。
【0060】
また、図3に示すように、右側壁部110Rの上面には、レバー部材93を備える。プリンタ100は、レバー部材93が図3中の矢印K方向に倒れることによって、ユニット右端支持部材11Rを装置本体右側板14Rから離間させる方向に押圧し、ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rを装置本体左側板14L側にスライドさせる不図示の支持部材スライド機構を備える。また、図3に示すように、上カバー12を開放した状態では、レバー部材93は起き上がった状態となり、図3の状態から上カバー12を閉めると、上カバー12がレバー部材93を押し、レバー部材93が図3中の矢印K方向に倒れる。すなわち、図3の状態から上カバー12を閉める動作に連動して、ユニット支持部材11(ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11R)が装置本体左側板14L側にスライドする構成となっている。
【0061】
本実施形態のプリンタ100では、プロセスユニット2を装置本体に装着するときには、図7で示すように、プロセスユニット2の軌道と第一駆動側カップリング20a及び第二駆動側カップリング20bとが重ならないように、プロセスユニット2が設置空間に挿入される。図7の状態からプロセスユニット2が矢印Hで示すようにさらに下方に向けて挿入されることで、図8に示すように、プロセスユニット2の下端部がユニット支持部材11に突き当たる。このとき、ユニット支持部材11が支持部材付勢スプリング19によって図8中の矢印J方向に付勢されているため、駆動連結は成されていない。
【0062】
図8に示す状態から上カバー12を閉める動作を行うことにより、上カバー12がレバー部材93を図3中の矢印K方向に倒し、支持部材スライド機構の動作によってユニット支持部材11及びプロセスユニット2が図8中の矢印I方向にスライドする。プロセスユニット2が図8中の矢印I方向にスライドすることで、感光体従動側カップリング21aと第一駆動側カップリング20aとが接続し、現像従動側カップリング22aと第二駆動側カップリング20bとが接続する。これにより駆動連結が成される。
このスライド動作に伴い、プロセスユニット2の回転方向位置決め凸部205が装置本体左側板14Lに設けられた回転方向位置決め孔1403に嵌合する。
また、上カバー12を完全に閉めると、図6で示す状態となり、ユニット上面押圧部材91がプロセスユニット2の上面を押圧し、図5を用いて説明したようにプロセスユニット2のプリンタ100本体に対する軸方向に直交する方向の位置決めが成される。
【0063】
このように、図8に示す状態から上カバー12を閉めることにより、駆動連結が行われるともに、支持部材スライド機構による図中矢印I方向の押圧と、支持部材付勢スプリング19の付勢力とによってプロセスユニット2の軸方向に位置決めが成される、また、ユニット上面押圧部材91がプロセスユニット2の上面を押圧することで、プロセスユニット2のプリンタ100本体に対する軸方向に直交する方向の位置決めが成される。さらに、回転方向位置決め凸部205が回転方向位置決め孔1403に嵌合することにより、感光体21の回転軸周りの回転方向の位置決めを行うことができる。これにより、プロセスユニット2のプリンタ100に対する位置決めが達成される。
本実施形態のプリンタ100では、駆動連結に要する軸方向の長さは、カップリングの3[mm]と駆動側カップリングからプロセスユニット2を完全に退避させるだけの距離の2[mm]とを足した5[mm]であった。よって、かみ合い長さEとして10[mm]以上必要な図13の構成よりも駆動連結に要する軸方向の長さを短くすることができる。また、図13に示す構成の位置決め部211Lに要するスペースも不要であるため、プロセスユニット2の全体の軸方向の長さも短くできる。
なお、図6に示す本実施形態のプリンタ100では、一次転写ローラ32の軸方向端部から駆動モータ16の端部までの幅Wは55[mm]であり、図13に示す構成よりも短くすることができた。
【0064】
上カバー12を開放した状態では、支持部材付勢スプリング19の付勢に反する規制が行われていないため、支持部材付勢スプリング19の付勢によって、ユニット支持部材11に支持されるプロセスユニット2は、駆動連結が解除された位置にある。このため、上カバー12を開けるとプロセスユニット2をそのまま上方に引き出すことができ、プロセスユニット2の交換時に使用者に対して追加の操作を強いることがなく、交換時の操作性の改善を達成することができる。
【0065】
また、プリンタ100では、不図示のリンク機構である支持部材スライド機構によって、上カバー12の開閉に連動してプロセスユニット2と共にユニット支持部材11を軸方向にスライドさせる構成である。このような構成により、使用者が上カバー12の開放また閉鎖の操作を行うことでプロセスユニット2の軸方向の移動が成されるため、プロセスユニット2の交換時の操作性に優れた構成をアクチュエータなどを使用することの無い安価な構成で達成することができる。
なお、プロセスユニット2と共にユニット支持部材11を軸方向にスライドさせる構成としては、リンク機構を用いたものに限らず、何らかのトリガに基づいて駆動し、ユニット支持部材11を軸方向にスライドさせるアクチュエータを用いる構成であってもよい。
【0066】
また、本実施形態のプリンタ100では、左端支持部材ガイド15Lは装置本体左側板14Lに固定された構成であるが、左端支持部材ガイド15Lの装置本体左側板14Lに対する位置を調節可能に構成してもよい。
図10は、装置本体左側板14Lに対する左端支持部材前側ガイド15LFの位置を調節可能とした構成の説明図である。図10に示す構成では、左端支持部材前側ガイド15LFはブラケット部材60にカシメられ、装置本体左側板14Lに設けられた開口1404より側板間の空間に突出し、ブラケット部材60が装置本体左側板14Lに固定されることで位置決めされる構成である。
この構成により固定位置を変更する、あるいはあらかじめブラケット部材60に対する左端支持部材前側ガイド15LFのカシメ位置が異なる、あるいは形状の異なる左端支持部材前側ガイド15LFがカシメられたものを準備するなど、装置本体左側板14Lに対して左端支持部材前側ガイド15LFの位置を調整可能な構成となっている。
なお、左端支持部材前側ガイド15LF以外の3つの支持部材ガイド15(不図示の左端支持部材後側ガイド15LR、右端支持部材前側ガイド15RF及び右端支持部材後側ガイド15RR)については、カシメなどにより側板に固定されている。この構成により、高い部品精度を必要とするだけでなく、組み立て後の検査結果などに応じてガイド部材を調整することで色間の画像ずれを低減する方法を選択することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤を用いて潜像を現像する一成分現像方式を採用したプリンタ100の例について説明したが、磁性キャリアとトナーとを含有する二成分現像剤を用いる二成分現像方式を採用した画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0068】
また、プリンタ100は、光書込ユニット1を上カバー12の開閉に伴って移動させる構成であるが、光書込ユニット1と上カバー12とを個別に回動させて、4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)との対面位置から待避させる画像形成装置にも本発明は適用可能である。また、光書込ユニット1を回動させるのではなく、鉛直上方にスライド移動させるようにした画像形成装置にも、本発明は適用可能である。
【0069】
本実施形態のプリンタ100は、一つの光書込ユニット1を4つのプロセスユニット2(Y,M,C,K)の上方に配置する構成であるが、図11に示すように、4つの光書込ユニット1(Y,M,C,K)を備える構成であっても良い。
【0070】
以上、本実施形態の画像形成装置としてのプリンタ100は、表面に潜像を担持して表面移動する潜像担持体である感光体21と、潜像をトナーによって現像して感光体21の表面にトナー像を形成する現像手段である現像装置22とを有し、少なくとも感光体21を含む複数の部材を一体的に支持し、プリンタ100本体に対して着脱可能な潜像担持体ユニットであるプロセスユニット2を構成し、プリンタ100本体の感光体21の回転軸の軸方向の両端の筺体を形成する2つの本体壁部である左側壁部110Lと右側壁部110Rの間の設置空間に対して、軸方向に直交する方向である上下方向にプロセスユニット2を挿入または引き出すことでプリンタ100本体に対するプロセスユニット2の着脱を行い、プロセスユニット2をプリンタ100本体に装着した状態で、プロセスユニット2内の駆動部に対してプリンタ100本体側の駆動源である駆動モータ16から駆動を伝達する画像形成装置である。また、プリンタ100は、設置空間に対して軸方向に直交する下方向に挿入されたプロセスユニット2を支持する潜像担持体ユニット支持部材であるユニット支持部材11と、ユニット支持部材11を軸方向に沿って移動させる支持部材移動機構である不図示の支持部材スライド機構と、左側壁部110Lに配置され、プロセスユニット2内の駆動部である感光体21や現像ローラ226等に駆動を伝達する駆動伝達部とを備える。また、プリンタ100は、プロセスユニット2を設置空間に挿入した状態では、駆動部と駆動伝達部とは離間しており、支持部材スライド機構によってプロセスユニット2と共にユニット支持部材11を駆動伝達部側に移動させることによって、プロセスユニット2の従動側カップリングとプリンタ100本体側の駆動側カップリングとが連結し、駆動部と駆動伝達部とが駆動連結する。
図13を用いて説明した構成では、感光体軸に直交する方向にプロセスカートリッジを着脱させることで、プロセスカートリッジの着脱操作性にすぐれた着脱構成である。しかし、図13に記載の構成はプロセスカートリッジの位置決めや駆動連結形状の移動経路を確保するために装置の幅寸法が大きくなってしまうという課題があった。
これに対して、本実施形態のプリンタ100では、プロセスユニット2の挿入による軸方向に直交する方向の位置決めと、駆動連結あるいはプロセスユニット2の軸方向の位置決めとを別のタイミングで実現することができ、駆動連結用あるいは従位置決め形状用が通過する軌道の空間や専用機構を設ける必要がない。このため、安価な構成で、横幅の小さく且つ頻繁に交換するプロセスカートリッジの操作性にすぐれた画像形成装置を実現することができる。
【0071】
プリンタ100本体の外装は軸方向に直交する方向の装置上面に開閉可能な開閉部材である上カバー12を備え、一様に帯電した感光体21の表面に潜像を書き込む潜像書込装置である光書込ユニット1は、上カバー12と一体的に移動し、上カバー12を開放することによって、設置空間が露出し、プロセスユニット2をプリンタ100本体に対して着脱可能となる構成である。プリンタ100のように、光書込ユニット1を移動させることでプロセスユニット2の設置空間が露出する構成は、上カバー12を開放した状態にて感光体21の軸方向に直交する上方向にプロセスユニット2が着脱可能となるためプロセスユニット2を交換するときの操作性に優れている。しかし、上カバー12と共に光書込ユニット1を移動さて設置空間を露出させる構成は、図1に示すように、感光体21はプロセスユニット2内の挿入方向奥側に配置される構成となる。感光体21が挿入方向奥側にある構成で、感光体21の回転軸の軸線上の位置決め用の部材(図13中の位置決め部211L)がプロセスユニット2の軸方向外側に突出していると、この位置決め用の部材の軌道となる空間が空白スペースとなる問題が顕著化する。このような問題に対して本実施形態のプリンタ100は、感光体21の回転軸の軸線上の位置決め用の部材がプロセスユニット2の軸方向外側に突出しておらず、この部材の軌道となる空間が不要であるため、画像形成装置の小型化を維持しつつ、プロセスユニット2を交換するときの操作性に優れた構成を実現できる。
【0072】
また、プリンタ100が備える支持部材スライド機構は、開閉部材である上カバー12を閉める動作に連動してユニット支持部材11を駆動伝達部側(図8中の矢印I方向)に移動させる連動機構を備える。これにより、上カバー12の閉動作に連動してユニット支持部材11が感光体軸方向における駆動連結可能な方向に移動する構成となっているので、アクチュエータなどの特別な機構無く駆動連結、あるいはプロセスユニット2の軸方向の位置決めの実施を行うことが可能となる。ユニット支持部材11の規制、移動のために専用のアクチュエータを用いると装置サイズの増大、コストの増大につながってしまうが、本実施形態のプリンタ100であれば、アクチュエータが不要であるため、プリンタ100を挿入した後に、軸方向にスライドさせる構成を安価に実現することができる。
【0073】
また、プリンタ100は、プロセスユニット2を複数有し、ユニット支持部材11は複数のプロセスユニット2の軸方向の両端をそれぞれ支持する2つの端部支持部材であるユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rからなる。そして、ユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rは、図5を用いて説明したように、位置決め凹部112でプロセスユニット2の下方を支持し、プロセスユニット2が上方から押圧されることで、プロセスユニット2をプリンタ100本体に装着した状態での軸方向に直交する方向のプリンタ100本体に対する感光体21の位置決めを行う位置決め手段を構成する。これにより、簡易な構成で軸方向に直交する方向のプリンタ100本体に対する感光体21の位置決めを行うことができる。
【0074】
また、プリンタ100は、ユニット支持部材11の感光体21の位置決め手段を構成する部分である位置決め凹部112の形状は、ユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rと同一の形状であるため、少なくとも複数の感光体21同士の平行度を確保することが可能である。複数の感光体21を備えたプリンタ100において、色間の画像ズレは品質劣化に対する影響が大きい。そのため、感光体21同士のピッチを規定し、平行度の確保が非常に重要である。プリンタ100では、感光体21の軸方向両端を支持するユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rの位置決め凹部112を形成する部分の形状が同一であるため、複数の感光体21同士の平行度を確保することができ、色間の画像ズレが少ないすぐれた画像品質を提供できる。
【0075】
また、プリンタ100が備えるユニット左端支持部材11L及びユニット右端支持部材11Rは、金属材料で形成されているため、同一金型による形状形成などの方法により、上述の平行度を確保するために位置決め凹部112を形成する部分の形状を同一とする構成の実現に対して有利であり、また導電性を利用して接地の機能を付加するなど低コスト性にも優れる。よって、より高い精度での感光体21同士の平行度の確保を安価に達成することができる。
【0076】
また、プリンタ100では、ユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rとを同一の部品であるため、プロセスユニット2の軸方向両端におけるピッチの規定を最小限の誤差で実現することができる。また、部品生産数が2倍となることで低コスト化に対しても有利となる。よって、より高い精度での感光体21同士の平行度の確保を安価に達成することができる。
【0077】
また、プリンタ100では、ユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rとが連結部材である前側連結部材13Fと後側連結部材13Rとによって連結されているため、2つのユニット支持部材11の一方を規制、移動させることで両方のユニット支持部材11を一体的構造として扱うことが可能になる。上述したように、プロセスユニット2の位置決めを軸方向両端部のユニット支持部材11の位置決め凹部112を用いて行うことで、位置決めを高精度に実現できる。さらに、ユニット支持部材11がプリンタ100本体に対して軸方向にスライド可能となっていることでプロセスユニット2の着脱の動作を設置空間への挿入の動作と、駆動連結を行う動作とに分割することができる。ここで、ユニット支持部材11であるユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rとを独立して移動可能に構成すると、個別に位置を規制したり、移動させたりする機構を設ける必要がある。一方、プリンタ100では、ユニット左端支持部材11Lとユニット右端支持部材11Rとの一方を規制、移動させることで両方を一体的構造として扱うことが可能になるため、位置決めを高精度に実現できる構成を安価に実現可能となる。
【0078】
また、プリンタ100は、プロセスユニット2の駆動連結が解除される方向である駆動伝達部から離れる方向にユニット支持部材11を付勢する支持部材付勢手段である支持部材付勢スプリング19を備える。ユニット支持部材11は、軸方向で駆動連結が解除される方向に付勢されているので、上カバー12を開放し、何も実施していない状態(イニシャル状態)では駆動連結が解除され、着脱が可能な状態を特別な機構無く実現することができる。これにより、ユニット支持部材11の規制、移動のために専用のアクチュエータを用いる必要が無く、装置サイズやコストが増大することを防止できる。
【0079】
また、プリンタ100は、駆動伝達部を備える側の本体壁部の装置本体左側板14Lに回転方向位置決め孔1403を備え、プロセスユニット2をプリンタ100本体に装着した状態で装置本体左側板14Lに対向するプロセスユニット2の壁面に回転方向位置決め凸部205を備え、ユニット支持部材11が駆動伝達部側に移動することによって回転方向位置決め孔1403と回転方向位置決め凸部205とが嵌合する構成であるため、特別な部品の追加なく、感光体21の回転軸の回転方向のプロセスユニット2の位置決めを達成することができる。よって、回転方向のプロセスユニット2の位置決めを安価に精度良く実現することができ、低コスト性、省スペース性に優れた画像形成装置を提供できる。
【0080】
また、プリンタ100では、ユニット支持部材11のプリンタ100本体に対する軸方向に直交する方向の位置決めは、ユニット支持部材11に軸方向に貫通するように設けられた複数の穴部と、軸方向に延在するように本体壁部である装置本体左側板14Lまたは装置本体右側板14Rに固定され、ユニット支持部材11の穴部を貫通する支持部材移動ガイドピンである4つの支持部材ガイド15とによって構成される。そして、図10に示すように、4つの支持部材ガイド15のうちの左端支持部材前側ガイド15LFの装置本体左側板14Lに対する位置を調節可能な構成とすることにより、左端支持部材前側ガイド15LFの取り付け位置を調整することでユニット支持部材11のプリンタ100本体に対する位置を調節することができ、色間の画像ズレを低減させることができる。より少ない色間の画像ズレを実現し画像品質を達成するためには個々の組み立て状況に合わせて調整ができる構成であることが望ましい。また、部品精度に依存しないことで低コスト性を向上させたい。このため、部品精度にある程度の誤差がある安価なユニット支持部材11であっても調整することで使用が可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1 光書込ユニット
2 プロセスユニット
3 転写ユニット
4 レジストローラ対
5 給紙ローラ
6 給紙カセット
7 定着装置
7a 定着ローラ
7b 加圧ローラ
8 排紙ローラ対
9 スタック部
11 ユニット支持部材
11L ユニット左端支持部材
11R ユニット右端支持部材
12 上カバー
13F 前側連結部材
13R 後側連結部材
14L 装置本体左側板
14R 装置本体右側板
15 支持部材ガイド
15L 左端支持部材ガイド
15LF 左端支持部材前側ガイド
15LR 左端支持部材後側ガイド
15R 右端支持部材ガイド
15RF 右端支持部材前側ガイド
15RR 右端支持部材後側ガイド
16 駆動モータ
17 第一ギヤ
17G 駆動伝達ギヤ
18 第二ギヤ
19 支持部材付勢スプリング
20 駆動側カップリングスライド機構
20a 第一駆動側カップリング
20b 第二駆動側カップリング
21 感光体
21a 感光体従動側カップリング
21G 駆動ギヤ
22 現像装置
22a 現像従動側カップリング
23 帯電装置
24 ドラムクリーニング装置
31 中間転写ベルト
32 一次転写ローラ
33 駆動ローラ
34 二次転写ローラ
35 従動ローラ
40 反転ユニット
40a 回動軸
41 反転前搬送路
43 反転搬送ローラ対
44 反転搬送路
45 前カバー
46 揺動体
51 給紙路
52 転写後搬送路
53 定着後搬送路
54 排紙路
55 反転前搬送路
60 ブラケット部材
61 軸部材
91 ユニット上面押圧部材
92 ユニット上面押圧バネ
93 レバー部材
100 プリンタ
110L 左側壁部
110R 右側壁部
112 位置決め凹部
115L 左側固定部材
205 回転方向位置決め凸部
211L 位置決め部
221 ホッパ部
222 アジテータ
223 現像部
224 連通孔
225 撹拌パドル
226 現像ローラ
227 トナー供給ローラ
228 薄層化ブレード
1401 第一側板開口部
1402 第二側板開口部
1403 回転方向位置決め孔
1404 開口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2008−165023号公報
【特許文献2】特開2006−154746号公報
【特許文献3】特開2007−140041号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも潜像担持体を含む複数の部材を一体的に支持し、装置本体に対して着脱可能な潜像担持体ユニットを有し、
該装置本体の該潜像担持体の回転軸の軸方向の両端の筺体を形成する2つの本体壁部の間の設置空間に対して、該軸方向に直交する方向に該潜像担持体ユニットを挿入または引き出すことで該装置本体に対する該潜像担持体ユニットの着脱を行い、
該潜像担持体ユニットを該装置本体に装着した状態で、該潜像担持体ユニット内の駆動部に対して装置本体側の駆動源から駆動を伝達する画像形成装置において、
上記設置空間に対して上記軸方向に直交する方向に挿入された上記潜像担持体ユニットを支持する潜像担持体ユニット支持部材と、
該潜像担持体ユニット支持部材を該軸方向に沿って移動させる支持部材移動機構と、
2つの上記本体壁部の一方に配置され、該潜像担持体ユニット内の上記駆動部に駆動を伝達する駆動伝達部とを備え、
上記潜像担持体ユニットを上記設置空間に挿入した状態では、該駆動部と該駆動伝達部とは離間しており、上記支持部材移動機構によって該潜像担持体ユニットと共に上記潜像担持体ユニット支持部材を該駆動伝達部側に移動させることによって、該駆動部と該駆動伝達部とが駆動連結することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記装置本体の外装は上記軸方向に直交する方向の装置側面または装置上面に開閉可能な開閉部材を備え、
一様に帯電された上記潜像担持体の表面に潜像を書き込む潜像書込装置は、該開閉部材と一体的に移動し、該開閉部材を開放することによって、上記設置空間が露出し、上記潜像担持体ユニットを該装置本体に対して着脱可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記支持部材移動機構は、上記開閉部材を閉める動作に連動して上記潜像担持体ユニット支持部材を該駆動伝達部側に移動させる連動機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記潜像担持体ユニットを複数有し、
上記潜像担持体ユニット支持部材は複数の該潜像担持体ユニットの上記軸方向の両端をそれぞれ支持する2つの端部支持部材からなり、
該端部支持部材は、該潜像担持体ユニットを上記装置本体に装着した状態での上記軸方向に直交する方向の該装置本体に対する上記潜像担持体の位置決めを行う位置決め手段を構成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記端部支持部材について、上記潜像担持体の位置決め手段を構成する部分の形状は、2つの該端部支持部材で同一の形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5の画像形成装置において、
2つの上記端部支持部材は、金属材料で形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
2つの上記端部支持部材が、同一の部品であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
2つの上記端部支持部材が、連結部材によって一体的に連結されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記潜像担持体ユニット支持部材を上記駆動伝達部から離れる方向に付勢する支持部材付勢手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記駆動伝達部を備える側の上記本体壁部と、上記潜像担持体ユニットを上記装置本体に装着した状態でこの本体壁部に対向する該潜像担持体ユニットの壁面とのそれぞれに、
上記潜像担持体ユニット支持部材が該駆動伝達部側に移動することによって嵌合する嵌合形状を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記潜像担持体ユニット支持部材の装置本体に対する軸方向に直交する方向の位置決めは、上記潜像担持体ユニット支持部材に上記軸方向に貫通するように設けられた複数の穴部と、該軸方向に延在するように上記本体壁部に固定され、該穴部を貫通する支持部材移動ガイドピンとによって構成され、
該支持部材移動ガイドピンのうちの少なくとも1つの該本体壁部に対する位置が調節可能な構成となっていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−59617(P2011−59617A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212296(P2009−212296)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】