説明

画像形成装置

【課題】現像剤残量検知の実行により生じるダウンタイムを抑制するとともに、カートリッジ寿命の短命化を抑制する。
【解決手段】複数の画像形成ユニットのうち予め設定された条件を満たした条件満足ユニットに対して、トナー残量検知を実行するためのCPU205を備え、CPU205は、条件満足ユニットに対してトナー残量検知を実行する場合であって、複数の画像形成ユニットのうち予め設定された条件を満たしていない条件不満足ユニットのなかで、その後にトナー残量検知が必要となるまでの予想プリント枚数が、条件満足ユニットが次にトナー残量検知が必要となるまでの予想プリント枚数以下となる条件不満足ユニットが存在する場合、その条件不満足ユニットに対するトナー残量検知を条件満足ユニットに併行して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像プロセスを用いた画像形成装置においては、感光体ドラム及び感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンに頼らずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。カートリッジ方式の画像形成装置のメンテナンス性を向上させるためには、ユーザにカートリッジ交換時期を適確に知らせることが望ましい。そこで、カートリッジの寿命を正確に検知する必要がある。
カートリッジの寿命検知の一つに、現像剤の残量検知があり、ピクセルカウント方式、アンテナ方式、光検知方式、またはそれらを組み合わせた方式(例えば、特許文献1)が従来より提案され、実施されている。
そのうち光検知方式は、現像剤収容部内に光路を持つ光検知手段が、現像剤攪拌手段によって現像剤が収容部内を攪拌されている間に光を検知した時間によって現像剤残量を求める方法である。この光検知方式は、現像剤の消費量を推測で求めるピクセルカウント方式や、環境湿度の影響を受けるアンテナ方式に比べて高い精度で現像剤の残量を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−37225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の画像形成装置では、以下のような課題を有している。
光検知方式による現像剤残量の測定(以下、光残量検知)においては、正確に現像剤残量を測定するための適切な速度で現像剤攪拌手段を駆動させる必要がある。すなわち、プリント動作時の現像駆動手段の回転速度と、光残量検知に適した現像剤攪拌手段の回転速度が異なる場合には、駆動速度を変更する必要がある。そのため、光残量検知を実行する場合、プリント動作を一時停止することになり、ダウンタイムが発生してしまう。
カラーレーザビームプリンタなど複数のカートリッジを有する画像形成装置においては、カートリッジ毎にそれぞれ光残量検知を実行する必要がある。カートリッジ毎に現像剤の消費量は異なるため、カートリッジ間で光残量検知を行う必要があると判断されるタイミングはバラバラになる。そのため、画像形成装置がトナー残量検知を実行する回数はカートリッジ本数分増加することになり、トナー残量検知実行によるダウンタイムが更に増加してしまうことが懸念されていた。
【0005】
この問題の解決方法として、複数のカートリッジを有する画像形成装置では、1つのカートリッジで光残量検知を実行する場合に他のカートリッジも光残量検知を併行する方法がある。この方法では、全てのカートリッジの光残量検知の実行タイミングを、最も光残量検知の実行間隔が短いカートリッジのタイミングに揃えている。これにより、画像形成装置が光残量検知を実行するためにプリント動作を停止する回数を1つのカートリッジの光残量検知の実行回数に抑えることができ、ダウンタイムの発生を最小限に抑えることが
できる。
【0006】
しかしこの方法は、光残量検知を実行する必要がないカートリッジも必ず光残量検知を実行することになり、不必要に現像剤の攪拌手段を駆動することになる。その結果、現像剤の攪拌手段を駆動するのに合わせて現像器も駆動することになるため、現像器の駆動時間が長くなる。現像器の駆動時間が長くなると、現像剤が通常よりも早く劣化し、カートリッジの耐久寿命が短くなる問題が新たに発生することが懸念される。また、感光体ドラムと現像器が当接した状態で光残量検知を実行する構成の場合、現像器による感光体ドラムの削れが発生し、同様にカートリッジが短命化してしまうことが懸念される。
このように、現像剤残量検知の実行には、ダウンタイムの発生とカートリッジの短命化という2つ問題があった。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、現像剤残量検知の実行により生じるダウンタイムを抑制するとともに、カートリッジ寿命の短命化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、
前記現像手段で用いられる現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部内の現像剤の残量を検知する残量検知手段と、
をそれぞれ有し、画像形成装置本体に対して交換可能に設けられた複数の画像形成ユニットを備えた画像形成装置において、
前記複数の画像形成ユニットのうち予め設定された条件を満たした条件満足ユニットに対して、前記残量検知手段による現像剤残量検知を実行するための実行手段を備え、
前記実行手段は、
前記条件満足ユニットに対して、前記残量検知手段による現像剤残量検知を実行する場合であって、前記複数の画像形成ユニットのうち予め設定された条件を満たしていない条件不満足ユニットのなかで、その後に予め設定された条件を満たすと予測されるタイミングが、前記条件満足ユニットが次に予め設定された条件を満たすと予測されるタイミングと同じかそれよりも前となる条件不満足ユニットが存在する場合、
その条件不満足ユニットに対する現像剤残量検知を前記条件満足ユニットに併行して実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像剤残量検知の実行により生じるダウンタイムを抑制するとともに、カートリッジ寿命の短命化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のトナー残量検知併行判断処理について説明するための図
【図2】実施例1の画像形成装置の概略構成について示す断面図
【図3】実施例1の光透過式によるトナー残量検知方法を説明するための図
【図4】実施例1の画像形成装置の制御部のシステム構成について示す図
【図5】実施例1のトナー残量検知実行判断処理について示す図
【図6】実施例1のトナー残量Aとトナー残量検知実行閾値Wthの関係を示す図
【図7】実施例1のトナー残量検知が実行される過程を説明するための図
【図8】トナー残量変化と、トナー残量検知が実行される様子を説明するための図
【図9】実施例2における画像形成装置のエンジン制御部のブロック図
【図10】実施例2におけるトナー残量検知併行判断処理について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
(画像形成装置の概要)
以下に、本発明の実施例1について図2および図3を用いて説明する。
図2は、本実施例の画像形成装置としてのレーザプリンタの概略構成について示す断面図である。
本実施例の画像形成装置においては、まず、コントローラ部から送信された画素信号に基づいて形成される画像光により静電潜像が形成され、この静電潜像が現像されることで可視画像が形成される。そして、この可視画像が重畳転写されてカラー可視画像が形成され、このカラー可視画像がシート(記録材)2へ転写され、そのシート2上のカラー可視画像を定着させている。
【0012】
画像形成装置の画像形成部は、現像色分、並置されたステーション毎の感光体ドラム(5Y、5M、5C、5K)、一次帯電手段としての帯電器(7Y、7M、7C、7K)、現像器(8Y、8M、8C、8K)、中間転写体12によって構成されている。感光体ドラム(5Y、5M、5C、5K)、一次帯電手段としての注入帯電手段(7Y、7M、7C、7K)、現像器(8Y、8M、8C、8K)は、画像形成装置本体に着脱可能(交換可能)なカートリッジ(22Y、22M、22C、22K)に搭載されている。
ここで、各カートリッジの構成及び動作は、用いるトナー(現像剤)の色が異なることを除いては実質的に同じである。したがって、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために、図2において符号に与えた添字Y、M、C、Kを省略して、総括的に説明する。また、カートリッジ22は、画像形成ユニットに相当する。
【0013】
像担持体としての感光体ドラム5は、アルミシリンダの外周に有機光導伝層が塗布されて構成され、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光体ドラム5を画像形成動作に応じて時計周り方向に回転させる。感光体ドラム5への露光光はスキャナ部10から送られ、感光体ドラム5の表面が選択的に露光されることにより、静電潜像が形成されるように構成されている。
一次帯電手段として、各ステーションにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光体ドラムを帯電させるための4個の帯電器7を備える構成で、各帯電器には一次帯電ローラ7YR、7MR、7CR、7KRがそれぞれ備えられている。
【0014】
現像手段として上記静電潜像をトナーで現像して可視化するために、各ステーションにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)それぞれのトナーを用いて現像を行う4個の現像器8が設けられている。各現像器8には、現像ローラ8YR、8MR、8CR、8KRがそれぞれ備えられている。また、各現像器8には、後述するトナーDと、トナーDが収容されたトナー収容部、及びトナー残量を検知するための構成が備えられている。
【0015】
中間転写体12は、感光体ドラム5に接触しており、カラー画像形成時に感光体ドラム5の回転に伴って図2において反時計周りに回転するように構成されている。そして、中間転写体12は、一次転写ローラ4に印加された一次転写バイアスによって感光体ドラム5と一次転写ローラ4の間のニップ(一次転写ニップ)で感光体ドラム5から可視画像の転写を受ける。その後、中間転写体12と二次転写ローラ9との間に形成されたニップ(
二次転写ニップ)でシート2を狭持搬送することにより、シート2にカラー可視画像が同時に重畳転写される。
【0016】
定着部13は、シート2を搬送させながら、転写されたカラー可視画像をシート2に定着させるものであり、シート2を加熱する定着ローラ14とシート2を定着ローラ14に圧接させるための加圧ローラ15とを備えている。定着ローラ14と加圧ローラ15は中空状に形成され、定着ローラ14の内部にはヒータが内蔵されている。
すなわち、カラー可視画像を保持したシート2は、定着ローラ14と加圧ローラ15とにより形成された定着ニップにより搬送されるとともに、熱及び圧力が加えられることによりトナーがシート表面に定着される。可視画像定着後のシート2は、排出部27に排出されて画像形成動作が終了する。
【0017】
(トナー残量検知部)
次に、本実施例の光透過式によるトナー残量検知(現像剤残量検知)について図3を用いて説明する。図3は、光透過式によるトナー残量検知方法を説明するための図であり、カートリッジ22の概略構成を示す断面図である。
図3に示すように、カートリッジ22の現像器8には、トナーDとそれを収容するトナー収容部(現像剤収容部)301、およびトナー収容部301内のトナーDを攪拌するためのトナー攪拌部材305が備えられている。また、トナー収容部301には、光を透過させるための光透過窓303および光透過窓304が備えられている。
【0018】
また画像形成装置には、図3に示すような、トナー収容部301内(現像剤収容部内)のトナーの残量を検知するための光を発光する発光部300と、トナー収容部301内を通過した光を受光する受光部302とが設けられている。本実施例では、発光部300にはLED、受光部302にはフォトトランジスタ(PTR)を用いている。光透過式によるトナー残量検出方法は、トナー収容部301の内部に光を通過させて、トナー収容部301内のトナーの残量を検知する方法である。
【0019】
トナー収容部301にトナーDが無い場合(トナーの残量が一定値以下の場合)には、発光部300からの光は、光透過窓303から入り、トナー収容部301を通過して光透過窓304から出て受光部302へと導かれる。トナー収容部301にトナーDが十分ある場合は、光透過窓303と光透過窓304との間の光路上で光がトナーDにより遮光され受光部302に届かないように構成されている。
【0020】
本実施例の構成では、トナー残量検出時に後述するCPU(中央演算処理装置)205が後述する現像駆動モータ211を駆動することにより、トナー攪拌部材305を所定の周期で回転させている。トナー残量検知実行中は、トナー攪拌部材305が回転しているため、トナー収容部301にトナーDが無い場合でも透過光は遮光される。そのため、受光部302は、受光期間と遮光期間を交互に検知することになる。ここで、CPU205は、実行手段、設定手段及び残量推測手段を構成している。
【0021】
トナー収容部301にトナーDがある程度残っている場合は、トナー攪拌部材305で搬送されるトナーDがあるため、トナーDが無い場合に比べ遮光期間が長くなる。上記の遮光期間は、トナー収容部301内部のトナーDの量に対応している。
従って、トナー攪拌部材305が一回転する周期(以下、攪拌周期)の遮光期間の比率を計測することにより、トナー収容部301内部のトナーDの量を検知することができる。なお、遮光期間の比率を比較するのではなく、受光期間の比率を比較することにより残量検知を行うことも可能である。
【0022】
図4(b)は、本実施例における現像剤量検知装置(残量検知手段、光残量検知装置)
としてのトナー残量検知部207のシステム構成のブロック図である。
トナー残量検知部207は、図4(b)に示すように、発光部300と受光部302に加えて、受光検知部212、受光時間カウンタ213、トナー残量換算部214を備える。
【0023】
受光部302の出力は、受光検知部212に入力される。受光検知部212は、所定レベル以上の光が受光された場合にのみ受光時間カウンタ213に出力信号(以下、受光信号)を送る。受光時間カウンタ213は受光信号を受けた時間を計測し、計測値をトナー残量換算部214に送る。
トナー残量換算部214は、受光時間カウンタ213の計測値と攪拌周期から、トナー収容部301のトナー残量を導出し、CPU205に検出データとしてトナー残量A(%)を送る。
なお、ここでは1つのカートリッジについてのトナー残量検知方法について説明したが、本実施例では上述したトナー残量検知部207を各ステーションに備えており、トナー収容部301内のトナー残量を独立して算出しCPU205に送ることが可能である。
【0024】
また、本実施例では、トナー攪拌部材305を所定の周期で回転させるための回転速度を、印字(プリント、画像形成)動作中の現像駆動モータ211の回転速度の3分の1の速度とした。これは、トナー攪拌部材305の回転速度がトナー残量検知の精度に影響するためである。
具体的には、トナー攪拌部材305の回転速度によって、攪拌されるトナー収容部301内のトナーDと空気の混ざり具合が変わり、その結果トナー収容部301内のトナーDの流動性が変わるためである。一般的に、トナー攪拌部材305を高速で回転させると、トナーDと空気が良く混ざりトナーDの流動性が高くなり、トナー攪拌部材305を逆に低速で回転させるとトナーDの流動性は低くなる。
【0025】
トナーDの流動性が高いと、トナー攪拌部材305が光透過窓303の表面上を覆っているトナーDを拭き取ってもすぐに、トナーDが光透過窓303を再度覆ってしまう。そのため、トナー残量が多い場合と少ない場合での受光部302が光を検知する時間の長さの差が少なくなり、トナー残量を正確に検知できなくなってしまう。
【0026】
以上の理由から、トナー残量検知実行時に一度、プリント動作を停止(中断)させ、トナー攪拌部材305を駆動するための現像駆動モータ211による回転速度をプリント動作時の3分の1に減速させる必要があるため、ダウンタイムが発生する。
【0027】
(画像形成装置の制御部の構成)
次に、画像形成装置の制御部全体のシステム構成について図4(a)のブロック図を用いて説明する。
図4(a)において、200はホストコンピュータ、201はコントローラ部、203はエンジン制御部である。また、エンジン制御部203は、ビデオインタフェース部204、CPU205、カートリッジNVRAM制御部206、トナー残量検知部207、トナー消費量推定部208、を有している。
【0028】
コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像情報と印字命令を受け取る。そしてコントローラ部201は、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換し、ビデオインタフェース部204を介して、シート毎に印字予約コマンド、印字開始コマンド及びビデオ信号をエンジン制御部203に送出する。
【0029】
エンジン制御部203のCPU205は、各種センサ209から取得した情報に基づいて、各種アクチュエータ210に対して出力を行うことによって画像形成動作を完了させ
る。CPU205は、プログラムコード及びデータを記憶したROM219及び一時的なデータ記憶に用いるRAM220を備えている。アクチュエータの内、YMCKの各ステーションの現像駆動モータ211には、各ステーションの感光体ドラム5、現像ローラ8R、トナー攪拌部材305が接続されている。CPU205が信号を出力し、現像駆動モータ211を回転させることで、感光体ドラム5、現像ローラ8R、トナー攪拌部材305へ駆動力が供給される。
【0030】
また、トナー消費量推定部208は、コントローラ部201から送信された画素信号を入力とし、トナーの消費量を画像形成ステーション毎に推定する。トナー残量検知部207は、図3に示した発光部300及び受光部302を操作することで各カートリッジのトナー収容部301内のトナー残量を測定する。カートリッジNVRAM制御部206は、図3に示したカートリッジに備えられたNVRAM読み書き部306と接続され、不揮発メモリ読み取り部306を介して、カートリッジNVRAM307に対して読み書きを行うことができる。
【0031】
(トナー消費量推定部)
画像形成動作時のトナー消費量(現像剤消費量)を随時推測するトナー消費量推定部(算出装置)208について以下に説明する。
一般にトナーの消費量は、画像形成動作によりシートに形成される画像の画像情報として、出力画像の画素情報(画素信号数(ピクセルカウント数))に比例して大きくなっていくので、以下の計算式を適用しトナー消費量Wの推測を行う。
W=PC×Wdot・・・式(1)
【0032】
ここで、トナー消費量Wは、新品カートリッジのトナー残量が100%とした場合のトナー消費量を表し、単位は%である。PCは、感光体ドラム表面を露光するために画素信号がONである回数を数えたピクセルカウント値であり、単位はpixelである。Wdotは、1ピクセルあたりのトナー消費量であり単位は、%/pixelである。また、Wdotは、カートリッジのトナー容量によって決まる値である。
【0033】
図4(c)は、本実施例におけるトナー消費量推定部208のシステム構成のブロック図である。
トナー消費量推定部208は、図4(c)に示すように、画素信号入力部215、画素信号カウンタ216、推定消費量換算部217、消費量データ出力部218を備える。
ホストコンピュータ200から送られてくる画像データは、コントローラ部201で展開され、出力画像の画素信号に変換される。変換された画素信号は、エンジン制御部203のビデオインタフェース部204を介して画素信号入力部215に入力され、画素信号カウンタ216でカウントしやすいように電圧Low/Highのアナログ信号から1/0のディジタル信号に成形される。
【0034】
画素信号カウンタ216は、画素信号入力部215で成形された1ページのプリント動作毎の画素信号をカウントし、上記のPC値を1ページのプリント動作毎に出力する。出力されたPC値は推定消費量換算部217に送られ、上記式(1)により、トナー消費量Wが算出される。算出されたトナー消費量Wは、消費量データ出力部218を介してCPU205に出力される。
CPU205は、上述したトナー残量検知部207で求められたトナー残量Aに対してトナー消費量Wを減算していくことで、推定のトナー残量を逐次求めていく。
【0035】
また、CPU205は、消費量データ出力部218から受け取ったトナー消費量Wを、CPU205内のRAM220に記憶している累積トナー消費量Wintに加算し、現在のカートリッジのトナー総消費量(現在の累積トナー消費量Wint)を求める。
CPU205は、カートリッジNVRAM制御部206に累積トナー消費量Wintの書き込みを要求し、カートリッジNVRAM制御部206は、カートリッジに備えられたカートリッジNVRAM307に累積トナー消費量Wintを記憶させる。
【0036】
これは、画像形成装置からカートリッジを着脱可能なためであり、CPU205は、カートリッジが取り変わったことを検知した場合、次のような動作を行う。すなわち、CPU205内のRAM220の累積トナー消費量Wintを、カートリッジNVRAM制御部206を介してカートリッジに備えられたカートリッジNVRAM307に記憶されている累積トナー消費量Wintで上書きする。
これにより、カートリッジとプリンタの組み合わせが変わった場合でも、正常に累積トナー消費量Wintを求めることが可能になる。
【0037】
CPU205は、ある時点における推定のトナー残量を、次のようにして求めることもできる。
それには、ある時点に対して最後にトナー残量検知部207で求めたトナー残量Aと、トナー残量Aを求めた時点での累積トナー消費量Wintを記憶した値である基準トナー消費量Wbと、ある時点における累積トナー消費量Wintの3つを用いる。そして、これらを用いて、ある時点における推定のトナー残量を次の式、
(推定のトナー残量)=A−(Wint−Wb)
により逐次求めることができる。
【0038】
(トナー残量検知実行判断処理)
次に、本実施例の画像形成装置における、トナー残量検出実行間隔算出処理と、トナー残量検出実行間隔算出結果を用いて行うトナー残量検知実行判断処理について図5を用いて説明する。
図5は、CPU205により実行されるトナー残量検知実行判断処理について示す図である。ここでは説明を簡単にするため、1つのカートリッジについてのトナー残量検知実行判断処理についてのみ説明している。本実施例の構成のように複数のカートリッジが設けられている場合のトナー残量検知実行判断処理については、後述するトナー残量検知併行判断処理で説明をする。
【0039】
CPU205は、プリント動作を行い、累積トナー消費量Wintが更新される度に、図5に示すトナー残量検知実行判断処理を実行する。
CPU205は、前回トナー残量検知実行時に求められているトナー残量検知実行閾値Wthと、前回トナー残量検知実行時の時点の累積トナー消費量である基準トナー消費量Wbと現在の累積トナー消費量Wintの差を比較する。そして、基準トナー消費量Wbと累積トナー消費量Wintの差が、トナー残量検知実行閾値Wth以上になった場合(予め設定された条件を満たした場合に相当)、トナー残量検知が必要と判断し、トナー残量検知の実行を開始する(S501)。前記の値(検知結果)がトナー残量検知実行閾値Wth未満の場合、トナー残量検知の実行をせず、トナー残量検知実行判断処理を終了する(S501)。
【0040】
CPU205は、トナー残量検知が必要と判断した場合、トナー残量検知を実行するためにプリント動作を中断し、現像駆動モータ211をトナー残量検知実行用の速度で駆動させる(S502)。CPU205は、現像駆動モータ211を駆動することでトナー攪拌部材305を回転させると、トナー残量検知部207に、トナー残量検知の実行を要求する。トナー残量検知部207は、前述したトナー残量検知の処理によってトナー残量Aの算出し、トナー残量AをCPU205に送る(S503)。
【0041】
CPU205は、トナー残量検知部207からトナー残量Aを受信すると、式(2)を
用いてトナー残量検知実行閾値Wthを求める(設定する)(S504)。CPU205は、基準トナー消費量Wbを現在の累積トナー消費量Wintで更新する(S505)。CPU205は、トナー残量検知の処理が完了すると、S502で変更した現像駆動モータ211の駆動速度を通常のプリント動作用の速度に戻し、プリント動作を再開し、トナー残量検知実行判断処理を完了する(S506)。
【0042】
ここで、トナー残量検知実行閾値Wthは予め設定された条件に相当するものであり、本実施例では、トナー残量検出実行間隔算出処理によって求めている。本実施例でトナー残量検知実行閾値Wthは、トナー残量検知部207によって測定したトナー残量Aによって式(2)に示す閾値関数Fthで決まる値とする。
Wth=Fth(A)=Max(3%,0.25×A)・・・(2)
ここで、関数Max(p1,p2,・・・,pn)は、パラメータpi(i=1〜n)の中で最大の値を求める関数である。
【0043】
トナー残量Aとトナー残量検知実行閾値Wthの関係を図6に示す。
図6に示すように、トナー残量検知実行閾値Wthは、トナー残量が多い場合は、トナー残量検知の実行間隔が長くなり、トナー残量が少ない場合は実行間隔が短くなるように設定されている。これは、トナー残量が多い時は、精度良くトナー残量を検知する必要がなく、トナー残量が少ない時は、トナーが空になるタイミングを正確に把握しユーザに通知するため、精度良くトナー残量を検知する必要があるためである。
また、トナー残量検知実行閾値Wthを下限3%で張り付けている理由は、カートリッジの寿命末期でトナー残量検知の実行が頻繁に発生することにより、ダウンタイムが増加することを防ぐためである。
【0044】
次に、上述したトナー残量検知実行判断処理によって、1つのカートリッジでトナー残量検知が実行される過程を、図7を用いて説明する。図7中で、破線は、トナー消費量推定部208によって求めたトナー残量の推測値を表し、実線は、実際のトナー収容部301内のトナー残量を表している。
【0045】
カートリッジは初期状態である時点0で、トナー残量が100%の新品状態であるとする。この時、トナー残量Aは100%、トナー残量検知実行閾値Wthは0.25×100=25%、基準トナー消費量Wbは0%、累積トナー消費量Wintは0%である。
CPU205は時間経過とともに画像形成動作を繰り返し、その都度CPU205はトナー消費量推定部208から出力されるトナー消費量Wを受け取る。CPU205は、現在のトナー残量Aから逐次(随時)、トナー消費量Wを減算することで、推定のトナー残量(破線)を求めていく。トナー消費量Wは推定値であるため、推定のトナー残量(破線)と実際のトナー残量(実線)の間には少しずつずれが生じる。
【0046】
CPU205は、時点1で実行したトナー残量検知実行判断処理で、基準トナー消費量Wb(=0%)と累積トナー消費量Wint(=25%)の差が、トナー残量検知実行閾値Wth(=25%)以上であることを検知する。CPU205は、トナー残量検知実行判断処理によってトナー残量検知を実行し、トナー残量検知部207から実際のトナー残量A=60%を取得する。
【0047】
CPU205は、トナー残量検知実行判断処理によって、トナー残量検知実行閾値WthをFth(60%)=15%と求め、基準トナー消費量Wbを現在の累積トナー消費量Wintの値(=25%)で更新する。以降、CPU205は、この処理繰り返し、時点2で推測のトナー残量(A−(Wint−Wb))が45%(累積トナー消費量Wintは40%)に達した時点で、トナー残量検知を実行し、実際のトナー残量A=50%を取得する。
【0048】
以上のように、本実施例におけるトナー残量検知実行間隔算出処理とトナー残量検知実行判断処理を用いることで、トナー残量の推測値と実測値が大きく乖離する前にトナー残量検知を実行し、より正確なトナー残量を取得することができる。
【0049】
(トナー残量検知併行判断処理)
次に、本実施例の特徴である複数カートリッジがある場合の現像剤残量検出併行判断手段としてのトナー残量検知併行判断処理について図1を用いて説明する。
ここで、トナー残量検知併行判断処理の概要について説明する。まず、カートリッジ毎のトナー残量の推測結果から、次にトナー残量検知の実行が必要になるまでのカートリッジ毎の間隔(タイミング)を推測する。その結果を用いて、あるカートリッジのトナー残量検知実行の際に他のカートリッジも併行してトナー残量検知を実行すべきかを判断する。実行が必要と判断されたカートリッジのみトナー残量検知を実行するものである。以下、トナー残量検知併行判断処理について詳細に説明する。
【0050】
CPU205は、プリント動作を行い累積トナー消費量Wintが更新される度に、図1に示すトナー残量検知併行判断処理を実行する。なお、以降の説明では、カートリッジ22Y、22M、22C、22KをそれぞれカートリッジC1、C2、C3、C4と表記し、いずれかのカートリッジを表す場合、Ciと表記する。
CPU205は、C1〜C4の各カートリッジについてトナー残量検知を実行するか否かを表す実行要求情報R1〜R4をRAM220に備える。実行要求情報R1〜R4には、トナー残量検知を実行する場合1を、実行しない場合に0が格納されている。なお、実行要求情報R1〜R4においても、いずれかの実行要求情報を表す場合、Riと表記する。
【0051】
CPU205は、トナー残量検知実行判断を全てのカートリッジCiに対して行う(S101)。CPU205は、S101でカートリッジCiについてトナー残量検知を実行する必要がある(予め設定された条件を満たした)と判断した場合、実行要求情報Riを1にし(S103)、必要がないと判断した場合、実行要求情報Riを0にする(S102)。
【0052】
CPU205は、実行要求情報R1〜R4の中に1が1つもない場合、今回はトナー残量検知を実行する必要があるカートリッジはないと判断し、トナー残量検知併行判断処理を終了する(S104)。
CPU205は、トナー残量検知の実行が必要であると判断した場合、全てのカートリッジについて現像剤残量変化量推測手段としてのトナー消費量傾きαの算出を以下の式(3)で行う(S105)。
α=Wint÷Np・・・(3)
【0053】
ここで、Wintは、トナー消費量推定部208で求められる現在の累積トナー消費量Wintである。Npは、カートリッジ22の累積トナー消費量Wintのカウントを開始してから現在までの間に印字した総プリント枚数である。総プリント枚数Npは、画像形成装置が画像形成動作を行う度に1加算されるものとし、カートリッジに備えられたカートリッジNVRAM307に記憶されているものとする。また、トナー消費量傾きαは、カートリッジ毎にそれぞれ求めるため、あるカートリッジCiのトナー消費量傾きαをαCiと表す。
なお、総プリント枚数Npは、画像形成動作を行う対象の記録材のサイズに応じて加算する値を変えても良いし、またカートリッジに備えられたカートリッジNVRAM307に記憶する代わりに、CPU205が有するRAMなど他の記憶手段に記憶しても良い。
【0054】
次に、CPU205は、実行要求情報Riが1であるカートリッジCiについて、今トナー残量検知を実行してから、次に再びカートリッジCiのトナー残量検知の実行が必要になるまでの間隔である次回トナー残量検知実行間隔IxCiを求める(S106)。次回トナー残量検知実行間隔IxCiを求める式を、以下の式(4)に示す。
IxCi=Fth(ACi−(WintCi−WbCi))/αCi・・・(4)
【0055】
ここで、次回トナー残量検知実行間隔IxCiは、あるカートリッジ(条件満足ユニット)Ciについて現在の推測のトナー残量を実際のトナー残量であると仮定して求めた、次にトナー残量検知の実行が必要になるまでの予想プリント枚数である。この予想プリント枚数がプリントされたタイミング(時点)は、次に予め設定された条件を満たしたと予測されるタイミングに相当する。CPU205は、この予想プリント枚数がプリントされたタイミングで、次にトナー残量検知の実行が必要になると予想(予測)する。ACi、WintCi、WbCiは、それぞれカートリッジCiのトナー残量A、累積トナー消費量Wint、基準トナー消費量Wbである。
式(4)では、(トナー残量ACi−累積トナー消費量WintCi+基準トナー消費量WbCi)で求めたカートリッジCiの推測のトナー残量を用いて、式(2)に示した閾値関数Fthによって推測の次回トナー残量検知実行閾値を求めている。
【0056】
CPU205は、S106で求めた次回トナー残量検知実行間隔IxCiの内で最小の値のものを、次回トナー残量検知最小実行間隔Imとする(S107)。ここで、次回トナー残量検知最小実行間隔Imは、画像形成装置全体として今回トナー残量検知を実行してから、次回トナー残量検知を実行するまでの間の予想プリント枚数に相当する。
【0057】
次にCPU205は、実行要求情報Riが0であるカートリッジ(条件不満足ユニット)Ciについて、現時点からカートリッジCiのトナー残量検知の実行が必要になるまでの間隔であるトナー残量検知実行間隔IyCiを、以下の式(5)で求める(S108)。
IyCi=(WthCi−(WintCi−WbCi))/αCi・・・(5)
【0058】
ここで、トナー残量検知実行間隔IyCiは、現時点でトナー残量検知の実行が不要なカートリッジCiが、今後トナー消費量傾きαCiでトナーを消費していった場合に、トナー残量検知の実行が必要になるまでの予想プリント枚数である。WthCiは、前回カートリッジCiのトナー残量検知実行時に求めたトナー残量検知実行閾値Wthである。
【0059】
CPU205は、実行要求情報Riが0であるトナー残量検知の実行が不要なカートリッジCiついて、以下の条件式(6)を用いて、今回のトナー残量検知と同時に実行する(併行する)か否かを判断する(S109)。条件式(6)を満たしたカートリッジCiは、実行要求情報Riを1に変更することで、トナー残量検知の実行が必要であるとする(S110)。
IyCi≦Im×Z・・・(6)
CPU205は、条件式(6)によって、実行要求情報Riが0のカートリッジCiについて、次回以降のトナー残量検知実行タイミングでトナー残量検知を実行しても、式(2)の閾値関数Fthで求めたトナー残量検知の実行間隔を満たすか否かを判断している。
【0060】
また、条件式(6)の係数Zは、トナー消費量推定部208の出力から求められる推測のトナー残量の誤差によって、トナー残量検知の実行回数が増えるのを防止するための誤差補正係数であり、1以上の値である。これは、次回トナー残量検知最小実行間隔Imの算出に、推測のトナー残量を用いるためである。
【0061】
推測のトナー残量が、実際のトナー残量よりも少なく見積もられていた場合、次回トナー残量検知最小実行間隔Imは、実際のトナー残量検知の実行間隔よりも短く計算される。そのため、短めの次回トナー残量検知最小実行間隔Imで併行判断を行うと、本来今回のトナー残量検知に併行してトナー残量検知を実行すべきであったカートリッジCiのトナー残量検知が実行されない可能性がある。
【0062】
そのようなカートリッジCiが存在した場合、今回トナー残量検知を実行するカートリッジが次にトナー残量検知の実行が必要になるタイミングよりも早いタイミングでトナー残量検知を実行する必要がでてくる。これによって、最もトナー残量検知を実行する間隔が短いカートリッジの実行タイミング以外にも、トナー残量検知の実行タイミングが生じることになり、画像形成装置がトナー残量検知を実行するためにプリント動作を停止させる回数が増加してしまう。
【0063】
以上の理由より、誤差補正係数Zを1以上の値に設定し、推測のトナー残量が小さめに見積もられていた場合に備えて、次回トナー残量検知最小実行間隔Imを長めに補正にすることによって、ダウンタイムの増加を防止している。なお、本実施例ではトナー消費量推定部208の推定精度が十分良いものとしZ=1とした。
【0064】
以上の処理によって、トナー残量検知を実行すべきカートリッジの判断が完了すると、CPU205は、実行要求情報Riが1である全てのカートリッジCiについて、トナー残量検知を同時に実行するためにトナー残量検知同時実行処理を開始する(S111)。
CPU205は、トナー残量検知を実行するためにプリント動作を中断する(S151)。そして、実行要求情報Riが1のカートリッジCiのトナー攪拌部材305を回転させる現像駆動モータ211をトナー残量検知実行用の速度で駆動させ、それ以外の現像駆動モータ211を停止させる(S152、S153、S154)。
【0065】
CPU205は、トナー攪拌部材305を回転させると、トナー残量検知部207に、実行要求情報Riが1であるカートリッジCiのトナー残量検知の実行を要求する(S155)。トナー残量検知部207は、前述したトナー残量検知の処理によってトナー残量Aの算出し、実行要求情報Riが1であるカートリッジCiについてトナー残量ACiをCPU205に送る(S155)。
【0066】
CPU205は、トナー残量検知部207からトナー残量ACiを受信すると、実行要求情報Riが1であるカートリッジCiについて、式(2)を用いてトナー残量検知実行閾値WthCiを求める(S156、S157)。そして、基準トナー消費量WbCiを現在の累積トナー消費量WintCiで更新する(S158)。
実行要求情報Riが0であるカートリッジCiについては何もしない(S156)。
【0067】
トナー残量検知の処理が完了すると、CPU205は、S152、S153、S154で変更または停止した現像駆動モータ211の駆動速度を通常のプリント動作用の速度に設定する(S159)。最後に、CPU205は、プリント動作を再開し(S160)、トナー残量検知同時実行処理およびトナー残量検知併行判断処理を完了する。
【0068】
(トナー残量検知併行判断処理の動作例)
次に、上記トナー残量検知併行判断処理によって、トナー残量検知実行によるダウンタイムの増加とカートリッジの短命化が解決される様子を、図8を用いて説明する。図8は、各カートリッジのトナー残量の変化と、トナー残量検知併行判断処理によってトナー残量検知が実行される様子を説明するための図である。なお、以降の説明を簡単にするために、図8では、C1とC2の2つのカートリッジについてのみトナー残量を図示し、トナー消費量推定部208の出力を用いて求められる推定のトナー残量と実際のトナー残量の
間に誤差はなく等しいとした。
【0069】
図8において、時点0でカートリッジC1は、(推測のトナー残量)=(実際のトナー残量)=100%の新品状態であり、AC1=100%、WthC1=25%、NpC1=0枚、WintC1=0%、WbC1=0%であるとする。また、カートリッジC2は、(推測のトナー残量)=(実際のトナー残量)=30%とし、AC2=30%、WthC2=7.5%、NpC2=0枚、WintC2=0%、WbC2=0%であるとする。
【0070】
CPU205がプリント動作を繰り返すと、カートリッジC1、C2においてWintとNpが増加していく。図8(a)に示す時点1では、カートリッジC2がトナー残量検知併行判断処理S101の条件を満たしているため、CPU205は実行要求情報R2=1に設定する。このとき、カートリッジC1は、S101の条件を満たさないため、実行要求情報R1=0に設定される。CPU205は、カートリッジC1、C2のそれぞれに対して、トナー消費量変化量αCi(図8中のグラフの傾きに相当)を求める。図8に示すカートリッジC1、C2のトナー消費量変化量αは、以降の計算を簡略化するためそれぞれ、αC1=5、αC2=3と求められたものとする。
【0071】
CPU205は、カートリッジC2について、次回トナー残量検知最小実行間隔Imを求める。時点1でカートリッジC2は、WintC2=WthC2=7.5%であるため、Im=IxC2=0.25×(30%−(7.5%−0%))/3=1.87と求められる。
次に、CPU205は、カートリッジC1について、トナー残量検知実行間隔IyC1を求める。時点1でのカートリッジC1のWintは、カートリッジC2のトナー消費量の5/3倍の12.5%であるため、IyC1=(25%−(12.5%−0%))/5=2.5と求められる。
【0072】
CPU205は、求めたImとIyC1を条件式(6)で比較し、IyC1(=2.5)≦Im(=1.87)が満たされないと判断し、カートリッジC1についてトナー残量検知を併行しないと判断(決定)する(R1=0のまま)。CPU205は、カートリッジC2の現像駆動モータ221Mのみ低速で駆動した状態で、トナー残量検知部207に対してカートリッジC2のトナー残量検知の実行を要求する。
トナー残量検知の結果、CPU205は、カートリッジC2の実際のトナー残量22.5%を取得する。CPU205は、AC2=22.5%、WthC2=5.6%、WbC2=7.5%に値をそれぞれ更新する。
【0073】
その後、プリント動作が再開され、しばらくすると図8(b)に示した時点2でカートリッジC2がトナー残量検知併行判断処理S101の条件を満たし、CPU205は実行要求情報をR1=0、R2=1にそれぞれ設定する。CPU205は、時点1と同様の処理を行うことでIm=(0.25×(22.5%−5.6%))/3=1.4、IyC1=(25%−(21.8%−0%))/5=0.64をそれぞれ求める。
CPU205は、ImとIyC1を条件式(6)で比較し、IyC1(=0.64)≦Im(=1.4)より条件を満たしていると判断し、カートリッジC1の実行要求情報R1を1に変更する。
【0074】
CPU205は、カートリッジC1、C2の現像駆動モータ221Y、221Mを低速で駆動した状態で、トナー残量検知部207に対して、カートリッジC1、C2のトナー残量検知の実行を要求する。
トナー残量検知の結果、CPU205は、実際のトナー残量を、カートリッジC1は78.2%、カートリッジC2は16.9%とそれぞれ取得する。そしてCPU205は、カートリッジC1はAC1=78.2%、WthC1=19.6%、WbC1=21.8
%、カートリッジC2はAC2=16.9%、WthC2=4.2%、WbC2=13.1%に値をそれぞれ更新する。
【0075】
同様に、図8(c)の時点3で、カートリッジC2がトナー残量検知併行判断処理S101の条件を満たすと、CPU205は実行要求情報をR1=0、R2=1にそれぞれ設定する。CPU205は、Im=0.25×(16.9%−4.2%)/3=1.1、IyC1=(19.6%−(28.8%−21.8%))/5=2.5をそれぞれ求める。
そしてCPU205は、条件式(6)により、カートリッジC1は、IyC1(=2.5)≦Im(=1.1)で条件を満たさず、トナー残量検知を併行しない(R1=0のまま)と判断し、時点3ではカートリッジC2のみトナー残量検知を実行する。
【0076】
ここで、図8(b)中星印で示したカートリッジC1のトナー残量検知実行の推測タイミングに着目して説明する。
図8(b)に示す時点2では、トナー残量検知併行判断処理S109によって、ImとIyC1が条件式(6)で比較され、IyC1≦Imより条件を満たしていると判断される。これにより、カートリッジC1のトナー残量検知実行タイミングは、星印で示した推測タイミングよりも前にある他のカートリッジのトナー残量検知実行タイミングの内、最もタイミングが近いトナー残量検知のタイミングに繰り上げられる。
【0077】
このように、トナー残量検知併行判断処理では、トナー残量検知実行タイミングが近い他のカートリッジのトナー残量検知実行タイミングと同時にトナー残量検知を実行するように制御している。このことで、画像形成装置全体としてのトナー残量検知の実行回数を減らし、かつ本来トナー残量検知の実行が必要なタイミングでのみトナー残量検知を実行することが可能となる。これにより、十分な精度を満たす間隔でトナー残量検知を実行することを実現している。
【0078】
以上説明したように本実施例では、トナー残量検知併行判断処理により、複数のカートリッジのトナー残量検知を同時に実行するか否かを判断し、トナー残量検知実行タイミングが近いカートリッジは同時にトナー残量検知を実行するように制御している。すなわち、いずれかのカートリッジでトナー残量検知を実行するタイミングで、他のカートリッジのトナー残量を併行して検知するか否かを、次にトナー残量検知を実行するまでのタイミングを予測して判断している。
これにより、トナー残量検知実行回数を最低限にし、かつカートリッジ毎のトナー残量検知(不要なトナー残量検知)の実行回数も減らし、トナー残量検知実行によるダウンタイムの発生とカートリッジの短命化の両方を抑えることが可能になる。
【0079】
ここで、本実施例においては、トナー残量検知併行判断処理において、トナー残量検知実行判断を、トナーの残量に基づいて行うものであったが、これに限るものではなく、トナーの消費量が予測できるものに基づいて行われるものであればよい。例えば、プリント枚数に基づいて、トナー残量検知実行判断が行われるものであってもよい。この場合には、プリント枚数が予め設定された枚数となった場合に(図1のS101でYesに相当)、トナー残量検知が必要と判断して、実行要求情報Riを1にするようにする(図1のS103に相当)。
予め設定された枚数としては、例えば、式(3)から求められるトナー消費量傾きαとトナー残量から、求めることができる。そして、現時点で実行要求情報Riが0のカートリッジがその後にトナー残量検知の実行が必要になるまでの予想プリント枚数と、実行要求情報Riが1のカートリッジが次にトナー残量検知の実行が必要になるまでの予想プリント枚数とを比較する。前者の予想プリント枚数が、後者のプリント枚数以下となる場合には、前者のカートリッジの実行要求情報Riを1にする。
このように、前者のカートリッジがその後に予め設定された条件を満たしたと予測され
るタイミング(時点)が、次のような場合に前者のカートリッジの実行要求情報Riを1にする。すなわち、そのタイミングが、後者のカートリッジが次に予め設定された条件を満たすと予測されるタイミングと同じかそれよりも前となる場合には、前者のカートリッジの実行要求情報Riを1にする。このようにして、トナー残量検知併行判断処理を行ってもよい。
【0080】
また、トナー残量検知手段の検知方式は、上述の光学検知方式に限るものではない。すなわち、トナー残量検知の実行によってダウンタイムとカートリッジの寿命に影響を及ぼすようなトナー残量検知手段が画像形成装置に設けられている場合であれば、本発明を好適に適用することができる。また、トナー残量推定手段についても、上述したピクセルカウントによる方法に限るものではない。すなわち、印字された記録材の枚数や面積による方法等のトナー残量が推定可能な手段であればよい。
【実施例2】
【0081】
以下に、実施例2について説明する。
(画像形成装置の構成)
上述した実施例1では、トナー残量検知をカートリッジ毎に独立して実行可能な構成における、トナー残量検知併行判断処理の方法について説明した。しかしながら、装置の構成上の制約によって、トナー残量検知を独立して実行できないカートリッジの組み合わせを持つ画像形成装置が考えられる。本実施例では、このような装置にトナー残量検知併行判断処理を適用した場合について説明する。
【0082】
図9は、本実施例における画像形成装置のエンジン制御部のブロック図を示す。
装置の低コスト化への要求を実現するために本実施例の画像形成装置では、Yトナー、Mトナー、Cトナーを格納したカートリッジ22の感光体ドラム5と、現像ローラ8Rと、トナー攪拌部材305とを駆動する現像駆動モータ211が1つに共通化されている。ここで、トナー攪拌部材305は少なくとも現像剤残量検知の実行時に駆動される被駆動部材に相当する。本実施例において、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
本実施例では、カートリッジ22Yでトナー残量検知を実行するためにトナー攪拌部材305Yを回転させると、同時にカートリッジ22M及びカートリッジ22Cのトナー攪拌部材305M、305Cも連動して同時に回転し始める。このため、カートリッジ22Yでトナー残量検知を実行し、カートリッジ22M、22Cのトナー残量検知を実行しなかった場合でも、カートリッジ22M、22Cのトナー攪拌部材305が回転しまうため、格納されているトナーの劣化が進んでしまう。
同様に、カートリッジ22Yのトナー攪拌部材305Yを回転させると、カートリッジ22M、22Cの現像ローラ8MR、8CRも回転するため、現像ローラ8Rと感光体ドラム5が当接状態で駆動されることで感光体ドラム5M、5C表面の消耗が進んでしまう。
【0084】
そのため、カートリッジ22Y、22M、22Cのいずれかについてトナー残量検知を実行した場合、他のカートリッジについてトナー残量検知を実行するか否かに関わらずカートリッジの耐久寿命は短くなる。このため、必ずカートリッジ22Y、22M、22Cのトナー残量検知は併行し、トナー残量を検知させる方法が良いと言える。
カートリッジ22Y、22M、22Cは、必ず同時にトナー残量検知を実行するため、本実施例ではこれら3つのカートリッジを非独立なカートリッジ(非独立カートリッジ)と呼ぶこととする。ここで非独立カートリッジは、複数の画像形成ユニットのうちの幾つかの画像形成ユニットに相当する。
【0085】
(本実施例におけるトナー残量検知併行判断)
次に、本実施例におけるトナー残量検知併行判断処理について図10を用いて説明する。実施例1におけるトナー残量検知併行判断処理と異なる点は、実行要求情報Riを求めた後に非独立カートリッジ実行要求修正処理(S1001、S1002)を実行する点である。それ以外の処理に関しては、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0086】
CPU205は、S101、S102及びS103の処理で求めた実行要求情報Riが1であるカートリッジが1つでもあった場合、非独立カートリッジ実行要求修正処理(S1001)を実行する。これによって、実行要求情報Riが1であるカートリッジCiに対して非独立となるカートリッジCjの実行要求情報Rjも1に変更する(S1003、S1004、S1005)。
また、CPU205は、S110において、カートリッジCiの実行要求情報Riが0から1に変更された場合、同様に非独立カートリッジ実行要求修正処理を実行する。このことによって、実行要求情報Riが0から1に変更されたカートリッジCiに対して非独立となるカートリッジCjの実行要求情報Rjも1に変更させる(S1002)。
【0087】
CPU205は、以上の処理によって非独立なカートリッジ全ての実行要求情報Riは必ず同じ値に揃えることができ、S111のトナー残量検知同時実行処理において非独立なカートリッジのトナー残量検知を必ず同時に実行させることが可能となる。
これにより、非独立なカートリッジは、最もトナー残量検知実行間隔が短いカートリッジのトナー残量検知実行タイミングに合わせてトナー残量検知を実行させることができる。
【0088】
以上説明したように、本実施例によれば、現像駆動モータの共通化によって、独立してトナー残量検知を実行できないカートリッジ(非独立カートリッジ)の組み合わせが存在した場合においても、実施例1同様の効果を得ることができる。
本実施例では、非独立カートリッジのうちトナー残量検知実行タイミング(トナー残量検知実行間隔)が最も早いタイミングのカートリッジに揃えてトナー残量検知併行判断処理を行うことができる。これにより、トナー残量検知実行によるダウンタイムの発生とカートリッジの短命化の両方を抑えることが可能になるものである。
【符号の説明】
【0089】
5…感光体ドラム、8…現像器、22…カートリッジ、205…CPU、207…トナー残量検知部、301…トナー収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像手段と、
前記現像手段で用いられる現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部内の現像剤の残量を検知する残量検知手段と、
をそれぞれ有し、画像形成装置本体に対して交換可能に設けられた複数の画像形成ユニットを備えた画像形成装置において、
前記複数の画像形成ユニットのうち予め設定された条件を満たした条件満足ユニットに対して、前記残量検知手段による現像剤残量検知を実行するための実行手段を備え、
前記実行手段は、
前記条件満足ユニットに対して、前記残量検知手段による現像剤残量検知を実行する場合であって、前記複数の画像形成ユニットのうち予め設定された条件を満たしていない条件不満足ユニットのなかで、その後に予め設定された条件を満たすと予測されるタイミングが、前記条件満足ユニットが次に予め設定された条件を満たすと予測されるタイミングと同じかそれよりも前となる条件不満足ユニットが存在する場合、
その条件不満足ユニットに対する現像剤残量検知を前記条件満足ユニットに併行して実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
予め設定された条件とは、前記残量検知手段による現像剤残量検知の検知結果から設定される現像剤の残量の閾値であり、
前記残量検知手段による現像剤残量検知の検知結果から、現像剤の残量の閾値を設定する設定手段と、
前記現像剤収容部内の現像剤の残量を随時推測する残量推測手段と、
を備え、
前記残量推測手段により推測された残量が、前記設定手段により設定された閾値に達した場合に、予め設定された条件を満たすこととなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の画像形成ユニットごとに設けられ前記現像手段を構成する被駆動部材であって、少なくとも現像剤残量検知の実行時に駆動される被駆動部材が設けられ、
前記複数の画像形成ユニットのうちの幾つかの画像形成ユニットの被駆動部材が連動するように構成されており、
前記実行手段は、前記幾つかの画像形成ユニットのうち1つの画像形成ユニットに対して現像剤残量検知を実行しようとする場合には、前記幾つかの画像形成ユニットの全てに対して現像剤残量検知を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−220577(P2012−220577A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83871(P2011−83871)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】