説明

画像形成装置

【課題】 転写ベルトとベルト用クリーニングブレードの当接部の潤滑性を付与するために制御用トナー像を供給する場合に、当接部に制御用トナー像を供給する必要が無い時に供給しまい、トナー消費量が多くなってしまっていた。
【解決手段】 環境検知手段が低温低湿環境を検知した場合のみ、トナー供給制御を実行し制御用トナー像を転写ベルトとベルト用クリーニングブレードの当接部に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式を利用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成のための感光ドラムが複数配置されたカラー画像形成装置では、複数の感光ドラムに対向して配置された中間転写ベルト、又は、搬送ベルトに搬送される転写材に、感光ドラム上に形成されたトナー像を順次転写して画像形成を行う。このような画像形成装置に使用される中間転写ベルト、又は、搬送ベルトには転写材に転写されないトナーや紙粉等の付着物が付着する場合があり、この付着物をベルトから除去するためのクリーニングユニットが設けられている。クリーニングユニットとして、弾性体のクリーニングブレードをベルトに接触させて、ブレードによってトナーを除去する方法が従来から知られている。
【0003】
しかしながらクリーニングブレードを使用する画像形成装置では、クリーニングブレードとベルトの当接部で摩擦力が高くなり、クリーニングブレードによってベルトから付着物を除去できない場合が発生する。このような問題を解決するために、特許文献1には、画像形成以外のタイミングでベルトにトナー像を形成し、そのトナー像をクリーニングブレードとベルトの当接部に供給するトナー供給制御が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−125900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のトナー供給制御によって、クリーニングブレードのエッジ部にトナーを定期的に供給することで、クリーニングブレードと中間転写体との間に生じる摩擦力を低減させることが可能になる。しかしながら、特許文献1のトナー供給制御を実行するタイミングは印字率によって決定されるタイミングであり、不必要にトナー供給制御を行い、過剰にトナーを消費させてしまう場合があった。
【0006】
例えば、高温高湿環境では、ベルトとクリーニングブレードの間の摩擦力が上昇し難い。しかしながら、特許文献1のトナー供給制御では、所定のタイミングになると高温高湿環境であってもトナー供給制御を実行するため、トナーを消費させてしまうという課題がある。
【0007】
本出願に係る発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、クリーニング不良が発生し易い環境のみでトナー供給制御を行い、トナー供給制御によるトナー消費量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像されたトナー像を記録材に転写するための転写ベルトと、前記転写ベルトに当接し前記転写ベルトの表面を清掃するベルト用クリーニングブレードと、環境を検知する環境検知手段と、を有し、画像形成以外のタイミングで前記現像手段によって制御用トナー像を前記感光体に現像するトナー供給制御を実行可能な画像形成装置において、前記環境検知手段が低温低湿環境を検知した場合のみ、前記トナー供給制御を実行し前記制御用トナー像を前記転写ベルトに移動させた後に前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレー接部に供給することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像されたトナー像を記録材に転写するための転写ベルトと、前記転写ベルトに当接し前記転写ベルトの表面を清掃するベルト用クリーニングブレードと、前記感光体に当接し前記感光体の表面を清掃する感光体用クリーニングブレード3と、前記環境を検知する環境検知手段と、を有し、画像形成以外のタイミングで前記現像手段によって制御用トナー像を前記感光体に現像するトナー供給制御を実行可能な画像形成装置において、前記トナー供給制御を実行することで、前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部と前記感光体と前記感光体用クリーニングブレード3の当接部に前記制御用トナー像を供給することが可能であり、前記環境検知手段が低温低湿環境を検知した場合、前記環境検知手段が高温高湿環境を検知した場合よりも、前記制御用トナー像のうち前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部に供給するトナー量が多いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、クリーニング不良が発生し易い環境のみでトナー供給制御を行うことが可能になり、ナー供給制御によるトナー消費量を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1の画像形成装置全体の概略図
【図2】実施形態1のベルト用クリーニングブレードを説明する図
【図3】実施形態1のトナー供給制御を説明する図
【図4】実施形態1のトナー供給制御を説明するフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1に本実施形態における、転写ベルトである中間転写ベルトを用いたカラー画像形成装置の概略構成図を示す。尚、以下の説明では、第1ステーションをイエロー(Y)、第2ステーションをマゼンタ(M)、第3ステーションをシアン(C)、第4ステーションをブラック(K)としている。各ステーションは、同一構造であるので、第1ステーションを代表として説明する。
【0014】
第1ステーションでは、感光体としての感光ドラムの周囲に、帯電部材としての帯電ローラ2a、感光ドラム1a上の転写残トナーを除去するするクリーニングユニット、及び現像手段である現像ユニット8aを配置している。クリーニングユニットは、感光体用クリーニングブレード3aと廃トナーボックスを備える第1のクリーニングユニットである。感光体用クリーニングブレード3aは、弾性を備え、感光ドラム1aに当接し感光ドラム1aの表面を清掃する部材である。現像ユニット8aは、現像スリーブ4a、現像剤であるトナーを収容するトナー容器5a、現像剤塗布ブレード7aからなる。上述の1a〜8aは、一体型のプロセスカートリッジ9aとして、画像形成装置本体に対して着脱可能な構成である。露光ユニット11aは、感光ドラムに静電潜像を形成する。露光ユニット11aは、具体的には、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニットから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。
【0015】
感光ドラム1aは帯電ローラ2aに電源20aから供給される電圧によって一様に負極性に帯電され、続いて露光ユニット11aからの走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。トナー容器5a内のトナーは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像スリーブ4aに塗布される。そして、現像スリーブ4aには、現像電圧電源21aより、電圧が供給され、感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像スリーブ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーによって可視化される。感光ドラム1a上には、イエローのトナー像が形成される。尚、第2〜第4ステーションも第1ステーションと同様の構成であるので、説明を省略する。
【0016】
各ステーションに対向する位置に、転写ベルトである無端状の中間転写ベルト13が配置されている。中間転写ベルト13は、複数の張架ローラである、対向ローラ24、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより張架されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト13は周回転する。また、中間転写ベルト13の内側に、1次転写部材である1次転写ローラ10a〜10dが、感光ドラム1a〜1dに対向して配置されている。対向ローラ24は、中間転写ベルト13を介して、2次転写部材である2次転写ローラ25に対向している。中間転写ベルト13は、各1次転写ローラを移動させることで各感光ドラム1に対して当接離間可能な構成である。1次転写ローラ10a〜10dには、電圧供給手段である1次転写電源22a〜22d、2次転写ローラ25には2次転写電源26が接続されている。
【0017】
感光ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ10a〜10dに1次転写電源22a〜22dからトナーの極性と逆極性の電圧が印加されることで、中間転写ベルト13上に1次転写される。中間転写ベルト13上に重畳された4色のトナー像は、二次転写ローラ25と中間転写ベルト13の間に形成される2次転写ニップ部(当接部)に搬送される。転写材カセット16に積載されている転写材Pは、給紙ローラ17によりピックアップされ、不図示の搬送ローラによりレジストローラ18にまで搬送される。転写材Pは中間転写ベルト13上のトナー像に同期してレジストローラ18によって、中間転写ベルト13と2次転写ローラ25とで形成される当接部へ搬送される。
【0018】
その後、2次転写ローラ25には2次転写電源26により、トナーと逆極性の電圧印加を行い、転写材P上に中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像は一括して2次転写される。
【0019】
2次転写終了後の転写材は定着手段19へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物として画像形成装置外へと排出される。以上が、通常の画像形成時に実行される。
【0020】
2次転写を終えた後、中間転写ベルト13に付着した転写残トナーや紙粉は、ベルトクリーニングユニット27(第2のクリーニングユニット)により、その表面から回収される。ベルトクリーニングユニット27はウレタンゴムで形成された弾性を有するベルト用クリーニングブレード27aを有する。ベルト用クリーニングブレード27aは、中間転写ベルト13に当接し、中間転写ベルト13の表面を清掃するものである。
【0021】
ベルトクリーニングユニット27の中間転写ベルト13と接触する部分を模式的に示したのが図2である。図2(a)に示すように、ウォーレス硬度69度のポリウレタンゴム27aを金属板金27b先端に一定の食い込み量で保持したものを用いる。ウォーレス硬度は、ウォーレス社製のウォーレス硬度計(型式;H12)を用いて測定した硬度であり、国際ゴム硬さ(IRHD: International Rubber Hardness Degree)の値である。ポリウレタンゴム27aは、60〜80度の範囲であることが望ましい。
【0022】
ベルト用クリーニングブレード27aは、中間転写ベルト13を介して対向するテンションローラ15に対して所定の設定角α=22°、侵入量β=1.2mmを満たすように固定されている。設定角αは、ベルト用クリーニングブレード27aの先端部が変形せずにそのまま侵入したと仮定したときの、ポリウレタンゴム27aの先端面とテンションローラ15との交点と接するテンションローラ15の上の接線で定義される。この交点と接するテンションローラ15の上の接線とベルト用クリーニングブレード27aの側面とのなす角度が設定角度αである。侵入量βは、ベルト用クリーニングブレード27aの先端面とテンションローラ15との交点とベルト用クリーニングブレード27aのテンションローラ15への侵入側の縁部との間の距離である。
【0023】
ベルト用クリーニングブレード27aは、テンションローラ15に対する一定の当接圧、及び、ベルト用クリーニングブレード27aの先端面と中間転写ベルト13との当接部の接線方向との一定の角度を保って安定化している。
【0024】
図2(b)は、クリーニングブレードの先端が、テンションローラ15に対して撓んで当接する様子を模式的に示したものである。ベルト用クリーニングブレード27aは、エッジ先端27cの近傍で、テンションローラ15と当接するようになっている。この当接する断面方向の部分でニップNが形成されている。このニップNで、中間転写ベルト13に付着した付着物は、クリーニングブレードにより中間転写ベルト13から清掃される。その後、不図示の搬送手段によって、クリーニングブレードの長手方向の一端側に付着物は送られ、クリーニングユニット27の廃トナーボックスに回収される。
【0025】
上述のように、ベルト用クリーニングブレード27aの中間転写ベルト13に対する摩擦力は、ベルト用クリーニングブレード27aと中間転写ベルト13が摺擦することで増加する。摩擦力が増大すると、スティック−スリップ運動が発生し、それを原因としたクリーニング不良が発生する可能性がある。
【0026】
そこで、画像形成装置は、定期的にベルト用クリーニングブレード27aと中間転写ベルト13の当接部に所定のトナーを供給するトナー供給制御を実行可能である。
【0027】
現像剤として用いるトナーは、コアにエステル系ワックスを内包し、樹脂層にスチレン−ブチルアクリレート、表層にスチレンポリエステルを採用した構成のものであり、懸濁重合法によって作成される。さらに、潤滑作用を有する酸化チタンをトナーに外添剤として添加している。
【0028】
ベルト用クリーニングブレード27aと中間転写ベルト13の当接部分にトナーが供給されると、トナー粒子に外添された酸化チタンの微粉末の研磨作用と潤滑作用が当接部に働く。
【0029】
図3は、トナー供給制御が実行された場合に、中間転写ベルト13上に形成された制御用トナー像であり、ブラックトナーのオビ画像である。
【0030】
このオビ画像を作成する方法を以下に説明する。制御部CPU36の制御により、上記に説明した通常の画像形成がなされてないタイミングで、制御用画像信号が画像コントローラ34dに発信される。制御用画像信号が入力されると、画像コントローラ43は、LDドライバ35dを駆動して、露光ユニット11dが所定時間発光されることにより、感光ドラム1dを走査する。これによって、制御用静電潜像を感光ドラム1d上に形成される。この制御用静電潜像は現像ユニットによって現像され、感光ドラム1dから中間転写ベルト13に転写される。中間転写ベルト13に転写された制御用トナー像は、主走査方向全域の幅(本実施例1では最大通紙幅と同じく297mm)を有し、副走査方向には、幅50[mm]である。
【0031】
この制御用トナー像が、2次転写ローラ25と中間転写ベルト13が形成するニップを通過する時には、2次転写ローラにトナーが付着しないように、トナーと逆極性の電圧を2次転写ローラに印加する。そして、中間転写ベルト8上の制御用トナー像は、中間転写ベルト13とベルト用クリーニングブレード27aの当接部に到達する。
【0032】
尚、本実施形態ではブラックトナーのオビ画像と同様に、イエロー、マゼンタ、シアンの各色トナーを用いてオビ画像を形成可能である。単色もしくは複数の混色したオビ画像を形成しても同様の効果が得られる。
【0033】
次に、本実施形態の特徴である、トナー供給制御を実行するタイミングを説明する。トナー供給制御は、画像形成以外のタイミングで実行する。ここで、画像形成以外のタイミングとは、例えば、画像形成を開始する前のタイミング、全ての転写材に対する画像形成が終了した後のタイミングである。さらに、連続して搬送される複数の転写材に画像形成を行う場合は、画像形成と画像形成の間のタイミングも画像形成以外のタイミングである。本実施形態の画像形成装置に設置された環境検知手段を用いて環境検知を行っている。環境検知手段は、環境検知手段材である環境センサ30で温度又は湿度を検知し、その検知結果を、CPUを介して印字積算回路38によって、装置が設置された環境の重量絶対湿度を算出する。その算出結果から、環境検知手段が低温低湿環境と判断した場合のみ、トナー供給制御を実行する。
【0034】
本実施形態のトナー供給制御を実行するタイミングを、図4のフローチャートを用いて説明する。S1は、画像形成装置は装置が電源ONされた状態であって、いわゆるプリント待機状態である。S2で、画像形成装置本体が、不図示のホストコンピュータからプリント信号を受けて、S3で画像形成動作が行われる。
【0035】
S4で画像形成動作後に、プリントの印字枚数を印字積算回路38に積算する。印字積算回路38は、1枚プリント毎にカウンタを積算していくものである。そしてCPU36を介して、記憶部であるメモリ37に積算枚数の値Kとして格納する。S5で、CPU36が、積算枚数Kが閾値を超えたかを判断する。本実施形態では、閾値を100としている。本実施形態では、積算枚数Kが閾値を超えたタイミングで、トナー供給制御を実行可能なタイミングとしている。積算枚数Kが閾値を超える前は、トナー供給制御を実行していなくとも、当接部に十分な潤滑剤が供給されている状態である。
【0036】
S5の結果、YESと判断した場合には、S6で環境検知手段が算出した値Eが閾値より小さい値であるかを判断する。
【0037】
本実施形態では、閾値の値を、10.00(g/kg[DA])とし、この値より小さい場合は、トナー供給制御を実行する。S6で、YESと判断した場合には、S7で、トナー供給制御を行う。そしてS8で印字積算枚数の値Kを0にリセットし、S9でプリント動作を終了する。
【0038】
S5の結果、Noと判断した場合には、トナー供給制御を実行せずに、S9でプリント動作を終了する。S6で、Noと判断した場合には、S8で印字積算枚数の値Kを0にリセットし、S9でプリント動作を終了する。
【0039】
以上のように、本実施形態では、印字枚数の積算が100枚に到達した時にトナー供給制御を実行可能なタイミングとし、環境検知手段の検知結果が閾値より小さい場合のみトナー供給制御を行う。重量絶対湿度が、本実施例の閾値である10.00(g/kg[DA])以下は、15℃10%RHの低温低湿度の環境に相当する。そのような環境では、ベルト用クリーニングブレード27aの硬度が固くなり、クリーニングブレードが中間転写ベルト13に追従し難くなっている。さらに、低温低湿環境では、転写材である記録材から紙粉が発生しやすくなっていて、中間転写ベルト13に付着する紙粉も多くなってしまう。
【0040】
中間転写ベルト13に付着した紙粉は、ベルト用クリーニングブレード27aによって掻きとられるものの、ブレードエッジ先端に滞留し易い。低温低湿環境の場合、ベルト用クリーニングブレード27aの硬度が高く、ブレードエッジ先端に紙粉が滞留し易いため、クリーニング不良を発生し易い。
【0041】
本実施形態は、トナー供給制御を、図4のフローチャートのS5、S6を満たした場合にのみ実施する。これにより、最小限のトナー供給量で、クリーニング不良を防止することが出来る。
【0042】
本実施形態の効果を、表1で説明する。
【0043】
【表1】

【0044】
表1は、本実施形態のタイミングでトナー供給制御を実行した場合と、比較例1のタイミングでトナー供給制御を実行した場合の結果を示す。比較例1のタイミングは、フローチャートのS5を満たした場合に実行する、即ち、印字枚数の積算が100枚に到達した時である。
【0045】
転写材としては、紙粉の発生しやすい炭酸カルシウムを添料としたA4サイズのメディアを用いた。具体的には、Neusiedler社製のTop Copieで坪量80g/mのものを用いた。
【0046】
プリントした時の装置の環境は、15℃10%RHで、重量絶対湿度1.06の低温低湿環境、23℃60%RHで、重量絶対湿度10.64の常温常湿度環境、30℃80%RHで、重量絶対湿度21.74の高温高湿環境で評価した。
【0047】
転写材を、各環境で、印字率が5%のプリントパターンを1000枚プリントした。ここでいう印字率は、転写材の全面積あたりにプリントした面積の比率で定義したものである。
【0048】
比較例1は、環境によらず、100枚に1回のトナー供給制御を行う。比較例1の1回あたりのトナー供給量は、96mgであり、1000枚プリントすると、トナー供給制御の為に、960mgのトナーを全ての環境で消費することになる。
【0049】
一方、本実施形態では、クリーニング不良が発生し易い環境においてのみ、トナー供給制御を行うため、トナー供給制御を行う回数を減らすことが可能である。常温常湿度環境や、高温高湿環境では1000枚あたり960mgの供給制御トナーを削減することができた。A4サイズで印字率5%のプリントを1枚プリントするに必要なトナー量は、約63mgである。従って、約15枚プリント分のトナーを削減可能である。
【0050】
このように、本実施形態によれば、トナー供給制御を実行する回数を制御し、トナーの消費量を抑制することが可能である。
【0051】
また、転写ベルトとして、中間転写ベルトではなく転写材を搬送する搬送ベルトを有する画像形成装置にも、本構成は適用可能である。
【0052】
また、環境検知センサ30の検知結果から重量絶対湿度を算出して低温低湿度環境を検知する方法以外を適用しても良い。温度を検知して、所定温度以下の場合に低温低湿度環境であると判断しても良く、温度の代わりに、相対湿度、絶対水分量を検知する構成であっても良い。
【0053】
(第2の実施形態)
本実施形態は、トナー供給制御を実行した際に制御用トナーを感光体と感光体用クリーニングブレード3の当接部にも供給することが可能である。そして、本実施形態は、トナー供給制御を行って感光ドラム1に現像した制御用トナー像を、二つのクリーニングブレードの当接部に供給する量を、環境に応じて変更することを特徴とする。具体的には、環境検知手段の検知結果が低温低湿環境である場合は、環境検知手段の検知結果が高温高湿環境である場合よりも制御用トナー像のうち中間転写ベルト13とベルト用クリーニングブレード27aの当接部に供給されるトナー量は多い。なお、画像形成装置の構成等、先の第1の実施形態で説明したものと同様のものは説明を省略する。
【0054】
ベルト用クリーニングブレードと、感光体用クリーニングブレード3では、環境によって当接部に必要なトナー量が異なる。感光ドラム1に当接する感光体用クリーニングブレード3では、高温高湿環境では、低温低湿環境より多くのトナーが必要になる。高温度や多湿度でゴムが柔らかくなって変形し易くなった板状のクリーナブレードが、剛体の感光ドラム1によってめくれるのを防ぐ為である。高温度の環境では、クリーニングブレードのゴムが柔らかくなって、ゴムが変形しやすくなる。また多湿度の環境では、クリーニングブレードと感光ドラムが接触する部分に多くの水分が介在するので、滑り性が悪くなってしまう。
【0055】
しかしながら、低温低湿環境では、中間転写ベルト13に付着する紙粉の量が多くなり、ベルト用クリーニングブレードと中間転写ベルト13との当接部は、感光体用クリーニングブレード3と感光体の当接部よりもクリーニング不良が発生し易い。よって、低温低湿環境の場合は、ベルト用クリーニングブレードと中間転写ベルト13との当接部のクリーニング不良対策を優先して、制御用トナーをベルト用クリーニングブレードと中間転写ベルト13との当接部に供給することが可能である。
【0056】
以下に具体的な制御用トナー像の振り分け方法を説明する。本実施形態では、前述した実施形態1の構成において、重量絶対湿度の値Eを求め、その値が閾値10.00(g/kg[DA])より小さい時に、低温低湿環境と判断する。低温低湿環境の時には、感光ドラム上に現像された制御用トナー像の一部を中間転写ベルト13に転写するようにしている。その為に、中間転写ベルト13に制御用トナーを転写させる際に、1次転写部材に印加する電圧を0Vにする。このようにすることで、感光ドラムに形成した制御用トナーのうち半分のトナーを中間転写ベルト13に移動させて、半分の制御用トナーを感光ドラム1に残すようにしている。一方、低湿度環境でないときは、中間転写ベルト13を感光ドラムから離間するようにして、感光ドラムに形成した制御トナー像の全てを感光ドラムに残すようにする。
【0057】
本実施形態の効果を表2で説明する。
【0058】
【表2】

【0059】
表2は、環境によって、感光ドラム側と中間転写体に供給するトナー量の比率を変える本実施例2の構成と、感光ドラム側と中間転写体に供給するトナー量の比率を変えない比較例2の構成で、プリントを行った結果を示している。
【0060】
転写材は、紙粉の発生しやすい炭酸カルシウムを添料としたA4サイズのメディアを用いた。具体的には、Neusiedler社製の名称“Top Copie”で坪量80g/m2のものを用いた。
【0061】
プリントした時の装置の環境は、15℃10%RHで、重量絶対湿度1.06の低温低湿環境、23℃60%RHで、重量絶対湿度10.64の常湿常湿度環境、30℃80%RHで、重量絶対湿度21.74の高温高湿環境で評価した。
【0062】
転写材を、各環境で、各色の印字率が5%のプリントパターンを1000枚プリントした。印字率は、プリントメディアの全面積あたり、プリントした面積の比率で定義したものである。
【0063】
比較例2は、制御用トナー像のうち感光ドラムから中間転写ベルト13に移動させるトナー量と、中間転写ベルト13に転写せず感光ドラムに残すトナー量は同量(比率が0.5)であって、この比率は環境で変えていない。
【0064】
従って、低温低湿環境の中間転写体のクリーニング性と、高温多湿環境の感光ドラムのクリーニングブレードがめくれないように、トナー供給制御をプリント50枚毎に行う必要がある。比較例2の1回あたりのトナー供給制御で使ったトナー量は、96mgであり、1000枚プリントすると、供給制御の為に、1920mgのトナーを全ての環境で消費することになる。
【0065】
本実施形態では、低温低湿環境は、制御用トナー像のうち感光ドラムから中間転写ベルト13に移動させるトナー量と中間転写ベルト13に移動させず感光ドラムに残すトナー量は、ほぼ同量とした。常温常湿環境と、高温多湿環境では、感光ドラムにすべての制御用トナーを残すようにする。その結果、トナー供給制御の頻度を比較例2の半分である100枚毎にすることが可能である。
【0066】
本実施形態の1回あたりのトナー供給制御で使ったトナー量は、96mgであり、1000枚プリントすると、供給制御の為に、960mgのトナーを全ての環境で消費することになる。その為、比較例2の半分の頻度で、トナー供給制御を行っても、高温多湿環境の感光ドラムのクリーニングブレードがめくれないようすることができつつ、低温低湿環境のクリーニングが問題にならないようにすることができている。
【0067】
このようにすることで、低温低湿環境、常温常湿環境、高温高湿環境、全ての環境で、1000枚あたり960mgの供給制御トナーを削減することができた。
【0068】
上記説明では、低温低湿環境以外の環境では、制御用トナー像を全て感光体用クリーニングブレード3の当接部に到達させているが、一部をベルト用クリーニングブレードの当接部に供給するようにしてもよい。その場合は、感光ドラム1と中間転写ベルト13を当接した状態で、1次転写部材に印加する電圧を適宜設定すればよい。
【0069】
また、制御用トナー像を、従来から知られている現像調整モードによって感光体ドラム2に移動されるトナーにしてもよい。現像調整モードとは、現像手段の中のトナーを定期的に感光ドラム1に現像して強制的に移動させることで、現像手段内のトナーの状態を均一に保つ制御である。定期的に実行される現像調整モードをトナー供給制御として、感光ドラム1に強制的に移動されたトナーを、環境に応じて振り分けることで、よりトナーの消費量を低減させることが可能である。
【0070】
このように、本実施形態によれば、トナー供給制御を実行した際にトナーを供給する当接部を変更することで、トナーの消費量を抑制することが可能である。
【0071】
また、転写ベルトとして、中間転写ベルトではなく転写材を搬送する搬送ベルトを有する画像形成装置にも、本構成は適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 感光ドラム
3 感光体用クリーニングブレード
13 中間転写ベルト
27 ベルト用クリーニングブレード
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像されたトナー像を記録材に転写するための転写ベルトと、前記転写ベルトに当接し前記転写ベルトの表面を清掃するベルト用クリーニングブレードと、環境を検知する環境検知手段と、を有し、画像形成以外のタイミングで前記現像手段によって制御用トナー像を前記感光体に現像するトナー供給制御を実行可能な画像形成装置において、
前記環境検知手段が低温低湿環境を検知した場合のみ、前記トナー供給制御を実行し前記制御用トナー像を前記転写ベルトに移動させた後に前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電潜像が形成される感光体と、前記静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段によって現像されたトナー像を記録材に転写するための転写ベルトと、前記転写ベルトに当接し前記転写ベルトの表面を清掃するベルト用クリーニングブレードと、前記感光体に当接し前記感光体の表面を清掃する感光体用クリーニングブレード3と、前記環境を検知する環境検知手段と、を有し、画像形成以外のタイミングで前記現像手段によって制御用トナー像を前記感光体に現像するトナー供給制御を実行可能な画像形成装置において、
前記トナー供給制御を実行することで、前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部と前記感光体と前記感光体用クリーニングブレード3の当接部に前記制御用トナー像を供給することが可能であり、
前記環境検知手段が低温低湿環境を検知した場合、前記環境検知手段が高温高湿環境を検知した場合よりも、前記制御用トナー像のうち前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部に供給するトナー量が多いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記環境検知手段が高温高湿環境を検知した場合、前記制御用トナー像は、前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部に供給せず、前記感光体と前記感光体用クリーニングブレード3の当接部に全て供給することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記環境検知手段が低温低湿環境を検知した場合、前記制御用トナー像のうち前記転写ベルトと前記ベルト用クリーニングブレードの当接部に供給するトナー量と前記感光体と前記感光体用クリーニングブレード3の当接部に供給するトナー量は同じであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ベルトは、前記感光体からトナー像が転写される中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ベルトは、前記感光体からトナー像が転写される転写材を搬送する搬送ベルトであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−233994(P2012−233994A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101429(P2011−101429)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】