説明

画像形成装置

【課題】 縁なし画像形成処理においても、優れたトナー回収力を維持しつつ、良好な転写が行える画像形成装置を提供する。
【解決手段】 静電潜像が形成される感光体と、感光体に静電潜像を形成する露光手段と、感光体に形成された現像剤像を中間転写体に転写する1次転写手段と、中間転写体上に転写された現像剤像を媒体に転写する2次転写手段とを備える画像形成装置1において、媒体の縁からはみ出す現像剤像を形成する縁なし画像形成手段(コマンド/画像処理部102、制御部104)と、2次転写手段上に転写された現像剤像を除去するクリーニング手段26と、クリーニング手段が現像剤像を除去する2次転写手段上の位置に応じて、クリーニング手段に印加するクリーニング電圧の大きさを制御するクリーニング電圧制御手段109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された現像剤像を記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のカラー画像形成装置では、各色の感光体上に形成された各々トナー像を中間転写体に重ね合わさるように順次転写(1次転写)した後、該中間転写体上の各色のトナー像を2次転写部(2次転写ローラ)にて一括記録媒体に転写(2次転写)するようにしている。
【0003】
また、画像形成装置には、2次転写の際に2次転写ローラに付着したトナーを除去するためのクリーニング手段が設けられている。該クリーニング手段は、クリーニングバイアスを印加して2次転写ローラに付着したトナーを回収するクリーニングローラと、トナーの回収でクリーニングローラの表面に付着したトナーを掻き落とすクリーニングブレードを備える。
【0004】
係る画像形成装置において、例えば、特許文献1には、トナー像の形成につき、記録媒体の内側に収まるトナー像を形成する縁あり画像形成処理機能と、記録媒体からはみ出すトナー像を形成する縁なし画像形成処理機能を有するものが開示されている。
そして、2次転写後のクリーニングにおいて、縁なし画像形成処理の場合は、2次転写の際に記録媒体よりはみ出たトナーが2次転写ローラに付着することから、この付着したトナーを確実に回収するために縁あり画像形成処理の場合よりクリーニングバイアスを大きくして、クリーニングローラによるトナーの回収力を向上する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−45457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、縁なし画像形成処理を実施している間、2次転写ローラに高バイアスを印加しておくと、2次転写ローラの表面が帯電過多となって2次転写部における電界形成に悪影響を及ぼし、転写不良が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、縁なし画像形成処理においても、優れたトナー回収力を維持しつつ、良好な転写が行える画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、静電潜像が形成される感光体と、上記感光体に静電潜像を形成する露光手段と、上記感光体に形成された現像剤像を中間転写体に転写する1次転写手段と、上記中間転写体上に転写された現像剤像を媒体に転写する2次転写手段とを備える画像形成装置において、上記媒体の縁からはみ出す現像剤像を形成する縁なし画像形成手段と、上記2次転写手段上に転写された現像剤像を除去するクリーニング手段と、上記クリーニング手段が上記現像剤像を除去する上記2次転写手段上の位置に応じて、上記クリーニング手段に印加するクリーニング電圧の大きさを制御するクリーニング電圧制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記クリーニング電圧制御手段により、媒体の搬送方向に対して媒体の先端及び後端からはみ出て転写された2次転写ローラ上の現像剤像を除去する際のクリーニング電圧を大きくすることが可能である。これにより、縁なし画像形成処理においても、優れたトナー回収力を維持しつつ、良好な転写を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1による制御回路部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像形成装置を示す構成図である。
【図3】記録媒体と印刷領域の関係を示す図である。
【図4】2次転写部の拡大図である。
【図5】縁あり印刷時の動作を示すタイムチャートである。
【図6】縁なし印刷時の動作を示すタイムチャートである。
【図7】実施例2による高圧制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2によるクリーニング電圧制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】実施例2の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置につき、図1〜図9を用いて説明する。
尚、本実施形態では、画像形成装置として、電子写真方式によるカラープリンタを例に説明する。
【実施例1】
【0012】
先ず、図2に基づいて、本発明が適用された画像形成装置1(カラープリンタ1)の構成を説明する。図2は、本発明の画像形成装置を示す構成図である。
【0013】
図2に示すように、カラープリンタ1には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像剤像(トナー像)を形成するためのイメージドラムユニット2(以下、IDユニット2と称する)が着脱可能に装着されている。
これらIDユニット2は、各色とも同じ構成である。
【0014】
IDユニット2は、感光体ドラム5、帯電ローラ6、LEDヘッド(露光手段)3、現像ローラ8、供給ローラ7、トナーカートリッジ4、クリーニングブレード9で構成され、これらの内、帯電ローラ6、現像ローラ8、クリーニングブレード9についは、感光体ドラム5の表面に接触可能に配設されている。
【0015】
帯電ローラ6には、帯電用の負電圧が印加され、感光体ドラム5の表面を負に帯電する。
LEDヘッド3は、感光体ドラム5の上方に配設され、帯電された感光体ドラム5の表面に選択的に光を照射して、画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0016】
現像ローラ8には、負の電圧が印加され、感光体ドラム5の表面に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する。
供給ローラ7は、現像中、現像ローラ8にトナーを供給すると共に、その際の攪拌動作により、トナーを負に摩擦帯電させる。
【0017】
トナーカートリッジ4は、供給ローラ7に供給するトナーを貯蔵する容器である。各トナーカートリッジ4には、各色のトナーが貯蔵されており、それぞれのIDユニット2に着脱可能に装着されている。
クリーニングブレード9は、トナー像の転写後に感光体ドラム5の表面に付着している残留トナーを掻き落として除去する。
【0018】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12、ベルト従動ローラ13、2次転写バックアップローラ14の3つのローラにて張架された、例えば、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムで成るエンドレスベルトであり、その上面部が、各IDユニット2に対向して配置された1次転写ローラ(1次転写手段)10と感光体ドラム5の間を移動するように、回転可能に配設されている。該中間転写ベルト11は、駆動ローラ12により回転し、移動可能となる。
【0019】
また、中間転写ベルト11の側面部であって、ベルト従動ローラ13に対向する位置には、その先端部が中間転写ベルト11に当接する板状のクリーニングブレード15が配置されている。
このクリーニングブレード15の下方には、該クリーニングブレード15が中間転写ベルト11から掻き落したトナーなどの付着物を収容するクリーナー容器16が配設されている。
【0020】
2次転写バックアップローラ14に対向する位置には、中間転写ベルト11面に接するように2次転写ローラ25が配設されている。2次転写ローラ25は、例えば、導電性のゴム材で成り、その金属シャフトは、筐体に接続(接地)されている。
【0021】
この2次転写ローラ25の下面に接してクリーニングローラ(クリーニング手段)26が配設され、該クリーニングローラ26の下面に接するように、該クリーニングローラ26の表面に付着したトナーを掻き落とす板状のクリーニングブレード27が配設されている。クリーニングローラ26として、例えば、金属ローラが使用される。
【0022】
また、クリーニングブレード27の下方には、該クリーニングブレード15がクリーニングローラ26から掻き落したトナーを回収するクリーナー容器28が配設されている。
【0023】
カラープリンタ1の底部には、記録媒体が積載される記録媒体収容カセット29が着脱可能に装着されている。
この記録媒体収容カセット29の記録媒体出口付近に、カセット内の記録媒体を1枚ずつ搬送路31に繰り出す弁別手段(図示せず)とホッピングローラ30が設けられている。
【0024】
このホッピングローラ30の下流側には、記録媒体収容カセット29より繰り出された記録媒体を所定のタイミングにて中間転写ベルト11と2次転写ローラ25の接触部(ニップ部)に搬送するレジストローラ17が、その下流部に搬送ローラ18、19が配設されている。
また、搬送ローラ19と2次転写ローラ25の間には、記録媒体の有無を検出するセンサ24が配設されている。
【0025】
2次転写ローラ25の下流部に、記録媒体上の転写画像を定着させる定着器20が配設されている。該定着器20は、内蔵のヒータにて記録媒体上のトナーを加熱して溶融させるヒートローラ21と、溶融したトナーを加圧して記録媒体上に定着させる加圧ローラ22とで構成されている。
また、ヒートローラ21の表面近傍に、ヒートローラ21の温度を検知するサーミスタ23が配設されている。
【0026】
そして、上記カラープリンタ1は、上記構成の他、制御系としての制御回路部を有し、該制御回路部の制御により、記録媒体の周縁部に余白を設けて画像を形成する縁あり画像形成処理と、記録媒体の周縁部に余白を設けず画像を形成する縁なし画像形成処理を実行可能としている(図3参照)。
【0027】
次に、図1に基づいて、上記制御回路部の構成について説明する。図1は、実施例1による制御回路部の構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、制御回路部は、ホストインタフェース部101、コマンド/画像処理部102、LEDヘッドインタフェース部103、制御部104、高圧制御部100等で構成されている。
【0029】
ホストインタフェース部101は、外部装置として、例えば、ホストコンピュータ(図示せず)との間で通信を行い、ホスト側より印刷データ(コマンドデータと画像データ等)を受信する部分である。受信したデータは、コマンド/画像処理部102に送られる。尚、ホストコンピュータから送信されるデータは、ページ記述言語(Page Description Language:PDL)で表現される印刷データである
【0030】
コマンド/画像処理部102は、ホストインタフェース部101が受信した印刷データの解析・処理を行う部分である。
すなわち、コマンド/画像処理部102は、コマンドと画像データを解析し、受信したジョブが縁あり印刷処理か縁なし印刷処理かを判断し、画像データをそれぞれの処理に応じたビットマップデータ(印刷可能な形式の画像データ)に展開すると共に、該ビットマップデータをLEDヘッドインタフェース部103に送出する。
また、コマンド/画像処理部102は、解析結果(受信したジョブが縁あり印刷処理か、縁なし印刷処理か)を制御部104に通知する。
【0031】
LEDヘッドインタフェース部103は、コマンド/画像処理部102より送られて来るビットマップデータを各色(K、Y、M、C)のLEDヘッド3が受信可能なデータに加工する部分である。加工された各色のビットマップデータは、それぞれ対応するLEDヘッド3に送られる。
【0032】
制御部104は、コマンド/画像処理部102から通知される解析結果に基づいて、カラープリンタ1の機構制御と印加電圧の制御を統括的に行う部分である。
すなわち、制御部104は、ホッピングモータ110、レジストモータ111、搬送モータ112、ベルトモータ113、IDモータ114、定着器ヒータモータ115、2次転写モータ116等の各駆動系を所定のタイミングと速度で駆動制御する。また、制御部104は、サーミスタ23の検出値に基づいて定着器ヒータ117の温度制御を行う。
【0033】
ここで、ホッピングモータ110は、ホッピングローラ30を回転駆動する。
レジストモータ111は、レジストローラ17を回転駆動する。
搬送モータ112は、搬送ローラ18、19を回転駆動する。
ベルトモータ113は、ベルト駆動ローラ12を回転駆動する。
IDモータ114は、IDユニット内の駆動系(感光体ドラム5等)を回転駆動する。
定着器ヒータモータ115は、ヒートローラ21を回転駆動する。
2次転写モータ116は、2次転写ローラ25を回転駆動する。
【0034】
高圧制御部100は、帯電電圧制御部105、現像電圧制御部106、1次転写電圧制御部107、2次転写電圧制御部108、クリーニング電圧制御部109を備え、制御部104から指示に基づいて、各ローラに所定の電圧を供給する部分である。
すなわち、帯電電圧制御部105は、帯電ローラ6に印加する電圧(負電圧)の制御を行う。
現像電圧制御部106は、現像ローラ8に印加する電圧(負電圧)の制御を行う。
1次転写電圧制御部107は、1次転写ローラ10に印加する電圧(正電圧)の制御を行う。
2次転写電圧制御部108は、2次転写バックアップローラ14に印加する電圧(負電圧)の制御を行う。
クリーニング電圧制御部109は、クリーニングローラ26に印加する電圧(正電圧)の制御を行う。
【0035】
ここで、上述した制御回路部の各部構成において、コマンド/画像処理部102と制御部104の集合体が特許請求の範囲における縁なし画像形成手段に対応している。
【0036】
次に、上記構成のカラープリンタ1による一連の印刷処理について説明する。
先ず、ホスト側にて作成された印刷データがプリンタ側に送信されると、コマンド/画像処理部102は、ホストインタフェース部101を介して印刷データを受信する。
【0037】
コマンド/画像処理部102は、受信データを解析し、受信したジョブが縁あり印刷処理か縁なし印刷処理かを判断し、画像データをそれぞれの処理に対応したビットマップデータに展開する。
同時に、コマンド/画像処理部102は、展開したビットマップデータが縁あり印刷処理用か縁なし印刷処理用かを制御部104に通知する。
【0038】
制御部104は、コマンド/画像処理部102より該通知を受けると、定着器ヒータモータ115を回転駆動すると共に、サーミスタ23の検出値に従って定着器ヒータ117への通電をON/OFF制御し、ヒートローラ21の温度が所定温度に達すると、後述する印刷動作を開始する。
【0039】
印刷動作の開始に当たり、制御部104は、先ず、ベルトモータ113、IDモータ114及び2次転写モータ116を回転駆動すると共に、高圧制御部100に対して電圧印加を指示し、これにより、帯電電圧制御部105は帯電ローラ6に所定の負電圧を供給し、また、現像電圧制御部106は現像ローラ8に所定の負電圧を供給する。
【0040】
感光体ドラム5の帯電が安定すると、コマンド/画像処理部102は、展開したビットマップデータをLEDヘッドインタフェース部103に送出する。
LEDヘッドインタフェース部103では、コマンド/画像処理部102より送られるビットマップデータを、各色のLEDヘッド3が受信可能な形態に加工して、それぞれ対応するLEDヘッド3に送る。
【0041】
各LEDヘッド3は、送られてきたデータに対応するLEDを発光させて、一様に帯電された感光体ドラム5の表面にビットマップデータに基づく静電潜像を形成する。
感光体ドラム5上の静電潜像は、現像ローラ8により現像されて、トナー像が形成される。
【0042】
制御部104は、再度高圧制御部100に電圧印加を指示し、1次転写電圧制御部107は、この指示を受けて1次転写ローラ10に所定の1次転写電圧を印加する。
尚、1次転写電圧の印加は、感光体ドラム5の潜像形成が開始されてから、少なくとも感光体ドラム5が1次転写部から露光部に回転するまでに要する時間以上前のタイミングで行われる。
【0043】
各色の感光体ドラム5と中間転写ベルト11との接触部(1次転写位置)において、各感光体ドラム5上の各色のトナー像は、順次中間転写ベルト11の表面に転写され、最終的にフルカラー(K、Y、M、C)の未定着トナー像が重ね合わさるように中間転写ベルト11上に形成される。
【0044】
一方で、制御部104は、中間転写ベルト11上のトナー像が2次転写部、すなわち、中間転写ベルト11と2次転写ローラ25のニップ部に達するタイミングにてホッピングモータ110、レジストモータ111、搬送モータ112を駆動する。これにより、ホッピングローラ30、搬送ローラ18、19が回転駆動し、記録媒体収容カセット29に積載されている記録媒体を搬送路31上に繰り出して2次転写部へと搬送する。
【0045】
尚、制御部104は、画像データの送信開始タイミングとベルト駆動ローラ12の駆動速度と1次転写部から2次転写部までの距離とに基づいて、中間転写ベルト11上のトナー画像が2次転写部に達する時間を算出可能であるから、搬送路31上の記録媒体が2次転写部に達するときに、中間転写ベルト11上のトナー画像が2次転写部に到達するように駆動系を制御することは可能である。
【0046】
また、制御部104は、センサ24からの検知信号により記録媒体が2次転写部に到達するタイミングを察知し、該タイミングにて、高圧制御部100に電圧印加を指示する。2次転写電圧制御部108は、この指示を受けて、2次転写バックアップローラ14にトナーと同極性の電圧(負電圧)を印加する。
2次転写部では、負に帯電された中間転写ベルト11上のトナー像が、2次転写バックアップローラ14の負電圧と2次転写ローラ25の正電圧とにより記録媒体に吸引されて、該記録媒体上に転写される。
【0047】
トナー像が転写された記録媒体は、定着器20に搬送され、該定着器20において、記録媒体上のトナー像がヒートローラ21と加圧ローラ22により溶融・押圧され記録媒体上に定着され、定着後、装置外部に排出される。
【0048】
記録媒体の排出が終了すると、制御部104は、全モータの駆動を停止させる。
また各駆動系への印加電圧で、1次転写電圧は、中間転写ベルト11の停止時にOFFされる。2次転写電圧は、記録媒体における印刷領域の後端部が2次転写部を通過するタイミングでOFFされる。帯電電圧や現像電圧は感光体ドラム5の回転停止時にOFFされる。
【0049】
以上の動作を繰り返すことにより、一連の印刷動作が行われる。
【0050】
次に、実施例1による縁あり印刷、及び縁なし印刷の動作につき、図3〜図6に基づいて説明する。図3は、記録媒体と印刷領域の関係を示す図、図4は、2次転写部の拡大図、図5は、縁あり印刷時の動作を示すタイムチャート、図6は、縁なし印刷時の動作を示すタイムチャートである。
【0051】
図3に示すように、縁あり印刷の場合は、トナー像が記録媒体の内側(縁あり印刷領域)に形成されるので、2次転写の際にトナーが2次転写ローラ25に付着することはない。
他方、縁なし印刷の場合は、記録媒体周縁の外側にトナー像が形成されるので、2次転写の際に記録媒体よりはみ出たトナーが2次転写ローラ25に付着することになる。
【0052】
2次転写ローラ25に付着したトナーは、該トナーと逆極性の正電圧が印加されたクリーニングローラ26にて回収されると共に、クリーニングローラ26上に回収されたトナーをクリーニングブレード27にて掻き落としてクリーナー容器28に回収するようにしている。
これは、2次転写ローラ25にトナーが付着した状態で次の印刷を行うと、2次転写の際に、記録媒体の裏側にトナーが付着する裏写りが発生し、印刷物の品質を悪くするからである。
【0053】
図4において、中間転写ベルト11と2次転写ローラ25の接触部(ニップ部)を2次転写位置とし、2次転写ローラ25とクリーニングローラ26の接触部(ニップ部)をクリーニング位置とする。
また、センサ24から2次転写位置までの距離をL1、クリーニング位置から2次転写位置までの距離をL2とし、2次転写位置からクリーニング位置までの距離をL3とする。
【0054】
先ず、縁あり印刷時の動作につき、図5に基づいて説明する。
図5において、ΔT1は、記録媒体の先端がセンサ24を通過して距離L1進むのに要する時間、ΔT2は、2次転写ローラ25が距離L2分を回転するときに要する時間である。
【0055】
記録媒体収容カセット29より繰り出された記録媒体の先端が2次転写センサ(センサ24)に達すると、センサ24の検知出力がLowからHighに切り替わる(t1)。制御部104は、このセンサ24の検知出力を監視している。
【0056】
制御部104は、センサ24の検知出力がLowからHighに切り替わると、高圧制御部100のクリーニング電圧制御部109に電圧印加を指示する。
クリーニング電圧制御部109は、制御部104の指示により、記録媒体の先端がセンサ24を通過して2次転写位置に達する時間より、少なくとも時間ΔT2以上前のタイミングでクリーニングローラ26にトナーと逆極性のクリーニング電圧(例えば、+1.5KV)を印加する(t2)。
【0057】
センサ24が搬送されてくる記録媒体の先端を検知した後、時間ΔT1が経過すると、制御部104は、記録媒体の先端が2次転写位置に達したものと判断して、高圧制御部100の2次転写電圧制御部108に電圧印加を指示する。2次転写電圧制御部108は、制御部104の指示により、2次転写バックアップローラ14にトナーと同極性の2次転写電圧(例えば、−2KV)を印加する(t3)。
【0058】
また、記録媒体の後端がセンサ24を通過すると、センサ24の検知出力がHighからLowに切り替わる(t4)。
制御部104は、センサ24の検知出力がHighからLowに切り替わると、高圧制御部100に電圧印加OFFの指示を出す。クリーニング電圧制御部109は、この指示を受けて、記録媒体の後端が2次転写位置に達する時間より、少なくとも時間ΔT2前のタイミングでクリーニングローラ26への印加電圧(クリーニング電圧)をOFFする(t5)。
【0059】
センサ24が記録媒体の後端を検知した後、時間ΔT1が経過すると、制御部104は、記録媒体の後端が2次転写位置を通過したものと判断して高圧制御部100に印加電圧OFFの指示を出す。2次転写電圧制御部108は、この指示を受けて、2次転写バックアップローラ14への印加電圧(2次転写電圧)をOFFする(t6)。
【0060】
次に、縁なし印刷時の動作につき、図6に基づいて説明する。
図6において、記録媒体収容カセット29より繰り出された記録媒体の先端が2次転写センサ(センサ24)に達すると、センサ24の検知出力がLowからHighへ切り替わる(t7)。制御部104は、このセンサ24の検知出力を監視している。
【0061】
制御部104は、センサ24の検知出力がLowからHighに切り替わると、高圧制御部100のクリーニング電圧制御部109に電圧印加を指示する。
クリーニング電圧制御部109は、制御部104の指示により、記録媒体の先端がセンサ24を通過して2次転写位置に達する時間(t10)より、少なくとも時間ΔT2以上前のタイミングでクリーニングローラ26にトナーと逆極性のクリーニング電圧(V1)を印加する(t8)。印加するクリーニング電圧(V1)は、例えば、1.5KVである。
【0062】
次に、制御部104は、高圧制御部100の2次転写電圧制御部108に電圧印加を指示する。2次転写電圧制御部108は、制御部104の指示により、記録媒体の先端が2次転写位置に到達する時間(t10)より、時間ΔT4前のタイミングで2次転写バックアップローラ14にトナーと同極性の2次転写電圧(例えば、−2KV)を印加する(t9)。
【0063】
ここで、ΔT4とは、図3において、記録媒体が該記録媒体の外側に形成されたトナー像の用紙端からの距離L4進むのに要する時間である。
すなわち、2次転写電圧制御部108は、記録媒体の外側に形成されたトナー像の搬送方向の先端が2次転写位置に到達するタイミングで、2次転写バックアップローラ14に対して2次転写電圧を印加する(t9)。
【0064】
2次転写電圧を印加(t9)してから時間ΔT3経過後、すなわち、2次転写ローラ25に転写されたトナー像がクリーニング位置に達するタイミングで、クリーニング電圧制御部109は、クリーニング電圧を(V1)から(V2)に変更する(t11)。クリーニング電圧(V2)は、例えば、+3KVであり、|V1|<|V2|とする。
【0065】
クリーニング電圧制御部109は、クリーニング電圧を変更した後、時間ΔT4が経過すると、クリーニン電圧をV2からV1に変更する(t12)。
【0066】
センサ24が記録媒体の後端を検知(t13)してから、時間ΔT1が経過すると、記録媒体の後端は2次転写位置に達する(t14)。
記録媒体の後端が2次転写位置に達してから、さらに時間ΔT4が経過すると、制御部104は、記録媒体の後端から外側にはみ出たトナー像が2次転写位置を通過したものと判断し、高圧制御部100に印加電圧OFFの指示を出す。2次転写電圧制御部108は、この指示を受けて、2次転写バックアップローラ14への印加電圧(2次転写電圧)をOFFする(t15)。
【0067】
さらに、クリーニング電圧制御部109は、記録媒体の後端が2次転写位置に到達(t14)してから時間ΔT3経過後、すなわち、2次転写ローラ25上に転写されたトナー像がクリーニング位置に到達するタイミングで、クリーニング電圧を再度(V1)から(V2)に変更する(t16)。
その後、時間ΔT4が経過すると、クリーニング電圧制御部109は、クリーニング電圧をOFFする(t17)。
【0068】
以上のように、実施例1では、縁なし印刷の2次転写動作において、記録媒体の搬送方向に対して記録媒体の先端及び後端からはみ出て2次転写ローラ25上に転写されたトナーを回収する際のクリーニング電圧(例えば、+3KV)を、記録媒体への転写領域でのクリーニング電圧(例えば、+1.5KV)より大きくするようにしている。
【0069】
係る構成では、縁なし印刷の際に記録媒体の搬送方向先端及び後端からはみ出て2次転写ローラ25上に転写されたトナーについても優れたトナー回収力にて良好に回収することができ、これにより、次印刷時の記録媒体へのトナーの裏写りを防止できると共に、長時間2次転写ローラに高電圧が印加された場合に生じ易い2次転写ローラの表面の帯電過多現象を防止して、良好な転写が行える。
【実施例2】
【0070】
次に、図7に基づいて、実施例2による高圧制御部200の構成を説明する。図7は、実施例2による高圧制御部の構成を示すブロック図である。
【0071】
図7に示すように、本実施例の高圧制御部200は、実施例1(図1)と同様、帯電電圧制御部105、現像電圧制御部106、1次転写電圧制御部107、2次転写電圧制御部108、クリーニング電圧制御部201を備え、制御部104からの指示(制御値)に基づいて、各ローラへの電圧印加を制御する部分である。
但し、本実施例のクリーニング電圧制御部201が、2次転写の際にクリーニングローラ26と2次転写ローラ25の接触部(クリーニング位置)に流れる電流を一定にするようにクリーニング電圧を制御する点で、実施例1(図1)と相違している。尚、他の部分は、実施例1(図1)と同様であり、同じ符号を付して説明は省略する。
【0072】
以下、図8に基づいて、本実施例によるクリーニング電圧制御部201の構成を説明する。図8は、実施例2によるクリーニング電圧制御部の構成を示すブロック図である。
【0073】
図8に示すように、高圧制御部200は、設定値記憶部202、電流制御部203、高圧発生回路204、電流フィードバック回路205、A/Dコンバータ206、電流検出回路207で構成されている。
【0074】
設定値記憶部202は、制御部104から指示された制御値を格納しておく部分である。
電流制御部(電流制御手段)203は、設定値記憶部202に格納されている制御値とA/Dコンバータ206の出力値を比較し、比較結果に対応させた電圧制御値を高圧発生回路204に送出する部分である。
【0075】
高圧発生回路204は、電流制御部203からの電圧制御値に応じた電圧を発生して、クリーニングローラ26に供給する回路であり、電流検出回路207は、その際にクリーニングローラ26に流れる電流(すなわち、クリーニング位置に流れる電流)を検出する回路である。
電流フィードバック回路205は、電流検出回路207が検出したアナログ電流出力をA/Dコンバータ206にフィードバックする回路である。
【0076】
A/Dコンバータ206は、フィードバックされたアナログ電流出力をデジタル値に変換する部分である。
【0077】
次に、上記構成による高圧制御部200の縁なし印刷時の動作につき、図9に基づいて説明する。図9は、実施例2の動作を示すフローチャートである。
尚、本実施例の動作において、2次転写電圧及びクリーニング電圧をON/OFFするタイミングは実施例1(図6)と同様であり、説明は省略する。
【0078】
図9において、設定値記憶部202は、制御部104から指示された制御値を格納すると共に、電流制御部203に格納値を通知する(S101)。
【0079】
電流制御部203は、設定値記憶部202からの制御値とA/Dコンバータ206からの出力値を比較し(S102)、両者が等しい場合は、設定値記憶部202から通知された制御値に対応する電圧制御値を高圧発生回路204に送出する(S103)。
これは、クリーニング位置に流れる電流が所定の値を維持するようなクリーニング電圧がクリーニングローラ26に印加されている状態である。
【0080】
他方、S104において、A/Dコンバータ206からの出力値が設定値記憶部202からの制御値より小さい場合(この現象は、クリーニング位置に付着しているトナー量が多く、そこを流れる電流が少ない場合である)、電流制御部203は、電圧制御値を現状値より大きくして高圧発生回路204へ送出する(S105)。その結果、クリーニング電圧は大きくなり、クリーニング位置に流れる電流を所定の値にすることができる。
これは、縁なし印刷時の2次転写の際に、記録媒体の搬送方向先端及び後端からはみ出たトナー像が2次転写ローラ25上に転写されている状態である。
【0081】
また、先のS104において、A/Dコンバータ206からの出力値が設定値記憶部202からの制御値より大きい場合(この状態は、クリーニング位置にトナーが殆ど付着しておらず、そこを流れる電流が多くなっている場合である)、電流制御部203は、電圧制御値を現状値より小さくして高圧発生回路204へ送出する(S106)。その結果、クリーニング電圧は小さくなり、クリーニング位置に流れる電流を所定の値にすることができる。
これは、記録媒体への転写領域部分であって、2次転写ローラ25上に転写されるトナー量が極めて少ない状態である。
【0082】
上記処理により、クリーニングローラ26に電圧制御値に応じたクリーニング電圧が印加されている状態が所定時間(クリーニング電圧制御部201が制御を行う周期)継続された後、再度S102へ移行し、上記同様の処理を実行する(S107)。
【0083】
以上のように、実施例2では、先のS101〜S107の処理を繰り返し実行することにより、2次転写ローラ25にトナーが多く付着している領域とトナーの付着量が極めて少ない領域で、クリーニング位置に流れる電流を一定に保つよう、クリーニング電圧を制御するようにしている。
【0084】
このように、クリーニング位置に流れる電流を一定に保つようにクリーニング電圧を変えることで、優れたトナー回収力を確保することができると共に、長時間2次転写ローラに高電圧が印加された場合に生じ易い2次転写ローラの表面の帯電過多現象を防止し、良好な転写が行える。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本実施形態では、プリンタを例に説明したが、この他、電子写真方式によるファクシミリ、複写機、MPF(複合機)等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
3 LEDヘッド(露光手段)
10 1次転写ローラ(1次転写手段)
26 クリーニングローラ(クリーニング手段)
102 コマンド/画像処理部
104 制御部
109 クリーニング電圧制御部(クリーニング電圧制御手段)
203 電流制御部(電流制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体に静電潜像を形成する露光手段と、
前記感光体に形成された現像剤像を中間転写体に転写する1次転写手段と、
前記中間転写体上に転写された現像剤像を媒体に転写する2次転写手段と、
を備える画像形成装置において、
前記媒体の縁からはみ出す現像剤像を形成する縁なし画像形成手段と、
前記2次転写手段上に転写された現像剤像を除去するクリーニング手段と、
前記クリーニング手段が前記現像剤像を除去する前記2次転写手段上の位置に応じて、前記クリーニング手段に印加するクリーニング電圧の大きさを制御するクリーニング電圧制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング電圧制御手段は、
前記媒体の搬送方向に対して前記媒体の先端及び後端からはみ出て転写された領域の現像剤像を除去する際のクリーニング電圧を、前記現像剤像の前記媒体への転写領域でのクリーニング電圧より大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング手段に供給する電流量により、前記媒体の先端及び後端からはみ出て転写された領域と前記現像剤像の前記媒体への転写領域を判断する電流制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−233974(P2012−233974A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101175(P2011−101175)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】