説明

画像形成装置

【課題】感光体の配列方向においてさらなる小型化を図ることができるタンデム方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、並列配置された複数の感光体(感光体ドラム52)と、感光体を露光するLEDユニット40と、感光体に現像剤を供給する現像ローラ62と、現像ローラ62を支持する筐体61と、基端64Aが筐体61に固定され、自由端64Bが現像ローラ62に摺接して現像剤の厚さを規制する層厚規制ブレード64とを有し、複数の感光体の配列方向に沿って並列配置された複数の現像ユニット60と、を備える。層厚規制ブレード64は、現像ローラ62の軸方向から見て、現像ローラ62と、対応する感光体ドラム52を露光する露光光の光軸OAとの間に配置され、基端64Aから自由端64Bが現像ローラ62との摺接部SCにおける現像ローラ62の周面の移動方向に倣って延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンデム方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、用紙の進行方向に並列配置された複数の感光ドラム(感光体)と、感光体を露光する複数のLEDヘッドと、感光体にトナーを供給する現像ローラを有し、感光体の配列方向に沿って並列配置された複数の現像カートリッジとを備えるタンデム方式の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のタンデム方式の画像形成装置は、現像ローラに摺接してトナーの厚さを規制する層厚規制ブレードが、感光体の配列方向に沿って寝かせたような状態で配置されていたため、感光体の配列方向において装置を小型化するのに限界があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、感光体の配列方向においてさらなる小型化を図ることができるタンデム方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、並列配置された複数の感光体と、前記感光体を露光する露光ユニットと、前記感光体に現像剤を供給する現像ローラと、前記現像ローラを支持する筐体と、基端が前記筐体に固定され、自由端が前記現像ローラに摺接して現像剤の厚さを規制する層厚規制ブレードとを有し、前記複数の感光体の配列方向に沿って並列配置された複数の現像ユニットと、を備えた画像形成装置であって、前記層厚規制ブレードは、前記現像ローラの軸方向から見て、前記現像ローラと、対応する感光体を露光する露光光の光軸との間に配置され、前記基端から前記自由端が前記現像ローラとの摺接部における前記現像ローラの周面の移動方向に倣って延びていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された画像形成装置によれば、層厚規制ブレードが、現像ローラの軸方向から見て、現像ローラと、対応する感光体を露光する露光光の光軸との間に配置され、基端から自由端が延びる向きが、特許文献1に開示されているように現像ローラとの摺接部における現像ローラの周面の移動方向と互いに逆になっているのではなく、倣って(同じ向きになって)いるので、層厚規制ブレードを感光体の配列方向に対して立てたような状態で配置することが可能となる。これにより、各現像ユニットを感光体の配列方向において小型化(薄型化)することができるので、この現像ユニットを感光体の配列方向に沿って並列配置した画像形成装置のさらなる小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各現像ユニットを感光体の配列方向において小型化することができるので、感光体の配列方向においてタンデム方式の画像形成装置のさらなる小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーLEDプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】LEDユニット、感光体ユニットおよび現像ユニットの拡大図である。
【図3】現像ユニットを着脱するときの様子を示す図である。
【図4】現像ユニットが近接位置にあるときの図(a),(b)である。
【図5】現像ユニットが離間位置にあるときの図(a),(b)である。
【図6】変形例に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーLEDプリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分に係る構成について説明する。
【0011】
また、以下の説明において、方向は、カラーLEDプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。また、本実施形態においては、「現像ローラ62の軸方向」を左右方向とし、「複数の現像ユニット60の配列方向」および「複数の感光体(感光体ドラム52)の配列方向」を前後方向とする。
【0012】
<カラーLEDプリンタの概略構成>
図1に示すように、カラーLEDプリンタ1は、装置本体の一例としての本体筐体10内に、用紙Sを供給する給紙部20と、供給された用紙Sに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90とを主に備えている。
【0013】
本体筐体10の上側には、後側を支点として上下に開閉可能に構成されたアッパーカバー12が設けられている。このアッパーカバー12は、上面が本体筐体10内から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ13となっており、下面には後述するLEDユニット40を揺動可能に保持する4つの保持部14が設けられている。
【0014】
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Sは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0015】
画像形成部30は、露光ユニットの一例としての4つのLEDユニット40と、4つの感光体ユニット50と、4つの現像ユニット60と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0016】
LEDユニット40は、アッパーカバー12の下方において前後に配列した状態で設けられ、アッパーカバー12を閉じたときに感光体ドラム52の上方に対向して配置される。このLEDユニット40は、ヘッド部41と、ヘッド部41を支持する支持部42とを主に備えている。
【0017】
ヘッド部41の先端には、図示しない複数の発光部(LED)が左右方向に配列されている。なお、本発明において、発光部は、左右方向に沿って直線状に配列されていてもよいし、千鳥状に配列されていてもよい。また、発光部の列は、1つであってもよいし、前後方向に2つ以上並べて形成されていてもよい。
【0018】
支持部42は、保持部14を介してアッパーカバー12に取り付けられている。
このようなLEDユニット40は、画像データに基づいて発光部を明滅させることで、帯電後の感光体ドラム52の表面を露光する。
【0019】
感光体ユニット50は、アッパーカバー12と給紙部20との間で前後方向に沿って並列配置され、感光体ケース51と、感光体の一例としての感光体ドラム52と、帯電器53とを主に備えている。本実施形態において、感光体ユニット50は、本体筐体10に固定されているが、これに限定されず、本体筐体10に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0020】
現像ユニット60は、LEDユニット40と略同じ高さ位置で前後方向(並列配置された複数の感光体ドラム52の配列方向)に沿って並列配置され、アッパーカバー12を開くことで本体筐体10に対して着脱可能に装着される構成となっている(図3参照)。各現像ユニット60は、筐体61と、現像ローラ62と、供給ローラ63と、層厚規制ブレード64と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部65(現像剤収容部)とを主に備えている。
【0021】
転写ユニット70は、給紙部20と感光体ユニット50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71および従動ローラ72の間に張設された無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74と、クリーニング部75とを主に備えている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光体ドラム52に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光体ドラム52との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0022】
クリーニング部75は、搬送ベルト73の下方に設けられ、符号を省略して示す、クリーニングローラと、回収ローラと、掻き取りブレードと、トナー貯留部とを主に備えている。搬送ベルト73に付着したトナーや紙粉などは、クリーニングローラによって取り除かれ、回収ローラに付着した後、掻き取りブレードによって掻き取られてトナー貯留部に貯留される。
【0023】
定着ユニット80は、感光体ユニット50の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0024】
画像形成部30では、感光体ドラム52の表面が、帯電器53により一様に帯電された後、LEDユニット40により露光されることで、感光体ドラム52上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部65内のトナーは、供給ローラ63を介して現像ローラ62に供給され、現像ローラ62と層厚規制ブレード64との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ62上に担持される。
【0025】
そして、現像ローラ62上に担持されたトナーが、静電潜像に供給された感光体ドラム52に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム52上にトナー像が形成される。その後、給紙部20から供給された用紙Sが、感光体ドラム52と搬送ベルト73(転写ローラ74)の間を搬送されることで、各感光体ドラム52上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0026】
排紙部90は、定着ユニット80の出口から上方に向かって延び、前方に方向転換するように形成された排紙経路91と、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラ92とを主に備えている。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ92によって排紙経路91を搬送され、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13上に排出される。
【0027】
次に、本発明の特徴部分に係る構成、具体的には、現像ユニット60の詳細な構成と、現像ユニットの着脱機構および移動機構について説明する。
【0028】
<現像ユニットの詳細構成>
図2に示すように、現像ユニット60は、筐体61と、現像ローラ62と、供給ローラ63と、層厚規制ブレード64と、トナー収容部65と、締結具66とを主に備えている。なお、以下の説明においては、現像ユニット60が本体筐体10に装着された状態を基準として説明する。
【0029】
筐体61は、現像ローラ62や供給ローラ63、層厚規制ブレード64などを支持するとともに、トナー収容部65を形成している。この筐体61は、左右方向から見て、対応する感光体ドラム52を露光する露光光の光軸OAに近い側の壁(後側の壁)に、層厚規制ブレード64が固定される固定平面61Aと、固定平面61Aよりも外側に向けて突出し、トナー収容部65の壁を構成する収容壁部61Bとを有している。
【0030】
ここで、「対応する感光体ドラム52」とは、現像ユニット60が本体筐体10に装着された状態において、当該現像ユニット60の現像ローラ62がトナーを供給する感光体ドラム52を指すものとする。また、露光光を出射するLEDユニット40において、発光部が千鳥状に配列されている場合や、発光部の列が前後方向に2つ以上並べて形成されている場合は、左右方向から見て光軸は複数となるが、この場合には、最も現像ユニット60に近い側(最も前側)の光軸を基準とする。
【0031】
現像ローラ62は、感光体ドラム52にトナーを供給する公知のローラであり、対応する感光体ドラム52の前斜め上方に配置されている。また、供給ローラ63は、現像ローラ62にトナーを供給する公知のローラであり、現像ローラ62の前斜め上方に配置されている。
【0032】
層厚規制ブレード64は、略矩形状の薄い金属板からなり、基端64A(上端)が筐体61の固定平面61Aに固定され、自由端64B(下端)に設けられた押圧ゴム部材(符号省略)が現像ローラ62に摺接してトナーの厚さを規制する。なお、本発明において、層厚規制ブレードは、押圧ゴム部材を有しない構成であってもよい。例えば、層厚規制ブレードは、自由端の先端を現像ローラ62から遠ざかる方向に略直角に折り曲げ、この折り曲げた部分の角部を現像ローラ62に直接摺接させる構成であってもよい。
【0033】
層厚規制ブレード64は、左右方向から見て、対応する感光体ドラム52を露光する露光光の光軸OAと、現像ローラ62(より詳細には、光軸OAに平行で、かつ、現像ローラ62の軸心を通る面PL1)との間に配置されている。そして、層厚規制ブレード64は、基端64Aから自由端64Bが、現像ローラ62との摺接部SCにおける現像ローラ62の周面の移動方向(矢印参照)に倣って、固定平面61Aから感光体ドラム52の軸心付近に向かうように延びている。これにより、層厚規制ブレード64は、前後方向(感光体ドラム52の配列方向)に沿うのではなく、前後方向に対して立ったような状態で配置されることとなる。
【0034】
トナー収容部65は、筐体61により形成され、図示しないトナーを収容する。前記したように、トナー収容部65の後壁(収容壁部61B)は、固定平面61Aよりも現像ユニット60の外側に向けて膨らむように突出している。
【0035】
締結具66は、層厚規制ブレード64と、固定平面61Aとの間で層厚規制ブレード64の基端64Aを挟持するブレード補強板67とを固定平面61A(筐体61)に固定する。このような締結具は、ネジのような部材であってもよいし、リベットのような部材であってもよい。また、固定平面61Aに突出部を設け、この突出部に層厚規制ブレード64に設けた貫通孔を係合した後、突出部の先端を溶かして固定する方法における、固定平面61Aに設けた突出部などであってもよい。
【0036】
本実施形態において、層厚規制ブレード64、ブレード補強板67および締結具66は、固定平面61Aに平行で、かつ、収容壁部61Bの外表面61Cに接する面PL2よりも内側に配置されている。言い換えると、層厚規制ブレード64、ブレード補強板67および締結具66は、面PL2から後側に飛び出さないように配置されている。これにより、現像ユニット60をコンパクトな構成とすることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、層厚規制ブレード64が、左右方向から見て、現像ローラ62と光軸OAとの間に配置され、基端64Aから自由端64Bが延びる向きが、摺接部SCにおいて現像ローラ62の周面の移動方向と互いに逆になっているのではなく、倣って(同じ向きになって)いるので、層厚規制ブレード64を前後方向に対して立てたような状態で配置することが可能となる。これにより、層厚規制ブレード64を前後方向に沿って寝かせたような状態で配置する従来の構成と比較して、各現像ユニット60を前後方向において小型化(薄型化)することができるので、この現像ユニット60を前後方向に並列配置したカラーLEDプリンタ1のさらなる小型化を図ることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、層厚規制ブレード64や締結具66が面PL2から後側に飛び出さないように配置されているので、LEDユニット40の先端(ヘッド部41)を、収容壁部61Bと、層厚規制ブレード64と、感光体ドラム52とによって形成される凹み部分に配置することができる。言い換えると、LEDユニット40を、先端側が層厚規制ブレード64に近づくように、層厚規制ブレード64(固定平面61A)に対して傾斜した状態で配置することができる。これにより、本体筐体10内で、1組のLEDユニット40と現像ユニット60とが占めるスペースを小さくできるので、カラーLEDプリンタ1のより一層の小型化を図ることが可能となる。
【0039】
<現像ユニットの着脱機構>
図3に示すように、現像ユニット60は、アッパーカバー12を開いた本体筐体10に対して、取り外しおよび装着可能に支持されている。具体的に、本体筐体10の左右の側壁の内面には、4つの現像ユニット60に対応して4組のガイド溝15(図3では1つのみ図示)が設けられており、現像ローラ62の回転軸62Aをガイド溝15に沿わせて移動させることで、現像ユニット60が本体筐体10に対して着脱自在となっている。
【0040】
ガイド溝15は、左右方向から見て、前斜め上方が開放され、後斜め下方が閉塞された略U形状に形成されており、本体筐体10に装着された現像ユニット60の層厚規制ブレード64が延びる方向に沿って延びている(一点鎖線参照)。
【0041】
ここで、以下の説明において、「層厚規制ブレード64が延びる方向」とは、層厚規制ブレード64の基端64Aから自由端64Bに向けて延びる方向に沿った方向をいうものとする。なお、層厚規制ブレード64は、自由端64Bの押圧部材が現像ローラ62に摺接することで、自由端64Bが若干後方に向けて反っているため、平面状(左右方向から見てまっすぐ)ではない。したがって、「層厚規制ブレード64が延びる方向」は、左右方向から見た固定平面61Aが延びる方向で図示する。
【0042】
現像ユニット60は、ガイド溝15(本体筐体10)に装着されることで、層厚規制ブレード64(固定平面61A)が延びる方向が、前後方向(現像ユニット60の配列方向)に直交する面PL3に対して前側に傾斜して配置されている。さらに、現像ユニット60は、ガイド溝15に沿って移動させることで、面PL3に対して傾斜した方向、すなわち、層厚規制ブレード64(固定平面61A)が延びる方向に沿って本体筐体10から着脱可能となるように支持されている。
【0043】
このような構成によれば、カラーLEDプリンタ1を前後方向に小型化しつつ、現像ユニット60を上下方向に着脱する構成と比較して、現像ユニット60を容易に着脱することが可能となる。特に、本実施形態では、現像ユニット60が面PL3に対して前側に傾斜して配置され、前側から現像ユニット60の着脱を行うことが可能となっているので、現像ユニット60の着脱操作がより行いやすくなっている。
【0044】
<現像ユニットの移動機構>
カラーLEDプリンタ1は、4つの現像ユニット60を、現像ローラ62が対応する感光体ドラム52に対して近接する近接位置(図4参照)と、現像ローラ62が近接位置よりも対応する感光体ドラム52から離間する離間位置(図5参照)との間で、移動させる現像ユニット移動機構をさらに備えている。
【0045】
ここで、近接位置は、現像ローラ62から感光体ドラム52に対してトナーの供給が可能な位置(距離)であれば、現像ローラ62と感光体ドラム52とが、接触した状態であっても、非接触の状態であっても構わない。
【0046】
本実施形態において、現像ユニット移動機構は、層厚規制ブレード64(固定平面61A)が延びる方向に沿って現像ユニット60を移動させるように構成されている。一例として、図4,5に示すように、現像ユニット移動機構16は、ガイド溝15に沿って現像ユニット60を移動させるように構成されており、操作バー17と、操作バー17に駆動力を入力する駆動入力部(図示省略)とを主に備えている。
【0047】
操作バー17は、本体筐体10の左右の側壁の内面に設けられ、本体筐体10に対して前後方向に移動可能に支持されている。この操作バー17の上面には、現像ローラ62の回転軸62Aと係合可能な4つの凹部17Aと、各凹部17Aの底面後部から操作バー17の上面へ、前から後に向けて登り勾配となる傾斜面17Bとが形成されている。また、操作バー17の下面後部には、ラックギヤ部17Cが形成され、駆動入力部の伝達ギヤ18と噛み合っている。
【0048】
駆動入力部は、操作バー17を前後に移動させるための駆動力を操作バー17に伝達する機構であり、本体筐体10内に設けられた図示しないモータからの駆動力を、図示しないギヤなどを介して、最終的に伝達ギヤ18に伝達するように構成されている。
【0049】
図4に示すように、画像形成動作を実行する場合など、現像ユニット60が近接位置にあるとき、現像ローラ62の回転軸62Aは操作バー17の凹部17Aと係合している。そして、画像形成動作を実行しない場合(待機状態に移行する場合)や、クリーニング部75によって搬送ベルト73のクリーニング動作を実行する場合などには、現像ユニット移動機構16は、現像ユニット60を離間位置に移動させる。
【0050】
具体的には、図5に示すように、現像ユニット移動機構16は、伝達ギヤ18を図示反時計回り方向に回転させて、操作バー17を前方に移動させる。これにより、傾斜面17Bによって回転軸62Aが押し上げられるので、現像ユニット60がガイド溝15に沿って前斜め上方に移動し、近接位置から離間位置に移動する。
【0051】
一方、現像ユニット60を離間位置から近接位置に移動させるときは、図4に示すように、現像ユニット移動機構16は、伝達ギヤ18を図示時計回り方向に回転させて、操作バー17を後方に移動させる。これにより、回転軸62Aが凹部17Aに係合することで、現像ユニット60がガイド溝15に沿って後斜め下方に移動し、離間位置から近接位置に移動する。
【0052】
本実施形態においては、立てたような状態で配置される層厚規制ブレード64が延びる方向に沿って、現像ユニット60を近接位置と離間位置との間で移動させるので、現像ユニット60が移動するためのスペースを前後に小さくすることができる。これにより、前後方向においてカラーLEDプリンタ1の小型化が可能となる。特に、本実施形態では、現像ユニット60を近接位置と離間位置との間で、着脱用のガイド溝15に沿って移動させているので、現像ユニット60の着脱機構と移動機構を別々に設ける構成と比較して、カラーLEDプリンタ1の構成を簡略化することができる。
【0053】
なお、本発明においては、現像ユニット60を近接位置と離間位置との間で層厚規制ブレード64が延びる方向に沿って移動させることが重要なのであり、このような現像ユニット60の動きを実現できる構成であれば、現像ユニット移動機構の構成は特に限定されない。すなわち、現像ユニット60を移動させる機構は広く公知の構成を採用することができる。具体的には、カムで現像ユニットを移動させてもよいし、現像ユニットを引っ張り上げて移動させてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0055】
前記実施形態では、現像ユニット移動機構16により、すべての現像ユニット60を近接位置と離間位置との間で移動させる構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、モノクロ画像を形成する場合において、ブラックのトナーが収容された現像ユニット以外の現像ユニットを近接位置から離間位置に移動させる構成としてもよい。すなわち、本発明の現像ユニット移動機構は、複数の現像ユニットのうちの少なくとも1つを近接位置と離間位置との間で移動させる構成であれば足りる。
【0056】
前記実施形態では、複数の露光ユニット(LEDユニット40)を備える構成を例示したが、これに限定されず、例えば、図6に示すカラーレーザプリンタ2のように、露光ユニット(レーザユニット140)は1つであってもよい。図6に示す、レーザユニット140は、本体筐体10内の上部(現像ユニット60の上方)に設けられ、図示しないレーザ光源と、ポリゴンミラーと、複数のレンズと、複数の反射鏡とを主に備えている。画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射されたり、レンズを通過したりして、各感光体ドラム52の表面で高速走査され、帯電後の感光体ドラム52の表面を露光する。このような構成によれば、現像ユニット60間の間隔を小さくできるので、より一層の小型化を図ることができる。
【0057】
前記実施形態では、層厚規制ブレード64は、固定平面61Aとブレード補強板67との間に挟持された状態で、締結具66により筐体61に固定されていたが、これに限定されるものではない。すなわち、ブレード補強板67を省略して、層厚規制ブレード64を筐体61に固定してもよい。なお、ブレード補強板67を設けることで、ネジなどの締結具66から層厚規制ブレード64に加わる力を層厚規制ブレード64(薄い金属板)の長手方向において略均一にできるので、層厚規制ブレード64の変形を抑制でき、現像ローラ62上のトナーの厚さを略均一に規制することが可能となる。
【0058】
前記実施形態では、層厚規制ブレード64の基端64Aが筐体61(固定平面61A)に直接固定されていたが、これに限定されるものではない。すなわち、層厚規制ブレードの基端は、板金など他の部材を介して筐体に固定されていてもよい。
【0059】
前記実施形態では、現像ユニット60は、層厚規制ブレード64が延びる方向が面PL3に対して前側に傾斜して配置されていたが、これに限定されず、例えば、後側に傾斜して配置されていてもよい。また、現像ユニットは、層厚規制ブレードが延びる方向が上下方向に沿って配置されていてもよい。
【0060】
前記実施形態では、現像ユニット60を近接位置と離間位置との間で移動させる現像ユニット移動機構16を備えた構成を例示したが、これに限定されず、例えば、装置本体に装着された現像ユニットが、装置本体内で移動しない構成としてもよい。
【0061】
前記実施形態では、現像ユニット60は、アッパーカバー12を開いた本体筐体10に対して直接着脱可能に装着される構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すような構成において、本体筐体10から引き出し可能に構成された箱状または枠状の支持部材を備え、この支持部材に対して現像ユニット60を着脱可能に装着する構成としてもよい。このような構成においては、まず支持部材を本体筐体10から引き出し、その後に現像ユニット60を支持部材に対して着脱することとなる。
【0062】
前記実施形態では、現像ユニット60が本体筐体10に対して着脱可能に装着される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、現像ユニットは装置本体に固定されていてもよい(着脱不能であってもよい)。また、現像剤収容部だけがいわゆる現像剤カートリッジとして着脱可能に装着される構成であってもよい。
【0063】
前記実施形態で示した現像ユニット60の構成は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、本発明の現像ユニットは、前記実施形態の感光体ユニット50と現像ユニット60とが一体的(分離不能)に形成された構成であってもよい。
【0064】
前記実施形態では、画像形成装置としてプリンタ(カラーLEDプリンタ1やカラーレーザプリンタ2)を例示したが、これに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 カラーLEDプリンタ
10 本体筐体
15 ガイド溝
16 現像ユニット移動機構
40 LEDユニット
50 感光体ユニット
52 感光体ドラム
60 現像ユニット
61 筐体
61A 固定平面
61B 収容壁部
61C 外表面
62 現像ローラ
64 層厚規制ブレード
64A 基端
64B 自由端
65 トナー収容部
66 締結具
OA 光軸
PL2 面
PL3 面
SC 摺接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置された複数の感光体と、
前記感光体を露光する露光ユニットと、
前記感光体に現像剤を供給する現像ローラと、前記現像ローラを支持する筐体と、基端が前記筐体に固定され、自由端が前記現像ローラに摺接して現像剤の厚さを規制する層厚規制ブレードとを有し、前記複数の感光体の配列方向に沿って並列配置された複数の現像ユニットと、を備えた画像形成装置であって、
前記層厚規制ブレードは、前記現像ローラの軸方向から見て、前記現像ローラと、対応する感光体を露光する露光光の光軸との間に配置され、前記基端から前記自由端が前記現像ローラとの摺接部における前記現像ローラの周面の移動方向に倣って延びていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の現像ユニットのうちの少なくとも1つを、前記現像ローラが対応する感光体に対して近接する近接位置と、前記現像ローラが前記近接位置よりも対応する感光体から離間する離間位置との間で、前記層厚規制ブレードの前記基端から前記自由端に向けて延びる方向に沿って移動させる現像ユニット移動機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像ユニットは、前記層厚規制ブレードの前記基端から前記自由端に向けて延びる方向が、前記複数の現像ユニットの配列方向に直交する面に対して傾斜して配置されており、当該傾斜した方向に沿って装置本体から着脱可能に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53109(P2012−53109A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193384(P2010−193384)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】