説明

画像形成装置

【課題】現像装置の起動時に発生する現像部内における現像剤の減少を防止し、機内汚染及び画像品質の低下を防止することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】循環搬送機構27,28,29を有する現像部6と、現像部6とは別の位置に配置された現像剤撹拌部14とを有し、現像剤搬送経路17内を空気搬送させることにより現像剤を現像剤撹拌部14から現像部6へと送る現像剤搬送手段16,38,45を有し、現像剤排出流路15を介して循環搬送機構27,28,29の作動により現像部6内で循環された現像剤を現像剤撹拌部14に戻す現像装置23を有する画像形成装置1において、現像装置23の動作を開始させる際に、現像剤搬送手段16,38,45を作動させた後に循環搬送機構27,28,29を作動させる制御手段50を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式の複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関し、詳しくは現像装置の動作制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置が備える現像装置として、像担持体である感光体への現像剤(トナー)の供給、現像剤の撹拌混合及び補給トナーの撹拌混合を単一の現像装置内で全て同時に行うものが一般的に知られている。このような現像装置では、互いに逆方向に現像剤を搬送する少なくとも2本の搬送スクリュを有し、一方の搬送スクリュにより現像剤が一方に搬送され、他方の搬送スクリュにより現像剤が他方に搬送されることにより、現像装置内部において現像剤が循環する構成となっている。
【0003】
また、最近では現像部と現像剤撹拌部とを分離し、現像剤撹拌部において十分に現像剤を撹拌した後に現像部に送る現像装置が、例えば「特許文献1」あるいは「特許文献2」に開示されている。この現像装置では、現像剤撹拌部を現像部とは離れた位置に設けるため、現像部を最小限の容積として感光体周りに占める現像容器の容積を極力少なくすることができるという利点がある。また、離れた現像剤撹拌部からの現像剤の搬送は、自由な経路かつ簡素な構成で大量の現像剤を安定して搬送することが可能であることから、空気流と共に現像剤を搬送する空気搬送方式が有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像装置に用いる現像剤搬送手段として空気搬送方式を用いることは、柔軟なチューブとエアポンプとを用いる簡易な構成で離れた場所に自由な経路で搬送できる点において優れているが、搬送した現像剤を現像部等の一部に開口部(現像ローラ周りの開口部等)を有する容器に供給する場合に、搬送に使用される空気が容器内に吹き込まれると容器内部の空気圧が上昇し、容器内部の現像剤やトナーが開口部より吹き出して容器周りや形成する画像上に飛散する虞がある。このような現像剤の吹き出しは、機内汚染及び出力画像の品質低下といった不具合要因となる。
【0005】
本発明者等の検討により、このような不具合現象は特に現像装置を起動し始めるタイミングで顕著に発生することが判明した。搬送経路を構成するチューブ内には前回の現像装置動作時に残留した現像剤が自重によって押し固められ、現像剤の嵩密度が上昇することにより目詰まり状態となる。この状態が解除されて空気搬送が可能となるまで現像剤の嵩密度が低下し、実際に現像剤の搬送が開始されるまでには遅延時間が生じる。この遅延時間の間に現像部内の現像剤は搬送スクリュ等によって循環搬送され、現像部から回収経路を経由して現像剤撹拌部に戻されるため、現像部内の現像剤量が減少して最悪の場合には現像部に現像剤が全くなくなってしまう。このような状況では、それまで現像剤によって遮蔽されていた空間や開口部に現像剤搬送用の空気が流れ込み、内部のトナーが開口部より吹き出し易くなり、その飛散量は現像剤によって遮蔽している場合の数十倍にもなる。
【0006】
本発明は上述の問題点を解決し、現像装置の起動時に発生する現像部内における現像剤の減少を防止し、機内汚染及び画像品質の低下を防止することが可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、像担持体の近傍に配置され内部において現像剤を循環させる循環搬送機構を有する現像部と、前記現像部とは別の位置に配置された現像剤撹拌部とを有し、現像剤搬送経路内を空気搬送させることにより現像剤を前記現像剤撹拌部から前記現像部へと送る現像剤搬送手段を有し、現像剤排出流路を介して前記循環搬送機構の作動により前記現像部内で循環された現像剤を前記現像剤撹拌部に戻す現像装置を有する画像形成装置において、前記現像装置の動作を開始させる際に、前記現像剤搬送手段を作動させた後に前記循環搬送機構を作動させる制御手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、さらに前記現像剤搬送手段を作動させた後、前記現像剤搬送経路内に存在する現像剤が搬送を開始された後に前記循環搬送機構を作動させることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、さらに前記現像剤搬送手段を作動させた後、前記現像剤搬送経路内に存在する現像剤が前記現像部に流入された後に前記循環搬送機構を作動させることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、さらに前記現像剤搬送手段を作動させた後、前記現像剤搬送経路を経由した現像剤が前記現像部に到達するまでの時間により決定される所定時間後に前記循環搬送機構を作動させることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、さらに前記所定時間は現像剤のトナー濃度により決定されることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、さらに前記所定時間は現像剤の嵩密度により決定されることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、さらに前記嵩密度は前記現像剤搬送経路に設けられた検出手段によって検出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像部内部の現像剤が枯渇することを防止でき、現像剤による障壁がなくなるために現像剤搬送用の空気が現像部外に流出してトナー飛散が発生するという不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を採用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる現像装置の概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられる現像部を説明する概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に用いられる現像剤撹拌部を説明する概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるエアポンプを起動してから現像剤が搬送され始めて現像剤供給部に到達するまでの時間と想定される残留現像剤の嵩密度との関係を示す線図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における現像剤のトナー濃度と現像剤の嵩密度との関係を示す線図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に用いられる現像装置の部分概略斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるセンサの出力と現像剤の嵩密度との関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置1はいわゆるタンデム型の画像形成装置であり、中間転写ベルト2の下方に沿ってイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する作像ユニット3Y,3M,3C,3Kを有している。各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kは同様の構成であり、像担持体である感光体ドラム4、帯電部5、現像装置を構成する現像部6、1次転写部材7、クリーニング装置8等を有している。
【0017】
この画像形成装置1では、作像動作が開始されると各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの感光体ドラム4が帯電部5によって一様に帯電され、次に図示しない書き込みユニットによって形成する画像に対応した静電潜像が感光体ドラム4の表面に形成され、現像部6より静電潜像にトナーが供給されて各色のトナー像が各感光体ドラム4上に形成される。各感光体ドラム4上に形成された各色トナー像は各1次転写部材7によって中間転写ベルト2上に重畳転写され、これにより中間転写ベルト2上に4色のフルカラートナー像が形成される。このフルカラートナー像は給紙カセット9から給紙ローラ及びレジストローラ対等により供給される転写紙に2次転写部10において一括転写され、トナー像が転写された転写紙は定着部11を通過することにより熱及び圧力によってトナー像を定着された後、排紙部12に排出される。トナー像転写後の各感光体ドラム4はクリーニング装置8によって表面の残留トナーを除去され、トナー転写後の中間転写ベルト2はベルトクリーニング装置13によって残留トナーを除去される。
【0018】
この画像形成装置1には現像装置に特徴があり、通常の現像装置では現像に用いられる現像剤は現像ユニット内部においてトナーとキャリアとを撹拌混合されるが、本発明の現像装置では各作像ユニット3Y,3M,3C,3K内に設けられた現像部6とは離れた場所にそれぞれ現像剤撹拌部14が配設されている。現像剤撹拌部14は現像剤と補給トナーとの混合撹拌を確実に行い、トナーの分散及び帯電を安定して行う。この現像剤撹拌部14の働きによりトナー濃度や帯電量が安定化され、良好な画像形成を安定して行うことができる。各作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの各現像部6において、現像動作後の現像剤はそれぞれ現像剤排出流路15を通って現像部6から現像剤撹拌部14へと送られる。現像剤撹拌部14では新しいトナーの補給も行われ、現像剤撹拌部14において十分に撹拌された現像剤は図示しないロータリフィーダによって定量ずつ排出される。排出された現像剤は現像剤搬送手段としてのエアポンプ16より送られるエアの圧力によって搬送され、現像剤搬送経路17を通って現像部6に戻される。現像剤撹拌部14への新しいトナーの補給は、トナーホッパ(またはトナーカートリッジ)18から少量ずつトナーを供給することにより行われる。図1において、符号19はエアポンプ16のエア吸引口を、符号20は外部空気吸引路を、符号21は除湿装置を、符号22は空気取入口をそれぞれ示す。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態に用いられる現像装置23を示している。この現像装置23は、上述したように感光体ドラム4の近傍に対向配置された現像部6と、現像部6とは別の位置に配置された現像剤撹拌部14とを備え、現像剤撹拌部14から現像部6への現像剤の搬送が現像剤搬送経路17及び現像剤投入部24を介して行われる構成であり、現像剤としてトナーとキャリアとを混合した2成分現像剤が用いられる。
【0020】
現像部6は、現像剤投入部24が接続された現像剤供給部25と現像剤排出部26とを有しており現像剤撹拌部14から空気搬送された現像剤は現像剤投入部24から現像剤供給部25を介して現像部6へと供給されて現像に供され、現像剤排出部26と現像剤撹拌部14とを接続する現像剤排出流路15中を自重により落下して現像剤撹拌部14内に戻されることにより、現像部6と現像剤撹拌部14との間を循環するように構成されている。
【0021】
現像部6は、図3に示すように現像ローラ27及び2本の搬送スクリュ28,29をケーシング30内に有している。現像ローラ27は内部に磁石を有しており、現像剤を吸着搬送して感光体ドラム4の表面に形成された静電潜像に対してトナーを付着させる周知の構成である。搬送スクリュ28は現像剤を図3において手前から奥に向かって搬送するように回転駆動され、搬送スクリュ29は現像剤を図3において奥から手前に向かって搬送するように回転駆動される。ケーシング30の内部は仕切板31によって2分割されており、分割された空間内に各搬送スクリュ28,29がそれぞれ配設されている。現像ローラ27及び2本の搬送スクリュ28,29によって循環搬送機構が構成され、これらはケーシング30の外部に設けられたモータ49(図2参照)により図示しない駆動伝達機構を介してそれぞれ回転駆動される。
【0022】
仕切板31は、図3において奥側の端部が途切れており、搬送スクリュ28から搬送スクリュ29に向かって現像剤が移動可能に構成されている。搬送スクリュ29の手前側には現像剤排出部26が、搬送スクリュ28の手前側には現像剤供給部25がそれぞれ配置されている。現像ローラ27の外周面近傍に位置するケーシング30には、現像ローラ27に付着する現像剤を一定量に規制するためのドクターブレード32が配置されている。ケーシング30は、感光体ドラム4と対向する部位において現像ローラ27から現像剤を感光体ドラム4へと供給するための開口を有しており、現像ローラ27との間には間隙を有している。このような構成であるため、現像剤搬送のために空気がケーシング30内に吹き込まれて現像部6の内圧が上昇すると、間隙及び開口を介して現像剤がケーシング30の外部に吹き出てしまうことが問題である。
【0023】
図2、図4に示すように、現像剤撹拌部14には逆円錐形状等の排出口34に向かうほど径が細くなる形状を呈し内部に現像剤が貯容されるケーシング35が設けられており、ケーシング35の上部には現像剤補給口33が、下部には排出口34が設けられている。ケーシング35の内部には、下方から上方へと現像剤を搬送するスクリュ36と、2本の撹拌部材37がそれぞれ回転自在に設けられている。スクリュ36はケーシング35の中心位置に配置され、各撹拌部材37はスクリュ36の外側にそれぞれ対称に配置されており、これらが回転することによりケーシング35内の現像剤が混合される。
【0024】
スクリュ36と撹拌部材37は現像剤搬送手段としてのモータ38によって回転駆動される。スクリュ36はモータ38に直結されており、各撹拌部材37はギヤ39a〜39dによって構成される減速ギヤ列を介して減速回転される。現像剤補給口33から排出口34までの現像剤の搬送は重力によるものであり、現像剤撹拌部14には常に現像剤が存在して未混合の現像剤がそのまま排出されることがないように構成されている。スクリュ36の回転によって下方から上方へと持ち上げられた現像剤はスクリュ36の外側を回転する各撹拌部材37の回転に伴って下方へと移動し、再びスクリュ36の周囲に寄せ集められる。このようにケーシング35内では絶えず現像剤が対流しており、この対流によってケーシング35内の現像剤全体が均一に混合されるように構成されている。
【0025】
また、本実施形態に使用される現像剤は2成分現像剤であり、トナーの帯電はキャリアとの摩擦によって付与されるため、帯電量を素早く得るためにはトナーとキャリアとの接触効率を向上させることが重要であるが、本願発明者等の検討によりケーシング35内で現像剤が対流することにより接触効率が上昇し、かつ現像剤へのダメージも少ないことが判明した。ケーシング35にはトナーの消費に伴いトナーホッパ18より新しいトナーが補給され、新しいトナーの補給はモータ40が駆動することによりトナー供給路41の内部に配設された図示しない小型の搬送スクリュが回転することで、トナーホッパ18内の新しいトナーがケーシング35内に搬送されることにより行われる。この図示しない小型の搬送スクリュは、回転によってトナーホッパ18内の新しいトナーを一定量搬送可能となるように構成されている。
【0026】
現像剤撹拌部14の下方には、図4に示すようにロータリフィーダ42が配設されている。ロータリフィーダ42はケーシング35と連通するように配置されており、ケーシング35内から一定量の現像剤を排出する機能を備えている。ロータリフィーダ42は、ケーシング43及びこの内部に回転自在に設けられた羽根車44を有しており、羽根車44が図2に示す現像剤搬送手段としてのモータ45によって回転されることにより一定量ずつの現像剤を下方へと排出する。
【0027】
羽根車44の下方には合流部46が設けられている。合流部46には、エアポンプ16の供給口と接続された空気通路47、現像剤投入部24に接続された現像剤搬送経路17の一端となる入口部48がそれぞれ接続されており、羽根車44によって排出された一定量の現像剤をエアポンプ16から供給された空気に乗せて現像剤投入部24へと空気搬送するように構成されている。すなわち、ロータリフィーダ42より一定量排出された現像剤は、エアポンプ16より供給される空気圧により現像剤搬送経路17の内部を空気によって搬送され、現像部6の現像剤投入部24から現像剤供給部25に戻される。
【0028】
次に、本発明の特徴部について説明する。本実施形態で示す現像装置23は、現像部6で現像に供された現像剤が現像剤排出部26から現像剤排出流路15を通って現像剤撹拌部14に送られ、ここで新たなトナーが補給されると共に十分に撹拌混合され、現像剤搬送経路17を介して適正に帯電された状態の現像剤を現像部6に戻して安定した現像動作を行うものであるが、現像剤の搬送に使用する空気がケーシング30の内部に流入した際に、常時現像部6内に存在する現像剤が障壁となって現像部6の外部へと空気が漏れる流出経路を塞ぐように、各構成部材の動作制御を行うことに特徴部を有している。
【0029】
図5は、現像剤搬送経路17内に現像剤が残留している場合に、エアポンプ16を起動してから現像剤が搬送され始めて現像剤供給部25に到達するまでの時間T1を、想定される残留現像剤の嵩密度の変化に応じて測定したものであり、このとき残留現像剤の重量は一定である。図5より明らかなように、残留現像剤の嵩密度が増加すると現像剤が搬送され始めてから現像剤供給部25に到達するまでの時間T1が増加する。ここで現像剤の嵩密度は使用するトナー濃度に応じて変化し、本実施形態では最大トナー濃度の場合である1.7g/cmから最小トナー濃度である2.0g/cmまで変化する。さらに嵩密度は現像剤の自重や振動による押し固め状態によっても変化し、図5において2.2g/cmの値は振動を加えて押し固めた状態での値である。
【0030】
図5に示すように、想定される現像剤の嵩密度の変化範囲において、時間T1は1秒程度から8秒程度まで変化する。本実施形態で示した現像部6における現像剤の循環時間は2秒程度であるので遅延時間である時間T1が1秒程度であれば現像部6内の現像剤が枯渇することはないが、時間T1が2秒以上となると現像部6内の現像剤が枯渇して上述したような現像剤による障壁がなくなるため、現像剤搬送用の空気が現像部6外に流出してトナー飛散が発生するという不具合が生じる。このトナー飛散量は、現像剤が枯渇していない場合に比して数十倍となる。
【0031】
上述の問題点を解決すべく、第1の実施形態として画像形成装置1の図示しない制御部より現像装置23を動作させる命令が発せられた場合に、先ず現像剤搬送手段であるエアポンプ16、モータ38、モータ45を起動し、所定時間を経過した後に循環搬送機構である現像ローラ27、搬送スクリュ28,29を作動させるモータ49を起動する。図6は、第1の実施形態に用いられる制御手段を示している。この制御手段50は、エアポンプ16、モータ38,45,49の動作をそれぞれ制御する。ここで所定時間は、図5における現像剤の嵩密度と時間T1の関係及び図7に示す現像剤のトナー濃度と現像剤の嵩密度との関係から決定され、画像形成装置1の制御情報であるトナー濃度の制御値に基づいて現像剤の嵩密度を求めて所定時間を決定している。例えばトナー濃度の制御値が7wt%であった場合には、図7より嵩密度1.8g/cmを導き、図5より所定時間T1を2秒と決定する。この場合に、トナー濃度の制御値から直接所定時間T1を決定する換算式を求め、当該換算値を使用して所定時間を決定してもよい。
【0032】
上述の構成により、現像部6内部の現像剤が枯渇することを防止でき、現像剤による障壁がなくなるために現像剤搬送用の空気が現像部6外に流出してトナー飛散が発生するという不具合の発生を防止することができる。
【0033】
図8は本発明の第2の実施形態を示しており、この第2の実施形態は第1の実施形態と比較すると、検出手段としてのセンサ51を用いる点においてのみ相違している。空間の透磁率を測定するセンサ51は現像剤搬送経路17の最上流位置近傍に配置されており、計測空間内に存在する現像剤量によって透磁率が変化することを応用して通常は現像剤のトナー濃度測定に用いられているものである。計測空間内に存在する現像剤量は現像剤の嵩密度と等価であり、この出力値によって現像剤の嵩密度を測定して所定時間を決定している。図9は、センサ51の出力と現像剤の嵩密度との関係を示しており、図9から明らかなように現像剤の嵩密度に対してセンサ51の出力が一様に変化することから、この出力値から嵩密度を求めて図5に示す関係から所定時間T1を決定する。例えばセンサ51の出力が2.5Vの場合には現像剤の嵩密度は2.15g/cmであり、この値から所定時間T1を6秒と決定する。
【0034】
また、所定時間T1を決定する変形例として、想定される嵩密度の最大値において決定される所定時間T1(本実施形態の場合、2.2g/cmの嵩密度における6.5秒)に固定してもよい。この場合、現像剤投入部24から現像剤供給部25に導かれる空間の容積が現像剤搬送経路17内に残留する現像剤の容積以上である必要があり、現像部6からの現像剤の溢れを防止する必要がある。
【0035】
なお、エアポンプ16及びモータ38,45を起動した後、現像剤搬送経路17内に存在する現像剤が搬送を開始された後にモータ49を起動してもよいし、エアポンプ16及びモータ38,45を起動した後、現像剤搬送経路17から現像部6に現像剤が流入された後にモータ49を起動してもよい。ここで、現像剤の搬送を確認するために現像剤供給部25に現像剤の流入を検知するセンサを設けてもよいし、現像剤搬送路17の途中に現像剤の挙動を検知するセンサを設けてもよい。
【0036】
上記実施形態では画像形成装置としてカラープリンタを用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限定されず、複写機、プロッタ、ファクシミリ、これらの複合機等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 画像形成装置
4 像担持体(感光体ドラム)
6 現像部
14 現像剤撹拌部
15 現像剤排出流路
16 現像剤搬送手段(エアポンプ)
17 現像剤搬送経路
23 現像装置
27 循環搬送機構(現像ローラ)
28,29 循環搬送機光(搬送スクリュ)
38,45 現像剤搬送手段(モータ)
50 制御手段
51 検出手段(センサ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特許第3391926号公報
【特許文献2】特許第3349286号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の近傍に配置され内部において現像剤を循環させる循環搬送機構を有する現像部と、前記現像部とは別の位置に配置された現像剤撹拌部とを有し、現像剤搬送経路内を空気搬送させることにより現像剤を前記現像剤撹拌部から前記現像部へと送る現像剤搬送手段を有し、現像剤排出流路を介して前記循環搬送機構の作動により前記現像部内で循環された現像剤を前記現像剤撹拌部に戻す現像装置を有する画像形成装置において、
前記現像装置の動作を開始させる際に、前記現像剤搬送手段を作動させた後に前記循環搬送機構を作動させる制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記現像剤搬送手段を作動させた後、前記現像剤搬送経路内に存在する現像剤が搬送を開始された後に前記循環搬送機構を作動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記現像剤搬送手段を作動させた後、前記現像剤搬送経路内に存在する現像剤が前記現像部に流入された後に前記循環搬送機構を作動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記現像剤搬送手段を作動させた後、前記現像剤搬送経路を経由した現像剤が前記現像部に到達するまでの時間により決定される所定時間後に前記循環搬送機構を作動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記所定時間は現像剤のトナー濃度により決定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記所定時間は現像剤の嵩密度により決定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記嵩密度は前記現像剤搬送経路に設けられた検出手段によって検出されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−58612(P2012−58612A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203541(P2010−203541)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】