画像形成装置
【課題】用紙残量検知に要する時間を減らすとともに、騒音を生じさせず用紙残量を検知する。
【解決手段】画像形成装置は、複数の用紙が積載される載置板と、用紙を送り出す給紙ローラと、載置板に積載された用紙が給紙ローラと接するように、載置板を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータ16を含む昇降部と、リフトモータ16の逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部19と、電圧出力部19の出力電圧値を認識し、出力電圧値に基づき、載置板に載置された用紙の残量を検知する検知処理部と、を含む。
【解決手段】画像形成装置は、複数の用紙が積載される載置板と、用紙を送り出す給紙ローラと、載置板に積載された用紙が給紙ローラと接するように、載置板を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータ16を含む昇降部と、リフトモータ16の逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部19と、電圧出力部19の出力電圧値を認識し、出力電圧値に基づき、載置板に載置された用紙の残量を検知する検知処理部と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙残量を検出するプリンタ、複合機、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複合機、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置は、用紙を用いて印刷を行う。用紙は、給紙部(「給紙カセット」等、様々な呼び名がある)内の載置板に積載して収容され、印刷に伴い1枚ずつ送り出される。例えば、用紙の補給タイミングを知らせる等の目的で、給紙部内での用紙残量の検知を行う場合がある。そして、このような用紙残量を検知する装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、給紙トレイの底面プレートを所定の位置まで上昇させるリフターを有し、給紙トレイに用紙が無い状態における所定の位置までの上昇量に対応する値を基準値として保持し、底面プレートを所定の位置まで上昇させ、このときの上昇量に対応する値と基準値との差分に基づき給紙トレイの用紙残量を検知し、用紙の有無を検知する用紙有無検知手段と、用紙が無いことが検知された場合に底面プレートを所定の位置まで上昇させ、このときの底面プレートの上昇量に対応する値を検知する第1の検知手段と、第1の検知手段で検知した値に基づき基準値を補正する第1の補正手段を具備する用紙残量検知装置が記載されている。より具体的には、上昇量に対応する値は、底面プレートを上昇させるのに要する時間、又は、モータの作動量であることが記載されている。この構成により、装置の機差や部品の経時変化等の影響を軽減し、より正確に用紙残量を検知しようとする(特許文献1:請求項1〜3、段落[0026]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−210763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
用紙残量の検知方式は多様である。例えば、積載された用紙の高さに連動して機械的に用紙残量を検知する場合がある。又、例えば、複数のフォトセンサを並べて配置し、積載された用紙の高さを検知し、用紙残量を検知する場合もある。
【0006】
又、給紙ローラが用紙の上方に位置する場合、給紙ローラと最上位の用紙が接するように、載置板を下限位置からモータで上昇させる場合がある。用紙の積載量により、載置板の下限位置から上限位置までの移動量は変わる。そこで、用紙残量検知は、上限位置に到達するまでの載置板の移動量(モータの動作時間や、動作量、回転角度)を用いてなされることがある。特許文献1記載の発明も、載置板の移動量により用紙残量を検知する。
【0007】
しかし、載置板の移動量を用いて用紙残量を検知すると、下限位置から上限位置に到達するまで、載置板を移動させる(十分にモータを動作させる)必要がある。そのため、用紙残量検知に時間を要するという問題がある。又、モータを動作させることにより、騒音が生ずるという問題もある。特に、載置板の上昇量が多い場合(用紙の残量が少ない場合や大容量の給紙部の場合)ほど、用紙残量検知に時間を要し、騒音は大きくなる。
【0008】
そして、用紙残量検知に時間を要する問題や、騒音の問題は、省電力モードで影響が大きくなる。通常、画像形成装置は、一定の条件を満たすと、画像形成装置を構成する部分のうち、一部への電力供給を停止する省電力モード(「スリープモード」等、様々な呼び名がある)を備える。画像形成装置は、例えば、最後のジョブ実行から所定時間用いられないと省電力モードに移行する。そして、省電力モードでは、給紙部や、モータや、モータのON/OFFや用紙残量を検知する制御素子への電力供給が停止されることがある。
【0009】
ここで、給紙部への用紙補給や用紙交換等は、省電力モードでも、各使用者により随時行われる。一方で、画像形成装置のモードを問わず、例えば、画像形成装置と通信可能に接続されるコンピュータ(例えば、画像形成装置をプリンタとして利用するユーザのコンピュータや、画像形成装置を管理する管理コンピュータ)で、正確に用紙残量を確認したいという要請がある。任意の時点で、正確な用紙残量確認できるようにするには、省電力モードでも用紙残量の検知を行う必要がある。
【0010】
ところが、省電力モードでは電力供給が停止されるので、省電力モードで用紙残量検知を行うには、一時的に給紙部やモータや制御素子等への電力供給を再開する必要がある。しかし、従来のように、モータの動作時間や動作量に着目して用紙残量を検知すると、検知に時間を要する。そのため、省電力モードでの一時的な電力供給時間が長くなり、十分な省エネ効果が得られなくなる。又、画像形成装置自体は休止状態なので、載置板を上昇させると騒音は大きく感じられてしまう。
【0011】
尚、特許文献1記載の画像形成装置は、モータの動作時間や動作量に着目して用紙残量を検知する。従って、上述した用紙残量検知に時間を要する問題や、騒音の問題を解決することはできない。尚、省電力モードについての記載は、特許文献1にない。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、用紙残量検知に要する時間を減らすとともに、騒音を生じさせず用紙残量を検知することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る画像形成装置は、複数の用紙が積載される載置板と、用紙を送り出す給紙ローラと、前記載置板に積載された用紙が前記給紙ローラと接するように、前記載置板を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータと、前記リフトモータの逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部と、前記電圧出力部の出力電圧値を認識し、前記出力電圧値に基づき、前記載置板に載置された用紙の残量を検知する検知処理部と、を含むこととした。
【0014】
負荷の大きさ(重さ)に応じモータの逆起電圧は変化するところ、この構成によれば、検知処理部は、電圧出力部の出力電圧値に基づき、載置板に載置された用紙の残量を検知する。これにより、駆動時間や動作量を測定するため、モータを回転させ続ける場合に比べて、リフトモータをONする時間を遙かに短くして、用紙残量を短時間で検知することができる。又、リフトモータが動作することにより生ずる騒音も無くすことができる。
【0015】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、電力供給を行い、省電力モードへの移行条件が整うと、少なくとも、前記検知処理部への電力供給を停止する電源部と、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも前記電源部から前記検知処理部への電力供給を再開させる監視部と、を含み、前記省電力モードで、前記監視部は、定期的に、前記電源部から前記検知処理部への電力供給を一時的に再開させ、前記検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、前記リフトモータを動作させ、用紙の残量を検知することとした。
【0016】
この構成によれば、省電力モードで、監視部は、定期的に、電源部から検知処理部への電力供給を一時的に再開させ、検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、リフトモータを動作させ、用紙の残量を検知する。これにより、省電力モードでも用紙残量検知を行うことができる。しかも、用紙残量検知に要する時間が、駆動時間や動作量を測定するためモータを回転させ続ける場合に比べて短くて済むので、省電力モードで電力供給を行う時間を短く済ますことができる。従って、省電力モードで電力供給を一時的に行っても、騒音の問題は生じず、消費電力を少なく済ますことができ、省電力モードの省エネ効果を損なわない。
【0017】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記出力電圧値に対しての用紙残量を定めた用紙残量検知データを記憶する記憶部を有し、前記検知処理部は、前記用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知することとした。
【0018】
この構成によれば、検知処理部は用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知する。これにより、検知処理部は、出力電圧値と用紙残量検知データを照らし合わせて、容易に用紙残量を検知することができる。
【0019】
又、請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値を記憶し、前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態での前記出力電圧値と、前記第1出力値との差に基づき、参照する前記用紙残量検知データを変更することとした。
【0020】
モータの特性には個体差が存在するところ、この構成によれば、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態での出力電圧値と、第1出力値との差に基づき、用紙残量検知データを変更する。これにより、個体ごとにモータの特性にばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。
【0021】
又、請求項5に係る発明は、請求項3の発明において、前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値と、前記載置板に満杯まで用紙を積載した満杯状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第2出力値と、を記憶し、前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態と前記満杯状態に対応する前記出力電圧値のレンジと、前記第1出力値と前記第2出力値のレンジとを確認して参照する前記用紙残量検知データを変更することとした。
【0022】
この構成によれば、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態と満杯状態に対応する出力電圧値のレンジと、第1出力値と第2出力値のレンジを確認し、参照する用紙残量検知データを変更する。個体ごとのモータの特性のばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。
【0023】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、電源とグランド間に、前記リフトモータと抵抗の直列回路が接続され、前記電圧出力部は、前記リフトモータへの入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、前記直列回路での前記リフトモータと抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路を含むこととした。
【0024】
この構成によれば、電圧出力部は、リフトモータへの入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、直列回路でのリフトモータと抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路である。このように回路を構成することで、モータの逆起電圧の大きさにより、電圧出力部の出力は変化する。従って、モータの逆起電圧の大きさに基づいて、用紙残量を検知することができる。尚、本発明は、電圧出力部の好適例の1つを示す。
【0025】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、外部と通信するための通信部を有し、前記通信部は、前記検知処理部が検知した用紙残量を情報として外部に出力することとした。
【0026】
この構成によれば、通信部は、検知処理部が検知した用紙残量を情報として外部に出力する。これにより、省電力モードであろうとなかろうと、正確な用紙残量を情報として外部に与えることができる。
【0027】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至7の発明において、前記リフトモータは、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータであることとした。
【0028】
この構成によれば、リフトモータは、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータである。これにより、逆起電圧が大きいほど用紙残量が多く、逆起電圧が小さいほど用紙残量が少ないことになり、逆起電圧の大きさに基づいて、比例的に用紙残量を検知することができる。尚、本発明は、リフトモータの好適例の1つを示す。
【発明の効果】
【0029】
上述したように、本発明によれば、用紙残量検知に要する時間が少なく、騒音を生じさせず用紙残量を検知する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図2】実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る給紙部の制御系統の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る電力供給系統の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る割込を説明するためのブロック図である。
【図6】実施形態に係る用紙残量検知のための構成の一例を示すブロック図である。
【図7】実施形態に係る電圧出力部の構成の一例を示す回路図である。
【図8】実施形態に係る電圧出力部の出力電圧値の一例を示すグラフである。
【図9】実施形態に係る用紙残量検知データの一例を示す説明図である。
【図10】実施形態に係る用紙残量表示画面の一例を示す説明図である。
【図11】実施形態に係る複合機での省電力モードでの用紙残量検知の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】実施形態に係る検知された用紙残量検知での補正の概念の一例を示す説明図である。
【図13】実施形態に係る検知された用紙残量検知の補正用設定画面の一例を示す説明図である。
【図14】他の実施形態の画像形成装置の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図1〜図13を用いて説明する。尚、本実施形態では複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0032】
(複合機100の概略構成)
まず、図1を用いて本発明の実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は本発明の実施形態に係る複合機100の一例を示す模型的正面断面図である。
【0033】
本実施形態の複合機100は、最上部に、原稿搬送装置2が設けられる。原稿搬送装置2は、積載された原稿を1枚ずつ画像読取部3の読取位置に搬送する。又、原稿搬送装置2は、紙面奥側に支点が設けられ(不図示)、上方に持ち上げて開けられる。例えば書籍等の原稿を画像読取部3の上面の載置読取用コンタクトガラス32に載せることができる。
【0034】
次に、図1に破線で示すように、正面上方にコピー等の印刷の設定を行うため入力部として機能し、各種情報を表示する操作パネル4が設けられる。操作パネル4は、タッチパネル式の液晶表示部41の他、電源キー42、節電キー43、テンキー部44、スタートキー45等の複数のキーを含む。
【0035】
液晶表示部41は、印刷に関する表示を行い、複合機100での印刷やエラー等の状態の表示を行う他、例えば、印刷に用いる用紙サイズや、拡大縮小、濃度設定等の複合機100での機能設定用のキー、ボタンを表示する。そして、タッチパネルによる押下位置座標の検出で、液晶表示部41に表示されたキーやボタンを使用者が押したことが操作パネル4で認識される。これにより、使用者は、複合機100の各種機能について設定することができる。
【0036】
電源キー42は複合機100の主電源のON/OFFを指示するためのキーである。節電キー43は複合機100の省電力モードの移行指示を行うためのキーである。又、節電キー43は省電力モードから通常モードへの復帰指示を行うためのキーとして用いてもよい。テンキー部44は、0〜9、※、♯の数字、記号のキーを組み合わせて構成され印刷部数入力や、FAX番号入力など、数字入力を行う際に使用される。スタートキー45は、液晶表示部41やテンキー部44等で設定完了後、動作開始を指示する際に押される。
【0037】
また、複合機100本体に、画像読取部3、給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6B等が設けられる。画像読取部3は、原稿を読み取り画像データを生成する。そして、画像読取部3の上面にコンタクトガラス(31と32の2種)が設けられ、その内部には、水平方向(図1で言えば、左右方向)で移動する移動枠(露光ランプ、ミラー等を具備)、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(いずれも不図示)が設けられる。例えば、原稿搬送装置2で連続的に搬送される原稿を読み取る場合、送り読取用コンタクトガラス31の下方に移動枠を固定し、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサに導く。又、載置読取用コンタクトガラス32に載置された原稿を読み取る場合、移動枠を水平方向に移動させ、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサに導く。
【0038】
そして、画像読取部3は、これら光学系部材を用い、原稿に光を照射し、原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。そして、複合機100は読取られた画像データに基づき印刷可能である(コピー機能)。
【0039】
本実施形態の複合機100では、給紙部1は、画像形成用の用紙を収容、供給するカセット10を含む。カセット10は、各種(例えば、普通紙、コピー用紙、再生紙等)、各サイズ(例えば、A4、A3、B4、B5、レターサイズ等)の用紙を複数(例えば、500〜1000枚程度)積載して収容する。尚、給紙部1の下方に、更に複数段の給紙部1を取り付け、用紙収容能力を高めることができる。
【0040】
給紙部1には、図1に示すように、カセット10内に用紙を載置するための載置板11と、載置板11の上方に、載置された用紙の内、最上位の用紙と接する給紙ローラ12が設けられる。給紙ローラ12は、上下方向に移動(揺動)可能である。載置板11は、搬送方向上流側の端部が支点となり、用紙搬送方向下流側の端部が自由端となり、自由端が上下方向に移動する。又、載置板11の用紙の有無を検知するための用紙切れセンサ13(例えば、反射型又は透過型の光センサ)を載置板11の下方に設けることができる。
【0041】
載置板11を上昇させるため、給紙部1には、シャフト14、押し上げ部材15、リフトモータ16(図3参照)等が設けられる。シャフト14は各載置板11の下方に設けられ、用紙搬送方向と垂直な方向に伸びる。そしてシャフト14には、板状で、載置板11の下面に接する押し上げ部材15が取り付けられる。リフトモータ16は、シャフト14を回転させ、押し上げ部材15の角度を変化させ載置板11を上昇させる。
【0042】
カセット10は、用紙補給のため挿脱可能である。カセット10が複合機100から外されると、押し上げ部材15は倒れ付す。一方、カセット10が複合機100に取り付けられると、リフトモータ16が回転し、載置板11が押し上げられる。そして、カセット10が、取り付けられているか、取り外されているか(引き出されているか)を検知するため、挿脱検知センサ17が設けられる(例えば、カセット10の一面と接するインターロック式のスイッチや、反射式の光センサ)。
【0043】
又、載置板11(給紙ローラ12とも言える)が上限位置に到っていることを検知するため、上限検知センサ18が設けられる(例えば、透過型の光センサ)。給紙ローラ12に設けられた突起が、給紙ローラ12の上昇により上限検知センサ18の凹み部分にはまると、上限検知センサ18の出力が変化する(上限検知)。上限検知センサ18が給紙ローラ12の上限到達を検知するまでリフトモータ16が回転し、載置板11が押し上げられる。又、印刷により用紙が消費され、上限検知センサ18が給紙ローラ12の上限到達を検知しなくなると、リフトモータ16が回転し、載置板11が押し上げられる。その結果、常時、最上位の用紙と給紙ローラ12とが接する状態となる。
【0044】
次に、搬送路5は、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路5には、用紙搬送時に回転駆動する複数の搬送ローラ対51(図1では、上流側から51a〜51eの計5つを図示)や、搬送される用紙を画像形成部6の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせ送り出すレジストローラ対52等が設けられる。
【0045】
画像形成部6は、画像データに基づき給紙部1から給紙された用紙に画像(トナー像)を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。尚、画像データには、画像読取部3で取得された原稿の画像データや、複合機100に接続されるコンピュータ200(図3参照)からの送信画像データが利用される。そして、画像形成部6は、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム61や、その周囲に配設された帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラ65、クリーニング装置66等を備える。
【0046】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部6の略中心で、所定方向に回転駆動する感光体ドラム61を、図1において、感光体ドラム61の上方の帯電装置62で所定電位に帯電させる。露光装置63は、画像データに基づき、レーザ光Lを出力し、図1において、帯電装置62の右側から感光体ドラム61表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0047】
そして、図1において、感光体ドラム61の右の現像装置64は、感光体ドラム61に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム61の下方の転写ローラ65は感光体ドラム61に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラ対52がタイミングを図り用紙をニップに進入させる。用紙とトナー像のニップ進入時、転写ローラ65には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム61上のトナー像が転写される。クリーニング装置66は、転写後に感光体ドラム61に残留するトナー等を除去する。
【0048】
定着部6Bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部6Bは、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ67と加圧ローラ68で構成される。加熱ローラ67と加圧ローラ68は圧接しニップを形成する。そして、用紙がこのニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は排出トレイ69に排出される。
【0049】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図2に示すように、本実施形態に係る複合機100は、各種素子、回路等を組み合わせて構成される主制御部7(制御基板)を有する。そして、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8、原稿搬送装置2、監視部9などが、主制御部7と通信可能に接続される。主制御部7は、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8、原稿搬送装置2、監視部9と通信を行い、動作を制御し、又、情報を得る。
【0051】
主制御部7は、例えば、メインCPU71、記憶部72、画像処理部73などを含む。メインCPU71は、主制御部7の演算処理装置で、記憶部72に記憶されるデータやプログラムに基づき、処理、制御を行う。記憶部72は、例えば、不揮発性の記憶装置(フラッシュROMやHDD)と、揮発性の記憶装置(例えば、RAM)とを組み合わせて構成される。記憶部72は、コピー、送信等、各種制御に要するデータ、プログラムを記憶する。
【0052】
画像処理部73は、画像読取部3で生成された画像データや、外部から入力された画像データに対し画像処理を施す。例えば、画像処理部73は、画像処理専用のASICや画像処理用のメモリで構成される。画像処理後の画像データを、印刷のため露光装置63に送ることもできるし(コピー機能、プリンタ機能)、記憶部72のHDDに記憶することもできるし(スキャナ機能)、後述の監視部9を介して、通信部95から外部(コンピュータ200、FAX装置300等)に送信することもできる(スキャナ機能、FAX機能)。尚、画像処理部73が行える画像処理は、拡大・縮小処理や、濃度変更等、多岐にわたるので、公知の画像処理を実行できるとして詳細は割愛する。
【0053】
又、印刷に関し制御を行うエンジン制御部8が、複合機100内に設けられる。エンジン制御部8は、上述した原稿搬送装置2、各給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6Bの動作を制御する。そして、エンジン制御部8内には、例えば、制御素子としてのエンジンCPU81や記憶部82が設けられる。エンジン制御部8は、主制御部7の指示を受け、各給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6Bの動作を制御する。例えば、エンジン制御部8は、給紙、搬送、トナー像形成、定着部6Bの温度制御などの制御を行う。又、エンジン制御部8は、監視部9と通信可能に接続される。
【0054】
又、監視部9が、複合機100での電力管理や外部との通信を行う部分として設けられる。監視部9は、複合機100内の各部への電力供給を制御する。例えば、監視部9には、例えば、コントローラ91や、監視部9用のデータやプログラムを記憶するメモリ92が設けられる。
【0055】
又、電源部90は、例えば、商用電源と接続され、整流回路、昇圧回路、降圧回路等を有し、複合機100の動作に要する複数種の電圧を生成する(例えば、各種モータ駆動用のDC24Vや、各種制御部駆動用のDC5Vや3.3Vなど)。そして、監視部9は、各部(主制御部7やエンジン制御部8など)への電力供給のON/OFFを行うためのスイッチ部93を有する。監視部9は、スイッチ部93により、電源部90から各部への電力供給線の開閉を行い、各部への電力供給のON/OFFを制御する。割込I/F部94は、複合機100に、操作、入力が行われたことを検知する割込発生部からの割込を受信する(詳細は後述)。監視部9は、複合機100が省電力モードであるとき、割込をトリガとして、主制御部7や各部への電力供給を再開し、通常モードとなる(詳細は後述)。
【0056】
通信部95は、外部のコンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)やFAX装置300とネットワーク、回線、ケーブル等を通じて通信を行うためのインターフェイスである。そのため、通信部95は、各種コネクタや通信用の回路、素子、コントローラ91等を含む。主制御部7は、この通信部95を介した通信により、外部のコンピュータ200やFAX装置300から印刷用のデータを受信でき、外部のコンピュータ200やFAX装置300に画像データを送信できる。省電力モードのとき、外部からのデータを通信部95が受信すると、監視部9は、複合機100を通常モードに復帰させる。
【0057】
(給紙部1の制御系統)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態の給紙部1の制御系統の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る給紙部1の制御系統の一例を示すブロック図である。
【0058】
まず、エンジン制御部8は、給紙部1に含まれるモータ、回路の制御や、センサに基づく検知を行う。例えば、エンジン制御部8は、用紙サイズセンサ110の出力を受け、収容される用紙のサイズを検知する。又、エンジン制御部8は、用紙切れセンサ13の出力を受け、用紙切れを検知する。又、エンジン制御部8は、上限検知センサ18の出力を受け、載置板11(給紙ローラ12)が上限にまで持ち上げられたことを検知する。又、エンジン制御部8は、給紙モータ121を動作させ、給紙ローラ12を回転させ、給紙を行わせる。又、エンジン制御部8は、リフトモータ16により、載置板11(給紙ローラ12)が上限に到達するまで、載置板11を上昇させる。又、エンジン制御部8は、電圧出力部19の出力を受け、用紙残量を検知する。
【0059】
そして、主制御部7は、エンジン制御部8に印刷を行う指示を与え、エンジン制御部8は、動作指示に基づき、給紙部1の動作を制御する。又、エンジン制御部8から主制御部7や監視部9に向けて、給紙部1の状態を示すデータ(例えば、用紙切れや収容用紙サイズや用紙残量等)を送信することができる。これにより、主制御部7や監視部9は、給紙部1の状況を認識でき、外部に状況を知らせることができる。
【0060】
(電力供給系統の概要)
次に、図4を用い、本発明の実施形態に係る電力供給系統の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る電力供給系統の一例を示すブロック図である。尚、図4での実線矢印は、電力供給経路の一例を示している。
【0061】
上述したように、監視部9は、電源部90が生成する各種電圧の各部への電力供給を制御する。監視部9は、例えば、主制御部7と、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8に対する電力の供給を制御する。エンジン制御部8に接続される原稿搬送装置2、各給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6Bは、エンジン制御部8が電力供給を受けると(エンジン制御部8経由で)、電力供給を受ける。従って、エンジン制御部8への電力供給停止により、給紙部1等への電力供給も停止される。尚、スイッチ部93を電源部90側に設け、監視部9がスイッチ部93に指示を与えつつ、電源部90が実際の電力の供給制御を行うようにしてもよい。
【0062】
(通常モードと省電力モードの遷移)
次に、図4、図5を用い、本発明の実施形態に係る複合機100での通常モードと省電力モードの遷移の概要を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る割込を説明するためのブロック図である。
【0063】
本実施形態の複合機100は、例えば、電源部90や監視部9が、主制御部7と、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8などの全ての部分に電力供給を行う通常モードを有する。通常モードでは、電源部90や監視部9は、エンジン制御部8に電力供給を行い、給紙部1等を制御可能な状態で保つ。
【0064】
しかし、複合機100を使用していない待機状態でも、通常モードでは、定着部6Bの温度維持や各種制御部の駆動、一定の電力は消費される。一方で、省エネの観点から、待機状態での消費電力(待機電力)は、小さいことが好ましい。そのため、本実施形態の複合機100は、通常モードよりも消費電力を減らす省電力モードを有する。
【0065】
そこで、通常モードから省電力モードへの移行を説明する。主電源投入によって複合機100が起動したときや、省電力モードから通常モードに移行したとき、通常モードが始まる。そして、通常モードでは、条件が満たされると、省電力モードに移行する。通常モードから省電力モードへの移行条件は、任意に設定できる。例えば、操作パネル4の節電キー43が押されたことを、省電力モードへの移行条件とすることができる。主制御部7は、操作パネル4と通信して、節電キー43が押されたかを確認して、条件が満たされたかを確認する。
【0066】
又、例えば、待機状態が所定時間続いたことも、通常モードから省電力モードへの移行条件とすることができる。主制御部7は、予め定められた起点(例えば、ジョブ終了時点やウォームアップ終了時点など、複数種)から、複合機100への操作や入力がないまま(後述の割込がないまま)、一定時間(例えば、数分〜数十分。操作パネル4で設定可能。例えば、主制御部7が計時)経過したかを確認する。例えば、主制御部7は、各部と通信を行い、或いは、各部のセンサの出力を受け、原稿搬送装置2への原稿載置、原稿搬送装置2の開閉、操作パネル4への操作入力、通信部95への外部からの画像データの入力等、複合機100への操作、入力の有無を確認する。
【0067】
通常モードから省電力モードへの移行条件を満たすと、主制御部7から監視部9や電源部90に向けて、移行指示がなされる。これを受けて、監視部9や電源部90は、主制御部7やエンジン制御部8等への電力供給を停止する。複合機100は、省電力モードとなる。省電力モードでは、例えば、監視部9と、使用者による複合機100への操作や入力を検知し、省電力モードから通常モードへの移行のトリガとしての割込を発生させる割込発生部にのみ電力が供給される。例えば、エンジン制御部8は動作を停止し、給紙部1に電力が供給されない状態となる。
【0068】
次に、図5を用いて、省電力モードから通常モードへの復帰(移行)の一例を説明する。省電力モードに入ると、監視部9は、各割込発生部からの割込を受けたか(割込I/F部94が割込を受けたか)を確認する。そして、割込があると、監視部9は複合機100の状態を省電力モードから通常モードへ移行させる。
【0069】
監視部9は、使用者による複合機100に対する操作、入力や外部からのデータの入力を割込(トリガ)として受ける。割込があれば、監視部9や電源部90は、主制御部7やエンジン制御部8等、全ての部分への電力供給を再開し、複合機100を省電力モードから通常モードに復帰させる。
【0070】
そこで、図5を用いて、各種割込を説明する。例えば、監視部9での割込発生部としては、通信部95がある。通信部95は、外部のコンピュータ200からの印刷用データ(画像データや印刷設定データ)を受信した場合、FAXデータの入力を受けた場合、割込を発生する(図5における割込A)。又、操作パネル4も割込発生部とできる。タッチパネルへのタッチや、いずれかのキー(例えば、節電キー43)が押されると、操作パネル4は、割込を発生し、監視部9に入力する(図5における割込B)。
【0071】
又、割込発生部としては、例えば、カバーの開閉を検知するカバー開閉検知センサ53がある(図1参照)。カバー開閉検知センサ53は、メンテナンスや消耗品交換や紙詰まり処理のため、筐体のカバーの操作(開閉)状態により出力が変化する。カバー開閉検知センサ53は、カバーの開閉を検知すると、割込を発生し、監視部9に入力する(図5における割込C)。
【0072】
又、原稿搬送装置2における割込発生部としては、例えば、原稿載置トレイ21への原稿載置を検知する原稿載置検知センサ22(図1参照、図5における割込D)や、原稿搬送装置2の上げ下げを検知する開閉検知センサ23(図1参照、図5における割込E)がある。原稿載置検知センサ22は、原稿が載置されていることを検知するため、原稿載置トレイ21に設けられる(図1参照)。原稿載置検知センサ22は、例えば、光センサであり、原稿載置時と原稿が載置されていないときで出力が変化する。又、開閉検知センサ23(図1に破線で図示)が、原稿搬送装置2が開いているか、閉じられているかを検知するために設けられる。例えば、開閉検知センサ23は、原稿搬送装置2の下面と接するインターロック式のスイッチでもよいし、反射式の光センサでもよく、開閉状態を検知できればよい。原稿載置検知センサ22や、開閉検知センサ23は、コピー等のため、原稿搬送装置2への操作(原稿載置や上げ下げ)を検知すると、割込を発生し監視部9に入力する。
【0073】
尚、通常モードの場合は、割込の発生やその内容は、監視部9から主制御部7に伝達されてもよいし、各種センサ等の出力が主制御部7にも入力されるようにしてもよい。
【0074】
図5に示す例では、通信部95、節電キー43、カバー開閉検知センサ53、原稿載置検知センサ22、などが割込発生部に該当するが、更に、他種の割込発生部が設けられてもよい。又、省電力モードでも使用者の操作、入力を検知するため、省電力モードへの移行によって、主制御部7やエンジン制御部8等への電力供給が停止しても、各割込発生部に対しては、電力供給が行われ続ける。
【0075】
(残量検知の概要)
次に、図6を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での用紙の残量検知の概要を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る用紙残量検知のための構成の一例を示すブロック図である。
【0076】
モータ用の電圧を生成した電源部90からリフトモータ16への電力供給のON/OFFを制御するため、モータスイッチ83が設けられる。エンジン制御部8は、モータスイッチ83によりリフトモータ16を制御(ON/OFF)する。そして、モータスイッチ83をONしてリフトモータ16が動作すると、逆起電圧がリフトモータ16で生ずる。
【0077】
本実施形態のリフトモータ16は、例えば、DCモータ(ブラシ付き)である。このDCモータは、負荷(トルク)に比例して逆起電圧が大きくなる。即ち、リフトモータ16は、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータである。そして、電圧出力部19は、リフトモータ16の逆起電圧の大きさに応じて異なる電圧を出力する。この電圧出力部19の出力電圧値に基づき、エンジン制御部8は、用紙残量検知を行う。
【0078】
(電圧出力部19の構成)
次に、図7を用いて、本発明の実施形態に係る電圧出力部19の構成の一例を説明する。図7は本発明の実施形態に係る電圧出力部19の構成の一例を示す回路図である。
【0079】
まず、電源(例えば、DC24V)からリフトモータ16への電力供給経路の途中にモータスイッチ83が設けられる。図7に示すように、モータスイッチ83は、p型トランジスタで構成される。p型トランジスタには、抵抗R1と抵抗R2からなる直列回路と、リフトモータ16と抵抗R3からなる直列回路が並列に接続される。
【0080】
電圧出力部19は、複数の抵抗と、バッファ191からなる差動増幅回路190を含む。差動増幅回路190は、バッファ191と、バッファ191の一方の入力端に接続された抵抗R4と抵抗R5(帰還用)と、バッファ191の他方の入力端に接続された抵抗R6と抵抗R7からなる。
【0081】
差動増幅回路190への一方の入力として、リフトモータ16と抵抗R3の間の電圧が入力される。差動増幅回路190への他方の入力として、抵抗R1と抵抗R2の間の電圧(ほぼ電源電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧した電圧)が入力される。
【0082】
ここで、モータスイッチ83とリフトモータ16間の電圧(トランジスタのエミッタ電圧)をVb[V]、リフトモータ16の逆起電圧をEc[V]、リフトモータ16の内部抵抗をRa[Ω]とする。そして、抵抗R1と抵抗R2の間の電圧をV1とすると、V1=R2/(R1+R2)×Vbとなる。一方、リフトモータ16と抵抗R3の間の電圧をV2とすると、V2=R3/(R3+Ra)×(Vb−Ec)となる。
【0083】
ここで、本実施形態の差動増幅回路190は、例えば、抵抗R4=抵抗R5=抵抗R6=抵抗R7とされる。そうすると、差動増幅回路190(電圧出力部19)は、V1とV2の差を出力する。言い換えると、電圧出力部19は、V1とV2の差をエンジン制御部8に出力する回路となる。
【0084】
具体的に、電圧出力部19の出力Vout(出力電圧値)は以下の式で求められる。
Vout=V1−V2
=R2/(R1+R2)×Vb−R3/(R3+Ra)×(Vb−Ec)
=R2/(R1+R2)×Vb−R3/(R3+Ra)×Vb+R3/(R3+Ra)×Ec
ここで、本実施形態の電圧出力部19は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3は、以下の関係となるように調整される。
抵抗R1:内部抵抗Ra=抵抗R2:抵抗R3
【0085】
そうすると、Voutは、以下の通りとなる。
Vout=R3/(R3+Ra)×Ec
=R2/(R1+R2)×Ec
各抵抗の値を定数として扱うと、本実施形態の電圧出力部19は、リフトモータ16の逆起電圧Ecに比例した電圧を出力する。そして、エンジン制御部8は、エンジンCPU81のA/D変換ポートや、別途設けられたA/D変換器を用いて、例えば、電圧出力部19から出力されるアナログ電圧をディジタルデータに変換し、出力電圧値を認識する。即ち、電源とグランド間に、リフトモータ16と抵抗(R3)の直列回路が接続され、電圧出力部19は、リフトモータ16への入力電圧を抵抗(R1、R2)で分圧して生成された基準電圧(V1)と、直列回路でのリフトモータ16と抵抗(R3)の間の電圧(V2)と、を比較する差動増幅回路190を含む。
【0086】
(電圧出力部19の出力電圧値)
次に、図8を用いて、本発明の実施形態に係る電圧出力部19の用紙残量に応じた出力変化の一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る電圧出力部19の出力電圧値の一例を示すグラフである。
【0087】
図8のグラフは、用紙が少ないとき(実線で示すグラフ)と、用紙が少ない場合よりも多い用紙残量のとき(実線で示すグラフのときよりも用紙残量が多いとき、破線で示すグラフ)の電圧出力部19の出力電圧値の差の一例を示している。そして、図8のグラフは、縦軸が電圧出力部19の出力電圧値の大きさを示し、横軸はリフトモータ16をONしてからの時間を示す。
【0088】
給紙部1内の用紙が多いほど、用紙束は重くなる。従って、給紙部1内の用紙が多いときの方が、リフトモータ16に対する負荷(リフトモータ16のトルク)は大きくなる。そして、本実施形態のリフトモータ16は、DCモータで、出力すべきトルクの大きさに比例して、逆起電圧が大きくなる。
【0089】
例えば、図8のグラフのうち、T1の時点でリフトモータ16をONしたとする。尚、T2は、OFFした地点である。そして、図8のグラフに示すように、本実施形態の電圧出力部19は、リフトモータ16の負荷(トルク)が大きいときの方が、小さいときよりも出力電圧値(Vout)は、大きい(実線矢印区間と破線矢印区間の差)。そこで、エンジン制御部8は、リフトモータ16をONしてから、電圧出力部19の出力電圧値が落ち着く所定時間t1経過後に出力電圧値を認識する。リフトモータ16の特性によるが、例えば、所定時間t1は数百ミリ秒でよい。従って、エンジン制御部8は、リフトモータ16が回転しない、あるいは微少に回転する程度の時間だけ、リフトモータ16をONすれば、残量検知を行える。
【0090】
(用紙残量検知)
次に、図9を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での用紙残量検知の一例を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る用紙残量検知データの一例を示す説明図である。
【0091】
エンジン制御部8は、電圧出力部19の出力電圧値を認識すると、出力電圧値に基づいて、用紙残量を検知する。エンジン制御部8は、例えば、図9に示すような、用紙残量検知データを参照して用紙残量を検知する。用紙残量検知データは、電圧出力部19の出力電圧値に対し、段階的に用紙残量のレベルを定めたテーブルデータである。用紙残量検知データは、例えば、エンジン制御部8の記憶部82に記憶され、エンジンCPU81が用紙残量検知データを参照して用紙残量を検知する。
【0092】
具体的に、用紙残量検知データは、出力電圧値の範囲に対し、用紙残量を段階的に定める。本実施形態では、用紙残量は、10段階(10レベル)で検知される。尚、用紙切れ(用紙残量0%)は、用紙切れセンサ13により検知される。又、用紙残量の段階数(レベル数)を減らしてもよいし(例えば、4段階や5段階)、更に細かい段階で検知されてもよい(例えば、5%刻みであれば20段階、1%刻みであれば100段階)。更に、用紙残量検知データは、テーブルデータではなく、用紙残量を求めるための関数でもよい。
【0093】
即ち、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、出力電圧値に対しての用紙残量を定めた用紙残量検知データを記憶する記憶部72を有し、検知処理部(エンジン制御部8)は、用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知する。
【0094】
(用紙残量表示)
次に、図10を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での用紙残量表示の一例を説明する。図10は、本発明の実施形態に係る用紙残量表示画面S1の一例を示す説明図である。
【0095】
図10は、例えば、操作パネル4の液晶表示部41や、通信部95を介して複合機100に通信可能に接続されるコンピュータ200のディスプレイに表示される用紙残量表示画面S1の一例である。用紙残量表示画面S1では、用紙サイズなどとともに、用紙残量が目盛で表示される。この用紙残量表示画面S1では、1レベルあたり1つの目盛とされる。図10に示すように、目盛数は10個まで表示される(図10は、ほぼ満杯の状態を例示)。そして、例えば、目盛が1つや2つに成っていれば、使用者は、そろそろ用紙の補充が必要と判断できる。尚、用紙切れの場合は、目盛は表示されず、代わりに「用紙切れ」等の文字が表示される。
【0096】
(省電力モードでの用紙残量検知)
次に、図11を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での省電力モードでの用紙残量検知を説明する。図11は、本発明の実施形態に係る複合機100での省電力モードでの用紙残量検知の流れの一例を示すフローチャートである。
【0097】
まず、省電力モードでの用紙残量検知の背景を説明する。省電力モードでは、エンジン制御部8や、エンジン制御部8から電力供給を受ける給紙部1や画像形成部6に対して、電力の供給はなされない。省電力モードでは、基本的に、監視部9と割込発生部に対してのみ電力供給がなされる。そのため、従来、省電力モードでは、用紙残量検知を行っていなかった。
【0098】
更に、従来、載置板11を下限状態(倒れ付した状態)から、給紙ローラ12を上限位置まで持ち上げた状態までのモータの駆動量(駆動時間や回転数)に基づいて用紙残量を検知していた。そのため、用紙残量検知のときの、騒音や、用紙残量検知に一定の時間を要することによる電力消費の問題も、省電力モードで用紙残量検知を行わない理由であった。
【0099】
しかし、複合機100を管理するコンピュータ200(管理用コンピュータや各使用者のパーソナルコンピュータ)で、複合機100が省電力モードでも、用紙補給や用紙交換の必要性を判断するため、ある程度正確な用紙残量を確認したいという要求がある。そこで、本実施形態の複合機100は、省電力モードでも定期的にエンジン制御部8に対して電力供給を一時的に再開し、エンジン制御部8に給紙部1の用紙の情報(用紙残量やサイズ)を取得させる。即ち、本発明の画像形成装置(例えば、複合機100)は、外部と通信するための通信部95を有し、通信部95は、検知処理部(エンジン制御部8)が検知した用紙残量を情報として外部に出力する。
【0100】
省電力モードで、エンジン制御部8が取得した情報は、監視部9に与えられ、監視部9から外部のコンピュータ200に対し用紙残量等の情報が与えられる。これにより、省電力モードでも正確な用紙残量等の情報を外部のコンピュータ200等に与えることができる。又、省電力モードから通常モードに戻ったときでも、操作パネル4の液晶表示部41に直ちに正確な用紙残量等の情報を表示することができる。
【0101】
そこで、図11に基づき、省電力モードでの用紙残量検知の流れの一例を説明する。本実施形態の複合機100では、省電力モードとなってから、一定時間ごと(例えば、15分)に用紙残量検知が行われる。そして、図11のスタートは、省電力モードとなった時点である。尚、通常モードでは、エンジン制御部8や給紙部1には、電力供給がなされているので、もっと短い周期で用紙残量検知を行うようにしてもよい。
【0102】
例えば、監視部9(省電力モードでも電力供給を受ける)が、一定時間の経過を確認する(ステップ♯1)。尚、別途タイマを設けてもよい。具体的には、省電力モードとなってから一定時間が経過したか、又は、省電力モードでの前回の用紙残量検知から一定時間が経過したか、あるいは、省電力モードでの前回の用紙残量検知のため、エンジン制御部8に電力供給を行ったときから一定時間が経過したか、が確認される。
【0103】
そして、監視部9は、省電力モードで用紙残量検知を行うタイミングか否かの確認を続け(ステップ♯1のNo)、タイミングに至ると(ステップ♯1のYes)、監視部9は、スイッチ部93を制御して、電源部90は、エンジン制御部8に対する電力供給を(一時的に)行う(ステップ♯2)。これにより、エンジン制御部8のセットアップ(起動)が開始される(ステップ♯3)。
【0104】
そして、エンジン制御部8は、リフトモータ16をONする(ステップ♯4)。そして、エンジン制御部8は、電圧出力部19の出力電圧値を認識する(ステップ♯5)。その後、エンジン制御部8は、出力電圧値と、用紙残量検知データに基づき、用紙残量を検知する(ステップ♯6)。即ち、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、複数の用紙が積載される載置板11と、用紙を送り出す給紙ローラ12と、載置板11に積載された用紙が給紙ローラ12と接するように、載置板11を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータ16と、リフトモータ16の逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部19と、電圧出力部19の出力電圧値を認識し、出力電圧値に基づき、載置板11に載置された用紙の残量を検知する検知処理部(エンジン制御部8)と、を含む。より具体的には、画像形成装置は、電力供給を行い、省電力モードへの移行条件が整うと、検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を停止する電源部90と、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも電源部90から検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を再開させる監視部9と、を含み、省電力モードで、監視部9は、定期的に、電源部90から検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を一時的に再開させ、検知処理部(エンジン制御部8)は、電力供給が一時的に再開されたとき、リフトモータ16を動作させ、用紙の残量を検知する。
【0105】
エンジン制御部8は、リフトモータ16をOFFし(ステップ♯7)、監視部9に向けて用紙残量を示すデータを送信する(ステップ♯8)。そして、監視部9は、用紙残量を示すデータを受信すると、エンジン制御部8に対する電力供給を停止する(ステップ♯9)。そして、ステップ♯1に戻る。本制御は、省電力モードから通常モードに移行するまで続けられる。
【0106】
(用紙残量検知の補正)
次に、図12、図13を用いて、本発明の実施形態に係る検知された用紙残量検知での補正を説明する。図12は、本発明の実施形態に係る検知された用紙残量検知での補正の概念の一例を示す説明図である。図13は、本発明の実施形態に係る検知された用紙残量検知の補正用設定画面S2の一例を示す説明図である。
【0107】
リフトモータ16は、特性に個体差を有する。同じ負荷でも、生ずる逆起電圧が、リフトモータ16ごとに異なり得る。そうすると、給紙部1ごとに、同じ量の用紙を載置板11に積載したとしても、電圧出力部19の出力電圧値に差が生じ得る。
【0108】
例えば、図12における中央の縦線は、用紙残量検知データにおける出力電圧値の最大値Vmax1と最小値Vmin1のレンジ(範囲)を示す。言い換えると、理想的な電圧のレンジであり、用紙残量検知データのサンプルとなる理想的なリフトモータ16での出力電圧値の最大値と最小値のレンジを示す。
【0109】
しかし、リフトモータ16の特性によっては、図12における左側の縦線のように、出力電圧値の最大値Vmax2は、理想的なレンジでのVmax1と同じであるが、出力電圧値の最小値Vmin2は、理想的なレンジでのVmax1よりも大きくなる場合がある(小さくなる場合もある)。この左側の縦線で示すレンジ2は、理想的なレンジ1よりもレンジは狭い(広くなる場合もある)。
【0110】
又、リフトモータ16の特性によっては、図12における右側の縦線のように、出力電圧値の最大値Vmax3は、理想的なレンジでのVmax1よりも大きく(小さくなる場合もある)、出力電圧値の最小値Vmin3は、理想的なレンジでのVmax1よりも小さくなる場合がある(大きくなる場合もある)。この右側の縦線で示すレンジ2は、理想的なレンジ1よりもレンジは広い(狭くなる場合もある)。そうすると、理想的なレンジと、実際のリフトモータ16のレンジとの差が大きいほど、検知された用紙残量と、実際の用紙残量との誤差が大きくなりやすい。
【0111】
例えば、本実施形態の複合機100では、負荷(トルク)の大きさに対し、出力電圧値はほぼ線形に変化する。又、残量検知は、所定のレベル(本実施形態では10レベル)に分けて行われる。そこで、エンジン制御部8が、用紙なし状態でリフトモータ16を動作させたときの出力電圧値と、満杯状態でリフトモータ16を動作させたときの出力電圧値と、を測定し、測定されたレンジを、所定のレベル数に分割し、用紙残量検知データを更新して、用紙残量検知での補正を行ってもよい。
【0112】
あるいは、記憶部82に、出力電圧値のレンジが異なる複数種の用紙残量検知データを記憶させておき、エンジン制御部8が、実際に測定されたレンジにあわせて、用いる用紙残量検知データを選択するようにして、用紙残量検知の補正を行ってもよい。
【0113】
出力電圧値の最大値と最小値の測定方法の一例を挙げておく。例えば、操作パネル4を操作して、図13に示すような、用紙残量の検知補正用設定画面S2を表示させる。そして、補正用設定画面S2で表示される手順に従い、給紙部1内の用紙を空に、若しくは、満杯にしてOKキーK1が押されるごとに、操作パネル4から主制御部7経由で、出力電圧値測定の指示がエンジン制御部8に与えられる。そして、エンジン制御部8は、リフトモータ16を動作させ、空状態と満杯状態の出力電圧値を測定する。そして、例えば、測定されたレンジを総レベル数で分割し、レベルごとの閾値を定め、紙残量検知データの更新や選択を行う。
【0114】
尚、出力電圧値の測定は、工場出荷時の検査で行われてもよいが、用紙を満杯状態にすることは、検査上、工数増加につながる。そこで、工場出荷時の検査では、エンジン制御部8は、空状態でリフトモータ16を動作させ、出力電圧値を測定し、空状態の出力電圧値にのみ基づいて、用紙残量検知データの更新や選択をしてもよい。
【0115】
即ち、記憶部72は、載置板11に用紙がない空状態でリフトモータ16を動作させたときの電圧出力値である第1出力値を記憶し、検知処理部(エンジン制御部8)は、用紙残量検知データにおける空状態での出力電圧値と、第1出力値との差に基づき、参照する用紙残量検知データを変更する。あるいは、記憶部72は、載置板11に用紙がない空状態でリフトモータ16を動作させたときの電圧出力値である第1出力値と、載置板11に満杯まで用紙を積載した満杯状態でリフトモータ16を動作させたときの電圧出力値である第2出力値と、を記憶し、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態と満杯状態に対応する出力電圧値のレンジと、第1出力値と第2出力値のレンジとを確認して参照する用紙残量検知データを変更する。
【0116】
このようにして、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、負荷の大きさ(重さ)に応じモータの逆起電圧は変化するところ、検知処理部(エンジン制御部8)は、電圧出力部19の出力電圧値に基づき、載置板11に載置された用紙の残量を検知する。これにより、駆動時間や動作量を測定するため、モータを回転させ続ける場合に比べて、リフトモータ16をONする時間を遙かに短くして、用紙残量を短時間で検知することができる。又、リフトモータ16が動作することにより生ずる騒音も無くすことができる。
【0117】
又、省電力モードで、監視部9は、定期的に、電源部90から検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を一時的に再開させ、検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、リフトモータ16を動作させ、用紙の残量を検知する。これにより、省電力モードでも用紙残量検知を行うことができる。しかも、用紙残量検知に要する時間が、駆動時間や動作量を測定するためモータを回転させ続ける場合に比べて短くて済むので、省電力モードで電力供給を行う時間を短く済ますことができる。従って、省電力モードで電力供給を一時的に行っても、騒音の問題は生じず、消費電力を少なく済ますことができ、省電力モードの省エネ効果を損なわない。
【0118】
又、検知処理部(エンジン制御部8)は用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知する。これにより、検知処理部は、出力電圧値と用紙残量検知データを照らし合わせて、容易に用紙残量を検知することができる。又、モータの特性には個体差が存在するところ、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態での出力電圧値と、第1出力値との差に基づき、用紙残量検知データを変更する。これにより、個体ごとにモータの特性にばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。
【0119】
又、検知処理部(エンジン制御部8)は、用紙残量検知データにおける空状態と満杯状態に対応する出力電圧値のレンジと、第1出力値と第2出力値のレンジを確認し、参照する用紙残量検知データを変更する。これにより、個体ごとのモータの特性のばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。又、電圧出力部19は、リフトモータ16への入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、直列回路でのリフトモータ16と抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路190である。このように回路を構成することで、モータの逆起電圧の大きさにより、電圧出力部19の出力は変化する。従って、モータの逆起電圧の大きさに基づいて、用紙残量を検知することができる。
【0120】
又、通信部95は、検知処理部(エンジン制御部8)が検知した用紙残量を情報として外部に出力する。これにより、省電力モードであろうとなかろうと、正確な用紙残量を情報として外部に与えることができる。又、リフトモータ16は、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータである。これにより、逆起電圧が大きいほど用紙残量が多く、逆起電圧が小さいほど用紙残量が少ないことになり、逆起電圧の大きさに基づいて、比例的に用紙残量を検知することができる。
【0121】
(他の実施形態)
次に、図14を用いて、他の実施形態をのべる。図14は、他の実施形態の画像形成装置の構成例を示す説明図である。上述の実施形態では、複合機100に内のエンジン制御部8が、給紙部1のリフトモータ16を制御し、残量検知を行う例を説明した。しかし、図14(a)に示すように、監視部9と給紙部1を接続し、監視部9のCPU等を利用して残量検知が行われてもよい。
【0122】
そして、図14(a)の場合、エンジン制御部8を経由してではなく、省電力モードでも用紙残量検知を行えるように、監視部9は、省電力モードでも給紙部1に電力供給されるように電力供給制御を行う。例えば、監視部9は、エンジン制御部8等と同様に、スイッチ部93を用いて給紙部1のみに対する電力供給をコントロールする。そして、監視部9は、給紙部1のみに対して電力供給を一時的に行い、リフトモータ16を動作させ、電圧出力部19の出力を確認することにより、省電力モードでも、残量検知を行える。この場合、監視部9が検知処理部として機能する。これにより、エンジン制御部8を起動させずに、残量検知を行うことができ、消費される電力をより少なく留めることができる。
【0123】
又、図14(b)に示すように、エンジン制御部8の入出力ポート数の制限等の都合により、給紙部1に給紙制御部1A(実際に給紙部1の動作を制御し、例えば、CPUやメモリなどで構成)が設けられる場合がある。この場合、エンジン制御部8の指示を受けて、給紙制御部1Aが給紙部1を制御する。例えば、給紙部1が、オプションとしての給紙装置である場合、給紙制御部1Aが設けられることがある。
【0124】
そして、図14(b)の場合、給紙制御部1Aが、エンジン制御部8の指示に基づきリフトモータ16を動作させ、電圧出力部19の出力を確認し、残量検知を行ってもよい。そして、給紙制御部1Aがエンジン制御部8に用紙残量を示すデータを送信する。尚、省電力モードでも用紙残量検知を行う場合、エンジン制御部8に対する電力供給を再開し、これに伴いに伴い、給紙部1に電力供給が行われることで、給紙制御部1Aが用紙残量検知を行う。この場合、給紙制御部1Aが検知処理部として機能する。
【0125】
又、機種によっては、主制御部7とエンジン制御部8が分割されず一体である場合や、監視部9と主制御部7が一体である場合などがある。いずれの態様にしても、いずれかの制御部が給紙部1のリフトモータ16を制御し、電圧出力部19の出力電圧値が入力され、メモリ92内の用紙残量検知データを参照すれば、用紙残量検知を行うことができる。このとき、いずれかの制御部が検知処理部として機能する。
【0126】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、給紙部を有し、用紙残量検知を行う画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 給紙部 11 載置板
12 給紙ローラ 16 リフトモータ
19 電圧出力部 190 差動増幅回路
1A 給紙制御部(検知処理部) 8 エンジン制御部(検知処理部)
82 記憶部 9 監視部
90 電源部 95 通信部
100 複合機(画像形成装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙残量を検出するプリンタ、複合機、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複合機、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置は、用紙を用いて印刷を行う。用紙は、給紙部(「給紙カセット」等、様々な呼び名がある)内の載置板に積載して収容され、印刷に伴い1枚ずつ送り出される。例えば、用紙の補給タイミングを知らせる等の目的で、給紙部内での用紙残量の検知を行う場合がある。そして、このような用紙残量を検知する装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、給紙トレイの底面プレートを所定の位置まで上昇させるリフターを有し、給紙トレイに用紙が無い状態における所定の位置までの上昇量に対応する値を基準値として保持し、底面プレートを所定の位置まで上昇させ、このときの上昇量に対応する値と基準値との差分に基づき給紙トレイの用紙残量を検知し、用紙の有無を検知する用紙有無検知手段と、用紙が無いことが検知された場合に底面プレートを所定の位置まで上昇させ、このときの底面プレートの上昇量に対応する値を検知する第1の検知手段と、第1の検知手段で検知した値に基づき基準値を補正する第1の補正手段を具備する用紙残量検知装置が記載されている。より具体的には、上昇量に対応する値は、底面プレートを上昇させるのに要する時間、又は、モータの作動量であることが記載されている。この構成により、装置の機差や部品の経時変化等の影響を軽減し、より正確に用紙残量を検知しようとする(特許文献1:請求項1〜3、段落[0026]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−210763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
用紙残量の検知方式は多様である。例えば、積載された用紙の高さに連動して機械的に用紙残量を検知する場合がある。又、例えば、複数のフォトセンサを並べて配置し、積載された用紙の高さを検知し、用紙残量を検知する場合もある。
【0006】
又、給紙ローラが用紙の上方に位置する場合、給紙ローラと最上位の用紙が接するように、載置板を下限位置からモータで上昇させる場合がある。用紙の積載量により、載置板の下限位置から上限位置までの移動量は変わる。そこで、用紙残量検知は、上限位置に到達するまでの載置板の移動量(モータの動作時間や、動作量、回転角度)を用いてなされることがある。特許文献1記載の発明も、載置板の移動量により用紙残量を検知する。
【0007】
しかし、載置板の移動量を用いて用紙残量を検知すると、下限位置から上限位置に到達するまで、載置板を移動させる(十分にモータを動作させる)必要がある。そのため、用紙残量検知に時間を要するという問題がある。又、モータを動作させることにより、騒音が生ずるという問題もある。特に、載置板の上昇量が多い場合(用紙の残量が少ない場合や大容量の給紙部の場合)ほど、用紙残量検知に時間を要し、騒音は大きくなる。
【0008】
そして、用紙残量検知に時間を要する問題や、騒音の問題は、省電力モードで影響が大きくなる。通常、画像形成装置は、一定の条件を満たすと、画像形成装置を構成する部分のうち、一部への電力供給を停止する省電力モード(「スリープモード」等、様々な呼び名がある)を備える。画像形成装置は、例えば、最後のジョブ実行から所定時間用いられないと省電力モードに移行する。そして、省電力モードでは、給紙部や、モータや、モータのON/OFFや用紙残量を検知する制御素子への電力供給が停止されることがある。
【0009】
ここで、給紙部への用紙補給や用紙交換等は、省電力モードでも、各使用者により随時行われる。一方で、画像形成装置のモードを問わず、例えば、画像形成装置と通信可能に接続されるコンピュータ(例えば、画像形成装置をプリンタとして利用するユーザのコンピュータや、画像形成装置を管理する管理コンピュータ)で、正確に用紙残量を確認したいという要請がある。任意の時点で、正確な用紙残量確認できるようにするには、省電力モードでも用紙残量の検知を行う必要がある。
【0010】
ところが、省電力モードでは電力供給が停止されるので、省電力モードで用紙残量検知を行うには、一時的に給紙部やモータや制御素子等への電力供給を再開する必要がある。しかし、従来のように、モータの動作時間や動作量に着目して用紙残量を検知すると、検知に時間を要する。そのため、省電力モードでの一時的な電力供給時間が長くなり、十分な省エネ効果が得られなくなる。又、画像形成装置自体は休止状態なので、載置板を上昇させると騒音は大きく感じられてしまう。
【0011】
尚、特許文献1記載の画像形成装置は、モータの動作時間や動作量に着目して用紙残量を検知する。従って、上述した用紙残量検知に時間を要する問題や、騒音の問題を解決することはできない。尚、省電力モードについての記載は、特許文献1にない。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、用紙残量検知に要する時間を減らすとともに、騒音を生じさせず用紙残量を検知することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る画像形成装置は、複数の用紙が積載される載置板と、用紙を送り出す給紙ローラと、前記載置板に積載された用紙が前記給紙ローラと接するように、前記載置板を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータと、前記リフトモータの逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部と、前記電圧出力部の出力電圧値を認識し、前記出力電圧値に基づき、前記載置板に載置された用紙の残量を検知する検知処理部と、を含むこととした。
【0014】
負荷の大きさ(重さ)に応じモータの逆起電圧は変化するところ、この構成によれば、検知処理部は、電圧出力部の出力電圧値に基づき、載置板に載置された用紙の残量を検知する。これにより、駆動時間や動作量を測定するため、モータを回転させ続ける場合に比べて、リフトモータをONする時間を遙かに短くして、用紙残量を短時間で検知することができる。又、リフトモータが動作することにより生ずる騒音も無くすことができる。
【0015】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、電力供給を行い、省電力モードへの移行条件が整うと、少なくとも、前記検知処理部への電力供給を停止する電源部と、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも前記電源部から前記検知処理部への電力供給を再開させる監視部と、を含み、前記省電力モードで、前記監視部は、定期的に、前記電源部から前記検知処理部への電力供給を一時的に再開させ、前記検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、前記リフトモータを動作させ、用紙の残量を検知することとした。
【0016】
この構成によれば、省電力モードで、監視部は、定期的に、電源部から検知処理部への電力供給を一時的に再開させ、検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、リフトモータを動作させ、用紙の残量を検知する。これにより、省電力モードでも用紙残量検知を行うことができる。しかも、用紙残量検知に要する時間が、駆動時間や動作量を測定するためモータを回転させ続ける場合に比べて短くて済むので、省電力モードで電力供給を行う時間を短く済ますことができる。従って、省電力モードで電力供給を一時的に行っても、騒音の問題は生じず、消費電力を少なく済ますことができ、省電力モードの省エネ効果を損なわない。
【0017】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記出力電圧値に対しての用紙残量を定めた用紙残量検知データを記憶する記憶部を有し、前記検知処理部は、前記用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知することとした。
【0018】
この構成によれば、検知処理部は用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知する。これにより、検知処理部は、出力電圧値と用紙残量検知データを照らし合わせて、容易に用紙残量を検知することができる。
【0019】
又、請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値を記憶し、前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態での前記出力電圧値と、前記第1出力値との差に基づき、参照する前記用紙残量検知データを変更することとした。
【0020】
モータの特性には個体差が存在するところ、この構成によれば、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態での出力電圧値と、第1出力値との差に基づき、用紙残量検知データを変更する。これにより、個体ごとにモータの特性にばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。
【0021】
又、請求項5に係る発明は、請求項3の発明において、前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値と、前記載置板に満杯まで用紙を積載した満杯状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第2出力値と、を記憶し、前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態と前記満杯状態に対応する前記出力電圧値のレンジと、前記第1出力値と前記第2出力値のレンジとを確認して参照する前記用紙残量検知データを変更することとした。
【0022】
この構成によれば、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態と満杯状態に対応する出力電圧値のレンジと、第1出力値と第2出力値のレンジを確認し、参照する用紙残量検知データを変更する。個体ごとのモータの特性のばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。
【0023】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、電源とグランド間に、前記リフトモータと抵抗の直列回路が接続され、前記電圧出力部は、前記リフトモータへの入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、前記直列回路での前記リフトモータと抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路を含むこととした。
【0024】
この構成によれば、電圧出力部は、リフトモータへの入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、直列回路でのリフトモータと抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路である。このように回路を構成することで、モータの逆起電圧の大きさにより、電圧出力部の出力は変化する。従って、モータの逆起電圧の大きさに基づいて、用紙残量を検知することができる。尚、本発明は、電圧出力部の好適例の1つを示す。
【0025】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、外部と通信するための通信部を有し、前記通信部は、前記検知処理部が検知した用紙残量を情報として外部に出力することとした。
【0026】
この構成によれば、通信部は、検知処理部が検知した用紙残量を情報として外部に出力する。これにより、省電力モードであろうとなかろうと、正確な用紙残量を情報として外部に与えることができる。
【0027】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至7の発明において、前記リフトモータは、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータであることとした。
【0028】
この構成によれば、リフトモータは、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータである。これにより、逆起電圧が大きいほど用紙残量が多く、逆起電圧が小さいほど用紙残量が少ないことになり、逆起電圧の大きさに基づいて、比例的に用紙残量を検知することができる。尚、本発明は、リフトモータの好適例の1つを示す。
【発明の効果】
【0029】
上述したように、本発明によれば、用紙残量検知に要する時間が少なく、騒音を生じさせず用紙残量を検知する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係る複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図2】実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る給紙部の制御系統の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る電力供給系統の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る割込を説明するためのブロック図である。
【図6】実施形態に係る用紙残量検知のための構成の一例を示すブロック図である。
【図7】実施形態に係る電圧出力部の構成の一例を示す回路図である。
【図8】実施形態に係る電圧出力部の出力電圧値の一例を示すグラフである。
【図9】実施形態に係る用紙残量検知データの一例を示す説明図である。
【図10】実施形態に係る用紙残量表示画面の一例を示す説明図である。
【図11】実施形態に係る複合機での省電力モードでの用紙残量検知の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】実施形態に係る検知された用紙残量検知での補正の概念の一例を示す説明図である。
【図13】実施形態に係る検知された用紙残量検知の補正用設定画面の一例を示す説明図である。
【図14】他の実施形態の画像形成装置の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図1〜図13を用いて説明する。尚、本実施形態では複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0032】
(複合機100の概略構成)
まず、図1を用いて本発明の実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は本発明の実施形態に係る複合機100の一例を示す模型的正面断面図である。
【0033】
本実施形態の複合機100は、最上部に、原稿搬送装置2が設けられる。原稿搬送装置2は、積載された原稿を1枚ずつ画像読取部3の読取位置に搬送する。又、原稿搬送装置2は、紙面奥側に支点が設けられ(不図示)、上方に持ち上げて開けられる。例えば書籍等の原稿を画像読取部3の上面の載置読取用コンタクトガラス32に載せることができる。
【0034】
次に、図1に破線で示すように、正面上方にコピー等の印刷の設定を行うため入力部として機能し、各種情報を表示する操作パネル4が設けられる。操作パネル4は、タッチパネル式の液晶表示部41の他、電源キー42、節電キー43、テンキー部44、スタートキー45等の複数のキーを含む。
【0035】
液晶表示部41は、印刷に関する表示を行い、複合機100での印刷やエラー等の状態の表示を行う他、例えば、印刷に用いる用紙サイズや、拡大縮小、濃度設定等の複合機100での機能設定用のキー、ボタンを表示する。そして、タッチパネルによる押下位置座標の検出で、液晶表示部41に表示されたキーやボタンを使用者が押したことが操作パネル4で認識される。これにより、使用者は、複合機100の各種機能について設定することができる。
【0036】
電源キー42は複合機100の主電源のON/OFFを指示するためのキーである。節電キー43は複合機100の省電力モードの移行指示を行うためのキーである。又、節電キー43は省電力モードから通常モードへの復帰指示を行うためのキーとして用いてもよい。テンキー部44は、0〜9、※、♯の数字、記号のキーを組み合わせて構成され印刷部数入力や、FAX番号入力など、数字入力を行う際に使用される。スタートキー45は、液晶表示部41やテンキー部44等で設定完了後、動作開始を指示する際に押される。
【0037】
また、複合機100本体に、画像読取部3、給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6B等が設けられる。画像読取部3は、原稿を読み取り画像データを生成する。そして、画像読取部3の上面にコンタクトガラス(31と32の2種)が設けられ、その内部には、水平方向(図1で言えば、左右方向)で移動する移動枠(露光ランプ、ミラー等を具備)、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(いずれも不図示)が設けられる。例えば、原稿搬送装置2で連続的に搬送される原稿を読み取る場合、送り読取用コンタクトガラス31の下方に移動枠を固定し、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサに導く。又、載置読取用コンタクトガラス32に載置された原稿を読み取る場合、移動枠を水平方向に移動させ、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサに導く。
【0038】
そして、画像読取部3は、これら光学系部材を用い、原稿に光を照射し、原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。そして、複合機100は読取られた画像データに基づき印刷可能である(コピー機能)。
【0039】
本実施形態の複合機100では、給紙部1は、画像形成用の用紙を収容、供給するカセット10を含む。カセット10は、各種(例えば、普通紙、コピー用紙、再生紙等)、各サイズ(例えば、A4、A3、B4、B5、レターサイズ等)の用紙を複数(例えば、500〜1000枚程度)積載して収容する。尚、給紙部1の下方に、更に複数段の給紙部1を取り付け、用紙収容能力を高めることができる。
【0040】
給紙部1には、図1に示すように、カセット10内に用紙を載置するための載置板11と、載置板11の上方に、載置された用紙の内、最上位の用紙と接する給紙ローラ12が設けられる。給紙ローラ12は、上下方向に移動(揺動)可能である。載置板11は、搬送方向上流側の端部が支点となり、用紙搬送方向下流側の端部が自由端となり、自由端が上下方向に移動する。又、載置板11の用紙の有無を検知するための用紙切れセンサ13(例えば、反射型又は透過型の光センサ)を載置板11の下方に設けることができる。
【0041】
載置板11を上昇させるため、給紙部1には、シャフト14、押し上げ部材15、リフトモータ16(図3参照)等が設けられる。シャフト14は各載置板11の下方に設けられ、用紙搬送方向と垂直な方向に伸びる。そしてシャフト14には、板状で、載置板11の下面に接する押し上げ部材15が取り付けられる。リフトモータ16は、シャフト14を回転させ、押し上げ部材15の角度を変化させ載置板11を上昇させる。
【0042】
カセット10は、用紙補給のため挿脱可能である。カセット10が複合機100から外されると、押し上げ部材15は倒れ付す。一方、カセット10が複合機100に取り付けられると、リフトモータ16が回転し、載置板11が押し上げられる。そして、カセット10が、取り付けられているか、取り外されているか(引き出されているか)を検知するため、挿脱検知センサ17が設けられる(例えば、カセット10の一面と接するインターロック式のスイッチや、反射式の光センサ)。
【0043】
又、載置板11(給紙ローラ12とも言える)が上限位置に到っていることを検知するため、上限検知センサ18が設けられる(例えば、透過型の光センサ)。給紙ローラ12に設けられた突起が、給紙ローラ12の上昇により上限検知センサ18の凹み部分にはまると、上限検知センサ18の出力が変化する(上限検知)。上限検知センサ18が給紙ローラ12の上限到達を検知するまでリフトモータ16が回転し、載置板11が押し上げられる。又、印刷により用紙が消費され、上限検知センサ18が給紙ローラ12の上限到達を検知しなくなると、リフトモータ16が回転し、載置板11が押し上げられる。その結果、常時、最上位の用紙と給紙ローラ12とが接する状態となる。
【0044】
次に、搬送路5は、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路5には、用紙搬送時に回転駆動する複数の搬送ローラ対51(図1では、上流側から51a〜51eの計5つを図示)や、搬送される用紙を画像形成部6の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせ送り出すレジストローラ対52等が設けられる。
【0045】
画像形成部6は、画像データに基づき給紙部1から給紙された用紙に画像(トナー像)を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。尚、画像データには、画像読取部3で取得された原稿の画像データや、複合機100に接続されるコンピュータ200(図3参照)からの送信画像データが利用される。そして、画像形成部6は、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム61や、その周囲に配設された帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラ65、クリーニング装置66等を備える。
【0046】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部6の略中心で、所定方向に回転駆動する感光体ドラム61を、図1において、感光体ドラム61の上方の帯電装置62で所定電位に帯電させる。露光装置63は、画像データに基づき、レーザ光Lを出力し、図1において、帯電装置62の右側から感光体ドラム61表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0047】
そして、図1において、感光体ドラム61の右の現像装置64は、感光体ドラム61に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム61の下方の転写ローラ65は感光体ドラム61に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラ対52がタイミングを図り用紙をニップに進入させる。用紙とトナー像のニップ進入時、転写ローラ65には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム61上のトナー像が転写される。クリーニング装置66は、転写後に感光体ドラム61に残留するトナー等を除去する。
【0048】
定着部6Bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部6Bは、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ67と加圧ローラ68で構成される。加熱ローラ67と加圧ローラ68は圧接しニップを形成する。そして、用紙がこのニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は排出トレイ69に排出される。
【0049】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図2に示すように、本実施形態に係る複合機100は、各種素子、回路等を組み合わせて構成される主制御部7(制御基板)を有する。そして、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8、原稿搬送装置2、監視部9などが、主制御部7と通信可能に接続される。主制御部7は、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8、原稿搬送装置2、監視部9と通信を行い、動作を制御し、又、情報を得る。
【0051】
主制御部7は、例えば、メインCPU71、記憶部72、画像処理部73などを含む。メインCPU71は、主制御部7の演算処理装置で、記憶部72に記憶されるデータやプログラムに基づき、処理、制御を行う。記憶部72は、例えば、不揮発性の記憶装置(フラッシュROMやHDD)と、揮発性の記憶装置(例えば、RAM)とを組み合わせて構成される。記憶部72は、コピー、送信等、各種制御に要するデータ、プログラムを記憶する。
【0052】
画像処理部73は、画像読取部3で生成された画像データや、外部から入力された画像データに対し画像処理を施す。例えば、画像処理部73は、画像処理専用のASICや画像処理用のメモリで構成される。画像処理後の画像データを、印刷のため露光装置63に送ることもできるし(コピー機能、プリンタ機能)、記憶部72のHDDに記憶することもできるし(スキャナ機能)、後述の監視部9を介して、通信部95から外部(コンピュータ200、FAX装置300等)に送信することもできる(スキャナ機能、FAX機能)。尚、画像処理部73が行える画像処理は、拡大・縮小処理や、濃度変更等、多岐にわたるので、公知の画像処理を実行できるとして詳細は割愛する。
【0053】
又、印刷に関し制御を行うエンジン制御部8が、複合機100内に設けられる。エンジン制御部8は、上述した原稿搬送装置2、各給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6Bの動作を制御する。そして、エンジン制御部8内には、例えば、制御素子としてのエンジンCPU81や記憶部82が設けられる。エンジン制御部8は、主制御部7の指示を受け、各給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6Bの動作を制御する。例えば、エンジン制御部8は、給紙、搬送、トナー像形成、定着部6Bの温度制御などの制御を行う。又、エンジン制御部8は、監視部9と通信可能に接続される。
【0054】
又、監視部9が、複合機100での電力管理や外部との通信を行う部分として設けられる。監視部9は、複合機100内の各部への電力供給を制御する。例えば、監視部9には、例えば、コントローラ91や、監視部9用のデータやプログラムを記憶するメモリ92が設けられる。
【0055】
又、電源部90は、例えば、商用電源と接続され、整流回路、昇圧回路、降圧回路等を有し、複合機100の動作に要する複数種の電圧を生成する(例えば、各種モータ駆動用のDC24Vや、各種制御部駆動用のDC5Vや3.3Vなど)。そして、監視部9は、各部(主制御部7やエンジン制御部8など)への電力供給のON/OFFを行うためのスイッチ部93を有する。監視部9は、スイッチ部93により、電源部90から各部への電力供給線の開閉を行い、各部への電力供給のON/OFFを制御する。割込I/F部94は、複合機100に、操作、入力が行われたことを検知する割込発生部からの割込を受信する(詳細は後述)。監視部9は、複合機100が省電力モードであるとき、割込をトリガとして、主制御部7や各部への電力供給を再開し、通常モードとなる(詳細は後述)。
【0056】
通信部95は、外部のコンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)やFAX装置300とネットワーク、回線、ケーブル等を通じて通信を行うためのインターフェイスである。そのため、通信部95は、各種コネクタや通信用の回路、素子、コントローラ91等を含む。主制御部7は、この通信部95を介した通信により、外部のコンピュータ200やFAX装置300から印刷用のデータを受信でき、外部のコンピュータ200やFAX装置300に画像データを送信できる。省電力モードのとき、外部からのデータを通信部95が受信すると、監視部9は、複合機100を通常モードに復帰させる。
【0057】
(給紙部1の制御系統)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態の給紙部1の制御系統の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る給紙部1の制御系統の一例を示すブロック図である。
【0058】
まず、エンジン制御部8は、給紙部1に含まれるモータ、回路の制御や、センサに基づく検知を行う。例えば、エンジン制御部8は、用紙サイズセンサ110の出力を受け、収容される用紙のサイズを検知する。又、エンジン制御部8は、用紙切れセンサ13の出力を受け、用紙切れを検知する。又、エンジン制御部8は、上限検知センサ18の出力を受け、載置板11(給紙ローラ12)が上限にまで持ち上げられたことを検知する。又、エンジン制御部8は、給紙モータ121を動作させ、給紙ローラ12を回転させ、給紙を行わせる。又、エンジン制御部8は、リフトモータ16により、載置板11(給紙ローラ12)が上限に到達するまで、載置板11を上昇させる。又、エンジン制御部8は、電圧出力部19の出力を受け、用紙残量を検知する。
【0059】
そして、主制御部7は、エンジン制御部8に印刷を行う指示を与え、エンジン制御部8は、動作指示に基づき、給紙部1の動作を制御する。又、エンジン制御部8から主制御部7や監視部9に向けて、給紙部1の状態を示すデータ(例えば、用紙切れや収容用紙サイズや用紙残量等)を送信することができる。これにより、主制御部7や監視部9は、給紙部1の状況を認識でき、外部に状況を知らせることができる。
【0060】
(電力供給系統の概要)
次に、図4を用い、本発明の実施形態に係る電力供給系統の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る電力供給系統の一例を示すブロック図である。尚、図4での実線矢印は、電力供給経路の一例を示している。
【0061】
上述したように、監視部9は、電源部90が生成する各種電圧の各部への電力供給を制御する。監視部9は、例えば、主制御部7と、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8に対する電力の供給を制御する。エンジン制御部8に接続される原稿搬送装置2、各給紙部1、搬送路5、画像形成部6、定着部6Bは、エンジン制御部8が電力供給を受けると(エンジン制御部8経由で)、電力供給を受ける。従って、エンジン制御部8への電力供給停止により、給紙部1等への電力供給も停止される。尚、スイッチ部93を電源部90側に設け、監視部9がスイッチ部93に指示を与えつつ、電源部90が実際の電力の供給制御を行うようにしてもよい。
【0062】
(通常モードと省電力モードの遷移)
次に、図4、図5を用い、本発明の実施形態に係る複合機100での通常モードと省電力モードの遷移の概要を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る割込を説明するためのブロック図である。
【0063】
本実施形態の複合機100は、例えば、電源部90や監視部9が、主制御部7と、画像読取部3、操作パネル4、エンジン制御部8などの全ての部分に電力供給を行う通常モードを有する。通常モードでは、電源部90や監視部9は、エンジン制御部8に電力供給を行い、給紙部1等を制御可能な状態で保つ。
【0064】
しかし、複合機100を使用していない待機状態でも、通常モードでは、定着部6Bの温度維持や各種制御部の駆動、一定の電力は消費される。一方で、省エネの観点から、待機状態での消費電力(待機電力)は、小さいことが好ましい。そのため、本実施形態の複合機100は、通常モードよりも消費電力を減らす省電力モードを有する。
【0065】
そこで、通常モードから省電力モードへの移行を説明する。主電源投入によって複合機100が起動したときや、省電力モードから通常モードに移行したとき、通常モードが始まる。そして、通常モードでは、条件が満たされると、省電力モードに移行する。通常モードから省電力モードへの移行条件は、任意に設定できる。例えば、操作パネル4の節電キー43が押されたことを、省電力モードへの移行条件とすることができる。主制御部7は、操作パネル4と通信して、節電キー43が押されたかを確認して、条件が満たされたかを確認する。
【0066】
又、例えば、待機状態が所定時間続いたことも、通常モードから省電力モードへの移行条件とすることができる。主制御部7は、予め定められた起点(例えば、ジョブ終了時点やウォームアップ終了時点など、複数種)から、複合機100への操作や入力がないまま(後述の割込がないまま)、一定時間(例えば、数分〜数十分。操作パネル4で設定可能。例えば、主制御部7が計時)経過したかを確認する。例えば、主制御部7は、各部と通信を行い、或いは、各部のセンサの出力を受け、原稿搬送装置2への原稿載置、原稿搬送装置2の開閉、操作パネル4への操作入力、通信部95への外部からの画像データの入力等、複合機100への操作、入力の有無を確認する。
【0067】
通常モードから省電力モードへの移行条件を満たすと、主制御部7から監視部9や電源部90に向けて、移行指示がなされる。これを受けて、監視部9や電源部90は、主制御部7やエンジン制御部8等への電力供給を停止する。複合機100は、省電力モードとなる。省電力モードでは、例えば、監視部9と、使用者による複合機100への操作や入力を検知し、省電力モードから通常モードへの移行のトリガとしての割込を発生させる割込発生部にのみ電力が供給される。例えば、エンジン制御部8は動作を停止し、給紙部1に電力が供給されない状態となる。
【0068】
次に、図5を用いて、省電力モードから通常モードへの復帰(移行)の一例を説明する。省電力モードに入ると、監視部9は、各割込発生部からの割込を受けたか(割込I/F部94が割込を受けたか)を確認する。そして、割込があると、監視部9は複合機100の状態を省電力モードから通常モードへ移行させる。
【0069】
監視部9は、使用者による複合機100に対する操作、入力や外部からのデータの入力を割込(トリガ)として受ける。割込があれば、監視部9や電源部90は、主制御部7やエンジン制御部8等、全ての部分への電力供給を再開し、複合機100を省電力モードから通常モードに復帰させる。
【0070】
そこで、図5を用いて、各種割込を説明する。例えば、監視部9での割込発生部としては、通信部95がある。通信部95は、外部のコンピュータ200からの印刷用データ(画像データや印刷設定データ)を受信した場合、FAXデータの入力を受けた場合、割込を発生する(図5における割込A)。又、操作パネル4も割込発生部とできる。タッチパネルへのタッチや、いずれかのキー(例えば、節電キー43)が押されると、操作パネル4は、割込を発生し、監視部9に入力する(図5における割込B)。
【0071】
又、割込発生部としては、例えば、カバーの開閉を検知するカバー開閉検知センサ53がある(図1参照)。カバー開閉検知センサ53は、メンテナンスや消耗品交換や紙詰まり処理のため、筐体のカバーの操作(開閉)状態により出力が変化する。カバー開閉検知センサ53は、カバーの開閉を検知すると、割込を発生し、監視部9に入力する(図5における割込C)。
【0072】
又、原稿搬送装置2における割込発生部としては、例えば、原稿載置トレイ21への原稿載置を検知する原稿載置検知センサ22(図1参照、図5における割込D)や、原稿搬送装置2の上げ下げを検知する開閉検知センサ23(図1参照、図5における割込E)がある。原稿載置検知センサ22は、原稿が載置されていることを検知するため、原稿載置トレイ21に設けられる(図1参照)。原稿載置検知センサ22は、例えば、光センサであり、原稿載置時と原稿が載置されていないときで出力が変化する。又、開閉検知センサ23(図1に破線で図示)が、原稿搬送装置2が開いているか、閉じられているかを検知するために設けられる。例えば、開閉検知センサ23は、原稿搬送装置2の下面と接するインターロック式のスイッチでもよいし、反射式の光センサでもよく、開閉状態を検知できればよい。原稿載置検知センサ22や、開閉検知センサ23は、コピー等のため、原稿搬送装置2への操作(原稿載置や上げ下げ)を検知すると、割込を発生し監視部9に入力する。
【0073】
尚、通常モードの場合は、割込の発生やその内容は、監視部9から主制御部7に伝達されてもよいし、各種センサ等の出力が主制御部7にも入力されるようにしてもよい。
【0074】
図5に示す例では、通信部95、節電キー43、カバー開閉検知センサ53、原稿載置検知センサ22、などが割込発生部に該当するが、更に、他種の割込発生部が設けられてもよい。又、省電力モードでも使用者の操作、入力を検知するため、省電力モードへの移行によって、主制御部7やエンジン制御部8等への電力供給が停止しても、各割込発生部に対しては、電力供給が行われ続ける。
【0075】
(残量検知の概要)
次に、図6を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での用紙の残量検知の概要を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る用紙残量検知のための構成の一例を示すブロック図である。
【0076】
モータ用の電圧を生成した電源部90からリフトモータ16への電力供給のON/OFFを制御するため、モータスイッチ83が設けられる。エンジン制御部8は、モータスイッチ83によりリフトモータ16を制御(ON/OFF)する。そして、モータスイッチ83をONしてリフトモータ16が動作すると、逆起電圧がリフトモータ16で生ずる。
【0077】
本実施形態のリフトモータ16は、例えば、DCモータ(ブラシ付き)である。このDCモータは、負荷(トルク)に比例して逆起電圧が大きくなる。即ち、リフトモータ16は、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータである。そして、電圧出力部19は、リフトモータ16の逆起電圧の大きさに応じて異なる電圧を出力する。この電圧出力部19の出力電圧値に基づき、エンジン制御部8は、用紙残量検知を行う。
【0078】
(電圧出力部19の構成)
次に、図7を用いて、本発明の実施形態に係る電圧出力部19の構成の一例を説明する。図7は本発明の実施形態に係る電圧出力部19の構成の一例を示す回路図である。
【0079】
まず、電源(例えば、DC24V)からリフトモータ16への電力供給経路の途中にモータスイッチ83が設けられる。図7に示すように、モータスイッチ83は、p型トランジスタで構成される。p型トランジスタには、抵抗R1と抵抗R2からなる直列回路と、リフトモータ16と抵抗R3からなる直列回路が並列に接続される。
【0080】
電圧出力部19は、複数の抵抗と、バッファ191からなる差動増幅回路190を含む。差動増幅回路190は、バッファ191と、バッファ191の一方の入力端に接続された抵抗R4と抵抗R5(帰還用)と、バッファ191の他方の入力端に接続された抵抗R6と抵抗R7からなる。
【0081】
差動増幅回路190への一方の入力として、リフトモータ16と抵抗R3の間の電圧が入力される。差動増幅回路190への他方の入力として、抵抗R1と抵抗R2の間の電圧(ほぼ電源電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧した電圧)が入力される。
【0082】
ここで、モータスイッチ83とリフトモータ16間の電圧(トランジスタのエミッタ電圧)をVb[V]、リフトモータ16の逆起電圧をEc[V]、リフトモータ16の内部抵抗をRa[Ω]とする。そして、抵抗R1と抵抗R2の間の電圧をV1とすると、V1=R2/(R1+R2)×Vbとなる。一方、リフトモータ16と抵抗R3の間の電圧をV2とすると、V2=R3/(R3+Ra)×(Vb−Ec)となる。
【0083】
ここで、本実施形態の差動増幅回路190は、例えば、抵抗R4=抵抗R5=抵抗R6=抵抗R7とされる。そうすると、差動増幅回路190(電圧出力部19)は、V1とV2の差を出力する。言い換えると、電圧出力部19は、V1とV2の差をエンジン制御部8に出力する回路となる。
【0084】
具体的に、電圧出力部19の出力Vout(出力電圧値)は以下の式で求められる。
Vout=V1−V2
=R2/(R1+R2)×Vb−R3/(R3+Ra)×(Vb−Ec)
=R2/(R1+R2)×Vb−R3/(R3+Ra)×Vb+R3/(R3+Ra)×Ec
ここで、本実施形態の電圧出力部19は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3は、以下の関係となるように調整される。
抵抗R1:内部抵抗Ra=抵抗R2:抵抗R3
【0085】
そうすると、Voutは、以下の通りとなる。
Vout=R3/(R3+Ra)×Ec
=R2/(R1+R2)×Ec
各抵抗の値を定数として扱うと、本実施形態の電圧出力部19は、リフトモータ16の逆起電圧Ecに比例した電圧を出力する。そして、エンジン制御部8は、エンジンCPU81のA/D変換ポートや、別途設けられたA/D変換器を用いて、例えば、電圧出力部19から出力されるアナログ電圧をディジタルデータに変換し、出力電圧値を認識する。即ち、電源とグランド間に、リフトモータ16と抵抗(R3)の直列回路が接続され、電圧出力部19は、リフトモータ16への入力電圧を抵抗(R1、R2)で分圧して生成された基準電圧(V1)と、直列回路でのリフトモータ16と抵抗(R3)の間の電圧(V2)と、を比較する差動増幅回路190を含む。
【0086】
(電圧出力部19の出力電圧値)
次に、図8を用いて、本発明の実施形態に係る電圧出力部19の用紙残量に応じた出力変化の一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る電圧出力部19の出力電圧値の一例を示すグラフである。
【0087】
図8のグラフは、用紙が少ないとき(実線で示すグラフ)と、用紙が少ない場合よりも多い用紙残量のとき(実線で示すグラフのときよりも用紙残量が多いとき、破線で示すグラフ)の電圧出力部19の出力電圧値の差の一例を示している。そして、図8のグラフは、縦軸が電圧出力部19の出力電圧値の大きさを示し、横軸はリフトモータ16をONしてからの時間を示す。
【0088】
給紙部1内の用紙が多いほど、用紙束は重くなる。従って、給紙部1内の用紙が多いときの方が、リフトモータ16に対する負荷(リフトモータ16のトルク)は大きくなる。そして、本実施形態のリフトモータ16は、DCモータで、出力すべきトルクの大きさに比例して、逆起電圧が大きくなる。
【0089】
例えば、図8のグラフのうち、T1の時点でリフトモータ16をONしたとする。尚、T2は、OFFした地点である。そして、図8のグラフに示すように、本実施形態の電圧出力部19は、リフトモータ16の負荷(トルク)が大きいときの方が、小さいときよりも出力電圧値(Vout)は、大きい(実線矢印区間と破線矢印区間の差)。そこで、エンジン制御部8は、リフトモータ16をONしてから、電圧出力部19の出力電圧値が落ち着く所定時間t1経過後に出力電圧値を認識する。リフトモータ16の特性によるが、例えば、所定時間t1は数百ミリ秒でよい。従って、エンジン制御部8は、リフトモータ16が回転しない、あるいは微少に回転する程度の時間だけ、リフトモータ16をONすれば、残量検知を行える。
【0090】
(用紙残量検知)
次に、図9を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での用紙残量検知の一例を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る用紙残量検知データの一例を示す説明図である。
【0091】
エンジン制御部8は、電圧出力部19の出力電圧値を認識すると、出力電圧値に基づいて、用紙残量を検知する。エンジン制御部8は、例えば、図9に示すような、用紙残量検知データを参照して用紙残量を検知する。用紙残量検知データは、電圧出力部19の出力電圧値に対し、段階的に用紙残量のレベルを定めたテーブルデータである。用紙残量検知データは、例えば、エンジン制御部8の記憶部82に記憶され、エンジンCPU81が用紙残量検知データを参照して用紙残量を検知する。
【0092】
具体的に、用紙残量検知データは、出力電圧値の範囲に対し、用紙残量を段階的に定める。本実施形態では、用紙残量は、10段階(10レベル)で検知される。尚、用紙切れ(用紙残量0%)は、用紙切れセンサ13により検知される。又、用紙残量の段階数(レベル数)を減らしてもよいし(例えば、4段階や5段階)、更に細かい段階で検知されてもよい(例えば、5%刻みであれば20段階、1%刻みであれば100段階)。更に、用紙残量検知データは、テーブルデータではなく、用紙残量を求めるための関数でもよい。
【0093】
即ち、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、出力電圧値に対しての用紙残量を定めた用紙残量検知データを記憶する記憶部72を有し、検知処理部(エンジン制御部8)は、用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知する。
【0094】
(用紙残量表示)
次に、図10を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での用紙残量表示の一例を説明する。図10は、本発明の実施形態に係る用紙残量表示画面S1の一例を示す説明図である。
【0095】
図10は、例えば、操作パネル4の液晶表示部41や、通信部95を介して複合機100に通信可能に接続されるコンピュータ200のディスプレイに表示される用紙残量表示画面S1の一例である。用紙残量表示画面S1では、用紙サイズなどとともに、用紙残量が目盛で表示される。この用紙残量表示画面S1では、1レベルあたり1つの目盛とされる。図10に示すように、目盛数は10個まで表示される(図10は、ほぼ満杯の状態を例示)。そして、例えば、目盛が1つや2つに成っていれば、使用者は、そろそろ用紙の補充が必要と判断できる。尚、用紙切れの場合は、目盛は表示されず、代わりに「用紙切れ」等の文字が表示される。
【0096】
(省電力モードでの用紙残量検知)
次に、図11を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での省電力モードでの用紙残量検知を説明する。図11は、本発明の実施形態に係る複合機100での省電力モードでの用紙残量検知の流れの一例を示すフローチャートである。
【0097】
まず、省電力モードでの用紙残量検知の背景を説明する。省電力モードでは、エンジン制御部8や、エンジン制御部8から電力供給を受ける給紙部1や画像形成部6に対して、電力の供給はなされない。省電力モードでは、基本的に、監視部9と割込発生部に対してのみ電力供給がなされる。そのため、従来、省電力モードでは、用紙残量検知を行っていなかった。
【0098】
更に、従来、載置板11を下限状態(倒れ付した状態)から、給紙ローラ12を上限位置まで持ち上げた状態までのモータの駆動量(駆動時間や回転数)に基づいて用紙残量を検知していた。そのため、用紙残量検知のときの、騒音や、用紙残量検知に一定の時間を要することによる電力消費の問題も、省電力モードで用紙残量検知を行わない理由であった。
【0099】
しかし、複合機100を管理するコンピュータ200(管理用コンピュータや各使用者のパーソナルコンピュータ)で、複合機100が省電力モードでも、用紙補給や用紙交換の必要性を判断するため、ある程度正確な用紙残量を確認したいという要求がある。そこで、本実施形態の複合機100は、省電力モードでも定期的にエンジン制御部8に対して電力供給を一時的に再開し、エンジン制御部8に給紙部1の用紙の情報(用紙残量やサイズ)を取得させる。即ち、本発明の画像形成装置(例えば、複合機100)は、外部と通信するための通信部95を有し、通信部95は、検知処理部(エンジン制御部8)が検知した用紙残量を情報として外部に出力する。
【0100】
省電力モードで、エンジン制御部8が取得した情報は、監視部9に与えられ、監視部9から外部のコンピュータ200に対し用紙残量等の情報が与えられる。これにより、省電力モードでも正確な用紙残量等の情報を外部のコンピュータ200等に与えることができる。又、省電力モードから通常モードに戻ったときでも、操作パネル4の液晶表示部41に直ちに正確な用紙残量等の情報を表示することができる。
【0101】
そこで、図11に基づき、省電力モードでの用紙残量検知の流れの一例を説明する。本実施形態の複合機100では、省電力モードとなってから、一定時間ごと(例えば、15分)に用紙残量検知が行われる。そして、図11のスタートは、省電力モードとなった時点である。尚、通常モードでは、エンジン制御部8や給紙部1には、電力供給がなされているので、もっと短い周期で用紙残量検知を行うようにしてもよい。
【0102】
例えば、監視部9(省電力モードでも電力供給を受ける)が、一定時間の経過を確認する(ステップ♯1)。尚、別途タイマを設けてもよい。具体的には、省電力モードとなってから一定時間が経過したか、又は、省電力モードでの前回の用紙残量検知から一定時間が経過したか、あるいは、省電力モードでの前回の用紙残量検知のため、エンジン制御部8に電力供給を行ったときから一定時間が経過したか、が確認される。
【0103】
そして、監視部9は、省電力モードで用紙残量検知を行うタイミングか否かの確認を続け(ステップ♯1のNo)、タイミングに至ると(ステップ♯1のYes)、監視部9は、スイッチ部93を制御して、電源部90は、エンジン制御部8に対する電力供給を(一時的に)行う(ステップ♯2)。これにより、エンジン制御部8のセットアップ(起動)が開始される(ステップ♯3)。
【0104】
そして、エンジン制御部8は、リフトモータ16をONする(ステップ♯4)。そして、エンジン制御部8は、電圧出力部19の出力電圧値を認識する(ステップ♯5)。その後、エンジン制御部8は、出力電圧値と、用紙残量検知データに基づき、用紙残量を検知する(ステップ♯6)。即ち、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、複数の用紙が積載される載置板11と、用紙を送り出す給紙ローラ12と、載置板11に積載された用紙が給紙ローラ12と接するように、載置板11を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータ16と、リフトモータ16の逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部19と、電圧出力部19の出力電圧値を認識し、出力電圧値に基づき、載置板11に載置された用紙の残量を検知する検知処理部(エンジン制御部8)と、を含む。より具体的には、画像形成装置は、電力供給を行い、省電力モードへの移行条件が整うと、検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を停止する電源部90と、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも電源部90から検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を再開させる監視部9と、を含み、省電力モードで、監視部9は、定期的に、電源部90から検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を一時的に再開させ、検知処理部(エンジン制御部8)は、電力供給が一時的に再開されたとき、リフトモータ16を動作させ、用紙の残量を検知する。
【0105】
エンジン制御部8は、リフトモータ16をOFFし(ステップ♯7)、監視部9に向けて用紙残量を示すデータを送信する(ステップ♯8)。そして、監視部9は、用紙残量を示すデータを受信すると、エンジン制御部8に対する電力供給を停止する(ステップ♯9)。そして、ステップ♯1に戻る。本制御は、省電力モードから通常モードに移行するまで続けられる。
【0106】
(用紙残量検知の補正)
次に、図12、図13を用いて、本発明の実施形態に係る検知された用紙残量検知での補正を説明する。図12は、本発明の実施形態に係る検知された用紙残量検知での補正の概念の一例を示す説明図である。図13は、本発明の実施形態に係る検知された用紙残量検知の補正用設定画面S2の一例を示す説明図である。
【0107】
リフトモータ16は、特性に個体差を有する。同じ負荷でも、生ずる逆起電圧が、リフトモータ16ごとに異なり得る。そうすると、給紙部1ごとに、同じ量の用紙を載置板11に積載したとしても、電圧出力部19の出力電圧値に差が生じ得る。
【0108】
例えば、図12における中央の縦線は、用紙残量検知データにおける出力電圧値の最大値Vmax1と最小値Vmin1のレンジ(範囲)を示す。言い換えると、理想的な電圧のレンジであり、用紙残量検知データのサンプルとなる理想的なリフトモータ16での出力電圧値の最大値と最小値のレンジを示す。
【0109】
しかし、リフトモータ16の特性によっては、図12における左側の縦線のように、出力電圧値の最大値Vmax2は、理想的なレンジでのVmax1と同じであるが、出力電圧値の最小値Vmin2は、理想的なレンジでのVmax1よりも大きくなる場合がある(小さくなる場合もある)。この左側の縦線で示すレンジ2は、理想的なレンジ1よりもレンジは狭い(広くなる場合もある)。
【0110】
又、リフトモータ16の特性によっては、図12における右側の縦線のように、出力電圧値の最大値Vmax3は、理想的なレンジでのVmax1よりも大きく(小さくなる場合もある)、出力電圧値の最小値Vmin3は、理想的なレンジでのVmax1よりも小さくなる場合がある(大きくなる場合もある)。この右側の縦線で示すレンジ2は、理想的なレンジ1よりもレンジは広い(狭くなる場合もある)。そうすると、理想的なレンジと、実際のリフトモータ16のレンジとの差が大きいほど、検知された用紙残量と、実際の用紙残量との誤差が大きくなりやすい。
【0111】
例えば、本実施形態の複合機100では、負荷(トルク)の大きさに対し、出力電圧値はほぼ線形に変化する。又、残量検知は、所定のレベル(本実施形態では10レベル)に分けて行われる。そこで、エンジン制御部8が、用紙なし状態でリフトモータ16を動作させたときの出力電圧値と、満杯状態でリフトモータ16を動作させたときの出力電圧値と、を測定し、測定されたレンジを、所定のレベル数に分割し、用紙残量検知データを更新して、用紙残量検知での補正を行ってもよい。
【0112】
あるいは、記憶部82に、出力電圧値のレンジが異なる複数種の用紙残量検知データを記憶させておき、エンジン制御部8が、実際に測定されたレンジにあわせて、用いる用紙残量検知データを選択するようにして、用紙残量検知の補正を行ってもよい。
【0113】
出力電圧値の最大値と最小値の測定方法の一例を挙げておく。例えば、操作パネル4を操作して、図13に示すような、用紙残量の検知補正用設定画面S2を表示させる。そして、補正用設定画面S2で表示される手順に従い、給紙部1内の用紙を空に、若しくは、満杯にしてOKキーK1が押されるごとに、操作パネル4から主制御部7経由で、出力電圧値測定の指示がエンジン制御部8に与えられる。そして、エンジン制御部8は、リフトモータ16を動作させ、空状態と満杯状態の出力電圧値を測定する。そして、例えば、測定されたレンジを総レベル数で分割し、レベルごとの閾値を定め、紙残量検知データの更新や選択を行う。
【0114】
尚、出力電圧値の測定は、工場出荷時の検査で行われてもよいが、用紙を満杯状態にすることは、検査上、工数増加につながる。そこで、工場出荷時の検査では、エンジン制御部8は、空状態でリフトモータ16を動作させ、出力電圧値を測定し、空状態の出力電圧値にのみ基づいて、用紙残量検知データの更新や選択をしてもよい。
【0115】
即ち、記憶部72は、載置板11に用紙がない空状態でリフトモータ16を動作させたときの電圧出力値である第1出力値を記憶し、検知処理部(エンジン制御部8)は、用紙残量検知データにおける空状態での出力電圧値と、第1出力値との差に基づき、参照する用紙残量検知データを変更する。あるいは、記憶部72は、載置板11に用紙がない空状態でリフトモータ16を動作させたときの電圧出力値である第1出力値と、載置板11に満杯まで用紙を積載した満杯状態でリフトモータ16を動作させたときの電圧出力値である第2出力値と、を記憶し、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態と満杯状態に対応する出力電圧値のレンジと、第1出力値と第2出力値のレンジとを確認して参照する用紙残量検知データを変更する。
【0116】
このようにして、本発明に係る画像形成装置(例えば、複合機100)は、負荷の大きさ(重さ)に応じモータの逆起電圧は変化するところ、検知処理部(エンジン制御部8)は、電圧出力部19の出力電圧値に基づき、載置板11に載置された用紙の残量を検知する。これにより、駆動時間や動作量を測定するため、モータを回転させ続ける場合に比べて、リフトモータ16をONする時間を遙かに短くして、用紙残量を短時間で検知することができる。又、リフトモータ16が動作することにより生ずる騒音も無くすことができる。
【0117】
又、省電力モードで、監視部9は、定期的に、電源部90から検知処理部(エンジン制御部8)への電力供給を一時的に再開させ、検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、リフトモータ16を動作させ、用紙の残量を検知する。これにより、省電力モードでも用紙残量検知を行うことができる。しかも、用紙残量検知に要する時間が、駆動時間や動作量を測定するためモータを回転させ続ける場合に比べて短くて済むので、省電力モードで電力供給を行う時間を短く済ますことができる。従って、省電力モードで電力供給を一時的に行っても、騒音の問題は生じず、消費電力を少なく済ますことができ、省電力モードの省エネ効果を損なわない。
【0118】
又、検知処理部(エンジン制御部8)は用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知する。これにより、検知処理部は、出力電圧値と用紙残量検知データを照らし合わせて、容易に用紙残量を検知することができる。又、モータの特性には個体差が存在するところ、検知処理部は、用紙残量検知データにおける空状態での出力電圧値と、第1出力値との差に基づき、用紙残量検知データを変更する。これにより、個体ごとにモータの特性にばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。
【0119】
又、検知処理部(エンジン制御部8)は、用紙残量検知データにおける空状態と満杯状態に対応する出力電圧値のレンジと、第1出力値と第2出力値のレンジを確認し、参照する用紙残量検知データを変更する。これにより、個体ごとのモータの特性のばらつきがあっても、正確に用紙残量を検知することができる。又、電圧出力部19は、リフトモータ16への入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、直列回路でのリフトモータ16と抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路190である。このように回路を構成することで、モータの逆起電圧の大きさにより、電圧出力部19の出力は変化する。従って、モータの逆起電圧の大きさに基づいて、用紙残量を検知することができる。
【0120】
又、通信部95は、検知処理部(エンジン制御部8)が検知した用紙残量を情報として外部に出力する。これにより、省電力モードであろうとなかろうと、正確な用紙残量を情報として外部に与えることができる。又、リフトモータ16は、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータである。これにより、逆起電圧が大きいほど用紙残量が多く、逆起電圧が小さいほど用紙残量が少ないことになり、逆起電圧の大きさに基づいて、比例的に用紙残量を検知することができる。
【0121】
(他の実施形態)
次に、図14を用いて、他の実施形態をのべる。図14は、他の実施形態の画像形成装置の構成例を示す説明図である。上述の実施形態では、複合機100に内のエンジン制御部8が、給紙部1のリフトモータ16を制御し、残量検知を行う例を説明した。しかし、図14(a)に示すように、監視部9と給紙部1を接続し、監視部9のCPU等を利用して残量検知が行われてもよい。
【0122】
そして、図14(a)の場合、エンジン制御部8を経由してではなく、省電力モードでも用紙残量検知を行えるように、監視部9は、省電力モードでも給紙部1に電力供給されるように電力供給制御を行う。例えば、監視部9は、エンジン制御部8等と同様に、スイッチ部93を用いて給紙部1のみに対する電力供給をコントロールする。そして、監視部9は、給紙部1のみに対して電力供給を一時的に行い、リフトモータ16を動作させ、電圧出力部19の出力を確認することにより、省電力モードでも、残量検知を行える。この場合、監視部9が検知処理部として機能する。これにより、エンジン制御部8を起動させずに、残量検知を行うことができ、消費される電力をより少なく留めることができる。
【0123】
又、図14(b)に示すように、エンジン制御部8の入出力ポート数の制限等の都合により、給紙部1に給紙制御部1A(実際に給紙部1の動作を制御し、例えば、CPUやメモリなどで構成)が設けられる場合がある。この場合、エンジン制御部8の指示を受けて、給紙制御部1Aが給紙部1を制御する。例えば、給紙部1が、オプションとしての給紙装置である場合、給紙制御部1Aが設けられることがある。
【0124】
そして、図14(b)の場合、給紙制御部1Aが、エンジン制御部8の指示に基づきリフトモータ16を動作させ、電圧出力部19の出力を確認し、残量検知を行ってもよい。そして、給紙制御部1Aがエンジン制御部8に用紙残量を示すデータを送信する。尚、省電力モードでも用紙残量検知を行う場合、エンジン制御部8に対する電力供給を再開し、これに伴いに伴い、給紙部1に電力供給が行われることで、給紙制御部1Aが用紙残量検知を行う。この場合、給紙制御部1Aが検知処理部として機能する。
【0125】
又、機種によっては、主制御部7とエンジン制御部8が分割されず一体である場合や、監視部9と主制御部7が一体である場合などがある。いずれの態様にしても、いずれかの制御部が給紙部1のリフトモータ16を制御し、電圧出力部19の出力電圧値が入力され、メモリ92内の用紙残量検知データを参照すれば、用紙残量検知を行うことができる。このとき、いずれかの制御部が検知処理部として機能する。
【0126】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、給紙部を有し、用紙残量検知を行う画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 給紙部 11 載置板
12 給紙ローラ 16 リフトモータ
19 電圧出力部 190 差動増幅回路
1A 給紙制御部(検知処理部) 8 エンジン制御部(検知処理部)
82 記憶部 9 監視部
90 電源部 95 通信部
100 複合機(画像形成装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙が積載される載置板と、
用紙を送り出す給紙ローラと、
前記載置板に積載された用紙が前記給紙ローラと接するように、前記載置板を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータと、
前記リフトモータの逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部と、
前記電圧出力部の出力電圧値を認識し、前記出力電圧値に基づき、前記載置板に載置された用紙の残量を検知する検知処理部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
電力供給を行う電源部と、
省電力モードへの移行条件が整うと、少なくとも、前記電源部から検知処理部への電力供給を停止させるとともに、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも前記電源部から前記検知処理部への電力供給を再開させる監視部と、を含み、
前記省電力モードで、
前記監視部は、定期的に、前記電源部から前記検知処理部への電力供給を一時的に再開させ、
前記検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、前記リフトモータを動作させ、用紙の残量を検知することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力電圧値に対しての用紙残量を定めた用紙残量検知データを記憶する記憶部を有し、
前記検知処理部は、前記用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値を記憶し、
前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態での前記出力電圧値と、前記第1出力値との差に基づき、参照する前記用紙残量検知データを変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値と、前記載置板に満杯まで用紙を積載した満杯状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第2出力値と、を記憶し、
前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態と前記満杯状態に対応する前記出力電圧値のレンジと、前記第1出力値と前記第2出力値のレンジとを確認して参照する前記用紙残量検知データを変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
電源とグランド間に、前記リフトモータと抵抗の直列回路が接続され、
前記電圧出力部は、前記リフトモータへの入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、前記直列回路での前記リフトモータと抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部と通信するための通信部を有し、
前記通信部は、前記検知処理部が検知した用紙残量を情報として外部に出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記リフトモータは、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数の用紙が積載される載置板と、
用紙を送り出す給紙ローラと、
前記載置板に積載された用紙が前記給紙ローラと接するように、前記載置板を移動させる駆動源として、負荷に応じて逆起電圧が変化するリフトモータと、
前記リフトモータの逆起電圧に応じて出力電圧が変化する電圧出力部と、
前記電圧出力部の出力電圧値を認識し、前記出力電圧値に基づき、前記載置板に載置された用紙の残量を検知する検知処理部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
電力供給を行う電源部と、
省電力モードへの移行条件が整うと、少なくとも、前記電源部から検知処理部への電力供給を停止させるとともに、通常モードへの移行条件が整うと、少なくとも前記電源部から前記検知処理部への電力供給を再開させる監視部と、を含み、
前記省電力モードで、
前記監視部は、定期的に、前記電源部から前記検知処理部への電力供給を一時的に再開させ、
前記検知処理部は、電力供給が一時的に再開されたとき、前記リフトモータを動作させ、用紙の残量を検知することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力電圧値に対しての用紙残量を定めた用紙残量検知データを記憶する記憶部を有し、
前記検知処理部は、前記用紙残量検知データに基づき用紙の残量を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値を記憶し、
前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態での前記出力電圧値と、前記第1出力値との差に基づき、参照する前記用紙残量検知データを変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記載置板に用紙がない空状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第1出力値と、前記載置板に満杯まで用紙を積載した満杯状態で前記リフトモータを動作させたときの前記電圧出力値である第2出力値と、を記憶し、
前記検知処理部は、前記用紙残量検知データにおける前記空状態と前記満杯状態に対応する前記出力電圧値のレンジと、前記第1出力値と前記第2出力値のレンジとを確認して参照する前記用紙残量検知データを変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
電源とグランド間に、前記リフトモータと抵抗の直列回路が接続され、
前記電圧出力部は、前記リフトモータへの入力電圧を抵抗で分圧して生成された基準電圧と、前記直列回路での前記リフトモータと抵抗の間の電圧と、を比較する差動増幅回路を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部と通信するための通信部を有し、
前記通信部は、前記検知処理部が検知した用紙残量を情報として外部に出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記リフトモータは、トルクに対し逆起電圧が比例して変化するDCモータであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−91917(P2012−91917A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241561(P2010−241561)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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