説明

画像形成装置

【課題】画像形成に直接的に寄与するユニットを一体化して小型化及びコストダウンを可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転自在に形成された複数の像保持体21と、トナーを含んだ現像剤を保持する回転自在の現像剤保持体241を有し、像保持体21上に形成された静電潜像を各色のトナーにより顕像化する複数の現像手段24と、複数の支持ロール32a,32bに架け回されて、像保持体21上に形成されたトナー像が順次転写される回転自在に形成されたベルト状の中間転写体31とを備え、中間転写体31、像保持体21、現像手段24は、それぞれの軸方向両端部が共通の支持部材30Fに取り付けられて、一体の作像手段5として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などを利用した複写機やプリンター等の画像形成装置においては、感光ドラムや帯電装置、現像装置といった交換部品を一体にユニット化して、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した、いわゆるプロセスカートリッジ方式の画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、電装基板を排出トレイと中間転写ベルトとの間に配置した画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、画像形成ユニットと電装部とを中間転写ベルトを挟んで縦列配置した画像形成装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、感光ドラム、中間転写ユニット等の画像形成手段を引き出し可能なプロセス架台に設置した画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、隣接する感光ドラム間に、クリーニングブレードのみを配設するように構成した画像形成装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、複数の感光体ユニットのそれぞれが単独で中間転写体ユニットに位置決め保持されるように構成した画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−351938号公報
【特許文献2】特開2007−072256号公報
【特許文献3】特開2002−091129号公報
【特許文献4】特開2001−356549号公報
【特許文献5】特開2004−145060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的とするところは、画像形成に直接的に寄与するユニットを一体化して小型化及びコストダウンを可能とする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、回転自在に形成された複数の像保持体と、トナーを含んだ現像剤を保持する回転自在の現像剤保持体を有し、前記像保持体上に形成された静電潜像を各色のトナーにより顕像化する複数の現像手段と、複数の支持ロールに架け回されて、前記像保持体上に形成されたトナー像が順次転写される回転自在に形成されたベルト状の中間転写体とを備え、前記中間転写体、像保持体、現像手段は、それぞれの軸方向両端部が共通の支持部材に取り付けられて、一体の作像手段として形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記像保持体及び現像手段は、前記中間転写体の下方に配置されており、前記共通の支持部材は、前記ベルト状の中間転写体の軸方向両端部の支持体を下方に延長して形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記中間転写体、像保持体、現像手段のそれぞれを動力伝達部材を介して回転駆動する駆動手段をさらに備え、少なくとも前記動力伝達部材は、前記共通の支持部材に一体に設置されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の構成において、前記中間転写体、像保持体、現像手段のそれぞれに電源を供給する電源基板をさらに備え、当該電源基板は、前記一体の作像手段と一体に設置されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成において、前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成手段をさらに備え、当該潜像形成手段は、前記像保持体と前記現像手段との間に配置され、かつ、前記像保持体と一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の構成において、前記一体の作像手段に記録媒体を供給する給紙手段をさらに備え、前記一体の作像手段は、前記給紙手段の上に固定設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、構成機器の位置決め精度を向上させると共に、装置の小型化、省スペース化及びコストダウンに寄与することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、共通の支持部材を、中間転写体の支持体(筐体)を利用して容易に実現することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、支持部材の剛性向上及び回転部材の速度変動の抑制に寄与することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、給電端子や接地端子等との接点での導通信頼性を向上させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、スペースの有効活用による、作像手段の一層の小型一体化に寄与することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、装置全体の組立性の向上及び小型化に、より一層寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を説明するための模式図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る一体化作像ユニットの構成を示す模式的断面図である。
【図4】本実施の形態に係る画像形成ユニットの構成を説明するための拡大図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置の組立手順を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。ここで、図1、図2は本発明に係る画像形成装置の一例としてのプリンターの概略構成を示す模式図、図3は一体化作像ユニットの構成を説明するための模式図、図4は画像形成ユニットの構成を説明するための模式図、及び図5は本実施の形態に係るプリンターの組み立て手順を説明するための模式図である。
【0024】
図1に模式的に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンター1は、中空略直方体状の装置筐体10を備え、この装置筐体10内部の下方には、画像が形成される記録媒体としての記録用紙9を収容して供給する用紙供給装置4が配置されている。さらに、この用紙供給装置4の上部には、画像形成ユニット2、中間転写ユニット3、二次転写ロール35、定着装置45等が配置されている。一方、装置本体10の上部には、画像が形成された後の記録用紙9が排出されて収容される排出収容部12が形成されている。
【0025】
また、装置本体10内部の側方には、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーを収容するトナーカートリッジ11Y,11M,11C,11Kを着脱自在に収容するカートリッジ収容部8Y,8M,8C,8Kが設けられており、トナーカートリッジ11Y,11M,11C,11Kがプリンター本体10に対して交換可能(着脱自在)な構成となっている。
【0026】
なお、本実施の形態において、上記プリンター1は、カラー画像又は白黒画像を形成するデジタルプリンターであり、内部に不図示の画像処理装置が設けられている。画像処理装置は、パーソナルコンピューター等から送られてくる画像データに画像処理を施すようになっている。
【0027】
また、プリンター本体10内部の略中央には、Y,M,C,Kの各色に対応する4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kが配置されており、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの上方には、中間転写ユニット3が設けられている。
【0028】
本実施の形態において、上記画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kと中間転写ユニット3とは、それぞれの軸方向両端部が共通の支持部材(支持フレーム)に取り付けられて一体に構成されており、ユニットごとのサブフレームを省略した一体の作像手段(一体化作像ユニット)5として形成されている。以下、構成機器の詳細について説明する。
【0029】
図3に示すように、画像形成ユニット2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ専用に形成する4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを用いて構成されている。本実施の形態において、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、その設置される位置がブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順番で次第に高くなる状態(傾斜した状態)で配置されている。
【0030】
各画像形成ユニット2(Y,M,C,K)は、全て同様な構成であり、感光体ユニット20(Y,M,C,K)と、感光体ユニット20(Y,M,C,K)の下側に設けられた現像ユニット24(Y,M,C,K)とで一体的に構成されている。なお、符号Sは、画像濃度等を検知するための従来公知の光学式センサーである。
【0031】
図4に拡大して示すように、感光体ユニット20には、予め定められた方向(矢印で示す方向)に回転駆動される像保持体としての感光ドラム21が設けられている。さらに、感光ドラム21の周囲には、感光ドラム21の表面に接触して感光ドラム21を一様に帯電する帯電装置22と、感光ドラム21の表面に露光光を照射する潜像形成手段としてのLEDプリントヘッド23と、転写後の感光ドラム21の表面を清掃するドラムクリーニング装置25等とが感光ドラム21の周面に沿って一体的に配設されている。
【0032】
また、LEDプリントヘッド23の下流側には、感光ドラム21の表面に形成された静電潜像をトナーにより顕像化(トナー像化)する現像ユニット(現像装置)24が配設されている。
【0033】
感光ドラム21としては、支持軸216を中心にして回転する円筒状の感光体が使用されている。この感光ドラム21は、円筒状の基材211の外周面に感光層212が形成されたドラム本体部213と、その基材211の両端部の開口した内部にそれぞれ嵌め入れて固定されると共に軸受け孔214が形成される一対のフランジ215A,215Bと、フランジ215A,215Bの軸受け孔214を貫通させてドラム本体部213を回転自在に保持する支持軸216とで構成されている。感光層212は、有機感光材料等で形成される光誘導層であり表面保護層などを含む層である。この感光層212が形成された基材211の表面部分が感光面となる。一対のフランジ215A,215Bのうち一方のフランジ215Bは、その大径部(の外周部)が不図示の駆動伝達装置の駆動伝達ギアと噛み合う被伝達ギアとして形成されている。
【0034】
本実施の形態において、上記感光ドラム21は、後述する中間転写ユニット3の支持フレーム30Fに形成される位置決め機能を兼ねた支持孔216hに支持軸216を固定した状態で支持される。また、感光ドラム21は、支持軸216に対して摺動性に優れた特性を有する合成樹脂を用いて構成されたフランジ215に貫通した形状の軸受け孔214を形成し、この軸受け孔214に貫通させた状態で取り付けた支持軸216に対して回転可能に支持されている。
【0035】
帯電装置22としては、感光ドラム21の感光面に加圧されて接触した状態で回転する帯電ロール221を配置した接触帯電式の帯電装置が使用されている。この帯電装置22は、軸222に対して予め定められた抵抗値に調整された弾性層223を形成した構造の帯電ロール221を使用している。帯電ロール221は、不図示の圧縮バネ等により、予め定められた接触圧にて感光ドラム21に圧接するように構成されている。また、帯電ロール221の外周面で感光ドラム21と反対側には、帯電ロール221表面に付着したトナー等を取り除くクリーニングロール227が回転可能に配設されている。
【0036】
露光装置23としては、複数のLED26を感光ドラム21の軸方向に沿って列状に配置したLEDプリントヘッドが使用されている。このLEDプリントヘッド23は、感光ドラム21の軸方向に沿って列状に配置される複数のLED26が実装される発光部231と、発光部231の各LED26から発光される光を収束させるセルフォックレンズ(登録商標)27と、発光部231のLED26とセルフォックレンズ27の間の距離を保持する保持部(ハウジング)232とで構成される光出射部28を有している。発光部231は、不図示の画像処理部から接続線を介して送信される画像信号に基づいて該当するLED26が点滅駆動するようになっている。また、本実施の形態において、LEDプリントヘッド23は、光出射部28のセルフォックレンズ27が感光ドラム21の感光面(像形成領域)と対向する状態となるよう、感光ドラム21と現像ユニット24とで挟み込むように両者の間の空間に配置されている。このように、潜像形成手段としてのLEDプリントヘッド23を、感光ドラム21と現像ユニット24との間の空間を利用して配置することにより、画像形成ユニット2の一層の小型化を図っている。
【0037】
ドラムクリーニング装置25としては、感光ドラム21の感光面に加圧されて接触する弾性ブレード251を配置したものが使用されている。弾性ブレード251は、そのブレード先端部が予め定められた食い込み量にて感光ドラム21の感光面と接触するように配置されている。なお、符号253は、弾性ブレード251によりかき取られるトナー等の付着物を回収して不図示の回収部に搬送する回転搬送部材であり、符号254はトナー等の付着物が浮遊して外部に漏れだすことを防止するためのフィルム状のシール材である。
【0038】
現像ユニット24は、露光光により感光ドラム21上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像するユニットであり、感光ドラム21の感光面に対して予め定められた間隔を設けた状態で回転する現像ロール241を備え、この現像ロール241によりトナーとキャリアで構成される二成分現像剤を現像領域に搬送するようになっている。この現像ユニット24は、現像剤を収容する現像剤収容部と感光ドラム21にむけて開口する現像開口部を有する筐体(ハウジング)240を有し、筐体240の現像開口部に現像ロール241を一部だけ露出させた状態で回転自在に保持させている。現像ロール241は、軸242にロール状のマグネット部243を配置し、このマグネット部243の周囲において矢印で示す方向に回転する円筒状のスリーブ244を配置した構造のものである。
【0039】
また、現像ロール241の両端部には、感光ドラム21の表面(円周面)に当たって感光ドラム21と現像ロール241との位置決めをする(すなわち、感光ドラム21と現像ロール241との予め定められた離隔距離を設定確保する)不図示の位置決め部が形成されている。この位置決め部は、軸242の両端部にて現像スリーブ244の半径よりも上記離隔距離だけ大きい半径の円盤状に形成されている。
【0040】
さらに、現像剤収容部には、現像剤を現像ロール241に供給可能に攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材(回転スクリュー)248が設けられていると共に、現像ロール241に保持される現像剤を予め定められた厚さ(層)に規制する層厚規制ロール(トリマー)249が現像ロール241に近接して配設されている。なお、現像剤収容部の軸方向一端部には、トナーカートリッジ11からのトナーが供給される不図示の開口が形成されている。また、上記現像ロール241、攪拌搬送部材248等は、不図示のモータ及びギアからなる駆動手段によって駆動されるようになっている。
【0041】
なお、本実施の形態において、上述した感光体ユニット20と現像ユニット24とは、現像ロール241の軸方向両端部の位置決め部が、感光ドラム21の軸方向両端部周面に接触して、現像ロール241と感光ドラム21との間に予め定められた離隔距離が設定確保されるように、例えば、不図示の引張りバネ等の弾性部材により相互に結合されている。また、上記帯電ロール221と現像ロール241には、不図示の電源装置から帯電用電圧と現像バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0042】
中間転写ユニット3は、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光ドラム21(Y,M,C,K)上にそれぞれ形成される各色のトナー像が外周面に転写される無端状の中間転写体としての中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31を各感光ドラム21に接する状態となるように掛け渡して回転させる複数の支持ロール32a,32bと、中間転写ベルト31の内側に配置され、各感光ドラム21上の各トナー像を中間転写ベルト31の外周面に多重転写させる4つの一次転写部材としての一次転写ロール33Y,33M,33C,33K等とを備えている。
【0043】
中間転写ベルト31は、二次転写ロール35と対向配置され図示しないモータで駆動される駆動ロール32bと、テンションロール32aとの間に、一定の張力で巻き掛けられており、駆動ロール32bにより、図1の矢印方向(反時計回り方向)に循環駆動されるようになっている。
【0044】
一次転写ロール33(Y,M,C,K)は、中間転写ベルト31の内周面から接触してベルト31の外周面を感光ドラム21の感光面に押し付けるように、中間転写ベルト31を挟んで各感光ドラム21(Y,M,C,K)と対向配置されている。また、一次転写ロール33(Y,M,C,K)には、トナー極性とは逆極性(本実施形態では一例として正極性)の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0045】
そして、中間転写ベルト31の外周面に対し、一次転写ロール33(Y,M,C,K)の作用により各感光ドラム21(Y,M,C,K)からトナー像がそれぞれ静電的に一次転写される。中間転写ベルト31の外周面には、一次転写により、複数色のトナー像が重ね合わされた状態のトナー像又は単色のトナー像が保持される。
【0046】
また、中間転写ベルト31のテンションロール32aが設けられている位置の外周面には、不図示のベルトクリーニング装置が設けられており、中間転写ベルト31上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0047】
二次転写ロール35は、中間転写ベルト31の外周面に重ねられて一次転写されたトナー像を記録用紙9に二次転写するものである。この二次転写ロール35は、中間転写ベルト31の駆動ロール32bに掛けられている部分の外周面に接触して従動回転するように配置されており、二次転写バイアス電圧が印加されるようになっている。そして、中間転写ベルト31と二次転写ロール35との間の圧接部に搬送して供給される記録用紙9に対し、中間転写ベルト31上に保持されている未定着のトナー像が静電的に二次転写される。なお、二次転写ロール35にも、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が付与されるようになっている。
【0048】
定着装置45は、二次転写された未定着のトナー像を記録用紙9に定着するものであり、二次転写ロール35の上方に配置されている。定着装置45は、加熱された加熱ロール46と、この加熱ロール46に圧接された加圧ロール47とを備えている。ここで、二次転写ロール35によって各色のトナー像が転写された記録用紙9は、加熱ロール46と加圧ロール47との圧接部で熱及び圧力により定着され、記録用紙9の搬送方向下流側に設けられた排紙ロール48によって、プリンター本体10の上部に設けられた排出収容部(排出トレイ)12に排出されるようになっている。
【0049】
一方、画像形成ユニット2の下方には、記録用紙9が収納された用紙供給装置4が配置されている。この用紙供給装置4では、用紙収容体41に収容されている記録用紙9の最上位にある用紙が供給ロール42により繰り出された後、供給ロール42と、このロール42に接触する捌きロール43との協働により記録用紙9が捌かれて1枚ずつ送り出される。この送り出された記録用紙9は、レジストロール44により一時停止させられた後、予め定められたタイミングで中間転写ユニット3と二次転写ロール35との間(二次転写位置)に搬送される。
【0050】
なお、本実施の形態において、一体化作像ユニット5を構成する感光ドラム21、中間転写ベルト31、現像装置24等の主要部品の寿命は、プリンター1の寿命と同等となるように設定されており、定期的な部品交換を不要とする構成となっている。すなわち、例えば、5万枚程度の印刷を行ったら主要部品及び画像形成装置本体の寿命が尽きるような仕様となっており、ユーザーにより交換可能な部品は、基本的にトナーカートリッジのみとなっている。
【0051】
このように構成した本実施の形態に係る画像形成装置1では、次のようにして画像が作成される。まず、回転する感光ドラム21の感光面が帯電装置22の帯電ロール221を介して予め定められた電位に帯電された後、その帯電後の感光ドラム21に対して画像形成装置1に入力された画像情報に基づく光がLEDプリントヘッド23から照射されて各色成分の静電潜像が形成される。続いて、各感光ドラム21上の各色成分の静電潜像が、その対応する色の現像剤を収容する現像装置24の現像ロール241を介して供給される現像剤で現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像がそれぞれ形成される。各感光ドラム21上のトナー像は、一次転写ロール33によって中間転写ベルト31上に順次多重に一次転写される。
【0052】
中間転写ベルト31上に多重転写された各色のトナー像は、二次転写ロール35によって、用紙供給装置4から搬送されてきた記録用紙9上に二次転写される。そして、記録用紙9上の各色のトナー像が定着装置45で定着され、定着後の記録用紙9は、排出収容部(排出トレイ)12に排出される。トナー像の転写工程が終了した後の感光ドラム21の表面は、ドラムクリーニング装置25によって残留トナーや紙粉等が除去される。また、中間転写ベルト31上の残留トナーや紙粉等は、ベルトクリーニング装置によって除去される。
【0053】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の製造方法(組立手順)について、図5を参照して説明する。
【0054】
図5(a)に模式的に示すように、まず、LEDプリントヘッド23等と一体化した感光体ユニット20と現像ユニット24とを組み合わせて、画像形成ユニット2を構成する。具体的には、各現像ユニット24の上に、対応する感光体ユニット20を載置し、これらを並列配置して画像形成ユニット2を形成する。この際、感光ドラム21は、その支持軸216を引き抜いた状態にしておく。なお、符号23fは、LEDプリントヘッド23への信号伝達ハーネスである。
【0055】
次に、一体的に並列配置された画像形成ユニット2(感光体ユニット20+現像ユニット24)の上に中間転写ユニット3を載置する。
【0056】
ここで、本実施の形態に係る中間転写ユニット3は、板状の一対のサイドフレームを含んだ枠状の支持フレームを有しており、図5(b)に模式的に示すように、軸方向両端部の支持フレーム(サイドフレーム)30Fは、絶縁性の樹脂で形成されている。そして、かかる支持フレーム30Fが上記画像形成ユニット2(感光体ユニット20+現像ユニット24)の軸方向両端部側面を覆うように、サイドフレーム30Fは下方に拡大延長されている。さらに、この軸方向両端部の一対の支持フレーム30Fには、構成ユニット(感光体ユニット20、現像ユニット24、中間転写ユニット3)の回転部材等(例えば、ベルト支持ロール32a,32b、感光ドラム21、現像ロール241等)の構成機器を支持する支持孔や、当該回転部材を回転駆動するためのギア等の動力伝達部材が取り付けられる装着部等が形成されている。
【0057】
具体的には、上記支持フレーム30Fの上部には、一次転写ロール33への給電部としての4つの給電端子33p(Y,M,C,K)が設けられており、この給電端子33p(Y,M,C,K)の下方には、各感光ドラム21を回転駆動するギア等の動力伝達部材が装着される略半円状の装着部21g(Y,M,C,K)等が形成されている。さらに、支持フレーム30Fの略中央には、感光ドラム21の支持軸216が挿入される4つの支持孔216h(Y,M,C,K)が形成されていると共に、この支持孔216h(Y,M,C,K)の下方には、現像ロール241を回転駆動するギア等の動力伝達部材が装着される略半円状の装着部24g(Y,M,C,K)等が形成されている。
【0058】
そして、図5(b)に示すように、中間転写ユニット3を画像形成ユニット2上に載置し、感光ドラム21の支持軸216をドラム21を介して支持フレーム30Fの上記支持孔216hに挿通すると共に、上記装着部21g,24gに、対応する各構成機器の回転部材を駆動可能なようにギア等の動力伝達部材を装着することにより、一体化作像ユニット5を形成する。
【0059】
このように構成した一体化作像ユニット5では、中間転写ユニット3の軸方向両端部のサイドフレーム30Fを共通(単一)の支持フレーム30Fとして用い、ベルト支持ロール32a,32b、感光ドラム21、現像ロール241、一次転写ロール33等の構成機器が当該支持フレーム30Fに一体に取り付け支持されることとなる。これにより、従来のように各ユニットをサブフレームに取り付け、さらにこれらのサブフレームをメインフレームに取り付ける構成に比し、取り付け公差等の累積を排除して、構成機器の位置決め精度を向上させることができる。加えて、画像形成に直接的に寄与するユニット(本例では、画像形成ユニット2、中間転写ユニット3)を一体化してフレーム数を削減すると共に、各ユニットの位置決め機構、退避機構等の可動部を省略して、小型化、省スペース化及びコストダウンに寄与することができる。
【0060】
また、少なくもギア等の動力伝達部材を上記支持フレーム30Fに一体に取り付けることにより、かかる支持部材の剛性を向上させて、回転部材の速度変動を抑制することができる。
【0061】
次に、図5(c)に示すように、一体化作像ユニット5を用紙供給装置4の上に載置して、用紙供給装置4の門型の固定フレーム4fにネジ等により取り付けて固定する(図5(d)参照)。
【0062】
さらに、図5(e)に示すように、一体化作像ユニット5の上部に、バイアス電圧を供給する高圧電源基板を一体に取り付けると共に、定着装置45等を配置して画像形成装置1を完成する。
【0063】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、各ユニットを順次重ねて積層配置することにより簡易に構成されるので、組立性の向上を図ることができる。
【0064】
また、電源基板を一体化作像ユニット5と一体に固定設置することにより、給電端子や接地端子等との接点が固定され、当該接点での導通信頼性を向上させることができる。
【0065】
なお、本発明の技術的範囲は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。例えば、上述した実施の形態では、各色の感光ドラムを有するいわゆるタンデム型のカラー画像形成装置への適用を例示したが、当然に、単色の白黒プリンター等に適用してもよい。また、LEDプリントヘッド23を共通のサイドフレーム30Fに取り付けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1:画像形成装置、2Y,2M,2C,2K:画像形成ユニット、3:中間転写ユニット、4:用紙供給装置、4f:固定フレーム、5:一体化作像ユニット、8Y,8M,8C,8K:カートリッジ収容部、9:記録用紙、10:装置本体、11Y,11M,11C,11K:トナーカートリッジ、12:排出収容部、20:感光体ユニット、21Y,21M,21C,21K:感光ドラム、22Y,22M,22C,22K:帯電装置、23Y,23M,23C,23K:LEDプリントヘッド、23f:信号伝達ハーネス、24:現像ユニット、25Y,25M,25C,25K:ドラムクリーニング装置、30F:支持フレーム、31:中間転写ベルト、32a,32b:ベルト支持ロール、33Y,33M,33C,33K:一次転写ロール、33p:給電端子、35:二次転写ロール、45:定着装置、21g,24g:装着部、216:支持軸、216h:支持孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に形成された複数の像保持体と、
トナーを含んだ現像剤を保持する回転自在の現像剤保持体を有し、前記像保持体上に形成された静電潜像を各色のトナーにより顕像化する複数の現像手段と、
複数の支持ロールに架け回されて、前記像保持体上に形成されたトナー像が順次転写される回転自在に形成されたベルト状の中間転写体と
を備え、
前記中間転写体、像保持体、現像手段は、それぞれの軸方向両端部が共通の支持部材に取り付けられて、一体の作像手段として形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像保持体及び現像手段は、前記中間転写体の下方に配置されており、前記共通の支持部材は、前記ベルト状の中間転写体の軸方向両端部の支持体を下方に延長して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写体、像保持体、現像手段のそれぞれを動力伝達部材を介して回転駆動する駆動手段をさらに備え、
少なくとも前記動力伝達部材は、前記共通の支持部材に一体に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体、像保持体、現像手段のそれぞれに電源を供給する電源基板をさらに備え、当該電源基板は、前記一体の作像手段と一体に設置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成手段をさらに備え、当該潜像形成手段は、前記像保持体と前記現像手段との間に配置され、かつ、前記像保持体と一体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一体の作像手段に記録媒体を供給する給紙手段をさらに備え、
前記一体の作像手段は、前記給紙手段の上に固定設置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−78558(P2012−78558A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223643(P2010−223643)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】