説明

画像形成装置

【課題】定着部材と加圧部材とで形成される定着ニップ部で未定着トナー像をシート材上に定着させる画像形成装置において、加圧部材のトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光ドラム1、転写ローラ6、定着器7を備え、シート材P上に転写されたトナー像を構成する帯電したトナーに対して、定着フィルム50から加圧ローラ40の方向への静電気力を働かせることが可能な電界が形成された状態で、定着ニップ部においてトナー像をシート材上に定着させる画像形成装置において、画像形成装置の設置後の非画像形成時に、トナーと同極性の電圧を転写ローラ6に印加し、トナーと同極性に帯電したシート材Pを定着ニップ部に通過させるシート材帯電プロセスを行うことで、トナーと逆極性に帯電している付着物を定着フィルム50表面から除去可能なクリーニングモードを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を採用する画像形成装置において、加熱部材を有する回転可能な定着部材と、これに圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、定着ニップ部においてシート材上にトナー像を加熱定着させる定着器が知られている。さらに、かかる定着器において、未定着のトナー像を構成する帯電したトナーが、定着時にシート材上から定着部材の表面に転移する「静電オフセット」の問題を防止すべく、定着部材と加圧部材との間に電界を生じさせる手法が知られている。この手法によれば、例えば負極性のトナーを用いる場合は、定着部材に負極性の電圧を印加し、加圧部材に正極性の電圧を印加することにより、未定着のトナーが定着部材側へ転移することを防止できる。なお、関連する技術が特許文献1〜3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−025053号公報
【特許文献2】特開2002−251090号公報
【特許文献3】特開2000−286034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の技術には以下の課題がある。
【0005】
近年、紙粉として炭酸カルシウムを含んだシート材が多く利用されている。このようなシート材を用いる場合、シート材が給送ローラ、搬送ローラ等と摺擦することで、シート材に含まれる炭酸カルシウムがシート材から分離し、さらに樹脂等との摺擦によって炭酸カルシウムが正極性に帯電する。よって「静電オフセット」対策として定着部材に負極性の電圧を印加している場合は、正極性に帯電した炭酸カルシウムがシート材上から定着部材の表面に静電的に付着することになり、その結果、付着した紙粉によって定着部材の表面の離型性が低下してしまう。
【0006】
定着部材の表面の離型性が低下すると、定着部材の表面に未定着のトナーが付着、残留しやすくなり、さらに温度差の影響によって、定着部材の表面に残留するトナーが加圧部材の表面に転移する(トナーは温度が高い方から低い方に移動する性質がある)。つまり、定着工程を多く重ね、定着部材の回転数が増えると、多くのトナーが加圧部材の表面に転移することになり、これによって加圧部材の表面がトナーによって汚れるといった課題(トナー汚れ)がある。さらに、加圧部材の表面にトナー汚れが生じると、シート材の汚れにつながるばかりでなく、シート材が加圧部材に巻きついてジャムが発生する、といった問題も生じる。なお、特開平2−160276号公報、特開平5−297753号公報には、加圧ローラのトナー汚れをクリーニングする技術が開示されているが、これらの技術では、上述したトナー汚れを充分にクリーニングすることは困難である。
【0007】
そこで本発明は、定着部材と加圧部材とで形成される定着ニップ部で未定着トナー像をシート材上に定着させる画像形成装置において、加圧部材のトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、前記像担持体に接触して転写ニップ部を形成する転写部材と、加熱部材を有する回転可能な定着部材、及び前記定着部材に圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材を有し、前記転写部材にトナーと逆極性の転写電圧が印加されることでシート材上に転写されたトナー像を、前記定着ニップ部においてシート材上に定着させる定着器と、を備え、シート材上に転写されたトナー像を構成する帯電したトナーに対して、前記定着部材から前記加圧部材の方向への静電気力を働かせることが可能な電界が形成された状態で、前記定着ニップ部においてトナー像をシート材上に定着させる画像形成装置において、画像形成装置の設置後の非画像形成時に、トナーと同極性の電圧を前記転写部材に印加し、トナーと同極性の電圧が前記転写部材に印加されている状態の前記転写ニップ部にシート材を通過させ、これによりトナーと同極性に帯電したシート材を前記定着ニップ部に通過させるシート材帯電プロセスを行うことで、トナーと逆極性に帯電している付着物を前記定着部材の表面から除去可能なクリーニングモードを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定着部材と加圧部材とで形成される定着ニップ部で未定着トナー像をシート材上に定着させる画像形成装置において、加圧部材のトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】本発明において定着部材、加圧部材から付着物を除去する様子を示す図。
【図3】本発明の第2、第3実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図4】本発明のクリーニングモードにおける制御シーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
(1−1:画像形成装置の概略構成)
図1(a)を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1(a)は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式を採用するレーザビームプリンタである。
【0013】
画像形成装置は、回転可能な像担持体として、ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム1」とする)を備えている。感光ドラム1は、外径φ30mmの円筒形状で、画像形成装置の装置本体に回転自在に支持されており、駆動手段(不図示)によって矢印方向に所定のプロセススピードで回転駆動されている。なお、プロセススピードは、150mm/secで
あり、本実施形態に係る画像形成装置では、A4縦送りで(A4:縦297mm×横210mm)24枚/分のシート材Pを排出可能である。
【0014】
感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電ローラ2(外径φ20mm)、現像装置4、転写ローラ6(転写部材:外径φ18mm)、クリーニング装置3が配設されている。また、感光ドラム1の上方には、レーザ光を射出する露光装置5が設けられている。現像装置4は、感光ドラム1表面に当接してトナー(現像剤)を供給する現像ローラ4a
(外径φ18mm、感光ドラム1と等速回転)を有しており、本実施形態では、現像装置4内にトナーとして1成分負極性非磁性トナーが収容されている。また、クリーニング装置3には、感光ドラム1表面に当接して転写後の残留トナーを掻き取るクリーニングブレード3aが設けられている。また、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、クリーニング装置3は、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体に保持されている。
【0015】
画像形成装置の下部には、シート材Pを収納した給送カセット9が配置されている。なお、ここでいうシート材Pとは、紙などの記録紙、コート紙、ラベル紙、OHPシート等を指し、シート状の被転写材であればその種類は特に限定されるものではない。給送カセット9のシート材搬送方向下流側には、順に、給送ローラ10、搬送ローラ11、トップセンサ15、搬送ローラ12、排出ローラ13、排出トレイ8が配置されている。これらの搬送手段、及び不図示の搬送ガイドによって、給送カセット9から給送されたシート材Pが順次搬送されている。
【0016】
かかる構成によってシート材P上に画像を形成する際は、駆動手段(不図示)によって回転駆動された感光ドラム1の表面を、帯電ローラ2によってトナーと同極性に一様に帯電する。本実施形態では、帯電ローラ2に、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を印加することで、感光ドラム1の表面を負極性に一様に帯電している。感光ドラム1表面が帯電されると、露光装置5から画像情報に基づいて変調されたレーザ光が射出されて感光ドラム1表面が走査露光され、走査露光された部分が明部電位となり、感光ドラム1表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成されると、静電潜像は感光ドラム1の回転に伴って現像ローラ4aとの当接部まで運ばれ、現像ローラ4aに現像電圧が印加されることにより、静電潜像に対してトナーが静電気的に供給され、静電潜像がトナー像として現像される。その後、トナー像は、転写ローラ6と感光ドラム1との接触位置に形成される転写ニップ部において、感光ドラム1表面からシート材P上に静電的に転写される。この際、転写ローラ6には、電圧印加部23からトナーの極性と逆極性(本実施形態では正極性)の転写電圧6が印加されている。
【0017】
給送カセット9に収納されているシート材Pは、トップセンサ15を通過して転写ニップ部に搬送される。トップセンサ15によってシート材Pの先端の通過を検知することで、シート材Pが転写ニップ部に搬送されるタイミングと、感光ドラム1表面のトナー像が転写ニップ部まで移動するタイミングとの同期をとることができる。
【0018】
転写ニップ部においてトナー像が転写されたシート材Pは、搬送ガイドに沿って定着器7に搬送され、定着器7において未定着のトナー像が加圧、加熱されることにより、シート材P上にトナー像を定着させている(定着器7の構成については後述する)。トナー像が定着した後のシート材Pは、搬送ローラ12、排出ローラ13を経て、排出トレイ8上に排出される。なお、トナー像の転写後、感光ドラム1表面に残留したトナーは、クリーニング装置3のクリーニングブレード3aによって掻き取られ、次回以降の画像形成プロセスに供される。
【0019】
(1−2:定着器の概略構成)
図1(b)を参照して、本実施形態における定着器7の概略構成について説明する。図1(b)は、本実施形態における定着器7の概略構成図である。
【0020】
本実施形態における定着器7は、回転可能な定着部材としての定着フィルム50の内周面と加熱ヒータ52とが直接摺動し、加熱ヒータ52の反対側から定着フィルム50を挟んで加圧ローラ40(加圧部材)が圧接する「サーフ方式」の定着器7である。
【0021】
定着フィルム50は、エンドレスベルト状の耐熱フィルムであり、半円弧状のフィルムガイド(ステイ)55及び金属ステイ51に対して、周長に余裕を持たせた形で外嵌している。本実施形態では、定着フィルム50として、膜厚60μm、外径φ25mmの耐熱フィル
ムを用いている。また、耐熱性・離型性・強度・耐久性等のあるPTFE、PFA、PPS等の単層フィルム、或いはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES等のフィルム表面にPTFE、PFA、FEP等を離型層としてコーティングした複合層フィルムを用いている。
【0022】
加熱ヒータ52は、セラミックヒーターであり、発熱ペーストによってセラミック基板上に印刷される発熱体52a、発熱体52aの保護と絶縁性を確保するためのガラスコーティング層52bを順次形成したものである。かかる構成によると、不図示の電源から発熱体52aに通電されることにより、発熱体52aを発熱させ、定着ニップ部に挟持されているシート材Pに対して熱を付与することができる。また、セラミック基板の裏には、不図示の制御部に接続されている接触型サーミスタ53が設けられている。これにより、接触型サーミスタ53によって加熱ヒータ52の温度検知を行い、検知結果に基づいて制御部が不図示の電源を制御することで、加熱ヒータ52への通電制御を行い、加熱ヒータ52を目標温度(プリント温度)に制御することができる。
【0023】
加圧ローラ40は、芯金40aの周囲にシリコーンゴムからなる弾性層40bを形成した弾性ローラである(外径φ20mm、硬度52°[アスカC-1kg荷重])。また、弾性層40b
の周りにはPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂から成る耐熱離型層40cが形成されており、これにより、加圧ローラ40表面にトナーが付着しにくくしている。加圧ローラ40は、不図示のバネにより定着フィルム50側に付勢されており、これにより、定着フィルム50と加圧ローラ40とによってニップ幅Nの定着ニップ部が形成されている。また、加圧ローラ40は不図示の駆動源によって回転駆動されており、定着フィルム50がこれに連れ回るように構成されている。
【0024】
次に、かかる構成の定着器7によってシート材P上の未定着トナー像を加熱、加圧定着する際の定着動作について説明する。まず、画像形成装置の制御部がプリント信号を受けると、プリント前の準備段階である前回転動作が行われる。この前回転動作の最中に、加熱ヒータ52への通電が開始され、定着器7が立ち上げられる。本実施形態では、約5秒
の立ち上げ時間で定着器7が180℃まで立ち上げられ、この温度に達すると、上述の画像
形成プロセスが開始される。
【0025】
その後、シート材Pの搬送が開始されると、加熱ヒータ52への通電量が増加し、定着器7の温度が更に上昇し、定着器7の温度(定着ニップ部における温度)が、画像形成中の定着温調温度として予め設定されている210℃まで達する。そして、未定着のトナー像
が転写されているシート材Pが定着ニップ部に順次搬送され、シート材P上にトナー像が定着される。
【0026】
さらに本実施形態では、画像形成中の定着工程において、少なくともシート材Pの搬送方向後端が定着ニップ部を通過するまでは、定着フィルム50に対して導電性ブラシ54から、トナーと同極性(本実施形態では負極性)の電圧が印加されている。導電性ブラシ54には、リーク防止の保護抵抗54aを介して電圧印加部54bが接続されている。一方、加圧ローラ40の芯金40aは、保護抵抗41を介して電圧印加部42に接続されており、少なくともシート材Pの搬送方向後端が定着ニップ部を通過するまでは、加圧ローラ40に対してトナーと逆極性(本実施形態では正極性)の電圧が印加されている。
【0027】
このような構成により、定着フィルム50と加圧ローラ40との間には、負極性に帯電しているトナーに対して、加圧ローラ40の方向への静電気力を働かせることが可能な電界を形成することができる。よって、シート材P上に転写されている帯電したトナー(未
定着トナー像を構成するトナー)には、シート材Pに押し付けられる向きの静電気力が働くので、定着時にトナーが定着フィルム50表面に付着することを防ぐことが可能である。すなわち、本実施形態の構成によれば「静電オフセット」を防止することができる。なお、ここでは加圧ローラ40に正極性の電圧を印加する場合について説明したが、加圧ローラ40を接地する構成であっても、上述と同様の電界を形成することは可能であるので「静電オフセット」を防止することができる。
【0028】
(1−3:クリーニングモード)
シート材Pに対して画像を形成する通常の画像形成モードの場合には、上述の構成によって、シート材上に所望の画像を形成することができる。さらに本実施形態では、通常の画像形成モードに加え、加圧ローラ40のトナー汚れを防ぐために、定着フィルム50表面に付着する炭酸カルシウム(付着物)を除去するための「クリーニングモード」を有していることを特徴とする。このような「クリーニングモード」を有しているので、本実施形態では、トナーと逆極性に帯電している付着物を定着フィルム50表面から除去し、定着フィルム50表面の離型性を保つと共に、加圧ローラ40のトナー汚れを防ぐことができる。
【0029】
本実施形態におけるクリーニングモードは、画像形成装置の制御部と接続された外部機器(PCなど)において、ユーザが選択することにより実行されるモードである。しかしながら、ユーザの選択によらずとも、画像形成装置の電源をONにした時、画像形成装置の開閉ドア(プロセスカートリッジの着脱を行うドア)を閉じた時、又は画像形成待機中などに、予め入力されたタイミングに基づいて行うことも可能である。例えば、画像形成枚数(通紙枚数)を画像形成装置の制御部においてカウントし、予めメモリに書き込まれている通紙枚数に達した場合にクリーニングモードを行うとよい。ただし、予め入力されたタイミングに基づいてクリーニングモードが選択、実行される場合は、ユーザの指示による画像形成プロセスを優先とし、画像形成プロセスの効率を低下させないタイミングでクリーニングモードが行われる必要がある。このように、本実施形態におけるクリーニングモードは、言い換えると画像形成装置を設置後の非画像形成時に行われている。
【0030】
クリーニングモードが選択されると、給送トレイ9からシート材Pが給送される。給送されたシート材Pの搬送方向先端がトップセンサ15を通過すると、通過したタイミングに基づいて、所定時間後に電圧印加部23から転写ローラ6に対して、トナーと同極性(本実施形態では負極性)の直流電圧が印加される。この状態の転写ニップ部にシート材Pが搬送されると、シート材Pの裏面(非画像形成面)は、トナーと同極性、つまり負極性に帯電することになる。なお、クリーニングモードが選択されると、帯電ローラ2への印加電圧はオフにされるか、もしくは交流電圧のみが印加される状態となる。これは、感光ドラム1と転写ローラ6との電位差を大きくすることで、より効率よく、下記で説明するクリーニングプロセスを行う為である。また、クリーニングモードは非画像形成時に行われるので、感光ドラム1表面にはトナー像は形成されておらず、クリーニングモード実行中にシート材Pに対してトナー像が転写されることはない。このようにして転写ニップ部において負極性に帯電されたシート材Pは、さらに搬送され、定着ニップ部に搬送される。クリーニングモードは上述したように非画像形成時に行われるので、この時、定着器7は温調制御されておらず、定着時と比較すると低い温度になっている。
【0031】
図2(a)に、本実施形態のクリーニングモードにおいて、負極性に帯電しているシート材Pが定着ニップ部に搬送された状態を示す。図示するように、定着ニップ部にシート材Pが搬送されると、負極性に帯電しているシート材P上に、定着フィルム50表面の付着物としての紙粉(正極性に帯電した炭酸カルシウム)が静電的に吸着される。つまり、定着フィルム50表面から付着物を除去することができる。なお、定着時には、上述した「静電オフセット」防止のために、定着フィルム50、加圧ローラ40にはそれぞれ電圧
が印加されていたが、クリーニングモードを行う際は、これらは不図示の切換手段によって接地されている(図中55、45)。これにより、定着フィルム50における付着物の保持力は弱まるので、定着フィルム50表面の正極性に帯電した付着物を効率よくシート材P表面に吸着させることが可能になる。定着フィルム50表面の付着物を吸着したシート材Pは、付着物を吸着した状態で、定着ニップ部から排出トレイ8に向けて搬送される。
【0032】
このように本実施形態では、クリーニングモードが選択された場合に、転写ニップ部においてシート材Pをトナーと同極性に帯電させ、定着ニップ部に通過させるといった「シート材帯電プロセス」を行うことで、定着フィルム50表面をクリーニングできる。よって、定着フィルム50表面の離型性を維持できるので、定着フィルム50表面にトナーが付着し、残留することを防止できる。その結果、加圧ローラ40のトナー汚れを防止することが可能になり、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能となる。
【0033】
なお、「シート材帯電プロセス」において、シート材P表面に形成される、トナーと同極性に帯電される領域(紙粉を吸着可能な領域)の搬送方向幅は、電圧印加部23による電圧印加時間(タイミング)によって調整可能である。例えば、上述のクリーニングモードをA4のシート材によって行い、シート材のほぼ全面をトナーと同極性に帯電する場合、本実施形態では、少なくとも加圧ローラ40の1周長に相当する領域で、定着フィルム50表面から紙粉をクリーニングすることができる。しかしながら、シート材Pの一部の領域をトナーと同極性に帯電させる場合であっても、その領域幅に応じて定着フィルム50表面から紙粉を除去することは可能であるので、従来と比較しても顕著なクリーニング効果を得ることは可能である。また、シート材のサイズを変えてクリーニングモードを行う場合も、紙粉を除去することは可能である。
【0034】
以上より本実施形態によれば、加圧部材のトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0035】
[第2実施形態]
図2(b)、図3(a)、図4を参照して、本発明を適用可能な第2実施形態について説明する。なお、転写ローラ6に電圧を印加する電圧印加部23の以外の構成は、本実施形態に係る画像形成装置は第1実施形態の構成と同一であるので、同一の構成についてはここでは説明を省略する。
【0036】
(2−1:クリーニングモード)
上記第1実施形態では、クリーニングモードが選択された場合に、「シート材帯電プロセス」を行うことで、定着フィルム50表面から付着物(正極性に帯電した炭酸カルシウム)を除去する構成について説明した。しかし、コート紙やラベル紙等の表面改質材やOHPシートなどには樹脂材料が用いられており、このようなシート材を用いて画像形成プロセスを行った場合、樹脂粉の破片がシート材から遊離し、さらに搬送部材との摺擦によって負極性に帯電する場合がある。上述したように画像形成プロセスでは、「静電オフセット」を防ぐべく、定着フィルム50側にトナーと同極、加圧ローラ40側にトナーと逆極の電圧が印加されているので、トナーと同極に帯電した樹脂粉が加圧ローラ40表面に付着して蓄積してしまう。加圧ローラ40表面に樹脂粉が蓄積すると、蓄積した樹脂粉位置で定着ムラが発生したり、ジャムが発生する場合がある。
【0037】
そこで本実施形態では、定着フィルム50表面に付着している、トナーと逆極性に帯電している付着物に加え、加圧ローラ40表面に付着している、トナーと同極性に帯電している付着物を、加圧ローラ40表面から除去可能な構成を有している。具体的には、クリーニングモードが選択され、「シート材帯電プロセス」を行う際に、シート材Pの搬送方
向において、トナーと同極性に帯電した領域と、トナーと逆極性に帯電した領域とを交互にシート材上に形成している。これにより、トナーと同極性に帯電した領域では定着フィルム50表面から紙粉を除去でき、トナーと逆極性に帯電した領域では加圧ローラ40表面から樹脂粉を除去することができる。なお、シート材帯電プロセスを行う際にシート材Pを給送トレイ9から転写ニップ部まで搬送するプロセス、帯電したシート材Pを定着ニップ部に搬送し、付着物を吸着させた状態でシート材Pを定着ニップ部から排出するプロセスは、上記第1実施形態と同一である。
【0038】
図2(b)に、本実施形態のクリーニングモードにおいて、負極性と正極性に交互に帯電しているシート材Pが定着ニップ部に搬送された状態を示す。本実施形態によれば、図示するように、それぞれの領域において、紙粉と樹脂粉を交互にシート材上に吸着させることが可能である。なお、第1実施形態と同じ理由により、クリーニングモードでは、定着フィルム50、加圧ローラ40はそれぞれ接地(図中55、45)されている。
【0039】
図3(a)に、本実施形態における画像形成装置の概略構成を示す。なお、定着器7の構成は第1実施形態と同一であるので、図3(a)では定着器7等は省略している。本実施形態では、転写ローラ6に電圧を印加する電圧印加部23に、印加電圧として正極電圧、又は負極電圧を切り替え可能な切り替えスイッチ24が設けられている。これによると、転写ニップ部にシート材Pが搬送されてきた場合に、切り替えスイッチ24が電極24a、24bとの接続を切替えることで、シート材Pの搬送方向において、トナーと同極性に帯電した領域と、逆極性に帯電した領域とを交互に形成することができる。そして、このような帯電領域を有するシート材Pを定着ニップ部に通過させることで、定着フィルム50表面、及び加圧ローラ40表面から付着物を除去することが可能になる。なお、第1実施形態と同様に、クリーニングモードは非画像形成時に行われるので、感光ドラム1表面にはトナー像は形成されておらず、クリーニングモード実行中にシート材Pに対してトナー像が転写されることはない。
【0040】
(2−2:シート材帯電プロセスの制御シーケンス)
図4、表1、表2を参照して、本実施形態における「シート材帯電プロセス」の制御シーケンスについて説明する。表1は、本実施形態における転写ローラ6、定着フィルム50、加圧ローラ40の詳細な寸法(外形、外周長、1回転時間)を示すものである。また、表2は、転写ローラ6に印加する電圧の極性、電圧値、電圧印加時間、電圧印加時の回転周長を示すものである。
【表1】

【表2】

【0041】
図4に示す制御シーケンスでは、クリーニングモードが選択され、「シート材帯電プロセス」を行うべき1枚目のシート材Pがトップセンサ15を通過した時点を基点(0.00sec)として、各部材の動作タイミングが表示されている。まず、クリーニングモードが選択された時点では、感光ドラム1はプロセススピードの速度で回転しており、定着フィルム
50、加圧ローラ40も回転しているものとする。この状態で、シート材Pが給送カセット9から給送され、その先端がトップセンサ15を通過する(STEP1)。その後、基点から0.20sec(30mmの搬送距離)後に、シート材Pの先端が転写ニップ部に突入する(STEP2)。
【0042】
シート材Pの先端が転写ニップ部に突入すると、このタイミングで切り替えスイッチ24がOFFの状態から切り替わり(STEP3)、電極24bと接続する(正極と接続する)。
これにより、転写ローラ6に対して、正極性の電圧が印加される(STEP4)。その後、0.45secの間(加圧ローラ40の1周長以上に相当)、転写ローラ6に対して正極性の電圧(+1800V)が印加され続ける。なお、0.45sec経過した時点、つまり基点から0.65sec経過した時点では、シート材Pの先端は、トップセンサ15から97.5mm進んでいる。
【0043】
基点から0.65sec経過すると、切り替えスイッチ24が電極24aに切り替わり(STEP5)、転写ローラ6に対して負極性の電圧が印加される(STEP6、7)。その後、0.55secの間(
定着フィルム50の1周長分以上に相当)、転写ローラ6に対して負極性の電圧(-2000V)が印加される。なお、本実施形態では、トップセンサ15と定着ニップ部との間のシート材搬送距離が150mmに設定されており、よって、基点から1.00sec経過後に、シート材Pの先端が定着ニップ部に突入することになる(STEP9)。すなわち、転写ニップ部において負
極性の電圧が印加されている時に、シート材Pの先端が定着ニップ部に突入することになる。その後、STEP8終了時には、シート材Pの先端はトップセンサ15から180mm進んでおり、定着器7よりも搬送方向下流側にある排出センサ17に突入している。
【0044】
その後、上述したSTEP3、4、5、6、7を繰り返し、転写ローラ6に印加する電圧の正極
性、負極性を切り換える。本実施形態では、A4幅、297mm(搬送方向長さ)のシート材を
使用しているため、シート材Pの搬送方向後端がトップセンサ15を通過するまでの時間が、先端が転写ニップ部に突入してから1.98sec後となる(STEP11)。つまり、基点から2.18sec(1.98+0.20)後に、シート材Pの後端がトップセンサ15を通過することになる。よ
って本実施形態では、負極性の電圧を印加する時間を0.55secに設定しているが、再STEP7からSTEP13までは、0.53secに設定している。
【0045】
0.53secの間、負極性の電圧を転写ローラ6に印加し続けると、切り替えスイッチ24
が切り替わり(STEP12)、転写ローラ6に印加される電圧がOFFされる(STEP13)。その後、
シート材Pの搬送方向後端が排出センサ17を通過し(STEP14)、感光ドラム1、定着器7の駆動が停止する(STEP15)。
【0046】
なお、転写ローラ6への電圧を切り替えるタイミングは、上述したタイミングに限られるものではなく、A4以外のシート材を用いて、さらに切り替えタイミングを変更しても同様の効果を得ることができる。すなわち、少なくとも定着フィルム50の1周長に相当する期間、転写ローラ6に負極性の電圧を印加し、少なくとも加圧ローラ40の1周長に相当する期間、転写ローラ6に正極性の電圧を印加すると、紙粉、及び樹脂粉をより効果的に除去することができる。
【0047】
また、負極性の電圧、正極性の電圧を転写ローラ6に対して印加する順番は、どちらの極性が先であってもよい。また、印加する電圧の大きさは、印加トランスの容量、転写ローラ6の抵抗、及び感光ドラム1の回転速度にもよるが、感光ドラム周速を150mm/secと
した場合は、以下の電圧の範囲で効果があることが確認された。すなわち、負極性の電圧が-1000V〜-2500V程度であり、正極性の電圧が、+500V〜+2000Vであると、現像性への影
響を抑えつつ、満足のいくレベルのクリーニング効果を得ることが可能になる。また、シート材Pが転写ニップ部を通過後に、次回の画像形成プロセスにおけるドラムメモリー画像の発生を防止するため、帯電電圧に交流電圧、及びマイナスの直流電圧を印加して、感光ドラム1表面を除電する工程を行うと望ましい。
【0048】
なお、ここでは正極性に帯電する紙粉、負極性に帯電する樹脂粉の両方を除去するクリーニングモードについて説明した。しかしながら、負極性に帯電する樹脂粉のみ加圧ローラ40から除去するといったクリーニングモードを設ける必要はない。ユーザが樹脂粉の発生する特殊なシート材を使用する機会は稀であり、さらに画像形成プロセスにおいて正極性の転写電圧が転写ニップ部に印加されるので、負極性に帯電した樹脂粉は転写時にシート材に吸着される場合があるからである。
【0049】
以上より本実施形態によれば、加圧部材のトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0050】
[第3実施形態]
図3(b)を参照して、本発明を適用可能な第3実施形態について説明する。なお、第1、第2実施形態と同一の構成に関しては、ここでは説明を省略する。
【0051】
(3−1:画像形成装置の概略構成)
本実施形態に係る画像形成装置には、定着器7において表面にトナー像が定着したシート材Pを表裏反転させてシート材Pの両面に画像を形成可能な両面印字機構が設けられている。具体的には、上記第1実施形態の構成に加え、定着器7の下流側の排出センサ17、反転ローラ18、反転経路19を設けている。かかる構成によれば、定着器7を通過したシート材Pの搬送方向後端が排出センサ17を通過すると、搬送ローラ12が逆回転し、さらに反転ローラ18の回転によって、シート材Pが反転経路19に送り込まれる。反転経路19に送り込まれたシート材Pは、不図示の搬送手段によって再び転写ニップ部に搬送され、転写ニップ部において裏面への画像形成が行われる。その後、裏面に形成されたトナー像は定着器7で定着され、これによりシート材Pの両面に画像が形成されることになる。
【0052】
(3−2:クリーニングモード)
本実施形態ではクリーニングモードが選択されると、「シート材帯電プロセス」を行うことなく、シート材Pを一旦転写ニップ部、定着ニップ部に通過させ、表裏反転させた後に、「シート材帯電プロセス」を行っている点を特徴とする。具体的には、クリーニングモードが選択されると、1面目(表面)の画像形成プロセスで、印字幅(搬送方向に直交する方向の幅)全域で、かつ、加圧ローラ40の1周長以上に相当する搬送方向長さを有するベタ画像をシート材P上に転写、定着する。その後、シート材Pを表裏反転させ、反転経路19を通して転写ニップ部に送り込む。
【0053】
2面目(裏面)では、第1実施形態と同様に、感光ドラム1にトナー像を形成せず、裏面にはトナーが無い状態とする。また、上述したように、表裏反転したシート材Pが転写ニップ部に突入すると同時に、転写ローラ6にトナーと同極性(紙粉と逆極性)の電圧を印加し、シート材Pを負極性に帯電させる。すなわち、表裏反転したシート材Pに対して「シート材帯電プロセス」を実行する。
【0054】
続いて、シート材Pが定着ニップ部に突入すると、温調制御を行うことなく、加圧ローラ40、定着フィルム50を回転させて、シート材Pを搬送する。そして、シート材Pの搬送方向後端が転写ニップ部から抜け出た時に転写ローラ6への電圧印加をオフにし、続いて定着器7を抜け出た時に定着器7の駆動もオフにし、シート材Pを排出する。
【0055】
かかる構成によれば、1面目(表面)の画像形成プロセスで、駆動状態にある定着器7によって加熱され、乾燥した状態のシート材Pに対して「シート材帯電プロセス」を行うことで、2面目においてより多くの負極電荷をシート材Pに付与することができる。よっ
て、定着フィルム50からより確実に紙粉を除去することができるので、クリーニング効率が上がるといった効果がある。
【0056】
さらに、本実施形態では、1面目の画像形成プロセスでベタ画像を形成している。これにより、1面目の定着工程で加圧ローラ40に付着している汚れトナー(定着フィルム50から転移したトナー)を加熱することができ、汚れトナーを融解させ、加圧ローラ40から剥がれ易くすることができる。この状態で、1面目に形成されたベタ画像が2面目の定着工程で加圧ローラ40に接触すると、定着温調はオフではあるものの、余熱によってベタ画像はシート材Pから剥がれない程度に軟化しているので、剥がれ易くなった汚れトナーがベタ画像に吸着される。つまり、ベタ画像によって加圧ローラ40のトナー汚れをクリーニングすることができる。なお、ベタ画像に吸着された汚れトナー、及び1面目の軟化トナーは、定着ニップ部を抜け出ると冷却されるので、シート材Pから分離することはなく、飛散等の問題を危惧する必要なない。
【0057】
なお、上述では、加圧ローラ40のトナー汚れを除去すべく、1面目にベタ画像を形成しているが、加圧ローラ40にトナー汚れが付着していない場合は、1面目にベタ画像を形成する必要はない。すなわち、2面目と同様に、トナーが無い状態で、シート材Pを駆動状態にある定着器7に通過させればよい。また、1面目にベタ画像を形成する場合は、ベタ画像の搬送方向の長さにおいて、少なくとも加圧ローラ40の1周長分の長さがあれば、加圧ローラ40表面全域を効果的にクリーニングできる。さらに付言すると、巻きつき防止のために、搬送方向先端には、トナーがないベタ白の余白が形成されていることが望ましい。
【0058】
このように本実施形態によれは、両面印字機構を有する画像形成装置において、加熱した状態のシート材Pに対して「シート材帯電プロセス」を行うことで、より効果的に定着フィルム50表面に付着している紙粉を除去することができる。さらに、両面印字機構を利用することで、1枚のシート材Pで定着フィルム50のみならず加圧ローラ40のトナー汚れをクリーニングすることができる。なお、シート材Pの搬送方向において互いに逆極性に帯電した領域を交互に形成する第2実施形態の構成と、本実施形態の構成とを組み合わせても、同様の効果を得ることができる。
【0059】
以上より本実施形態によれば、加圧部材のトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0060】
[その他の実施形態]
第1〜第3実施形態では、感光ドラム1表面からシート材P上にトナー像を直接転写する方式の画像形成装置について説明したが、本発明を適用可能な画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、感光ドラム1表面から中間転写ベルト等にトナー像を1次転写した後に、中間転写ベルトからシート材上にトナー像を2次転写する方式であってもよい。また、搬送ベルト上にシート材を静電吸着させ、搬送ベルトの移動と共に、シート材Pを転写ニップ部に搬送する方式であってもよい。また、トナー色ごとにプロセスカートリッジを一列に設け、シート材(又は中間ベルト)上にトナー像を順次重ねて転写することで、所望の色調を有する画像を得るフルカラーの画像形成装置にも適用することが可能である。
【0061】
第1〜第3実施形態では、定着フィルム50と加圧ローラ40とを用いる「サーフ方式」の定着器7について説明した。しかしながら、本発明は「サーフ方式」の定着器7以外の定着方式を有する画像形成装置に対しても適用することが可能である。すなわち、加熱部材として内部にハロゲンヒータを有する定着ローラと、それに圧接する加圧ローラとを備える従来の「ローラ方式」の定着器を備える画像形成装置に対しても、本発明を適用す
ることで、上述と同様の効果を得ることができる。この場合も、定着ローラ表面に付着した紙粉を上述したクリーニングモードによって除去することで、加圧ローラのトナー汚れを防ぎ、シート材汚れ、ジャムの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0062】
1…感光ドラム 6…転写ローラ 7…定着器 40…加圧ローラ 50…定着フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する回転可能な像担持体と、
前記像担持体に接触して転写ニップ部を形成する転写部材と、
加熱部材を有する回転可能な定着部材、及び前記定着部材に圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材を有し、前記転写部材にトナーと逆極性の転写電圧が印加されることでシート材上に転写されたトナー像を、前記定着ニップ部においてシート材上に定着させる定着器と、
を備え、
シート材上に転写されたトナー像を構成する帯電したトナーに対して、前記定着部材から前記加圧部材の方向への静電気力を働かせることが可能な電界が形成された状態で、前記定着ニップ部においてトナー像をシート材上に定着させる画像形成装置において、
画像形成装置の設置後の非画像形成時に、トナーと同極性の電圧を前記転写部材に印加し、トナーと同極性の電圧が前記転写部材に印加されている状態の前記転写ニップ部にシート材を通過させ、これによりトナーと同極性に帯電したシート材を前記定着ニップ部に通過させるシート材帯電プロセスを行うことで、トナーと逆極性に帯電している付着物を前記定着部材の表面から除去可能なクリーニングモードを有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート材帯電プロセスにおいて、
前記転写部材に対してトナーと同極性の電圧、又は逆極性の電圧を交互に印加し、シート材の搬送方向において、トナーと同極性に帯電した領域と、トナーと逆極性に帯電した領域とが交互に形成されたシート材を前記定着ニップ部に通過させることにより、
前記定着部材の表面に付着している付着物に加え、前記加圧部材の表面に付着している、トナーと同極性に帯電している付着物を、前記加圧部材の表面から除去可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器において表面にトナー像が定着したシート材を表裏反転させた状態で、前記転写ニップ部に送り込み、裏面にトナー像を転写した後に、該シート材を再び前記定着器に送り込んでシート材の両面に画像を形成可能な画像形成装置において、
前記クリーニングモードでは、
駆動状態にある前記定着器に通過された後に表裏が反転された状態のシート材に対して、前記シート材帯電プロセスを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
表面にトナー像が転写されたシート材を駆動状態にある前記定着器に通過させた後に、該シート材を表裏反転させて前記シート材帯電プロセスを行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−13884(P2012−13884A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149384(P2010−149384)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】