説明

画像形成装置

【課題】再搬送手段における搬送ローラの斜送能力を向上させることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、画像形成部4により一方の面に画像が形成された記録シート(用紙S)の表裏を反転させた状態で当該記録シートを画像形成部4へ再度搬送する再搬送手段(搬送部5)を備える。再搬送手段は、記録シートの幅方向の一端縁に当接して当該記録シートの幅方向の位置を規制する片側規制部材と、記録シートを片側規制部材に向けて斜めに搬送する搬送ローラ55と、を備え、搬送ローラ55は、駆動源からの駆動力が伝達される駆動ローラ151と、駆動ローラ151に対して傾斜し、記録シートを斜めに搬送するためのピンチローラ152と、を有し、駆動ローラ151は、ピンチローラ152よりも摩擦係数が高く、かつ、記録シートの一方の面と接するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面印刷機能を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成部により表面に画像が形成された用紙の表裏を反転させた状態で当該用紙を画像形成部へ再度搬送する再搬送手段を備える画像形成装置が知られている。このような再搬送手段としては、用紙の幅方向の一方に配置される片側規制部材に向けて用紙を寄せるために用紙を斜めに搬送する搬送ローラを備えたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このような搬送ローラとしては、従来、ゴム製の駆動ローラと、駆動ローラに従動する樹脂製のピンチローラとで構成され、ピンチローラが駆動ローラに対して斜めになることで、用紙を斜めに搬送するものがある。そして、ピンチローラは、画像が形成された表面(印字面)に接する位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−104694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように樹脂製のピンチローラが用紙の印字面に接するように配置されていると、ピンチローラが印字面に対して滑って斜送能力が低下してしまうといった問題があった。特に、この問題は光沢紙を使用した時に起こり易く、さらには、複数色の色を重ねるカラー印刷時に起こり易かった。
【0006】
そこで、本発明は、再搬送手段における搬送ローラの斜送能力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、記録シートを収容する記録シート収容部と、前記記録シート収容部から搬送されてくる記録シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により一方の面に画像が形成された記録シートの表裏を反転させた状態で当該記録シートを前記画像形成部へ再度搬送する再搬送手段を備える画像形成装置であって、前記再搬送手段は、前記記録シートの幅方向における一方側に設けられ、前記記録シートの幅方向の一端縁に当接して当該記録シートの幅方向の位置を規制する片側規制部材と、前記記録シートの前記一端縁を前記片側規制部材に当接させるために、前記記録シートの搬送方向に対して斜めの方向に前記記録シートを搬送可能な搬送ローラと、を備え、前記搬送ローラは、駆動源からの駆動力が伝達される駆動ローラと、前記駆動ローラに対して傾斜し、前記記録シートを斜めに搬送するためのピンチローラと、を有し、前記駆動ローラは、前記ピンチローラよりも摩擦係数が高く、かつ、前記記録シートの前記一方の面と接するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ピンチローラが、記録シートの他方の面(画像が形成されていない面)に接触することで、駆動ローラによって搬送される記録シートに対して滑ることなく従動して回転するので、当該ピンチローラの回転によって記録シートを確実に斜めに搬送することができる。なお、記録シートの一方の面には、ピンチローラよりも摩擦係数(記録シートに対する摩擦係数)が高い駆動ローラが配置されるので、当該駆動ローラによって記録シートを従来と同様に確実に搬送することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、再搬送手段の搬送ローラの斜送能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの概略構成を示す図である。
【図2】再搬送ユニットを上方から見た平面図である。
【図3】給紙トレイを下から見上げた斜視図である。
【図4】給紙トレイを上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成について説明した後、再搬送ユニット100の構成について説明する。
【0012】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ1の使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0013】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、記録シートの一例としての用紙Sの両面に画像を形成可能な装置であり、装置本体2内に、給紙部3と、画像形成部4と、搬送部5とを主に備えている。
【0014】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられており、用紙Sを収容する記録シート収容部の一例としての給紙トレイ31と、給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、給紙機構32によって画像形成部4に供給される。なお、給紙トレイ31は、装置本体2に対して前方に引き出すことによって取り外すことが可能となっており、後方に押し込むことによって装着することが可能となっている。
【0015】
画像形成部4は、給紙部3から搬送されてくる用紙Sに画像を形成するための構成であり、露光ユニット41と、4つのプロセスユニット42と、転写ユニット43と、定着ユニット44とを主に備えている。
【0016】
露光ユニット41は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源と、符号を省略して示すポリゴンミラー、複数のレンズおよび複数の反射鏡とを主に備えている。画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射され、レンズを通過して、各感光体ドラム42Aの表面で高速走査される。
【0017】
プロセスユニット42は、給紙トレイ31と露光ユニット41との間で前後に並んで配置され、感光体ドラム42Aと、帯電器42Bと、符号を省略して示す現像ローラ、供給ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー(現像剤)を収容するトナー収容部とを主に備えている。各プロセスユニット42は、トナー収容部内に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は略同一である。
【0018】
転写ユニット43は、給紙トレイ31とプロセスユニット42との間に設けられ、符号を省略して示す駆動ローラと従動ローラの間で張設された無端状の搬送ベルト43Aと、4つの転写ローラ43Bとを主に備えている。搬送ベルト43Aは、外側の面が各感光体ドラム42Aに接しており、その内側には各転写ローラ43Bが各感光体ドラム42Aとの間で搬送ベルト43Aを挟持するように配置されている。
【0019】
定着ユニット44は、プロセスユニット42の後方に設けられ、加熱ローラ44Aと、加熱ローラ44Aと対向配置されて加熱ローラ44Aを押圧する加圧ローラ44Bとを主に備えている。
【0020】
画像形成部4では、感光体ドラム42Aの表面が、帯電器42Bにより一様に帯電された後、露光ユニット41からのレーザ光によって露光されることで、感光体ドラム42A上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラに供給され、現像ローラと層厚規制ブレードの間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ上に担持される。
【0021】
そして、現像ローラ上に担持されたトナーが、静電潜像が形成された感光体ドラム42Aに供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム42A上にトナー像が形成される。その後、給紙部3から供給された用紙Sが、感光体ドラム42Aと搬送ベルト43A(転写ローラ43B)の間を搬送されることで、各感光体ドラム42A上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。
【0022】
トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ44Aと加圧ローラ44Bの間を搬送されることでトナー像が熱定着される。以上のようにして、用紙Sに画像を形成することができる。画像が形成された用紙Sは、搬出ローラ45によって定着ユニット44(画像形成部4)から搬送経路51に搬出される。
【0023】
搬送部5は、画像形成部4から搬出された用紙Sを装置本体2の外部に排出する排出機構として機能するとともに、画像形成部4により一方の面に画像が形成された用紙Sの表裏を反転させた状態で当該用紙Sを画像形成部4へ再度搬送する再搬送手段として機能している。具体的に、搬送部5は、搬送経路51と、排出ローラ52と、前後に揺動可能に構成されたフラッパ53と、再搬送経路54と、再搬送経路54内で用紙Sを搬送する複数の搬送ローラ55とを主に備えている。
【0024】
搬送経路51は、装置本体2内の後部に設けられており、後方に揺動したフラッパ53(実線参照)の前方付近から上方に向けて延びた後、進路を前方へ湾曲させるように延びている。
【0025】
排出ローラ52は、正逆回転可能に構成されており、正回転時には画像形成部4から搬出された用紙Sを装置本体2の外部に向けて排出し、逆回転時には用紙Sを装置本体2内に引き込むように搬送する。
【0026】
再搬送経路54は、装置本体2内の後部から下部にわたって設けられており、前方に揺動したフラッパ53(鎖線参照)の後方付近から下方に向けて延び、進路を前方へ湾曲させて給紙トレイ31の下を前方に向けて延びた後、さらに進路を上方へ湾曲させて給紙機構32に向かうように延びている。なお、再搬送経路54の一部は、後述する再搬送ユニット100によって形成されている。
【0027】
搬送部5では、画像形成が終了した場合には、画像形成部4から搬出された用紙Sは、搬送経路51を搬送され、正回転する排出ローラ52によって装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ22上に載置される。また、一方の面に画像が形成された用紙Sの他方の面に画像を形成する場合には、用紙Sの全体が装置本体2の外部に完全に排出される前に排出ローラ52が逆回転することで、用紙Sは再度装置本体2内に引き戻され、搬送経路51から再搬送経路54に搬送される。その後、用紙S(破線参照)は、搬送ローラ55によって再搬送経路54を搬送され、給紙機構32によって再び画像形成部4に搬送される。
【0028】
なお、画像形成部4において他方の面に画像が形成された用紙Sは、画像形成部4から搬送経路51に搬出され、正回転する排出ローラ52によって装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ22上に載置される。
【0029】
<再搬送ユニットの構成>
再搬送ユニット100は、給紙トレイ31の下方に設けられ、かつ、再搬送経路54の前後に延びる部分の一部(後側部分)を構成しており、図2に示すような略平板形状に形成されている。この再搬送ユニット100は、装置本体2に固定されており、このように固定された再搬送ユニット100と装置本体2とに対して給紙トレイ31が前後方向で着脱可能となっている。具体的に、再搬送ユニット100は、ガイド体110と、片側規制部材120と、複数対の搬送ローラ55とを主に備えている。
【0030】
ガイド体110は、再搬送経路54を通る用紙Sの下側に配置される下搬送ガイド130と、用紙Sの上側に配置される上搬送ガイド140とを備えて構成されている。
【0031】
下搬送ガイド130は、樹脂製の部品であり、用紙Sの幅(左右方向の長さ)よりも大きく形成されている。下搬送ガイド130は、底壁部131と、ガイドリブ132と、下流側端部134とを主に備えている。
【0032】
底壁部131は、略全体が平板状に形成され、かつ、後端部が断面視円弧状に形成されている(図1参照)。ガイドリブ132は、底壁部131から内方に突出するとともに用紙Sの搬送方向に延びるように形成され、用紙Sの幅方向で間隔を空けて複数設けられている。
【0033】
下流側端部134は、底壁部131から上方に突出するリブ状に形成されており、左側から右側(搬送ローラ55側から幅方向反対側)へ向かうにつれて後側(用紙Sの搬送方向上流側)へ傾斜するように形成されている。これにより、下搬送ガイド130と、後述する下流側通路形成部311(図3参照)とのつなぎ目に用紙Sの先端の全体が引っ掛かることを抑制することが可能となっている。
【0034】
上搬送ガイド140は、板金からなり、用紙Sの幅(左右方向の長さ)よりも大きく形成され、その左右方向両端部が下方に屈曲形成されて、下搬送ガイド130に固定(保持)されている。これにより、上搬送ガイド140が下搬送ガイド130によって両持ちで保持されるので、後述する付勢部材の付勢力が上搬送ガイド140に加わっても、上搬送ガイド140の変形を抑えることが可能となっている。
【0035】
また、上搬送ガイド140の左側には、後述するピンチローラ152と駆動ローラ151とを接触させるための逃げ孔141Bが形成されている。さらに、上搬送ガイド140の下流側端部143は、左側から右側(搬送ローラ55側から幅方向反対側)へ向かうにつれて後側(用紙Sの搬送方向上流側)へ傾斜するように形成されている。
【0036】
これにより、下流側端部143の左側に配置される搬送ローラ55で用紙Sが詰まった場合には、下流側端部143の傾斜により右側が開放されることで用紙Sの右側の角が下流側端部143よりも前方に突出することとなる。そのため、給紙トレイ31を取り外すことにより再搬送ユニット100の前端を露出させると、下流側端部143から突出した用紙Sの右側の角をすぐに発見することができるとともに、その角を掴んで用紙Sを容易に引き抜くことが可能となっている。
【0037】
また、上搬送ガイド140には、左右方向の一端側から他端側に向けて延びる2つの補強リブ141C,141Dが設けられている。これにより、上搬送ガイド140の変形をより抑えることが可能となっている。
【0038】
具体的に、一方の補強リブ141Cは、上搬送ガイド140の下流側端部143付近の位置で上方に突出するように形成され、下流側端部143の左側に形成される逃げ孔141Bよりも右側に若干離れた位置から上壁部141の右端縁付近まで延びるように形成されている。これに対し、他方の補強リブ141Dは、上壁部141の前後方向略中央部で上方に突出するように形成され、上壁部141の右端縁付近の位置から各逃げ孔141Bよりも左右方向外側の位置まで延びるように形成されている。そのため、一方の補強リブ141Cよりも長い補強リブ141Dによって、上搬送ガイド140の変形をより抑えることが可能となっている。
【0039】
また、各補強リブ141C,141Dは、左側から右側(搬送ローラ55側から幅方向反対側)へ向かうにつれて後側(用紙Sの搬送方向上流側)へ傾斜するように形成されている。これにより、搬送される用紙Sの先端全体が各補強リブ141C,141Dに引っ掛かることを抑えることができるとともに、斜めに形成された各補強リブ141C,141Dに用紙Sの先端が当接した場合には各補強リブ141C,141Dに沿って用紙Sを斜めに送ることが可能となっている。
【0040】
片側規制部材120は、用紙Sの左側の端縁(幅方向の一端縁)に当接して当該用紙Sの幅方向の位置を規制するものであり、前後方向に延びる長尺状に形成されて、ガイド体110内(下搬送ガイド130と上搬送ガイド140の間)の左側(幅方向における一方側)に設けられている。そして、片側規制部材120の後端部には、片側規制部材120の右側面(ガイド面)よりも用紙Sの左側の端縁が左側にずれて搬送されてきた場合に、当該用紙Sの左側の端縁を片側規制部材120の右側面へ向けて案内するためのガイド122が設けられている。
【0041】
搬送ローラ55は、用紙Sの左側の端縁を片側規制部材120に当接させるために、用紙Sの搬送方向に対して斜めの方向に用紙Sを搬送可能なローラであり、左右方向において片側規制部材120側に寄って配置されている。搬送ローラ55は、上下一対のローラであり、前後方向においてそれぞれ所定の間隔を空けて3対設けられている。
【0042】
具体的に、搬送ローラ55は、図示せぬモータ等の駆動源からの駆動力が伝達されるゴム製の駆動ローラ151と、この駆動ローラ151(駆動ローラ151の左右方向に沿った中心軸)に対して傾斜して用紙Sを斜めに搬送する樹脂製のピンチローラ152とを有している。
【0043】
駆動ローラ151は、図1に示すように、装置本体2(例えば上搬送ガイド140に固定されるブラケットなど)に回転可能に支持されることで、ピンチローラ152の上側に配置されている。すなわち、駆動ローラ151は、用紙Sの前記一方の面(画像が形成された面:以下、印字面ともいう。)と接するように配置されている。
【0044】
そして、この駆動ローラ151は、搬送面がゴム(樹脂製のピンチローラ152よりも摩擦係数が高い材料)で形成されている。ここで、本明細書において、「摩擦係数」とは、用紙Sに対する摩擦係数をいう。
【0045】
これにより、摩擦係数の高い駆動ローラ151が用紙Sの印字面で滑ることが抑制されるので、用紙Sを確実に搬送することが可能となっている。また、摩擦係数の低い方のピンチローラ152は、用紙Sの非印字面(画像が形成されていない面)に接することで、駆動ローラ151によって搬送される用紙Sに対してピンチローラ152が滑ることなく従動して回転するので、当該ピンチローラ152の回転によって用紙Sを確実に斜めに搬送することが可能となっている。
【0046】
ピンチローラ152は、搬送面が樹脂からなるローラであり、下搬送ガイド130に回転可能に保持されている。具体的に、ピンチローラ152は、下搬送ガイド130によって回転可能、かつ、上下にスライド可能に保持されており、下搬送ガイド130に固定(保持)されるトーションバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。これにより、ピンチローラ152は、再搬送ユニット100が組み立てられた状態において、付勢部材によって駆動ローラ151に向けて付勢されて当該駆動ローラ151に接触するようになっている。
【0047】
そして、ピンチローラ152が樹脂(駆動ローラ151よりも摩擦係数が低い材料)で形成されることによって、用紙Sが片側規制部材120に当接した後に、非印字面に対してピンチローラ152を滑らせ、駆動ローラ151のみで用紙Sを搬送方向に真っ直ぐ送ることが可能となるので、片側規制部材120に用紙Sを寄せすぎることによる用紙Sの端縁の折れを抑えることが可能となっている。
【0048】
また、搬送方向最下流側に配置された搬送ローラ55は、前述した上搬送ガイド140の下流側端部143における傾斜内(幅方向において、下流側端部143の傾斜と重なる位置)に配置されている。よって、例えば最下流側の搬送ローラ55に用紙Sが挟まった状態で紙詰まりしたときであっても、右側の傾斜部分から容易に用紙Sを引く抜くことが可能となる。
【0049】
また、上搬送ガイド140の下流側端部143は、下搬送ガイド130の下流側端部134よりも、用紙搬送方向において短くなっている。換言すると、上搬送ガイド140の下流側端部143は、下搬送ガイド130の下流側端部134よりも、用紙搬送方向において上流側に位置している。
【0050】
また、図3に示すように、給紙トレイ31の下側の前部には、再搬送ユニット100(ガイド体110)内から送り出されてくる用紙Sが通る通路を有する下流側通路形成部311が設けられている。下流側通路形成部311は、搬送部5(再搬送手段)の一部(再搬送経路54の前後に延びる部分の前側部分:図1参照)であり、再搬送ユニット100の下流側端部134が接続されるように構成されている。
【0051】
詳しくは、下流側通路形成部311の下側部分を形成する下側形成部312の上流側端部313は、下搬送ガイド130の下流側端部134に沿った形状となっている。そして、給紙トレイ31が装置本体2に対して着脱可能となることで、下流側通路形成部311が装置本体2(再搬送ユニット100)に対して着脱可能となっている。
【0052】
また、図4に示すように、給紙トレイ31内には、用紙Sの幅方向の両端縁と当接して当該用紙Sの幅方向の位置を規制する一対の両側規制部材314が設けられている。これにより、用紙Sの一方の面を印刷する際には、両側規制部材314に用紙Sの左右両端が当接することで用紙Sが幅方向に位置決めされ、用紙Sの他方の面を印刷する際には、前述した片側規制部材120に用紙Sの左端が当接することで用紙Sが幅方向に位置決めされるようになっている。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
用紙Sの非印字面に対してピンチローラ152を接触させることで、用紙Sにピンチローラ152を確実に従動回転させることができるので、搬送ローラ55の斜送能力を向上させることができる。
【0054】
駆動ローラ151の搬送面がゴムからなるので、用紙Sの印字面との滑りを確実に抑えることができる。また、ピンチローラ152の搬送面が樹脂からなるので、用紙Sが片側規制部材120に当接した後に、用紙Sに対してピンチローラ152を確実に滑らせることができ、用紙Sの端縁の折れを確実に抑えることができる。
【0055】
搬送ローラ55が左右方向において片側規制部材120側に寄って配置されているので、搬送ローラを片側規制部材から遠くに離して配置する構造に比べ、搬送ローラ55と片側規制部材120との間で用紙Sが撓むことを抑えることができる。
【0056】
上搬送ガイド140の左右両端部が下搬送ガイド130に保持されるので、付勢部材の付勢力による上搬送ガイド140の撓みを抑えることができ、各一対の搬送ローラ55間のニップ圧を良好な状態に維持することができる。
【0057】
上搬送ガイド140の下流側端部143が左側から右側へ向かうにつれて後側へ傾斜するように形成されることで、給紙トレイ31を取り外したときに下流側端部143から用紙Sの右側の角が露出するので、ジャム処理(詰まった用紙Sを取り除く処理)を容易に行うことができる。
【0058】
下搬送ガイド130の下流側端部134が左側から右側へ向かうにつれて後側へ傾斜するように形成されているので、下搬送ガイド130と下流側通路形成部311とのつなぎ目に用紙Sの先端の全体が引っ掛かることを抑制することができる。さらに、下搬送ガイド130が上搬送ガイド140と同じように斜めに形成されることで、給紙トレイ31を取り外したときに各下流側端部143,134から用紙Sの右側の角が突出するので、用紙Sの角の上下に指を入れるスペースができる。これにより、上下の各スペースに指を入れて用紙Sの角部を上下に挟み込むように掴むことができるので、ジャム処理をより容易に行うことができる。
【0059】
左右方向の一端側から他端側に向けて延びる補強リブ141C,141Dを上搬送ガイド140に設けたので、上搬送ガイド140の変形をより抑えることができる。
【0060】
補強リブ141C,141Dが左側から右側へ向かうにつれて後側へ傾斜するように形成されているので、用紙Sが各補強リブ141C,141Dに引っ掛かることを抑えることができるとともに、各補強リブ141C,141Dによって用紙Sを斜めに送ることができる。
【0061】
上搬送ガイド140を板金で形成することで、上搬送ガイド140の上下方向の厚みを薄くしつつ、剛性を上げることができるので、装置本体2を上下に小型化することができるとともに、上搬送ガイド140の変形をより抑えることができる。
【0062】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、ピンチローラ152を樹脂、駆動ローラ151をゴムとしたが、本発明はこれに限定されず、駆動ローラがピンチローラよりも摩擦係数が高くなる関係が満たされていれば、各ローラをどのような材料で形成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、搬送ローラ55を3対設けたが、本発明はこれに限定されず、搬送ローラの数はいくつであってもよい。
【0064】
前記実施形態では、記録シートとして、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0065】
前記実施形態では、記録シート収容部として、装置本体2に対して着脱可能な給紙トレイ31を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、装置本体に対して単に移動可能に設けられるだけで着脱不能となる(ドライバーなどの道具を用いないと装置本体2から外れない)給紙トレイであってもよいし、装置本体の下部に一体に形成される記録シート収容部であってもよい。
【0066】
前記実施形態では、露光ユニット41等で画像形成部4を構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、露光ユニット41の代わりにLEDヘッドを利用してもよいし、感光体ドラム42Aの代わりにベルト状の感光体を利用してもよいし、加熱ローラ44Aの代わりにガイドによって摺動可能に支持される円筒状の定着フィルムを利用してもよい。また、転写ローラ43Bの代わりに導電性ブラシや導電性板バネなどの転写バイアスが印加される他の部材を利用してもよい。
【0067】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、モノクロプリンタやその他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0068】
前記実施形態では、再搬送手段として、再搬送する用紙Sを給紙トレイ31の下側に通す構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば再搬送する用紙を給紙トレイの上側に通す構成などであってもよい。
【0069】
前記実施形態では、給紙トレイ31(下流側通路形成部311)を装置本体2に対して着脱可能としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、装置本体に下流側通路形成部を一体に形成して、この下流側通路形成部(装置本体)に対してガイド体を着脱可能としてもよい。また、前記実施形態では、再搬送ユニット100は、給紙トレイ31の下方に設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、給紙トレイ31の上方に設けられていてもよい。
【0070】
前記実施形態では、上搬送ガイド140を板金で形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、上搬送ガイドを樹脂で形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 カラープリンタ
4 画像形成部
5 搬送部
55 搬送ローラ
151 駆動ローラ
152 ピンチローラ
S 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートを収容する記録シート収容部と、
前記記録シート収容部から搬送されてくる記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により一方の面に画像が形成された記録シートの表裏を反転させた状態で当該記録シートを前記画像形成部へ再度搬送する再搬送手段を備える画像形成装置であって、
前記再搬送手段は、
前記記録シートの幅方向における一方側に設けられ、前記記録シートの幅方向の一端縁に当接して当該記録シートの幅方向の位置を規制する片側規制部材と、
前記記録シートの前記一端縁を前記片側規制部材に当接させるために、前記記録シートの搬送方向に対して斜めの方向に前記記録シートを搬送可能な搬送ローラと、を備え、
前記搬送ローラは、
駆動源からの駆動力が伝達される駆動ローラと、
前記駆動ローラに対して傾斜し、前記記録シートを斜めに搬送するためのピンチローラと、を有し、
前記駆動ローラは、前記ピンチローラよりも摩擦係数が高く、かつ、前記記録シートの前記一方の面と接するように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動ローラの搬送面はゴムからなり、前記ピンチローラの搬送面は樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送ローラは、前記幅方向において前記片側規制部材側に寄って配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録シート収容部内には、前記記録シートの幅方向の両端縁と当接して当該記録シートの幅方向の位置を規制する両側規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−98374(P2012−98374A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244126(P2010−244126)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】