画像形成装置
【課題】基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよいエンジン階調補正を行うことにより、画像不良を抑え、良好な画像品質を実現する画像形成装置を提供する。
【解決手段】紙上に画像を形成することができる画像形成部と、画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、画像読み取り部の情報を演算して画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御手段を有する。
【解決手段】紙上に画像を形成することができる画像形成部と、画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、画像読み取り部の情報を演算して画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御手段を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、電子写真方式の複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図30に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)からの出力情報(RGB画像、グレースケール画像、CMYK画像データ)は、画像形成装置に接続、或いは、内蔵されている画像処理部に送信される。画像形成部にて、PCからの出力情報は、プリンタドライバで指定されたユーザー好みのガンマ条件に補正するガンマ補正部、L*a*b*への変換部(グレイはL*のみ)、C'M'Y'K'への変換部にて処理される。
【0003】
RGB→L*a*b*等の多次元から多次元への色空間変換は、ICCプロファイルの多次色変換テーブル情報を用いて、画像処理部が変換を行う。
【0004】
図31は、プリンタドライバの色設定部であり、ユーザーが好みの階調にするために用意されたユーザーインターフェース(以下、「UI」と呼ぶ。)である。この設定値情報から、ガンマ補正部は1次元のLUTにてガンマ変換される。
【0005】
図30にて、C'M'Y'K'情報に変換された画像データは、エンジン階調補正部にてさらに1次元のLUT処理が施される。エンジン階調補正部はプリンタエンジンの階調性を一定に保つ役割を果たす。記録材である紙上に出力したパッチ画像を用いてエンジンの状態を把握し、規定の階調カーブになるように1次元のLUTが作成される。これ以降、上記紙上に出力したパッチを用いた安定化制御のことを「自動階調補正」と呼ぶ。
【0006】
擬似中間調処理部は、ディザ法等を用いて中間調を再現させる処理部である。中間調の種類(線数やドット成長方法)によってエンジン階調特性は異なるため、階調補正部は中間調処理毎にLUTを用意している。
【0007】
上記エンジン階調補正部を用いて色の安定性を確保する技術が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1では、感光体上に形成したトナー濃度検出用のパッチパターンを濃度センサで読み取り、現像器内のトナー濃度制御部へフィードバックして適正な濃度に制御する技術が開示されている。
【0009】
一般的には、トナーパッチはその作成および消去が容易であるものの、定着前の濃度情報しか得られないため、トナーパッチに基づく制御が行われた場合には2次転写や定着工程の影響は反映されないという問題がある。
【0010】
そこで、特許文献2に代表されるように、画像形成装置本体に組み込まれた複写機のリーダー部(画像読み取り部)で画像を読み取り、その読み取り結果に基づいて画像形成を制御することが提案されている。この方法は、紙にトナーを載せ、定着することによって得られた出力物をリーダー部にて読み取る。
【0011】
図32に示すように、基準紙と非基準紙A(平滑な薄い紙)、非基準紙B(粗く厚い紙)をエンジンの作像条件(帯電/潜像/現像条件)を一定にして印字したところ、リーダー部で検出される濃度値としては、図32のような関係となった。この情報をもとに、ターゲットとなる濃度にするため、LUTを作成したものが図33である。
【0012】
紙の表面特性、白色度、厚みなどによって、同じトナー量を載せても読み取られた濃度値は異なり、LUTは変化してしまう。非基準紙Bで作成したLUTは、最大濃度がターゲットよりも出ていないため、入力値240以降は全て255の信号に置き換えている。240以降の信号値は階調が無くなってしまった。このシャドウ部の階調性を重視するユーザーにとっては致命的である。
【0013】
また、非基準紙AでLUTを作成した場合、図33の通り255の信号が240付近で打たれる。すなわち、ベタの信号(網点面積率100%)であっても、中間調処理パターンが見えてしまい、品位の低下や、エッジのジャギー(スクリーンパターン)が現れる。文字やラインの品位低下につながり、好ましくない。
【0014】
この課題を解決するために、特許文献3では、ある程度の階調を確保するため、入力信号が255(網点面積率100%)のときにはLUTのOUT側も255にするような技術が提案されている。
【0015】
図34に、上記非基準紙Bで作成したLUTと、特許文献3を用いて作成したLUTを示す。シャドウ部で滑らかなLUTであることが理解できよう。このLUTを用いて、濃度の再現性を示したものが、図35である。シャドウ部ではターゲット濃度から離れるが、階調性は若干向上している。
【0016】
しかしながら、これらの技術はシャドウ部の階調変化が激しく、矢印(a)部(図35)での変極点が発生するため、滑らかな階調特性にすることができなかった。一部のプロユーザーからは階調の不連続性を指摘されていた。
【0017】
自動階調補正に関連する他の技術としては、特許文献4、5では基準紙によって作成された階調補正データを用いて、非基準紙にパッチを印字し、その読み取り結果を補正ターゲットとする技術が開示されている。紙自体の濃度や表面性の違いなどの影響を受けない自動階調補正方法が提示されている。
【0018】
上記で述べた自動階調補正に関する濃度とは、絶対濃度ではなく、紙基準濃度(Null Density:相対濃度)であることが多い。以下、紙基準濃度のことを相対濃度と呼ぶ。
相対濃度=絶対濃度―紙の絶対濃度
【0019】
相対濃度での濃度管理方法は、ISO13656等に記載されており、印刷業界には一般的な指標である。相対濃度であれば、様々な紙で印刷してもターゲット濃度を変更する必要は無いため汎用性が高く、多くの印刷会社の印刷機の管理に使用されてきた。
【0020】
画像形成装置の自動階調補正についても、読取装置のばらつきや経時変化、紙のロット違いによる紙濃度の変化等を考慮して、紙基準濃度で自動階調補正を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平1−309082号公報
【特許文献2】特開平7−131649号公報
【特許文献3】特開2006−165752号公報
【特許文献4】特開2004−289200号公報
【特許文献5】特開2006−222804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、特許文献4、5は、基準紙を用意しておかなければならない。また、基準紙から作成した非基準紙の銘柄を把握し、常にその紙で階調補正を実施する必要がある。すなわち、非基準紙が基準紙に置き換わっただけである。基準紙から登録した非基準紙の在庫がなくなることがある。この場合、ロット違いによって表面性や白色度、厚みの変化、紙の目の違いなどがあるとき、さらには耐候性による白色度の変化(黄変ともいう)など、紙自体が変化する状況が数多く考えられ、根本的な解決手段にはならない。
【0023】
また、上記非基準紙の在庫切れを懸念して、複数種の非基準紙を登録した場合、ユーザーは自動階調補正に使用する用紙種を選択しなければならず、操作性が悪い。その用紙を複数用意すればするほど分かり難く、ミスも発生し易い。登録用にメモリ容量を確保しなければならず、コストアップにつながる。
【0024】
さらに、基準紙にパッチを印字し読み取ることによって階調補正データを作成し、上記階調補正データを用いて非基準紙にパッチを印字し、画像読み取り部で読み取り、補正するというユーザーが実施する読み取り作業が2回必要とされる。ユーザービリティーに欠ける階調補正方法であった。
【0025】
さらに言うと、電子写真の着色剤は透過率が低くベタ濃度は紙濃度の影響をほとんど受けない。印刷の濃度測定手法をそのまま適用させている従来の自動階調補正では、同じ量の着色剤が2つの違う紙上に載せられた場合、絶対濃度は同じでも相対濃度は変化してしまう。よって、紙濃度が異なる紙で自動階調補正を行った場合、補正後の濃度結果が異なってしまうため、基準紙での自動階調補正を行う必要があった。
【0026】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。
【0027】
つまり、本発明の目的は、基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよいエンジン階調補正を行うことにより、画像不良を抑え、良好な画像品質を実現する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、第一の態様によれば、
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、 前記紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0029】
第二の態様によれば、
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の反射率に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0030】
第三の態様によれば、
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の坪量に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0031】
第四の態様によれば、
複写画像及びプリンタ画像を紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記複写画像用階調補正は濃度ターゲットに対して階調補正演算を行ない、前記プリンタ画像用階調補正は網点面積%ターゲットに対して階調補正演算を行うことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ベタはベタで再現することによってジャギーを無くし、ハイライトは紙濃度の影響度を高く、シャドウ部は紙濃度の影響度を低くすることで、基準紙でなくともシャドウ部の階調不連続性を解消することができる。それによって、メモリコストUPすることなく、ユーザービリティーの良い、自動階調補正方法(エンジン階調補正)を実現することができる。
【0033】
つまり、本発明によれば、基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよいエンジン階調補正を行うことにより、画像不良を抑え、良好な画像品質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る画像形成装置を有する画像形成システムの一実施例の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図3】トナー量検出センサの一実施例の構成を示す図である。
【図4】電位制御の概念を説明する図である。
【図5】最大トナー量制御に使用するパッチを説明する図である。
【図6】最大トナー量制御の概念を説明する図である。
【図7】紙の色の違いを説明する図である。
【図8】紙の厚さの違いと反射率との関係を表した模式図である。
【図9】紙の凹凸の違いと反射率との関係を表した模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の制御態様の一実施例を説明するフローチャート図である。
【図11】本発明の画像形成装置の操作画面の一実施例を示す図である。
【図12】自動階調補正パターンの一実施例を示す図である。
【図13】自動階調補正パターンをリーダー部で読み込んだときの輝度特性図である。
【図14】リーダー部での輝度と濃度との関係を表す図である。
【図15】自動階調補正パターンをリーダー部で読み込んだときの濃度特性図である。
【図16】自動階調補正パターンをリーダー部で読み込んだときの網点面積%特性図である。
【図17】プリンタ階調特性とLUTとターゲットを示す図である。
【図18】従来例と本発明の実施例によるプリンタ階調特性結果を示す図である。
【図19】実施例1の検証における入力信号と濃度の関係を示す図である。
【図20】実施例1の検証における入力信号と網点面積%の関係を示す図である。
【図21】実施例1の検証における自動階調補正結果を示す図である。
【図22】本発明の実施例2における入力信号と濃度の関係を示す図である。
【図23】本発明の実施例2にて、実施例1の網点面積%算出方法によって求められた、入力信号と網点面積%を示す図である。
【図24】本発明の実施例にて、実施例1の網点面積%算出方法によって補正された自動階調補正結果を示す図である。
【図25】本発明の実施例2における自動階調補正結果を示す図である。
【図26】本発明の実施例3を説明するフローチャート図である。
【図27】本発明の実施例4を説明するフローチャート図である。
【図28】本発明の実施例5に係わる階調補正演算指示ユーザーインターフェースを説明する図である。
【図29】本発明の実施例5に係わるコピアとプリンタの階調補正演算指示ユーザーインターフェースを説明する図である。
【図30】従来例における画像処理部の内部構成を示す図である。
【図31】従来例におけるプリンタドライバの色設定部を示す図である。
【図32】従来例の特許文献2に関する紙種と濃度特性を表す図である。
【図33】従来例の特許文献2で自動階調補正を実施したときのLUTを示す図である。
【図34】従来例の特許文献3で自動階調補正を実施したときのLUTを示す図である。
【図35】従来例の特許文献3で自動階調補正を実施したときの補正結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、自動階調補正のターゲット軸を網点面積%に設定することにより、紙濃度の影響度合いを階調(網点%)によって変化させ、基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよい自動階調補正を実行できることが特徴である。
【0036】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0037】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置を含む画像形成システムの概略構成を示す。図1にて、画像形成システムは、ホストコンピュータ1001と、画像形成装置1030とを備えている。ホストコンピュータ1001及び画像形成装置1030は、通信線1002によって接続されている。図2に、本発明に係る画像形成装置1030の一実施例の概略構成を示す。
[画像形成装置の説明]
図1を参照すると、本実施例にて、画像形成装置1030は、プリンタコントローラ1031がプリンタ全体の動作を司る。また、プリンタコントローラ1031内のホストI/F部1048は、ホストコンピュータ1001との入出力を司る。
【0038】
入出力バッファ1032は、ホストI/F部1048を介して制御コードや、各通信手段からデータの送受信を行い、CPU1033は、プリンタコントローラ1031全体の動作を制御する。
【0039】
プログラムROM1034は、CPU1033により実行される制御プログラムや制御データを内蔵することが可能である。プログラムROM1034内にはプログラムモジュールとして、画像情報生成部1041、パッチ生成部1044、エンジン階調補正テーブル作成部1045、エンジン階調補正実行部1042が含まれている。これらのプログラムモジュールは、CPU1033との協働により以下に説明する階調補正の実行に際して、輝度情報や濃度情報網点面積%への変換、パッチ画像等の生成を制御するために利用可能である。
【0040】
画像情報生成部1041は、ホストコンピュータ1001から受信したデータの設定より各種の画像オブジェクトを生成することが可能である。パッチ生成部1044は、エンジン階調補正実行時、網点面積%を測定する際に利用するパッチ画像を生成することが可能である。エンジン階調補正テーブル作成部1045は、網点面積%測定結果に基づいてエンジン階調補正テーブルを作成することが可能である。また、エンジン階調補正実行部1042は、パッチの網点面積%を測定した結果に基づいてエンジン階調補正を行うことが可能である。
【0041】
RAM1035は、制御コード、データの解釈や印刷に必要な計算、或いは印刷データの処理のためのワークメモリに利用することが可能である。RAM1035内には、補正テーブルを格納しておくエンジン階調補正テーブル格納部1050を格納することが可能である。
【0042】
プリンタコントローラ1031内のビットマップ画像展開/転送部1040は、画像オブジェクトをビットマップ画像に展開し、展開されたビットマップ画像を印刷装置エンジン部1036に転送することが可能である。
【0043】
印刷装置エンジン部1036は、エンジン制御部1049を含み、ビットマップ画像展開/転送部1040で展開されたビットマップ画像に基づいて実際に紙に印刷を行うことが可能である。ここで、エンジン制御部1049は、各機構による各印刷プロセス処理(例えば、給紙処理など)に関する制御を行うことが可能である。
【0044】
印刷装置エンジン部1036とプリンタコントローラ1031とは、エンジンI/F部1046により接続される。
【0045】
印刷装置の操作は操作パネル1037を介して行うことが可能であり、プリンタコントローラ1031と操作パネル1037とはパネルI/F部1047により接続される。
【0046】
また、外部メモリ部1038は、印刷データや様々な印刷装置の情報等の保存に利用することが可能である。プリンタコントローラ1031と外部メモリ部1038とは、メモリI/F部1039により接続される。プリンタコントローラ1031内の各ユニットはシステムバス1043に接続されている。
【0047】
図2に、本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真方式の4色フルカラーのレーザービームプリンタの概略構成を示す。
【0048】
本実施例のレーザービームプリンタ(以下、「画像形成装置」という。)は、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色の画像を形成する、画像形成部を構成する
4個の画像形成ステーションが設けられている。それぞれの画像形成ステーションは、同図中における時計回りに回転自在に支持された像但持体であるドラム状の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1a、1b、1c、1dを備えている。感光ドラム1a、1b、1c、1dは、所定のプロセススピード(周速度)で同図中の反時計回りに回転される。感光ドラム1a、1b、1c、1dの周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、一次帯電器(帯電手段)2a、2b、2c、2d、現像装置(現像手段)4a、4b、4c、4dを備えている。また、感光ドラム1a、1b、1c、1dの周囲には、転写帯電器(転写手段)5a、5b、5c、5d、及び、クリーニング装置(クリーニング手段)6a、6b、6c、6d等が配置されている。
【0049】
更に、感光ドラム1a、1b、1c、1dの上方には、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに画像露光するための露光装置(露光手段)3a、3b、3c、3dが配置されている。
【0050】
各画像形成ステーションでは、一次帯電器2a、2b、2c、2dにより感光ドラム1a、1b、1c、1dが一様に帯電され、露光装置3a、3b、3c、3dにより露光されることにより、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に静電潜像が形成される。この静
電潜像は、現像装置4a、4b、4c、4dにて可視化され、トナー像とされる。
【0051】
なお、以下の説明では、上述の各部材や装置を総称して呼ぶ場合や色を区別する必要がない場合には、単に、感光ドラム1、一次帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写帯電器5、クリーニング装置6のように記す。
【0052】
図2に示すように、画像形成ステーションごとに、各感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向するように、トナー量検知センサ(トナー量検出手段)30(30a、30b、30c、30d)が配置されている。トナー量検知センサ30は、感光ドラム1上に形成されたトナー像のトナー量を検出するものであり、最大トナー量条件(一次帯電器のグリッドバイアス、現像バイアス、レーザーパワー)を決定するために使用される。
【0053】
現像装置4a、4b、4c、4dとクリーニング装置6a、6b、6c、6dとの間における感光ドラム1a、1b、1c、1dの下方には、これらに接するようにして記録材搬送手段である転写ベルト17が配設されている。転写ベルト17は、紙、透明フィルム等の記録材Pを表面に担持して矢印R17方向に回転し、記録材Pを各感光ドラム1a、1b、1c、1dに順次搬送する。各画像形成ステーションにおいて感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成されたトナー像は、転写帯電器5a、5b、5c、5dによって、転写ベルト17上の記録材Pに順次に転写される。
【0054】
なお、記録材Pとしては、一般に転写紙のような「紙」が使用されるため、本願明細書、特許請求の範囲にて、記録材Pを単に「紙」と呼ぶこともあるが、本発明で使用する記録材Pを「紙」に限定するものではない。
【0055】
さらに、画像形成装置には、複数の給紙部、つまり給紙カセット12、13、14、及び、図2にて矢印R11方向に引き出し可能な手差し給紙トレイ11、さらに大容量ペーパーデッキ15が設けられている。記録材Pは、これら給紙部のうちのいずれかから給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ16を介して搬送ベルト17に供給される。
【0056】
記録材Pは、転写ベルト17上に支持されて各画像形成ステーションを通過する過程で、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成された各色のトナー像が順次に転写される。この転写工程が終了すると、記録材Pは分離帯電器18によって転写ベルト17から分離されて、記録材案内手段となる搬送ベルト19により定着装置20に搬送される。
【0057】
定着装置20は、回転自在に支持された定着ローラ21と、この定着ローラ21に圧接しながら回転する加圧ローラ22と、離型剤供給塗布手段である離型剤塗布装置23と、ローラクリーニング装置とを備えている。定着ローラ21及び加圧ローラ22の内側にはハロゲンランプなどのヒータ(不図示)がそれぞれ配設されている。定着ローラ21、加圧ローラ22にはそれぞれサーミスタ(不図示)が接触されており、温度調節装置26を介してそれぞれのヒータへ印加する電圧を制御することにより、定着ローラ21及び加圧ローラ22の表面温度調節を行っている。加圧ローラ22の加圧値、及び定着ローラ21の表面温度は、定着制御機構25により可変にすることができる。
【0058】
定着ローラ21と加圧ローラ22とを駆動する駆動モータ(不図示)には、記録材Pの搬送速度、すなわち記録材Pの表裏両面を加圧・加熱する定着ローラ21と加圧ローラ22との回転速度を制御する速度制御装置27が接続されている。これにより、記録材Pの表面上の未定着トナー像は溶融して定着され、記録材P上にフルカラー画像が形成される。このフルカラー画像が定着された記録材Pは、分離爪(不図示)によって加圧ローラ22から分離されて、排紙トレイ24上に排出される。
【0059】
図2に示す画像形成装置の上部には、原稿読み取り部(画像読み取り部)28、操作ディスプレイ29が配設されている。原稿読み取り部28は、原稿台(不図示)に載置された原稿を光学的に走査して読み取ることにより、各色の画像信号を得る。また、操作ディスプレイ29は、操作者(ユーザー、サービスマン)からのコマンド入力や、操作者への装置の状態報知等が行われる。この読取装置を用いて画像形成装置から出力された自動階調補正パターンを検出し、エンジン階調補正部のLUTを変更する(詳細は後述)。
【0060】
[トナー量検出手段]
図3は、トナー量検出手段であるトナー量検出センサの一例を示す。トナー量検出センサ30は、LED(発光ダイオード)を有する発光部400と、PD(フォトディテクタ)を有する受光部401で構成される。受光部401は、2つのPDを有し、乱反射光を検知する。
【0061】
発光部400から感光ドラム1に照射された光Ioは、感光ドラム1の表面で反射する。反射光Irは、受光部401でそれぞれ受光され、エンジン制御部1049(図1)に受光光量情報を出力する。本実施例で使用している感光ドラム1は平滑なドラムである。一方トナーがドラムを覆うと、凹凸が激しくなり、ざらついた表面になる。すなわち、トナー量が多いほど受光量は増える関係にある。このようなセンサ出力値の変化を利用してトナー量を把握することができるため、後述する最大トナー量制御に使用することが出来る。
【0062】
なお、受光部401で計測された反射光は、LED光量制御部403でもモニタされる。LED光量制御部403は、反射光Ioの光量をメイン制御CPU311に通知する。最大トナー量制御前に、メイン制御CPU311は、照射光Ioの発光強度と、反射光Irの受光光量(測定値)に基づいて、Irが規定値になるよう、光量を調整する。
【0063】
また、画像出力時以外では、シャッター駆動制御部407を制御してシャッター部40
8を動作させることにより、トナー飛散からのセンサ窓汚れを回避している。
【0064】
[最大トナー量制御]
(電位制御)
ここでは最大濃度条件の基本となる電位制御について説明を行う。
【0065】
最大濃度条件とは、帯電、潜像、現像条件を決定するものである。
【0066】
後述するトナー量検知センサにてパッチを検出する前に、電位制御によって、目標とする帯電電位(VdT)、グリッドバイアス(Y)と現像バイアス(Vdc)を決定する。電位制御処理により画像形成装置1030が設置されている環境条件(温度や湿度の条件を含む)に応じた帯電電位等を決定することができる。
【0067】
本実施例において、エンジン制御部1049は、2点電制と呼ばれる電位制御を行っている。図4は、2点電制による電位制御の概念を説明する図である。
【0068】
図4において、Vd1は、第1の帯電条件(グリッドバイアス400V)での帯電電位を示し、Vl1は、標準(レーザーパワー可変範囲の中間値)のレーザーパワーで形成された露光部電位を示している。また、Vd2は、第2の帯電条件(グリッドバイアス800V)での帯電電位を示し、Vl2は、そのときの標準レーザーパワーで形成された露光部電位である。このとき、400V及び800Vのグリッドバイアスにおけるコントラスト電位(Cont1、Cont2)は、下記(1)、(2)式より算出することができる。
(Cont1)=(Vd1―Vl1) ・・・(1)
(Cont2)=(Vd2−Vl2) ・・・(2)
【0069】
ここで、帯電電位1Vおきのコントラスト電位の増加量(Cont△)は(1)、(2)式の結果を基に、下記(3)式により算出することができる。
(Cont△)=((Cont2−Cont1)/(Vd2−Vd1))・・・(3)
【0070】
一方、画像形成装置1030内には不図示の環境センサが設けられており、環境センサは、画像形成装置1030内の温度や湿度の環境条件を計測する。エンジン制御部1049は、環境センサの計測結果に基づいて画像形成装置1030内の環境条件(例えば、絶対水分量)を求める。そして、予め登録されている環境テーブルから環境条件に対応する目標コントラスト電位(ContT)を参照する。
【0071】
目標コントラスト電位(ContT)と、コントラスト電位の増加量(Cont△)との関係は、下記(4)式により算出することができる。
ContT=Cont1+X・Cont△ ・・・(4)
【0072】
(4)式の関係を満たすパラメータ「X」を算出すれば、目標とする帯電電位(VdT)(以下、これを「ターゲット電位」ともいう。)は、下記(5)式で算出することができる。
VdT=Vd1+X ・・・(5)
【0073】
グリットバイアス1Vあたりの帯電電位変化量(Vd△)は、下記(6)式により算出することができる。
(Vd△)=(Vd2−Vd1)/(800−400) ・・・(6)
【0074】
ターゲット電位(VdT)を与えるグリットバイアス(Y)は、下記(7)式より算出することができる。
ターゲットVdT=400+Y・Vd△ ・・・(7)
【0075】
(7)式において、Vd△は(6)式により算出することは可能であり、VdTは(5)式より算出ことが可能である。従って、(5)、(6)式より既知となる電位を代入することにより(7)式の関係を満たすグリットバイアス(Y)を最終的に決定することができる。
【0076】
以上の処理により環境条件に応じたターゲット電位(VdT)、グリッドバイアス(Y)を決定することができる。現像バイアス(Vdc)は、ターゲット電位(VdT)に対して規定電位差を有し、決定したターゲット電位(VdT)から規定電位を減じることで算出することは可能である。
【0077】
決定した現像バイアス(Vdc)でこれ以降の画像形成を行う。なお、各ドラム上の電位はマイナスであるが、計算のプロセスをわかり易くするために、ここではマイナスを省略している。
【0078】
以上の処理により、作像時に使用するグリットバイアスと現像バイアス(Vdc)が決定された。
【0079】
(トナー量検知センサを用いた最大トナー量制御)
次に、トナー量検知センサ(トナー量検出手段)を用いた最大トナー量制御について述べる。
【0080】
電位制御で求めた条件は、予め登録されている環境テーブルから環境条件に対応する目標コントラスト電位を決定し、その条件に合わせた。ある標準機で求めた目標コントラストであるため、機械間差や耐久後に最大濃度が所定の値にならない場合が多い。そのため本実施例では、感光体上のトナー量を検出するため、トナー量検知センサ30を設けた。本実施例における最大濃度条件の調整方法として、レーザーパワー(以下、「LPW」と呼ぶ。)を変更する。
【0081】
図5(a)に図示するような最大載り量が変更されているパターンを感光体上に形成する。例えば、通常使用する光量比から20%Down、10%Down、標準値、10%Up、20%Upの光量にてパッチを形成する。このときのパッチ電位は、図5(b)に図示するようになっており、LPW1(光量20%UP)に適合したVl1をはじめ、Vl2〜5までパッチを作成する。
【0082】
なおパッチのサイズは、電位センサの検知範囲も考慮し、40mm角のパッチとする。パッチは、PWM(パルス幅変調:発光時間)で作成し、パッチ間はPWM0、パッチ部は所定の光量になるようPWMで調整を行えばよい。なお、本実施例では1画素(600dpiの1画素)当たりの最長時間で発光させている。
【0083】
LPW毎のパッチ電位を測定し、トナー量検知センサ30によってトナー量を検出する。図6は各パッチのVcont(Vdc−Vl)とトナー量検知センサのパッチ検出値を示している。本実施例では、0.55mg/cm2をターゲットとしており、図6の検出結果から上記トナー載り量の関係を導き、その点を直線(線形)補完で結ぶ。そして、0.55mg/cm2になるVcontを導けばよい。図6のエンジン状態であれば、Vcontは230Vが適正であり、LPWは標準状態から+9%Upさせることによってトナー載り量が0.55mg/cm2とすることができる。
【0084】
以上、最大トナー量制御の算出方法をまとめると、
前準備:電位制御によって、VdとVdcを決定しておく。
(1):所定のLPW(5ポイント)にてパッチを潜像(帯電、レーザー)
(2):パッチ電位を電位センサで検出
(3):パッチ潜像を現像
(4):(3)をトナー量検知センサで検出
(5):LPW、パッチ電位(Vl)、トナー量(To)の3点を把握
(LPW,Vl,To)=
(102level,150V,0.42mg/cm2)
(115level,130V,0.45mg/cm2)
(128level,100V,0.49mg/cm2)
(141level, 80V,0.56mg/cm2)
(154level, 55V,0.59mg/cm2)
(6):VlをVcont(Vdc―Vl)に変換
(LPW,Vcont,To)=
(102level,165V,0.42mg/cm2)
(115level,185V,0.45mg/cm2)
(128level,215V,0.49mg/cm2)
(141level,235V,0.56mg/cm2)
(154level,260V,0.59mg/cm2)
(7):ターゲットトナー載り量に対しての差分(To−0.55)算出
(LPW,Vcont,△To)=
(102level,165V,−0.13mg/cm2)
(115level,185V,−0.10mg/cm2)
(128level,215V,−0.06mg/cm2)
(141level,235V, 0.01mg/cm2)
(154level,260V, 0.04mg/cm2)
(8):差分がプラスで最小の差の条件と、差分がマイナスで最小の差の条件を抽出
プラス側(LPW(+),Vcont(+),△To(+))=
(141level,235V, 0.01mg/cm2)
マイナス側(LPW(−),Vcont(−),△To(−))=
(128level,215V,−0.06mg/cm2)
(9):Toが0.00になるLPW算出(LPW(T))
LPW(+)−((△To(+)−0)/((△To(+)−△To(−)/(LPW
(+)−LPW(−))))
=139.14286
四捨五入して
=139
(10):電位制御ターゲットの登録
=Vcont(+)−((Vcont(+)−Vcont(−))/(LPW(+)
−LPW(−))*((LPW(+)−LPW(T))
=231.9231
四捨五入して
=232
【0085】
なお、上記(10)の電位制御ターゲットの登録は、環境テーブルによって決定されていた電位制御ターゲットを変更する。トナー量検知センサを用いた最大トナー量制御は、パッチを印字する必要があり、トナー消費量的な観点で頻度を高くすることができない。電位制御はトナーを現像することなくパッチ電位を検知することができるので、短時間の変動については電位制御で抑えることが出来る。頻度的な観点で述べると、以下となる。
高頻度:電位制御
中頻度:最大トナー量制御
低頻度(ユーザー起動):自動階調補正(後述)
【0086】
[自動階調補正]
従来における自動階調補正とは、紙上に印字された階調パッチ画像をリーダー部(画像読み取り部)28を用いてパッチの輝度値を検出し、予め求めてあった輝度濃度変換テーブルを用いて濃度情報に変換し、所定の濃度カーブになるようにLUTを調整する制御である。従来技術で述べたように、同じトナー量を紙上に載せたとしても、紙種毎に濃度が異なる。所定の濃度カーブに合致するように制御する場合、シャドウ部の階調性に不都合が生じる(従来例と課題参照)。
【0087】
この現象は、
(a)紙の色(分光特性)が違うこと
(b)紙厚差によってトナーの溶融度合いが違うこと
(c)紙の表面性(凹凸)が違うこと
の大きく3つに分類できる。
【0088】
濃度とは、45°から入射された光(Io)が、0°においてどの程度の光(Ii)になっているかを計算したものであり、乱反射成分が少なければ濃度は高い。
濃度=−log(Ii/Io)
【0089】
上記(a)は、図7に示したように、同じトナーが同じパターンで同じトナー量載ったとしても、紙白の影響(紙の分光反射率(図7(c)参照)を受け入射した光の反射率が変化していることが分かる。図7であれば、非基準紙の方が高濃度となる。よって、リーダー部28で検出される濃度にも影響を及ぼす。
【0090】
上記(b)は、図8に概念図を示した。画像形成装置は、同じ普通紙設定でも所定の坪量の幅、例えば64〜128g/m2まで許容している。この厚みの差によって、同じトナーが同じ量紙上に載ったとしても、定着装置においてトナーに与える熱量と圧力が変化してしまう。そのため、紙が厚いほどトナーの形である球形に近づき、乱反射成分が増加する。なお、図8の基準紙の場合は正反射成分が増大し、乱反射成分が低くなる。このように、乱反射量が変化するため、リーダー部28で検出される濃度にも影響を及ぼす。
【0091】
上記(c)は、図9に示すように、紙の凹凸にトナーは追従するように載る。すなわち、平滑な紙である場合はトナー面も平滑に、凹凸がある部分は凹凸を再現する。トナーが同じ量載ったとしても紙の表面凹凸によって乱反射量が変化するため、リーダー部28で検出される濃度にも影響を及ぼす。
【0092】
さらに、オフセット印刷と電子写真方式は、透過濃度の差が大きい。オフセット印刷の方が電子写真方式に比べ透過濃度が薄い。すなわち、紙の下地が透けて見やすい特性がある。
【0093】
本発明者らは、81.4g/m2のCLC用紙を用いて、キヤノン製imagePressC1とオフセット印刷機でブラックの透過濃度を調べた。透過濃度計はX−Rite 361tを使用した。オフセット印刷機の用紙以外の条件はJapanColor基準で印刷を行った。すなわち、JapanPaparでJapanColor基準内に入るよう調整し、その条件で上記CLC用紙の上にベタのパッチを印刷した。
【0094】
下記の表は、そのベタパッチの透過濃度絶対値を、紙の透過濃度絶対値で引いたものであり、インキやトナーの透過濃度を意味する。
【0095】
【表1】
【0096】
このように、電子写真方式のトナーは透過濃度が高く、透過率が低いことを意味している。この現象は、着色材料、着色材の分散性、材着剤層の厚さに起因する。すなわち、オフセット印刷は、材着剤層が1μmから2μmであるのに対し、トナーは5μmから10μmである。その差が上記透過濃度の差として現れている。
【0097】
このように電子写真方式とオフセット印刷とではベタ濃度付近における紙の影響度が異なるにも係わらず、相対濃度を使用して、自動階調補正を行ってきた。相対濃度は、全濃度域で紙濃度を一律に差し引いてしまうため、高濃度付近で必要以上に差し引かれていた。
【0098】
本実施例では、紙種によって濃度検知結果が異なっても、エンジン階調補正を実行できるよう、濃度情報を網点面積率(網点面積%)(以下、単に「網点%」と呼ぶこともある。)に変換する。
【0099】
網点%にすることによって、紙濃度の影響をハイライト部では大きく、シャドウ部では少なくすることができる。
【0100】
所定の網点%のターゲットを1つ有しておき、その網点%になるようにLUTを作成する。上記構成により、即ち、紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御により、シャドウ部の階調不連続性の無い、滑らかな階調特性をメモリコストUPすることなく、高画質な画像形成装置を提供することができる。
【0101】
図10に示したフローチャートを用いながら本実施例の自動階調補正について説明を行う。
【0102】
自動階調補正は、図11に示した操作画面上の"階調補正"ボタンを押すことによって起動される。ユーザーやサービスマンが任意のタイミングで実行する制御である。
【0103】
"階調補正"を押された画像形成装置は、上記電位制御ならびに最大トナー量制御を終了させる。
【0104】
プログラムROM1034のパッチ生成部は、図12に示すような、CMYK各色の64階調(階調テストパターン)を紙上に印字させ、リーダー部28を用いてパッチの輝度信号を読み取る。階調テストパターンの濃度は、右上端が最も濃く、左下端が最も薄く、その間は、右から左へ濃度が徐々に下がっていき、2段目、3段目、4段目と濃度が下がっていく。4段を1色分として、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色分が用意されている。
【0105】
読み取られた信号は、図13のようなカーブを描く。横軸に入力信号、縦軸にリーダー部読み取り輝度値である。なお、リーダー部28の輝度値で255は、濃度1.60に相当する。(濃度の算出方法は、Xrite500シリーズで測定し、StatusT、ホワイトバッキング、Visualフィルター、絶対値基準)。本説明では代表値としてブラック(K)の色材で説明を行う。
【0106】
図14は、上記リーダー部28の輝度値と基準紙上に形成されたパッチの濃度値を規格化しプロットしたもので、濃度は1.60を255で規格化している。この輝度濃度変換テーブルを用いて、検出された輝度値を濃度値に変換する。
【0107】
図15は、入力信号に対して図14の輝度濃度変換テーブルを用いてプリンタの階調特性(横軸入力信号値、縦軸濃度値)を表したものである。従来は、この濃度情報に紙濃度を差し引いて相対濃度変換し、所望の相対濃度ターゲットに合うようにLUTを作成してきた。
【0108】
図16は、図15の濃度値を以下のMurray−Daviess式を用いて網点面積%に変換し、入力信号との関係をプロットしたものである。このように、Murray−Daviess式を用いた網点面積%情報に変換することによって、紙種による読取り最大濃度の変化が起きたとしても、最大濃度部分は網点面積%で100%となる。さらに言うと、紙の濃度を0%とするため、下地の色の影響もなく、階調全体で紙種差による濃度違いを吸収することができる。
【0109】
なお、グラフは、網点面積100%を255で規格化している。
【0110】
Murray−Daviess式
網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
【0111】
上記網点濃度は、上記階調パターンの測定濃度であり、最大濃度は、この階調パターンの最大濃度である。
【0112】
図17は、図16の網点面積%で作成したプリンタ階調特性と、ターゲットカーブと、そのターゲットにするためのLUTを示している。本実施例にて、ターゲットカーブは、入力信号(入力網点面積%)が50%のときに、出力信号、即ち、出力網点面積%が70%である、即ち、ドットゲイン特性が20%の階調カーブである。
【0113】
このLUTをエンジン階調補正テーブル格納部1050に保存し、通常画像形成時にエンジン階調補正実行部1042で実行される。
【0114】
図18は、上記図17で作成したLUT(網点面積%ターゲット)と、同じ非基準紙を用いて従来手法の濃度ターゲットからLUTを作成した場合の、濃度階調特性を示す。
【0115】
従来手法では、濃度値に合わせようとするため、矢印(a)、(b)部で階調不連続性を回避できない。
【0116】
一方、網点面積%を軸に所定の網点面積%ターゲットに合わせるようLUTを作成することによって、階調全体で用紙の差を吸収することができる。即ち、紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正することによって紙の影響を受けない自動階調補正制御が行われる。所定の階調特性とは、ドットゲイン特性が所定の範囲内に収められた階調である。ドットゲイン特性とは、入力網点面積%と出力網点面積%との差分である。
【0117】
(実施例1の検証)
以下、実施例1で述べたMurray−Daviess式を使った自動階調補正を検証する。検証の着目点は、階調性と、下地の影響度を階調によって変化させているかという本発明の課題を解決しているかを検証する。
紙1:キヤノンオフィスプランナー68m2(普通紙)
紙2:キヤノンPPC用カラーペーパー68g/m2ピンク(色紙)
パターン印字機種:imagePressC1
色:ブラック
演算方法:実施例1で示した自動階調補正
【0118】
図19に、上記条件で印字した入力信号(入力網点面積%)と濃度の関係を表す。実線は紙1、点線は紙2である。どちらも同じ条件で出力し、紙の厚さ(坪量)も同じであるため、ベタの濃度はほぼ一致している。しかしながら、ハイライト部分は紙の色の影響を受け、色紙は濃度0.2程度、普通紙は0.07程度と絶対濃度差として0.13程度異なる。
【0119】
図20は、図19をMurray−Daviess式を用いて網点面積%に変換したものである。この時点で二つの紙差は無くなった。紙濃度差0.13を吸収することに成功した。実施例1で述べたように、網点%ターゲットは一つであり、同じLUTが作成される。その結果を、入力網点面積%と出力網点面積%との差分であるドットゲイン特性(ドットゲイン%)で表したものが図21になる。どちらの紙でも同じLUTを作成することに成功した。
【0120】
従来例のように、相対濃度ターゲットを使用した自動階調補正時に、色紙を使用した場合、ベタ濃度は規定以下の濃度と判断される。すなわち白紙と色紙の濃度差0.13分をベタ濃度にも適用してしまう。その結果、色紙は規定以下の濃度となってしまうため、図29で示したような非基準紙BのようなLUTを作成されてしまう。終端補正を実施して変極点での段差は避けられない。
【0121】
実施例1の自動階調補正方法であれば、色紙などの極端な紙種差があっても、変極点がない自然な階調性を実現することができた。
【0122】
別の観点では、紙の影響をベタ濃度部で受けていない。一方、ハイライト部では紙種差を演算過程で吸収している。すなわち、紙の濃度の影響度(即ち、紙の反射率の影響度合い)を階調(網点%)によって変更していることになる。ハイライトでは紙の影響度を高く、シャドウ部では低くしていることによって、紙の影響を受けない、自動階調補正方法を確立することができた。
【0123】
実施例2
実施例2ではMurray−Daviess式を改造してより汎用性のある自動階調補正方法を説明する。実施例1の演算方法を変えたものであるため、その他の説明は省略する。
紙1:キヤノンオフィスプランナー68m2(普通紙)
紙2:キヤノンPPC用カラーペーパー(厚口タイプ)125g/m2ブルー(色紙)
パターン印字機種:imagePressC1
色:ブラック
演算方法:実施例1で示した自動階調補正
【0124】
紙1は、実施例1の検証同様の用紙を、紙2は色と紙の厚さ(坪量)を変更した。実施例1で述べた図8の現象が起きているため、紙2のベタ濃度が下がっている(図22参照)。また、紙の濃度差は、0.1程度ある。
【0125】
この条件で実施例1の自動階調補正を行い、出力されたパッチの濃度を解析したところ、図23の関係が得られた。
【0126】
一見、合致しているようであるが、中間調での網点%のズレが発生している。この結果から網点%ターゲットに合わせるようLUTを作成し、ドットゲイン特性を調べたところ、図24のような関係になり、実施例1の検証時に使用した色紙よりも精度が落ちていることが分かった。
【0127】
従来例と比較して、階調性は向上するが、紙種を変えることによってエンジン階調補正結果が異なることを意味する。よって、違う紙(紙1と紙2)で自動階調補正を実施し、どちらもある別の紙で印字した際、中間調で濃度差が発生する。紙の濃度とベタ濃度がどちらも白紙と異なる場合、Murray−Daviess式では精度に限界があることを示している。
【0128】
Murray−Daviess式は、下記の通りであり、DsとDtは従来の相対濃度を採用している。そのため、シャドウ部の濃度差を吸収できずにいた。
【0129】
Murray−Daviess式
網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
【0130】
本実施例では以下のように2段階の演算を行うことによりシャドウ部の濃度差を吸収する。
【0131】
第一演算
第一網点面積%=((1−10(-Dt1))/(1−10(-Ds1))*100
Ds1=(最大濃度−紙濃度)
Dt1=(網点濃度−紙濃度)
第二演算
網点面積%=((1−10(-Dt2))/(1−10(-Ds2))*100
Ds2=(最大濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
Dt2=(網点濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
【0132】
第一演算は、実施例1と同じMurray−Daviess式で、そこで得られた第一網点面積%を利用して、第二演算の紙濃度に対して重み付けをしているのが特徴である。
【0133】
上記第二演算を終了した結果を図25に示す。網点面積%で同じカーブになることが確認できた。この2段階で求められる網点面積%ターゲットを作成すれば、紙の濃度、ベタの濃度が異なっても同じ階調補正テーブルを作成することができ、その結果であるドットゲインカーブも同じ特性を描く。
【0134】
このように、紙濃度の影響度をハイライト部とシャドウ部とで変更し、網点面積%を演算することによって、汎用性の高い自動階調補正が可能になった。
【0135】
実施例3
実施例1では、坪量は同じで紙の濃度差が発生している場合においても精度の高い自動階調補正方法を説明した。実施例2では、実施例1に加え坪量が異なることでベタ濃度も変化したときでも汎用性の高い自動階調補正方法を説明した。
【0136】
演算処理やメモリ容量という観点で考えると、従来の濃度の演算に比べ、実施例1では濃度から網点%に変換する演算を、実施例2では第一網点%演算と第二演算を実施しているため、処理時間や一次保管させるメモリ量が増えている。
【0137】
実施例3では、以下の関係を用いて演算内容を変更することで処理時間やメモリ量を増大させない仕組みを設けた。
【0138】
【表2】
【0139】
※1は、ほぼ基準紙の条件であるため、紙の差による自動階調補正の不具合は発生しないため従来と同じ濃度で演算を行う。※2は、実施例1や2では述べていないが、坪量違いによる濃度差の発生量は、メディア濃度の差に比べると少ないため、実施例1の第一演算のみでよいと判断した。※3は実施例1の内容。※4は実施例2の内容である。
【0140】
実際の切り替える方法であるが、図1のエンジン階調補正テーブル作成部のプログラムに図26の網掛け部を追加することで対応できる。
【0141】
最大トナー量制御を実行したCPU1033は、紙上に自動階調補正用の64パッチを印字するため紙の特性(坪量)を把握し、RAM1050に一次保存する。実施例1と同様に、64パッチの印字、リーダー部での読み取り、輝度→濃度変換を実行する。
【0142】
濃度情報に変換された64個のパッチ情報のうち、信号値0すなわち紙白部の濃度を抽出し、0.1未満かどうかを判断する。0.1未満の場合次に坪量を確認し、90g/m2未満の場合、そのまま濃度の状態でLUTを作成する。90g/m2以上の場合には実施例1の演算である第一網点%に変換し、LUTを作成する。
【0143】
紙濃度が0.1以上であれば紙濃度の影響が大きいため、網点%演算(実施例1及び実施例2の第一演算)を実行する。坪量が90g/m2未満であればそのままLUTを生成し、90g/m2以上であれば実施例2の第二演算を実行してからLUTを生成する。
【0144】
以上説明したフローで、必要度(紙の坪量と紙の濃度)に応じたLUTの演算方法を自動で変更処理することができる。
【0145】
なお、本実施例では紙濃度や紙の坪量を自動検出して演算方法を切り替えたが、ユーザから指定される構成にしても構わない。
【0146】
実施例4
本発明の特徴である網点%演算は、終端補正による濃度段差を抑え、階調性を良好にするために実行される。オリジナルがモニタであるプリンタ出力時には特に有効である。モニタはRGBの発光色で加法混色、プリンタは参照光が必要な物体色の減法混色である。発色のメカニズムが異なるため、一般ユーザーはモニターの濃度と紙で出力される濃度を厳密にあわせる要望はほとんどない。
【0147】
しかしながら、複写を考えるとオリジナルは印刷や印画紙若しくは同じプリンタ出力されたものなど全てが物体色である。そのためオリジナルとの濃度再現性を比較され易く、オリジナルに忠実な再現を求められることが少なくない。
【0148】
そのため、本実施例では複写用のLUT生成方法は、従来の濃度ターゲットに対して階調を合わせ、プリンタ用のLUT生成には網点面積%ターゲットに対して階調を合わせる演算を行う。
【0149】
図27に、実施例4をベースに上記特徴のフローを追加した。濃度変換後のパッチ信号は濃度の状態で従来例のような複写用のLUTを生成する。また同時に紙の濃度や坪量から演算方法を選択され、所定の網点%演算(第一のみか第一と第二演算か)を行い、プリンタ用のLUTとしてテーブル格納部に保存する。
【0150】
実際に使用する際は、CPU1033からプリンタrか複写かの情報をエンジン階調補正実行部1042に渡し、エンジン階調補正テーブル格納部にあるLUTを画像に処理する。
【0151】
なお、本発明でのプリンタ画像は、図1のホストコンピュータ1001から入力されたプリント情報が画像情報生成部1041で画像オブジェクトを生成し、ビットマップ画像展開/転送部1040でビットマップ化され、プログラムROM1034内のエンジン階調補正実行部1042にて階調補正が実行され、エンジン部1036に通知されるものである。
【0152】
一方、複写画像は、図2記載の原稿読み取り部28で原稿を読み取り、プリンタコントローラに送信し、エンジン階調補正実行部1042で複写用の階調補正を施されたあと、再びエンジン部1036に通知され出力される。
【0153】
本実施例は、プリンタと複写とで擬似中間調処理パターンを共通化していることを前提にLUTを2個作る構成を説明したが、複写用とプリンタ用とで擬似中間調処理パターンが違うのであれば、1つの擬似中間調処理パターンに2つのLUTを作成する必要は無い。
【0154】
実施例5
更にユーザビリティ向上策として、図28や図29のようにユーザーに選択を促しても構わない。その場合、濃度重視は従来の濃度でLUT生成し、階調重視であれば本実施例1若しくは実施例2を使用すればよい。
【0155】
以上説明したように、非基準紙での自動階調補正で発生していたシャドウ部の階調不連続性を解決し、非基準紙においてもエンジン階調補正が可能な画像形成装置を実行することができた。
【0156】
上記各実施例では、本発明は、直接転写方式のカラー画像形成装置であるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0157】
本発明は、例えば、中間転写方式のカラー画像形成装置とすることもできる。斯かる画像形成装置は、各画像形成部の像担持体からトナー像を一旦中間転写ベルトのような中間転写体に転写し、その後このトナー像を記録媒体(紙)に一括転写してカラー画像が形成される。
【0158】
斯かる中間転写方式のカラー画像形成装置においても、勿論、カラー画像形成装置に限定されるものではなく白黒画像形成装置においても、上記実施例1、2と同様に、自動階調補正制御を行うことにより、高品質の画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0159】
1(1a、1b、1c、1d) 感光ドラム(像担持体)
2(2a、2b、2c、2d) 一次帯電器(帯電手段)
3(3a、3b、3c、3d) 露光装置(露光手段)
4(4a、4b、4c、4d) 現像装置(現像手段)
5(5a、5b、5c、5d) 転写帯電器(転写手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、電子写真方式の複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図30に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)からの出力情報(RGB画像、グレースケール画像、CMYK画像データ)は、画像形成装置に接続、或いは、内蔵されている画像処理部に送信される。画像形成部にて、PCからの出力情報は、プリンタドライバで指定されたユーザー好みのガンマ条件に補正するガンマ補正部、L*a*b*への変換部(グレイはL*のみ)、C'M'Y'K'への変換部にて処理される。
【0003】
RGB→L*a*b*等の多次元から多次元への色空間変換は、ICCプロファイルの多次色変換テーブル情報を用いて、画像処理部が変換を行う。
【0004】
図31は、プリンタドライバの色設定部であり、ユーザーが好みの階調にするために用意されたユーザーインターフェース(以下、「UI」と呼ぶ。)である。この設定値情報から、ガンマ補正部は1次元のLUTにてガンマ変換される。
【0005】
図30にて、C'M'Y'K'情報に変換された画像データは、エンジン階調補正部にてさらに1次元のLUT処理が施される。エンジン階調補正部はプリンタエンジンの階調性を一定に保つ役割を果たす。記録材である紙上に出力したパッチ画像を用いてエンジンの状態を把握し、規定の階調カーブになるように1次元のLUTが作成される。これ以降、上記紙上に出力したパッチを用いた安定化制御のことを「自動階調補正」と呼ぶ。
【0006】
擬似中間調処理部は、ディザ法等を用いて中間調を再現させる処理部である。中間調の種類(線数やドット成長方法)によってエンジン階調特性は異なるため、階調補正部は中間調処理毎にLUTを用意している。
【0007】
上記エンジン階調補正部を用いて色の安定性を確保する技術が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1では、感光体上に形成したトナー濃度検出用のパッチパターンを濃度センサで読み取り、現像器内のトナー濃度制御部へフィードバックして適正な濃度に制御する技術が開示されている。
【0009】
一般的には、トナーパッチはその作成および消去が容易であるものの、定着前の濃度情報しか得られないため、トナーパッチに基づく制御が行われた場合には2次転写や定着工程の影響は反映されないという問題がある。
【0010】
そこで、特許文献2に代表されるように、画像形成装置本体に組み込まれた複写機のリーダー部(画像読み取り部)で画像を読み取り、その読み取り結果に基づいて画像形成を制御することが提案されている。この方法は、紙にトナーを載せ、定着することによって得られた出力物をリーダー部にて読み取る。
【0011】
図32に示すように、基準紙と非基準紙A(平滑な薄い紙)、非基準紙B(粗く厚い紙)をエンジンの作像条件(帯電/潜像/現像条件)を一定にして印字したところ、リーダー部で検出される濃度値としては、図32のような関係となった。この情報をもとに、ターゲットとなる濃度にするため、LUTを作成したものが図33である。
【0012】
紙の表面特性、白色度、厚みなどによって、同じトナー量を載せても読み取られた濃度値は異なり、LUTは変化してしまう。非基準紙Bで作成したLUTは、最大濃度がターゲットよりも出ていないため、入力値240以降は全て255の信号に置き換えている。240以降の信号値は階調が無くなってしまった。このシャドウ部の階調性を重視するユーザーにとっては致命的である。
【0013】
また、非基準紙AでLUTを作成した場合、図33の通り255の信号が240付近で打たれる。すなわち、ベタの信号(網点面積率100%)であっても、中間調処理パターンが見えてしまい、品位の低下や、エッジのジャギー(スクリーンパターン)が現れる。文字やラインの品位低下につながり、好ましくない。
【0014】
この課題を解決するために、特許文献3では、ある程度の階調を確保するため、入力信号が255(網点面積率100%)のときにはLUTのOUT側も255にするような技術が提案されている。
【0015】
図34に、上記非基準紙Bで作成したLUTと、特許文献3を用いて作成したLUTを示す。シャドウ部で滑らかなLUTであることが理解できよう。このLUTを用いて、濃度の再現性を示したものが、図35である。シャドウ部ではターゲット濃度から離れるが、階調性は若干向上している。
【0016】
しかしながら、これらの技術はシャドウ部の階調変化が激しく、矢印(a)部(図35)での変極点が発生するため、滑らかな階調特性にすることができなかった。一部のプロユーザーからは階調の不連続性を指摘されていた。
【0017】
自動階調補正に関連する他の技術としては、特許文献4、5では基準紙によって作成された階調補正データを用いて、非基準紙にパッチを印字し、その読み取り結果を補正ターゲットとする技術が開示されている。紙自体の濃度や表面性の違いなどの影響を受けない自動階調補正方法が提示されている。
【0018】
上記で述べた自動階調補正に関する濃度とは、絶対濃度ではなく、紙基準濃度(Null Density:相対濃度)であることが多い。以下、紙基準濃度のことを相対濃度と呼ぶ。
相対濃度=絶対濃度―紙の絶対濃度
【0019】
相対濃度での濃度管理方法は、ISO13656等に記載されており、印刷業界には一般的な指標である。相対濃度であれば、様々な紙で印刷してもターゲット濃度を変更する必要は無いため汎用性が高く、多くの印刷会社の印刷機の管理に使用されてきた。
【0020】
画像形成装置の自動階調補正についても、読取装置のばらつきや経時変化、紙のロット違いによる紙濃度の変化等を考慮して、紙基準濃度で自動階調補正を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平1−309082号公報
【特許文献2】特開平7−131649号公報
【特許文献3】特開2006−165752号公報
【特許文献4】特開2004−289200号公報
【特許文献5】特開2006−222804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、特許文献4、5は、基準紙を用意しておかなければならない。また、基準紙から作成した非基準紙の銘柄を把握し、常にその紙で階調補正を実施する必要がある。すなわち、非基準紙が基準紙に置き換わっただけである。基準紙から登録した非基準紙の在庫がなくなることがある。この場合、ロット違いによって表面性や白色度、厚みの変化、紙の目の違いなどがあるとき、さらには耐候性による白色度の変化(黄変ともいう)など、紙自体が変化する状況が数多く考えられ、根本的な解決手段にはならない。
【0023】
また、上記非基準紙の在庫切れを懸念して、複数種の非基準紙を登録した場合、ユーザーは自動階調補正に使用する用紙種を選択しなければならず、操作性が悪い。その用紙を複数用意すればするほど分かり難く、ミスも発生し易い。登録用にメモリ容量を確保しなければならず、コストアップにつながる。
【0024】
さらに、基準紙にパッチを印字し読み取ることによって階調補正データを作成し、上記階調補正データを用いて非基準紙にパッチを印字し、画像読み取り部で読み取り、補正するというユーザーが実施する読み取り作業が2回必要とされる。ユーザービリティーに欠ける階調補正方法であった。
【0025】
さらに言うと、電子写真の着色剤は透過率が低くベタ濃度は紙濃度の影響をほとんど受けない。印刷の濃度測定手法をそのまま適用させている従来の自動階調補正では、同じ量の着色剤が2つの違う紙上に載せられた場合、絶対濃度は同じでも相対濃度は変化してしまう。よって、紙濃度が異なる紙で自動階調補正を行った場合、補正後の濃度結果が異なってしまうため、基準紙での自動階調補正を行う必要があった。
【0026】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。
【0027】
つまり、本発明の目的は、基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよいエンジン階調補正を行うことにより、画像不良を抑え、良好な画像品質を実現する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、第一の態様によれば、
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、 前記紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0029】
第二の態様によれば、
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の反射率に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0030】
第三の態様によれば、
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の坪量に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0031】
第四の態様によれば、
複写画像及びプリンタ画像を紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記複写画像用階調補正は濃度ターゲットに対して階調補正演算を行ない、前記プリンタ画像用階調補正は網点面積%ターゲットに対して階調補正演算を行うことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ベタはベタで再現することによってジャギーを無くし、ハイライトは紙濃度の影響度を高く、シャドウ部は紙濃度の影響度を低くすることで、基準紙でなくともシャドウ部の階調不連続性を解消することができる。それによって、メモリコストUPすることなく、ユーザービリティーの良い、自動階調補正方法(エンジン階調補正)を実現することができる。
【0033】
つまり、本発明によれば、基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよいエンジン階調補正を行うことにより、画像不良を抑え、良好な画像品質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る画像形成装置を有する画像形成システムの一実施例の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図3】トナー量検出センサの一実施例の構成を示す図である。
【図4】電位制御の概念を説明する図である。
【図5】最大トナー量制御に使用するパッチを説明する図である。
【図6】最大トナー量制御の概念を説明する図である。
【図7】紙の色の違いを説明する図である。
【図8】紙の厚さの違いと反射率との関係を表した模式図である。
【図9】紙の凹凸の違いと反射率との関係を表した模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の制御態様の一実施例を説明するフローチャート図である。
【図11】本発明の画像形成装置の操作画面の一実施例を示す図である。
【図12】自動階調補正パターンの一実施例を示す図である。
【図13】自動階調補正パターンをリーダー部で読み込んだときの輝度特性図である。
【図14】リーダー部での輝度と濃度との関係を表す図である。
【図15】自動階調補正パターンをリーダー部で読み込んだときの濃度特性図である。
【図16】自動階調補正パターンをリーダー部で読み込んだときの網点面積%特性図である。
【図17】プリンタ階調特性とLUTとターゲットを示す図である。
【図18】従来例と本発明の実施例によるプリンタ階調特性結果を示す図である。
【図19】実施例1の検証における入力信号と濃度の関係を示す図である。
【図20】実施例1の検証における入力信号と網点面積%の関係を示す図である。
【図21】実施例1の検証における自動階調補正結果を示す図である。
【図22】本発明の実施例2における入力信号と濃度の関係を示す図である。
【図23】本発明の実施例2にて、実施例1の網点面積%算出方法によって求められた、入力信号と網点面積%を示す図である。
【図24】本発明の実施例にて、実施例1の網点面積%算出方法によって補正された自動階調補正結果を示す図である。
【図25】本発明の実施例2における自動階調補正結果を示す図である。
【図26】本発明の実施例3を説明するフローチャート図である。
【図27】本発明の実施例4を説明するフローチャート図である。
【図28】本発明の実施例5に係わる階調補正演算指示ユーザーインターフェースを説明する図である。
【図29】本発明の実施例5に係わるコピアとプリンタの階調補正演算指示ユーザーインターフェースを説明する図である。
【図30】従来例における画像処理部の内部構成を示す図である。
【図31】従来例におけるプリンタドライバの色設定部を示す図である。
【図32】従来例の特許文献2に関する紙種と濃度特性を表す図である。
【図33】従来例の特許文献2で自動階調補正を実施したときのLUTを示す図である。
【図34】従来例の特許文献3で自動階調補正を実施したときのLUTを示す図である。
【図35】従来例の特許文献3で自動階調補正を実施したときの補正結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、自動階調補正のターゲット軸を網点面積%に設定することにより、紙濃度の影響度合いを階調(網点%)によって変化させ、基準紙を使用することなく、メモリコストを抑えたユーザービリティーのよい自動階調補正を実行できることが特徴である。
【0036】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0037】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置を含む画像形成システムの概略構成を示す。図1にて、画像形成システムは、ホストコンピュータ1001と、画像形成装置1030とを備えている。ホストコンピュータ1001及び画像形成装置1030は、通信線1002によって接続されている。図2に、本発明に係る画像形成装置1030の一実施例の概略構成を示す。
[画像形成装置の説明]
図1を参照すると、本実施例にて、画像形成装置1030は、プリンタコントローラ1031がプリンタ全体の動作を司る。また、プリンタコントローラ1031内のホストI/F部1048は、ホストコンピュータ1001との入出力を司る。
【0038】
入出力バッファ1032は、ホストI/F部1048を介して制御コードや、各通信手段からデータの送受信を行い、CPU1033は、プリンタコントローラ1031全体の動作を制御する。
【0039】
プログラムROM1034は、CPU1033により実行される制御プログラムや制御データを内蔵することが可能である。プログラムROM1034内にはプログラムモジュールとして、画像情報生成部1041、パッチ生成部1044、エンジン階調補正テーブル作成部1045、エンジン階調補正実行部1042が含まれている。これらのプログラムモジュールは、CPU1033との協働により以下に説明する階調補正の実行に際して、輝度情報や濃度情報網点面積%への変換、パッチ画像等の生成を制御するために利用可能である。
【0040】
画像情報生成部1041は、ホストコンピュータ1001から受信したデータの設定より各種の画像オブジェクトを生成することが可能である。パッチ生成部1044は、エンジン階調補正実行時、網点面積%を測定する際に利用するパッチ画像を生成することが可能である。エンジン階調補正テーブル作成部1045は、網点面積%測定結果に基づいてエンジン階調補正テーブルを作成することが可能である。また、エンジン階調補正実行部1042は、パッチの網点面積%を測定した結果に基づいてエンジン階調補正を行うことが可能である。
【0041】
RAM1035は、制御コード、データの解釈や印刷に必要な計算、或いは印刷データの処理のためのワークメモリに利用することが可能である。RAM1035内には、補正テーブルを格納しておくエンジン階調補正テーブル格納部1050を格納することが可能である。
【0042】
プリンタコントローラ1031内のビットマップ画像展開/転送部1040は、画像オブジェクトをビットマップ画像に展開し、展開されたビットマップ画像を印刷装置エンジン部1036に転送することが可能である。
【0043】
印刷装置エンジン部1036は、エンジン制御部1049を含み、ビットマップ画像展開/転送部1040で展開されたビットマップ画像に基づいて実際に紙に印刷を行うことが可能である。ここで、エンジン制御部1049は、各機構による各印刷プロセス処理(例えば、給紙処理など)に関する制御を行うことが可能である。
【0044】
印刷装置エンジン部1036とプリンタコントローラ1031とは、エンジンI/F部1046により接続される。
【0045】
印刷装置の操作は操作パネル1037を介して行うことが可能であり、プリンタコントローラ1031と操作パネル1037とはパネルI/F部1047により接続される。
【0046】
また、外部メモリ部1038は、印刷データや様々な印刷装置の情報等の保存に利用することが可能である。プリンタコントローラ1031と外部メモリ部1038とは、メモリI/F部1039により接続される。プリンタコントローラ1031内の各ユニットはシステムバス1043に接続されている。
【0047】
図2に、本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真方式の4色フルカラーのレーザービームプリンタの概略構成を示す。
【0048】
本実施例のレーザービームプリンタ(以下、「画像形成装置」という。)は、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色の画像を形成する、画像形成部を構成する
4個の画像形成ステーションが設けられている。それぞれの画像形成ステーションは、同図中における時計回りに回転自在に支持された像但持体であるドラム状の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1a、1b、1c、1dを備えている。感光ドラム1a、1b、1c、1dは、所定のプロセススピード(周速度)で同図中の反時計回りに回転される。感光ドラム1a、1b、1c、1dの周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、一次帯電器(帯電手段)2a、2b、2c、2d、現像装置(現像手段)4a、4b、4c、4dを備えている。また、感光ドラム1a、1b、1c、1dの周囲には、転写帯電器(転写手段)5a、5b、5c、5d、及び、クリーニング装置(クリーニング手段)6a、6b、6c、6d等が配置されている。
【0049】
更に、感光ドラム1a、1b、1c、1dの上方には、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに画像露光するための露光装置(露光手段)3a、3b、3c、3dが配置されている。
【0050】
各画像形成ステーションでは、一次帯電器2a、2b、2c、2dにより感光ドラム1a、1b、1c、1dが一様に帯電され、露光装置3a、3b、3c、3dにより露光されることにより、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に静電潜像が形成される。この静
電潜像は、現像装置4a、4b、4c、4dにて可視化され、トナー像とされる。
【0051】
なお、以下の説明では、上述の各部材や装置を総称して呼ぶ場合や色を区別する必要がない場合には、単に、感光ドラム1、一次帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写帯電器5、クリーニング装置6のように記す。
【0052】
図2に示すように、画像形成ステーションごとに、各感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向するように、トナー量検知センサ(トナー量検出手段)30(30a、30b、30c、30d)が配置されている。トナー量検知センサ30は、感光ドラム1上に形成されたトナー像のトナー量を検出するものであり、最大トナー量条件(一次帯電器のグリッドバイアス、現像バイアス、レーザーパワー)を決定するために使用される。
【0053】
現像装置4a、4b、4c、4dとクリーニング装置6a、6b、6c、6dとの間における感光ドラム1a、1b、1c、1dの下方には、これらに接するようにして記録材搬送手段である転写ベルト17が配設されている。転写ベルト17は、紙、透明フィルム等の記録材Pを表面に担持して矢印R17方向に回転し、記録材Pを各感光ドラム1a、1b、1c、1dに順次搬送する。各画像形成ステーションにおいて感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成されたトナー像は、転写帯電器5a、5b、5c、5dによって、転写ベルト17上の記録材Pに順次に転写される。
【0054】
なお、記録材Pとしては、一般に転写紙のような「紙」が使用されるため、本願明細書、特許請求の範囲にて、記録材Pを単に「紙」と呼ぶこともあるが、本発明で使用する記録材Pを「紙」に限定するものではない。
【0055】
さらに、画像形成装置には、複数の給紙部、つまり給紙カセット12、13、14、及び、図2にて矢印R11方向に引き出し可能な手差し給紙トレイ11、さらに大容量ペーパーデッキ15が設けられている。記録材Pは、これら給紙部のうちのいずれかから給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ16を介して搬送ベルト17に供給される。
【0056】
記録材Pは、転写ベルト17上に支持されて各画像形成ステーションを通過する過程で、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に形成された各色のトナー像が順次に転写される。この転写工程が終了すると、記録材Pは分離帯電器18によって転写ベルト17から分離されて、記録材案内手段となる搬送ベルト19により定着装置20に搬送される。
【0057】
定着装置20は、回転自在に支持された定着ローラ21と、この定着ローラ21に圧接しながら回転する加圧ローラ22と、離型剤供給塗布手段である離型剤塗布装置23と、ローラクリーニング装置とを備えている。定着ローラ21及び加圧ローラ22の内側にはハロゲンランプなどのヒータ(不図示)がそれぞれ配設されている。定着ローラ21、加圧ローラ22にはそれぞれサーミスタ(不図示)が接触されており、温度調節装置26を介してそれぞれのヒータへ印加する電圧を制御することにより、定着ローラ21及び加圧ローラ22の表面温度調節を行っている。加圧ローラ22の加圧値、及び定着ローラ21の表面温度は、定着制御機構25により可変にすることができる。
【0058】
定着ローラ21と加圧ローラ22とを駆動する駆動モータ(不図示)には、記録材Pの搬送速度、すなわち記録材Pの表裏両面を加圧・加熱する定着ローラ21と加圧ローラ22との回転速度を制御する速度制御装置27が接続されている。これにより、記録材Pの表面上の未定着トナー像は溶融して定着され、記録材P上にフルカラー画像が形成される。このフルカラー画像が定着された記録材Pは、分離爪(不図示)によって加圧ローラ22から分離されて、排紙トレイ24上に排出される。
【0059】
図2に示す画像形成装置の上部には、原稿読み取り部(画像読み取り部)28、操作ディスプレイ29が配設されている。原稿読み取り部28は、原稿台(不図示)に載置された原稿を光学的に走査して読み取ることにより、各色の画像信号を得る。また、操作ディスプレイ29は、操作者(ユーザー、サービスマン)からのコマンド入力や、操作者への装置の状態報知等が行われる。この読取装置を用いて画像形成装置から出力された自動階調補正パターンを検出し、エンジン階調補正部のLUTを変更する(詳細は後述)。
【0060】
[トナー量検出手段]
図3は、トナー量検出手段であるトナー量検出センサの一例を示す。トナー量検出センサ30は、LED(発光ダイオード)を有する発光部400と、PD(フォトディテクタ)を有する受光部401で構成される。受光部401は、2つのPDを有し、乱反射光を検知する。
【0061】
発光部400から感光ドラム1に照射された光Ioは、感光ドラム1の表面で反射する。反射光Irは、受光部401でそれぞれ受光され、エンジン制御部1049(図1)に受光光量情報を出力する。本実施例で使用している感光ドラム1は平滑なドラムである。一方トナーがドラムを覆うと、凹凸が激しくなり、ざらついた表面になる。すなわち、トナー量が多いほど受光量は増える関係にある。このようなセンサ出力値の変化を利用してトナー量を把握することができるため、後述する最大トナー量制御に使用することが出来る。
【0062】
なお、受光部401で計測された反射光は、LED光量制御部403でもモニタされる。LED光量制御部403は、反射光Ioの光量をメイン制御CPU311に通知する。最大トナー量制御前に、メイン制御CPU311は、照射光Ioの発光強度と、反射光Irの受光光量(測定値)に基づいて、Irが規定値になるよう、光量を調整する。
【0063】
また、画像出力時以外では、シャッター駆動制御部407を制御してシャッター部40
8を動作させることにより、トナー飛散からのセンサ窓汚れを回避している。
【0064】
[最大トナー量制御]
(電位制御)
ここでは最大濃度条件の基本となる電位制御について説明を行う。
【0065】
最大濃度条件とは、帯電、潜像、現像条件を決定するものである。
【0066】
後述するトナー量検知センサにてパッチを検出する前に、電位制御によって、目標とする帯電電位(VdT)、グリッドバイアス(Y)と現像バイアス(Vdc)を決定する。電位制御処理により画像形成装置1030が設置されている環境条件(温度や湿度の条件を含む)に応じた帯電電位等を決定することができる。
【0067】
本実施例において、エンジン制御部1049は、2点電制と呼ばれる電位制御を行っている。図4は、2点電制による電位制御の概念を説明する図である。
【0068】
図4において、Vd1は、第1の帯電条件(グリッドバイアス400V)での帯電電位を示し、Vl1は、標準(レーザーパワー可変範囲の中間値)のレーザーパワーで形成された露光部電位を示している。また、Vd2は、第2の帯電条件(グリッドバイアス800V)での帯電電位を示し、Vl2は、そのときの標準レーザーパワーで形成された露光部電位である。このとき、400V及び800Vのグリッドバイアスにおけるコントラスト電位(Cont1、Cont2)は、下記(1)、(2)式より算出することができる。
(Cont1)=(Vd1―Vl1) ・・・(1)
(Cont2)=(Vd2−Vl2) ・・・(2)
【0069】
ここで、帯電電位1Vおきのコントラスト電位の増加量(Cont△)は(1)、(2)式の結果を基に、下記(3)式により算出することができる。
(Cont△)=((Cont2−Cont1)/(Vd2−Vd1))・・・(3)
【0070】
一方、画像形成装置1030内には不図示の環境センサが設けられており、環境センサは、画像形成装置1030内の温度や湿度の環境条件を計測する。エンジン制御部1049は、環境センサの計測結果に基づいて画像形成装置1030内の環境条件(例えば、絶対水分量)を求める。そして、予め登録されている環境テーブルから環境条件に対応する目標コントラスト電位(ContT)を参照する。
【0071】
目標コントラスト電位(ContT)と、コントラスト電位の増加量(Cont△)との関係は、下記(4)式により算出することができる。
ContT=Cont1+X・Cont△ ・・・(4)
【0072】
(4)式の関係を満たすパラメータ「X」を算出すれば、目標とする帯電電位(VdT)(以下、これを「ターゲット電位」ともいう。)は、下記(5)式で算出することができる。
VdT=Vd1+X ・・・(5)
【0073】
グリットバイアス1Vあたりの帯電電位変化量(Vd△)は、下記(6)式により算出することができる。
(Vd△)=(Vd2−Vd1)/(800−400) ・・・(6)
【0074】
ターゲット電位(VdT)を与えるグリットバイアス(Y)は、下記(7)式より算出することができる。
ターゲットVdT=400+Y・Vd△ ・・・(7)
【0075】
(7)式において、Vd△は(6)式により算出することは可能であり、VdTは(5)式より算出ことが可能である。従って、(5)、(6)式より既知となる電位を代入することにより(7)式の関係を満たすグリットバイアス(Y)を最終的に決定することができる。
【0076】
以上の処理により環境条件に応じたターゲット電位(VdT)、グリッドバイアス(Y)を決定することができる。現像バイアス(Vdc)は、ターゲット電位(VdT)に対して規定電位差を有し、決定したターゲット電位(VdT)から規定電位を減じることで算出することは可能である。
【0077】
決定した現像バイアス(Vdc)でこれ以降の画像形成を行う。なお、各ドラム上の電位はマイナスであるが、計算のプロセスをわかり易くするために、ここではマイナスを省略している。
【0078】
以上の処理により、作像時に使用するグリットバイアスと現像バイアス(Vdc)が決定された。
【0079】
(トナー量検知センサを用いた最大トナー量制御)
次に、トナー量検知センサ(トナー量検出手段)を用いた最大トナー量制御について述べる。
【0080】
電位制御で求めた条件は、予め登録されている環境テーブルから環境条件に対応する目標コントラスト電位を決定し、その条件に合わせた。ある標準機で求めた目標コントラストであるため、機械間差や耐久後に最大濃度が所定の値にならない場合が多い。そのため本実施例では、感光体上のトナー量を検出するため、トナー量検知センサ30を設けた。本実施例における最大濃度条件の調整方法として、レーザーパワー(以下、「LPW」と呼ぶ。)を変更する。
【0081】
図5(a)に図示するような最大載り量が変更されているパターンを感光体上に形成する。例えば、通常使用する光量比から20%Down、10%Down、標準値、10%Up、20%Upの光量にてパッチを形成する。このときのパッチ電位は、図5(b)に図示するようになっており、LPW1(光量20%UP)に適合したVl1をはじめ、Vl2〜5までパッチを作成する。
【0082】
なおパッチのサイズは、電位センサの検知範囲も考慮し、40mm角のパッチとする。パッチは、PWM(パルス幅変調:発光時間)で作成し、パッチ間はPWM0、パッチ部は所定の光量になるようPWMで調整を行えばよい。なお、本実施例では1画素(600dpiの1画素)当たりの最長時間で発光させている。
【0083】
LPW毎のパッチ電位を測定し、トナー量検知センサ30によってトナー量を検出する。図6は各パッチのVcont(Vdc−Vl)とトナー量検知センサのパッチ検出値を示している。本実施例では、0.55mg/cm2をターゲットとしており、図6の検出結果から上記トナー載り量の関係を導き、その点を直線(線形)補完で結ぶ。そして、0.55mg/cm2になるVcontを導けばよい。図6のエンジン状態であれば、Vcontは230Vが適正であり、LPWは標準状態から+9%Upさせることによってトナー載り量が0.55mg/cm2とすることができる。
【0084】
以上、最大トナー量制御の算出方法をまとめると、
前準備:電位制御によって、VdとVdcを決定しておく。
(1):所定のLPW(5ポイント)にてパッチを潜像(帯電、レーザー)
(2):パッチ電位を電位センサで検出
(3):パッチ潜像を現像
(4):(3)をトナー量検知センサで検出
(5):LPW、パッチ電位(Vl)、トナー量(To)の3点を把握
(LPW,Vl,To)=
(102level,150V,0.42mg/cm2)
(115level,130V,0.45mg/cm2)
(128level,100V,0.49mg/cm2)
(141level, 80V,0.56mg/cm2)
(154level, 55V,0.59mg/cm2)
(6):VlをVcont(Vdc―Vl)に変換
(LPW,Vcont,To)=
(102level,165V,0.42mg/cm2)
(115level,185V,0.45mg/cm2)
(128level,215V,0.49mg/cm2)
(141level,235V,0.56mg/cm2)
(154level,260V,0.59mg/cm2)
(7):ターゲットトナー載り量に対しての差分(To−0.55)算出
(LPW,Vcont,△To)=
(102level,165V,−0.13mg/cm2)
(115level,185V,−0.10mg/cm2)
(128level,215V,−0.06mg/cm2)
(141level,235V, 0.01mg/cm2)
(154level,260V, 0.04mg/cm2)
(8):差分がプラスで最小の差の条件と、差分がマイナスで最小の差の条件を抽出
プラス側(LPW(+),Vcont(+),△To(+))=
(141level,235V, 0.01mg/cm2)
マイナス側(LPW(−),Vcont(−),△To(−))=
(128level,215V,−0.06mg/cm2)
(9):Toが0.00になるLPW算出(LPW(T))
LPW(+)−((△To(+)−0)/((△To(+)−△To(−)/(LPW
(+)−LPW(−))))
=139.14286
四捨五入して
=139
(10):電位制御ターゲットの登録
=Vcont(+)−((Vcont(+)−Vcont(−))/(LPW(+)
−LPW(−))*((LPW(+)−LPW(T))
=231.9231
四捨五入して
=232
【0085】
なお、上記(10)の電位制御ターゲットの登録は、環境テーブルによって決定されていた電位制御ターゲットを変更する。トナー量検知センサを用いた最大トナー量制御は、パッチを印字する必要があり、トナー消費量的な観点で頻度を高くすることができない。電位制御はトナーを現像することなくパッチ電位を検知することができるので、短時間の変動については電位制御で抑えることが出来る。頻度的な観点で述べると、以下となる。
高頻度:電位制御
中頻度:最大トナー量制御
低頻度(ユーザー起動):自動階調補正(後述)
【0086】
[自動階調補正]
従来における自動階調補正とは、紙上に印字された階調パッチ画像をリーダー部(画像読み取り部)28を用いてパッチの輝度値を検出し、予め求めてあった輝度濃度変換テーブルを用いて濃度情報に変換し、所定の濃度カーブになるようにLUTを調整する制御である。従来技術で述べたように、同じトナー量を紙上に載せたとしても、紙種毎に濃度が異なる。所定の濃度カーブに合致するように制御する場合、シャドウ部の階調性に不都合が生じる(従来例と課題参照)。
【0087】
この現象は、
(a)紙の色(分光特性)が違うこと
(b)紙厚差によってトナーの溶融度合いが違うこと
(c)紙の表面性(凹凸)が違うこと
の大きく3つに分類できる。
【0088】
濃度とは、45°から入射された光(Io)が、0°においてどの程度の光(Ii)になっているかを計算したものであり、乱反射成分が少なければ濃度は高い。
濃度=−log(Ii/Io)
【0089】
上記(a)は、図7に示したように、同じトナーが同じパターンで同じトナー量載ったとしても、紙白の影響(紙の分光反射率(図7(c)参照)を受け入射した光の反射率が変化していることが分かる。図7であれば、非基準紙の方が高濃度となる。よって、リーダー部28で検出される濃度にも影響を及ぼす。
【0090】
上記(b)は、図8に概念図を示した。画像形成装置は、同じ普通紙設定でも所定の坪量の幅、例えば64〜128g/m2まで許容している。この厚みの差によって、同じトナーが同じ量紙上に載ったとしても、定着装置においてトナーに与える熱量と圧力が変化してしまう。そのため、紙が厚いほどトナーの形である球形に近づき、乱反射成分が増加する。なお、図8の基準紙の場合は正反射成分が増大し、乱反射成分が低くなる。このように、乱反射量が変化するため、リーダー部28で検出される濃度にも影響を及ぼす。
【0091】
上記(c)は、図9に示すように、紙の凹凸にトナーは追従するように載る。すなわち、平滑な紙である場合はトナー面も平滑に、凹凸がある部分は凹凸を再現する。トナーが同じ量載ったとしても紙の表面凹凸によって乱反射量が変化するため、リーダー部28で検出される濃度にも影響を及ぼす。
【0092】
さらに、オフセット印刷と電子写真方式は、透過濃度の差が大きい。オフセット印刷の方が電子写真方式に比べ透過濃度が薄い。すなわち、紙の下地が透けて見やすい特性がある。
【0093】
本発明者らは、81.4g/m2のCLC用紙を用いて、キヤノン製imagePressC1とオフセット印刷機でブラックの透過濃度を調べた。透過濃度計はX−Rite 361tを使用した。オフセット印刷機の用紙以外の条件はJapanColor基準で印刷を行った。すなわち、JapanPaparでJapanColor基準内に入るよう調整し、その条件で上記CLC用紙の上にベタのパッチを印刷した。
【0094】
下記の表は、そのベタパッチの透過濃度絶対値を、紙の透過濃度絶対値で引いたものであり、インキやトナーの透過濃度を意味する。
【0095】
【表1】
【0096】
このように、電子写真方式のトナーは透過濃度が高く、透過率が低いことを意味している。この現象は、着色材料、着色材の分散性、材着剤層の厚さに起因する。すなわち、オフセット印刷は、材着剤層が1μmから2μmであるのに対し、トナーは5μmから10μmである。その差が上記透過濃度の差として現れている。
【0097】
このように電子写真方式とオフセット印刷とではベタ濃度付近における紙の影響度が異なるにも係わらず、相対濃度を使用して、自動階調補正を行ってきた。相対濃度は、全濃度域で紙濃度を一律に差し引いてしまうため、高濃度付近で必要以上に差し引かれていた。
【0098】
本実施例では、紙種によって濃度検知結果が異なっても、エンジン階調補正を実行できるよう、濃度情報を網点面積率(網点面積%)(以下、単に「網点%」と呼ぶこともある。)に変換する。
【0099】
網点%にすることによって、紙濃度の影響をハイライト部では大きく、シャドウ部では少なくすることができる。
【0100】
所定の網点%のターゲットを1つ有しておき、その網点%になるようにLUTを作成する。上記構成により、即ち、紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御により、シャドウ部の階調不連続性の無い、滑らかな階調特性をメモリコストUPすることなく、高画質な画像形成装置を提供することができる。
【0101】
図10に示したフローチャートを用いながら本実施例の自動階調補正について説明を行う。
【0102】
自動階調補正は、図11に示した操作画面上の"階調補正"ボタンを押すことによって起動される。ユーザーやサービスマンが任意のタイミングで実行する制御である。
【0103】
"階調補正"を押された画像形成装置は、上記電位制御ならびに最大トナー量制御を終了させる。
【0104】
プログラムROM1034のパッチ生成部は、図12に示すような、CMYK各色の64階調(階調テストパターン)を紙上に印字させ、リーダー部28を用いてパッチの輝度信号を読み取る。階調テストパターンの濃度は、右上端が最も濃く、左下端が最も薄く、その間は、右から左へ濃度が徐々に下がっていき、2段目、3段目、4段目と濃度が下がっていく。4段を1色分として、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色分が用意されている。
【0105】
読み取られた信号は、図13のようなカーブを描く。横軸に入力信号、縦軸にリーダー部読み取り輝度値である。なお、リーダー部28の輝度値で255は、濃度1.60に相当する。(濃度の算出方法は、Xrite500シリーズで測定し、StatusT、ホワイトバッキング、Visualフィルター、絶対値基準)。本説明では代表値としてブラック(K)の色材で説明を行う。
【0106】
図14は、上記リーダー部28の輝度値と基準紙上に形成されたパッチの濃度値を規格化しプロットしたもので、濃度は1.60を255で規格化している。この輝度濃度変換テーブルを用いて、検出された輝度値を濃度値に変換する。
【0107】
図15は、入力信号に対して図14の輝度濃度変換テーブルを用いてプリンタの階調特性(横軸入力信号値、縦軸濃度値)を表したものである。従来は、この濃度情報に紙濃度を差し引いて相対濃度変換し、所望の相対濃度ターゲットに合うようにLUTを作成してきた。
【0108】
図16は、図15の濃度値を以下のMurray−Daviess式を用いて網点面積%に変換し、入力信号との関係をプロットしたものである。このように、Murray−Daviess式を用いた網点面積%情報に変換することによって、紙種による読取り最大濃度の変化が起きたとしても、最大濃度部分は網点面積%で100%となる。さらに言うと、紙の濃度を0%とするため、下地の色の影響もなく、階調全体で紙種差による濃度違いを吸収することができる。
【0109】
なお、グラフは、網点面積100%を255で規格化している。
【0110】
Murray−Daviess式
網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
【0111】
上記網点濃度は、上記階調パターンの測定濃度であり、最大濃度は、この階調パターンの最大濃度である。
【0112】
図17は、図16の網点面積%で作成したプリンタ階調特性と、ターゲットカーブと、そのターゲットにするためのLUTを示している。本実施例にて、ターゲットカーブは、入力信号(入力網点面積%)が50%のときに、出力信号、即ち、出力網点面積%が70%である、即ち、ドットゲイン特性が20%の階調カーブである。
【0113】
このLUTをエンジン階調補正テーブル格納部1050に保存し、通常画像形成時にエンジン階調補正実行部1042で実行される。
【0114】
図18は、上記図17で作成したLUT(網点面積%ターゲット)と、同じ非基準紙を用いて従来手法の濃度ターゲットからLUTを作成した場合の、濃度階調特性を示す。
【0115】
従来手法では、濃度値に合わせようとするため、矢印(a)、(b)部で階調不連続性を回避できない。
【0116】
一方、網点面積%を軸に所定の網点面積%ターゲットに合わせるようLUTを作成することによって、階調全体で用紙の差を吸収することができる。即ち、紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正することによって紙の影響を受けない自動階調補正制御が行われる。所定の階調特性とは、ドットゲイン特性が所定の範囲内に収められた階調である。ドットゲイン特性とは、入力網点面積%と出力網点面積%との差分である。
【0117】
(実施例1の検証)
以下、実施例1で述べたMurray−Daviess式を使った自動階調補正を検証する。検証の着目点は、階調性と、下地の影響度を階調によって変化させているかという本発明の課題を解決しているかを検証する。
紙1:キヤノンオフィスプランナー68m2(普通紙)
紙2:キヤノンPPC用カラーペーパー68g/m2ピンク(色紙)
パターン印字機種:imagePressC1
色:ブラック
演算方法:実施例1で示した自動階調補正
【0118】
図19に、上記条件で印字した入力信号(入力網点面積%)と濃度の関係を表す。実線は紙1、点線は紙2である。どちらも同じ条件で出力し、紙の厚さ(坪量)も同じであるため、ベタの濃度はほぼ一致している。しかしながら、ハイライト部分は紙の色の影響を受け、色紙は濃度0.2程度、普通紙は0.07程度と絶対濃度差として0.13程度異なる。
【0119】
図20は、図19をMurray−Daviess式を用いて網点面積%に変換したものである。この時点で二つの紙差は無くなった。紙濃度差0.13を吸収することに成功した。実施例1で述べたように、網点%ターゲットは一つであり、同じLUTが作成される。その結果を、入力網点面積%と出力網点面積%との差分であるドットゲイン特性(ドットゲイン%)で表したものが図21になる。どちらの紙でも同じLUTを作成することに成功した。
【0120】
従来例のように、相対濃度ターゲットを使用した自動階調補正時に、色紙を使用した場合、ベタ濃度は規定以下の濃度と判断される。すなわち白紙と色紙の濃度差0.13分をベタ濃度にも適用してしまう。その結果、色紙は規定以下の濃度となってしまうため、図29で示したような非基準紙BのようなLUTを作成されてしまう。終端補正を実施して変極点での段差は避けられない。
【0121】
実施例1の自動階調補正方法であれば、色紙などの極端な紙種差があっても、変極点がない自然な階調性を実現することができた。
【0122】
別の観点では、紙の影響をベタ濃度部で受けていない。一方、ハイライト部では紙種差を演算過程で吸収している。すなわち、紙の濃度の影響度(即ち、紙の反射率の影響度合い)を階調(網点%)によって変更していることになる。ハイライトでは紙の影響度を高く、シャドウ部では低くしていることによって、紙の影響を受けない、自動階調補正方法を確立することができた。
【0123】
実施例2
実施例2ではMurray−Daviess式を改造してより汎用性のある自動階調補正方法を説明する。実施例1の演算方法を変えたものであるため、その他の説明は省略する。
紙1:キヤノンオフィスプランナー68m2(普通紙)
紙2:キヤノンPPC用カラーペーパー(厚口タイプ)125g/m2ブルー(色紙)
パターン印字機種:imagePressC1
色:ブラック
演算方法:実施例1で示した自動階調補正
【0124】
紙1は、実施例1の検証同様の用紙を、紙2は色と紙の厚さ(坪量)を変更した。実施例1で述べた図8の現象が起きているため、紙2のベタ濃度が下がっている(図22参照)。また、紙の濃度差は、0.1程度ある。
【0125】
この条件で実施例1の自動階調補正を行い、出力されたパッチの濃度を解析したところ、図23の関係が得られた。
【0126】
一見、合致しているようであるが、中間調での網点%のズレが発生している。この結果から網点%ターゲットに合わせるようLUTを作成し、ドットゲイン特性を調べたところ、図24のような関係になり、実施例1の検証時に使用した色紙よりも精度が落ちていることが分かった。
【0127】
従来例と比較して、階調性は向上するが、紙種を変えることによってエンジン階調補正結果が異なることを意味する。よって、違う紙(紙1と紙2)で自動階調補正を実施し、どちらもある別の紙で印字した際、中間調で濃度差が発生する。紙の濃度とベタ濃度がどちらも白紙と異なる場合、Murray−Daviess式では精度に限界があることを示している。
【0128】
Murray−Daviess式は、下記の通りであり、DsとDtは従来の相対濃度を採用している。そのため、シャドウ部の濃度差を吸収できずにいた。
【0129】
Murray−Daviess式
網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
【0130】
本実施例では以下のように2段階の演算を行うことによりシャドウ部の濃度差を吸収する。
【0131】
第一演算
第一網点面積%=((1−10(-Dt1))/(1−10(-Ds1))*100
Ds1=(最大濃度−紙濃度)
Dt1=(網点濃度−紙濃度)
第二演算
網点面積%=((1−10(-Dt2))/(1−10(-Ds2))*100
Ds2=(最大濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
Dt2=(網点濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
【0132】
第一演算は、実施例1と同じMurray−Daviess式で、そこで得られた第一網点面積%を利用して、第二演算の紙濃度に対して重み付けをしているのが特徴である。
【0133】
上記第二演算を終了した結果を図25に示す。網点面積%で同じカーブになることが確認できた。この2段階で求められる網点面積%ターゲットを作成すれば、紙の濃度、ベタの濃度が異なっても同じ階調補正テーブルを作成することができ、その結果であるドットゲインカーブも同じ特性を描く。
【0134】
このように、紙濃度の影響度をハイライト部とシャドウ部とで変更し、網点面積%を演算することによって、汎用性の高い自動階調補正が可能になった。
【0135】
実施例3
実施例1では、坪量は同じで紙の濃度差が発生している場合においても精度の高い自動階調補正方法を説明した。実施例2では、実施例1に加え坪量が異なることでベタ濃度も変化したときでも汎用性の高い自動階調補正方法を説明した。
【0136】
演算処理やメモリ容量という観点で考えると、従来の濃度の演算に比べ、実施例1では濃度から網点%に変換する演算を、実施例2では第一網点%演算と第二演算を実施しているため、処理時間や一次保管させるメモリ量が増えている。
【0137】
実施例3では、以下の関係を用いて演算内容を変更することで処理時間やメモリ量を増大させない仕組みを設けた。
【0138】
【表2】
【0139】
※1は、ほぼ基準紙の条件であるため、紙の差による自動階調補正の不具合は発生しないため従来と同じ濃度で演算を行う。※2は、実施例1や2では述べていないが、坪量違いによる濃度差の発生量は、メディア濃度の差に比べると少ないため、実施例1の第一演算のみでよいと判断した。※3は実施例1の内容。※4は実施例2の内容である。
【0140】
実際の切り替える方法であるが、図1のエンジン階調補正テーブル作成部のプログラムに図26の網掛け部を追加することで対応できる。
【0141】
最大トナー量制御を実行したCPU1033は、紙上に自動階調補正用の64パッチを印字するため紙の特性(坪量)を把握し、RAM1050に一次保存する。実施例1と同様に、64パッチの印字、リーダー部での読み取り、輝度→濃度変換を実行する。
【0142】
濃度情報に変換された64個のパッチ情報のうち、信号値0すなわち紙白部の濃度を抽出し、0.1未満かどうかを判断する。0.1未満の場合次に坪量を確認し、90g/m2未満の場合、そのまま濃度の状態でLUTを作成する。90g/m2以上の場合には実施例1の演算である第一網点%に変換し、LUTを作成する。
【0143】
紙濃度が0.1以上であれば紙濃度の影響が大きいため、網点%演算(実施例1及び実施例2の第一演算)を実行する。坪量が90g/m2未満であればそのままLUTを生成し、90g/m2以上であれば実施例2の第二演算を実行してからLUTを生成する。
【0144】
以上説明したフローで、必要度(紙の坪量と紙の濃度)に応じたLUTの演算方法を自動で変更処理することができる。
【0145】
なお、本実施例では紙濃度や紙の坪量を自動検出して演算方法を切り替えたが、ユーザから指定される構成にしても構わない。
【0146】
実施例4
本発明の特徴である網点%演算は、終端補正による濃度段差を抑え、階調性を良好にするために実行される。オリジナルがモニタであるプリンタ出力時には特に有効である。モニタはRGBの発光色で加法混色、プリンタは参照光が必要な物体色の減法混色である。発色のメカニズムが異なるため、一般ユーザーはモニターの濃度と紙で出力される濃度を厳密にあわせる要望はほとんどない。
【0147】
しかしながら、複写を考えるとオリジナルは印刷や印画紙若しくは同じプリンタ出力されたものなど全てが物体色である。そのためオリジナルとの濃度再現性を比較され易く、オリジナルに忠実な再現を求められることが少なくない。
【0148】
そのため、本実施例では複写用のLUT生成方法は、従来の濃度ターゲットに対して階調を合わせ、プリンタ用のLUT生成には網点面積%ターゲットに対して階調を合わせる演算を行う。
【0149】
図27に、実施例4をベースに上記特徴のフローを追加した。濃度変換後のパッチ信号は濃度の状態で従来例のような複写用のLUTを生成する。また同時に紙の濃度や坪量から演算方法を選択され、所定の網点%演算(第一のみか第一と第二演算か)を行い、プリンタ用のLUTとしてテーブル格納部に保存する。
【0150】
実際に使用する際は、CPU1033からプリンタrか複写かの情報をエンジン階調補正実行部1042に渡し、エンジン階調補正テーブル格納部にあるLUTを画像に処理する。
【0151】
なお、本発明でのプリンタ画像は、図1のホストコンピュータ1001から入力されたプリント情報が画像情報生成部1041で画像オブジェクトを生成し、ビットマップ画像展開/転送部1040でビットマップ化され、プログラムROM1034内のエンジン階調補正実行部1042にて階調補正が実行され、エンジン部1036に通知されるものである。
【0152】
一方、複写画像は、図2記載の原稿読み取り部28で原稿を読み取り、プリンタコントローラに送信し、エンジン階調補正実行部1042で複写用の階調補正を施されたあと、再びエンジン部1036に通知され出力される。
【0153】
本実施例は、プリンタと複写とで擬似中間調処理パターンを共通化していることを前提にLUTを2個作る構成を説明したが、複写用とプリンタ用とで擬似中間調処理パターンが違うのであれば、1つの擬似中間調処理パターンに2つのLUTを作成する必要は無い。
【0154】
実施例5
更にユーザビリティ向上策として、図28や図29のようにユーザーに選択を促しても構わない。その場合、濃度重視は従来の濃度でLUT生成し、階調重視であれば本実施例1若しくは実施例2を使用すればよい。
【0155】
以上説明したように、非基準紙での自動階調補正で発生していたシャドウ部の階調不連続性を解決し、非基準紙においてもエンジン階調補正が可能な画像形成装置を実行することができた。
【0156】
上記各実施例では、本発明は、直接転写方式のカラー画像形成装置であるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0157】
本発明は、例えば、中間転写方式のカラー画像形成装置とすることもできる。斯かる画像形成装置は、各画像形成部の像担持体からトナー像を一旦中間転写ベルトのような中間転写体に転写し、その後このトナー像を記録媒体(紙)に一括転写してカラー画像が形成される。
【0158】
斯かる中間転写方式のカラー画像形成装置においても、勿論、カラー画像形成装置に限定されるものではなく白黒画像形成装置においても、上記実施例1、2と同様に、自動階調補正制御を行うことにより、高品質の画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0159】
1(1a、1b、1c、1d) 感光ドラム(像担持体)
2(2a、2b、2c、2d) 一次帯電器(帯電手段)
3(3a、3b、3c、3d) 露光装置(露光手段)
4(4a、4b、4c、4d) 現像装置(現像手段)
5(5a、5b、5c、5d) 転写帯電器(転写手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
所定の階調特性とは、ドットゲイン特性が所定の範囲内に収められた階調であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ドットゲイン特性とは、入力網点面積%と出力網点面積%との差分であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記出力網点面積%は、下記式、
網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
で求められることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記紙濃度は、出力された階調によってその値を変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力網点面積%は、下記式、
網点面積%=((1−10(-Dt2))/(1−10(-Ds2))*100
Ds2=(最大濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
Dt2=(網点濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
第一網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
で求められることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記紙の反射率とは、紙濃度であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、像担持体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像手段により可視化してトナー像となし、前記トナー像を前記紙上に転写して画像を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の反射率に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の坪量に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記階調補正方法とは、濃度ターゲット若しくは網点面積%ターゲットに対して階調補正演算を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
複写画像及びプリンタ画像を紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記複写画像用階調補正は濃度ターゲットに対して階調補正演算を行ない、前記プリンタ画像用階調補正は網点面積%ターゲットに対して階調補正演算を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の反射率の影響度合いを階調によって変更させ、所定の階調特性に補正する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
所定の階調特性とは、ドットゲイン特性が所定の範囲内に収められた階調であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ドットゲイン特性とは、入力網点面積%と出力網点面積%との差分であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記出力網点面積%は、下記式、
網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
で求められることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記紙濃度は、出力された階調によってその値を変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力網点面積%は、下記式、
網点面積%=((1−10(-Dt2))/(1−10(-Ds2))*100
Ds2=(最大濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
Dt2=(網点濃度−紙濃度*(100−第一網点面積%))
第一網点面積%=((1−10(-Dt))/(1−10(-Ds))*100
Ds=(最大濃度−紙濃度)
Dt=(網点濃度−紙濃度)
で求められることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記紙の反射率とは、紙濃度であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、像担持体に静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像手段により可視化してトナー像となし、前記トナー像を前記紙上に転写して画像を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の反射率に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記紙の坪量に応じて階調補正方法を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記階調補正方法とは、濃度ターゲット若しくは網点面積%ターゲットに対して階調補正演算を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
複写画像及びプリンタ画像を紙上に画像を形成することができる画像形成部と、
上記画像形成部から出力された画像を読み取ることができる画像読み取り部と、
前記画像読み取り部の情報を演算して前記画像形成部の階調補正を実行することができる画像形成装置において、
前記複写画像用階調補正は濃度ターゲットに対して階調補正演算を行ない、前記プリンタ画像用階調補正は網点面積%ターゲットに対して階調補正演算を行うことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2012−150487(P2012−150487A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40669(P2012−40669)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2008−220568(P2008−220568)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2008−220568(P2008−220568)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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