説明

画像形成装置

【課題】引出部材の引き出し時における現像剤の飛散と、ユーザがクリーニング部材に誤って触れるのを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、複数の感光ドラムがエンドレスベルト63に接触する接触位置と、感光ドラムがエンドレスベルト63から離間する離間位置と、感光ドラムが装置本体外に引き出された引出位置とに移動可能な引出部材(ドロワ50)と、引出部材に設けられるクリーニングユニット70のクリーニング部材(クリーニングローラ71)を覆う被覆位置と露出させる露出位置とに移動可能なカバー部材73と、引出部材の移動に連動してカバー部材73を移動させる開閉機構100を備える。開閉機構100は、引出部材が接触位置から引出位置(接触位置から離間位置)に移動する間において、カバー部材73を露出位置から被覆位置に移動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感光ドラムに対向するエンドレスベルトと、エンドレスベルト上のトナーを回収するクリーニングユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンドレスベルトに対向して配置される複数の感光ドラムと、感光ドラムにトナーを供給する現像ローラを有する複数の現像カートリッジと、エンドレスベルト上のトナーを回収するクリーニングローラを有するクリーニングユニットとを備える画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この技術では、前述した各感光ドラム、各現像カートリッジおよびクリーニングユニットがドロワによって一体に支持され、当該ドロワが装置本体から引き出し可能に構成されている。
【0003】
詳しくは、ドロワは、各感光ドラムとクリーニングローラをドロワ外に露出するように支持しており、各感光ドラムとクリーニングローラがエンドレスベルトに接触する接触位置と、各感光ドラムとクリーニングローラがエンドレスベルトから離れる離間位置と、各感光ドラムとクリーニングローラが装置本体外に位置する引出位置との間で移動可能となっている。これにより、ドロワを接触位置、離間位置、引出位置の順で装置本体から引き出すことで現像カートリッジ等の交換を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−210937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した技術では、クリーニングローラがドロワ外に露出しているので、引出位置に位置するクリーニングローラにユーザが誤って触れる可能性があった。また、ドロワを引き出す際に、クリーニングローラからトナーがドロワ外に飛散するおそれもあった。
【0006】
そこで、本発明は、ドロワ(引出部材)の引き出し時において、クリーニングローラ(クリーニング部材)からトナー(現像剤)が飛散するのを抑えるとともに、ユーザがクリーニングローラに誤って触れるのを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体内に設けられるエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトと対向して配置される複数の感光ドラムと、前記複数の感光ドラムが回転可能に設けられ、前記感光ドラムが前記エンドレスベルトに接触する接触位置と、前記感光ドラムが前記エンドレスベルトから離間する離間位置と、前記感光ドラムが前記装置本体外に引き出された引出位置とに移動可能な引出部材と、前記引出部材に設けられ、前記エンドレスベルト上のトナーを回収するクリーニング部材を有するクリーニングユニットと、前記クリーニング部材を覆う被覆位置と、前記クリーニング部材を前記エンドレスベルト側に向けて露出させるように開放する露出位置とに移動可能なカバー部材と、前記引出部材の移動に連動して、前記カバー部材を前記被覆位置と前記露出位置とに移動させる開閉機構とを備える。
前記開閉機構は、前記引出部材が前記接触位置から前記引出位置に移動する間において、前記カバー部材を前記露出位置から前記被覆位置に移動させるように構成されている。
【0008】
この構成によれば、引出部材を接触位置から引出位置に引き出す際に、カバー部材が閉じてクリーニング部材を覆うので、クリーニング部材上のトナーが飛散するのを抑えることができる。また、引出部材を引き出した状態ではカバー部材でクリーニング部材が覆われているので、ユーザがクリーニング部材に誤って触るのを防止することができる。
【0009】
また、前記した構成において、前記開閉機構は、前記引出部材が前記接触位置から前記離間位置に移動する間において、前記カバー部材を前記露出位置から前記被覆位置に移動させるように構成されているのが望ましい。
【0010】
これによれば、離間位置で既にカバー部材が閉まっているので、離間位置から引出位置に引出部材を移動させる際に、トナーが飛散するのを防止することができる。
【0011】
また、前記した構成において、前記開閉機構は、前記装置本体に設けられる本体側当接部と、前記カバー部材に設けられ、前記本体側当接部と当接するカバー側当接部とを備え、前記引出部材が前記離間位置から前記接触位置に移動する間において、前記本体側当接部で前記カバー側当接部が押されて前記カバー部材が前記被覆位置から前記露出位置に移動するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記した構成において、前記カバー部材は、回動可能であるとともに、前記被覆位置に付勢されるような重量バランスで形成されているのが望ましい。
【0013】
これによれば、バネなどの他の部材を設けることなく、カバー部材を露出位置から被覆位置に戻すことができる。
【0014】
また、前記した構成において、前記開閉機構は、前記引出部材が前記離間位置から前記引出位置に移動する間において、前記カバー部材を前記露出位置から前記被覆位置に移動させるように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記した構成において、前記開閉機構は、前記装置本体に設けられる本体側当接部と、前記カバー部材を前記被覆位置に付勢する付勢部材と、前記引出部材に設けられ、前記露出位置に対応した押圧姿勢と、前記被覆位置に対応した解除姿勢との間で揺動可能なリンク機構と、を備え、前記リンク機構は、前記引出部材が前記引出位置から前記離間位置に移動する際に前記本体側当接部と当接して前記解除姿勢から前記押圧姿勢に揺動することで前記カバー部材を前記露出位置まで押圧し、前記引出部材が前記離間位置から前記引出位置に移動する際に前記本体側当接部と当接して前記押圧姿勢から前記解除姿勢に揺動することで前記カバー部材への押圧力を解除するように構成されていてもよい。
【0016】
また、前記した構成において、前記クリーニングユニットは前記引出部材に着脱可能に設けられ、前記引出部材には、前記クリーニングユニットの装着時に当該クリーニングユニットと当接することで揺動して、前記リンク機構を前記押圧姿勢から前記解除姿勢に復帰させる復帰部材が設けられているのが望ましい。
【0017】
これによれば、引出部材からクリーニングユニットを取り外した状態において、誤ってリンク機構が押圧姿勢になったとしても、新たなクリーニングユニットを装着する際に、リンク機構を解除姿勢に戻して、リンク機構とカバー部材とを適切な位置関係に直すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、引出部材の引き出し時において、クリーニング部材から現像剤が飛散するのを抑えるとともに、ユーザがクリーニング部材に誤って触れるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す説明図である。
【図2】ドロワが離間位置に位置する状態を示す説明図である。
【図3】ドロワが引出位置に位置する状態を示す説明図である。
【図4】開閉機構の動作を示す説明図(a),(b)である。
【図5】他の実施形態に係る開閉機構を示す説明図である。
【図6】開放用本体側当接部とリンク機構の関係を示す説明図である。
【図7】閉塞用本体側当接部とリンク機構の関係を示す説明図である。
【図8】クリーニングユニット、復帰部材およびリンク機構の関係を示す説明図である。
【図9】復帰部材によってリンク機構が解除姿勢に戻った状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0021】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、給紙ユニット30と、スキャナユニット40と、引出部材の一例としてのドロワ50と、転写ユニット60と、クリーニングユニット70と、定着装置80とを備えている。
【0022】
装置本体10の上部には、装置本体10から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ11が設けられている。
【0023】
給紙ユニット30は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを転写位置(エンドレスベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構32とを備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
【0024】
スキャナユニット40は、給紙ユニット30の上方に配置され、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。そして、スキャナユニット40では、レーザビームが図の2点鎖線で示す経路を通って、感光ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0025】
ドロワ50は、エンドレスベルト63の下方(エンドレスベルト63とスキャナユニット40の間)に配置され、4つの感光ドラム51と、4つの図示せぬ公知の帯電器と、4つの現像カートリッジ52と、1つのクリーニングユニット70とを備えている。各感光ドラム51は、ドロワ50に対して回転可能に設けられ、エンドレスベルト63の下面に対向するように配置されている。
【0026】
各現像カートリッジ52には、現像ローラ53や、図示せぬ公知の供給ローラ、層厚規制ブレード、トナー収容室などが設けられている。現像カートリッジ52は、現像ローラ53が上向きになり、かつ、当該現像ローラ53の回転軸が感光ドラム51の回転軸よりも下方に配置される位置に設けられている。なお、各現像カートリッジ52とクリーニングユニット70は、ドロワ50に対して着脱可能に設けられている。
【0027】
そして、ドロワ50は、装置本体10に対して略前後方向に移動可能に支持され、装置本体10の前壁に形成される図示せぬ開口部から前側に引き出し可能となっている(図2参照)。詳しくは、ドロワ50は、各感光ドラム51がエンドレスベルト63に接触する接触位置(図1の位置)と、各感光ドラム51がエンドレスベルト63から離間する離間位置(図2の位置)と、各感光ドラム51が装置本体10外に引き出された引出位置(図3の位置)とに移動可能となっている。
【0028】
なお、ドロワ50を接触位置・離間位置・引出位置に移動させる手段としては、例えば、ドロワ50を前後方向に移動可能に支持するレールをリフト機構によって上下動させる機構や、前後方向に延び、かつ、その後端部を上斜め後方に延びるように曲げたレールなどを採用すればよい。
【0029】
転写ユニット60は、ドロワ50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状のエンドレスベルト63と、エンドレスベルト63を介して感光ドラム51と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、エンドレスベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを備えている。
【0030】
このようなドロワ50および転写ユニット60では、まず、感光ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40によって露光されることで、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラ53の表面に担持される。
【0031】
現像ローラ53の表面に担持されたトナーは、現像ローラ53から感光ドラム51上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光ドラム51上にトナー像が形成(担持)される。各感光ドラム51上に形成された各色のトナー像は、エンドレスベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、エンドレスベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、エンドレスベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
【0032】
クリーニングユニット70は、エンドレスベルト63上に残存するトナーを回収する機構であり、その一部(クリーニングローラ71)が、エンドレスベルト63の回転方向における2次転写ローラ65よりも下流側で、かつ、複数の感光ドラム51よりも上流側の部位に接触するように配置されている。具体的に、クリーニングユニット70は、複数の感光ドラム51よりも前側の位置で、ドロワ50に着脱可能に支持されている。
【0033】
このクリーニングユニット70では、エンドレスベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置で用紙Sに転写されずにエンドレスベルト63上に残ったトナーが回収される。なお、クリーニングユニット70の構造については、後で詳述する。
【0034】
定着装置80は、転写ユニット60の後側上方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。定着装置80では、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙S上に転写されたトナー像が熱定着される。なお、熱定着された用紙Sは、図示せぬ排紙ローラによって搬送され、排紙トレイ11上に排出される。
【0035】
<クリーニングユニット70の詳細構造>
次に、クリーニングユニット70の構造について詳細に説明する。
図4(a)に示すように、クリーニングユニット70は、クリーニング部材の一例としてのクリーニングローラ71と、クリーニングローラ71を回転可能に支持する筐体72と、筐体72に回動可能に支持されるカバー部材73とを備えている。
【0036】
クリーニングローラ71は、筐体72の上方に向けて露出してエンドレスベルト63の外周面に接触するように配置され、エンドレスベルト63の内周面に配置された図示せぬバックアップローラとの間に回収バイアスが印加されることでエンドレスベルト63上のトナーを回収している。
【0037】
筐体72は、クリーニングローラ71の他、クリーニングローラ71上のトナーを回収する図示せぬ回収ローラと、回収ローラ上のトナーを筐体72の下部に掻き落とす図示せぬブレードを備えている。
【0038】
カバー部材73は、クリーニングローラ71を覆う被覆位置(図4(b)の位置)と、クリーニングローラ71をエンドレスベルト63側に向けて露出させるように開放する露出位置(図4(a)の位置)とに回動可能(移動可能)となっている。具体的に、カバー部材73は、クリーニングローラ71の両端面および外周面の上半部を覆う断面視略U字状のカバー本体部73Aと、カバー本体部73Aの両端部に設けられる錘部73Bとを備えている。
【0039】
カバー本体部73Aは、筐体72の左右に配置される扇型の側壁A1と、側壁A1の円弧状の端部を繋ぐ断面視円弧状の上壁A2とを備えており、扇型の側壁A1の中心部が筐体72に回動可能に支持されている。錘部73Bは、カバー本体部73Aの側壁A1の中心部に固定され、筐体72に対してカバー本体部73Aと一体に回動可能となっている。
【0040】
これにより、カバー部材73に力が加わっていない状態(図4(b)の状態)においては、側壁A1の中心部が錘部73Bによって下方に向けられることで、中心部の反対側にある上壁A2がクリーニングローラ71の上方の位置、すなわち被覆位置に位置するようになっている。すなわち、カバー部材73は、被覆位置に付勢されるような重量バランスで形成されているので、バネなどの他の部材を設けることなく、カバー部材73を露出位置から被覆位置に戻すことが可能となっている。
【0041】
そして、このカバー部材73は、開閉機構100によって、ドロワ50の移動に連動して、被覆位置と露出位置とに回動するようになっている。具体的に、開閉機構100は、本体側当接部110と、カバー側当接部120とを備えて構成されている。
【0042】
本体側当接部110は、装置本体10の左右の側壁の少なくとも一方に設けられ、離間位置から接触位置に移動するカバー側当接部120と当接可能な位置に配置されている。
【0043】
カバー側当接部120は、カバー部材73の左右の側壁A1の少なくとも一方(本体側当接部110に対応する側壁A1)の中心部(回転中心)から離れた位置に設けられている。これにより、ドロワ50が離間位置から接触位置に移動する間に、カバー側当接部120が本体側当接部110の下面に当接すると、本体側当接部110によってカバー側当接部120が下方に押されて、カバー部材73が被覆位置から図示時計回りに回動して露出位置まで回動するようになっている。
【0044】
また、ドロワ50を接触位置から離間位置に移動させる際には、錘部73Bの重さによってカバー部材73が露出位置から被覆位置に自動的に回動する。そのため、この構造によれば、離間位置で既にカバー部材73が閉まっているので、離間位置から引出位置までの長い距離にわたってドロワ50を移動させる際に、トナーが飛散するのを防止することが可能となっている。
【0045】
また、図3に示すように、ドロワ50を引き出した状態においても、カバー部材73でクリーニングローラ71が覆われているので、ユーザがクリーニングローラ71に誤って触るのを防止することが可能となっている。詳しくは、ドロワ50は現像カートリッジ52を交換する目的で頻繁に引出位置まで引き出されるものであり、このように頻繁に引き出されるドロワ50にクリーニングユニットを設ける場合においてカバーを設けないと、ユーザの手がクリーニングローラに触れて頻繁に汚れる可能性がある。
【0046】
これに対し、本実施形態では、ドロワ50の引出動作に連動して閉まるカバー部材73を設けたので、確実にユーザの手が汚れるのを防止することが可能となっている。また、本実施形態のように各感光ドラム51よりも前側にクリーニングユニット70を設ける形態では、現像カートリッジ52の交換時にユーザの手が汚れる可能性がより高いため、このような形態においては特に本発明が有効となる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0048】
前記実施形態では、ドロワ50が接触位置から離間位置に移動するときにカバー部材73を露出位置から被覆位置に回動させたが、本発明はこれに限定されず、引出部材が接触位置から引出位置に移動する間において、カバー部材を露出位置から被覆位置に移動させればよい。例えば、ドロワ50が離間位置から引出位置(図2および図3参照)に移動する間において、カバー部材を露出位置から被覆位置に移動させてもよい。
【0049】
具体的には、前記実施形態におけるクリーニングユニット70や開閉機構100の代わりに、図5〜図9に示すようなクリーニングユニット200や開閉機構300を設けてもよい。以下に、図5〜図9の形態について説明する。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
図5に示すように、クリーニングユニット200は、ドロワ50に対して着脱可能に設けられ、主に、クリーニングローラ71と、カバー部材210と、筐体220とを備えている。カバー部材210は、クリーニングローラ71を覆うカバー本体部211と、カバー本体部211の前端部の左右両側を回動可能に支持する左右一対の第1アーム部212と、カバー本体部211の後端部の左右両側を回動可能に支持する左右一対の第2アーム部213とを備えている。
【0051】
第1アーム部212は、略上下方向に延びるように形成され、その略中央部が筐体220の左右の側壁221に回動可能に支持されており、付勢部材の一例としてのトーションバネ310によって常時被覆位置(図5の位置)に付勢されている。トーションバネ310は、その各端部が筐体220と第1アーム部212とに係合するように、筐体220と第1アーム部212との間に設けられている。
【0052】
第1アーム部212の下端部には、左右方向外側に突出する突起部320が形成されている。この突起部320は、後述するリンク機構330によって前方に押されるように構成されている。
【0053】
第2アーム部213は、第1アーム部212よりも短く形成されており、筐体220の左右の側壁221の適所に回動可能に支持されている。以上のように構成されたカバー部材210は、その突起部320がリンク機構330によって前方に押されると、被覆位置から露出位置(図7の位置)に回動し、リンク機構330による押圧力が解除されると、トーションバネ310の付勢力によって露出位置から自動的に被覆位置に戻るようになっている。
【0054】
図6および図7に示すように、開閉機構300は、前述したトーションバネ310および突起部320と、リンク機構330と、開放用本体側当接部341と、閉塞用本体側当接部342とを備えて構成されている。
【0055】
リンク機構330は、ドロワ50の左右の側壁の少なくとも一方に設けられ、露出位置に対応した押圧姿勢(図7の姿勢)と、被覆位置に対応した解除姿勢(図6の姿勢)との間で揺動可能となっている。具体的に、リンク機構330は、ドロワ50に回動可能に支持される押圧用アーム331と、押圧用アーム331の姿勢を規制する規制用アーム332と、押圧用アーム331を押圧姿勢と解除姿勢とに切り替えるためのコイルバネ333とを備えている。
【0056】
押圧用アーム331は、長尺状の部材であり、その一端部331Aがドロワ50に回動可能に支持され、その他端部側で前述した第1アーム部212の突起部320を前方に押圧するように構成されている。押圧用アーム331の他端部側には、当該押圧用アーム331の長手方向に沿った長孔331Bが形成されている。
【0057】
規制用アーム332は、長尺状の部材であり、その一端部332Aがドロワ50に回動可能に支持され、その他端部332Bが左右方向両側に突出し、左右方向内側の押圧用アーム331の長孔331Bに移動可能に係合するとともに、ドロワ50に形成された図示せぬ孔を通って左右方向外側に突出している。この規制用アーム332は、押圧姿勢と解除姿勢の両方の姿勢においてコイルバネ333の付勢力によって押圧用アーム331が回動しないように各姿勢の押圧用アーム331に対して略直交する姿勢となるように設けられている。
【0058】
コイルバネ333は、上端がドロワ50に回動可能に支持されるとともに、下端が規制用アーム332の他端部332Bに回動可能に支持されており、押圧姿勢と解除姿勢の両方の姿勢において押圧用アーム331を上端側に引っ張るような付勢力が発生するように構成されている。
【0059】
開放用本体側当接部341は、解除姿勢となるリンク機構330の規制用アーム332の他端部332Bに当接する位置に位置するように、装置本体10に設けられている。これに対し、閉塞用本体側当接部342は、押圧姿勢となるリンク機構330の規制用アーム332の他端部332Bに当接する位置に位置するように、装置本体10に設けられている。
【0060】
詳しくは、リンク機構330の規制用アーム332の他端部332Bが解除姿勢のときよりも押圧姿勢のときの方が上方の位置に位置するので、閉塞用本体側当接部342は、開放用本体側当接部341よりも前方で、かつ、上方の位置に設けられている。これにより、ドロワ50の装着時には、規制用アーム332の他端部332Bが閉塞用本体側当接部342には干渉せずに開放用本体側当接部341のみに当接し、ドロワ50の引き出し時には、規制用アーム332の他端部332Bが開放用本体側当接部341には干渉せずに閉塞用本体側当接部342のみに当接するようになっている。
【0061】
以下に、リンク機構330の動作について説明する。
ドロワ50を引出位置から離間位置に移動する際には、解除姿勢となるリンク機構330の規制用アーム332の他端部332Bは、閉塞用本体側当接部342よりも下方に位置するので、閉塞用本体側当接部342と干渉することなく当該閉塞用本体側当接部342の下側を通って、開放用本体側当接部341に当接する。開放用本体側当接部341に当接した他端部332Bが、当該開放用本体側当接部341によって前方(図示反時計回り)に相対的に押されることで、リンク機構330が解除姿勢から押圧姿勢に揺動し、当該リンク機構330によってカバー部材210が露出位置まで押圧される。
【0062】
また、ドロワ50を離間位置から引出位置に移動する際には、押圧姿勢となるリンク機構330の規制用アーム332の他端部332Bは、開放用本体側当接部341よりも上方に位置するので、開放用本体側当接部341と干渉することなく当該開放用本体側当接部341の上側を通って、閉塞用本体側当接部342に当接する。閉塞用本体側当接部342に当接した他端部332Bが、当該閉塞用本体側当接部342によって後方(図示時計回り)に相対的に押されると、リンク機構330が押圧姿勢から解除姿勢に揺動してリンク機構330からカバー部材210への押圧力が解除されるので、トーションバネ310の付勢力によってカバー部材210が被覆位置に戻る。
【0063】
なお、図5〜図9に示す形態では、開放用本体側当接部341と閉塞用本体側当接部342とを別々に構成したが、リンク機構の構造によっては1つの部位として構成してもよい。
【0064】
また、この構造では、図8に示すように、クリーニングユニット200の装着時に当該クリーニングユニット200と当接することで揺動して、リンク機構330を押圧姿勢から解除姿勢に復帰させる復帰部材400が、ドロワ50に揺動可能に設けられている。具体的に、復帰部材400は、略上下方向に延びる長尺状の部材であり、その略中央部がドロワ50の左右の側壁の少なくとも一方(リンク機構330がある方の側壁)に回動可能に支持されている。
【0065】
そして、復帰部材400の下端部410は、左右方向内側に突出して、押圧姿勢となるリンク機構330の押圧用アーム331に前側から係合可能となっている。また、復帰部材400の上端部420は、左右方向内側に突出して、クリーニングユニット200の筐体220の左右の側壁221の少なくとも一方(リンク機構330がある方の側壁221)に形成される押圧用リブ222に前側から係合可能となっている。
【0066】
押圧用リブ222は、上方に向かうにつれて前方へ傾斜するように形成されている。これにより、クリーニングユニット200をドロワ50の上方から下方に向けて装着していくと、押圧用リブ222によって復帰部材400の上端部420が前方に倒されて、復帰部材400が図示時計回りに揺動するようになっている。
【0067】
そのため、図8に示すように、クリーニングユニット200の装着時にリンク機構330が押圧姿勢であっても、揺動する復帰部材400の下端部410によって押圧用アーム331が後方に倒されることで、図9に示すように、リンク機構330が自動的に解除姿勢に戻るようになっている。これにより、ドロワ50からクリーニングユニット200を取り外した状態において、誤ってリンク機構330が押圧姿勢になったとしても、新たなクリーニングユニット200の装着動作に伴ってリンク機構330が自動的に解除姿勢に戻るので、リンク機構330とカバー部材210とを適切な位置関係に直すことが可能となっている。
【0068】
前記実施形態では、クリーニング部材としてクリーニングローラ71を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば導電性ブラシや導電性板バネなど、回収バイアスが印加されるものであればよい。
【0069】
前記実施形態では、ドロワ50に対してクリーニングユニット70を着脱可能としたが、本発明はこれに限定されず、ドロワにクリーニングユニットを固定(工具などを用いない限り着脱不能)してもよい。また、この場合、カバー部材を、クリーニングユニットではなく、ドロワに設けてもよい。
【0070】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 カラープリンタ
10 装置本体
50 ドロワ
51 感光ドラム
63 エンドレスベルト
70 クリーニングユニット
71 クリーニングローラ
73 カバー部材
100 開閉機構
110 本体側当接部
120 カバー側当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内に設けられるエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトと対向して配置される複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムが回転可能に設けられ、前記感光ドラムが前記エンドレスベルトに接触する接触位置と、前記感光ドラムが前記エンドレスベルトから離間する離間位置と、前記感光ドラムが前記装置本体外に引き出された引出位置とに移動可能な引出部材と、
前記引出部材に設けられ、前記エンドレスベルト上のトナーを回収するクリーニング部材を有するクリーニングユニットと、
前記クリーニング部材を覆う被覆位置と、前記クリーニング部材を前記エンドレスベルト側に向けて露出させるように開放する露出位置とに移動可能なカバー部材と、
前記引出部材の移動に連動して、前記カバー部材を前記被覆位置と前記露出位置とに移動させる開閉機構とを備え、
前記開閉機構は、前記引出部材が前記接触位置から前記引出位置に移動する間において、前記カバー部材を前記露出位置から前記被覆位置に移動させるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記引出部材が前記接触位置から前記離間位置に移動する間において、前記カバー部材を前記露出位置から前記被覆位置に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開閉機構は、
前記装置本体に設けられる本体側当接部と、
前記カバー部材に設けられ、前記本体側当接部と当接するカバー側当接部とを備え、
前記引出部材が前記離間位置から前記接触位置に移動する間において、前記本体側当接部で前記カバー側当接部が押されて前記カバー部材が前記被覆位置から前記露出位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、回動可能であるとともに、前記被覆位置に付勢されるような重量バランスで形成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開閉機構は、前記引出部材が前記離間位置から前記引出位置に移動する間において、前記カバー部材を前記露出位置から前記被覆位置に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記開閉機構は、
前記装置本体に設けられる本体側当接部と、
前記カバー部材を前記被覆位置に付勢する付勢部材と、
前記引出部材に設けられ、前記露出位置に対応した押圧姿勢と、前記被覆位置に対応した解除姿勢との間で揺動可能なリンク機構と、を備え、
前記リンク機構は、前記引出部材が前記引出位置から前記離間位置に移動する際に前記本体側当接部と当接して前記解除姿勢から前記押圧姿勢に揺動することで前記カバー部材を前記露出位置まで押圧し、前記引出部材が前記離間位置から前記引出位置に移動する際に前記本体側当接部と当接して前記押圧姿勢から前記解除姿勢に揺動することで前記カバー部材への押圧力を解除することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニングユニットは前記引出部材に着脱可能に設けられ、
前記引出部材には、前記クリーニングユニットの装着時に当該クリーニングユニットと当接することで揺動して、前記リンク機構を前記押圧姿勢から前記解除姿勢に復帰させる復帰部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−47718(P2013−47718A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185720(P2011−185720)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】