説明

画像形成装置

【課題】 ユーザの希望に応じて印刷時のメモリの節約又は生産性向上を選択できるようにする。
【解決手段】 制御部10は、印刷中にその印刷実行要求をしたアプリと並行動作する他のアプリからの印刷実行要求があった場合、生産性向上印刷方式による印刷からメモリ節約印刷方式による印刷に切り替える。また、予め生産性向上印刷方式が選択されていた場合、印刷中にその印刷実行要求をしたアプリと並行動作する他のアプリからの印刷実行要求があっても受け付けない。さらに、予め設定された印刷順に関する初期設定に応じて生産性向上印刷方式による印刷からメモリ節約印刷方式による印刷に切り替え、または継続に切り替えて印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、複写機、および複合機を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、出力面サイズの2倍の用紙(「転写紙」ともいう)に表裏合計4面分の画像データを両面集約印刷し、その印刷後の用紙束の中央を綴じた際に、週刊誌のページ順になるように面付けしていく週刊誌印刷の技術が既に知られている。
【0003】
従来、2×2頁分の画像データを2個に等分割された1枚の用紙の両面の各領域に印刷することにより、印刷用紙の枚数を削減する画像形成装置(例えば、特許文献1参照)があった。
【0004】
図9は、週刊誌印刷の説明図である。
例えば、図9の(a)に示したA4サイズの8ページ分の画像データ(図中では1,2,8ページ目の画像を示し、その他は図示を省略している)をA3サイズの2枚の用紙の表裏合計4面にそれぞれ1ページずつ印刷して週刊誌印刷する場合、図9の(b)と(c)に示すように、A3サイズの1枚目の用紙の外側面(表面)の領域80と81にA4サイズの1ページ目と8ページ目の各画像データの画像がそれぞれ対応するように集約印刷する。
【0005】
また、A3サイズの1枚目の用紙の内側面(裏面)の領域82と83にA4サイズの2ページ目と7ページ目の各画像データの画像がそれぞれ対応するように集約印刷する。
同様にして、図9の(b)と(d)に示すように、A3サイズの2枚目の用紙の外側面(表面)の領域84と85にA4サイズの3ページ目と6ページ目の各画像データの画像がそれぞれ対応するように集約印刷し、A3サイズの2枚目の用紙の内側面(裏面)の領域86と87にA4サイズの4ページ目と5ページ目の各画像データの画像がそれぞれ対応するように集約印刷する。
そして、図9の(b)に示すように、印刷後の各用紙を図中矢示方向に重ね、その用紙束の中央を綴じることにより冊子を作成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置では、上述のような週刊誌印刷をする場合、全ページ分の画像データが確定しない限り、用紙に対してどのような面付けを行ってよいか決定できないため、メモリに全ページ分の画像データと、集約した画像データとを格納するため、印刷時にメモリの使用容量が増大するという問題があった。
【0007】
そこで、印刷時に集約した画像データを印刷したらメモリから消し、その空き容量に次の集約した画像データを作成し、それを印刷したらメモリから消すという処理を繰り返すことによって、印刷時のメモリの使用量を抑える技術がある。
【0008】
しかし、この技術では、メモリに対する集約した画像データの作成と消去の処理を何度も繰り返さなければならないので、集約する画像データの作成処理分だけ印刷までの処理に時間がかかり生産性が低下するという問題を抱えていた。
【0009】
このように、週刊誌印刷技術において、印刷時のメモリの節約と生産性向上のいずれか一方のみを選択することしかできなかった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザの希望に応じて印刷時のメモリの節約又は生産性向上を選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記の目的を達成するため、記憶手段に集約印刷する全ページ分の画像データを展開して用紙に印刷する第1の印刷制御手段と、上記記憶手段に集約印刷する1ページ分の画像データを展開して用紙に印刷した後に削除し、その削除の後に上記記憶手段に次の画像を1ページ分の画像データを展開して用紙に印刷する第2の印刷制御手段と、上記第1の印刷制御手段で印刷中に所定のタイミングで上記第2の印刷制御手段による印刷に切り替える切替制御手段を備えた画像形成装置を提供する。
【0011】
また、上記のような画像形成装置において、上記切替制御手段は、上記第1の印刷制御手段で印刷中にその印刷実行要求をしたアプリケーションプログラムと並行動作する他のアプリケーションプログラムからの印刷実行要求があったタイミングでは、上記第1の印刷制御手段から上記第2の印刷制御手段に切り替える手段を含むようにするとよい。
【0012】
さらに、上記のような画像形成装置において、上記第1の印刷制御手段と上記第1の印刷制御手段のいずれか一方を予め選択する選択手段を設け、上記切替制御手段は、上記選択手段によって上記第2の印刷制御手段が選択されている場合、上記第1の印刷制御手段で印刷中にその印刷実行要求をしたアプリケーションプログラムと並行動作する他のアプリケーションプログラムからの印刷実行要求があったタイミングでも、上記印刷動作中のアプリケーションプログラムの印刷完了まで受け付けない手段を含むようにするとよい。
【0013】
また、上記のような画像形成装置において、複数のアプリケーションプログラムの印刷順に関する初期設定を設定する設定手段を設け、上記切替制御手段は、上記第1の印刷制御手段で印刷中にその印刷実行要求をしたアプリケーションプログラムと並行動作する他のアプリケーションプログラムからの印刷実行要求があったタイミングでは、上記設定手段による設定内容に基づいて上記第1の印刷制御手段で印刷を継続と上記第1の印刷制御手段から上記第2の印刷制御手段に切り替えとのいずれかに切り替える手段を含むようにするとよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明による画像形成装置は、ユーザの希望に応じて印刷時のメモリの節約又は生産性向上を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図2に示す画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態である画像形成装置の内部構成例を示す構成図である。
【図3】図1に示す制御部による週刊誌印刷の処理を示すフローチャート図である。
【0016】
【図4】生産性向上印刷方式の説明図である。
【図5】メモリ節約印刷方式の説明図である。
【図6】生産性向上印刷方式からメモリ節約印刷方式に切り替えて印刷するときの処理を示す説明図である。
【0017】
【図7】メモリ節約印刷方式から生産性向上印刷方式に切り替えて印刷するときの処理を示す説明図である。
【図8】印刷順の初期設定内容の一例を示す図である。
【図9】週刊誌印刷の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図2は、この発明の一実施形態である画像形成装置の内部構成例を示す構成図である。
この実施形態の画像形成装置は、タンデム型間接転写方式の画像形成装置の構成例を示している。このような構成の画像形成装置としては、例えば、複写機(コピー機)、複合機(マルチファンクションペリフェラル:MFP)がある。
【0019】
図2に示した画像形成装置1は、装置本体(以下「本体」という)の上部に原稿を自動的にコンタクトガラス30上に給送する自動原稿給送部(「ADF」と略称する)2を、画像形成装置1の本体の中央部に画像形成部(「プリンタ部」ともいう)3を、画像形成装置1の本体の下部にそれぞれ用紙(記録紙)Pを積載して格納する複数段(この例では4段)の給紙カセット40を備えた給紙部(「給紙バンク」ともいう)4をそれぞれ備えている。
なお、給紙部4には、さらに他の給紙部を増設することも可能である。
【0020】
ADF2の画像形成装置1の本体の上面には、図示を省略した操作部を備えており、その操作部にはユーザが複写(コピー)動作の開始を指示入力するためのスタートキー、コピー枚数を含む各種のパラメータを設定入力するためのテンキー、両面モード(用紙の表裏両面に画像を形成するモード)を含む各種モード、用紙サイズ、コピー濃度を含む設定項目を選択するキー、ユーザに対する各種の操作画面とメッセージの表示を行う液晶表示器等の表示部などを備えている。
【0021】
プリンタ部3の上方には原稿の画像を読み取る画像読取部(「スキャナ部」ともいう)5を、プリンタ部3の図2で左側には排紙収納部(「排紙トレイ」ともいう)6をそれぞれ備えており、その排紙トレイ6にはモノクロ又はカラーのトナー画像が印刷された(画像形成された)用紙Pが排紙されて収納される。
【0022】
また、プリンタ部3には、それぞれ表面(但し予め帯電されている)が露光されて静電潜像が形成される複数の第1の像担持体となるドラム状の感光体(「感光体ドラム」ともいう)11Y、11M、11C、11K(それらをまとめて以下総称して「各感光体ドラム11」ともいう)を備えている。
【0023】
プリンタ部3の上部には、そのプリンタ部3の各感光体ドラム11上のそれぞれ露光位置(帯電面)に、それぞれ各色の画像情報に対応したレーザ光を照射してそこに静電潜像を形成する露光部7を備えている。
【0024】
各感光体ドラム11のそれぞれの回りには、各感光体ドラム11の表面をそれぞれ一様に帯電処理する帯電部12Y、12M、12C、12K(それらをまとめて以下総称して「各帯電部12」ともいう)と、各感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像をそれぞれ各色のトナーで可視像化して単色のトナー画像(以下「単色画像」という)を形成する現像部13Y、13M、13C、13K(それらをまとめて以下総称して「各現像部13」ともいう)を備えている。
【0025】
また、各感光体ドラム11上の単色画像(可視像)を中間転写ベルト15に1次転写した後に各感光体ドラム11上に残った未転写トナー(残留トナー)を除去回収するクリーニング処理を行う感光体クリーニング部14Y、14M、14C、14K(それらをまとめて以下総称して「各感光体クリーニング部14」ともいう)を備えている。
【0026】
さらに、プリンタ部3には、各感光体ドラム11上に形成された各単色画像が順次1次転写されることによって4色重ねの合成カラー画像が形成される第2の像担持体である無端ベルト状の中間転写体(以下「中間転写ベルト」という)15を備えており、その中間転写ベルト15は複数のローラに掛け回されており、その各ローラの回転によって図中矢示A方向に回動するようになっている。
【0027】
また、プリンタ部3の用紙搬送上流側にはレジスト部を構成するレジストローラ20を、そのプリンタ部3の用紙搬送下流側に定着部8をそれぞれ備え、そのレジストローラ20により用紙Pのスキュー補正を行うと共に、その用紙Pを各感光体ドラム11上のトナー画像とタイミングをとって、中間転写ベルト15と2次転写対向ローラ21との間の2次転写部22へ向けて給送するようにしている。
【0028】
そして、その2次転写部22で、中間転写ベルト15上に担持した合成カラー画像を給紙バンク4内のいずれかの給紙カセット40あるいは手差し給紙トレイ9から給紙した用紙Pに順次2次転写し、その合成カラー画像を定着部8で熱と圧力とを加えて定着する。
その定着部8の下流側には、定着部8を通過した用紙Pを排紙トレイ6上に排出する排紙ローラ23を備えている。
【0029】
さて、いま、この画像形成装置を用いてコピーをとるときは、ユーザがADF2の原稿台上に原稿をセットする。または、ADF2を開いてスキャナ部5のコンタクトガラス30上に原稿をセットし、ADF2を閉じてそれで押さえる。
そして、操作部上のスタートキーを押すと、画像形成装置は次のような動作を行う。
【0030】
まず、ADF2の原稿台に原稿がセットされている場合には、その原稿をコンタクトガラス30上へ自動給送した後、コンタクトガラス30上に直接原稿がセットされている場合には、直ちに、スキャナ部5を駆動し、第1走行体31および第2走行体32を図2の紙面の左右方向に往復移動させる。
【0031】
そして、第1走行体31で原稿照明用の光源33を点灯させると共に原稿面からの反射光を更に反射して第2走行体32に向け、第2走行体32のミラー34で反射して結像レンズ35を通してCCDを含む画像読み取りセンサ36に入れ、原稿の画像を読み取る。
このとき、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の色分解光毎に光電変換され、電気的なR、G、Bの画像信号が出力される。
【0032】
そのRGB画像信号はデジタル化されて画像処理がなされ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像信号として露光部7へ送られ、その内部のレーザダイオード(LD)を含む光源(図2では図示を省略)が位相変調方式(Phase Modulation:PM)又はパルス幅変調方式(Pulse Width Modulation:PWM)を含む変調方式によって駆動されることにより、原稿画像に対応するレーザ光が射出される。
【0033】
そして、その光源から射出されたレーザ光により、ポリゴンミラー37と、図2では符号を付さずに図示した各種のミラーとレンズとを介して各感光体ドラム11の(各帯電部12による帯電処理で帯電された)帯電面が露光され、そこに静電潜像が形成される。
また、ユーザによるスタートキーの押下により、図示を省略した駆動モータによって駆動ローラ24を回転駆動して他のローラ25と2次転写ローラ26と符号を付すのを省略した他のローラを従動回転させ、中間転写ベルト15を回動させる。
【0034】
それと同時に、プリンタ部3で各感光体ドラム11を回転させて各感光体ドラム11上の静電潜像にそれぞれ各現像部13によりY、M、C、Kの各単色トナーを付着させ、各単色のトナー画像(単色画像)を各感光体ドラム11上に形成する。
そして、中間転写ベルト15の回動とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト15上に4色重ねの合成カラー画像を形成する。
【0035】
まず、最初に感光体ドラム11Y上のY画像(イエロー色の画像)を図2の矢示A方向に回動している中間転写ベルト15上に図示を省略した1次転写ローラにより1次転写し、次にそのY画像が感光体ドラム11Mの位置まで移動したときに、そこにM画像(マゼンタ色の画像)を重ね合わせて1次転写ローラにより1次転写する。
【0036】
そのM画像を転写した部分が感光体ドラム11Cの位置まで移動したときに、そこにC画像(シアン色の画像)を重ね合わせて1次転写ローラにより1次転写し、更にそのC画像を転写した部分が感光体ドラム11Kの位置まで移動したときに、そこにK画像(ブラック色の画像)を重ね合わせて1次転写ローラにより1次転写する。
【0037】
そして、そのY、M、C、Kの4色を重ね合わせた合成カラー画像が中間転写ベルト15の回動により、その内側に位置する2次転写ローラ26と外側に位置する2次転写対向ローラ21との間の2次転写位置まで移動すると、そのタイミングに一致するように同期がとられて給送された用紙Pに、2次転写ローラ26により一括転写する。
【0038】
このように、この画像形成装置は、中間転写ベルト15が1回動して1つの合成カラー画像を形成する作像プロセスを行う。
そして、その中間転写ベルト15上の4色重ねの合成カラー画像が用紙Pに一括転写された後は、その中間転写ベルト15上に残留する未転写トナーが中間転写クリーニング部(ベルトクリーニング部)27により除去回収される。
【0039】
合成カラー画像が定着されて定着部8を通過した用紙Pは、片面モード(用紙の片面にのみ画像を形成するモード)が設定されている場合には、排紙ローラ23により排紙トレイ6に排出される。
【0040】
また、両面モードが設定されている場合には、定着部8と排紙ローラ23との間の搬送経路上に設けている分岐爪28により、用紙Pがプリンタ部3の下側に配設している両面部29に送り込まれ、それが反転されて再びレジストローラ20に搬送され、今度は裏面(第2面)に合成カラー画像が形成された後に排紙ローラ23により排紙トレイ6上に排出される。
【0041】
一方、用紙Pを給送する給紙バンク4には、各給紙段毎に給紙カセット40がそれぞれ設けられている。
その各給紙段の給紙カセット40は、用紙Pを積載する底板41と、その底板41に積載された用紙Pを図2で反時計回り方向に回転することにより給送するピックアップコロ42と、そのピックアップコロ42により給送された用紙Pが複数枚であったときにはそれを1枚に分離するフィードコロとリバースコロとからなる分離手段43とを備えている。
【0042】
この給紙部4からの給送は、給紙カセット40の底板41上に収納した未使用の用紙Pが、その底板41が上昇側に回動することにより最上位に位置する用紙Pがピックアップコロ42に当接する位置まで上昇し、その状態でピックアップコロ42が回転することにより給紙カセット40から送り出される。
【0043】
そこで、用紙Pが2枚以上送り出されたときには、それが分離手段43によって1枚に分離される。そして、その用紙Pが、搬送手段44によって停止状態にあるレジストローラ20へ搬送され、そこで一旦停止されて、その先端と中間転写ベルト15上の合成カラー画像との位置関係が正確に一致するタイミングで、そのレジストローラ20が回転を開始することによりプリンタ部3に向けて搬送される。
上述したプロセスを経て画像形成が行われ、それが排紙トレイ6に排出される。
【0044】
このように、この画像形成装置は、原稿を走査してその画像を読み取り、その画像情報をデジタル化して用紙に画像を形成するデジタル複写機としての機能の他に、制御部10により原稿の画像情報を遠隔地との間で授受するファクシミリ装置としての機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するプリンタとしての機能も有する多機能の画像形成装置である。そして、どの機能によって形成した画像も、全て一つの排紙トレイ6に排出される。
【0045】
この画像形成装置は、週刊誌印刷について、メモリを節約するメモリ節約印刷方式と生産性を向上させる生産性向上印刷方式の2つの印刷方式を有し、この両印刷方式を状況に応じて切り替えられることが特徴になっている。
【0046】
図1は、図2に示した画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
この画像形成装置は、ユーザからの週刊誌印刷要求を受ける操作部50(図2では図示を省略している)と、CPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、画像形成装置の全体の制御を司る制御部10を有する。
【0047】
制御部10は、アプリケーション(図中「アプリ」と略称する)層52とサービス層53の機能を有し、週刊誌印刷機能をコピー、プリンタなどで提供するためのコピーアプリケーションプログラム(図中「コピーアプリ」と略称する)54と、その他のアプリ55とを備えている。
【0048】
サービス層53は、デバイス層51の画像の読み取り(スキャン)を行う画像読取機能のスキャナ57と、週刊誌印刷を含む印刷機能であるプロッタ58と、印刷対象の画像データを一時的に記憶する記憶手段であるメモリ59を制御するデバイス制御サービス56を備えている。
上記スキャナ57は、図2の画像読取部5に相当し、上記プロッタ58は、図2の画像形成部3を含む各部に相当する。
【0049】
この制御部10が、発明に係る第1の印刷制御手段と第2の印刷制御手段と切替制御手段の各手段の機能を果たす。また、操作部50が発明に係る選択手段と設定手段の各手段の機能を果たす。
【0050】
次に、制御部10による週刊誌印刷の処理について説明する。
図3は、図1に示した制御部10による週刊誌印刷の処理を示すフローチャート図である。
制御部10は、図4のフローチャート図に示した各ステップ(図中「S」で示す)を実行する。
【0051】
ステップ1で、週刊誌印刷を開始すると、ステップ2で図1のメモリ59のメモリ容量は閾値以上か否かを判断し、閾値以上と判断したら(Yの場合)、ステップ3へ進み、閾値以上ではないと判断したら(Nの場合)、ステップ12へ進む。
【0052】
ステップ3で、ユーザによる選択操作により、生産性向上印刷方式に固定か否かを判断し、生産性向上印刷方式に固定が選択されていた場合(Yの場合)、ステップ13へ進み、生産性向上印刷方式に固定が選択されていなかった場合(Nの場合)、ステップ4へ進む。
【0053】
ここでは、予めユーザが図1の操作部50から生産性向上印刷方式とメモリ節約印刷方式のいずれかを選択する操作、又は他の設定操作が行われていた場合、その選択又は設定項目の内容(例えば、図8に示すような印刷順の初期設定内容)はメモリ59又は制御部10の図示を省略したメモリに保存し、ステップ3の処理の際に参照する。
このようにして、複数のアプリからの要求を並列動作させるのではなく、印刷実行を受け付けた順に、最高のパフォーマンスで印刷実行することができる。
【0054】
ステップ4で、生産性向上印刷方式で印刷の継続が可能か否かを判断し、生産性向上印刷方式で印刷の継続が可能と判断した場合(Yの場合)、ステップ5へ進み、生産性向上印刷方式で印刷の継続が可能ではないと判断した場合(Nの場合)、ステップ8へ進む。
ステップ5で、印刷動作は印刷部数の部の途中か否かを判断し、途中なら(Yの場合)ステップ6へ進み、途中でなければ(Nの場合)ステップ7へ進む。
【0055】
ステップ6で、印刷制御を生産性向上印刷方式からメモリ節約印刷方式に切り替えて部の残りを印刷し、ステップ7へ進む。
ステップ7で、生産性向上印刷方式で印刷し、この処理を終了する。
【0056】
このようにして、メモリ容量が多く使用される可能性が出てきた場合は自動でメモリ節約印刷方式に切り替えることができるので、全体で必要なメモリ要領を正確に判断しなくても、生産性向上印刷方式での印刷を実施することができる。
したがって、画像形成装置において、任意のアプリを追加して印刷実行を受け付けるようにした場合、全体で必要なメモリ容量を正確に判断できずに生産性向上印刷方式での週刊誌印刷の実現が困難にならずに済む。
【0057】
一方、ステップ8で、図1のメモリ59の節約すべきメモリ領域の画像データを消去し、ステップ9へ進む。
ステップ9で、図1のメモリ59に印刷する集約画像(データ)は存在するか否かを判断し、存在するなら(Yの場合)ステップ10へ進み、存在しないなら(Nの場合)ステップ11へ進む。
【0058】
ステップ10で、印刷制御をメモリ節約印刷方式から生産性向上印刷方式に切り替えて部の残りを印刷し、ステップ11へ進む。
ステップ11で、メモリ節約印刷方式で印刷し、この処理を終了する。
ステップ12では、メモリ節約印刷方式で印刷してこの処理を終了し、一方、ステップ13では、生産性向上印刷方式で印刷してこの処理を終了する。
【0059】
次に、上記生産性向上印刷方式と上記メモリ節約印刷方式について説明する。
図4は生産性向上印刷方式の説明図であり、図5はメモリ節約印刷方式の説明図である。
制御部10は、第1の印刷制御手段として動作する場合、生産性向上印刷方式の印刷処理を実行し、その生産性向上印刷方式では、図1のメモリ59に、2枚の用紙の表裏面にそれぞれ週刊誌印刷の画像データとして印刷する各画像データをそれぞれ集約する。
【0060】
さらに、図4の(a)に示すように、1枚目の用紙の表面に印刷する集約印刷画像データ60と、1枚目の用紙の裏面に印刷する集約印刷画像データ61と、2枚目の用紙の表面に印刷する集約印刷画像データ62と、2枚目の用紙の裏面に印刷する集約印刷画像データ63とを全て展開して印刷する。
【0061】
その場合、図1のメモリ59に集約印刷画像データ60〜63を集約して展開するのに、図4の(b)に示すようにt2−t1時間かかる。
そして、集約印刷画像データ60〜63を2部印刷するのに図4の(c)に示すようにt3−t2時間かかる。
【0062】
ここで、集約印刷画像データ60〜63を集約して展開が終了してから印刷を実行しているのは、印刷にかかる時間をどの部(この場合1部と2部)でも均一にしたいからである。
【0063】
生産性向上印刷方式では、集約印刷画像データ60〜63が全て図1のメモリ59に展開されるまでに時間がかかるので、図4の(d)に示すように1部目の集約から展開を経て印刷までにかかる時間はT′長いが、2部目の印刷では集約から展開の処理が省略できるので、印刷に係るT″だけで済む。
【0064】
その後、指定された部数の印刷が終了すると、図1のメモリ59から集約印刷画像データ60〜63は順次消去される。例えば、図1のメモリ59から集約印刷画像データ60、61の消去は時間t4のときであり、図1のメモリ59から集約印刷画像データ62、63の消去は時間t5のときである。
【0065】
制御部10は、一方、第2の印刷制御手段として動作する場合、メモリ節約印刷方式の印刷処理を実行し、そのメモリ節約印刷方式では、図1のメモリ59に、1枚目の用紙の表裏面にそれぞれ週刊誌印刷の画像データとして印刷する各画像データをそれぞれ集約する。
【0066】
さらに、図5の(a)に示すように、1枚目の用紙の表面に印刷する集約印刷画像データ70と1枚目の用紙の裏面に印刷する集約印刷画像データ71とを展開して印刷し、印刷後に図1のメモリ59から集約印刷画像データ70、71を消去し、2枚目の用紙の表面に印刷する集約印刷画像データ72と2枚目の用紙の裏面に印刷する集約印刷画像データ73とを展開して印刷し、印刷後に図1のメモリ59から集約印刷画像データ70、71を消去する。こうして1部目を印刷し、その後、上述と同様にして2部目を印刷する。
【0067】
印刷が終了すると、図1のメモリ59から集約印刷画像データ70〜73は順次消去される。例えば、図1のメモリ59から集約印刷画像データ70、71の消去は1部目では時間t3、2部目では時間t7のときであり、図1のメモリ59から集約印刷画像データ72、73の消去は1部目では時間t4、2部目では時間t9のときである。
【0068】
図1のメモリ59に集約印刷画像データ70〜73を集約して展開するのに、図5の(b)に示すように1部目ではt4−t1時間かかり、2部目ではt8−t5時間かかり、両者は同時間である。
そして、集約印刷画像データ70〜73の1部目の印刷に図5の(c)に示すようにt5−t2時間かかり、2部目ではt9−t6時間かかり、これも両者は同時間である。
メモリ節約向上印刷方式では、集約印刷画像データ70〜73の1部目の印刷が終了するまでは図5の(d)に示すように時間Tがかかり、2部目でも同時間Tかかる。
【0069】
次に、図3のステップ6の生産性向上印刷方式からメモリ節約印刷方式に切り替えて印刷するときの処理について説明する。
図6は生産性向上印刷方式からメモリ節約印刷方式に切り替えて印刷するときの処理を示す説明図であり、図4と共通する部分には同一符号を付している。
【0070】
例えば、図中の時間t3で印刷動作中のアプリとは他のアプリから印刷実行要求があった場合、図1のメモリ59の節約しなければならないメモリ領域分だけ画像データを消去する。この場合、例えば、集約印刷画像データ60、61を消去する。
【0071】
そして、集約印刷画像データ60、61に対応するページを印刷する必要が出てくるまでは集約印刷画像データの集約と展開とを行わず、生産性向上印刷方式のまま動作する。
このようにして、消去された画像データを再度印刷するまでは図1のメモリ59に対する集約と展開の処理を実施する必要が無く、その間は生産性向上印刷方式を続けることができる。
【0072】
次に、図3のステップ10のメモリ節約印刷方式から生産性向上印刷方式に切り替えて印刷するときの処理について説明する。
図7はメモリ節約印刷方式から生産性向上印刷方式に切り替えて印刷するときの処理を示す説明図であり、図5と共通する部分には同一符号を付している。
【0073】
例えば、図中の時間t4で印刷動作中のアプリとは他のアプリから印刷実行要求があった場合、図1のメモリ59からは集約印刷画像データ70、71が消去されており、集約印刷画像データ72、73からは(図中時間t8からは)図1のメモリ59から消去せずに生産性向上印刷方式に切り替えて印刷する。なお、印刷の動作は並行して実施する。
【0074】
このようにして、切り替わったタイミングからメモリ59から画像データを消去せず、全原稿画像データ分の集約画像データができた時点で、集約印刷画像データの作成は止め、後は生産性向上印刷方式と同様の動作となる。
ただし、印刷については、単純な生産性印刷向上方式であると全集約印刷画像データができるまで止まってしまうが、印刷の途中で止めてしまうとユーザにエラーと捉えられかねない。そこで、印刷は並列で実行するものとする。
【0075】
また、上述の処理の他に、制御部10は、ユーザから操作部50を介して複数のアプリケーションプログラムの印刷順に関する初期設定を受け付けると、図8に示した印刷順初期設定内容として保存し、印刷処理実行時に、印刷中のアプリと並行動作する他のアプリから印刷実行要求があった場合、現在印刷中のジョブを終了するまで受け付けないようにすることもできる。
【0076】
また、複数のアプリに対して予め設定された予約順で印刷したり、並行動作で印刷するように制御することもできる。
さらに、画像形成装置の状況に応じて、他の印刷が多数要求された場合、印刷以外の他の処理にメモリ59の容量を使用しなければならない場合を含む状況の場合、生産性向上印刷方式を固定して処理を実行するようにしたり、また、生産性向上印刷方式からメモリ節約印刷方式に切り替えて印刷を実行するようにしたり、あるいは、メモリ節約印刷方式から生産性向上印刷方式に切り替えて印刷を実行するようにしたりをそれぞれ切り替えることもできる。
【0077】
このようにして、複数のアプリからの印刷要求が実行される場合では、印刷順を順次実行か並列動作するかを選択する初期設定が一般的に存在するが、初期設定に矛盾しない週刊誌印刷方式の選択をユーザに意識させること無く実現することが可能になる。
この実施例の画像形成装置は、週刊誌印刷技術において、メモリの節約と生産性向上を両立させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明による画像形成装置は、ファクシミリ装置、プリンタ、複写機、複合機を含む画像形成装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1:画像形成装置 2:自動原稿給送部(ADF) 3:画像形成部(プリンタ部) 4:給紙部(給紙バンク) 5:画像読取部(スキャナ部) 6:排紙収納部(排紙トレイ) 7:露光部 8:定着部 9:手差し給紙トレイ 10:制御部 11、11Y、11M、11C、11K:感光体ドラム 12、12Y、12M、12C、12K:帯電部 13、13Y、13M、13C、13K:現像部 14、14Y、14M、14C、14K:感光体クリーニング部 15:中間転写体(中間転写ベルト) 20:レジストローラ 21:2次転写対向ローラ 22:2次転写部 23:排紙ローラ 24:駆動ローラ 25:ローラ 26:2次転写ローラ 27:中間転写クリーニング部(ベルトクリーニング部) 28:分岐爪 29:両面部 30:コンタクトガラス 31:第1走行体 32:第2走行体 33:光源 34:ミラー 35:結像レンズ 36:画像読み取りセンサ 37:ポリゴンミラー 40:給紙カセット 41:底板 42:ピックアップコロ 43:分離手段 44:搬送手段 50:操作部 51:デバイス層 52:アプリ層 53:サービス層 54:コピーアプリ 55:他アプリ 56:デバイス制御サービス 57:スキャナ 58:プロッタ 59:メモリ P:用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2001−230926号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段に集約印刷する全ページ分の画像データを展開して用紙に印刷する第1の印刷制御手段と、
前記記憶手段に集約印刷する1ページ分の画像データを展開して用紙に印刷した後に削除し、該削除の後に前記記憶手段に次の画像を1ページ分の画像データを展開して用紙に印刷する第2の印刷制御手段と、
前記第1の印刷制御手段で印刷中に所定のタイミングで前記第2の印刷制御手段による印刷に切り替える切替制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記切替制御手段は、前記第1の印刷制御手段で印刷中に該印刷実行要求をしたアプリケーションプログラムと並行動作する他のアプリケーションプログラムからの印刷実行要求があったタイミングでは、前記第1の印刷制御手段から前記第2の印刷制御手段に切り替える手段を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の印刷制御手段と前記第2の印刷制御手段のいずれか一方を予め選択する選択手段を設け、
前記切替制御手段は、前記選択手段によって前記第1の印刷制御手段が選択されている場合、前記第1の印刷制御手段で印刷中に該印刷実行要求をしたアプリケーションプログラムと並行動作する他のアプリケーションプログラムからの印刷実行要求があったタイミングでも、前記印刷動作中のアプリケーションプログラムの印刷完了まで受け付けない手段を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数のアプリケーションプログラムの印刷順に関する初期設定を設定する設定手段を設け、
前記切替制御手段は、前記第1の印刷制御手段で印刷中に該印刷実行要求をしたアプリケーションプログラムと並行動作する他のアプリケーションプログラムからの印刷実行要求があったタイミングでは、前記設定手段による設定内容に基づいて前記第1の印刷制御手段で印刷を継続と前記第1の印刷制御手段から前記第2の印刷制御手段に切り替えとのいずれかに切り替える手段を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218391(P2012−218391A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89165(P2011−89165)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】