説明

画像形成装置

【課題】 電子写真方式の画像形成装置において、適切な量のトナーが現像器に補給されるようにする。
【解決手段】 この画像形成装置は、トナー現像を行う現像器と、トナーコンテナからその現像器へ補給されるトナーの補給量を測定する磁気式流量センサー17と、磁気式流量センサー17により測定されたトナーの補給量に基づいて、トナーコンテナからその現像器へのトナー補給を制御するコントローラー31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合機、プリンターなどといった電子写真方式の画像形成装置では、露光装置により感光体ドラム上に静電潜像が形成され、トナーコンテナから現像器へ供給されたトナーが、現像ローラーで感光体ドラム上へ供給され、静電潜像がトナーによって現像される。
【0003】
印刷を継続的に行うためには、現像に適した量のトナーを現像器内に保有しておく必要があり、現像器内のトナー量が減少すると、トナーコンテナからトナーが補給される。例えば、印字率や、トナー量センサーによる現像器内のトナー量の測定値に基づいて計算される量のトナーが、トナー補給モーターなどの駆動時間を制御することで、トナーコンテナから現像器へ補給される。
【0004】
一般的に、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなると、1回のトナー補給動作(所定の駆動時間におけるトナー補給モーターの動作)により現像器へ補給されるトナー量が少なくなる傾向がある。このため、トナーコンテナにトナー残量センサーを設け、そのトナー残量センサーにより得られるトナー残量が少なくなると、トナー補給モーターの駆動時間を長くする画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−337818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トナーが粉体であることからトナーコンテナ内の温度および/または湿度によってトナーの流動性が変化するため、トナーコンテナ内の温度および/または湿度に応じてトナー補給量が変化する。したがって、トナー残量に応じてトナー補給モーターの駆動時間を変更しても、トナーコンテナ内の温度および湿度によっては適切な量のトナーが現像器に補給されない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、適切な量のトナーを現像器に補給する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、トナーコンテナと、トナーコンテナからトナーを補給される現像器と、トナーコンテナから現像器へ補給されるトナーの補給量を測定する磁気式流量センサーと、磁気式流量センサーにより測定されたトナーの補給量に基づいて、トナーコンテナから現像器へのトナー補給を制御するコントローラーとを備える。
【0010】
これにより、現像器へのトナー補給量が直接的に測定され、適切な量のトナーが現像器に補給される。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、トナーコンテナから現像器へのトナー補給を行うトナー補給部をさらに備える。そして、コントローラーは、磁気式流量センサーの測定結果に基づき、トナー補給部による所定のトナー補給動作でトナーコンテナから現像器へ補給されるトナーの補給量に応じて、トナー補給部の動作量を決定する。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、現像器内のトナー量が所定の基準値になるようにトナー補給部を動作させ、トナー補給部による所定のトナー補給動作でトナーコンテナから現像器へ補給されるトナーの補給量が所定の条件になると、その基準値を変更する。
【0013】
これにより、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなったときに、現像器内のトナー量を調節することで、トナーコンテナ内のトナーをより多く印刷に消費することができ、トナーコンテナ交換時にトナーコンテナ内に残留しているトナーを少なくすることができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、トナー補給部による所定のトナー補給動作でトナーコンテナから現像器へ補給されるトナーの補給量が所定の閾値以下になると、印刷動作を停止させた後に、その基準値を増加させて現像器へのトナー補給をトナー補給部に実行させ、トナー補給の完了後に基準値を増加前の値に戻した上で印刷を再開させる。
【0015】
これにより、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなったときに、印刷(つまりトナー消費)を停止して現像器内のトナー保有量を増加させた後、印刷を再開することで、印刷を停止せずに継続した場合より現像器内のトナー量が不足しにくく、より多くの印刷を行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、トナー補給部による所定のトナー補給動作でトナーコンテナから現像器へ補給されるトナーの補給量が所定の閾値以下になると、その基準値を低下させ、現像器へのトナー補給をトナー補給部に実行させる。
【0017】
これにより、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなったときに、継続的に印刷を行い易くなるため、より多くの印刷を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、現像器内のトナー量を測定するトナー量センサーをさらに備える。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の磁気式流量センサーは、電磁流量センサーである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成装置において、適切な量のトナーが現像器に補給される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【図2】図2は、図1における現像器の一例を示す断面図である。
【図3】図3は、図1および図2における現像器に対するトナー補給を制御するコントローラーを示すブロック図である。
【図4】図4は、図2および図3における磁気式流量センサーとしての電磁流量センサーの一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1におけるコントローラーによるトナー補給処理について説明するフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態1におけるトナー補給状態の区分、および温度変化などを考慮しない場合のトナー補給量とトナーコンテナ内のトナー残量との関係を説明する図である。
【図7】図7は、実施の形態2におけるコントローラーの動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
実施の形態1.
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。この画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式の印刷機能を有する装置である。
【0025】
この実施の形態1の画像形成装置は、タンデム方式のカラー画像形成部を有する。このカラー画像形成部は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2a〜2dおよび現像器3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。
【0026】
露光装置2a〜2dは、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を走査しつつ照射して静電潜像を形成する装置である。レーザー光は、感光体ドラム1a〜1dの回転方向(副走査方向)に垂直な方向(主走査方向)に走査される。露光装置2a〜2dは、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、およびそのレーザー光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を含むレーザースキャニングユニットを有する。
【0027】
さらに、感光体ドラム1a〜1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1dを除電する。
【0028】
現像器3a〜3dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーがそれぞれ充填されるトナーコンテナを接続され、そのトナーコンテナから供給されるトナーを感光体ドラム1a〜1dへ供給し、そのトナーを感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。
【0029】
感光体ドラム1a、露光装置2aおよび現像ユニット3aにより、マゼンタのトナー像の形成が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2bおよび現像ユニット3bにより、シアンのトナー像の形成が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2cおよび現像ユニット3cにより、イエローのトナー像の形成が行われ、感光体ドラム1d、露光装置2dおよび現像ユニット3dにより、ブラックのトナー像の形成が行われる。
【0030】
図2は、図1における現像器3aの一例を示す断面図である。なお、図2では、現像器3aおよびその周辺について図示しているが、現像器3b〜3dおよびそれらの周辺についても同様の構成となっている。
【0031】
図2に示すように、現像器3aは、筐体11と、現像ローラー12と、攪拌スクリュー13,14と、現像器3a内のトナー量を測定するためのトナー量センサー15とを有する。この装置に使用されるトナーが磁性トナーである場合、トナー量センサー15としては、透磁率センサーが使用される。
【0032】
現像器3aには、トナーコンテナ21が接続され、トナーコンテナ21のトナー補給ローラー22が回転するとトナーがトナーコンテナ21から現像器3aへ補給される。トナー量センサー15により現像器3a内のトナー量の低下が検出されると、トナー供給ローラー22が駆動され、現像器3aにトナーが補給される。なお、このトナーコンテナ21には、トナー残量を検出するセンサーが設けられていない。
【0033】
現像器3aの筐体11には、トナー補給口16が形成されており、そのトナー補給口16を通ってトナーがトナーコンテナ21から補給される。この実施の形態1では、筐体11におけるトナー補給口16を形成する部分は筒状になっており、その外側に磁気式流量センサー17が設置されている。
【0034】
磁気式流量センサー17は、トナー補給口16を通過するトナーの量(つまり、トナー補給量)を測定するためのセンサーである。磁気式流量センサー17は、トナーがトナー補給口16を通過する際の磁界変化を所定の方式で検出する。実施の形態1では、磁気式流量センサー17は、後述する電磁流体センサーである。
【0035】
なお、磁気式流量センサー17は、現像器3aの筐体11内部より、筐体11の内部に保有されているトナーの影響を受けないようにするために、筐体11外側に設置するほうが好ましい。
【0036】
図1に戻り、中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー画像を1次転写される環状の像担持体(中間転写体)である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ向かって周回していく。
【0037】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0038】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0039】
図3は、図1および図2における現像器3aに対するトナー補給を制御するコントローラーを示すブロック図である。
【0040】
図3に示すコントローラー31は、トナー量センサー15の測定値に基づいて、現像器3a内のトナー量が少なくなると、所定の動作量(所定の駆動時間、所定の回転数、または所定の回数角度)だけトナー補給モーター32でトナー補給ローラー22を駆動する。また、コントローラー31は、1回のトナー補給動作について磁気式流量センサー17により測定されたトナー補給量に基づいて、1回のトナー補給動作におけるトナー補給モーター32の動作量を決定する。
【0041】
このコントローラー31は、制御回路41とメインコントローラー42とを有する。
【0042】
制御回路41は、トナー量基準値51とトナー補給状態情報52とを図示せぬメモリーなどで記憶している。これらのトナー量基準値51とトナー補給状態情報52は、メインコントローラー42により書換可能である。トナー量基準値51は、現像器3a内のトナー量の基準値であって、良好な現像を行うのに適正なトナー量を示す。トナー補給状態情報52は、1回のトナー補給動作によるトナーコンテナ21から現像器3aへのトナー補給量から判定されるトナー補給状態を示す情報である。
【0043】
制御回路41は、トナー量センサー15の出力値を監視し、トナー量センサー15の出力値に基づく現像器3a内のトナー量がトナー量基準値51より低くなったと判断すると、トナー補給状態情報52の値に対応する動作量でトナー補給モーター32を動作させる。なお、制御回路41は、例えばアナログ電子回路で構成される。
【0044】
メインコントローラー42は、感光体ドラム1a〜1d、各種ローラーなどを駆動する図示せぬ機構を制御し、印刷ジョブを実行する。また、メインコントローラー42は、制御回路41にトナー量基準値51およびトナー補給状態情報52をセットする。さらに、メインコントローラー42は、操作パネル33の表示装置に各種メッセージを表示させる。このメインコントローラー42は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピューターなどのデジタル回路で構成される。
【0045】
このメインコントローラー42は、トナー補給量計算部61とトナー補給制御部62とを有する。トナー補給量計算部61は、磁気式流量センサー17の出力値から、単位時間あたりのトナー補給動作でトナーコンテナ21から現像器3aへ補給されたトナー量を計算する。トナー補給制御部62は、トナー補給量計算部61により得られるトナー補給量に基づいてトナー補給状態を特定し、そのトナー補給状態を示す値をトナー補給状態情報52として制御回路41に供給する。
【0046】
なお、現像器3b〜3dについてのコントローラー31も同様に構成される。ただし、メインコントローラー42は、現像器3a〜3dについて1つとして、現像器3a〜3dに設けられている制御回路41を制御するようにしてもよい。
【0047】
図4は、図2および図3における磁気式流量センサー17としての電磁流量センサーの一例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、励磁コイル71,72は、励磁コイル71,72による磁束がトナー補給口16を通過するように、トナー補給口16を挟んで互いに対向して配置される。励磁電源73は、励磁コイル71,72に励磁電流を導通させるための電源である。電極74,75は、励磁コイル71,72による磁束に対して垂直な方向において、対向して配置される。検出回路76は、励磁コイル71,72による磁束およびトナー補給口16を通過するトナーによりファラデーの法則に従って誘起する電極74,75間の電圧を検出し、その検出電圧に対応する出力信号を出力する。
【0049】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置におけるコントローラー31によるトナー補給処理について説明する。図5は、実施の形態1におけるコントローラー31によるトナー補給処理について説明するフローチャートである。ここでは、現像器3aに対するトナー補給について説明するが、現像器3b〜3dに対するトナー補給も同様に行われる。
【0050】
メインコントローラー42は、磁気式流量センサー17の出力値を監視しており、磁気式流量センサー17の出力値に応じた値のトナー補給状態情報52を制御回路41にセットする。
【0051】
図6は、実施の形態1におけるトナー補給状態の区分、および温度変化などを考慮しない場合のトナー補給量とトナーコンテナ21内のトナー残量との関係を説明する図である。図6に示すように、トナー補給量に基づいて、トナー補給状態が、第1の状態から第4の状態の4つに分類される。トナーコンテナ21交換時(つまり、トナー残量が100%のとき)の単位動作時間あたりのトナー補給量がA0とされ、トナー補給量がA1以上(A1<A0)であれば、トナー補給状態は第1の状態と判定される。トナー補給量がA1より低くA2以上(A2<A1)であれば、トナー補給状態は第2の状態と判定される。トナー補給量がA2より低くA3以上(A3<A2)であれば、トナー補給状態は第3の状態と判定される。トナー補給量がA3より低ければ、トナー補給状態は第4の状態と判定される。
【0052】
そして、印刷ジョブ実行時に、制御回路41は、トナー量センサー15の出力値を監視しており(ステップS1)、トナー補給が必要か否かを判定すると、以下の処理を行う。
【0053】
まず、制御回路41は、トナー補給状態情報52を参照して、トナー補給状態が第1の状態であるか否かを判定し(ステップS2)、トナー補給状態が第1の状態である場合には、第1の状態に対応する動作量(モード#1)で、トナー供給モーター32を動作し、トナー供給ローラー22を駆動させる(ステップS3)。
【0054】
トナー補給状態が第1の状態ではない場合、制御回路41は、トナー補給状態が第2の状態であるか否かを判定し(ステップS4)、トナー補給状態が第2の状態である場合には、第2の状態に対応する動作量(モード#2)で、トナー供給モーター32を動作し、トナー供給ローラー22を駆動させる(ステップS5)。モード#2では、モード#1より長い時間、トナー供給モーター32が動作する。
【0055】
トナー補給状態が第2の状態ではない場合、制御回路41は、トナー補給状態が第3の状態であるか否かを判定し(ステップS6)、トナー補給状態が第3の状態である場合には、第3の状態に対応する動作量(モード#3)で、トナー供給モーター32を動作し、トナー供給ローラー22を駆動させる(ステップS7)。モード#3では、モード#2より長い時間、トナー供給モーター32が動作する。
【0056】
モード#1〜#3でトナー補給が行われた場合、トナー補給が完了すると、ステップS1に戻り、次回のトナー補給まで引き続き、制御回路41は、トナー量センサー15の出力値を監視する。
【0057】
トナー補給状態が第3の状態ではない場合(つまり、トナー補給状態が第4の状態である場合)、制御回路41は、まず、メインコントローラー42に、ページ間で印刷を停止させ(ステップS8)、第4の状態に対応する動作量(モード#4)で、トナー供給モーター32を動作し、トナー供給ローラー22を駆動させる(ステップS9)。モード#4では、モード#3より長い時間、トナー供給モーター32が動作する。
【0058】
モード#4でのトナー供給動作が完了した後、制御回路41は、トナー量センサー15により得られる現像器3a内のトナー量がトナー量基準値51以上となっているか否かを判定する(ステップS10)。
【0059】
現像器3a内のトナー量がトナー量基準値51以上となっている場合には、制御回路41は、メインコントローラー42に印刷を再開させた後(ステップS11)、ステップS1に戻り、次回のトナー補給まで引き続き、トナー量センサー15の出力値を監視する。
【0060】
一方、現像器3a内のトナー量がトナー量基準値51以上となっていない場合には、制御回路41は、トナーエンプティー信号をメインコントローラー42へ出力する。メインコントローラー42は、トナーエンプティー信号を受け付けると、印刷を中止し(ステップS12)、トナーコンテナ21の交換を促すメッセージを操作パネル33に表示させる。
【0061】
以上のように、上記実施の形態1に係る画像形成装置は、トナーコンテナ21からトナーを補給される現像器3a(3b,3c,3d)と、トナーコンテナ21から現像器3a(3b,3c,3d)へ補給されるトナーの補給量を測定する磁気式流量センサー17と、磁気式流量センサー17により測定されたトナーの補給量に基づいて、トナーコンテナ21から現像器3a(3b,3c,3d)へのトナー補給を制御するコントローラー31とを備える。
【0062】
これにより、現像器3a(3b,3c,3d)へのトナー補給量が直接的に測定され、例えばトナーコンテナ21内の温度変化、湿度変化などの影響を受けずに、適切な量のトナーが現像器3a(3b,3c,3d)に補給される。
【0063】
実施の形態2.
【0064】
本発明の実施の形態2に係る画像形成装置は、トナー補給動作によるトナー補給量が低下した場合に、トナー量基準値を変更して、トナーコンテナ21交換時にトナーコンテナ21内に残留しているトナーを減らしてより多くの印刷を行うようにしたものである。
【0065】
実施の形態2に係る画像形成装置の基本的な構成は、実施の形態1に係る画像形成装置と同一である。ただし、実施の形態2におけるコントローラー31は、以下のように動作する。
【0066】
実施の形態2では、コントローラー31は、現像器3a内のトナー量がトナー量基準値51になるようにトナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22を動作させ、トナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22による所定のトナー補給動作でトナーコンテナ21から現像器3aへ補給されるトナーの補給量が所定の条件になると、トナー量基準値51を変更する。
【0067】
トナー量基準値51は、デフォルト状態で(つまり、印刷ジョブ開始時には)標準値に設定されている。コントローラー31は、トナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22による所定のトナー補給動作でトナーコンテナ21から現像器3aへ補給されるトナーの補給量が所定の閾値(上述のA3)以下になると、印刷動作を停止させた後に、トナー量基準値51を所定の上限値に変更して現像器3aへのトナー補給をトナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22に実行させ、そのトナー補給の完了後にトナー量基準値51を標準値に戻した上で印刷を再開させる。
【0068】
また、コントローラー31は、トナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22による所定のトナー補給動作でトナーコンテナ21から現像器3aへ補給されるトナーの補給量が所定の閾値(上述のA3よりさらに低い値)以下になると、トナー量基準値51を所定の下限値に変更し、現在の印刷ジョブが完了するまで、現像器3aへのトナー補給をトナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22によるに実行させる。
【0069】
なお、トナー量基準値51の上限値は、トナー量基準値51の標準値より高く、適切なトナー現像が行われるトナー量の範囲の上限値である。また、トナー量基準値51の下限値は、トナー量基準値51の標準値より低く、適切なトナー現像が行われるトナー量の範囲の下限値である。
【0070】
次に、実施の形態2に係る画像形成装置におけるコントローラー31によるトナー補給処理について説明する。図7は、実施の形態2におけるコントローラー31の動作について説明するフローチャートである。なお、実施の形態2におけるステップS1〜S7の処理は、実施の形態1(図5)におけるステップS1〜S7の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
実施の形態2では、メインコントローラー42は、ページ間で印刷を停止した後(ステップS8)、まず、制御回路41のトナー量基準値51を上限値とし(ステップS21)、制御回路41にトナー補給を実行させる(ステップS22)。これにより、現像器3aには、上限値までトナーが補給される。
【0072】
このトナー補給が完了すると、メインコントローラー42は、トナー量基準値51を標準値に戻し(ステップS23)、印刷を再開する(ステップS24)。
【0073】
その後、メインコントローラー42は、印刷再開後の印刷ページ数または印字ドット数の累積値を監視し、所定のページ数または所定の印字ドット数分の印刷が行われると(ステップS25)、その時点で、磁気式流量センサー17の出力値に基づくトナー補給量が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0074】
このとき、トナー補給量が所定の閾値以下ではない(つまり、トナー補給量が所定の閾値を超えている)場合、トナー補給量がある程度確保されているので、メインコントローラー42は、上述のステップS8からステップS25のようにしてトナー補給を行いつつ印刷を継続する。
【0075】
一方、トナー補給量が所定の閾値以下である場合、トナー量基準値が標準値であるとトナー補給量が確保されないので、メインコントローラー42は、制御回路41のトナー量基準値51を下限値とし(ステップS27)、その後、現在実行中の印刷ジョブが完了するまで(ステップS28)、あるいは制御回路41により現像器3a内のトナー量が下限値でも確保できなくなるまで(ステップS29)、印刷を継続させる。そして、現在実行中の印刷ジョブが完了するか、あるいはトナー量基準値51を下限値としても現像器3a内のトナー量が十分確保できなくなると、メインコントローラー42は、印刷を禁止し(ステップS30)、トナーコンテナ21の交換を促すメッセージを操作パネル33に表示させる。
【0076】
ここでは、現像器3aについてのコントローラー31の動作を説明したが、現像器3b〜3dについても同様である。
【0077】
以上のように、上記実施の形態2によれば、コントローラー31は、現像器3a(3b,3c,3d)内のトナー量が所定の基準値になるようにトナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22を動作させ、トナー補給モーター32およびトナー補給ローラー22による所定のトナー補給動作でトナーコンテナ21から現像器3a(3b,3c,3d)へ補給されるトナーの補給量が所定の条件になると、その基準値を変更する。
【0078】
これにより、トナーコンテナ21内のトナー残量が少なくなったときに、現像器3a(3b,3c,3d)内のトナー量を調節することで、トナーコンテナ21内のトナーをより多く印刷に消費することができ、トナーコンテナ21交換時にトナーコンテナ21内に残留しているトナーを少なくすることができる。
【0079】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0080】
例えば、上記の各実施の形態において、各現像器3a(3b,3c,3d)にトナー補給口16が複数形成されている場合には、複数のトナー補給口16に対して磁気式センサー17がそれぞれ設置され、複数の磁気式センサー17の出力値からトナーコンテナ21から現像器3a(3b,3c,3d)へのトナー補給量が計算される。
【0081】
上記の各実施の形態において、導電性トナーが使用される場合には、磁気式流量センサー17として電磁流量センサーが使用可能である。また、磁性トナーが使用される場合には、トナー補給口16に1または複数のコイルを設け、そのコイルの自己インダクタンスまたは相互インダクタンスの時間的変化に基づいて、トナー補給量を計算するようにしてもよい。その場合のコイルは、上述のコイル71,72のように配置してもよいし、トナー補給口16の周囲を巻回するように配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
3a〜3d 現像器
15 トナー量センサー
17 磁気式流量センサー
21 トナーコンテナ
22 トナー補給ローラー(トナー補給部の一例の一部)
31 コントローラー
32 トナー補給モーター(トナー補給部の一例の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーコンテナと、
前記トナーコンテナからトナーを補給される現像器と、
前記トナーコンテナから前記現像器へ補給されるトナーの補給量を測定する磁気式流量センサーと、
前記磁気式流量センサーにより測定されたトナーの補給量に基づいて、前記トナーコンテナから前記現像器へのトナー補給を制御するコントローラーと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーコンテナから前記現像器へのトナー補給を行うトナー補給部をさらに備え、
前記コントローラーは、前記磁気式流量センサーの測定結果に基づき、前記トナー補給部による所定のトナー補給動作で前記トナーコンテナから前記現像器へ補給されるトナーの補給量に応じて、前記トナー補給部の動作量を決定すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラーは、前記現像器内のトナー量が所定の基準値になるように前記トナー補給部を動作させ、前記トナー補給部による所定のトナー補給動作で前記トナーコンテナから前記現像器へ補給されるトナーの補給量が所定の条件になると、前記基準値を変更すること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、前記トナー補給部による所定のトナー補給動作で前記トナーコンテナから前記現像器へ補給されるトナーの補給量が所定の閾値以下になると、印刷動作を停止させた後に、前記基準値を増加させて前記現像器へのトナー補給を前記トナー補給部に実行させ、前記トナー補給の完了後に前記基準値を増加前の値に戻した上で印刷を再開させること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記トナー補給部による所定のトナー補給動作で前記トナーコンテナから前記現像器へ補給されるトナーの補給量が所定の閾値以下になると、前記基準値を低下させ、前記現像器へのトナー補給を前記トナー補給部に実行させること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像器内のトナー量を測定するトナー量センサーをさらに備えることを特徴とする請求項3から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記磁気式流量センサーは、電磁流量センサーであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−20192(P2013−20192A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155214(P2011−155214)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】