説明

画像形成装置

【課題】画像内の、ユーザが所望した部分にだけ光沢を発生させることができる画像形成システムの提供。
【解決手段】イエロー色、マゼンタ色、シアン色のうち少なくとも一以上トナーを含む有色トナーおよびクリアトナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システムであって、前記有色トナーおよび前記クリアトナーを前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記定着手段によって前記有色トナーおよび前記クリアトナーが定着されている前記記録媒体の温度を均一にするよう制御する温度制御手段と、前記温度制御手段によって前記温度を制御された前記記録媒体に形成されている前記画像に光沢を発生させる光沢発生手段と、を有し、前記温度は、前記有色トナーが固化する温度より低く、前記クリアトナーが軟化する温度より高いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のうち少なくとも一以上トナーを含む有色トナーおよびクリアトナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システム
【背景技術】
【0002】
従来、写真画像を印刷するときに、その画像の光沢度を高くすることによって、高級感のある鮮やかな色を再現することが求められている。そのために、トナーが定着された用紙に対して圧力と熱をかけることにより、用紙の表面に定着したトナーを一度溶かす。そして、溶けたトナーにベルト上で圧力を加えてから冷却することにより、トナー表面部分を鏡面のように平滑化する技術が特許文献1に開示されている。特に、特許文献1には、定着装置によってトナーが定着された記録材を光沢調整装置に搬送し、光沢調整装置が搬送された記録材に対して上述のように圧力と熱を加えることにより、用紙上の画像に光沢を発生することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された発明では、画像形成装置が備える定着装置によって定着処理を施された用紙の温度は不均一となり光沢ムラが発生してしまうことがある。これは、画像が形成される用紙には様々な大きさのものがあることが原因のひとつである。定着装置を実現する定着ローラは内部の加熱器によって加熱されているが、図17(1)に示されるように用紙が小さい場合、定着ローラには用紙が触れる部分(中央部)と用紙が触れない部分(端部)が発生する。これによって、定着ローラの中央部は用紙に熱が移動するため低温になり、定着ローラの端部は熱が移動しないために高温を保つことになる。このような状態で、図17(2)に示されるように大きい用紙が定着ローラによって定着処理を施されると、その用紙の端部(用紙内の斜線が示されている部分)と中央部(用紙内の斜線が示されない部分)では異なる温度に加熱されることになる。そこで、光沢ムラの発生を防ぐために定着処理後の用紙の温度を均一にする処理を施すことがある。
【0004】
一方、用紙に形成される画像の一部だけに光沢を発生させたいという要望がある。たとえば、用紙内に文字と写真が含まれる場合である。一般的に、写真を表す画像に対しては光沢を発生させ美感に訴えることが要求され、文字を表す画像にはユーザが文字を認識しやすいように光沢を発生させないことが要求されている。このような要求があるとき、用紙の温度を任意の温度で均一にするよう処理を施すと画像の全ての部分に光沢が発生してしまい、ユーザが所望した部分にだけ光沢を発生させることができない場合があるという課題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色のうち少なくとも一以上トナーを含む有色トナーおよびクリアトナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システムであって、前記有色トナーおよび前記クリアトナーを前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記定着手段によって前記有色トナーおよび前記クリアトナーが定着されている前記記録媒体の温度を均一にするよう制御する温度制御手段と、前記温度制御手段によって前記温度を制御された前記記録媒体に形成されている前記画像に光沢を発生させる光沢発生手段と、を有し、前記温度は、前記有色トナーが固化する温度より低く、前記クリアトナーが軟化する温度より高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、有色トナーが固化する温度より低く、クリアトナーが軟化する温度より高い温度で記録媒体を均一の温度とし、均一の温度となった記録媒体に定着されているトナーに対して光沢を発生させる処理を行うので、画像内のクリアトナーが定着している部分にのみ光沢を発生させることができる。すなわち、画像内の、ユーザが所望した部分にだけ光沢を発生させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成システムのハードウェア構成図である。
【図2】画像形成システムの有する画像形成装置1および光沢発生装置2の制御部のハードウェア構成図である。
【図3】画像形成装置1の温度センサ163を詳細に説明するための図である。
【図4】情報処理装置3のハードウェア構成図である。
【図5】画像形成装置1の制御部の機能構成図である。
【図6】情報処理装置3の機能構成図である。
【図7】光沢領域情報を入力するためのインターフェースとなる画面331の例である。
【図8】情報処理装置3の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図9】光沢領域情報を説明するための概念図である。
【図10】画像形成装置1の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図11】用紙の温度を均一化する処理の概要を示す処理フロー図である。
【図12】温度制御処理による用紙の温度変化である。
【図13】光沢発生装置2の処理の概要を表す処理フロー図である。
【図14】加熱器、温度センサ、恒温槽を備えた排紙部15のハードウェア構成図である。
【図15】加熱器、温度センサ、恒温槽を備えた反転部128のハードウェア構成図である。
【図16】加熱器、温度センサ、恒温槽を備えたデカール補正部17のハードウェア構成図である。
【図17】定着ローラおよび用紙の温度不均一を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1乃至図17を用いて、本発明にかかる画像形成システムの実施の形態を説明する。本実施形態の画像形成システムは画像形成装置1、光沢発生装置2、および画像形成装置1から光沢発生装置2へ記録媒体を搬送する搬送ベルト4を有している。また、画像形成装置1は通信ネットワーク等を経由して各種情報を情報処理装置3から受け付ける。
【0009】
<<実施形態のハードウェア構成>>
本実施形態の画像形成システムのハードウェア構成、および画像形成システムに各種情報を送信する情報処理装置3のハードウェア構成を説明する。
【0010】
図1は、画像形成システムのハードウェア構成図である。図2は、画像形成システムの有する画像形成装置1および光沢発生装置2の制御部のハードウェア構成図である。図3は、画像形成装置1の温度センサ163を詳細に説明するための図である。図4は、情報処理装置3のハードウェア構成図である。
【0011】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図1に示されるように、本実施形態の画像形成システムは画像形成装置1、光沢発生装置2、及び搬送ベルト4を有している。画像形成装置1は制御部、プリンタ部12、給紙部13、スキャナ部14、排紙部15、調温部16、およびデカール補正部17を有している。
【0012】
まず、図2を用いて画像形成装置1の制御部のハードウェア構成を説明する。
【0013】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、HD(Hard Disk)105、ネットワークI/F(Interface)106、操作パネル107、およびバスライン108を有している。
【0014】
CPU101はプログラムを実行する。ROM102にはシステム起動プログラムの情報などが格納されている。RAM103はCPU101がプログラムを実行するワーク用エリアとして使用される。HDD104は、HD105に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。HD105はデータを記憶する記憶装置であり、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶装置に代替可能である。ネットワークI/F106は、情報処理装置3などの外部機器と各種情報を送受信するためのものであり、操作パネル107は、ユーザからの操作入力を受け付けるためのものである。バスライン108は、上記各部を接続するためのものである。
【0015】
ROM102に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
ここで図1に戻って、プリンタ部12のハードウェア構成を説明する。
【0017】
プリンタ部12は、カートリッジ121、感光体ドラム122、帯電部123、現像部124、中間転写ベルト125、二次転写ローラ126、定着部127、および反転部128等を有している。定着部127は、定着ローラ1271、定着ベルト1272等を有している。反転部128は、第一の反転用ローラ1281、第一の反転用ベルト1282、第二の反転用ローラ1283、第二の反転用ベルト1284等を有している。
【0018】
カートリッジ121はシアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、黒(K)色のトナー、およびクリア(T)トナーを収容しているものであり、各トナーの種類に対応した5つのカートリッジ121C、121M、121Y、121K、121Tを有している。なお、以下では、カートリッジ121C、121M、121Y、121K、121Tのうち任意のカートリッジは「カートリッジ121」と示されている。
【0019】
なお、以降ではC色トナー、M色トナー、Y色トナー、K色トナーのいずれか一以上のトナーを有色トナーという。それぞれの有色トナーは、顔料や染料等の色材を含有した帯電性をもった樹脂粒子である。
【0020】
また、クリアトナーとは、無色透明のトナーであり、記録媒体に付着された有色トナーに付着されるとその有色トナーを視認できるように構成された樹脂粒子である。また、クリアトナーは記録媒体に付着されるとその記録媒体を視認できる樹脂粒子である。クリアトナーは、たとえば、低分子量のポリエステル樹脂に二酸化ケイ素(SiO2)や二酸化チタン(TiO2)を外添することによって生成される。なお、クリアトナーは記録媒体または記録媒体上に付着された有色トナーを視認できる程度の量であれば、色材を含んでいてもよい。
【0021】
また、画像形成装置1は記録媒体の表面に有色トナーを付着させて有色トナー層を形成し、その有色トナー層の記録媒体と接していない面にクリアトナーを付着させクリアトナー層を形成する。そのため、5種類のカートリッジ121C、121M、121Y、121K、121Tのうちカートリッジ121Tが中間転写ベルト125の進行方向に対して最も上流側に配置されている。また、後に詳しく説明する感光体ドラム122、帯電部123、現像部124についても同様に、それぞれ感光体ドラム122T、帯電部123T、現像部124Tが最も上流に配置されている。
【0022】
感光体ドラム122は、帯電部123により表面が帯電され、制御部から受け取った画像情報に基づき、表面に静電潜像が形成されるものである。更に、感光体ドラム122は、静電潜像が形成された表面に、現像部124がトナーを付着させることによって画像(トナー像)が形成されるものである。感光体ドラム122は、C色、M色、Y色、K色の各トナー、およびクリアトナーの種類に対応した5つの感光体ドラム122C、122M、122Y、122K、122Tを有している。なお、以下では、感光体ドラム122C、122M、122Y、122K、122Tのうち任意の感光体ドラムは「感光体ドラム122」と示されている。
【0023】
帯電部123は、後述する制御部の網点面積率決定部112によって決定された網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkに基づいて、それぞれ感光体ドラム122C、122M,122Y、122Kに接触して電圧を印加することにより、感光体ドラム122の表面を帯電させるものである。また、帯電部123は情報受信部111によって受信された光沢領域情報、および予め定められた所定の網点面積率Rtに基づいて、感光体ドラム122Tの表面を帯電させるものである。帯電部123は、C色、M色、Y色、K色の各トナーおよびクリアトナーに対応した5つの帯電部123C、123M、123Y、123K、123Tを有している。なお、以下では、帯電部123C、123M、123Y、123K、123Tのうち任意の帯電部は「帯電部123」と示されている。
【0024】
現像部124は、カートリッジ121内のトナーを帯電部123によって帯電された感光体ドラム122に付着させることにより、各感光体ドラム122の表面に画像(トナー像)を形成するものである。現像部124は、C色、M色、Y色、K色の各トナー、およびクリアトナーの種類に対応した5つの現像部124C、124M、124Y、124K、124Tを有している。なお、以下では、現像部124C、124M、124Y、124K、124Tのうち任意の帯電部は「現像部124」と示されている。中間転写ベルト125は感光体ドラム122に当接しながら搬送されることにより、その表面に感光体ドラム122表面のトナー像が転写(一次転写)される。また、中間転写ベルト125は、その表面にトナー像が形成された後、給紙部13によって給紙された用紙にそのトナー像を転写(二次転写)するものである。
【0025】
二次転写ローラ126は、給紙部13によって給紙された用紙を中間転写ベルト125との間に挟み込むことにより、中間転写ベルト125に形成されたトナー像を用紙に転写(二次転写)する。また、二次転写ローラ126は、トナー像が二次転写されることによって画像が形成された用紙を定着部127に送るものである。
【0026】
定着部127は、二次転写ローラ126から送られた用紙に形成された画像を定着させるものであり、定着ローラ1271、定着ベルト1272等を有している。定着ローラ1271は、定着ベルト1272との間に用紙を押し当て熱を付与することにより、用紙に画像を定着させるものである。定着ベルト1272は、定着ローラ1271との間に用紙を押し当てることにより、用紙に画像を定着させるものである。なお、定着部127は定着手段の一例である。
【0027】
反転部128は定着部127によって画像が定着された用紙の面の向きを反転させるものである。反転部128が有する第一の反転用ローラ1281は、定着部127を通過した用紙を第一の反転用ベルト1282を移動させるものである。第一の反転用ベルト1282は、第一の反転用ローラ1281によって移動され、その面に載置された用紙を搬送する。
【0028】
反転部128が有する第二の反転用ローラ1283は、第一の反転用ベルト1282に対向するように設置されている第二の反転用ベルト1284を、第一の反転用ベルト1282が移動する方向と反対の方向に移動させるものである。第二の反転用ベルト1284は、第二の反転用ローラ1283によって移動され、その面に載置された用紙を搬送する。なお、反転部128は、反転手段の一例である。
【0029】
定着部127によって定着処理された用紙は、トナーが定着していない面(記録面)で第一の反転用ベルト1282と接するように搬送される。そして、この第一の反転用ベルト1282を所定の位置で止め、用紙のトナーが定着していない面で接している第二の反転用ベルト1284が第一の反転用ベルト1282が移動する方向と反対方向に移動すると、記録面が第二の反転用ベルト1284に接した状態で搬送されることになる。このようにして反転部128は用紙の面の向きを反転させる。
【0030】
続いて、給紙部13のハードウェア構成を説明する。給紙部13は、用紙をプリンタ部12に供給するものであり、給紙トレイ131、給紙ローラ132、給紙ベルト133、およびレジストローラ134を有している。
【0031】
給紙トレイ131は、用紙を収容するものである。給紙ローラ132は、給紙トレイ131に収容されている用紙を取り出し、給紙ベルト133に載置するものである。給紙ベルト133は給紙ローラ132によって載置された用紙をレジストローラ134の方へ搬送するものである。レジストローラ134は、給紙ローラ132によって搬送された用紙を中間転写ベルト125と二次転写ローラ126との間に送り入れるものである。
【0032】
スキャナ部14は、用紙等に記載された画像情報を読み取るものであり、コンタクトガラス141、読取センサ142を有している。コンタクトガラス141は、画像の記載されている用紙が載置されるものである。読取センサ142はコンタクトガラス141に載置されている用紙に記されている画像情報を読み取るものである。
【0033】
排紙部15は、プリンタ部12で画像が形成された用紙を排出するものであり、排紙ベルト151、及び排紙口152を有している。排紙ベルト151は、定着部127によってトナーが定着された用紙もしくは反転部128によって反転された用紙を排紙口152の方へ搬送するものである。排紙口152は、排紙ベルト151によって搬送された用紙を画像形成装置1の外側へ排出するためのものである。なお、排紙部15は排出手段の一例である。
【0034】
調温部16は、定着部127でトナーが定着された用紙の温度を調整するものである。調温部16は、第一の加熱ローラ161、第二の加熱ローラ162、および温度センサ163を有している。第一の加熱ローラ161および第二の加熱ローラ162は、排紙ベルト151を加熱しながら、移動させるものである。温度センサ163は、第一の加熱ローラ161、第二の加熱ローラ162によって加熱されながら搬送される用紙の温度を計測するものである。本実施形態では、図3に示されるように温度センサ163a、温度センサ163b、温度センサ163cは排紙ベルト151上に設置され、それぞれ用紙の第一の端部、中央部、第一の端部とは異なる端部である第二の端部の温度を計測する。
【0035】
デカール補正部17は、給紙部13、定着部127がそれぞれ給紙処理、定着処理を行うことによって曲げられた用紙を平坦な状態になるよう補正するものであり、デカーラローラ171、デカーラ対向ローラ172を有する。図1に示される例では、デカーラローラ171、およびデカーラ対向ローラ172は排紙口152を用紙が通過する直前の位置に、互いに対向するよう設置される。そして、デカーラローラ171およびデカーラ対向ローラ172は、その間に用紙を挟み圧力を加えることで用紙を平坦な状態になるよう補正する。なお、デカール補正部17はデカール補正手段の一例である。
【0036】
次に、図1を用いて光沢発生装置2のハードウェア構成を説明する。
【0037】
光沢発生装置2は、用紙を加熱することによって用紙に定着されたトナーを溶解し、その後、表面が平滑なベルト上で溶解されたトナーに圧力をかけて冷却し、トナーの表面を平滑化することによって光沢を発生させる装置である。光沢発生装置2は、グロッサベルト201、ローラ202、ローラ203、ローラ204、加圧・加熱ローラ205、加圧ローラ206、冷却部207、および制御部を有している。
【0038】
グロッサベルト201は、ローラ202、ローラ203、ローラ204によって掛け渡され循環する無端状のベルトであり、加圧・加熱ローラ205と加圧ローラ206、冷却部207の順に用紙を搬送するように動くものである。また、加圧・加熱ローラ205によって加熱されることで溶解されたトナーがグロッサベルト201に押し当てられ加圧されることによって画像に光沢が付与されるので、グロッサベルト201の表面は平滑である必要がある。
【0039】
ローラ202、ローラ203、ローラ204は、グロッサベルト201を掛け渡し、それを一方向に循環させるように回転するものである。加圧・加熱ローラ205はグロッサベルト201によって搬送された用紙を加熱しながら加圧する。加圧ローラ206は加圧・加熱ローラ205に対向する位置に設置され、加圧・加熱ローラ205との間に用紙を挟みこんで加圧する。これによって、用紙に定着しているトナーの温度が高くなり、トナーが溶解する。そして溶解されたトナーは平滑なグロッサベルト201に押し当てられることによって、その表面が平滑になる。
【0040】
冷却部207は、加熱・加圧された用紙表面上のトナーを冷却して固化する。これによって、トナーの温度はガラス転移点以下の温度に下がりトナーが硬化しトナー表面の平滑性が保持される。冷却部207を構成する冷却装置は、ファンによる空冷方式、液体ジャケット、ラジエータおよびファンを用いる液冷方式、冷媒、ヒートポンプを用いるヒートポンプ方式のいずれのものでもよい。
【0041】
なお、光沢発生装置2は、光沢発生手段の一例である。また、加圧・加熱ローラ205は加熱手段の一例であり、加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206は加圧手段の一例であり、冷却部207は冷却手段の一例である。
【0042】
制御部は、上記画像形成装置1の制御部のハードウェア構成と同様である。したがって、ここでの説明を省略する。
【0043】
<画像形成装置から光沢発生装置へ用紙を搬送するベルト>
本実施形態では画像形成装置1で排出された用紙は、搬送され光沢発生装置2へ挿入される。このために、搬送ベルト4が画像形成装置1の排紙口152から光沢発生装置2の挿入口200にかけて設置される。搬送ベルト4は画像形成装置1の排紙口152より排出された用紙を受け取り、用紙が載置された状態で光沢発生装置2の方向へ移動する。そして、光沢発生装置2の挿入口200へ用紙の先端が到達すると、用紙は挿入口200から光沢発生装置2に挿入される。
【0044】
<情報処理装置のハードウェア構成>
続いて、図4を用いて情報処理装置3のハードウェア構成を説明する。情報処理装置3は、情報処理装置3全体の動作を制御するCPU301、情報処理プログラムを記憶したROM302、CPU301のワークエリアとして使用されるRAM303、各種データを記憶するHD(Hard Disk)304、CPU301の制御にしたがってHD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)305、フラッシュメモリ等の記憶メディア306に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ307、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報をディスプレイに表示させるためのディスプレイI/F(Interface)308、通信ネットワークを利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F309、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボードを制御するためのキーボードI/F310、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウスを制御するためのマウスI/F311、着脱可能な記憶媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)312に対するデータの読み出し又は書き込みを制御するCD−ROMドライブ313、及び、上記各構成要素を図4に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン314を備えている。
【0045】
なお、上記情報処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記憶メディア306やCD−ROM313等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0046】
<<実施形態の機能構成>>
続いて、図5乃至図7を用いて本実施形態の機能構成を説明する。図5は、画像形成装置1の制御部の機能構成図である。図6は、情報処理装置3の機能構成図である。図7は、光沢領域情報を入力するためのインターフェースとなる画面331の例である。
【0047】
<画像形成装置の機能構成>
まず、図5を用いて、画像形成装置1の制御部の機能構成を説明する。図5に示されるように、制御部は、情報受信部111、網点面積率決定部112、および温度制御部113を有している。網点面積率決定部112は、画像情報変換部1121、下色除去部1122を有している。温度制御部113は加熱制御部1131、温度計測部1132、温度判定部1133を有している。なお、情報受信部111、網点面積率決定部112、および温度制御部113は、図2に示されるROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0048】
情報受信部111は、通信ネットワーク等を経由して情報処理装置3から送信された画像情報および光沢領域情報を受信する。ここで、画像情報とは、用紙等の用紙に形成させる画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示されたものである。また、光沢領域情報とは、光沢発生装置2が光沢を発生させる光沢領域を示す情報である。
【0049】
網点面積率決定部112は、情報受信部111で受信された画像情報に基づいて、用紙に付着させるC色、M色、Y色、K色の各トナーの網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkを決定するものである。網点面積率決定部112は、画像情報変換部1121、下色除去部1122を有している。画像情報変換部1121は、RIP(Raster Image Processing)処理によって、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色で表される画像情報に対して色空間変換処理等を実施することにより、用紙の単位面積内でC色、M色、Y色の各トナーを付着させる網点面積率Rc0、Rm0、Ry0を決定する。網点面積率決定部112が有する下色除去部1122は、下色除去(UCR:Under Color Removal)処理を行うことによって色調を変えないように、画像情報変換部1121によって変換されたC色、M色、Y色の各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0を、C色、M色、Y色、K色の各網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkに変換する。このように、画像情報変換部1121および下色除去部1122によって処理が行われることによって、色調を変えないようにC色、M色、Y色、K色の各網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkが決定される。
【0050】
網点面積率とは、用紙の所定の面積に対してトナーを付着させる面積の割合である。網点面積率が0%のときには所定の面積にトナーは全く付着されず、網点面積率が100%のときには所定の面積の全てにトナーが付着される。
【0051】
温度制御部113は、定着部127によってトナーが用紙に定着された後、その用紙の温度を所定の温度とするように制御するものである。温度制御部113は、加熱制御部1131、温度計測部1132、および温度判定部1133を有している。
【0052】
加熱制御部1131は、第一の加熱ローラ161および第二の加熱ローラ162の内部に備えられている加熱器を制御するものである。温度計測部1132は、温度センサ163を制御することによって排紙ベルト151に載置された用紙の温度を計測するものである。図3に示されるように温度計測部1132は3つの温度センサ163a、温度センサ163b、温度センサ163cを制御し、排紙ベルト151上に載置されている用紙のそれぞれ第一の端部、中央部、第一の端部とは異なる端部である第二の端部の温度を計測する。温度判定部1133は、温度計測部1132によって計測された用紙の第一の端部、中央部、第二の端部それぞれの温度と、予め定められた所定の温度(目標温度)との差が所定の範囲内であるか否かを判定するものである。
【0053】
なお、温度制御部113は、温度制御手段の一例である。また、加熱制御部1131は調温手段の一例である。また、温度計測部1132は、温度計測手段の一例である。温度判定部1133は温度判定手段の一例である。
【0054】
<情報処理装置の機能構成>
次に、図6を用いて情報処理装置3の機能構成を説明する。図6に示されるように、情報処理装置3は、送信部321、表示制御部322、操作入力受付部323、光沢領域情報生成部324、および画像情報記憶部329を有している。送信部321、表示制御部322、および操作入力受付部323は、図4に示されているROM302に記憶されているプログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。画像情報記憶部329は、図4に示されるHD304等により構築されている。
【0055】
送信部321は、図4に示されているネットワークI/F309によって実現され、通信ネットワークを介して画像形成装置1に画像情報等の各種情報を送信する。表示制御部322は、図5に示されているディスプレイI/F308によって実現され、表示装置330に各種情報を表示させるための制御を行う。操作入力受付部323は、図4に示されているキーボードI/F310、マウスI/F311によって実現され、ユーザが操作入力する各種情報を受け付ける。
【0056】
光沢領域情報生成部324は、操作入力受付部323によって受け付けられた情報に基づいて、光沢発生装置2が光沢を発生させる光沢領域、および光沢発生装置2が光沢を発生させない非光沢領域を示す光沢領域情報を生成する。ここで、ユーザが操作入力するために、表示制御部322が表示装置330に表示させる画面331の例を図7を用いて説明する。画面331は表示・選択部332、確定ボタン333等から構成されている。表示・選択部332には、表示制御部322が画像情報記憶部329に記憶されている画像情報が表す画像が表示される。また、表示・選択部332に表示されている画像内の領域をユーザがマウス等を用いて選択する。図7の例では、用紙内の点線で示された写真画像の領域がユーザによって選択されている。
【0057】
また、確定ボタン333は、ユーザが表示・選択部332で領域を選択した後に押すことによって、選択された領域が光沢領域332aであり、選択されていない領域が非光沢領域332bであることを確定するためのものである。図7の例では、確定ボタン333がユーザによって押されることによって、点線で示された矩形が光沢領域332aとして確定されるものとする。また、光沢領域以外の領域が非光沢領域332bとして確定されるものとする。
【0058】
画像情報記憶部329は、用紙に形成する画像を表す画像情報を記憶しているものである。
【0059】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図7乃至図17を用いて、本実施形態に係る処理を説明する。図7は、光沢領域情報を入力するためのインターフェースとなる画面331の例である。図8は、情報処理装置3の処理の概要を示す処理フロー図である。図9は、光沢領域情報を説明するための概念図である。図10は、画像形成装置1の処理の概要を示す処理フロー図である。図11は、用紙の温度を均一化する処理の概要を示す処理フロー図である。図12は、温度制御処理による用紙の温度変化である。図13は、光沢発生装置2の処理の概要を表す処理フロー図である。図14は、加熱器、温度センサ、恒温槽を備えた排紙部15のハードウェア構成図である。図15は、加熱器、温度センサ、恒温槽を備えた反転部128のハードウェア構成図である。図16は、加熱器、温度センサ、恒温槽を備えたデカール補正部17のハードウェア構成図である。図17は、定着ローラ1271および用紙の温度不均一を説明するための図である。
【0060】
まず、図8に示されるように、情報処理装置3の表示制御部322が画像情報記憶部329に記憶されている画像情報に基づいて、表示装置330の画面331(図7参照)の表示・選択部332に画像を表示させる(ステップS11)。そして、表示された画像内でユーザが光沢領域332aを選択し確定ボタン333を押すと、操作入力受付部323がユーザよって選択された光沢領域332a、および光沢領域332a以外の領域である非光沢領域332bを示す情報を受け付ける(ステップS12)。本実施形態では、前述のとおり写真画像が形成されている点線で記載された矩形の領域が光沢領域332aとしてユーザによって選択され、確定ボタンが押されることによって、操作入力受付部323が受け付けるとして以降の処理を説明する。
【0061】
続いて、光沢領域情報生成部324が、操作入力受付部323によって受け付けられた情報に基づいて、画像形成装置1に送信する光沢領域情報を生成する。具体的には、光沢領域情報生成部324は、図9に示されるように光沢画像内の光沢領域332aを構成する各部分x1に対して光沢領域であることを示す光沢フラグ「1」を対応付ける。また、光沢領域情報生成部324は、図9に示されるように非光沢領域332bを構成する各部分x2に対して光沢フラグ「0」を対応付ける。このようにして、光沢領域情報生成部324は、画像内の各部分xに光沢フラグ「0」または「1」が対応付けられている光沢領域情報を生成する(ステップS13)。そして、送信部321が、画像情報記憶部329に記憶されている画像情報と、その画像情報に対応する光沢領域情報を、通信ネットワーク等を経由して画像形成装置1に送信する(ステップS14)。
【0062】
情報処理装置3の送信部321が、画像情報を画像形成装置1に対して送信すると、図10に示されるように、画像形成装置1の情報受信部111が、ネットワーク経由で送信された画像情報および光沢領域情報を受信する(ステップS21)。
【0063】
次に、網点面積率決定部112が、情報受信部111によって受信された画像情報に基づいて、用紙に付着させるC色、M色、Y色、K色の各網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkを決定する。そのために、まず、網点面積率決定部112が有する画像情報変換部1121が、情報受信部111で受け付けた画像情報を、C色、M色、Y色の各網点面積率に変換する。具体的には、画像情報変換部1121が画像情報に対してシェーディング補正、位置ズレ補正、色空間の変換、ガンマ補正等の処理をすることによって、C色、M色、Y色の各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0に変換する(ステップS22)。
【0064】
そして、下色除去部1122が、画像情報変換部1121によって算出されたC色、M色、Y色の各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0に対して下色除去を行う(ステップS23)。下色除去処理は既に知られているいずれの方法を用いてもよい。これらの網点面積率変換処理と下色除去処理が行われることによって、用紙に付着させるC色、M色、Y色、K色の各網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkが決定される。
【0065】
続いて、プリンタ部12が網点面積率決定部112によって決定された網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkおよび情報受信部111によって受信された光沢領域情報に基づいて用紙に画像を形成する。
【0066】
まず、感光体ドラム122の表面にトナーが付着することによって画像(トナー像)が形成される(ステップS24)。具体的には、帯電部123が感光体ドラム122に接触して電圧を印加し、感光体ドラム122の表面を帯電させる。そして、不図示の露光装置から発せられたレーザ光が、網点面積率決定部112によって決定されたC色、M色、Y色、K色の各網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkに基づいて、それぞれ感光体ドラム122C、122M、122Y、122Kの表面に静電潜像を形成する。また、レーザ光は光沢領域情報に基づいて感光体ドラム122Tの表面に静電潜像を形成する。具体的には、光沢領域情報において光沢フラグ「0」の部分には網点面積率0%で、光沢フラグ「1」の部分には所定の網点面積率Rtでクリアトナーによるトナー像が形成されるように静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成されると、現像部124が、静電潜像が形成された感光体ドラム122表面に、各カートリッジ121に収容されているトナーを付着させることによって、感光体ドラム122の表面にトナー像を形成する。
【0067】
続いて、中間転写ベルト125が、感光体ドラム122に当接しながら搬送される。すると、ステップS24で感光体ドラム122の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト125の表面に転写(以降、一次転写という)され(ステップS25)、中間転写ベルト125の表面にトナー像が形成される。なお、中間転写ベルト125にトナー像が一次転写された後、感光体ドラム122の表面は除電器によって除電される。また、除電された感光体ドラム122の表面に残った転写残トナーは、清掃器によって除去される。
【0068】
ステップS21乃至ステップS25の処理が実施されることによって、中間転写ベルト125の表面にトナー像が形成される一方、給紙部13が給紙処理を実施する(ステップS26)。具体的には給紙部13の給紙ローラ132が回転することによって給紙トレイ131に収容されている用紙が取り出され、給紙ベルト133に載置される。そして、給紙ベルト133がレジストローラ134の方へ移動することによって、給紙ベルト133に載置されている用紙がレジストローラ134の方へ移動する。用紙の先端がレジストローラ134の位置に達すると、中間転写ベルト125のトナー像が形成されている部分が二次転写ローラ126の位置に到達するまでレジストローラ134は用紙が動かないように止めておく。そして、レジストローラ134は中間転写ベルト125のトナー像が形成されている部分が二次転写ローラ126の位置に到達するタイミングで用紙を二次転写ローラ126の位置に送り出す。
【0069】
続いて、ステップS25で中間転写ベルト125に一次転写されたトナー像は、ステップS26で給紙部13によって給紙された用紙に転写(以降、二次転写という)される(ステップS27)。具体的には、レジストローラ134によって中間転写ベルト125と二次転写ローラ126の間に送り入れられた用紙は、中間転写ベルト125と二次転写ローラ126に挟まれ、搬送されることによって、中間転写ベルト125上のトナー像を二次転写される。<画像形成装置のハードウェア構成>で説明したように感光体ドラム122C、122M、122Y、122K、122Tのうち感光体ドラム122Tが中間転写ベルトの進行方向に対して最も上流側に配置されているので、ステップS26までの処理で用紙上にはまず有色トナーが付着される。そして、用紙内の光沢領域には有色トナーの上層にクリアトナーが付着されることになる。
【0070】
そして、定着部127の定着ローラ1271が、定着ベルト1272との間に用紙を押し当て、熱を付与することにより、用紙に画像を定着させる(ステップS28)。
【0071】
定着部127によって用紙に画像が定着されると、反転部128は用紙の面の向きを反転させる(ステップS29)。具体的には、第一の反転用ローラ1281が第一の反転用ベルト1282を移動することによって、第一の反転用ベルト1282に用紙の非記録面が接するようにを搬送する。図1に示されるように第一の反転用ベルト1282と第二の反転用ベルト1284はそれらの面が対向するように設置されているので、用紙は第一の反転用ベルト1282によって搬送されることによって、第一の反転用ベルト1282に接していない記録面が第二の反転用ベルト1284に接するようになる。このような状態で第一の反転用ベルト1282を止め、第二の反転用ローラ1283が第一の反転用ベルト1282と反対方向に第二の反転用ベルト1284を移動させる。すると、用紙は第二の反転用ベルト1284に記録面が接した状態で搬送される。このように反転部128によって用紙が反転されることにより、用紙は排紙部15によって排紙されるときには記録面が排紙ベルト151と接している状態となる。
【0072】
ステップS28で反転部128が用紙の面の向きを反転させると、第二の反転用ベルト1284で搬送されていた用紙を排紙ベルト151が排紙口152の方向へ搬送する。このとき、温度制御部113が用紙の温度を均一の予め定められた所定の温度(以降、目標温度という)にするための温度制御処理を実施する(ステップS30)。この温度制御処理の詳細について図11を用いて説明する。なお、目標温度とはクリアトナーが溶解している温度で有色トナーが固化している温度のいずれかの温度である。また、クリアトナーが溶解している温度とは約50℃、有色トナーが固化している温度とは約60℃であることが実験により明らかになっている。
【0073】
加熱制御部1131の制御によって、第一の加熱ローラ161および第二の加熱ローラ162が排紙ベルト151を加熱することで、その排紙ベルト151に搬送されている用紙は加熱される(ステップS301)。このような状態で温度計測部1132によって制御された温度センサ163a、温度センサ163b、温度センサ163cが用紙のそれぞれ第一の端部の温度、中央部の温度、第二の端部の温度を計測する(ステップS302)。
【0074】
そして、温度判定部1133が、用紙全体の温度が目標温度となったか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、まず、温度判定部1133は用紙の第一の端部の温度と目標温度との温度差が閾値内であるか否かを判定する。同様に、中央部の温度と目標温度の温度差が閾値内であるか否かを判定する。また、第二の端部の温度と目標温度の差が閾値内であるか否かを判定する。
【0075】
ステップS303で、用紙の第一の端部の温度と目標温度との温度差、中央部の温度と目標温度との温度差、第二の端部の温度と目標温度との温度差が全て閾値以内であると判定されたら、温度制御部113は温度制御処理を終了する。そして、排紙部15が排紙ベルト151を移動させることによって、用紙をデカール補正部17の方へ搬送する。なお、このように、用紙の第一の端部の温度と目標温度との温度差、中央部の温度と目標温度との温度差、第二の端部の温度と目標温度との温度差が全て閾値以内である状態にあることを用紙の温度が所定の温度で均一である、ということとする。
【0076】
ステップS303で、第一の端部の温度と目標温度との温度差、中央部の温度と目標温度との温度差、第二の端部の温度と目標温度との温度差のいずれかが閾値以内でないと判定されたら、排紙ベルト151が移動を停止することによって、その上に載置されている用紙は加熱され続ける(ステップS301)。以降、用紙各部の温度と目標温度との差が閾値内であると判定されるまでステップS301乃至ステップS303の処理が繰り返される。
【0077】
ここで、図12を用いて、第一の端部または第二の端部(以降、端部という)、および中央部の温度変化について説明する。図12の実線は用紙の中央部の温度変化を示しており、点線は用紙の端部の温度変化を示している。用紙が定着部127を通過するとき、中央部の温度と端部の温度に温度差が生じる。
【0078】
このように温度差が生じる理由の一例として画像が形成される用紙には様々な大きさのものがあるということが挙げられる。定着部127の定着ローラ1271は内部の加熱器によって加熱されているが、図17(1)に示されるように用紙が小さい場合、定着ローラ1271には用紙が触れる部分(中央部)と用紙が触れない部分(端部)が発生する。これによって、定着ローラ1271の中央部は用紙に熱が移動するため低温になり、定着ローラ1271の端部は熱が移動しないために高温を保つことになる。このような状態で、図17(2)に示されるように大きい用紙が定着ローラ1271によって定着処理を施されると、その用紙の端部と中央部は異なる温度に加熱されることになる。
【0079】
ここで図12に戻って説明すると、端部と中央部の温度が異なる状態でトナーが定着された用紙は定着部127を通過した後、前述の反転部128等を通過しているときに端部と中央部の温度はその差を保ったまま低下する。そして、調温部16によって用紙の温度が目標温度となるように調整されると中央部と端部の温度が同じ程度になる。すなわち、用紙全体の温度は目標温度で均一となる。この調温部16の処理によって、用紙に付着されている有色トナーは溶解せず、クリアトナーのみが溶解している状態になっている。そのため、光沢発生装置2はクリアトナーが付着されている光沢領域332aに光沢を発生させ、クリアトナーが付着されていない非光沢領域332bには光沢を発生させないように処理を施すことが可能となる。
【0080】
調温部16によって用紙全体の温度が目標温度で均一となると、デカール補正部17のデカーラローラ171およびデカーラ対向ローラ172がその間に用紙を挟み圧力を加えることで用紙を平坦な状態になるよう補正する(ステップS31)。そして、排紙部15が、デカール補正部17によって補正された用紙を排紙口152から排出する(ステップS32)。
【0081】
排紙部15によって用紙が排出されると、搬送ベルト4は画像形成装置1の排紙口152より排出された用紙を受け取り、用紙を載置した状態で光沢発生装置2の方向へ移動する。そして、光沢発生装置2の挿入口200へ用紙の先端が到達すると、用紙は挿入口200から光沢発生装置2に挿入される。
【0082】
用紙が光沢発生装置2に挿入されると、光沢発生装置2が用紙に定着されたトナーを加熱・加圧することによって光沢を発生させる処理を行う。
【0083】
この処理の詳細について図13を用いて説明する。前述のように画像形成装置1の排紙口152から排出された用紙は、光沢発生装置2の挿入口200へ挿入され、トナーが定着している用紙の面(記録面)がグロッサベルト201に載置される。このようにして光沢発生装置2は用紙を受け付ける(ステップS41)。用紙が受け付けられると、用紙はグロッサベルト201によって搬送される。搬送された用紙の先端が加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206の位置に達すると、加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206がグロッサベルト201とともに用紙を挟みこんで加熱しながら加圧する(ステップS42)。このとき加圧・加熱ローラ205は用紙全体の温度をクリアトナーが溶解している温度で有色トナーが固化している温度に保つに加熱し、その状態で加圧ローラ206とともに用紙を加圧する。したがって、ステップS30で用紙が温度制御されることによって、溶解されている光沢領域のクリアトナーは平滑なグロッサベルト201に押し当てられ、その表面が平滑になる。一方、非光沢領域の有色トナーは固化したままグロッサベルト201に押し当てられるので、その表面が平滑になることはない。
【0084】
ステップS42で加圧・加熱ローラ205および加圧ローラ206によって用紙が加熱・加圧されると、冷却部207が加熱された用紙を冷却する(ステップS43)。これによって、用紙の表面で溶解していたクリアトナーは硬化され、平滑化されたトナー表面が安定して保持される。
【0085】
最後に、冷却部207によって冷却されて硬化したクリアトナーおよび有色トナーが付着されている用紙は光沢発生装置2の外へ排出される(ステップS44)。
【0086】
<<実施形態の補足>>
なお、図1では、画像形成装置1と光沢発生装置2を近接させて配置しているが、搬送ベルト4を長くして画像形成装置1と光沢発生装置2を互いに離れた位置に設置してもよい。また、図1では画像形成装置1と光沢発生装置2を別の装置として記載しているが、これらの装置が備える機能がひとつの装置内にあるようにしてもよい。
【0087】
また、本実施形態では図3に示されるように3つの加熱センサが主走査方向に並ぶように配置されているが、加熱センサの数は3つに限るものではない。また、加熱センサの配置の仕方は主走査方向に一列に並べる形態に限るものではない。用紙の全ての部分の温度が均一になることを確認できるように適宜配置することが好ましい。
【0088】
また、本実施形態では、排紙部15の排紙ベルト151を加熱することによって排紙ベルト151に載置される用紙を加熱しているが、図14に示されるように排紙ベルト151の用紙が接する面側に恒温槽を設置し、その恒温槽の内部に加熱器を配置し、恒温槽内部を一定温度に保つことによって定着処理後の用紙全体の温度を目標温度にするようにしてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、排紙部15の排紙ベルト151を加熱することによって排紙ベルト151に載置される用紙を加熱しているが、図15に示されるように反転部128を覆うように恒温槽を設置し、その恒温槽の内部に加熱器を配置し、恒温槽内部を一定温度に保つことによって定着処理後の用紙全体の温度を目標温度にするようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、排紙部15の排紙ベルト151を加熱することによって排紙ベルト151に載置される用紙を加熱しているが、図16に示されるようデカール補正部17のデカーラローラ171の内部に加熱器を設け、加熱器によって加熱されたデカーラローラ171によって用紙を加熱し、その用紙全体の温度を目標温度にするようにしてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、画像形成装置1の内部で定着処理の後に用紙の温度を制御する処理を行っているが、光沢発生装置2の内部で加熱・加圧ローラに到達する前の搬送ベルト上でこの処理が行われてもよい。また、画像形成装置1が用紙を排紙した後、光沢発生装置2へ搬送する搬送ベルト上でこの処理が行われてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、ステップS21で情報受信部111が、情報処理装置3からネットワーク経由で送信された画像情報を受け付けるとしているが、スキャナ部14の読取センサ142がコンタクトガラス141に載置された原稿用紙等から取得した画像情報を受け付けるとしてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、情報処理装置3の画像情報記憶部329に記憶されている画像情報を送信部321が送信するとしているが、情報処理装置3が生成した画像情報や情報処理装置3がネットワークを経由した他の装置から取得した画像情報等、画像情報記憶部329に記憶されていない画像情報を送信部321が送信するとしてもよい。
【0094】
また、加熱制御部1131が用紙を加熱することによって用紙全体を目標温度とするよう制御しているが、用紙を冷却することによって用紙全体を目標温度とするように制御してもよい。
【0095】
また、下色除去部1122が下色除去処理を行わず、画像情報変換部1121によって変換された各網点面積率Rc0、Rm0、Ry0を画像形成装置1が用紙に付着させる網点面積率として決定してもよい。
【0096】
また、プリンタ部12の処理において用いるクリアトナーの網点面積率Rtを所定の値としているが、有色トナーの網点面積率Rc、Rm、Ry、Rkに基づいて決定される網点面積率Rtとしてもよい。
【0097】
<<実施形態の効果>>
本実施形態によれば、有色トナーが固化する温度より低く、クリアトナーが軟化する温度より高い温度で用紙を均一の温度とし、均一の温度となった用紙に定着されているトナーに対して光沢を発生させる処理を行うので、画像内のクリアトナーが定着している部分にのみ光沢を発生させることができる。すなわち、ユーザが所望した部分にだけ光沢が発生した画像を生成することができるという効果を奏する。
【0098】
また、用紙の複数の部分の温度を計測し、それぞれの温度と目標温度との温度差が所定の範囲内であるか否かを判定するので、トナーが確実に所定の温度となってから光沢を発生する処理を行うことができる。
【0099】
また、排紙部15、反転部128、またはデカール補正部17を加熱するため、装置内に用紙を加熱するためのスペースを別途設ける必要がなく、スペースを節約することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 ネットワークI/F
107 操作パネル
108 バスライン
12 プリンタ部
121 カートリッジ
122 感光体ドラム
123 帯電部
124 現像部
125 中間転写ベルト
126 二次転写ローラ
127 定着部
1271 定着ローラ
1272 定着ベルト
128 反転部
1281 第一の反転用ローラ
1282 第一の反転用ベルト
1283 第二の反転用ローラ
1284 第二の反転用ベルト
13 給紙部
131 給紙トレイ
132 給紙ローラ
133 給紙ベルト
134 レジストローラ
14 スキャナ部
141 コンタクトガラス
142 読取センサ
15 排紙部
151 排紙ベルト
152 排紙口
16 調温部
161 第一の加熱ローラ
162 第二の加熱ローラ
163 温度センサ
17 デカール補正部
171 デカーラローラ
172 デカーラ対向ローラ
173 温度センサ
111 情報受信部
112 網点面積率決定部
1121 画像情報変換部
1122 下色除去部
113 温度制御部
1131 加熱制御部
1132 温度計測部
1133 温度判定部
2 光沢発生装置
200 挿入口
201 グロッサベルト
202 ローラ
203 ローラ
204 ローラ
205 加圧・加熱ローラ
206 加圧ローラ
207 冷却部
3 情報処理装置
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 HD
305 HDD
306 記憶メディア
307 メディアドライブ
308 ディスプレイI/F
309 ネットワークI/F
310 キーボードI/F
311 マウスI/F
312 CD−ROM
313 CD−ROMドライブ
314 バスライン
321 送信部
322 表示制御部
323 操作入力受付部
324 光沢領域情報生成部
329 画像情報記憶部
330 表示装置
4 搬送ベルト

【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2004−325934

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー色、マゼンタ色、シアン色のうち少なくとも一以上トナーを含む有色トナーおよびクリアトナーを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成システムであって、
前記有色トナーおよび前記クリアトナーを前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記定着手段によって前記有色トナーおよび前記クリアトナーが定着されている前記記録媒体の温度を均一にするよう制御する温度制御手段と、
前記温度制御手段によって前記温度を制御された前記記録媒体に形成されている前記画像に光沢を発生させる光沢発生手段と、
を有し、
前記温度は、前記有色トナーが固化する温度より低く、前記クリアトナーが軟化する温度より高いことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記定着手段は、前記クリアトナーを前記有色トナーが記録媒体と接している面と反対の面に定着させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成システムであって、
前記温度制御手段は、
前記記録媒体の温度を調整する調温手段と、
前記調温手段によって調整された前記記録媒体の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段によって計測された前記温度と所定の温度の差が閾値以内であるか否かを判定する温度判定手段とを有し、
前記光沢発生手段は、前記温度判定手段によって前記温度と所定の温度の差が閾値以内であると判定された前記記録媒体に形成されている前記画像に光沢を発生させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成システムであって、
前記定着手段によってトナーが定着された前記記録媒体を排出口へ搬送する排出手段を有し、
前記調温手段は、前記排出手段において前記記録媒体の温度を調整することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像形成システムであって、
前記定着手段によってトナーが定着された前記記録媒体の面を反転させる反転手段を有し、
前記調温手段は、前記反転手段において前記記録媒体の温度を調整することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記定着手段によってトナーが定着され、前記記録媒体のカールを補正するデカール補正手段を有し、
前記調温手段は、前記デカール補正手段において前記記録媒体の温度を調整することを特徴とする画像形成システム。

【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記光沢発生手段は、
前記記録媒体を加熱する加熱手段と、
前記記録媒体と接する面が平滑なベルトと、
前記加熱手段によって加熱された前記記録媒体を、前記記録媒体の記録面が前記ベルトと接するように加圧する加圧手段と、
前記加圧手段によって加圧された前記記録媒体を冷却する冷却手段とを有することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−72953(P2013−72953A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211057(P2011−211057)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】