画像形成装置
【課題】坪量センサを用いた記録媒体の種別判定手法では、坪量が同等であるグロス紙と厚紙の区別をすることができないため最適な画像形成条件が整えられず画像不良の一因になっていた。
【解決手段】記録媒体の曲げ剛性を利用し記録媒体の戻り挙動を非接触距離センサで測定し、その出力プロファイルの違いから記録媒体の種別を判断する。これにより坪量センサで区別できなかた同等坪量のグロス紙と厚紙を区別することができる。また、記録媒体の種別情報から画像形成条件を最適にし、画像品質を向上させるとともに、ユーザにプリントモード指定を要求しないで済む。
【解決手段】記録媒体の曲げ剛性を利用し記録媒体の戻り挙動を非接触距離センサで測定し、その出力プロファイルの違いから記録媒体の種別を判断する。これにより坪量センサで区別できなかた同等坪量のグロス紙と厚紙を区別することができる。また、記録媒体の種別情報から画像形成条件を最適にし、画像品質を向上させるとともに、ユーザにプリントモード指定を要求しないで済む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装置内に搬送された記録媒体の種類(種別)を判定する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【0002】
画像形成装置は、記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に対して電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の画像形成部で画像を転写方式あるいは直接方式で形成することができる装置であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能などである。
【背景技術】
【0003】
画像形成装置自体が装置内に搬送された記録媒体の種類を判別できることは、すなわち最適な画像形成条件を使用者に頼らず自動で決められることを意味するので、プリントクォリティーを高める上でもユーザビリティーの観点からも重要な技術となっている。
【0004】
記録媒体判別手段としては、記録媒体表面の多方向反射率関数を計測して判別するもの(特許文献1)や超音波式センサから記録媒体の坪量を判断して種類を判別するもの(特許文献2)がある。また複数のセンサを組み合わせることで(特許文献3)記録媒体の種類の判別性能を高めている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−48438号公報
【特許文献2】特公平1−39540号公報
【特許文献3】特開2003−112840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録媒体を正確に判定するために複数のセンサを使用するとスペースを必要とし、コストも上がる。また、センサを限定すると記録媒体の種別判定能力に影響するという課題がある。従来技術である、坪量から記録媒体の種別を判断している場合、同じ坪量であるグロス紙と厚紙の判別はできなかった。その為、グロス紙と厚紙で転写バイアスやループ制御、定着温度制御の差別化ができないため、プリント品質を割り切らざるを得なかった。
【0007】
本発明の目的は記録媒体の種別を広く判定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は記録媒体の種別を広く判定し最適な画像転写バイアスを決定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の更に他の目的は記録媒体の広く種別を判定し最適な定着温度を決定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は記録媒体の種別を広く判定し最適なループ量を確保して画像不良を防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体を挟持して搬送する挟持部を有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を非接触で検知する非接触距離センサを有し、前記制御手段は、前記挟持部で記録媒体を挟持した状態で前記非接触距離センサを用いて搬送されている記録媒体を検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体の種別を広く判定することができる画像形成装置を提供することができる。記録媒体の種類を判別する機能で得られた記録媒体の種別情報に応じて画像形成条件を最適にできて画像品質の向上を図ることができる。
【0013】
また、画像形成装置本体側で記録媒体の種別が判定できるので、使用者のプリントモード指定において記録媒体の指定間違いがあっても最適な画像形成条件でプリントできる。さらに、画像形成装置本体側で記録媒体の種別が判断できるので、そもそも使用者にプリントモードの指定を要求することがいらないのでユーザビリィテー向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成の模式図
【図2】非接触距離センサの説明図
【図3】非接触距離センサの検出距離と電圧の関係図
【図4】記録媒体ループ量制御の説明図
【図5】記録媒体種類判別の説明図
【図6】種々の記録媒体に対する非接触距離センサの出力プロファイル
【図7】同等坪量のグロス紙と厚紙紙に対する非接触距離センサの出力プロファイル
【図8】実施例2における記録媒体種類判別の説明図(その1)
【図9】可動ガイド部材の動作説明図
【図10】実施例2における記録媒体種類判別の説明図(その2)
【図11】実施例2における記録媒体種類判別の説明図(その3)
【図12】実施例2における記録媒体ループ量制御の説明図
【図13】実施例3における記録媒体ループ量制御の説明図
【図14】実施例3における記録媒体種類判別の説明図
【図15】実施例4における記録媒体種類判別の説明図
【図16】実施例5における記録媒体ループ量制御の説明図
【図17】実施例5における記録媒体種類判別の説明図
【図18】実施例6における記録媒体種類判別の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な説明
図1は本発明に従う画像形成装置例の要部の概略の構成模式図である。この画像形成装置Aは、電子写真方式、中間転写方式、インライン型のフルカラーレーザープリンタである。ホスト装置Dから制御回路部(制御手段:CPU)Bに入力する画像情報(電気的な画像信号)に基づいて記録媒体(記録材、転写材)Sにカラー画像の形成を行う。ホスト装置Dは、パソコン、イメージリーダー、ファクシミリ装置等である。記録媒体Sは装置Aによって画像が形成されるシート状物である。例えば、用紙、ラベル、OHTシート等が挙げられる。
【0016】
制御回路部Bはホスト装置Dや操作部Cとの間で各種の電気的情報の授受を行う、かつ、装置Aの画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。従って、以下に説明する画像形成動作は制御回路部Bによって制御される。操作部Cには使用者が所望の画像形成実行条件等を制御回路部Bに入力したり、設定したりすることができる各種の操作キーや表示器等が配設されている。
【0017】
装置Aの内部には、図1において左から右に順に並列配設した、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色トナー像を形成する第1から第4の4つの作像ユニットU(UY、UM、UC、UK)が配設されている。
【0018】
各ユニットUは、それぞれの現像装置4に収容した現像剤のトナーの色が互いに異なるだけで、何れも同様の構成を有するレーザ走査露光方式の電子写真画像形成機構である。各ユニットUは、それぞれ、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
【0019】
また、各ドラム1の周囲には、ドラム1に作用する電子写真プロセス機器が配設されている。本例では、一次帯電器2、露光装置3、現像装置4、一次転写器5、ドラムクリーナ6等が配設されている。一次帯電器2は電源部(不図示)から所定の帯電バイアスが印加されて、ドラム1の表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。
【0020】
露光装置3は本例ではレーザスキャナである。スキャナ3は、半導体レーザ、回転多面鏡、fθレンズ、反射鏡などを有する。そして、カラー画像を色分解した光像又はこれに相当する光像に対応する画像情報に基づいてレーザ光LをON/OFF変調しながら、回転するドラム1の帯電処理面をドラム母線方向に主走査露光する。この露光によりドラム1の面に露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0021】
現像装置4はドラム1に形成された静電潜像がトナー像として可視化する。第1のユニットUYの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はY色、第2のユニットUMの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はM色である。第3のユニットUCの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はC色、第4のユニットUKの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はK色である。
【0022】
上記4つのユニットUY、UM、UC、UKの下方には、中間転写ベルトユニット7が配設されている。ベルトユニット7は、中間転写体としての無端状で可撓性を有する中間転写ベルト8を有する。ベルト8は、駆動ローラ9と、ターンローラ10と、2本の補助ローラ11・12の略並行4本のローラを支持部材(ベルト懸架部材)として、これらのローラ間に張架(懸回張設)されている。
【0023】
ローラ9は第1のユニットUY側に、ローラ10は第4のユニットUK側に、ローラ11・12はローラ9とローラ10の間の下方に位置している。ベルト8はローラ9が駆動手段M9によって回転駆動されることで矢印の時計方向にドラム1の回転速度とほぼ同じ速度で回転(循環走行)する。ローラ10、ローラ11・12はローラ9の駆動によるベルト8の回転に従動して回転する。
【0024】
ベルト8の内側には各ユニットUのドラム1にそれぞれ対応する一次転写器としての第1から第4の4つの転写ローラ5が配設されている。各ローラ5は、ローラ9とローラ10との間のベルト部分の内側に互いに並行に配設されていて、それぞれ、ベルト8を挟んで対応するユニットUのドラム1の下面に圧接させてある。各ローラ5はベルト8の回転に従動して回転する。各ユニットUのドラム1とベルト8との接触部が、それぞれ、ドラム1からベルト8に画像を転写する転写部(一次転写部)Eである。
【0025】
ローラ9のベルト懸回部にはベルト8から記録媒体Sに画像を転写する転写部(二次転写部)Iを具備させている。本実施例においてはローラ9のベルト懸回部に二次転写ローラ19を当接させて転写部Iを構成している。ベルト8とローラ19との接触部N19が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(二次転写ニップ部)である。ローラ19はベルト8の回転に従動して回転する。
【0026】
以上説明した装置機構部が、後述する記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に対して画像(未定着像)を形成する画像形成部である。フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。ホスト装置Dから制御回路部Bにフルカラー画像情報信号が入力する。制御回路部Bは第1から第4のユニットUY、UM、UC、UKにおいて各ドラム1を回転駆動すると共に画像形成シーケンスの所定の制御タイミングで画像形成動作を開始する。また、ベルトユニット7のローラ9を駆動する。これによりベルト8が回転する。
【0027】
第1のユニットUYにおいては、ドラム1面にフルカラー原画像の色分解成分像の内のY色成分像に対応したY色トナー像が形成される。第2のユニットUMにおいては、ドラム1面にM色成分像に対応のM色トナー像が、第3のユニットUCにおいては、ドラム1面にC色成分像に対応のC色トナー像が、それぞれ、所定の制御タイミングで形成される。また、第4のユニットUKにおいては、ドラム1面にK色成分像に対応のK色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。
【0028】
そして、第1のユニットUYの転写部Eにおいて、ドラム1に形成されるY色トナー像が回転しているベルト8上に一次転写されていく。次いで、第2のユニットUMの転写部Eにおいて、ドラム1に形成されるM色トナー像がベルト8上の上記Y色トナー像に重ねられて一次転写される。更に、同様にして、第3のユニットUCと第4のユニットUKの各転写部Eにおいて、ベルト8上にC色トナー像とK色トナー像が順次に一次転写される。上記の一次転写は各ローラ5に対して電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定の一次転写バイアスが印加されることにより静電的になされる。
【0029】
このようにして、ベルト8上にY色+M色+C色+K色の都合4色の色トナー像が順次に所定に重ね合わされて重畳(多重)転写されて、フルカラーの未定着トナー像(未定着像)が合成形成される。上記のようにしてベルト8上に合成形成された未定着トナー像は、ベルト8の引き続く回転により搬送されて転写部(二次転写部)Iに至る。ここで、各ユニットUにおいてベルト8に対してトナー像を一次転写した後のドラム1の面はドラムクリーナ6により転写残トナー等が除去されて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0030】
一方、制御回路部Bは給紙部Fに積載して収容されている記録媒体Sを一枚ずつ給送するピックアップ部Gを画像形成シーケンスの所定の制御タイミングで駆動する。本例においてピックアップ部Gは給紙ローラ13とこれに当接しているリタードローラ14とで構成されている。ローラ13と14の接触部N13が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(給紙ニップ部)である。
【0031】
給紙ローラ13が矢印の時計方向に回転駆動されることで、給紙部Fに積載されている記録媒体Sの最上位の記録媒体Sに送りがかかり、先端部が挟持部N13に挟持される。最上位の記録媒体Sよりも下位の記録媒体Sの先端部はリタードローラ14で挟持部N13に入らない逆搬送力を受ける。これにより記録媒体Sの重送が阻止されて、最上位の記録媒体Sが一枚分離されて挟持部N13で送り出される。
【0032】
ピックアップ部Gから給送された記録媒体Sは固定して配設されたガイド部材15に沿って記録媒体Sの先端位置を規制するレジスト部Hに搬送される。本例においてレジスト部Hはレジストローラ16とこのローラ16に当接しているコロ17とで構成されている。ローラ16とコロ17の接触部N16が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(レジストニップ部)である。ローラ16は駆動手段M16で矢印の反時計方向に回転駆動される。コロ17はローラ16の回転に従動して回転する。
【0033】
ピックアップ部Gから送り出されてレジスト部Hに到達した記録媒体Sの先端部はその時点では回転停止状態に制御されているローラ16とコロ17との挟持部N16に突き当たって受け止められる。そして、ピックアップ部Gによる引き続く記録媒体Sの送りによりピックアップ部Gとレジスト部Hとの間に記録媒体Sの剛性(こし)に抗してループ形成(ループ状の曲げ状態)がなされる。これにより記録媒体Sの先端全長部が挟持部N16に押し当たって、記録媒体Sの斜行が矯正される。
【0034】
そして、所定の制御タイミング(レジストタイミング)で駆動手段M16によりローラ16の駆動が開始される。これにより、記録媒体Sが挟持部N16に挟持されて、固定して配設されたガイド部材18に沿って転写部(二次転写部)Iに搬送されて挟持部N19に導入される。レジスト部Hは上記のように記録媒体Sの斜行を矯正する役目をすると共に、ベルト8に対するトナー像の形成と記録媒体Sの搬送とを同期させる役目をする。
【0035】
即ち、レジスト部Hは給紙部Fから搬送された記録媒体Sの先端位置を一旦規制する。そして、ベルト8上に形成されたフルカラーの未定着トナー像の画像先端が転写部Iの挟持部N19に到達するタイミングで、記録媒体Sのプリント開始位置が挟持部N19に丁度到達するように、記録媒体Sの先端規制を解除して記録媒体Sの搬送を再開させる。
【0036】
挟持部N19に到達した記録媒体Sはこの挟持部N19を挟持搬送されていく。記録媒体Sが挟持部N19を挟持搬送されていく間、ローラ19には電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定の二次転写バイアスが印加される。これによりベルト8側のフルカラーの未定着トナー像(複数色のトナー像)が記録媒体Sの面に一括して順次に静電的に二次転写される。
【0037】
挟持部N19を出た記録媒体Sはベルト8から分離されて、固定して配設されたガイド部材20に沿って、記録媒体上の未定着像を定着させる定着部Jに搬送される。また、記録媒体Sが分離された後のベルト8上の二次転写残トナーは本例においては第1のユニットUYのドラム1に付着してドラムクリーナ6によって除去される。
【0038】
本例において定着部Jは加熱手段(不図示)で所定の定着温度に加熱されて温調される定着スリーブ21とこのスリーブ21に当接している定着加圧ローラ22とで構成されている。スリーブ21とローラ22の接触部N21が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(定着ニップ部)である。本例の定着部Jはローラ22が駆動手段(定着モータ)M22により矢印の反時計方向に回転駆動される。スリーブ21はこのローラ22の回転に従動して回転する。
【0039】
そして、転写部Iから定着部Jに導入された記録媒体Sは挟持部N21を挟持搬送されていく過程において、スリーブ21の熱により加熱されるとともに挟持部圧で加圧される。これにより、記録媒体S上のフルカラーの未定着トナー像が固着画像として定着される。定着部Jを出た記録媒体Sは、フルカラー画像形成物として機外に排出される。
【0040】
上記において、ピックアップ部Gから、レジスト部H、転写部I、定着部Jを経て機外の排出部に至る経路が記録媒体搬送経路である。そして、それらの各部G、H、I、Jにおいてそれぞれ記録媒体Sを挟持して搬送する挟持部N13,N16、N19、N21を有する。
【0041】
(2)記録媒体の種類判別及び判別結果に基づく画像形成条件の制御
本実施例においては、転写部Iの挟持部N19(第1の挟持部)とこれよりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置する定着部Jの挟持部N21(第2の挟持部)との間に非接触距離センサ23を配設している。センサ23は、ガイド部材20の表面側(記録媒体搬送ガイド面側)とは反対側である裏面側に位置を固定して配設されている。このセンサ23は該センサから検出物である記録媒体Sまでの距離を非接触で計測するセンサである。ガイド部材20のセンサ23の位置に対応する部分には距離検出のための光線がガイド部材20の表面側と裏面側に出入りするための窓穴20aが設けられている。
【0042】
非接触距離センサ23は例えば図2の模式図のようにLEDの発光部300とPSD(位置検出素子)の受光部301によって構成される。発光部300から検出物(対象物体、被検物体)である記録媒体Sへ赤外線302を照射し、記録媒体Sから反射された赤外線302aを受光部301で受ける。そして、受光面上に到達した赤外線の分布中心の位置によって、三角測量方式で記録媒体Sとセンサ23との距離を計測する方式である。
【0043】
受光面への到達赤外線の分布の中心位置を検出して距離に変換するため検出物である記録媒体Sの表面状態で反射率が変化しても距離データには影響しない。そして受光部301で検出した位置から演算用ICで距離に変換して電圧値として出力する。この検出距離と電圧値の関係を図3に示す。White(90%)、Gray(18%)は、転写材Pの色と光反射率である。
【0044】
本実施例においては、このセンサ23を用いて、挟持部N19と挟持部N21との間の記録媒体Sのループ量の制御と、搬送された記録媒体Sの種類判別(種別の判定)を行っている。
【0045】
1)ループ量の制御
センサ23は、図4のように、挟持部N19と挟持部N21とに挟持されて搬送されている記録媒体Sについて挟持部N19と挟持部N21との間で、センサ23と記録媒体Sの裏面までの距離を経時的に測定して制御回路部Bに入力する。制御回路部Bはその入力情報に基づいて、挟持部N19と挟持部N21との間における記録媒体Sのループ量があらかじめ設定してある所定のループ量に維持されるように駆動手段M22によるローラ22の回転スピードを制御する。これにより、挟持部N19と挟持部N21との間で記録媒体Sを引っ張り過ぎず、たるみ過ぎないようにしている。
【0046】
ローラ22は制御回路部Bで制御される駆動手段M22により駆動され、回転速度は可変であり、転写部Iの記録媒体搬送速度に対して遅い側と速い側の速度切換えが可能である。より具体的には、制御回路部Bはセンサ23から出力される図3のような電圧値をA/Dポートで受ける。そして、挟持部N19−N21間における記録媒体のループ量が所定のループ量に維持されるように、記録媒体Sの現在ループ量に応じて駆動手段M22の速度を可変するためモータドライバM22−Dにクロック信号を出力してローラ22の回転スピードを制御する。
【0047】
2)記録媒体Sの種類判別
センサ23を用いた記録媒体Sの種類判別を図5により説明する。図4で説明したように、記録媒体Sは挟持部N19−N21間における記録媒体ループ量が所定のループ量に維持されるようにループ量が制御されて挟持部N19とN21の2箇所において屈曲状態で挟持されながら搬送されている。図5においてS−1はその屈曲状態で挟持されながら搬送されている記録媒体を示しており、図4の記録媒体Sに対応している。
【0048】
その記録媒体S−1の搬送が進行して後端部が挟持部N19を抜けると、記録媒体S−1の後端部側は自由端になる。そうすると、記録媒体S−1の後端部側は記録媒体の曲げ剛性(こし)で挟持部N21のニップ線S−2にならうような挙動(屈曲状態を解消する方向の挙動)を示す。即ち、記録媒体S−1は後端部が挟持部N19を抜けると引き続く記録媒体の搬送につれて後端部側が屈曲状態の姿勢S−1−1から屈曲状態を解消する方向の姿勢S−1−2へと姿勢を変化させる。ここで、ニップ線S2は記録媒体搬送方向において挟持部の記録媒体入口部と出口部とを結んだ直線である。
【0049】
上記のような記録媒体後端部側の姿勢変化挙動がセンサ23により経時的に測定される。その出力されるプロファイルは搬送される記録媒体Sの種類(種別、紙種)によってそれぞれ異なる。図6は特徴的な2種類の記録媒体について、挟持部N19と挟持部N21との間を通過する間におけるセンサ23の経時的出力値のプロファイルである。
【0050】
即ち、挟持部N19から搬送された記録媒体Sの先端部がセンサ23により検知されて挟持部N21に到達する。更にループ量が制御されて搬送され、後端部が挟持部N19を抜けてセンサ23の位置を通過するまでの間の記録媒体Sの裏面とセンサ23までの距離変化を経時的にプロットした図である。
【0051】
グラフ中の表記について説明する。NOVA220gとは坪量が220gのグロス紙であり、PreChi120gとは坪量が120gの厚紙のことである。図6にあるように、220gグロス紙と120g厚紙は、共に紙後端部が挟持部N19を抜けた直後からセンサ23に近づく挙動を示すが、紙のこしが強い220gグロス紙は、120g厚紙紙に比べセンサ23に近づく距離が多いことが分かる。
【0052】
このようにセンサ23より得られる距離プロファイルは紙のこしの違い(記録媒体の種類の違い)を顕著に表す。そこで、各種の記録媒体についてセンサ23より得られる距離プロファイルを予め測定し、それらのプロファイルを制御回路部Bの記憶部に参照データとして記憶させる。
【0053】
制御回路部Bには、前記1)のように挟持部N19−N21間の記録媒体のループ量を制御しながら搬送した記録媒体Sの後端部が挟持部N19から抜けた後にセンサ23から出力された記録媒体後端部の姿勢変化挙動に対応した距離プロファイルが入力する。制御回路部Bは、その入力した距離プロファイルと記憶部の参照データ(距離プロファイル)とを照合する。そして、制御回路部Bは、センサ23から入力した距離プロファイルに適合する参照データの記録媒体の種類から搬送された記録媒体Sの種類を判別(種別の判定)する。
【0054】
即ち、制御回路部Bは、挟持部N21で記録媒体Sを挟持した状態で非接触距離センサ23を用いて記録媒体を検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有する。より具体的には、制御回路部Bは、剛性に抗して曲げ状態にされて搬送されている記録媒体の曲げ状態が解除されたときの曲げ状態が解消される方向の挙動をセンサ23により検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有する。
【0055】
また、特許文献2の超音波式センサによる紙の坪量違いから紙種を判断する方法では検知できなかった同等坪量でのグロス紙と厚紙に対しても、図7のように検知できることがわかる。図7は、坪量が120gのグロス紙と厚紙の非接触距離センサ23による経時変化に伴う出力値プロファイルである。
【0056】
上記実施例のように挟持部N19−N21間での記録媒体Sのループ量制御を非接触距離センサ23からの出力値をもとに行なっている場合は、構成をそのままにして記録媒体Sの後端挙動から記録媒体Sの種類を判別できる。その判別結果(記録媒体の種別情報)を画像形成条件に反映することが可能となるので画像品質の向上につなげることができる。
【0057】
例えば、使用者が操作部Cやホスト装置Dにより指定したプリントモードとセンサ23で検知された実際に搬送された記録媒体Sの種別が一致していない場合には、制御回路部Bは次のような制御をする。即ち、2枚目以降のプリントにおいて実際に搬送された記録媒体Sの種類に応じた画像形成条件に変更してプリントする。具体的には、二次転写バイアスなどの転写条件や記録媒体のループ量、定着温度などを最適に制御することができる。
【0058】
これにより、プリンントクォリティー及びユーザビリティーを向上させることができる。また、新に記録媒体判別手段を設けなくて済むので、省スペース化、コストダウンにもつなげることができる。
【0059】
[実施例2]
図8−図12は本実施例2の構成説明図である。本実施例2においても、非接触距離センサ23を用いて、挟持部N19と挟持部N21との間における記録媒体Sのループ量制御と、搬送された記録媒体Sの種類判別(種別の判定)を行う。
【0060】
本実施例においては、挟持部N19と挟持部N21との間に固定して配設されたガイド部材20の記録媒体搬送方向上流側の部分に記録媒体搬送方向に交差する方向に沿って窓穴20bが配設されている。そして、その窓穴20bからガイド部材20の表面側に突出し、かつ、ガイド部材20の裏面側に退避する可動ガイド部材20Aが配設されている。即ち、可動ガイド部材20Aは挟持部N19よりも記録媒体搬送方向下流側に配設されている。
【0061】
この可動ガイド部材20Aは、本実施例においては、ガイド部材20の裏面側に記録媒体搬送方向に交差する方向に配設した揺動支点としての回動軸20cに対して該軸に沿って間隔をあけて複数配設したガイドリブである。軸20cは制御回路部Bで制御される駆動手段M20Aにより所定の回転角度範囲において正逆回転駆動される。
【0062】
ガイドリブ20Aは軸20cが所定の回転角度において正回転駆動されることで、図8、図9の(a)のように、窓穴20bからガイド部材20の表面側に十分に突き出た突出状態(第1の姿勢状態)に保持される。また、ガイドリブ20Aは軸20cが所定の回転角度において逆回転駆動されることで、図9の(b)、図10のように、窓穴20bからガイド部材20の裏面側に十分に没入した退避状態(第2の姿勢状態)に転換されて保持される。
【0063】
制御回路部Bはセンサ23が記録媒体Sを検知していない状態時には駆動手段M20Aにより軸20cを正回転駆動させてガイドリブ20Aを突出状態に保持する。この状態において、挟持部N19に記録媒体Sが導入されて先端部が挟持部N19を出る。そして、先端部は引き続く記録媒体Sの搬送に伴って突出状態のガイドリブ20Aにガイド面に沿って案内されて記録媒体Sのこしの強さに抗してガイド部材20の表面から離れる方向に曲げ状態にされながら搬送される。
【0064】
記録媒体Sの先端部が図8のようにガイドリブ20Aの頂点部を通過すると、センサ23が記録媒体Sを検知し始める。制御回路部Bはセンサ23から記録媒体先端部を検知した信号が入力したら、その検知信号に基づいて駆動手段M20Aにより軸20cを逆回転駆動させる。これにより、ガイドリブ20Aが図8の突出状態から図9の(b)、図10のように退避状態に転換して保持する。
【0065】
ここで、可動ガイド部材20Aの退避動作スピードは記録媒体Sがガイドリブ20Aのガイド面上に追従できない速さが必要である。可動ガイド部材20Aの退避動作において、周囲に空気の流れを発生させて特に薄紙の挙動を不安定にさせることが無いよう可動ガイド部材20Aの形状は本実施例のようにリブのみとするのが望ましい。
【0066】
ガイドリブ20Aが退避動作する直前時点(図8)においては、挟持部N19から可動ガイド部材20Aの頂点部までの間の記録部材先端部部分S−1は記録媒体のこしの強さに抗してガイド部材20の表面から離れる方向に曲げ状態になっている。
【0067】
この状態において可動ガイド部材20Aが退避動作すると、その記録媒体先端部部分S−1は自由端部になり、記録媒体の曲げ剛性で挟持部N19のニップ線にならうような挙動(屈曲状態を解消する方向の挙動)を示す。即ち、記録媒体先端部部分S−1は曲げ剛性(こし)で真っ直ぐになろうとする。そして、図11のように、自由端部となった記録媒体先端部部分S−1は引き続く記録媒体Sの搬送につれて屈曲状態を解消する方向の姿勢S−1−1、S−1−2へと姿勢を変化させる。
【0068】
この記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動がセンサ23により経時的に測定される。その出力される距離プロファイルは搬送される記録媒体Sの種類(種別、紙種)によってそれぞれ異なる。このようにセンサ23より得られる距離プロファイルは紙のこしの違い(記録媒体の種類の違い)を顕著に表す。
【0069】
そこで、各種の記録媒体についてセンサ23より得られる距離プロファイルを予め測定し、それらの測定距離プロファイルを制御回路部Bの記憶部に参照データとして記憶させる。制御回路部Bは、可動ガイド部材20Aが退避動作した後にセンサ23から入力した記録媒体先端部部分の距離プロファイルと記憶部の参照データ(距離プロファイル)とを照合する。制御回路部Bは、センサ23から入力した距離プロファイルに適合する参照データの記録媒体の種類から搬送された記録媒体Sの種類を判別(種別の判定)する。
【0070】
即ち、制御回路部Bは、可動ガイド部材20Aの突出状態により作り出された記録材先端部部分の曲げ状態が可動ガイド部材20Aの退避状態へ転換により解消されるときに生じる記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動をセンサ23を用いて検知する。これにより、記録媒体の種類を判別する機能を有する。
【0071】
上記のようにして種類判別された記録媒体Sは引き続く搬送により先端部が挟持部N21に到達して挟持されて搬送される。センサ23は挟持部N19と挟持部N21とに挟持されて搬送されている記録媒体Sについて挟持部N19と挟持部N21との間で、センサ23と記録媒体Sの裏面までの距離を経時的に測定して制御回路部Bに入力する。
【0072】
制御回路部Bはその入力情報に基づいて、実施例1の1)のループ量の制御と同様のループ量制御をする。即ち、図12のように、挟持部N19と挟持部N21との間における記録媒体Sのループ量があらかじめ設定してある所定のループ量に維持されるように駆動手段M22によるローラ22の回転スピードを制御する。これにより、挟持部N19と挟持部N21との間で記録媒体Sを引っ張り過ぎず、たるみ過ぎないようにしている。
【0073】
記録媒体Sの搬送が上記のようにループ量制御されながら進行して、後端部が挟持部N19を抜け、更にセンサ23の位置を通過すると、センサ23は記録媒体非検知となる。制御回路部Bはセンサ23から入力する記録媒体非検知信号に基づいて駆動手段M20Aにより軸20cを正回転駆動させる。これにより、ガイドリブ20Aが退避状態から突出状態に転換されて保持されて、次の記録媒体の搬送を待つ。
【0074】
本実施例2では記録媒体の先端部部分の姿勢変化挙動で記録媒体の種別を判断できる。そのため、使用者が操作部Cやホスト装置Dにより指定したプリントモードとセンサ23で検知された実際に搬送された記録媒体Sの種別が一致していない場合には、制御回路部Bは例えば次のような制御をすることができる。定着方式がオンディマンド方式であれば定着温度に対してはプリント1枚目から最適化することができる。さらに連続通紙であれば、2枚目以降については転写バイアス条件からループ制御、定着温度に対して最適な画像形成条件にすることができ、画像品質の向上につなげることができる。
【0075】
また、二次転写部−定着部間でのループ制御に対して非接触距離センサを用いている場合については、別途記録媒体判別機能を盛り込まなくても済むので、画像形成装置の省スペース化、コストダウンにもつなげることができる。
【0076】
[実施例3]
図13−図14は本実施例3の構成説明図である。本実施例においては、レジスト部Hの挟持部N16(第1の挟持部)とこれよりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置する転写部Iの挟持部N19(第2の挟持部)との間に非接触距離センサ23を配設している。センサ23は、ガイド部材18の表面側とは反対側である裏面側に位置を固定して配設されている。ガイド部材18のセンサ23の位置に対応する部分には距離検出のための光線がガイド部材18の表面側と裏面側に出入りするための窓穴18aが設けられている。
【0077】
記録媒体Sの挟持部N19への突入姿勢は最適な画像形成をする上で重要な画像形成条件となる。記録媒体Sが挟持部N16と挟持部N19で挟持されている状態で、レジスト部H−転写部I間で記録媒体Sを引っ張ったり、ループが必要以上に大きくなることで記録媒体Sが挟持部N19へ押し込まれると、画像倍率が変化するなどの画像不良が発生する。
【0078】
本実施例においては、センサ23は、図13のように、挟持部N16と挟持部N19とに挟持されて搬送されている記録媒体Sについて挟持部N19と挟持部N19との間で、センサ23と記録媒体Sの裏面までの距離を経時的に測定して制御回路部Bに入力する。制御回路部Bはその入力情報に基づいて、挟持部N16と挟持部N19との間における記録媒体Sのループ量があらかじめ設定してある所定のループ量に維持されるように駆動手段M16によるレジストローラ22の回転スピードを制御する。
【0079】
これにより、挟持部N16と挟持部N19との間で記録媒体Sを引っ張り過ぎず、たるみ過ぎないようにしている。すなわち、制御回路部Bはレジスト部Hと転写部Iとの間における記録媒体の姿勢を制御する。
【0080】
そして、図14のように、記録媒体後端部が挟持部N16を抜けたときの記録媒体後端部部分の姿勢変化挙動S−1、S−1−1、S−1−2をセンサ23で測定する。これにより、実施例1における記録媒体Sの種類判別の場合と同様に、搬送された記録媒体Sの種類の判別が可能である。
【0081】
本実施例においても、使用者が指定したプリントモードに対して通紙する記録媒体の種類選択を間違えていても、画像形成装置で記録媒体の種別が判断できるので最適な画像形成条件への変更が可能となる。ただし、搬送された記録媒体の後端部部分で記録媒体の種別を判断しているため、モード間違い対応は連続プリントの2枚目以降になるが、実施例1に対して記録媒体の判別タイミングが早いので1枚目の定着温度への反映は早く行なうことができる。
【0082】
[実施例4]
図15は本実施例4の構成説明図である。本実施例4は実施例3の構成において、実施例2と同様に、突出状態と退避状態に転換される可動ガイド部材20Aを具備させる。そして、実施例2と同様に、この可動ガイド部材20Aの突出状態から退避状態への転換に伴う記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動をセンサ23により経時的に測定して、その出力プロファイルより記録媒体の種別を判定する。
【0083】
本実施例においては、実施例3に対して記録媒体Sの先端部部分の姿勢変化挙動で種別を判断できるので、使用者が指定したプリントモードと搬送された記録媒体の種類を間違えていても、1枚目から転写バイアス条件を最適にして画像形成できる。また、1枚目から記録媒体の種別を判断し最適な画像形成条件を準備できるので、使用者にプリントモードの指定を要求する必要がなく、ユーザビリィテー向上につなげることができる。
【0084】
[実施例5]
図16−図17は本実施例5の構成説明図である。本実施例においては、ピックアップ部Gの挟持部N13(第1の挟持部)とこれよりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置するレジスト部Hの挟持部N16(第2の挟持部)との間に非接触距離センサ23を配設している。センサ23は、ガイド部材15の表面側とは反対側である裏面側に位置を固定して配設されている。ガイド部材15のセンサ23の位置に対応する部分には距離検出のための光線がガイド部材15の表面側と裏面側に出入りするための窓穴15aが設けられている。
【0085】
ピックアップ部Gの挟持部N13から送り出されてレジスト部Hの挟持部N16に到達した記録媒体Sの先端部はその時点では回転停止状態に制御されているローラ16とコロ17との挟持部N16に突き当たって受け止められる。そして、ピックアップ部Gによる引き続く記録媒体Sの送りにより挟持部N13と挟持部N16との間に記録媒体Sのループ形成が記録媒体Sの剛性に抗してなされる。これにより記録媒体Sの先端全長部が挟持部N16に押し当たって、記録媒体Sの斜行が矯正される。記録媒体Sのループ形成はセンサ23による測距により所定のループ量に制御される。
【0086】
そして、図17のように、記録媒体後端部が挟持部N13を抜けたときの記録媒体後端部部分の姿勢変化挙動S−1、S−1−1、S−1−2をセンサ23で測定する。これにより、実施例1や実施例3における記録媒体Sの種類判別の場合と同様に、搬送された記録媒体の種類の判別が可能である。
【0087】
そして、その記録媒体Sの種類判定結果を用いて、画像形成条件を最適にすることできる。また、使用者が指定したプリントモードに対して記録媒体の種類選択を間違えている場合において、記録媒体の種別を判断できた時点で最適な画像形成条件へ変更できる。記録媒体Sの後端部部分の姿勢変化挙動で種別を判断している。そのため、モード間違い対応は連続プリントの2枚目以降になるが、実施例1や3に対して記録媒体の判別タイミングが早いので出力画像1枚目に対する転写バイアス条件や定着温度変更への反映は早く行なうことができる。
【0088】
[実施例6]
図18は本実施例6の構成説明図である。本実施例6は実施例5の構成において、実施例2や4と同様に、突出状態と退避状態に転換される可動ガイド部材20Aを具備させる。そして、実施例2や4と同様に、この可動ガイド部材20Aの突出状態から退避状態への転換に伴う記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動をセンサ23により経時的に測定して、その出力プロファイルより記録媒体の種別を判定する。
【0089】
実施例5に対して記録媒体の先端部部分の姿勢変化挙動で種別を判断できるので、使用者が指定したプリントモードと記録媒体の種類選択を間違えていても、出力画像1枚目から最適な転写バイアス条件に変更し反映することができる。また、1枚目から記録媒体の種別を判断し最適な画像形成条件を準備できるので、使用者にプリントモードの指定を要求する必要がなく、ユーザビリィテー向上につなげることができる。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、記録媒体Sの種類の違いによるの曲げ剛性(こし)の違いを利用して、非接触距離センサ23からの経時的な距離データより記録媒体の種類を判別することができる。
【0091】
また、同じ坪量であっても曲げ剛性が違えば記録媒体の種別を切り分けられるので画像形成条件を最適にでき画像品質の向上を図ることができる。また、画像形成装置本体側で記録媒体の種別が判定できるので、使用者のプリントモード指定において記録媒体の指定間違いがあっても最適な画像形成条件でプリントできる。さらに、画像形成装置側で記録媒体の種別が判断できるので、そもそも使用者にプリントモードの指定を要求することがいらないのでユーザビリィテー向上を図ることができる。
【0092】
[他の実施形態]
記録媒体Sに画像を形成する画像形成部は実施例の電子写真方式、中間転写方式、インライン型のフルカラー画像形成部に限られないことは勿論である。例えば、1つの像担持体に順次各色トナー像を形成して中間転写体上に転写する1ドラム式中間転写カラー画像形成部や、中間転写体を備えずに像担持体から直接記録媒体に各色トナー像を転写するタンデム式直接転写カラーであってもよい。単色の転写方式または直接方式の画像形成部であってもよい。電子写真方式に限られず、静電記録方式、磁気記録方式等の画像形成部であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
U(UY、UM、UC、UK)・・画像形成ユニット、7・・中間転写ユニット、F・・給紙部、G・・ピックアッツプ部、N13・・給紙ニップ部、H・・レジスト部、N16・・レジストニップ部、I・・転写部(二次転写部)、N19・・二次転写ニップ部、J・・定着部、N21・・定着ニップ部、S・・記録媒体、23・・非接触距離センサ、20A・・可動ガイド部材、B・・制御回路部(制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は装置内に搬送された記録媒体の種類(種別)を判定する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【0002】
画像形成装置は、記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に対して電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の画像形成部で画像を転写方式あるいは直接方式で形成することができる装置であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機能などである。
【背景技術】
【0003】
画像形成装置自体が装置内に搬送された記録媒体の種類を判別できることは、すなわち最適な画像形成条件を使用者に頼らず自動で決められることを意味するので、プリントクォリティーを高める上でもユーザビリティーの観点からも重要な技術となっている。
【0004】
記録媒体判別手段としては、記録媒体表面の多方向反射率関数を計測して判別するもの(特許文献1)や超音波式センサから記録媒体の坪量を判断して種類を判別するもの(特許文献2)がある。また複数のセンサを組み合わせることで(特許文献3)記録媒体の種類の判別性能を高めている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−48438号公報
【特許文献2】特公平1−39540号公報
【特許文献3】特開2003−112840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録媒体を正確に判定するために複数のセンサを使用するとスペースを必要とし、コストも上がる。また、センサを限定すると記録媒体の種別判定能力に影響するという課題がある。従来技術である、坪量から記録媒体の種別を判断している場合、同じ坪量であるグロス紙と厚紙の判別はできなかった。その為、グロス紙と厚紙で転写バイアスやループ制御、定着温度制御の差別化ができないため、プリント品質を割り切らざるを得なかった。
【0007】
本発明の目的は記録媒体の種別を広く判定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は記録媒体の種別を広く判定し最適な画像転写バイアスを決定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の更に他の目的は記録媒体の広く種別を判定し最適な定着温度を決定することができる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は記録媒体の種別を広く判定し最適なループ量を確保して画像不良を防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録媒体を挟持して搬送する挟持部を有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を非接触で検知する非接触距離センサを有し、前記制御手段は、前記挟持部で記録媒体を挟持した状態で前記非接触距離センサを用いて搬送されている記録媒体を検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体の種別を広く判定することができる画像形成装置を提供することができる。記録媒体の種類を判別する機能で得られた記録媒体の種別情報に応じて画像形成条件を最適にできて画像品質の向上を図ることができる。
【0013】
また、画像形成装置本体側で記録媒体の種別が判定できるので、使用者のプリントモード指定において記録媒体の指定間違いがあっても最適な画像形成条件でプリントできる。さらに、画像形成装置本体側で記録媒体の種別が判断できるので、そもそも使用者にプリントモードの指定を要求することがいらないのでユーザビリィテー向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成の模式図
【図2】非接触距離センサの説明図
【図3】非接触距離センサの検出距離と電圧の関係図
【図4】記録媒体ループ量制御の説明図
【図5】記録媒体種類判別の説明図
【図6】種々の記録媒体に対する非接触距離センサの出力プロファイル
【図7】同等坪量のグロス紙と厚紙紙に対する非接触距離センサの出力プロファイル
【図8】実施例2における記録媒体種類判別の説明図(その1)
【図9】可動ガイド部材の動作説明図
【図10】実施例2における記録媒体種類判別の説明図(その2)
【図11】実施例2における記録媒体種類判別の説明図(その3)
【図12】実施例2における記録媒体ループ量制御の説明図
【図13】実施例3における記録媒体ループ量制御の説明図
【図14】実施例3における記録媒体種類判別の説明図
【図15】実施例4における記録媒体種類判別の説明図
【図16】実施例5における記録媒体ループ量制御の説明図
【図17】実施例5における記録媒体種類判別の説明図
【図18】実施例6における記録媒体種類判別の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な説明
図1は本発明に従う画像形成装置例の要部の概略の構成模式図である。この画像形成装置Aは、電子写真方式、中間転写方式、インライン型のフルカラーレーザープリンタである。ホスト装置Dから制御回路部(制御手段:CPU)Bに入力する画像情報(電気的な画像信号)に基づいて記録媒体(記録材、転写材)Sにカラー画像の形成を行う。ホスト装置Dは、パソコン、イメージリーダー、ファクシミリ装置等である。記録媒体Sは装置Aによって画像が形成されるシート状物である。例えば、用紙、ラベル、OHTシート等が挙げられる。
【0016】
制御回路部Bはホスト装置Dや操作部Cとの間で各種の電気的情報の授受を行う、かつ、装置Aの画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。従って、以下に説明する画像形成動作は制御回路部Bによって制御される。操作部Cには使用者が所望の画像形成実行条件等を制御回路部Bに入力したり、設定したりすることができる各種の操作キーや表示器等が配設されている。
【0017】
装置Aの内部には、図1において左から右に順に並列配設した、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色トナー像を形成する第1から第4の4つの作像ユニットU(UY、UM、UC、UK)が配設されている。
【0018】
各ユニットUは、それぞれの現像装置4に収容した現像剤のトナーの色が互いに異なるだけで、何れも同様の構成を有するレーザ走査露光方式の電子写真画像形成機構である。各ユニットUは、それぞれ、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
【0019】
また、各ドラム1の周囲には、ドラム1に作用する電子写真プロセス機器が配設されている。本例では、一次帯電器2、露光装置3、現像装置4、一次転写器5、ドラムクリーナ6等が配設されている。一次帯電器2は電源部(不図示)から所定の帯電バイアスが印加されて、ドラム1の表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。
【0020】
露光装置3は本例ではレーザスキャナである。スキャナ3は、半導体レーザ、回転多面鏡、fθレンズ、反射鏡などを有する。そして、カラー画像を色分解した光像又はこれに相当する光像に対応する画像情報に基づいてレーザ光LをON/OFF変調しながら、回転するドラム1の帯電処理面をドラム母線方向に主走査露光する。この露光によりドラム1の面に露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0021】
現像装置4はドラム1に形成された静電潜像がトナー像として可視化する。第1のユニットUYの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はY色、第2のユニットUMの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はM色である。第3のユニットUCの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はC色、第4のユニットUKの現像装置4に収容されている現像剤のトナーの色はK色である。
【0022】
上記4つのユニットUY、UM、UC、UKの下方には、中間転写ベルトユニット7が配設されている。ベルトユニット7は、中間転写体としての無端状で可撓性を有する中間転写ベルト8を有する。ベルト8は、駆動ローラ9と、ターンローラ10と、2本の補助ローラ11・12の略並行4本のローラを支持部材(ベルト懸架部材)として、これらのローラ間に張架(懸回張設)されている。
【0023】
ローラ9は第1のユニットUY側に、ローラ10は第4のユニットUK側に、ローラ11・12はローラ9とローラ10の間の下方に位置している。ベルト8はローラ9が駆動手段M9によって回転駆動されることで矢印の時計方向にドラム1の回転速度とほぼ同じ速度で回転(循環走行)する。ローラ10、ローラ11・12はローラ9の駆動によるベルト8の回転に従動して回転する。
【0024】
ベルト8の内側には各ユニットUのドラム1にそれぞれ対応する一次転写器としての第1から第4の4つの転写ローラ5が配設されている。各ローラ5は、ローラ9とローラ10との間のベルト部分の内側に互いに並行に配設されていて、それぞれ、ベルト8を挟んで対応するユニットUのドラム1の下面に圧接させてある。各ローラ5はベルト8の回転に従動して回転する。各ユニットUのドラム1とベルト8との接触部が、それぞれ、ドラム1からベルト8に画像を転写する転写部(一次転写部)Eである。
【0025】
ローラ9のベルト懸回部にはベルト8から記録媒体Sに画像を転写する転写部(二次転写部)Iを具備させている。本実施例においてはローラ9のベルト懸回部に二次転写ローラ19を当接させて転写部Iを構成している。ベルト8とローラ19との接触部N19が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(二次転写ニップ部)である。ローラ19はベルト8の回転に従動して回転する。
【0026】
以上説明した装置機構部が、後述する記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に対して画像(未定着像)を形成する画像形成部である。フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。ホスト装置Dから制御回路部Bにフルカラー画像情報信号が入力する。制御回路部Bは第1から第4のユニットUY、UM、UC、UKにおいて各ドラム1を回転駆動すると共に画像形成シーケンスの所定の制御タイミングで画像形成動作を開始する。また、ベルトユニット7のローラ9を駆動する。これによりベルト8が回転する。
【0027】
第1のユニットUYにおいては、ドラム1面にフルカラー原画像の色分解成分像の内のY色成分像に対応したY色トナー像が形成される。第2のユニットUMにおいては、ドラム1面にM色成分像に対応のM色トナー像が、第3のユニットUCにおいては、ドラム1面にC色成分像に対応のC色トナー像が、それぞれ、所定の制御タイミングで形成される。また、第4のユニットUKにおいては、ドラム1面にK色成分像に対応のK色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。
【0028】
そして、第1のユニットUYの転写部Eにおいて、ドラム1に形成されるY色トナー像が回転しているベルト8上に一次転写されていく。次いで、第2のユニットUMの転写部Eにおいて、ドラム1に形成されるM色トナー像がベルト8上の上記Y色トナー像に重ねられて一次転写される。更に、同様にして、第3のユニットUCと第4のユニットUKの各転写部Eにおいて、ベルト8上にC色トナー像とK色トナー像が順次に一次転写される。上記の一次転写は各ローラ5に対して電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定の一次転写バイアスが印加されることにより静電的になされる。
【0029】
このようにして、ベルト8上にY色+M色+C色+K色の都合4色の色トナー像が順次に所定に重ね合わされて重畳(多重)転写されて、フルカラーの未定着トナー像(未定着像)が合成形成される。上記のようにしてベルト8上に合成形成された未定着トナー像は、ベルト8の引き続く回転により搬送されて転写部(二次転写部)Iに至る。ここで、各ユニットUにおいてベルト8に対してトナー像を一次転写した後のドラム1の面はドラムクリーナ6により転写残トナー等が除去されて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0030】
一方、制御回路部Bは給紙部Fに積載して収容されている記録媒体Sを一枚ずつ給送するピックアップ部Gを画像形成シーケンスの所定の制御タイミングで駆動する。本例においてピックアップ部Gは給紙ローラ13とこれに当接しているリタードローラ14とで構成されている。ローラ13と14の接触部N13が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(給紙ニップ部)である。
【0031】
給紙ローラ13が矢印の時計方向に回転駆動されることで、給紙部Fに積載されている記録媒体Sの最上位の記録媒体Sに送りがかかり、先端部が挟持部N13に挟持される。最上位の記録媒体Sよりも下位の記録媒体Sの先端部はリタードローラ14で挟持部N13に入らない逆搬送力を受ける。これにより記録媒体Sの重送が阻止されて、最上位の記録媒体Sが一枚分離されて挟持部N13で送り出される。
【0032】
ピックアップ部Gから給送された記録媒体Sは固定して配設されたガイド部材15に沿って記録媒体Sの先端位置を規制するレジスト部Hに搬送される。本例においてレジスト部Hはレジストローラ16とこのローラ16に当接しているコロ17とで構成されている。ローラ16とコロ17の接触部N16が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(レジストニップ部)である。ローラ16は駆動手段M16で矢印の反時計方向に回転駆動される。コロ17はローラ16の回転に従動して回転する。
【0033】
ピックアップ部Gから送り出されてレジスト部Hに到達した記録媒体Sの先端部はその時点では回転停止状態に制御されているローラ16とコロ17との挟持部N16に突き当たって受け止められる。そして、ピックアップ部Gによる引き続く記録媒体Sの送りによりピックアップ部Gとレジスト部Hとの間に記録媒体Sの剛性(こし)に抗してループ形成(ループ状の曲げ状態)がなされる。これにより記録媒体Sの先端全長部が挟持部N16に押し当たって、記録媒体Sの斜行が矯正される。
【0034】
そして、所定の制御タイミング(レジストタイミング)で駆動手段M16によりローラ16の駆動が開始される。これにより、記録媒体Sが挟持部N16に挟持されて、固定して配設されたガイド部材18に沿って転写部(二次転写部)Iに搬送されて挟持部N19に導入される。レジスト部Hは上記のように記録媒体Sの斜行を矯正する役目をすると共に、ベルト8に対するトナー像の形成と記録媒体Sの搬送とを同期させる役目をする。
【0035】
即ち、レジスト部Hは給紙部Fから搬送された記録媒体Sの先端位置を一旦規制する。そして、ベルト8上に形成されたフルカラーの未定着トナー像の画像先端が転写部Iの挟持部N19に到達するタイミングで、記録媒体Sのプリント開始位置が挟持部N19に丁度到達するように、記録媒体Sの先端規制を解除して記録媒体Sの搬送を再開させる。
【0036】
挟持部N19に到達した記録媒体Sはこの挟持部N19を挟持搬送されていく。記録媒体Sが挟持部N19を挟持搬送されていく間、ローラ19には電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定の二次転写バイアスが印加される。これによりベルト8側のフルカラーの未定着トナー像(複数色のトナー像)が記録媒体Sの面に一括して順次に静電的に二次転写される。
【0037】
挟持部N19を出た記録媒体Sはベルト8から分離されて、固定して配設されたガイド部材20に沿って、記録媒体上の未定着像を定着させる定着部Jに搬送される。また、記録媒体Sが分離された後のベルト8上の二次転写残トナーは本例においては第1のユニットUYのドラム1に付着してドラムクリーナ6によって除去される。
【0038】
本例において定着部Jは加熱手段(不図示)で所定の定着温度に加熱されて温調される定着スリーブ21とこのスリーブ21に当接している定着加圧ローラ22とで構成されている。スリーブ21とローラ22の接触部N21が記録媒体Sを挟持する記録媒体挟持部(定着ニップ部)である。本例の定着部Jはローラ22が駆動手段(定着モータ)M22により矢印の反時計方向に回転駆動される。スリーブ21はこのローラ22の回転に従動して回転する。
【0039】
そして、転写部Iから定着部Jに導入された記録媒体Sは挟持部N21を挟持搬送されていく過程において、スリーブ21の熱により加熱されるとともに挟持部圧で加圧される。これにより、記録媒体S上のフルカラーの未定着トナー像が固着画像として定着される。定着部Jを出た記録媒体Sは、フルカラー画像形成物として機外に排出される。
【0040】
上記において、ピックアップ部Gから、レジスト部H、転写部I、定着部Jを経て機外の排出部に至る経路が記録媒体搬送経路である。そして、それらの各部G、H、I、Jにおいてそれぞれ記録媒体Sを挟持して搬送する挟持部N13,N16、N19、N21を有する。
【0041】
(2)記録媒体の種類判別及び判別結果に基づく画像形成条件の制御
本実施例においては、転写部Iの挟持部N19(第1の挟持部)とこれよりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置する定着部Jの挟持部N21(第2の挟持部)との間に非接触距離センサ23を配設している。センサ23は、ガイド部材20の表面側(記録媒体搬送ガイド面側)とは反対側である裏面側に位置を固定して配設されている。このセンサ23は該センサから検出物である記録媒体Sまでの距離を非接触で計測するセンサである。ガイド部材20のセンサ23の位置に対応する部分には距離検出のための光線がガイド部材20の表面側と裏面側に出入りするための窓穴20aが設けられている。
【0042】
非接触距離センサ23は例えば図2の模式図のようにLEDの発光部300とPSD(位置検出素子)の受光部301によって構成される。発光部300から検出物(対象物体、被検物体)である記録媒体Sへ赤外線302を照射し、記録媒体Sから反射された赤外線302aを受光部301で受ける。そして、受光面上に到達した赤外線の分布中心の位置によって、三角測量方式で記録媒体Sとセンサ23との距離を計測する方式である。
【0043】
受光面への到達赤外線の分布の中心位置を検出して距離に変換するため検出物である記録媒体Sの表面状態で反射率が変化しても距離データには影響しない。そして受光部301で検出した位置から演算用ICで距離に変換して電圧値として出力する。この検出距離と電圧値の関係を図3に示す。White(90%)、Gray(18%)は、転写材Pの色と光反射率である。
【0044】
本実施例においては、このセンサ23を用いて、挟持部N19と挟持部N21との間の記録媒体Sのループ量の制御と、搬送された記録媒体Sの種類判別(種別の判定)を行っている。
【0045】
1)ループ量の制御
センサ23は、図4のように、挟持部N19と挟持部N21とに挟持されて搬送されている記録媒体Sについて挟持部N19と挟持部N21との間で、センサ23と記録媒体Sの裏面までの距離を経時的に測定して制御回路部Bに入力する。制御回路部Bはその入力情報に基づいて、挟持部N19と挟持部N21との間における記録媒体Sのループ量があらかじめ設定してある所定のループ量に維持されるように駆動手段M22によるローラ22の回転スピードを制御する。これにより、挟持部N19と挟持部N21との間で記録媒体Sを引っ張り過ぎず、たるみ過ぎないようにしている。
【0046】
ローラ22は制御回路部Bで制御される駆動手段M22により駆動され、回転速度は可変であり、転写部Iの記録媒体搬送速度に対して遅い側と速い側の速度切換えが可能である。より具体的には、制御回路部Bはセンサ23から出力される図3のような電圧値をA/Dポートで受ける。そして、挟持部N19−N21間における記録媒体のループ量が所定のループ量に維持されるように、記録媒体Sの現在ループ量に応じて駆動手段M22の速度を可変するためモータドライバM22−Dにクロック信号を出力してローラ22の回転スピードを制御する。
【0047】
2)記録媒体Sの種類判別
センサ23を用いた記録媒体Sの種類判別を図5により説明する。図4で説明したように、記録媒体Sは挟持部N19−N21間における記録媒体ループ量が所定のループ量に維持されるようにループ量が制御されて挟持部N19とN21の2箇所において屈曲状態で挟持されながら搬送されている。図5においてS−1はその屈曲状態で挟持されながら搬送されている記録媒体を示しており、図4の記録媒体Sに対応している。
【0048】
その記録媒体S−1の搬送が進行して後端部が挟持部N19を抜けると、記録媒体S−1の後端部側は自由端になる。そうすると、記録媒体S−1の後端部側は記録媒体の曲げ剛性(こし)で挟持部N21のニップ線S−2にならうような挙動(屈曲状態を解消する方向の挙動)を示す。即ち、記録媒体S−1は後端部が挟持部N19を抜けると引き続く記録媒体の搬送につれて後端部側が屈曲状態の姿勢S−1−1から屈曲状態を解消する方向の姿勢S−1−2へと姿勢を変化させる。ここで、ニップ線S2は記録媒体搬送方向において挟持部の記録媒体入口部と出口部とを結んだ直線である。
【0049】
上記のような記録媒体後端部側の姿勢変化挙動がセンサ23により経時的に測定される。その出力されるプロファイルは搬送される記録媒体Sの種類(種別、紙種)によってそれぞれ異なる。図6は特徴的な2種類の記録媒体について、挟持部N19と挟持部N21との間を通過する間におけるセンサ23の経時的出力値のプロファイルである。
【0050】
即ち、挟持部N19から搬送された記録媒体Sの先端部がセンサ23により検知されて挟持部N21に到達する。更にループ量が制御されて搬送され、後端部が挟持部N19を抜けてセンサ23の位置を通過するまでの間の記録媒体Sの裏面とセンサ23までの距離変化を経時的にプロットした図である。
【0051】
グラフ中の表記について説明する。NOVA220gとは坪量が220gのグロス紙であり、PreChi120gとは坪量が120gの厚紙のことである。図6にあるように、220gグロス紙と120g厚紙は、共に紙後端部が挟持部N19を抜けた直後からセンサ23に近づく挙動を示すが、紙のこしが強い220gグロス紙は、120g厚紙紙に比べセンサ23に近づく距離が多いことが分かる。
【0052】
このようにセンサ23より得られる距離プロファイルは紙のこしの違い(記録媒体の種類の違い)を顕著に表す。そこで、各種の記録媒体についてセンサ23より得られる距離プロファイルを予め測定し、それらのプロファイルを制御回路部Bの記憶部に参照データとして記憶させる。
【0053】
制御回路部Bには、前記1)のように挟持部N19−N21間の記録媒体のループ量を制御しながら搬送した記録媒体Sの後端部が挟持部N19から抜けた後にセンサ23から出力された記録媒体後端部の姿勢変化挙動に対応した距離プロファイルが入力する。制御回路部Bは、その入力した距離プロファイルと記憶部の参照データ(距離プロファイル)とを照合する。そして、制御回路部Bは、センサ23から入力した距離プロファイルに適合する参照データの記録媒体の種類から搬送された記録媒体Sの種類を判別(種別の判定)する。
【0054】
即ち、制御回路部Bは、挟持部N21で記録媒体Sを挟持した状態で非接触距離センサ23を用いて記録媒体を検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有する。より具体的には、制御回路部Bは、剛性に抗して曲げ状態にされて搬送されている記録媒体の曲げ状態が解除されたときの曲げ状態が解消される方向の挙動をセンサ23により検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有する。
【0055】
また、特許文献2の超音波式センサによる紙の坪量違いから紙種を判断する方法では検知できなかった同等坪量でのグロス紙と厚紙に対しても、図7のように検知できることがわかる。図7は、坪量が120gのグロス紙と厚紙の非接触距離センサ23による経時変化に伴う出力値プロファイルである。
【0056】
上記実施例のように挟持部N19−N21間での記録媒体Sのループ量制御を非接触距離センサ23からの出力値をもとに行なっている場合は、構成をそのままにして記録媒体Sの後端挙動から記録媒体Sの種類を判別できる。その判別結果(記録媒体の種別情報)を画像形成条件に反映することが可能となるので画像品質の向上につなげることができる。
【0057】
例えば、使用者が操作部Cやホスト装置Dにより指定したプリントモードとセンサ23で検知された実際に搬送された記録媒体Sの種別が一致していない場合には、制御回路部Bは次のような制御をする。即ち、2枚目以降のプリントにおいて実際に搬送された記録媒体Sの種類に応じた画像形成条件に変更してプリントする。具体的には、二次転写バイアスなどの転写条件や記録媒体のループ量、定着温度などを最適に制御することができる。
【0058】
これにより、プリンントクォリティー及びユーザビリティーを向上させることができる。また、新に記録媒体判別手段を設けなくて済むので、省スペース化、コストダウンにもつなげることができる。
【0059】
[実施例2]
図8−図12は本実施例2の構成説明図である。本実施例2においても、非接触距離センサ23を用いて、挟持部N19と挟持部N21との間における記録媒体Sのループ量制御と、搬送された記録媒体Sの種類判別(種別の判定)を行う。
【0060】
本実施例においては、挟持部N19と挟持部N21との間に固定して配設されたガイド部材20の記録媒体搬送方向上流側の部分に記録媒体搬送方向に交差する方向に沿って窓穴20bが配設されている。そして、その窓穴20bからガイド部材20の表面側に突出し、かつ、ガイド部材20の裏面側に退避する可動ガイド部材20Aが配設されている。即ち、可動ガイド部材20Aは挟持部N19よりも記録媒体搬送方向下流側に配設されている。
【0061】
この可動ガイド部材20Aは、本実施例においては、ガイド部材20の裏面側に記録媒体搬送方向に交差する方向に配設した揺動支点としての回動軸20cに対して該軸に沿って間隔をあけて複数配設したガイドリブである。軸20cは制御回路部Bで制御される駆動手段M20Aにより所定の回転角度範囲において正逆回転駆動される。
【0062】
ガイドリブ20Aは軸20cが所定の回転角度において正回転駆動されることで、図8、図9の(a)のように、窓穴20bからガイド部材20の表面側に十分に突き出た突出状態(第1の姿勢状態)に保持される。また、ガイドリブ20Aは軸20cが所定の回転角度において逆回転駆動されることで、図9の(b)、図10のように、窓穴20bからガイド部材20の裏面側に十分に没入した退避状態(第2の姿勢状態)に転換されて保持される。
【0063】
制御回路部Bはセンサ23が記録媒体Sを検知していない状態時には駆動手段M20Aにより軸20cを正回転駆動させてガイドリブ20Aを突出状態に保持する。この状態において、挟持部N19に記録媒体Sが導入されて先端部が挟持部N19を出る。そして、先端部は引き続く記録媒体Sの搬送に伴って突出状態のガイドリブ20Aにガイド面に沿って案内されて記録媒体Sのこしの強さに抗してガイド部材20の表面から離れる方向に曲げ状態にされながら搬送される。
【0064】
記録媒体Sの先端部が図8のようにガイドリブ20Aの頂点部を通過すると、センサ23が記録媒体Sを検知し始める。制御回路部Bはセンサ23から記録媒体先端部を検知した信号が入力したら、その検知信号に基づいて駆動手段M20Aにより軸20cを逆回転駆動させる。これにより、ガイドリブ20Aが図8の突出状態から図9の(b)、図10のように退避状態に転換して保持する。
【0065】
ここで、可動ガイド部材20Aの退避動作スピードは記録媒体Sがガイドリブ20Aのガイド面上に追従できない速さが必要である。可動ガイド部材20Aの退避動作において、周囲に空気の流れを発生させて特に薄紙の挙動を不安定にさせることが無いよう可動ガイド部材20Aの形状は本実施例のようにリブのみとするのが望ましい。
【0066】
ガイドリブ20Aが退避動作する直前時点(図8)においては、挟持部N19から可動ガイド部材20Aの頂点部までの間の記録部材先端部部分S−1は記録媒体のこしの強さに抗してガイド部材20の表面から離れる方向に曲げ状態になっている。
【0067】
この状態において可動ガイド部材20Aが退避動作すると、その記録媒体先端部部分S−1は自由端部になり、記録媒体の曲げ剛性で挟持部N19のニップ線にならうような挙動(屈曲状態を解消する方向の挙動)を示す。即ち、記録媒体先端部部分S−1は曲げ剛性(こし)で真っ直ぐになろうとする。そして、図11のように、自由端部となった記録媒体先端部部分S−1は引き続く記録媒体Sの搬送につれて屈曲状態を解消する方向の姿勢S−1−1、S−1−2へと姿勢を変化させる。
【0068】
この記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動がセンサ23により経時的に測定される。その出力される距離プロファイルは搬送される記録媒体Sの種類(種別、紙種)によってそれぞれ異なる。このようにセンサ23より得られる距離プロファイルは紙のこしの違い(記録媒体の種類の違い)を顕著に表す。
【0069】
そこで、各種の記録媒体についてセンサ23より得られる距離プロファイルを予め測定し、それらの測定距離プロファイルを制御回路部Bの記憶部に参照データとして記憶させる。制御回路部Bは、可動ガイド部材20Aが退避動作した後にセンサ23から入力した記録媒体先端部部分の距離プロファイルと記憶部の参照データ(距離プロファイル)とを照合する。制御回路部Bは、センサ23から入力した距離プロファイルに適合する参照データの記録媒体の種類から搬送された記録媒体Sの種類を判別(種別の判定)する。
【0070】
即ち、制御回路部Bは、可動ガイド部材20Aの突出状態により作り出された記録材先端部部分の曲げ状態が可動ガイド部材20Aの退避状態へ転換により解消されるときに生じる記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動をセンサ23を用いて検知する。これにより、記録媒体の種類を判別する機能を有する。
【0071】
上記のようにして種類判別された記録媒体Sは引き続く搬送により先端部が挟持部N21に到達して挟持されて搬送される。センサ23は挟持部N19と挟持部N21とに挟持されて搬送されている記録媒体Sについて挟持部N19と挟持部N21との間で、センサ23と記録媒体Sの裏面までの距離を経時的に測定して制御回路部Bに入力する。
【0072】
制御回路部Bはその入力情報に基づいて、実施例1の1)のループ量の制御と同様のループ量制御をする。即ち、図12のように、挟持部N19と挟持部N21との間における記録媒体Sのループ量があらかじめ設定してある所定のループ量に維持されるように駆動手段M22によるローラ22の回転スピードを制御する。これにより、挟持部N19と挟持部N21との間で記録媒体Sを引っ張り過ぎず、たるみ過ぎないようにしている。
【0073】
記録媒体Sの搬送が上記のようにループ量制御されながら進行して、後端部が挟持部N19を抜け、更にセンサ23の位置を通過すると、センサ23は記録媒体非検知となる。制御回路部Bはセンサ23から入力する記録媒体非検知信号に基づいて駆動手段M20Aにより軸20cを正回転駆動させる。これにより、ガイドリブ20Aが退避状態から突出状態に転換されて保持されて、次の記録媒体の搬送を待つ。
【0074】
本実施例2では記録媒体の先端部部分の姿勢変化挙動で記録媒体の種別を判断できる。そのため、使用者が操作部Cやホスト装置Dにより指定したプリントモードとセンサ23で検知された実際に搬送された記録媒体Sの種別が一致していない場合には、制御回路部Bは例えば次のような制御をすることができる。定着方式がオンディマンド方式であれば定着温度に対してはプリント1枚目から最適化することができる。さらに連続通紙であれば、2枚目以降については転写バイアス条件からループ制御、定着温度に対して最適な画像形成条件にすることができ、画像品質の向上につなげることができる。
【0075】
また、二次転写部−定着部間でのループ制御に対して非接触距離センサを用いている場合については、別途記録媒体判別機能を盛り込まなくても済むので、画像形成装置の省スペース化、コストダウンにもつなげることができる。
【0076】
[実施例3]
図13−図14は本実施例3の構成説明図である。本実施例においては、レジスト部Hの挟持部N16(第1の挟持部)とこれよりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置する転写部Iの挟持部N19(第2の挟持部)との間に非接触距離センサ23を配設している。センサ23は、ガイド部材18の表面側とは反対側である裏面側に位置を固定して配設されている。ガイド部材18のセンサ23の位置に対応する部分には距離検出のための光線がガイド部材18の表面側と裏面側に出入りするための窓穴18aが設けられている。
【0077】
記録媒体Sの挟持部N19への突入姿勢は最適な画像形成をする上で重要な画像形成条件となる。記録媒体Sが挟持部N16と挟持部N19で挟持されている状態で、レジスト部H−転写部I間で記録媒体Sを引っ張ったり、ループが必要以上に大きくなることで記録媒体Sが挟持部N19へ押し込まれると、画像倍率が変化するなどの画像不良が発生する。
【0078】
本実施例においては、センサ23は、図13のように、挟持部N16と挟持部N19とに挟持されて搬送されている記録媒体Sについて挟持部N19と挟持部N19との間で、センサ23と記録媒体Sの裏面までの距離を経時的に測定して制御回路部Bに入力する。制御回路部Bはその入力情報に基づいて、挟持部N16と挟持部N19との間における記録媒体Sのループ量があらかじめ設定してある所定のループ量に維持されるように駆動手段M16によるレジストローラ22の回転スピードを制御する。
【0079】
これにより、挟持部N16と挟持部N19との間で記録媒体Sを引っ張り過ぎず、たるみ過ぎないようにしている。すなわち、制御回路部Bはレジスト部Hと転写部Iとの間における記録媒体の姿勢を制御する。
【0080】
そして、図14のように、記録媒体後端部が挟持部N16を抜けたときの記録媒体後端部部分の姿勢変化挙動S−1、S−1−1、S−1−2をセンサ23で測定する。これにより、実施例1における記録媒体Sの種類判別の場合と同様に、搬送された記録媒体Sの種類の判別が可能である。
【0081】
本実施例においても、使用者が指定したプリントモードに対して通紙する記録媒体の種類選択を間違えていても、画像形成装置で記録媒体の種別が判断できるので最適な画像形成条件への変更が可能となる。ただし、搬送された記録媒体の後端部部分で記録媒体の種別を判断しているため、モード間違い対応は連続プリントの2枚目以降になるが、実施例1に対して記録媒体の判別タイミングが早いので1枚目の定着温度への反映は早く行なうことができる。
【0082】
[実施例4]
図15は本実施例4の構成説明図である。本実施例4は実施例3の構成において、実施例2と同様に、突出状態と退避状態に転換される可動ガイド部材20Aを具備させる。そして、実施例2と同様に、この可動ガイド部材20Aの突出状態から退避状態への転換に伴う記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動をセンサ23により経時的に測定して、その出力プロファイルより記録媒体の種別を判定する。
【0083】
本実施例においては、実施例3に対して記録媒体Sの先端部部分の姿勢変化挙動で種別を判断できるので、使用者が指定したプリントモードと搬送された記録媒体の種類を間違えていても、1枚目から転写バイアス条件を最適にして画像形成できる。また、1枚目から記録媒体の種別を判断し最適な画像形成条件を準備できるので、使用者にプリントモードの指定を要求する必要がなく、ユーザビリィテー向上につなげることができる。
【0084】
[実施例5]
図16−図17は本実施例5の構成説明図である。本実施例においては、ピックアップ部Gの挟持部N13(第1の挟持部)とこれよりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置するレジスト部Hの挟持部N16(第2の挟持部)との間に非接触距離センサ23を配設している。センサ23は、ガイド部材15の表面側とは反対側である裏面側に位置を固定して配設されている。ガイド部材15のセンサ23の位置に対応する部分には距離検出のための光線がガイド部材15の表面側と裏面側に出入りするための窓穴15aが設けられている。
【0085】
ピックアップ部Gの挟持部N13から送り出されてレジスト部Hの挟持部N16に到達した記録媒体Sの先端部はその時点では回転停止状態に制御されているローラ16とコロ17との挟持部N16に突き当たって受け止められる。そして、ピックアップ部Gによる引き続く記録媒体Sの送りにより挟持部N13と挟持部N16との間に記録媒体Sのループ形成が記録媒体Sの剛性に抗してなされる。これにより記録媒体Sの先端全長部が挟持部N16に押し当たって、記録媒体Sの斜行が矯正される。記録媒体Sのループ形成はセンサ23による測距により所定のループ量に制御される。
【0086】
そして、図17のように、記録媒体後端部が挟持部N13を抜けたときの記録媒体後端部部分の姿勢変化挙動S−1、S−1−1、S−1−2をセンサ23で測定する。これにより、実施例1や実施例3における記録媒体Sの種類判別の場合と同様に、搬送された記録媒体の種類の判別が可能である。
【0087】
そして、その記録媒体Sの種類判定結果を用いて、画像形成条件を最適にすることできる。また、使用者が指定したプリントモードに対して記録媒体の種類選択を間違えている場合において、記録媒体の種別を判断できた時点で最適な画像形成条件へ変更できる。記録媒体Sの後端部部分の姿勢変化挙動で種別を判断している。そのため、モード間違い対応は連続プリントの2枚目以降になるが、実施例1や3に対して記録媒体の判別タイミングが早いので出力画像1枚目に対する転写バイアス条件や定着温度変更への反映は早く行なうことができる。
【0088】
[実施例6]
図18は本実施例6の構成説明図である。本実施例6は実施例5の構成において、実施例2や4と同様に、突出状態と退避状態に転換される可動ガイド部材20Aを具備させる。そして、実施例2や4と同様に、この可動ガイド部材20Aの突出状態から退避状態への転換に伴う記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動をセンサ23により経時的に測定して、その出力プロファイルより記録媒体の種別を判定する。
【0089】
実施例5に対して記録媒体の先端部部分の姿勢変化挙動で種別を判断できるので、使用者が指定したプリントモードと記録媒体の種類選択を間違えていても、出力画像1枚目から最適な転写バイアス条件に変更し反映することができる。また、1枚目から記録媒体の種別を判断し最適な画像形成条件を準備できるので、使用者にプリントモードの指定を要求する必要がなく、ユーザビリィテー向上につなげることができる。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、記録媒体Sの種類の違いによるの曲げ剛性(こし)の違いを利用して、非接触距離センサ23からの経時的な距離データより記録媒体の種類を判別することができる。
【0091】
また、同じ坪量であっても曲げ剛性が違えば記録媒体の種別を切り分けられるので画像形成条件を最適にでき画像品質の向上を図ることができる。また、画像形成装置本体側で記録媒体の種別が判定できるので、使用者のプリントモード指定において記録媒体の指定間違いがあっても最適な画像形成条件でプリントできる。さらに、画像形成装置側で記録媒体の種別が判断できるので、そもそも使用者にプリントモードの指定を要求することがいらないのでユーザビリィテー向上を図ることができる。
【0092】
[他の実施形態]
記録媒体Sに画像を形成する画像形成部は実施例の電子写真方式、中間転写方式、インライン型のフルカラー画像形成部に限られないことは勿論である。例えば、1つの像担持体に順次各色トナー像を形成して中間転写体上に転写する1ドラム式中間転写カラー画像形成部や、中間転写体を備えずに像担持体から直接記録媒体に各色トナー像を転写するタンデム式直接転写カラーであってもよい。単色の転写方式または直接方式の画像形成部であってもよい。電子写真方式に限られず、静電記録方式、磁気記録方式等の画像形成部であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
U(UY、UM、UC、UK)・・画像形成ユニット、7・・中間転写ユニット、F・・給紙部、G・・ピックアッツプ部、N13・・給紙ニップ部、H・・レジスト部、N16・・レジストニップ部、I・・転写部(二次転写部)、N19・・二次転写ニップ部、J・・定着部、N21・・定着ニップ部、S・・記録媒体、23・・非接触距離センサ、20A・・可動ガイド部材、B・・制御回路部(制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を挟持して搬送する挟持部を有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を非接触で検知する非接触距離センサを有し、
前記制御手段は、前記挟持部で記録媒体を挟持した状態で前記非接触距離センサを用いて搬送されている記録媒体を検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体を挟持して搬送する第1の挟持部と前記第1の挟持部よりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置する第2の挟持部とを有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を前記第1の挟持部と第2の挟持部との間において非接触で検知する非接触距離センサを有し、
前記記録媒体は前記第1の挟持部と第2の挟持部とに渡って搬送されているときにおいて前記第1の挟持部と第2の挟持部との間で剛性に抗してループ状の曲げ状態が作り出されており、
前記制御手段は、前記記録媒体の搬送が進んで記録媒体の後端部が前記第1の挟持部を通過して挟持が解除されて前記曲げ状態が解消されるときに生じる記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動を前記非接触距離センサを用いて検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体を挟持して搬送する挟持部を有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を非接触で検知する非接触距離センサと、
前記挟持部よりも記録媒体搬送方向下流側に配設されていて、前記挟持部から出た記録材先端部部分を剛性に抗して曲げ状態にする方向に案内する第1の姿勢状態と前記記録材先端部部分に非接触の第2の姿勢状態とに転換される可動ガイド部材と、
を有し、前記制御手段は、前記可動ガイド部材の前記第1の姿勢状態により作り出された前記記録材先端部部分の曲げ状態が前記可動ガイド部材の前記第2の姿勢状態へ転換により解消されるときに生じる記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動を前記非接触距離センサを用いて検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記非接触距離センサが、前記記録媒体搬送経路に配設されている、記録媒体を給送する挟持部を有するピックアップ部と、前記ピックアップ部よりも記録媒体搬送方向下流側において記録媒体の先端位置を制御する挟持部を有するレジスト部との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記非接触距離センサが、前記記録媒体搬送経路に配設されている、記録媒体の先端位置を制御する挟持部を有するレジスト部と、前記レジスト部よりも記録媒体搬送方向下流側において画像を記録媒体に転写する転写部との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記非接触距離センサが、前記記録媒体搬送経路に配設されている、画像を記録媒体に転写する転写部と、記録媒体の先端位置を制御する挟持部を有するレジスト部と、前記転写部よりも記録媒体搬送方向下流側において記録媒体に転写された画像を定着するする定着部との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は記録媒体の種類を判別する機能で得られた記録媒体の種別情報に応じて画像形成装置の画像形成条件を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成条件は、画像を記録媒体に転写する転写部における転写バイアス条件、記録媒体に転写された画像を定着するする定着部における定着温度の制御、2つの挟持部の間に剛性に抗して曲げ状態とする記録媒体のループ量、の少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録媒体を挟持して搬送する挟持部を有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を非接触で検知する非接触距離センサを有し、
前記制御手段は、前記挟持部で記録媒体を挟持した状態で前記非接触距離センサを用いて搬送されている記録媒体を検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体を挟持して搬送する第1の挟持部と前記第1の挟持部よりも記録媒体搬送方向下流側に間隔をあけて位置する第2の挟持部とを有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を前記第1の挟持部と第2の挟持部との間において非接触で検知する非接触距離センサを有し、
前記記録媒体は前記第1の挟持部と第2の挟持部とに渡って搬送されているときにおいて前記第1の挟持部と第2の挟持部との間で剛性に抗してループ状の曲げ状態が作り出されており、
前記制御手段は、前記記録媒体の搬送が進んで記録媒体の後端部が前記第1の挟持部を通過して挟持が解除されて前記曲げ状態が解消されるときに生じる記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動を前記非接触距離センサを用いて検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体を挟持して搬送する挟持部を有する記録媒体搬送経路と、前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と、制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記記録媒体搬送経路を搬送される記録媒体との距離を非接触で検知する非接触距離センサと、
前記挟持部よりも記録媒体搬送方向下流側に配設されていて、前記挟持部から出た記録材先端部部分を剛性に抗して曲げ状態にする方向に案内する第1の姿勢状態と前記記録材先端部部分に非接触の第2の姿勢状態とに転換される可動ガイド部材と、
を有し、前記制御手段は、前記可動ガイド部材の前記第1の姿勢状態により作り出された前記記録材先端部部分の曲げ状態が前記可動ガイド部材の前記第2の姿勢状態へ転換により解消されるときに生じる記録媒体先端部部分の姿勢変化挙動を前記非接触距離センサを用いて検知することにより記録媒体の種類を判別する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記非接触距離センサが、前記記録媒体搬送経路に配設されている、記録媒体を給送する挟持部を有するピックアップ部と、前記ピックアップ部よりも記録媒体搬送方向下流側において記録媒体の先端位置を制御する挟持部を有するレジスト部との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記非接触距離センサが、前記記録媒体搬送経路に配設されている、記録媒体の先端位置を制御する挟持部を有するレジスト部と、前記レジスト部よりも記録媒体搬送方向下流側において画像を記録媒体に転写する転写部との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記非接触距離センサが、前記記録媒体搬送経路に配設されている、画像を記録媒体に転写する転写部と、記録媒体の先端位置を制御する挟持部を有するレジスト部と、前記転写部よりも記録媒体搬送方向下流側において記録媒体に転写された画像を定着するする定着部との間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は記録媒体の種類を判別する機能で得られた記録媒体の種別情報に応じて画像形成装置の画像形成条件を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成条件は、画像を記録媒体に転写する転写部における転写バイアス条件、記録媒体に転写された画像を定着するする定着部における定着温度の制御、2つの挟持部の間に剛性に抗して曲げ状態とする記録媒体のループ量、の少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−226138(P2012−226138A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94022(P2011−94022)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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