説明

画像形成装置

【課題】中間転写体上に発生する巻き癖を抑制するための中間転写体の位置だし制御を実行することによる、画像形成装置がロータリの回転を開始させてから中間転写体を停止させるまでの時間の遅れを改善する。
【解決手段】ロータリを目的の停止位置まで回転させる際に現像器と感光体が当接しない場合、すでに特定の領域に限定して巻き癖が発生するような位置で中間転写体が止まっているので中間転写体の位置だし制御を実行しない。また、上記の画像形成装置においてロータリが両方向に回転可能な場合、ロータリの回転を開始させてから中間転写体を停止させるまでの時間をそれぞれの回転方向で算出し、時間のかからない方向をロータリの回転方向に決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤像が形成される回転可能な像担持体と、ロータリ方式の現像装置と、複数の張架部材に懸回張設されていて前記像担持体に接触して現像剤像の転写を受ける回転可能な可撓性を有する無端状の中間転写ベルトを有する画像形成装置に関する。
【0002】
画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能機などが挙げられる。像担持体は、代表的には、電子写真画像形成プロセスにおける回転可能なドラム型やエンドエスベルト型の電子写真感光体が挙げられる。その他、静電記録画像形成プロセスにおける回転可能な静電記録誘電体、磁気記録画像形成プロセスにおける回転可能な磁気記録磁性体などが挙げられる。
【背景技術】
【0003】
電子写真式カラー画像形成装置を例にして説明する。従来2色以上のカラー画像を形成する電子写真式カラー画像形成装置として、1つの回転可能な電子写真感光体とロータリ方式の現像装置を備えた1ドラム型の装置がある。ロータリ方式の現像装置は、感光体に対する複数の現像器を複数の保持位置に取り外し可能に保持する回転可能な現像器保持部材(以下、ロータリと記す)を有する。各現像器にはそれぞれ異なる色の現像剤が収容されている。
【0004】
ロータリは駆動手段と制御手段とにより割り出し回転駆動されることで、複数の現像器のうちの一つの現像器について感光体に対向する現像位置に順次移動させる。そして、感光体上に現像剤の色と同数回の作像サイクルを繰り返して記録材にカラー画像を形成する方式である。上記方式において、複数の張架部材に懸回張設されている回転可能な可撓性を有する無端状の中間転写ベルトであって、感光体に接触して現像剤像の多重転写を受ける中間転写ベルトを用いた方式も実現されている。
【0005】
現像器が接触現像方式である場合には、ロータリを回転させて各色の現像器の現像剤担持体と感光体の当接離間を繰り返すことによってカラー画像を形成する。その際、ロータリを回転させることによってのみ各色の現像器の現像剤担持体と感光体の当接離間が可能なカラー画像形成装置が存在する。
【0006】
この画像形成装置はロータリを回転させると、各色の現像器の現像剤担持体と感光体の当接時に各色の現像器の現像剤が感光体に付着する。この時、感光体の回転が停止されていると、感光体上に現像剤が残留するため、画像形成時に感光体の十分なクリーニングが必要となり画像形成までに多くの時間を要する。
【0007】
また、各色の現像器の現像剤担持体は感光体の上の同一の箇所で当接する。そのため、前に当接した現像器の現像剤担持体の現像剤が感光体を経由して次に当接した現像器の現像剤担持体に付着して現像剤の混色が発生し、混色した現像器でプリントを行うと画像弊害が発生する。そこで、この画像形成装置はロータリ回転時に感光体を回転駆動させおり、常時感光体と当接している中間転写ベルトも同時に回転駆動させている。
【0008】
この場合、ロータリの回転に伴って現像器の現像剤担持体が感光体に接触して通過した際に感光体には現像剤が付着するけれども、感光体が回転していることでその付着現像剤はクリーニング器で除去される。感光体が回転していることでクリーニング時間の短縮と現像剤の混色防止がなされる。
【0009】
中間転写ベルトは、所定時間同じ位置で固定(回転停止)されていると張架する部材との接触痕(以下巻き癖とする)が形成され、巻き癖が形成された箇所に画像形成を行うと画像弊害が発生する。
【0010】
特許文献1では、中間転写ベルトを少なくとも二つ以上の異なる位置で停止するように制御することで、中間転写ベルト上に発生する巻き癖を抑制する手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−201994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の中間転写ベルト上に発生する巻き癖を抑制する手段は、中間転写ベルトの停止位置を二つ以上の異なる位置で停止するようにすることで巻き癖の強さを分散させ、巻き癖によって画像不良が生じる可能性を軽減できる。
【0013】
しかし、画像形成装置を長時間放置した場合は巻き癖が発生してしまい、巻き癖位置がベルトの画像形成領域内に入ると画像不良が発生するという課題があった。その為、中間転写ベルト上の現像剤像が形成されない領域に中間転写ベルトを張架する部材との接触痕が形成されるように中間転写ベルトを停止させる制御(以下、位置だし制御と記す)手段が考えられた。即ち、中間転写ベルトの現像剤像が転写されない領域に対応するベルト部分が張架部材に対応して中間転写ベルトの停止がなされるようするのである。この位置だし制御によって巻き癖による画像弊害を回避することができる。
【0014】
しかし、この位置だし制御や特許文献1に記載の中間転写ベルト上に発生する巻き癖を抑制する制御は、現像器交換の場合等でロータリを動作させた場合にロータリを停止させてから中間転写ベルトの停止位置を制御する。
【0015】
その為、これらの制御を導入する前のロータリと中間転写ベルトを同時に停止させる制御に比べて、時間を要するという問題がある。
【0016】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、画像形成装置がロータリの回転を開始させてから中間転写ベルトを停止させるまでの時間の遅れを改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、現像剤像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給するための現像剤担持体を有する複数の現像器を複数の保持位置に取り外し可能に保持する回転可能な現像器保持部材であって、前記複数の現像器のうちの一つの現像器について前記現像剤担持体を前記像担持体に対して当接させた現像位置に順次移動させる現像器保持部材と、複数の張架部材に懸回張設されている回転可能な可撓性を有する無端状の中間転写ベルトであって、前記像担持体に接触して現像剤像の転写を受ける中間転写ベルトと、前記像担持体と前記中間転写ベルトを同時に回転駆動させる第一の駆動手段と、前記現像器保持部材を回転駆動させる第二の駆動手段と、前記現像器保持部材の前記複数の保持位置に保持される現像器の有無を検知する有無検知手段と、前記現像器保持部材の停止位置を検知する停止位置検知手段と、前記現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させる時に、前記停止位置検知手段と前記有無検知手段からの入力情報に基づいて前記像担持体に対して前記現像位置において前記現像剤担持体が当接する事態を生じない判断した場合は、前記第一の駆動手段を駆動させないで前記第二の駆動手段を駆動させ、当接する事態を生じると判断した場合は、前記第一の駆動手段と前記第二の駆動手段の両方を駆動させる制御を行い、前記第一の駆動手段を駆動させた場合に、駆動中の前記第二の駆動手段を止めた後に、前記中間転写ベルトの現像剤像が転写されない領域に対応するベルト部分が前記張架部材に対応して前記中間転写ベルトの停止がなされるように前記第一の駆動手段を制御する位置出し制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させる際に現像器と像担持体が当接しない場合、すでに特定の領域(現像剤像が転写されない領域に対応するベルト部分)に限定して巻き癖が発生するような位置で中間転写ベルトが止まっている。したがって、この場合には中間転写ベルトの位置だし制御を実行しない。それによって、画像形成装置が現像器保持部材の回転を開始させてから中間転写ベルトを停止させるまでの時間の遅れを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1における画像形成装置の縦断右側面図
【図2】中間転写ベルトユニットの拡大図
【図3】同ユニットの一部切り欠きの平面図
【図4】フルカラー画像形成動作の説明図
【図5】ハードウェアブロック図
【図6】現像器の着脱操作要領の説明図
【図7】現像器の有無による中間転写ベルト停止位置合わせの実行有無決定の説明図(その1)
【図8】現像器の有無による中間転写ベルト停止位置合わせの実行有無決定の説明図(その2)
【図9】実施例1および実施例2における制御フローチャート
【図10】実施例3における制御フローチャート
【図11】実施例3におけるタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施例1]
《画像形成装置例の全体的な概略構成》
図1は本実施例における画像形成装置Aの縦断右側面図である。以下の説明において、装置Aに関して、前側(正面側)とは、シート状の記録材(転写媒体、記録媒体)Pのカセット(積載手段)12を挿脱する側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは装置Aの後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆方向(後方向)である。左右とは装置Aを正面から見て左又は右である。左右方向とは右から左に向かう方向(左方向)と、その逆方向(右方向)である。上下とは重力方向に関して上または下である。
【0021】
本実施例の装置Aは、電子写真方式(電子写真プロセス)により記録材Pにフルカラー画像を形成することのできるカラーレーザープリンタである。即ち、電子写真カラー画像形成装置である。記録材Pとは、装置Aによって画像を形成されるものであって、例えば、用紙、OHPシート、ラベル等が挙げられる。
【0022】
装置Aは、例えば、ホストコンピュータ、イメージリーダ、ファクシミリ等の外部機器101から制御回路部(制御手段)Bに入力する電気的画像信号に基づいて記録材Pに画像形成を行う。Cは装置Aのパネル部(操作盤)である。このパネル部Cから使用者による諸設定や指示が制御回路部Bに入力される。制御回路部Bは外部機器101やパネル部Cとの間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、装置Aの画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0023】
装置本体A1の内部には、現像剤像が形成される回転可能な像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)1が軸線方向を左右方向(図面に垂直な方向)にして回転可能に配設されている。ドラム1の周囲には、画像形成プロセス手段としての、帯電手段2、画像露光手段3、現像手段4、中間転写手段5、ドラムクリーニング手段6が配設されている。
【0024】
帯電手段2は、ドラム1の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する手段であり、本実施例では帯電ローラを用いている。ドラムクリーニング手段6はドラム1の表面から現像剤を除去する手段であり、本実施例ではドラム1の表面にカウンター当接させた弾性クリーニングブレードである。本実施例においては、ドラム1、帯電ローラ2、ブレード6の3つのプロセス機器がカートリッジ容器7に所定の配置関係をもって一体に組み込まれて装置本体A1に対して着脱自在のドラムユニット(分離型のプロセスカートリッジ)8とされている。
【0025】
ユニット8は、装置本体A1の前面ドアー9をヒンジ軸9aを中心に開くことで開放される装置前面開口部10から装置本体A1内の装着部に対して取り出し可能に装着される。ユニット8は装着部に所定に装着されることで、装置本体A1側の機器と機械的、電気的に結合する。
【0026】
画像露光手段3は、ドラム1の表面に静電潜像を形成する手段であり、本実施例ではレーザスキャナユニットを用いている。このユニット3は、外部機器101から制御回路部Bに入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザ光を出力してドラム1の面を走査露光する。
【0027】
現像手段4は、ドラム1に形成された静電潜像を現像剤像(トナー像)として現像する手段である。本実施例の現像手段4はロータリ式の現像装置であり、それぞれ現像剤の色が異なる複数の現像器41と、その複数の現像器を複数の保持位置42に取り外し可能に保持する回転可能な現像器保持部材としてのロータリ43と、を有する。
【0028】
ロータリ43は装置本体A1の左右のフレーム間に軸線方向を左右方向にして回転可能に軸受け支持させた中央軸を中心にして割り出し回転可能である。複数の現像器41は、本実施例においては、第1から第4の4つの現像器41Y、41M、41C、41Bkである。ロータリ43は中央軸周りに90°の間隔で割り付けられた第1から第4の4つの保持位置としての現像器装着位置42Y、42M、42C、42Bkを有する。
【0029】
ロータリ43は上記4つの現像器41Y、41M、41C、41Bkをそれぞれ装着位置42Y、42M、42C、42Bkにおいて略円柱状に保持可能である。そして、各現像器41は、ロータリ43の回転方向において、互いに90°の間隔で対応する装着位置42に使用者によって取り外し可能に装着される。ロータリ43に対する現像器41の着脱操作については後述する。
【0030】
本実施例において各現像器41は一成分非磁性現像剤を用いた接触現像方式の現像器である。各現像器41は、ドラム1に接触して現像剤を供給するための回転可能な現像剤担持体としての弾性を有する現像ローラ41a、現像ローラ41aに対して現像剤を供給(塗布)する現像剤供給ローラ41b、現像剤を収納している現像剤収納部41cなどを有する。
【0031】
第1の現像器41Yにはイエロー(Y)色の現像剤が収納されている。第2の現像器41Mにはマゼンタ(M)色の現像剤が収納されている。第3の現像器41Cにはシアン(C)色の現像剤が収納されている。第4の現像器41Bkにはブラック(Bk)色の現像剤が収納されている。
【0032】
中間転写手段5は本実施例では中間転写ベルトユニットである。図2はユニット5の拡大図、図3はユニット5の一部切り欠きの平面図である。ユニット5は、中間転写体としての、誘電体製で可撓性を有する無端状(エンドレス)の中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)51を有する。ベルト51は複数の張架部材としての、駆動ローラ52、1次転写ローラ53、第一の従動ローラ(テンションローラ)54、第二の従動ローラ(アイドラローラ)55、の並行4本のローラ間に懸回張設(張架)されている。
【0033】
図3において、W51はベルト51の幅寸法、Waはベルト51に対する最大画像形成幅であり、W51>Waである。Wbはベルト51の幅方向における画像形成領域外部分((W51−Wa)/2)である。
【0034】
ローラ52とローラ55は装置本体A1内の奥側に位置しており、ローラ54はドラム1よりも手前側に位置している。ローラ52はユニット5の左右の側板56L、56R間に軸線方向を左右方向にして左右の軸端部がそれぞれ軸受部57を介して回転可能に保持されている。ローラ55も左右の側板56L、56R間に軸線方向を左右方向にして左右の軸端部がそれぞれ軸受部(不図示)を介して回転可能に保持されている。
【0035】
ローラ54も左右の側板56L、56R間に軸線方向を左右方向にして左右の軸端部がそれぞれ軸受部58を介して回転可能に保持されている。その左右の軸受部58はそれぞれ側板56L、56Rに対して前後方向にスライド移動可能に設けられており、付勢バネ59により前方に移動付勢されている。これによりローラ54が前方向に移動付勢されてベルト51に所定の張力を与えるようになっている。
【0036】
ローラ53はドラム1の下面に対向する位置において左右の側板56L、56R間に軸線方向を左右方向にして左右の軸端部がそれぞれ軸受部60を介して回転可能に保持されている。その左右の軸受部60はそれぞれ側板56L、56Rに対して上下方向にスライド移動可能に設けられており、付勢バネ61により上方に移動付勢されている。これによりローラ53は上方に移動付勢されてドラム1の下面に対してベルト51を挟んで圧接され、ベルト51の回転に従動して回転するようになっている。ドラム1とベルト51の接触部が1次転写ニップ部T1である。
【0037】
ローラ52は右側を駆動側としてあり、右側軸受部57の駆動ギア62を介して装置本体側の第一の駆動手段M1から所定の回転駆動力が伝達されるようになっている。ローラ53の左右の軸受部60の少なくとも片方は導電性の部材で構成され、その軸受部60を介して装置本体側の電源部(不図示)からローラ53に対して所定の1次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0038】
ローラ52のベルト懸回部には、二次転写ローラ17が対向配設されている。ローラ17は、制御回路部Bで制御される揺動機構17aにより、ベルト51を挟んでローラ52に対して当接した作用位置(図2の実線示の状態)と、ベルト51の表面から離間した非作用位置(図1の状態、図2の2点鎖線示の状態)と、に移動される。ローラ17は、常時は非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。ローラ17が作用位置に移動した状態において、ローラ17とベルト51との接触部が二次転写ニップ部T2である。
【0039】
また、ローラ51のベルト懸回部において、ローラ17よりもベルト51の移動方向下流側には、ベルトクリーニング用の帯電ブラシ62と帯電ローラ63が配設されている。ブラシ62、ローラ63は制御回路部Bで制御される揺動機構64によりベルト51の表面に接触した作用位置と、ベルト51の表面から離間した非作用位置とを移動される。ブラシ62、ローラ63は常時は非作用位置に保持されている。そして、ブラシ62、ローラ63は所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。
【0040】
ベルト51の右側の画像形成領域外部分Wbの外面の一部分には光反射体のマーカー65が貼着されている。また、ユニット5の右側の側板56Rにはマーカー65を検出するための光センサ(フォトセンサ)66が配置されている。制御回路部Bは光センサ66がマーカー65からの反射光を検知することによりベルト51の移動方向の位置や画像の書き出し位置を検知し、この検知信号に同期してユニット3によるドラム1への画像データ書き込みタイミングなどを制御している。
【0041】
ユニット8において、ドラム1はカートリッジ容器7の左右の側板71L、71R間に軸線方向を左右方向にして左右の軸端部がそれぞれ軸受部72を介して回転可能に保持されている。
【0042】
ローラ2も左右の側板71L、71R間に軸線方向を左右方向にして左右の軸端部がそれぞれ軸受部2aを介して回転可能に保持されている。その左右の軸受部2aはそれぞれ側板71L、71Rに対してドラム1に近づく方向と離れる方向とにスライド移動可能に設けられており、付勢バネ2bによりドラム1に近づく方向に移動付勢されている。これによりローラ2はドラム1に圧接された状態に保持され、ドラム1の回転に従動して回転するようになっている。
【0043】
ローラ2の左右の軸受部2aの少なくとも片方は導電性の部材で構成され、その軸受部2aを介して装置本体側の電源部(不図示)からローラ2に対して所定の帯電バイアスが印加されるようになっている。ブレード6はドラム1の表面にカウンター当接させてカートリッジ容器7に固定して配設されている。カートリッジ容器7はブレード6によりドラム1の表面から掻き落とされた現像剤を収容する廃現像剤収容室7cを内部に有する。
【0044】
ユニット8は装置本体A1内の装着部に所定に装着された状態において、ドラム1の右側軸端部のカップリング73と装置本体側のカップリング(不図示)とが機械的に結合する。これによりドラム1に対して装置本体側の第一の駆動手段M1から所定の回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0045】
第一の駆動手段M1は制御回路部Bにより制御され、ユニット8のドラム1とユニット5の駆動ローラ52とを同時に所定の速度で回転駆動する。即ち、像担持体であるドラム1と中間転写体であるベルト51が第一の駆動手段M1により同時に駆動される。
【0046】
また、ユニット8は装置本体A1内の装着部に所定に装着された状態において、ローラ2の導電性の軸受部2aと装置本体側の電気接点とが電気的に結合する。これによりローラ2に対して装置本体側の電源部(不図示)からローラ2に対して所定の帯電バイアスが印加されるようになっている。
【0047】
ユニット5の下方には、給送ユニット11が配設されている。ユニット11は、記録材Pを収容したカセット12、給出ローラ(ピックアップローラ)13、分離パッド14等を有する。カセット12は、装置本体A1の正面側から出し入れ(挿脱)自由である(フロントローデング)。12aはカセット12の前面に配設した取手部である。
【0048】
装置本体A1内の後側には下から上に向う記録材搬送路21が配設されている。搬送路21の下から上に沿って、レジストセンサ15、レジストローラ対16、二次転写ローラ17、定着器18、排出ローラ対19が配設されている。装置本体A1の上面には排出トレイ20が配設されている。
【0049】
また、装置本体A1の上面には、ヒンジ軸22aを中心にして開閉可能な上面カバー22が配設されている。カバー22は装置本体A1に閉じられている状態(図1)において排出トレイ20と一連に繋がって排出トレイ20の延長トレイとして機能する。画像形成済みの記録材Pは、排出ローラ対19により排出トレイ20及びカバー22の上に排出される。
【0050】
装置本体A1の上面には、ロータリ43に対して現像器41の着脱を行うための上面開口部23が設けられている。使用者が、現像器41をロータリ43の現像器装着位置42に装着する、或いは、現像器装着位置42から取り外す際に、使用者は、現像器41を把持した状態で、開口部23を通過させる。即ち、開口部23は、現像器41をロータリ43に着脱するためのものである。
【0051】
開口部23は、排出トレイ20よりも手前側に設けられている。カバー22はヒンジ軸22aを中心に開口部23を閉鎖する閉じ状態と開放する開状態とをとり得る。即ち、カバー22は、開口部23を開閉可能である。カバー23は常時は閉じられており、現像器41を着脱するときに使用者によって開かれる。カバー23を開くと装置本体A1の上面開口部23が開放される。
【0052】
カバー23をあけると(図6)、開口部23から装置本体A1内の現像装置4へ通じる現像器着脱通路部24が視認できる。通路部24は、開口部23と現像装置4と間に配設された凹弧面状にカーブしているガイド板25を有する。通路部24はドラム1よりも上側に配置されている。
【0053】
ロータリ43に装着されている現像器41が通路部24に対応している回転角度位置が現像器取り出し位置(ロータリ43に対する所定の現像器41を着脱する着脱位置)Xである。図1はブラック用である第4の現像器41Bkが位置Xにある状態を示している。この位置Xは、図4のように、現像ローラ41aがドラム1と所定に接触した状態である現像器41の現像位置Yよりも一定角度位相をずらした位置である。
【0054】
ロータリ43は制御回路部Bで制御される第二の駆動手段M2により本実施例においては図4の矢印の時計方向(第一の回転方向)Dに回転駆動される。これにより、保持している複数の現像器にいて現像ローラ41aをドラム1に対して当接させた現像位置Yに順次移動させることができる。
【0055】
《フルカラー画像形成動作》
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。ここでは、色画像の形成順序をY色→M色→C色→Bk色の順としているけれども色画像の形成順序はこれに限られるものではない。
【0056】
1)図1は装置Aの待機状態時を示している。ドラム1およびベルト51は回転が停止されている。現像装置4のロータリ43はブラック用である第4の現像器41Bkが現像器取り出し位置Xに位置している状態で停止されている。
【0057】
2)制御回路部Bは画像形成スタート信号に基づいて、第一の駆動手段M1を駆動する。これにより、ドラム1が図4の矢印の反時計方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。またこのドラム1の回転と同時にユニット5の駆動ローラ52が駆動されてベルト51が矢印の時計方向にドラム1の速度とほぼ同じ速度で回転駆動される。
【0058】
3)また、制御回路部Bは第二の駆動手段M2を駆動して、イエロー用の第1の現像器41Yが図4のように現像位置Yに位置するようにロータリ43を矢印の時計方向Dに回転駆動して停止させる。現像位置Yは現像ローラ41aがドラム1に対して所定に対向して当接した位置である。
【0059】
ここで、装着されている現像器41のうちの所要の現像器を取り出し位置Xあるいは現像位置Yに位置付けるためのロータリ43の割り出し回転制御(回転角度制御)は次のようにしてなされる。即ち、装置本体A1にロータリ位置検知センサ(停止位置検知手段)30が配設されている。そのセンサ30により回転するロータリ43の回転位置(停止位置)が検知される。その検知信号が制御回路部Bに入力する。そして、制御回路部Bがその入力する検知信号に基づいて第二の駆動手段M2を駆動制御(駆動、駆動停止)することで行われる。
【0060】
第1の現像器41Yが現像位置Yに位置した状態において、この現像器41Yの現像ローラ41aがドラム1の表面に所定に接触した状態となる。現像位置Yに位置した現像器41Yの被駆動部と被給電部に対して装置本体A1側の駆動部と給電部が結合して現像器41Yの現像ローラ41aと現像剤供給ローラ41bの回転駆動がなされる。現像ローラ41aはドラム1との対向部においてドラム1の回転方向に順方向に回転される。また現像ローラ41aに対する所定の現像バイアスの印加がなされる。なお、上記の被駆動部と被給電部、駆動部と給電部は図には省略した。
【0061】
二次転写ローラ17は非作用位置に保持されている。ベルトクリーニング用の帯電ブラシ62と帯電ローラ63も非作用位置に保持されている。
【0062】
帯電ローラ2に対して所定の帯電バイアスが印加される。これにより、回転するドラム1の表面が所定の極性、電位に均一に帯電される。これとともに、ユニット3から、フルカラー画像のY色成分画像信号に対応して変調されたレーザ光Lが出力されてドラム面が走査露光される。これにより、ドラム1の面にY色成分画像に対応した静電潜像が形成される。
【0063】
その静電潜像が現像位置Yに位置付けられている第1の現像器41YによりY色の現像剤像として現像される。即ち、ドラム1に形成された静電潜像が現像ローラ41aによって接触現像される。本実施例においては、ドラム1の帯電極性と同極性のネガ現像剤を用いて静電潜像を反転現像している。現像ローラ41aにはドラム1上の静電潜像に現像剤が付着するようにドラム1上の帯電極性と同極性でほぼ同電位の現像バイアスが印加される。
【0064】
そのY色の現像剤像が、一次転写ニップ部T1においてベルト51の面に一次転写される。一次転写ローラ53には所定の制御タイミングで現像剤の帯電極性とは逆極性で所定電位の一次転写バイアスが印加される。一次転写後のドラム1の表面はクリーニングブレード6によりクリーニングされる。
【0065】
4)ドラム1からベルト51に対するY色の現像剤像の一次転写が終了すると、ロータリ43が時計方向Dに90°間欠回転される。これにより、今度はマゼンタ用である現像器41Mがドラム1に対向した現像位置Yに移動される。そして、ドラム1に対してフルカラー画像のM色成分画像に対応したM色の現像剤像を形成するための帯電、露光、現像の工程が実行される。形成されたY色の現像剤像がニップ部T1においてベルト51上に既に転写されているY色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0066】
5)M色の現像剤像のベルト51に対する一次転写が終了すると、ロータリ43が時計方向に90°間欠回転される。これにより、今度はシアン用である現像器41Cが現像位置Yに移動される。そして、ドラム1に対してフルカラー画像のC色成分画像に対応したC色の現像剤像を形成するための帯電、露光、現像の工程が実行される。形成されたC色の現像剤像がニップ部T1において、ベルト51上に既に転写されているY色+M色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0067】
6)C色の現像剤像のベルト51に対する一次転写が終了すると、ロータリ43が時計方向に90°間欠回転される。これにより、今度はブラック用である現像器41Bkが現像位置Yに移動される。そして、ドラム1に対してフルカラー画像のBk色成分画像に対応したBk色の現像剤を形成するための帯電、露光、現像の工程が実行される。形成されたBk色の現像剤像がニップ部T1において、ベルト51上に既に転写されているY色+M色+C色の現像剤像に重畳されて一次転写される。
【0068】
7)このようにして、ベルト19上にはY色+M色+C色+Bk色の4色フルカラーの未定着現像剤像が合成形成される。即ち、ロータリ43を割り出し回転させて、複数個の現像器41の内、所定の一つの現像器を現像位置Yに移動させる。そして、現像位置Yに位置した現像器41によって、ドラム1に形成された潜像を現像剤像として現像する。この動作を複数の現像器41について順次に実行して記録材Pに対するカラー画像の形成を実行するのである。
【0069】
8)ベルト51上に形成された4色フルカラーの未定着現像剤像の画像先端部が、ベルト51の移動により二次転写ローラ17の位置に到達する前に、このローラ17がベルト51に接触した作用位置に移動する。また、ベルトクリーニング用の帯電ブラシ62と帯電ローラ63も作用位置に移動する。
【0070】
9)一方、所定の制御タイミングで給出ローラ13が駆動される。これにより、ローラ13と分離パッド14との協働で、カセット12内に積載収納されている記録材Pが一枚分離されて給送される。記録材Pは、レジストセンサ15により先端通過が検知される。制御回路部Bはセンサ15による記録材先端検知信号によりレジストローラ対16の駆動を一時停止状態にしてそのローラ対16のニップ部で記録材先端部を受け止めさせる。これにより記録材Pの斜行矯正をすると共に、所定の制御タイミングでローラ対16を駆動させることで記録材Pを二次転写ニップ部T2に所定の制御タイミングで導入する。
【0071】
ローラ17には現像剤の帯電極性とは逆極性の二次転写バイアスが印加される。これにより、記録材Pがニップ部T2において挟持搬送されていく過程で、ベルト51上の4色重畳の現像剤像が記録材Pの面に順次に一括二次転写される。
【0072】
10)記録材Pは、ベルト51の面から分離されて定着器18へ導入され、定着ニップ部で加熱、加圧される。これにより、各色の現像剤像が記録材Pに固着画像として定着(溶融混色)される。そして、記録材Pは定着器18を通過して、フルカラー画像形成物として排出ローラ対19により排出トレイ20及びカバー22の上に排出される。
【0073】
11)記録材Pの分離後にベルト51の表面に残留した転写残り現像剤は、ベルト51に接触しているクリーニング用の帯電ブラシ22と帯電ローラ23とにより転写時と逆極性の電荷が与えられる。逆極性の電荷を付与された残留トナーは、引き続くベルト51の移動により一次転写ニップ部T1に至って回転しているドラム1に静電的に付着してドラムクリーニングブレード6により回収される。
【0074】
12)制御回路部Bは、設定された所定の1枚或いは連続複数枚のカラー画像形成ジョブが終了したら、装置Aを待機状態にして、次の画像形成スタート信号の入力を待つ。即ち、ドラム1、スキャナユニット3、ベルト51等の駆動を停止する。また、二次転写ローラ17とクリーニング用の帯電ブラシ22と帯電ローラ23を非作用位置に移動する。また、ロータリ43を45°逆回転(戻し回転)させて、ブラック用である第4の現像器41Bkを現像位置Yから通路部24に対応した現像器取り出し位置X(図1)に戻して停止させる。
【0075】
モノクロ画像形成モードの場合には、ブラック用の第4の現像器41Bkによる画像形成だけが行われる。制御回路部Bは設定された所定の1枚或いは連続複数枚のモノクロ画像形成ジョブが終了したら、装置Aを図1の待機状態に戻す。そして、制御回路部Bは、次の画像形成スタート信号の入力を待つ。また、2色以上の多色の画像形成モードの場合には、必要とする色の現像器による画像形成制御が行われる。
【0076】
《制御回路部》
図5は装置Aのハードウェアブロック図を示している。制御回路部Bは大別してビデオコントローラ102とプリンタエンジン103を有する。
【0077】
1)ビデオコントローラ102
まずビデオコントローラ102の説明を行なう。104は、ビデオコントローラ全体の制御を司るCPUである。105は、CPU104が実行する各種制御コードを格納する不揮発性記憶手段である。ROM、EEPROM、ハードディスクに相当する。106は、CPU104の主メモリ、ワークエリア等として機能する一時記憶用RAMである。
【0078】
107は、ホストコンピュータ等の外部機器101との印刷データ、制御データの入出力部であるホストインターフェイス部である。ホストインターフェイス部107により受信した印字データは圧縮データとしてRAM106に格納される。108は圧縮データを伸張するためのデータ伸張部である。RAM106に格納された任意の圧縮データを、ライン単位に画像データに伸張する。また、伸張された画像データはRAM106に格納される。
【0079】
109は、DMA制御部であり、CPU104からの指示によりRAM106内の画像データを、エンジンインターフェイス部111に転送する。あるいはRAM106の任意の圧縮データを、データ伸張部108に転送する。あるいはデータ伸張部108から出力される画像データをエンジンインターフェイス部111に転送する。
【0080】
110は、操作者からの諸設定、指示をプリンタ本体に設けられたパネル部Cから受け取るパネルインターフェイス部である。
【0081】
111は、プリンタエンジン103との信号の入出力部であるエンジンインターフェイス部であり、不図示の出力バッファレジスタからデータ信号送出を行うとともにプリンタエンジンとの通信制御を行なう。
【0082】
112は、アドレスバス及びデータバスを持つシステムバスである。上述の各構成要素は、システムバス112に接続され、互いにアクセス可能となっている。
【0083】
2)プリンタエンジン103
次にプリンタエンジン103の説明を行なう。プリンタエンジン103は大きく分けて、エンジン制御部とエンジン機構部から構成される。エンジン機構部はエンジン制御部からの各種指示により動作する部分である。まず、このエンジン機構部の詳細を説明し、その後にエンジン制御部に詳しく説明する。
【0084】
レーザ/スキャナ系131は、レーザ発光素子、レーザドライバ回路、スキャナモータ、回転多面鏡、スキャナドライバ等を含む。ビデオコントローラから送られてくる画像データに従いドラム1をレーザ光にて露光走査することによりドラム上に潜像を形成する部位である。
【0085】
作像系132は、本機の中枢をなす部分であり、ドラム上に形成された潜像に基づくトナー画像を記録媒体上に形成させる部位である。ドラムユニット8、中間転写ベルト51、定着器18等のプロセス要素、および、作像を行なう上での各種バイアス(高電圧)を生成する高圧電源回路で構成される。ドラムユニット8には、不揮発性のメモリタグが備えられており、CPU121或いはASIC122は、当該メモリタグに各種情報の読み書きを行なう。
【0086】
給紙、搬送系133は、記録媒体の給紙、搬送を司る部分であり、各種搬送系モータ、給排紙トレイ、各種搬送ローラ等で構成される。
【0087】
センサ系134は、レーザ/スキャナ系、作像系、給紙、搬送系を、後述するCPU121、ASIC122が制御する上で、必要な情報を収集する為のセンサ群である。このセンサ群には、定着器18の温度センサ、トナー残量検知センサ、画像の濃度を検知する濃度センサ、用紙サイズセンサ、紙先端検知センサ、紙搬送検知センサなど、少なくとも既に周知の各種センサが含まれる。
【0088】
これら各種センサで検知された情報はCPU121により取得され、プリントシーケンス制御に反映される。尚、図中のセンサ系について、レーザ/スキャナ系131、作像系132、給紙、搬送系133と分けて記載したが、何れかの機構に含めるように考えても良い。
【0089】
次にエンジン制御部の説明を行なう。121はCPUであり、RAM123を主メモリ、ワークエリアとして利用し、不揮発性記憶部124に格納される各種制御プログラムに従い、上に説明したエンジン機構部を制御する。
【0090】
より具体的に、CPU121は、ビデオコントローラ102からエンジンインターフェイス111、エンジンインターフェイス125を介して入力されたプリント制御コマンドおよび画像データに基づき、レーザ/スキャナ系131を駆動する。また、CPU121は、作像系132、給紙、搬送系133を制御することで、各種プリントシーケンスを制御する。また、CPU121はセンサ系を起動することで、作像系、給紙、搬送系を制御する上で、必要な情報を取得する。
【0091】
一方、ASIC122は、CPU121の指示のもと、上に述べた、各種プリントシーケンスを実行する上での各モータの制御、現像バイアス等の高圧電源制御を行なう。
【0092】
なお、CPU121の機能の一部或いは全てをASIC122に行わせても良く、また、逆にASIC122の機能の一部或いは全てをCPU121に代わりに行なわせても良い。また、CPU121やASIC122の機能の一部を別途の専用ハードウェアを設け、その専用ハードウェアに行なわせるようにしても良い。
【0093】
《現像器交換方式》
現像装置4のロータリ43に装着されている各現像器41Y、41M、41C、41Bkは画像形成に使用されるにつれてそれぞれ現像剤収容部41cに収容されている現像剤が消費される。そこで、例えば、個々の現像器41内の現像剤の残量を検知する検知手段(不図示)を現像器41に設ける。そして、制御回路部Bにおいて、前記検知手段によって検知した残量値を、予め設定した現像器寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。
【0094】
そして、前記残量値が閾値よりも少ない残量値まで現像剤が減少した現像器41について、パネル部Cの表示部(不図示)にその現像器41についての寿命予告或いは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用の現像器41の準備を促す、或いは、現像器41の交換を促して、使用者の利便性を向上している。
【0095】
前述したように、本実施例の装置Aにおいては、装置本体A1の上面に、装置本体A1内へ現像装置41を挿入する、及び、装置本体A1内から現像器41を取り出すために、現像器41を通過させる上面開口部23を設けている。開口部23は、現像器取り出し位置Xに位置させた現像器41について、使用者が着脱操作可能な開口部である。現像器取り出し位置Xは、現像器41をロータリ43の現像器保持位置42に装着する、或いは、現像器41を現像器保持位置42から取り出す位置である。
【0096】
現像器取り出し位置Xは、装置Aの上方から現像器41を取り出すことが可能な位置である。図1では、ブラック用である第4の現像器41Bkが取り出し可能な位置Xにあることを示している。装置Aは、ロータリ43を回転させて現像器取り出し位置Xに位置する現像器を変えることで、他の現像器も取り出しおよび装着が可能である。
【0097】
開口部23を閉じる閉鎖位置と、開口部23を開放する開放位置との間を移動可能な開閉部材としてのカバー22(開口部23を覆う開閉可能なカバー)を設けている。カバー22は、カバー22の後側のヒンジ軸22aを中心に装置本体A1に対して回動可能である。そして、カバー22を装置本体A1に閉じた状態にする(図1、図2)。カバー22の閉じ動作により開口部23が閉鎖される。
【0098】
また、カバー22はヒンジ軸22aを中心に装置本体A1の後側に回動する。そして、カバー22は、使用者が、図1の閉じた状態から図6の開いた状態にすることができる。これにより、開口部23が大きく開放される。すると、使用者が、開口部23から装置本体A1の内側に設けられた通路部24を視認することができる。通路部24は、現像器41を着脱する際に現像器41が通過する通路である。
【0099】
即ち、現像器41を着脱する際には、使用者がカバー22を開くことで、使用者がロータリ43に装着されている現像器41へアクセス可能となる。本実施例においては、一端が現像器取り出し位置Xに至る通路部24の他端を開口部23と向かい合わせている。これによって、使用者がロータリ43に装着されている現像器41に容易に接触することができる。したがって、本実施例によれば、現像器41の着脱操作性を向上させることができた。
【0100】
使用者は開口部23から通路部24内に手を差し入れて位置Xに位置している現像器41Bkを掴み、ロータリ43の現像器保持位置42Bkから手前側に引き出す。更に、現像器41Bをガイド板25に沿って通路部24内を上方に移動させ、開口部23から装置本体A1の外に取り出す。また、現像器41Bkのロータリ43の現像器装着位置42Bkに対する装着は上記の取り出しとは逆に要領で行うことが出来る。
【0101】
前述したように、本実施例においては、装置Aの待機状態時において、ロータリ43は、ブラック用である第4の現像器41Bkが通路部24に向い合う現像器取り出し位置Xで回転を停止した状態となる。カバー22を開くことで、使用者がその現像器41Bkにアクセス可能となる。現像器41Bkは他の色の画像を形成する現像器41と比較して、現像剤の消費量が多い。
【0102】
即ち、現像器41Bkは、他の現像器41C、16M、16Yと比較して交換頻度が高い。従って、本実施例によれば、現像器41Bkを交換する際には、使用者がカバー22を開くことで、現像器41Bkにすぐにアクセス可能である。したがって、ユーザービリティを向上させている。
【0103】
以上は最も交換頻度が高い現像器41Bkの交換について説明した。個々の現像器41に現像剤の残量を検知する検知手段(不図示)が設けられている場合には、制御回路部Bの制御によって、現像剤が減少した現像器41を通路部24に対応する現像器取り出し位置Xに移動させた状態でロータリ43を停止させることもできる。また、制御回路部Bの制御によって、パネル部Cの表示部に寿命予告或いは寿命警告を表示させることができる。これにより、使用者はカバー22を開くことで、交換すべき現像器41にすぐにアクセスすることができる。
【0104】
また、パネル部Cは取り出すべき現像器41を指定するタッチボタン等の指定手段を有する。使用者はそのとき現像器取り出し位置Xに位置している現像器とは異なる現像器を取り出す場合には上記の指定手段によりその現像器を指定する。制御回路部Bはその指定された現像器が位置Xに位置付けされて停止するように第二の駆動手段M2を制御する。即ち、ロータリ43の回転と停止の制御をする。これにより、使用者は指定した現像器の取り出しをすることができる。
【0105】
また、制御回路部Bは、ロータリ43の4つの現像器装着位置42の全て或いはどれかに対応の現像器が装着されていない場合でも上記と同様の制御をする。即ち、上記指定手段により指定された現像器に対応する現像器装着位置42が位置Xに位置付けされて停止するように第二の駆動手段M2を制御して、ロータリ43の回転と停止の制御をする。これにより、使用者は指定した現像器装着位置42に現像器を装着することができる。
【0106】
《現像器の有無による中間転写ベルト停止位置合わせの実行有無決定》
次に本発明の特徴である、現像器の有無による中間転写ベルト停止位置合わせの実行有無決定について述べる。
【0107】
図7は、図1の装置Aにおいて、現像装置4のロータリ43に第1の現像器41Yのみが装着され、第2の現像器41M、第3の現像器41C、第4の現像器41Bkは装着されていない状況を示した図である。さらに、第4の現像器41Bkの現像器装着位置42Bkが現像器取り出し位置Xにある場合のロータリポジションを示している。
【0108】
図8は第1の現像器41Yが現像位置Yに位置していて現像ローラ41aがドラム1に当接している時のロータリポジションを示している。
【0109】
上記の図7と図8、および図9の制御フローチャートを用いて、現像器の有無による中間転写ベルト停止位置合わせの実行有無決定について説明する。ここでは、図7のようにロータリ43に第1の現像器41Yのみが装着されていて第4の現像器41Bkの現像器装着位置42Bkが現像器取り出し位置Xにある場合に、第3の現像器41Cの現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに移動する例を示す。
【0110】
1)現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに移動するための指示は前記のように使用者がパネル部Cの指定手段を用いて行う。その指示が制御回路部Bに入力する。
【0111】
制御回路部Bは、まず、ロータリ43の各現像器装着位置42Y、42M、42C、42Bkにおける各現像器41の有無を検知する。この検知は各現像器装着位置42に配設されている第1乃至第4の現像器有無検知センサ31Y、31M、31C、31Bkによりなされる。各センサ31は現像器装着位置42に現像器41が装着されているとオン信号を制御回路部Bに入力し、装着されていなければオフ信号を制御回路部Bに入力する。これにより、制御回路部Bは各現像器装着位置42における現像器41の有無を検知する。
【0112】
図7の例の場合には、第1の現像器41Yのみがロータリ43の現像器装着位置42Yに装着されており、現像器装着位置42M、42C、42Bkには現像器が装着されていないことが判断できる(ステップ301)。
【0113】
2)制御回路部Bは、次に、指定されている第3の現像器41Cの現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに移動させるにあたり、ロータリ43の回転途中で他の現像器の現像ローラ41aとドラム1が当接するかどうかを判断する。
【0114】
本実施例においては、制御回路部Bは、1)においてすでに検知している現像器有無状態と、ロータリ回転方向がD方向であること、センサ30によるロータリ43の現在の回転位置(停止位置)から、次のように判断できる。即ち、ロータリ43が現在の停止位置から目的の停止位置(位置X)に到達するまでの回転途中で、第1の現像器41Yの現像ローラ41aとドラム1が図7のように当接することが判断できる(302)。
【0115】
3)そこで、制御回路部Bは、2)の判断結果から、現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに移動させるにあたり、第二の駆動手段M2を起動させとともに、第一の駆動手段M1も起動させる。即ち、ロータリ43をD方向に回転させると共に、ドラム1およびドラム1に常時当接しているベルト51を同時に回転させる(303)。
【0116】
4)制御回路部Bは、その後、現像器装着位置42Cが現像器取り出し位置Xに到達完了した時点で、第二の駆動手段M2によるロータリ43の回転を停止させる(304、305)。
【0117】
5)制御回路部Bは、ロータリ43を目的の停止位置(現像器装着位置42Cが現像器取り出し位置Xに対応している位置)に停止させた後も、第一の駆動手段M1によるドラム1およびベルト51の回転動作を継続する。CPU121は、光センサ66で基準マーク65を監視する処理を開始し(306)、基準マーク65を検知できるまで待つ(307)。CPU121は、基準マーク65を検知すると、ベルト51の巻き癖を回避するために決められた所定のタイミングに到達した(308)時点(308)で第一の駆動手段M1によるドラム1およびベルト51の回転を停止する(309)。
【0118】
以上の動作により、現像器の有無状態および現像器41の現像ローラ41aがドラム1と当接するか否かを判断することにより、その時点の状態に最適な動作を行うことが可能となる。具体的には、ベルト51の位置だし制御が必要な場合には確実に本制御を実施することが可能となる。
【0119】
図9のステップ309の状態において、使用者は、上面カバー22をあけて、ロータリ43の、現像器取り出し位置Xに位置している現像器を複数の保持位置42に対応する現像器41を装着し、再び上面カバー22を閉じる。あるいは、使用者が再び現像器取り出し位置Xに位置する現像器を変えることもある。
【0120】
上面カバー22をあけている状態においてはドアスイッチ(不図示)がOFFであり、第一の駆動手段M1および第二の駆動手段M2の駆動によるドラム1、ベルト51、ロータリ43の回転はできない。即ち、上面カバー22をあけている状態においては図9のような動作フローの実行は出来ない。
【0121】
[実施例2]
実施例1では、所望の現像器41を現像器取り出し位置Xまで動作させる場合に、現像器の有無により、ロータリ43と、ドラム1およびベルト51を動作させる例を示した。
【0122】
本実施例2では、前記実施例1に示された装置において、所望の現像器41を現像器取り出し位置Xまで動作させる場合に、現像器41の有無によりロータリ43のみを動作させる例を示す。
【0123】
ロータリ43に全ての現像器41Y、41M、41C、41Bkが装着されておらず第4の現像器41Bkの現像器装着位置42Bkが現像器取り出し位置Xにある場合に、現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに持っていく場合の例を示す。
【0124】
図9のフローチャートを参照して、制御回路部Bはロータリ43の各現像器装着位置42Y、42M、42C、42Bkにおける各現像器41の有無をセンサ31により検知する。本例の場合は全てのセンサ31の信号がオフであるから全ての現像器がロータリ4に装着されていないことが判断できる(301)。
【0125】
次に、現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置X(目的の位置)に移動させるにあたり現像器の現像ローラ41aとドラム1が当接するかどうかを判断する。本実施例においては、すでに検知している現像器有無状態から、全ての現像器の現像ローラ41aとドラム1が当接しないことが判断できる(302)。判断結果から、第二の駆動手段M2を起動させてロータリ43のみを回転させる(310)。その後、現像器装着位置42Cが現像器取り出し位置Xに到達完了した時点(311)で、第二の駆動手段M2によるロータリ43の回転を停止させる(312)。
【0126】
この時、特定の領域に限定して巻き癖が発生するような位置でベルト51は止まっているので、制御回路部Bは第二の駆動手段M1を起動させてのベルト位置だし制御を行わない。即ち、ロータリ43を目的の停止位置Xまで回転させる際に現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接しない場合、すでに特定の領域に限定して巻き癖が発生するような位置でベルト51が止まっているのでベルト51の位置だし制御を実行しない。
【0127】
以上の動作により、現像器41の有無状態および現像器がドラム1と当接するか否かを判断することにより、ロータリ43のみを動作させればよい場合を見つけることができる。これにより、装置Aがロータリ43の回転を開始させてからベルト51を停止させるまでの時間の遅れを改善することが可能となる。
【0128】
上記の実施例1と2の制御をまとめると次のとおりである。制御回路部Bは、ロータリ43を目的の停止位置まで回転させる時に、停止位置検知センサ30と現像器有無検知センサ31からの入力情報に基づいてドラム1に対して現像位置Yにおいて現像ローラ41aが当接する事態を生じるかどうかを判断する。当接する事態を生じない判断した場合は、第一の駆動手段M1を駆動させないで第二の駆動手段M2を駆動させる。即ち、ドラム1及びベルト51を回転駆動させることなくロータリ43を回転させることで、ロータリ43を目的の停止位置まで回転させて停止させる。
【0129】
また、制御回路部Bは、当接する事態を生じると判断した場合は、第一の駆動手段M1と第二の駆動手段M2の両方を駆動させる制御を行う。即ち、ドラム1及びベルト51を回転駆動させた状態にして、ロータリ43を目的の停止位置まで回転させて停止させる。第一の駆動手段M1を駆動させた場合に、駆動中の第二の駆動手段M2を止めた後に、ベルト51の現像剤像が転写されない領域に対応するベルト部分が張架部材に対応してベルト51の停止がなされるように第一の駆動手段M1を制御する位置出し制御を行う。
【0130】
以上の動作により、現像器41の有無状態および現像器がドラム1と当接するか否かを判断することにより、ロータリ43のみを動作させればよい場合を見つけることができる。これにより、装置Aがロータリ43の回転を開始させてからベルト51を停止させるまでの時間の遅れを改善することが可能となる。
【0131】
図1の画像形成装置においては、ベルト51の張架部材は52、54、55の3本ある。ベルト51の長期停止状態時においてベルト51に対して接触痕(巻き癖)が生じる箇所は上記3本のローラのベルト懸回部に対応する3箇所のベルト部分である。実施例1、2においてはその3箇所のベルト部分がベルト上に現像剤像が形成されない領域である。実施例1、2において、位置出し制御は、その3箇所部分のベルト上に現像剤像が形成されない領域をそれぞれ対応する張架部材52、53、54、55の位置に対応位置させて停止させる制御である。
【0132】
ドラム1からベルト51に現像剤像が転写形成される部分は上記3箇所のベルト部分を避けた、駆動ローラ52からテンションローラ54の間のベルト平面部分、若しくはテンションローラ54からアイドラローラ55の間のベルト平面部分である。
【0133】
[実施例3]
本実施例3においては、実施例1、2の装置Aにおいてロータリ43はD方向(第一の回転方向)と、それとは逆のE方向(第二の回転方向)ともに回転可能としている(図7、図8)。即ち、第二の駆動手段M2はロータリ43を第一の回転方向Dと第一の回転方向とは逆方向の第二の回転方向Eに回転駆動することが可能である。
【0134】
制御回路部Bは、第二の駆動手段M2によりロータリ43を現在の停止位置より目的の停止位置Xまで回転させる時に、ロータリ43をD方向に回転させた場合とE方向に回転させた場合とで係る時間を算出する。そして、時間のかからない方向をロータリ43の回転方向に決定する。
【0135】
《ロータリの回転方向の決定》
図7、図8、図10、図11を用いて、ロータリ43の回転方向の決定について説明する。図7のように、ロータリ43に第1の現像器41Yが装着されていて、第4の現像器41Bkの現像器装着位置42Bkが現像器取り出し位置Xにある場合に、第3の現像器41Cの現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに持っていく場合の例を示す。
【0136】
1)図10を参照して、制御回路部Bはロータリ43の各現像器装着位置42Y、42M、42C、42Bkにおける各現像器41の有無をセンサ31により検知する。本例の場合は、第1の現像器4Yのみがロータリ43に装着されており、現像器装着位置42M、42C、42Bkには現像器が装着されていないことが判断できる(401)。
【0137】
2)制御回路部Bは、次に、現像器装着位置42Cを現像器取り出し位置Xに移動させるにあたり、ロータリ43をD方向に回転させた場合に現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接するかどうかを判断する。
【0138】
本例の場合は、すでに検知している現像器有無状態と、回転方向がD方向であること、センサ30によるロータリ43の現在の回転位置(停止位置)から次のような判断がされる。即ち、ロータリ43が現在の停止位置から目的の停止位置に到達するまでには、第1の現像器41Yの現像ローラ41aとドラム1が当接することが判断できる(402)。
【0139】
3)制御回路部Bは、次に、時間T1を算出する。即ち、ロータリ43をD方向に回転させた場合に、現像器装着位置42Cが現像器取り出し位置Xにあり、ベルト51のトナー像が転写されない領域にローラ55との接触痕が形成されるような位置にベルト51がある状態になるまでの時間T1を算出する。
【0140】
ここで、図11を用いて、T1の算出方法について説明する。図11は、ロータリ43およびベルト51の駆動状態と、光センサ66の基準マーク検知タイミングを表したタイミングチャートである。(a)および(b)は現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接する場合の図で、(c)は当接しない場合の図である。それぞれのタイミングを以下の通り規定する。
【0141】
a:ベルト51が1周するのにかかる時間=Ta
b:光センサ66で基準マーク65を検知してからベルト51が停止するまでにかかる時間=Tb
c:ロータリ43が現在の停止位置から目的の停止位置Xまで移動するまでにかかる時間=Tc
上記時間Ta、Tb、Tcは、装置Aの機械構成によってあらかじめ決められた値として不揮発性記録部124に格納される。これを用いて時間T1を算出する。
【0142】
現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接する場合、ロータリ43が停止するまでに光センサ66が基準マーク65を検知した回数をXとすると、時間T1はTa×(X+1)となる。なお、Xは(Tb+Tc)/Taの商としても表わされる。現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接しない場合、時間T1はTcとなる。図11にそって詳しく説明する。
【0143】
図11の(a)、(b)、(c)において、本動作開始時点では、ベルト51はトナー像が転写されない領域にローラ55との接触痕が形成されるように位置している。つまり、ベルト51は光センサ66が基準マーク65を検知してから時間Tb移動した位置に停止している。ここで、ベルト51を駆動させると、Ta−Tb後に光センサ66が基準マーク65を検知する。
【0144】
(a)について説明する。まずロータリ43とベルト51を同時に駆動させる(1001)。そしてTc経過後に、ロータリ43を停止させる(1002)。この際Ta−Tb>Tcであるため、光センサ66が基準マーク65を検知する前にロータリ43は停止する。その後光センサ66が基準マーク65を検知し(1003)、この時点でロータリ43が停止していることから、検知してからTb経過後にベルト51を停止させる(1004)。以上より、(a)において時間T1はTaである。
【0145】
(b)について説明する。まずロータリ43とベルト51を同時に駆動させる(1101)。そして、Ta−Tb秒後に光センサ66が基準マーク65を検知し(1102)、その後ロータリ4を停止させる(1103)。この際Ta−Tb<Tcであり、光センサ66が基準マーク65を検知した後にロータリ41は停止するため、ベルト51の停止タイミングを決定するためには、再び光センサ66が基準マーク65を検知する必要がある。
【0146】
光センサ66が基準マーク65を検知して(1102)からベルト51が一周した時、再び基準マーク65を検知し(1104)、検知してからTb経過後にベルト51を停止させる(1105)。以上より、(b)おいて時間T1は2Taである。
【0147】
(a)および(b)のようにベルト51がX+1周した時に停止することから、現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接する場合にT1は(X+1)×Taとなる。
【0148】
(c)について説明する。まずロータリ43のみを駆動させる(1201)。Tc経過後にロータリ43を停止させる(1202)。ベルト51は動作せず、光センサ66も基準マーク65を検知しない。つまり、ベルト51のトナー像が転写されない領域にローラ55との接触痕が形成されるようにベルト51が位置している。よって、現像器41の現像ローラ41aとドラム1が当接しない場合に時間T1はTcとなる。
【0149】
以上説明した時間T1の算出方法に従って、時間T1を算出する。本実施例において、シアン現像器装着位置4C’を現像器取り出し位置13に移動させるにあたりロータリ4をA方向に回転させた場合に、Taが10sec、Tbが3sec、Tcが6secとする。この際イエロー現像器4Yと感光体ドラム1が当接することからT1は(X+1)×Taとなる。ここで、Xは(Tb+Tc)/Taの商であることから“0”となる。従って、T1は10secとなることがわかる(403)。
【0150】
次に、シアン現像器装着位置4C’を現像器取り出し位置13に移動させるにあたりロータリ4をB方向に回転させた場合に現像器と感光体ドラム1が当接するかどうかを判断する。すでに検知している現像器有無状態と、回転方向がB方向であることから、ロータリ4が現在の停止位置から目的の停止位置に到達するまでには、全ての現像器と感光体ドラム1が当接しないことが判断できる(404)。
【0151】
従って、シアン現像器装着位置4C’を現像器取り出し位置13に移動させるにあたり、ロータリ4をB方向に回転させる場合においては、ベルト51および感光体ドラム1を駆動する必要がない。
【0152】
ここで、シアン現像器装着位置4C’が現像器取り出し位置13にあり、ベルト51のトナー像が転写されない領域に保持ローラ42との接触痕が形成されるような位置にベルト51がある状態になるまでの時間T2を算出する。算出方法に関しては、上記T1の算出方法で述べたので省略する。
【0153】
本実施例ではシアン現像器装着位置4C’を現像器取り出し位置13に移動させるにあたりロータリ4をB方向に回転させた場合に、Taが10sec、Tbが3sec、Tcが2secとする。この際、上記で判断した通り全ての現像器と感光体ドラム1が当接しないことからT2はTcとなるので、T2は2secとなることがわかる(409)。
【0154】
最後に、ロータリ4をA方向に回転させた場合とB方向に回転させた場合でそれぞれ算出した時間を比較し、時間のかからないほうに回転方向を決定する。T1とT2を比べて(406)、T1の方が時間を要することがわかるので、ロータリ4の回転方向をB方向と決定することができる(407)。
【0155】
ロータリ4の回転方向を決定した後の動作は、図9のステップ303以降、あるいはステップ310以降に準じる。
【0156】
以上をまとめると次のとおりである。第二の駆動手段M2はロータリ43を第一の回転方向Dと第一の回転方向とは逆方向の第二の回転方向Eに回転駆動することが可能である。制御手段Bは、ロータリ43を目的の停止位置まで回転させる時に、次の1)と2の時間を算出して比較する。
【0157】
1)第一の回転方向Dに第二の駆動手段M2を駆動させてロータリ43を目的の停止位置Xまで回転させるのに要する第一の時間もしくは位置出し制御が必要な場合は第一の時間に位置出し制御にかかる時間を加えた第二の時間
2)第二の回転方向Eに第二の駆動手段M2を駆動させてロータリ43を目的の停止位置Xまで回転させるのに要する第三の時間もしくは位置出し制御が必要な場合は第三の時間に位置出し制御にかかる時間を加えた第四の時間
第一の時間もしくは第二の時間が第三の時間もしくは第四の時間より短い場合は、ロータリ43を目的の停止位置Xまで回転させるための回転方向を第一の回転方向Dに決定する。また、第一の時間もしくは第二の時間が第三の時間もしくは第四の時間より長い場合は、第二の回転方向Eに決定する。
【0158】
上記実施例により、ロータリ4が目的の停止位置にあり、ベルト51のトナー像が転写されない領域に保持ローラ42との接触痕が形成されるような位置にベルト51がある状態になるまでの時間を最短にすることが可能となる。
【0159】
即ち、ロータリ43がDとEの両方向に回転可能な場合、ロータリ43の回転を開始させてからベルト51を停止させるまでの時間をそれぞれの回転方向で算出し、時間のかからない方向をロータリの回転方向に決定する。それによって、画像形成装置がロータリ43の回転を開始させてからベルト51を停止させるまでの時間の遅れを改善することが可能となる。
【0160】
[その他]
1)本発明の画像形成装置における像担持体は、実施例の電子写真画像形成プロセスにおける電子写真感光体に限られない。静電記録画像形成プロセスにおける静電記録誘電体、磁気記録画像形成プロセスにおける磁気記録磁性体などとすることもできる。
【0161】
2)また、像担持体は、実施例のドラム型に限られない。エンドレスベルト型とすることもできる。
【符号の説明】
【0162】
1・・像担持体、41Y・41M・41C・41Bk・・複数の現像器、41a・・現像剤担持体、42Y・42M・42C・42Bk・・複数の保持位置、43・・現像器保持部材、Y・・現像位置、51・・中間転写ベルト、52・53・54・55・・複数の張架部材、M1・・第一の駆動手段、M2・・第二の駆動手段、30・・停止位置検知手段、31Y・31M・31C・31Bk・・有無検知手段、B・・制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像が形成される回転可能な像担持体と、
前記像担持体に現像剤を供給するための現像剤担持体を有する複数の現像器を複数の保持位置に取り外し可能に保持する回転可能な現像器保持部材であって、前記複数の現像器のうちの一つの現像器について前記現像剤担持体を前記像担持体に対して当接させた現像位置に順次移動させる現像器保持部材と、
複数の張架部材に懸回張設されている回転可能な可撓性を有する無端状の中間転写ベルトであって、前記像担持体に接触して現像剤像の転写を受ける中間転写ベルトと、
前記像担持体と前記中間転写ベルトを同時に回転駆動させる第一の駆動手段と、
前記現像器保持部材を回転駆動させる第二の駆動手段と、
前記現像器保持部材の前記複数の保持位置に保持される現像器の有無を検知する有無検知手段と、
前記現像器保持部材の停止位置を検知する停止位置検知手段と、
前記現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させる時に、前記停止位置検知手段と前記有無検知手段からの入力情報に基づいて前記像担持体に対して前記現像位置において前記現像剤担持体が当接する事態を生じない判断した場合は、前記第一の駆動手段を駆動させないで前記第二の駆動手段を駆動させ、当接する事態を生じると判断した場合は、前記第一の駆動手段と前記第二の駆動手段の両方を駆動させる制御を行い、前記第一の駆動手段を駆動させた場合に、駆動中の前記第二の駆動手段を止めた後に、前記中間転写ベルトの現像剤像が転写されない領域に対応するベルト部分が前記張架部材に対応して前記中間転写ベルトの停止がなされるように前記第一の駆動手段を制御する位置出し制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第二の駆動手段は前記現像器保持部材を第一の回転方向と前記第一の回転方向とは逆方向の第二の回転方向に回転駆動することが可能であり、
前記制御手段は、前記現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させる時に、
1)前記第一の回転方向に前記第二の駆動手段を駆動させて前記現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させるのに要する第一の時間もしくは前記位置出し制御が必要な場合は前記第一の時間に前記位置出し制御にかかる時間を加えた第二の時間と、
2)前記第二の回転方向に前記第二の駆動手段を駆動させて前記現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させるのに要する第三の時間もしくは前記位置出し制御が必要な場合は前記第三の時間に前記位置出し制御にかかる時間を加えた第四の時間と、
を算出して比較し、前記第一の時間もしくは前記第二の時間が前記第三の時間もしくは第四の時間より短い場合は、前記現像器保持部材を目的の停止位置まで回転させるための回転方向を前記第一の回転方向に決定し、前記第一の時間もしくは前記第二の時間が前記第三の時間もしくは第四の時間より長い場合は、前記第二の回転方向に決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−198474(P2012−198474A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64126(P2011−64126)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】