説明

画像形成装置

【課題】暗部電位領域へのトナー付着量を精度良く検出し、画像形成条件をより最適に設定する。
【解決手段】中間転写ベルト5上及び二次転写ローラ9上にトナーが存在しない状態、かつ、二次転写ローラ9に所定の電圧が印加された状態で、電流検知回路10により検出された電流値Aの絶対値と、画像形成のためにトナーが中間転写ベルト5上に付着し得る状態、かつ、二次転写ローラ9に前記所定の電圧が印加された状態で、電流検知回路10により検出された電流値Bの絶対値との差が、閾値以上となる場合に、画像形成条件を調整する調整手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成動作は、像担持体上に形成された文字や画像等の静電潜像に対応した領域のみにトナー像を形成し、そのトナー像を記録材へ静電的に転移させるというものである。しかしながら、文字や画像等の静電潜像が形成されていない像担持体上の領域(以下、暗部電位領域)にも、若干のトナーが付着することがある。このトナーの付着度合いによって、画像形成動作における条件のいくつかに関しては、その最適値が変化する可能性がある。
例えば、トナー像を記録材へ転写させる時に印加する転写電圧の最適値は、トナー像の印字率によって変化する。特許文献1,2には、トナー像の印字率に応じて、転写電圧を制御する方式が開示されている。すなわち、暗部電位領域にトナーが付着していると、転写電圧の最適値が変化する可能性があるということになる。
【0003】
また、特許文献3には、潤滑剤として、像担持体や中間転写体のクリーニング部材へ定期的にトナーを供給する方式が開示されている。画像形成の生産性やトナー消費の観点では、できるだけ、トナー供給の頻度もトナー供給量も少ない方がよい。よって、暗部電位領域に付着しているトナーの量が多い場合には、そのトナーが潤滑剤としての役割を担うため、定期的な像担持体や中間転写体へのトナー供給の頻度やトナー供給量は少なくする方が好ましい。
上記観点から、暗部電位領域へのトナー付着量を検出し、その結果に基づいて画像形成条件を調整することがある。特許文献4には、像担持体上のトナーを一時的に転移させ、担持する中間転写体に対し、光を照射させ、その反射光を計測することでトナー付着量を検出する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−053748号公報
【特許文献2】特開2006−276766号公報
【特許文献3】特開2007−065475号公報
【特許文献4】特開2007−171541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、暗部電位領域へのトナー付着量は極めて少ないため、上述のような中間転写体に対する光学的な検出では、トナー付着量を正確に検出することは難しいと考えられる。
実際、中間転写体の表面性の差異による反射率の変化や走行のばたつき等による反射光の変化がノイズとして寄与するため、トナー付着による信号の変化のみを検出することは困難である。その結果、上述の方式では、画像形成条件の制御が不安定になることが懸念される。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、暗部電位領域へのトナー付着量を精度良く検出し、画像形成条件をより最適に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
トナー像を担持する像担持体を有し、前記像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写して前記記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記像担持体に接触するように設けられた導電部材と、
前記導電部材に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記導電部材に流れる電流の大きさを検出する電流検出手段と、
を有する画像形成装置において、
前記像担持体の表面及び前記導電部材の表面にトナーが存在しない状態、かつ、前記電圧印加手段により前記導電部材に予め設定された値の電圧が印加された状態で、前記電流検出手段により検出された電流値Aの絶対値と、
画像形成のためにトナーが像担持体上に付着し得る状態、かつ、前記電圧印加手段により前記導電部材に前記予め設定された値の電圧が印加された状態で、前記電流検出手段により検出された電流値Bの絶対値との差が、
閾値以上となる場合に、
画像形成条件を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、暗部電位領域へのトナー付着量を精度良く検出し、画像形成条件をより最適に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す縦断面図
【図2】実施例1の二次転写ローラの清掃手順を示すフローチャート
【図3】画像形成装置のカブリトナー付着原理を示す図
【図4】実施例1におけるカブリトナー付着量検出手順を示すフローチャート
【図5】実施例1の二次転写ローラにトナーが付着した際の電流変化を例示する図
【図6】実施例1の記録材に形成される画像と最適転写バイアス電圧の関係を示す図
【図7】実施例1における下限電圧の決定手法を示すフローチャート
【図8】実施例2におけるトナー供給モードの手順を示すフローチャート
【図9】実施例2におけるトナー供給モードの実行頻度を決定するフローチャート
【図10】実施例3のトナー供給モード時のトナー供給量を決定するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
(実施例1)
図1は、実施例1に係る画像形成装置の一形態である中間転写方式の4色インラインフルカラープリンタの全体の概略構成を示す縦断面図である。
<画像形成装置の全体構成>
図1を参照して、本実施例の画像形成装置の全体構成について説明する。
図1に示す画像形成装置は、略水平方向に並設された複数(本実施例では4つ)の画像形成ステーションY,M,C,Kを備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、ドラム状の感光体(以下、感光ドラム)1をそれぞれ備えている。すなわち、イエローの感光ドラム1y、マゼンタの感光ドラム1m、シアンの感光ドラム1c、更に、ブラックの感光ドラム1kを備えている。
【0011】
これらの感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、矢印方向時計回りに回転駆動
される。感光ドラム1の周囲には、回転方向に従って順に、感光ドラム1表面を均一に帯電する帯電装置2(2y,2m,2c,2k)、及び、画像情報に基づいてレーザビーム3y,3m,3c,3kを照射するスキャナ(露光装置)3を備えている。また、レーザビーム3y,3m,3c,3kを照射することによって形成された感光ドラム1上の静電潜像におけるレーザビーム照射部(明部)にトナーを付着させてトナー像として反転現像するための現像器4(4y,4m,4c,4k)が配置される。
【0012】
各現像器4は、現像剤担持体としての現像ローラ41(41y,41m,41c,41k)、現像ブレード43(43y,43m,43c,43k)、現像容器42(42y,42m,42c,42k)を備えている。ここで、現像ブレード43は、現像ローラ41上のトナー量を規制し、トナーに電荷を付与するためのものである。また、現像容器42は、現像ローラ41にトナーを供給するためのものである。
【0013】
更に、感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1と接触しながら反時計方向に回転する中間転写ベルト5が、トナー(現像剤)像を担持する像担持体として配置されている。また、感光ドラム1と対向して、感光ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト5に転写する一次転写部材としての一次転写ローラ8(8y,8m,8c,8k)が配置されている。そして、感光ドラム1上の残余(残留)トナーを除去するための手段として、感光ドラムクリーニングブレード14(14y,14m,14c,14k)が一次転写ローラ8対向部の下流側に配置されている。中間転写ベルト5上のトナー像は、転写部材(二次転写部材)としての二次転写ローラ9により記録材Sに転写される。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5に接触して設けられ、中間転写ベルト5との間に二次転写部T(ニップ部)が形成されている。
【0014】
上述のように、本実施例では、画像形成装置は、各々、現像ローラ41、現像ブレード43、現像容器42を備えた4つの現像器4、即ち、本実施例では、イエロー現像器4y、マゼンタ現像器4m、シアン現像器4c、更に、ブラック現像器4kを有する。
【0015】
次に、各部の構成について、順次説明する。
感光ドラム1は、例えば直径30mmのアルミニウムシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)が塗布されて構成されたものである。感光ドラム1は、その両端部を支持部材(不図示)によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、図中時計回りに回転駆動される。
【0016】
帯電装置2は、本実施例では接触帯電装置とされ、ローラ状に形成された導電性ローラ2y,2m,2c,2kを備えている。
帯電装置2は、このローラが感光ドラム1表面に当接した状態で、このローラに電源(不図示)によって負極性でかつ放電開始電圧以上の所定の帯電バイアスを印加することにより、感光ドラム1表面を一様に負極性に帯電させる。一様帯電後の感光ドラム1の表面電位を以後、暗部電位と呼ぶ。
【0017】
スキャナ3は、レーザ光学ユニットであり、不図示の駆動回路によって画像信号に応じたレーザビーム3y,3m,3c,3kが点灯制御され、帯電済みの感光ドラム1の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。静電潜像形成後の感光ドラム1の表面電位を以後、明部電位と呼ぶ。
【0018】
4個の現像器4は、それぞれ中間転写ベルト5の回転方向上流側(図1の左側)から順にトナーとして、イエロー、続いてマゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーをそれぞれ収容した現像容器42と、現像ローラ41とを備えている。現像容器42から現像ローラ41にトナーが搬送され、現像ローラ41に付着したトナーは現像ブレード43との摺
擦により、一様な極性(ここでは負極性)に帯電される。
そして、現像ローラ41が感光ドラム1に接触した状態で、現像ローラ41に、絶対値が暗部電位より小さく、明部電位より大きな負極性の現像バイアスが印加される。このことにより、静電潜像のうち明部電位に対応する領域のみにトナーを付着させることが可能な状態へと移行し、引き続きレーザビームによる画像露光が行われることによって、トナー像として画像が顕在化されることとなる。
【0019】
一次転写ローラ8は、ローラ状に形成された導電性ローラ8y,8m,8c,8kであり、例えば、SUSなどの金属からなる外径6mmシャフトの周囲に外径12mmとなるよう発泡性弾性ローラが形成されたものであり、10〜10Ωの抵抗を有する。
一次転写ローラ8が、中間転写ベルト5を挟んで感光ドラム1に加圧され、不図示の電源より正極性の一次転写バイアスが印加されることで、感光ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト5上に転写させることが可能となる。
【0020】
中間転写ベルト5は、10〜1014Ωcmの体積固有抵抗率を持たせた厚さ40〜150μm程度の無端のフィルム状部材で構成されている。尚、体積固有抵抗率は、JIS法K6911に準拠した測定プローブを用い、ADVANTEST社製高抵抗計R2340にて、温度は25℃、相対湿度は50%で、50〜100Vを印加して得られた値である。
中間転写ベルト5は、中間転写ベルト5を回転させる駆動ローラ92、適度なテンションを加えるための従動ローラ6,7で張架され、図中矢印方向に回転可能に構成されている。
【0021】
二次転写ローラ9は、一次転写ローラ8と同様の構成、物性を有するものである。二次転写ローラ9は、記録材Sを介して中間転写ベルト5に加圧され、電源16より正極性の二次転写バイアスが印加されることにより、中間転写ベルト5上のトナー像を記録材S上に転写させる。ここで、電源16は、電圧印加手段及び転写電圧印加手段に相当する。
【0022】
上記画像形成装置によって行われる画像形成動作について以下に説明する。
まず、装置本体の下部に装着されたカセット20に収納された記録材Sが、給送ローラ12によって1枚ずつ分離給送される。その後、記録材Sは、搬送ローラ対13により二次転写部Tへと搬送され、中間転写ベルト5上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックからなるトナー像が二次転写されることで、記録材S上にカラー画像が形成される。そして、その記録材Sは、加熱ローラ151及び加圧ローラ152のローラ対からなる定着装置15を通過することで熱定着され、その後、装置上部へ排出される。中間転写ベルト5から記録材にトナー像の転写が行われた後の中間転写ベルト5上に残留する二次転写残トナーは、クリーニング部材としてのクリーニングブレード11によって除去され、トナー回収容器(不図示)で回収される。
【0023】
<二次転写ローラ清掃方法>
ここでは、二次転写ローラ9にトナー等の汚れが付着した際の清掃方法について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、二次転写ローラ9が汚れている場合、記録材が通過する際に、その汚れが記録材に転移することで、画像汚れや紙裏汚れとなってしまう。これを防止するために、適切なタイミングで、定期的に二次転写ローラ9の清掃が実行されるのが一般的である。
【0024】
二次転写ローラ9の清掃工程は、まずトナー付着不可能状態で、中間転写ベルト5及び二次転写ローラ9を接触させながら回転させることで開始される(S101)。なお、ここでいうトナー付着不可能状態とは、原理的に、中間転写ベルト5にトナーが付着することが不可能な状態のことである。この状態は、例えば、現像ローラ41と感光ドラム1の
離間、または感光ドラム1と中間転写ベルト5の離間等の手段で達成される。
なお、現像バイアスや一次転写バイアスのオフや変更でも、トナー付着不可能状態を達成可能ではある。しかし、このような構成の場合、トナーの帯電特性等の状況によっては、中間転写ベルト5にトナーが付着する可能性がゼロではないため、トナー付着不可能状態を達成する手段としては、前者の方がより好ましい。
【0025】
続いて、二次転写ローラ9に負極性の所定のバイアスを印加する(S102)。その状態で、二次転写ローラ9が数周回転したら、今度は二次転写ローラ9に印加するバイアスを正極性に切替える(S103)。その後、また二次転写ローラ9が数周回転したら、再度、二次転写ローラ9に印加するバイアスを負極性に切替える(S102)。このような切替動作を、数回実施した後(S104)、バイアスをオフにして、中間転写ベルト5及び二次転写ローラ9を停止させる(S105)。
【0026】
二次転写ローラ9に負極性のバイアスを印加すると、二次転写ローラ上に付着した負極性のトナーが中間転写ベルト5に転移する。また、二次転写ローラ9に正極性のバイアスを印加すると、二次転写ローラ9上に付着した正極性のトナーが中間転写ベルト5に転移する。これを繰り返すことにより、二次転写ローラ9上に付着したトナーを全て中間転写ベルト5に転移させることができるため、二次転写ローラ9の清掃が可能となる。なお、中間転写ベルト5に転移したトナーは、ブレード状のクリーニングブレード11で掻き落とされトナー回収容器へと蓄積される。
【0027】
<中間転写体のカブリ検出方法>
図3は、画像形成装置のカブリトナー付着原理を示す図である。
上述の画像形成動作によると、スキャナ3により、静電潜像が形成された領域以外(暗部電位領域)では、図3(a)に示したように、静電的に反発するため、負極性に一様帯電されたトナーは感光ドラム1には付着しない。しかしながら、一部、暗部電位領域でも、トナーが付着することがある。これらのトナーの総称を、以後、カブリトナーと呼ぶ。このカブリトナーが発生する理由として、以下の2つのケースが考えられる。
【0028】
第一のケースは、現像ブレード43との摺擦が不十分な結果、他のトナーに比べて帯電量が少なくなり、静電的な反発力が弱まり、感光ドラム1と接触した際の物理的な付着力が勝ることでカブリトナーが発生する(図3(b)参照)。以後、この第一のケースで付着したトナーのことを、特に、地カブリトナーと呼ぶ。地カブリトナーは、静電的な反発力が弱くなると発生しやすい。すなわち、暗部電位と現像バイアスの差の絶対値が、小さい場合に発生しやすい。
【0029】
第二のケースは、現像ブレード43との摺擦で一様帯電されたトナー間で放電現象が起きることで、トナーの極性が反転し、逆に静電的な吸引力が発生することで起きる(図3(c))。以後、この第二のケースで付着したトナーのことを、特に、反転カブリトナーと呼ぶ。反転カブリトナーは、静電的な吸引力が強くなると発生しやすい。すなわち、暗部電位と現像バイアスの差の絶対値が、大きい場合に発生しやすい。
【0030】
本実施例では、二次転写ローラ9を転写手段として用いる以外に、電流を検知するための導電手段(導電部材)としての役割も持たせている。本実施例では、図1に示したように、二次転写ローラ9に流れる電流の大きさを検出する電流検出手段としての電流検知回路10が設けられている。そして、駆動ローラ92は接地されており、電流検知回路10では、二次転写ローラ9から中間転写ベルト5を介して駆動ローラ92に流れる電流が検出される。
【0031】
すなわち、流れる電流は、二次転写ローラ9、中間転写ベルト5、駆動ローラ92の電
気抵抗の合算で決まる。以下、これらの合算電気抵抗のことを系の電気抵抗R0と呼ぶ。
ここで、中間転写ベルト5上にカブリトナーが存在すると、カブリトナーが電気抵抗として寄与するため、電流検知回路10による検知電流が下がる。本実施例では、この特性を利用し、図4に示すフローチャートに即して、カブリトナー量を検知する。図4は、本実施例におけるカブリトナー付着量検出手順を示すフローチャートである。
【0032】
まず、上述のトナー付着不可能状態で、中間転写ベルト5を駆動させ(S201)、二次転写ローラ9に、所定の(予め設定された)正極性のバイアス(印加電圧値VP)を印加する(S202)。印加電圧値VPの適正値に関しては後述する。ここで、駆動開始状態では、中間転写ベルト5及び二次転写ローラ9はクリーニングされた状態となっており、中間転写ベルト5の表面及び二次転写ローラ9の表面にはトナーが付着(存在)していない状態にある。
そして、この状態(正極性の電圧印加時)で電流検知回路10にて検知電流A1(電流値A1)を検出する(S203)。その後、二次転写ローラ9に印加したバイアス値(印加電圧値VP)はそのままで、画像形成待機状態へ移行し(S204)、所定時間経過後(S205)、電流検知回路10によって、検知電流B1(電流値B1)を検出する(S206)。
【0033】
なお、ここでいう画像形成待機状態とは、レーザビームが照射されれば画像形成が直ちに行える状態、すなわち、次のような状態のことである。それは、現像ローラ41が感光ドラム1に接触し、現像ローラ41に、絶対値が暗部電位より小さく、明部電位より大きな所定の負極性の現像バイアスが印加された状態である。かつ、一次転写ローラ8が、中間転写ベルト5を挟んで感光ドラム1に加圧され、所定の正極性の一次転写バイアスが印加された状態である。ここで、画像形成待機状態は、画像形成のためにトナーが像担持体上に付着し得る状態に相当する。
【0034】
図5は、本実施例の画像形成装置における二次転写ローラ9にトナーが付着した際の電流変化を例示する図である。
二次転写ローラ9に印加される正極性のバイアス値(印加電圧値VP)としては、中間転写ベルト5上の地カブリトナーが最も効率的に、二次転写ローラ9に付着するようなバイアスとするのがよい。
地カブリトナーは、上述した通り、帯電量が小さいため、バイアスが高すぎると、放電により極性が反転して、却って付着しづらくなる。本実施例における形態では0.5〜1kV程度が最適であった。
地カブリトナーが静電的に二次転写ローラ9に付着した結果、検知電流B1は検知電流A1よりも小さくなる。すなわち、地カブリトナー量TPは、検知電流B1と検知電流A1の差分に比例する(図5参照)。
地カブリトナー量TP∝(A1−B1)・・・(式1)
【0035】
次に、一旦、トナー付着不可能状態に戻して(S207)、上述の二次転写ローラ9の清掃を実施し(S208)、二次転写ローラ9に付着したトナーを除去する。二次転写ローラ9に付着したトナーが除去される場合には、上述のように、中間転写ベルト5上に付着したトナーも除去されることとなる。
その後、今度は、二次転写ローラ9に、所定の負極性のバイアス(印加電圧値VM)を印加し(S209)、この状態で電流検知回路10にて検知電流A2(電流値A2)を検出する(S210)。
その後、二次転写ローラ9に印加したバイアス値(印加電圧値VM)はそのままで、画像形成待機状態へ移行し(S211)、所定時間経過後(S212)、電流検知回路10によって、検知電流B2(電流値B2)を検出する(S213)。
【0036】
なお、二次転写ローラ9に印加されるバイアス値(印加電圧値VM)としては、中間転写ベルト5上の反転カブリトナーが最も効率的に、二次転写ローラ9に付着するような負極性のバイアスとするのがよい。本実施例における形態では、−1.0〜−1.5kV程度が最適であった。反転カブリトナーが静電的に二次転写ローラ9に吸着した結果、検知電流B2の絶対値は検知電流A2の絶対値よりも小さくなる。すなわち、反転カブリトナー量TMは、検知電流B2の絶対値と検知電流A2の絶対値の差分に比例する(図5参照)。
反転カブリトナー量TM∝(|A2|−|B2|)・・・(式2)
【0037】
そうして、最終的に、カブリトナー量TTは以下のようにして求められる。
まず、負極性の印加電圧値VMの絶対値に対する正極性の印加電圧値VPの割合に、検知電流A2の絶対値を乗算した値と、検知電流A1との和としての検知電流A(電流値A)を計算する(S214)。
検知電流A=A1+(VP/|VM|)×|A2|・・・(式3)
同じく、負極性の印加電圧値VMの絶対値に対する正極性の印加電圧値VPの割合に、検知電流B2の絶対値を乗算した値と、検知電流B1との和としての検知電流B(電流値B)を計算する(S215)。
検知電流B=B1+(VP/|VM|)×|B2|・・・(式4)
検知電流Aと検知電流Bとの差分から、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTを見積もる(S216)ことが可能となる(図5参照)。
カブリトナー量TT∝(A−B)・・・(式5)
【0038】
一般に、印加バイアスの増減によって、検出される電流値も増減する。本実施例では、正極性の印加バイアス(印加電圧値VP)と負極性の印加バイアス(印加電圧値VM)の絶対値が異なっている。そこで、検知電流A(式3)及び検知電流B(式4)の算出に際しては、VPと|VM|との比を用いることで正規化を行っている。
【0039】
<二次転写バイアス算出方法>
続いて、本実施例における二次転写バイアスの求め方について説明する。図6は、本実施例の画像形成装置における画像と最適転写バイアス電圧との関係を示す図である。
最適な二次転写バイアス電圧は、雰囲気温湿度、記録材の種類、画像情報等で変動する。二次転写ローラ9と記録材の間に、適正な電位差(以後、転写コントラスト)を保つことで、正常な転写が行われる。転写コントラストが低すぎると、トナーを記録材へ引き寄せる静電力が小さくなり、すべてのトナーを転写しきれない場合がある。この現象は、トナーの載り量が多いベタ黒画像を印字した際に発生しやすい。一方、転写コントラストが高すぎると、異常放電が発生し、中間転写ベルト5上のトナーの極性が反転(負→正)し、逆に、反発力となり転写しなくなるケースがある。この現象は、画像にムラがあり、異常放電となりやすいハーフトーン画像で発生しやすい。
【0040】
これを解決するため、二次転写バイアス制御では、定電流制御(図6に示すA参照)を行うことが多い。すなわち、ベタ画像(1)ではトナー層が抵抗となるため二次転写バイアス電圧は高く制御(図6に示すB参照)され、ハーフトーン画像(2)では、トナー層の抵抗が下がることより、二次転写バイアスも低めで制御される(図6に示すC参照)。
【0041】
しかしながら、実際の画像は、ベタ画像(1)やハーフトーン画像(2)が混在している。
ハーフトーン画像の中に、ベタ画像部分(3’)が埋め込まれているような画像(3)で、定電流制御が実行されると、ほぼハーフトーン画像に最適な二次転写バイアス電圧(図6に示すC参照)が適用されることになる。このような場合、ベタ画像部分(3’)に対しては、二次転写バイアスが低過ぎて、ベタ画像部分(3’)を転写するのに十分な転
写コントラストが得られなくなる場合がある。これを回避するため、定電流制御に対し、下限電圧(図6に示すD参照)を設定することもある。この場合、定電流制御値A以上の電流が流れることになる(図6に示すE参照)。
【0042】
極端なケースとしては、ほとんどがベタ白画像で、一部だけベタ黒画像(以後、縦帯ベタ画像(4))という状況がある。特に、記録材の抵抗が低くなる高湿環境下では、抵抗の低いベタ白部に偏って転写電流が流れることで、ベタ画像部分(4’)への転写電流が減り、結果として、必要な転写コントラストが得られなくなる事態が発生する。
下限電圧の設定は、このような画像でもベタ画像の転写不良が発生しないような電圧設定(図6に示すF参照)とするのが好ましい。
しかしながら、単純に下限電圧を高く設定すると、全面ハーフトーン画像(2)に対しては、不利となり、印加電圧が高くなり過ぎる事により、上述のように異常放電による転写不良を誘発することが懸念される。よって、下限電圧は、縦帯ベタ画像と全面ハーフトーン画像の転写性のバランスを考えて設定する必要がある。
【0043】
ここで、カブリトナーが多い場合について説明する。
この場合、縦帯ベタ画像(4)を印字したとしても、カブリトナーが抵抗体として働くため、ベタ白部への電流偏り度合いは減り、ベタ黒部へ適度な転写電流が流れることで転写コントラストは保たれる。よって、縦帯ベタ画像(4’)の転写性を確保するという観点で、カブリトナーが多い場合は、下限電圧設定を低く(図6に示すG参照)抑えることが可能となる。
【0044】
以上を踏まえて、本実施例では、二次転写バイアスの下限設定を図7に示すフローチャートに従って制御するように構成した。この制御は、画像形成装置に設けられた制御部により実行される。ここで、画像形成装置の制御部は、画像形成条件を調整する調整手段に相当する。
まず、図5を用いて説明した方法で、中間転写ベルト5上のカブリ付着量を検出する(S301)。そうして、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TT(式5参照)を基に、下限バイアスを設定する。
すなわち、カブリトナー量TTが所定値(閾値)より小さい場合(S302でYes)、縦帯ベタ画像(4’)の転写性を重視して、下限バイアスは高めに設定する(S303)。
一方、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値以上(閾値以上)の場合には(S302でNo)、縦帯ベタ画像(4’)とハーフトーン画像の転写性のバランスを考慮して、次のように設定する。すなわち、下限バイアスは低めに(カブリトナー量TTが所定値より小さい場合よりも小さく)設定する(S304)。
【0045】
以上説明したように本実施例では、中間転写ベルト5及び二次転写ローラ9にトナーが存在しない状態における検知電流Aと、画像形成待機状態における検知電流Bの大小関係を基に、暗部電位領域へのトナー付着量を検知している。そして、その検知結果に基づいて、画像形成条件を調整するものである。
このような構成により、暗部電位領域へのトナー付着量を精度良く、より安定して検知することが可能となる。その結果、画像形成条件の制御もより安定して行え、画像形成条件をより最適に設定することが可能となる。
【0046】
ここで、本実施例では、カブリトナー量の閾値を基に、下限バイアス設定を2段階で設定した場合について説明したが、これに限定されるものではない。カブリトナー量に応じて、多段階で下限バイアス設定を変更したり、連続的に設定値を変更するようなことを行ってもよい。
また、本実施例では、定電流制御における下限バイアス設定に関して説明したが、これ
に限定されるものではない。画像形成条件として例えば、定電流制御における目標電流値や定電圧制御での設定電圧等、二次転写バイアスを制御(調整)するものであれば、本発明を好適に適用可能である。
また、本実施例では、地カブリトナー及び反転カブリトナーを考慮してカブリトナー量を見積もるものであったが、これに限るものではない。地カブリトナー及び反転カブリトナーのいずれかのみを考慮すればよい場合には、式1又は式2からカブリトナー量を見積もるものであってもよい。
【0047】
また、本実施例では、導電部材として二次転写ローラ9を適用したが、これに限るものではない。すなわち、二次転写ローラ9とは別に、中間転写ベルト5に接触するように導電部材が設けられると共に、この導電部材に電圧を印加する電圧印加手段が設けられるものであってもよい。
また、本実施例では、中間転写ベルト5を用いたカラー画像形成装置における二次転写バイアス制御方法について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、モノクロあるいはカラー画像形成装置における像担持体としての感光ドラム上のトナーを直接、記録材へ転写する構成における転写バイアス制御等、記録材への転写を行うものであれば、いずれに対しても適用可能である。
【0048】
(実施例2)
以下に、実施例2について説明する。
実施例1では、検知電流Aと検知電流Bの大小関係を基に、暗部電位領域へのトナー付着量を検知し、その検知結果に基づいて、画像形成条件として転写バイアスを調整するものであった。これに対して本実施例では、画像形成条件として、クリーニングブレード11へトナーを供給するトナー供給モードの実施条件を調整するものである。なお、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明は省略する。特に、<画像形成装置の全体構成>、<二次転写ローラ清掃方法>、<中間転写体のカブリ検出方法>に関しては、実施例1と同じであり、その説明は割愛する。
【0049】
<トナー供給モード>
クリーニングブレード11は、中間転写ベルト5に接触して中間転写ベルト5上の残留トナーを除去するためのブレード状のクリーニング手段である。クリーニングブレード11は、例えばウレタンなど弾性ゴムで出来ており、中間転写ベルト5に対して、線圧50g/cm程度の加圧力で、カウンタ方向に圧接されている。
【0050】
一般的に、クリーニングブレード11と中間転写ベルト5の間には大きな摩擦力が生じる。その摩擦力が大きいと、クリーニングブレードに歪が生じ、その結果として、クリーニングブレード11と中間転写ベルト5の間に隙間ができ、そこからトナーがすり抜けることで、クリーニング性能を満足できなくなることがある。また、場合によって、カウンタで接触させた弾性ゴムの先端がめくれ上がることもある。
この対策として、クリーニングブレード11のエッジ部に粉状の潤滑剤を塗布した上で、クリーニングブレード11と中間転写ベルト5を圧接させることで摩擦力(摩擦抵抗)を低減する処置を施すことがある。しかしながら、通紙耐久を行うと、徐々に潤滑剤は少なくなる。よって、クリーニング性能を継続的に維持するためには、定期的に潤滑剤をクリーニングブレード11に供給する必要がある。
【0051】
ここでは、そのクリーニングブレード11に潤滑剤を供給する方法について図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8に示すフローチャートを実行する画像形成装置の制御部は、トナー供給モードを実行する実行手段に相当する。潤滑剤としては、トナーがその役割を担う。
まず、中間転写ベルト5を回転させ(S401)、画像形成待機状態へ移行する(S4
02)。スキャナ3による露光を所定時間行い、トナーを現像する(S403)。
二次転写ローラ9を中間転写ベルト5から離間させるか又は、二次転写バイアスとして、トナーの極性と同じ負極性のバイアスを印加する(S404)。このことで、二次転写ローラ9対向部(二次転写ローラ9と中間転写ベルト5との間のニップ部)をトナーがそのまま素通りすることとなる(S405)。
【0052】
以上の動作をさせることで、潤滑剤としてのトナーをクリーニングブレード11に供給することが可能となる。この時、明部電位、現像バイアス、一次転写バイアス、スキャナ3による露光時間を制御することで、潤滑剤としてのトナーを供給する量を制御することが可能である。
【0053】
<トナー供給モードの実行タイミング>
続いて、トナー供給モードを実行するタイミングについて説明する。
トナー供給モードが実行されている間は、画像形成動作を実行することができない。その結果、トナー供給モードの実行頻度が多くなると、画像形成の生産性が低下してしまう。よって、できる限り実行頻度を少なくするのが好ましい。ここで、トナー供給モードの実行頻度を少なくするということは、定期的に実行されるトナー供給モードにおいて、次に実行されるトナー供給モードまでの間隔(期間)を長くすることである。
【0054】
ここで、カブリトナー量が多い場合について説明する。
カブリトナー量が多い場合、画像形成中に、カブリトナーが継続的にクリーニングブレード11に供給されることになる。すなわち、カブリトナーが潤滑剤としての役割を担うことから、カブリトナー量が多い場合には、潤滑剤としてのトナーを供給するためにトナー供給モードを頻繁に行う必要はなくなる。
【0055】
以上を踏まえて、本実施例の制御部は、トナー供給モードの実行タイミングを図9に示すフローチャートに従って制御する(トナー供給モードの実行頻度(画像形成条件)を決定する)ようにした。
まず、実施例1同様、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTを検出する(S501)。そうして、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTを基に、トナー供給モードの頻度を決定する。
すなわち、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値より少ない場合(S502でYes)、通常の頻度でトナー供給モードを実施する(S503)。中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値以上の場合(S502でNo)、トナー供給モードの頻度を通常の頻度(中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値より少ない場合の頻度)より減らす(S504)。
【0056】
本発明者の検討で用いた画像形成装置では、クリーニングブレード11によるクリーニング性能を維持するためには、通常200枚通紙毎にトナー供給モードを実施する必要があった。それに対して、本実施例で説明した方法を適用することで、トナー供給モードの実施タイミングを300枚通紙毎とすることができ、トナー供給モードの適用頻度を少なくすることが可能となった。
ここで、本実施例では、カブリトナー量の閾値を基に、トナー供給モードの実施頻度を2段階で設定するように説明したが、これに限定されるものではない。カブリトナー量に応じて、多段階での頻度を変更したり、連続的に頻度を変更するような制御を行ってもよい。
【0057】
(実施例3)
以下に、実施例3について説明する。
実施例2では、画像形成条件として、トナー供給モードの実施条件を調整するものであ
ったが、本実施例では、画像形成条件として、トナー供給モードの実行時のトナー供給量を調整するものである。なお、実施例1,2と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明は省略する。特に、<画像形成装置の全体構成>、<二次転写ローラ清掃方法>、<中間転写体のカブリ検出方法>に関しては実施例1と、また<トナー供給モード>に関しては実施例2と、同じであるため説明を割愛する。
【0058】
<トナー供給モードでのトナー供給量>
本実施例では、トナー供給モード実行時のトナー供給量について説明する。
トナー供給モードが実行されると、その分、画像形成に使用できるトナー量が減少することになるため、可能な限りトナー供給量は少なくするのが好ましい。
実施例2で述べたように、カブリトナー量が多い場合、画像形成中にクリーニングブレード11に供給されるカブリトナーが潤滑剤としての役割を担うことなる。よって、トナー供給モード実行時に、供給するトナー量を減らしても実質的に問題はない。
【0059】
以上を踏まえて、本実施例の制御部は、トナー供給モードの実行時のトナー供給量(画像形成条件)を図10に示すフローチャートに従って制御するようにした。
まず、実施例1,2同様、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTを検出する(S601)。そうして、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTを基に、トナー供給モード実行時のトナー供給量を決定する。
すなわち、中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値より少ない場合(S602でYes)、通常のトナー供給量とする(S603)。中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値以上の場合(S602でNo)、トナー供給量を通常のトナー供給量(中間転写ベルト5上のカブリトナー量TTが所定値より少ない場合のトナー供給量)より減らす(S604)。
【0060】
本発明者の検討で用いた画像形成装置では、クリーニングブレード11によるクリーニング性能を維持するためには、通常、単位長さあたり40mg程度のトナーを供給する必要があった。それに対して、本実施例で説明した方法を適用することで、単位長さあたり30mg程度のトナーを供給すればよいものとなり、トナー供給量を少なくすることが可能となった。
【0061】
本実施例では、カブリトナー量の閾値を基に、トナー供給モード時のトナー供給量を2段階で設定するように説明したが、これに限定されるものではない。カブリトナー量に応じて、多段階でトナー供給量を変更したり、連続的にトナー供給量を変更するような制御を行ってもよい。
なお、トナー供給量を変更する手段としては、実施例2で記載した通り、明部電位、現像バイアス、一次転写バイアス、スキャナ3による露光時間等が考えられる。
【符号の説明】
【0062】
5…中間転写ベルト、9…二次転写ローラ、10…電流検知回路、16…電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体を有し、前記像担持体に担持されたトナー像を記録材に転写して前記記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記像担持体に接触するように設けられた導電部材と、
前記導電部材に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記導電部材に流れる電流の大きさを検出する電流検出手段と、
を有する画像形成装置において、
前記像担持体の表面及び前記導電部材の表面にトナーが存在しない状態、かつ、前記電圧印加手段により前記導電部材に予め設定された値の電圧が印加された状態で、前記電流検出手段により検出された電流値Aの絶対値と、
画像形成のためにトナーが像担持体上に付着し得る状態、かつ、前記電圧印加手段により前記導電部材に前記予め設定された値の電圧が印加された状態で、前記電流検出手段により検出された電流値Bの絶対値との差が、
閾値以上となる場合に、
画像形成条件を調整する調整手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体上のトナー像を記録材へ転写させるための転写部材と、
前記像担持体上のトナー像を記録材へ転写させるために、前記転写部材に電圧を印加する転写電圧印加手段と、
を備え、
前記画像形成条件とは、前記転写電圧印加手段により前記転写部材に印加される電圧の大きさであり、
前記調整手段は、
前記電流値Aの絶対値と前記電流値Bの絶対値との差が、閾値以上となる場合、
前記転写電圧印加手段により前記転写部材に印加される電圧の絶対値を、
前記電流値Aの絶対値と前記電流値Bの絶対値との差が該閾値より小さい場合よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体に接触して前記像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング部材と、
前記像担持体と前記クリーニング部材との間の摩擦抵抗を低減するために、トナーをクリーニング部材に供給するトナー供給モードを実行する実行手段と、
を備え、
前記画像形成条件とは、前記実行手段により実行される前記トナー供給モードの実行頻度であり、
前記調整手段は、
前記電流値Aの絶対値と前記電流値Bの絶対値との差が、閾値以上となる場合、
前記実行手段により実行される前記トナー供給モードの実行頻度を、
前記電流値Aの絶対値と前記電流値Bの絶対値との差が該閾値より小さい場合よりも少なくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体に接触して前記像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング部材と、
前記像担持体と前記クリーニング部材との間の摩擦抵抗を低減するために、トナーをクリーニング部材に供給するトナー供給モードを実行する実行手段と、
を備え、
前記画像形成条件とは、前記実行手段により実行される前記トナー供給モードで前記クリーニング部材に供給されるトナー量であり、
前記調整手段は、
前記電流値Aの絶対値と前記電流値Bの絶対値との差が、閾値以上となる場合、
前記実行手段により実行される前記トナー供給モードで前記クリーニング部材に供給され
るトナー量を、
前記電流値Aの絶対値と前記電流値Bの絶対値との差が該閾値より小さい場合よりも少なくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電流検出手段による電流検出は、前記電圧印加手段による前記導電部材への正極性の電圧印加時、及び負極性の電圧印加時にそれぞれ行われ、
前記電流値Aの絶対値は、
前記電圧印加手段による正極性の電圧印加時に前記電流検出手段に検出された電流値A1と、前記電圧印加手段による負極性の電圧印加時に前記電流検出手段に検出された電流値A2の絶対値との和であり、
前記電流値Bの絶対値は、
前記電圧印加手段による正極性の電圧印加時に前記電流検出手段に検出された電流値B1と、前記電圧印加手段による負極性の電圧印加時に前記電流検出手段に検出された電流値B2の絶対値との和である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電流値Aの絶対値は、
負極性の電圧が印加される際の電圧値の絶対値に対する、正極性の電圧が印加される際の電圧値の割合に、前記電流値A2の絶対値を乗算した値と、前記電流値A1との和であり、
前記電流値Bの絶対値は、
負極性の電圧が印加される際の電圧値の絶対値に対する、正極性の電圧が印加される際の電圧値の割合に、前記電流値B2の絶対値を乗算した値と、前記電流値B1との和であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−234131(P2012−234131A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104548(P2011−104548)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】