説明

画像形成装置

【課題】非画像形成時における像担持体への現像剤供給に際してクリーニングブレードからの現像剤のすり抜けを抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】非画像形成時にクリーニングブレードに現像剤を供給するために像担持体に現像剤を供給するトナーパージ処理動作を実行可能な画像形成装置において、磁界発生手段は、現像剤担持体に回転自在に担持されており、トナーパージ処理動作を実施する際には、磁界発生手段の現像領域における磁力を、通常の画像形成時よりも弱くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、像担持体に形成した静電潜像を現像手段にて顕像化して現像剤像(トナー像)となし、このトナー像を記録媒体に転写後、像担持体上の転写残トナー等をクリーニングブレードにてクリーニングする画像形成装置に関する。特に、電子写真方式を採用するレーザビームプリンタや複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示す電子写真方式を採用するレーザビームプリンタや複写機などの画像形成装置は、先ず一様に帯電させた像担持体としての感光ドラム101に、画像情報に対応した光(レーザ光など)102を照射することで静電潜像を形成する。その後、この静電潜像に現像手段103により現像剤103Tを供給してトナー像として顕像化する。更に感光ドラム101から記録媒体、例えば、紙に代表される記録材104へ像を転写することで、記録材104上に画像を形成し、出力を行っている。
【0003】
このような画像形成装置において、例えば、一成分磁性現像剤(トナー)103Tを用いて感光ドラム101上に静電潜像を現像するものがある。この場合、現像手段103は、現像容器103A内に感光ドラム101に近接して円筒状の現像剤担持体(現像スリーブ)105が配設され、現像スリーブ内に磁界発生手段であるマグネットローラ106が、間隙を保って同心的に配設されている。
【0004】
斯かる画像形成装置においては、感光ドラム101から記録材104へのトナー像の転写の際に、全てのトナー103Tを感光ドラム101から記録材104に移動させることは困難である。そのため、感光ドラム101上に残留した転写残トナー107をクリーニングすることが必要である。
【0005】
このためのクリーニング装置(クリーニング手段)108としては種々の提案がなされているが、ウレタンゴムなどの弾性体材料からなクリーニングブレード108Bを用いたものが知られている。斯かる構成はクリーニングブレード108Bに形成した尖鋭なエッジを、転写部位よりも回転方向に対して下流側の感光ドラム101表面に圧接して残留トナー107を掻き取るものであり、ブレードエッジと感光ドラム101との間に大きな摩擦が生じる。特に、ユーザーが使用を開始する新品状態やユーザーの使用状況、例えば、低印字で印刷を繰り返す状態では、クリーニングブレード108Bと感光ドラム101の間には、残留トナー107やそれに付随する外添剤のような潤滑剤として働くようなものが少ない。そのため、ブレードエッジと感光ドラム101との間に大きな摩擦力が生じ、クリーニングブレード捲れやびびり等の問題が発生し易い。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の装置では、非画像形成時にクリーニングブレード108Bに摩擦低減用トナー103Tを供給する、所謂、「トナーパージ処理動作」を行っている。該装置は、「トナーパージ処理動作」によるトナー103T等の介在により、感光ドラム101表面とクリーニングブレード108Bの摩擦を低減させ、クリーニングブレード捲れを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−191737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように非画像形成時に摩擦低減用トナーを感光ドラム上に供給する場合、感光ドラムと感光ドラムに当接したクリーニングブレードに供給するトナー量が少ないと十分な摩擦低減効果が得られない。一方、多量のトナーを供給してしまうと、トナーがすり抜ける問題が起きてしまうことがある。従って、従来技術では十分な摩擦低減効果を得ることと、トナーのすり抜け防止することを両立させることが困難であった。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点に鑑みて、非画像形成時における像担持体への現像剤供給に際してクリーニングブレードからの現像剤のすり抜けを抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
静電潜像が形成される像担持体と、
磁界発生手段を内蔵した現像剤担持体にて現像剤を担持して、前記像担持体と対向した現像領域へ搬送し、前記現像剤により前記像担持体の静電潜像を現像し、現像剤像とする現像手段と、
前記像担持体の前記現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記像担持体に当接して、前記像担持体の転写後に残る現像剤を掻き落とすためのクリーニングブレードを備えたクリーニング手段と、
を備え、非画像形成時に前記クリーニングブレードに前記現像剤を供給するために前記像担持体に前記現像剤を供給するトナーパージ処理動作を実行可能な画像形成装置において、
前記磁界発生手段は、前記現像剤担持体に回転可能に担持されており、前記トナーパージ処理動作を実施する際には、前記磁界発生手段の前記現像領域における磁力を、通常の画像形成時よりも弱くすることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非画像形成時に実行するトナーパージ処理動作において、磁界発生手段の現像領域における磁力を、通常の画像形成時よりも弱くする。これにより、通常の画像形成時と比較して大粒径の現像剤の供給が促進され、非画像形成時における像担持体への現像剤供給において、クリーニングブレードからの現像剤のすり抜けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】図2(a)は、現像装置におけるマグネットローラの回転構成を示す斜視図であり、図2(b)は、マグネットローラの位置決めを説明する図である。
【図3】現像装置におけるマグネットローラの回転による磁極変化を説明する図である。
【図4】画像形成装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
実施例1
本発明の画像形成装置は、現像装置(現像手段)103に設けた磁界発生手段としてのマグネットローラ106を回転させることによって、非画像形成時のトナーパージ処理動作時に現像領域の磁力を弱くすることを特徴としている。以下に、本発明に係る画像形成装置の第1の実施例について図1〜図3を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例であるプリンタエンジンとしての画像形成装置の概略構成断面図である。本実施例にて、画像形成装置は、像担持体としてドラム形の電子写真感光体、即ち、感光ドラム101を備えている。感光ドラム101は駆動力が伝達されることにより、軸を中心に図1中の矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0016】
感光ドラム101は、その表面が帯電装置(帯電手段)としての帯電ローラ109によって帯電される。帯電ローラ109は、感光ドラム101表面に接触配置されており、感光ドラム101の矢印R1方向の回転に伴って従動回転する。帯電ローラ109には、帯電バイアス印加電源によって、例えば交流電圧と直流電圧とが重畳された帯電バイアスが印加される。これにより、感光ドラム101表面が所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。本実施例においては、例えば、直流電圧;−700V、交流電圧;周波数f=1270Hz、ピーク間電圧Vpp=1700V、正弦波とを重畳した振動電圧とし、これにより、感光ドラム101の周面は−700V(暗電位Vd)に一様に帯電処理した。
【0017】
帯電後の感光ドラム101表面は、露光装置(露光手段)110によって静電潜像が形成される。露光手段110は、図示しないレーザスキャナ、ポリゴンミラー、反射レンズ等を有しており、画像情報に基づいたレーザ光を感光ドラム101表面に照射して照射部分の電荷を除去し、静電潜像を形成するものである。
【0018】
こうして感光ドラム101表面に形成された静電潜像は、現像手段103によってトナー103Tが付着され、現像剤像(トナー像)として現像される。なお、現像手段103については、後に詳述する。
【0019】
感光ドラム101表面に形成されたトナー像は、転写装置(転写手段)としての転写ローラ111によって記録媒体としての記録材104上に転写される。記録材104に対するトナー像の転写後に感光ドラム101表面に残った転写残トナー107は、クリーニング装置(クリーニング手段)108のクリーニング部材、即ち、クリーニングブレード108Bによって除去される。その後、感光ドラム101は次の画像形成に供される。
【0020】
一方、トナー像転写後の記録材104は、定着装置(定着手段)112に搬送され、定着ローラ112a、加圧ローラ112bによる加熱、加圧を受けて、表面のトナー像が定着される。トナー像定着後の記録材104は、装置本体外部に排出され、これにより、画像形成が完了する。
【0021】
画像形成プロセスを行う上記部材のうち、少なくとも感光ドラム101、現像手段103及びクリーニング手段108、更には、帯電ローラ109は、プロセスカートリッジ(以下、「カートリッジ」という。)として一体的に構成され、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0022】
次に、本実施例のクリーニング手段108について説明する。
【0023】
クリーニング手段108は、クリーニング容器(枠体)108Aの感光ドラム101側の開口部(容器開口部)のうち、感光ドラム101の表面移動方向下流側にクリーニングブレード108Bを配置する。クリーニングブレード108Bは、感光ドラム101の表面に当接させて感光ドラム101上の転写残トナー107を除去し、クリーニング容器108A内に収納する。
【0024】
クリーニングブレード108Bは、感光ドラム101の回転軸方向に延びるブレード形状の弾性部材であり、例えばゴム硬度JISAで40°のポリウレタンゴムで形成されている。このようなクリーニングブレード108Bは、装置の小型化や駆動源が不要であるといった利点から画像形成装置において広く利用されている。
【0025】
クリーニングブレード108Bは、感光ドラム101の回転方向(R1)に対してカウンター方向、即ち、感光ドラム101の表面移動方向上流側にクリーニングブレード108の自由端を向けて当接するように、クリーニング手段108に組み付ける。クリーニングブレード108Bの感光ドラム101面に当接するクリーニングブレード自由端先端部(当接エッジ部)が、感光ドラム101を押圧することにより、転写工程後に感光ドラム101上に残存する転写残トナー107が掻き落とされる。
【0026】
次に、本実施例の現像手段103について詳述する。
【0027】
現像手段103は、現像容器103Aを備えており、現像容器103Aの感光ドラムに対向した開口部に現像剤担持体としての現像スリーブ105が配置される。感光ドラム101に対向配置された現像スリーブ105には磁界発生手段としてマグネットローラ106が内蔵されている。また、現像スリーブ105の外周には、現像スリーブ105に当接して現像剤量を規制する現像剤量規制部材として現像ブレード113が配置されている。また、現像剤の吹き出しを防止する目的の吹き出し防止部材114が、現像スリーブ105と現像容器103Aとの隙間部の所定位置に配置されている。現像容器103A内には、静電潜像を可視化する磁性現像剤103Tが収容されている。
【0028】
更に、現像手段103の各構成部材について説明する。
【0029】
感光ドラム101と対向して配置されている現像スリーブ105は、例えば、直径10.0mmの非磁性のアルミスリーブの表面を導電性粒子含有する樹脂層でコートした表面粗さRa=0.95μmのスリーブが用いられる。現像スリーブ105は、図1にて反時計回りに回転して感光ドラム101の現像領域DA方向にトナーを担持し搬送できるようになっている。現像スリーブ105と感光ドラム101とは、その両者の間隔が、現像領域DAの最近接位置で300μmのギャップを保って対向するようになっている。また、現像スリーブ105に当接されて現像剤量を規制する現像ブレード113は、例えばゴム硬度JISAで40°のシリコーンゴムで形成されている。現像ブレード113の端部が現像スリーブ105の所定位置の表面に当接されることにより、現像ブレード113の位置よりも現像スリーブ105の回転方向下流側の表面に均一な厚さのトナー層を形成することができる。
【0030】
更に本実施例によれば、マグネットローラ106は、現像スリーブ105内に回転可能に担持されている。マグネットローラ106は、図2(a)に示すように、マグネットローラ106の現像スリーブ105の一端から突出した軸の部分に、マグネットローラ106の回転手段を構成するロール駆動ギア301が取付けられている。このロール駆動ギア301には、装置本体側の駆動ギア302が連結されている。現像スリーブ103の駆動モーター303やバイアス電源等304の作動を指令するコントローラ(制御手段)305からの指示により、駆動モーター306が回転して、駆動ギア302を介してローラ駆動ギア301が回転する。これにより、マグネットローラ106が回転される。
【0031】
また、マグネットローラ106には2つの第1、第2位置決め部材307a、307bが設けられ、また、この第1、第2位置決め部材307a、307bと対向可能に、マグネットローラ106の外周位置に保持部材308が設けられている。保持部材308は、図2(b)に示すように、バネ部材308Sによりマグネットローラ106の方へと付勢されている。保持部材308は、マグネットローラ106が回転移動された時、第1又は第2位置決め部材307a、307bに選択的に係合して、マグネットローラ106を第1位置(通常の画像形成時の位置)又は第2位置(トナーパージ処理動作時の位置)に保持する。
【0032】
図1に示すように、マグネットローラ106には、4個の磁極S1、S2、N1、N2が具備されている。磁極N1は、現像スリーブ105上に担持されたトナー量を弾性ブレード113と協同して規制するとともに、現像装置103内に収容されたトナーの吹出し防止用も兼ねる極(規制極)である。磁極S1は、感光ドラム101にほぼ対向する形に配置されており、現像スリーブ105と感光ドラム101間の現像領域DAにおいて、現像スリーブ105上のトナー103Tに磁力を働かせ、かぶりを抑制する極(現像極)である。磁極N2は、吹き出し防止部材114に対向しており、現像装置103内に収容されたトナーの吹出し防止用の極(吹き出し防止極)である。磁極S2は、トナーの現像スリーブ105上への取り込み及び搬送を行う極(取り込み極)である。
【0033】
画像形成時には、S1極を感光ドラム101に対向させることにより、即ち、現像領域DAに対向配置させることにより、上記に説明したようにトナーに磁力を働かせ、かぶりを抑制している。これにより、後述のようにトナーの大粒径成分は現像され難い状態になっている。
【0034】
本発明の画像形成装置は、トナーパージ処理動作が実行可能とされ、本実施例におけるトナーパージ処理動作を図3及び図4のタイミングチャートを参照して説明する。
【0035】
トナーパージ処理動作は、特にクリーニングブレード捲れやびびり等の問題が発生し易い、例えば、感光ドラム104、現像手段103及びクリーニング手段108などが一体に構成されたプロセスカートリッジの使用初期において行うことができる。特に、プロセスカートリッジの場合は、カートリッジを新品に取り換えた際には、トナーパージ処理動作を直ちに実施するのが良い。
【0036】
このため、プロセスカートリッジには、例えば、メモリーなどを設置し、カートリッジが新品であることを示す使用情報が入力可能とされる。使用情報としては、例えば、プロセスカートリッジの駆動時間などとされ、プロセスカートリッジが駆動された時間がコントローラ305からメモリーに記憶される。該駆動時間が所定時間(例えば、1時間)に達していない場合は、プロセスカートリッジが新品であるか、或いは、使用初期と判断することができる。
【0037】
そして、画像形成装置の作動開始に際しては、画像形成装置に設けたコントローラ305がカートリッジのメモリーにアクセスし、カートリッジが新品であるのか、或いは、使用初期状態にあるのかを検知する。即ち、コントローラ305は、所謂、新品検知手段として機能し、コントローラ305が、カートリッジが新品であるか、或いは、使用初期と判断した場合、トナーパージ処理動作を実施する。
【0038】
更に、トナーパージ処理動作は、印刷枚数をカウントする手段を備えた画像形成装置においては、例えば、コントローラ305が印刷枚数カウント手段を備えている場合は、一定の印刷枚数毎に行うことができる。
【0039】
図4を参照して、プロセスカートリッジ初期において、及び、印刷100枚毎にトナーパージ処理動作を行う際のトナーパージ処理動作について説明する。図4のタイミングチャートに示すように、画像形成動作が終わり、コントローラ305から現像スリーブ105の後回転中にトナーパージ処理信号が送られると(図4(A)のタイミング)、現像スリーブ105の回転がそのまま継続され、トナーパージ処理動作に移行する。勿論、コントローラ305は、例えば、カートリッジが新品に交換されたような場合には、最初の画像形成動作を実施するに先立って、直ちに、トナーパージ処理信号を発するようにすることもできる。
【0040】
トナーパージ処理動作を実施する際は、先ず、コントローラ305の指示によりマグネットローラ駆動モーター306が回転駆動される。これにより、図3にて、マグネットローラ106が「画像形成時」位置(第1位置)から「パージ時」位置(第2位置)に示す磁極配置へと回転駆動される。従って、保持部材308は、位置決め部材307aとの係合を解除し、位置決め部材307bと係合することとなり、マグネットローラ106を、第1位置から第2位置に回転して固定する。即ち、マグネットローラ106は、いずれの磁極も現像領域DAに対向配置されておらず、感光ドラム101と現像スリーブ105の最近接位置(本実施例の現像位置)における磁力がゼロになる位置にて固定される。
【0041】
次いで、感光ドラム101にトナー103Tを供給するために、先ず、感光ドラム101に所定の帯電バイアス、露光条件により感光ドラム101の周面に回転方向及び幅方向に所定の長さに渡って帯状の静電潜像を形成する。現像スリーブ105に現像バイアスが印加され、感光ドラム101の帯状静電潜像は、帯状のトナー像とされる。該トナー像は、転写手段111を作動させず、即ち、記録媒体104に転写することなく、クリーニングブレード108Bに送給される。
【0042】
本実施例では、トナーパージ処理動作時に印加する現像バイアスは、画像形成時と同じ現像バイアスとして、DC成分(Vdc)にAC成分(振幅Vpp、周波数f)を重畳したものを印加した。本実施例では、Vdc=−350V、Vpp=1.4kV、f=2.0kHzに設定した。また、本実施例ではトナーパージ処理動作における現像バイアス、帯電バイアス、露光条件は上記通常の画像形成時と同じバイアスを用いたが、トナーパージ処理動作に対して、より良い適正な他の現像バイアス、帯電バイアス、露光条件を用いてもよい。
【0043】
最後に、トナーパージ処理動作が終了し、コントローラ305からの指示によって現像スリーブ103が停止すると同時に、駆動モーター306が回転しマグネットローラ104が図3の画像形成時に示す磁極配置(第1の位置)へ戻され、位置決め部材307aが保持部材308によって固定される。
【0044】
本実施例の構成によれば、トナーパージ処理動作時は、通常の画像形成動作よりも現像領域DAにおける磁力が弱くなるため、大粒径トナーが感光ドラム上に供給される。
【0045】
何故ならば、下記式1に示すように、磁性トナーにかかる磁気力は粒径が大きいほど大きくなるため、大粒径のトナーが磁力を弱めた影響を受け易いためである。
【0046】
下記式1にて、fmは現像スリーブ方向に働く力、aはトナー粒径、μはトナーの透磁率、Bは磁束密度である。
【0047】
【数1】

【0048】
表1に、本実施例の現像装置を用いた画像形成装置と、マグネットローラが回転しない従来例の現像装置を用いた画像形成装置と、比較例として、本実施例と従来例の間の位置にマグネットローラ106を回転させた場合の現像装置を用いた画像形成装置と、における実験結果を示す。
(1)感光ドラム101と現像スリーブ105の最近接位置(現像位置)、即ち、現像領域DAにおける磁力、
(2)パージ処理によって感光ドラムに供給される大粒径トナー量の指標として、精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)により測定した感光ドラム101に供給されたトナーの重量平均粒径(D4)>7.0μmの割合、
(3)パージ処理により感光ドラム101に供給されたトナーの重量平均粒径(D4)、
(4)パージ処理によるトナーのすり抜け具合、
表1において、『○』はすり抜け発生なし、『△』は軽微にすり抜け発生、『×』はすり抜け発生ありである。また、本実施例に用いたトナーは懸濁重合法で作られた磁性重合トナーであり、粒径重量平均粒径(D4)は7.0μmであった。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から分かるように、従来例ではかぶり等を抑制することを目的として、現像位置における磁界を大きくしているため、磁力の影響を大きく受ける大粒径トナーの現像が妨げられている。その結果、パージ処理により、小粒径トナーが多く感光ドラムに供給され、すり抜けが発生している。
【0051】
一方、本実施例では、パージ処理時に現像位置における磁力を弱めた結果、大粒径トナーが従来例に比べ多く感光ドラム101上に供給されるため、トナーパージ処理によるすり抜けが軽減される。
【0052】
以上に説明したように、本発明によれば、非画像形成時にトナーを供給する際、磁界発生手段の現像領域における磁力を、通常の画像形成時よりも弱くする。これにより、通常の画像形成時と比較して大粒径トナーの供給を促進させ、従って、非画像形成時おける感光ドラムへのトナー供給によるクリーニングブレードからのトナーのすり抜けを抑制することが可能となる。
【0053】
上記実施例では、本発明は、感光ドラム101のトナー像を直接、記録媒体としての記録材104に転写する画像形成装置であるとして説明したが、本発明はこの構成の画像形成装置に限定されるものではない。感光ドラム以外の記録媒体としての中間転写体を備え、感光ドラム101のトナー像を一旦この中間転写体に転写し、その後、中間転写体のトナー像を記録材に転写する中間転写方式の画像形成装置であってもよい。斯かる画像形成装置の構成は、当業者には周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【符号の説明】
【0054】
101 感光ドラム(像担持体)
103 現像装置(現像手段)
103T トナー(現像剤)
104 記録材(記録媒体)
105 現像スリーブ(現像剤担持体)
106 マグネットローラ(磁界発生手段)
108 クリーニング装置(クリーニング手段)
108B クリーニングブレード
111 転写ローラ(転写手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、
磁界発生手段を内蔵した現像剤担持体にて現像剤を担持して、前記像担持体と対向した現像領域へ搬送し、前記現像剤により前記像担持体の静電潜像を現像し、現像剤像とする現像手段と、
前記像担持体の前記現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記像担持体に当接して、前記像担持体の転写後に残る現像剤を掻き落とすためのクリーニングブレードを備えたクリーニング手段と、
を備え、非画像形成時に前記クリーニングブレードに前記現像剤を供給するために前記像担持体に前記現像剤を供給するトナーパージ処理動作を実行可能な画像形成装置において、
前記磁界発生手段は、前記現像剤担持体に回転可能に担持されており、前記トナーパージ処理動作を実施する際には、前記磁界発生手段の前記現像領域における磁力を、通常の画像形成時よりも弱くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーパージ処理動作は、前記像担持体に形成された帯状の静電潜像を前記現像手段にて現像して現像剤像となし、この現像剤像を前記記録媒体に転写することなく前記クリーニングブレードに供給することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段は、少なくとも2つの磁極を有しており、前記トナーパージ処理動作を実施する際には、前記いずれの磁極も前記現像領域に対向しない位置に移動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも前記像担持体、前記現像手段及び前記クリーニング手段は、一体に構成され、画像形成装置本体に対して着脱可能とされたプロセスカートリッジであって、
前記画像形成装置本体は、前記カートリッジが新品であることを検知する新品検知手段を備えており、
前記新品検知手段が前記カートリッジが新品であることを検知した場合には、前記トナーパージ処理動作を実施すること特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−242405(P2012−242405A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108800(P2011−108800)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】